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2020年1月26日 (日)

日本人には懐かしい「ダサジャケ」

Title:Hyperspace
Musician:BECK

約2年ぶりとなるBECKのニューアルバム。なにより目立つのは間違いなくジャケット写真でしょう。ジャケットには大きくカタカナで「ハイパースペース」という文字。さらには懐かしいトヨタ・セリカがバックに写っており、感覚的には完全に80年代な今回の写真。ちなみに時々、国内盤のジャケットだけカタカナを使ってくるミュージシャンもいるのですが、本作については、オリジナルにも「ハイパースペース」という文字が踊っています。日本人にとっては、あえて「古さ」を醸し出した、意図的なダサジャケ、といった感じなのですが、その印象は海外でも同様なのでしょうか?

そんなジャケットから受ける印象同様、今回のBECKのアルバムの最大の特徴は80年代風のエレクトロサウンドを取り入れたポップチューンに仕上がっています。エレクトロサウンドをバックにゆっくりと聴かせる「Uneventful Days」から、伸びやかなエレクトロサウンドのるハイトーンボイスも印象に残る「Die Waiting」。タイトルチューンである「Hyperspace」もスペーシーなサウンドで聴かせるナンバーになっていますし、「Dark Space」もいかにも80年代っぽい、ちょっとチープさを感じるエレクトロサウンドが印象に残ります。

80年代の風味が全編にあふれている今回のアルバムですが、そんなサウンドの軸となっているのが、なんと本作で多くの曲にプロデューサーとして参加し、かつ共作も行っているファレル・ウィリアムズ。かなり意外な組み合わせのような印象もするのですが、80年代風のサウンドの中流れるポップなメロディーラインは、確かにどこかファレルらしさを感じます。ただ、ファレルらしい底抜けの明るさ、というよりはミディアムチューンで聴かせることにより、むしろどこか荘厳さすら感じさせる楽曲になっているのも特徴的です。

もちろん、そんなエレクトロポップチューンも聴かせるのですが、純粋にメロディーの良さを楽しめる曲も。特に「Stratosphere」などはアコースティックギターと星空のように輝くギターのサウンドをバックに、ファルセットボイスで美しく聴かせるメロディーが強く印象に残る楽曲。メロディーメイカーとしてのBECKの本領が発揮されたナンバーになっています。

さらにラストを締めくくる「Everlasting Nothing」は、ハイトーンボイス主体だった本作のBECKのボーカルから一転、渋いボーカルを聴かせるブルージーな雰囲気の楽曲に。最後はロッキンな楽曲で締めくくっている…のですが、この曲もファレルが共作で参加。BECK以上にファレルの幅広い音楽性を感じさせる曲となっています。

ただ今回の80年代風サウンド、若干取って付けた感も否めず、賛否両論といった感じになっているそうです。個人的には、それでも魅力的なポップチューンが並んでおり、BECKの魅力もしっかりと伝わってくる良作だったと思います。素直にポップなナンバーを最初から最後まで楽しめた1枚でした。

評価:★★★★★

BECK 過去の作品
The Information
Mordern Guilt
Morning Phase
COLORS

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