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2020年1月21日 (火)

テーマ性を持った新作

Title:Everyday Life
Musician:Coldplay

前作「A Head Full of Dreams」から約4年。待望のColdplayの新作は、いままでの彼らの作品とは大きく異なる、非常にコンセプシャルな内容おアルバムとなっていました。そもそもアルバムのタイトル「Everyday Life」の由来からして「国や言語、文化、宗教に違いはあれど、世界のどこにいても誰にでも『普通に1日』は訪れる。」というテーマから取られたとか。前半8曲は「sunrise(日の出)」、後半8曲を「sunset(日の入り)」というテーマ性を持たせており、アルバム全体で1日24時間を表現する構成となっているそうです。

楽曲自体にも多彩な文化を取り入れている点が特徴的で、例えば「Arabesque」ではアフロビートの始祖であるアフリカのミュージシャン、フェラ・クティの言葉を引用していたり、「Church」ではパキスタンの音楽家、アムジャド・サブリの音を引用。さらには曲名自体がアラビア文字の曲まで登場(「バニ・アダム」と読むようです)。こちらは中世イランの代表的な詩人、サアディーの「人類の一体性」を訴えた歌詞をテーマにしているそうで、メッセージ性の強いアルバムになっています。

最近の彼らは、環境問題からワールド・ツアーを封印する旨の声明を発表したりして、このアルバムにしてもそうですが、こういういい方はちょっと嫌らしいかもしれませんが、「意識高い系」なんて揶揄するような見方が出来てしまうような、そんな作風にも感じてしまいます。実際、今回のアルバムでも、冒頭を飾る「Sunrise」は、いきなりオーケストラのサウンドを取り入れた管弦楽のような楽曲からスタートしていますし、「BrokEn」「When I Need A Friend」などゴスペルを取り入れたような曲が登場したり、特に前半の「sunrise」の8曲についてはバリエーションはあるのですが、様々なジャンルを取り入れようという高い意識ばかりが先行してしまっていまった結果、彼らの持ち味である美しいポップなメロディーラインという魅力が後ろに下がってしまったような、そんな印象を受けてしまいました。

そんなこともあり、前半に関してはかなり懐疑的にアルバムを聴きすすめていたのですが、その印象が良い意味で覆って来たのが後半の「sunset」のパート。祝祭色があり、かつ彼ららしいスケール感をおぼえる「Orphans」に、アコギとピアノで美メロとも言える美しい歌を聴かせる「Eko」。ナイジェリアの女性シンガー、Tiwa Savageをフューチャーしたソウル風の「CryCryCry」もメロウで美しいメロディーラインを聴かせてくれています。

「Champion Of The World」なども彼ららしいスケール感あるサウンドでメロディアスな歌を聴かせる楽曲に仕上げられていますし、タイトルチューンの「Everyday Life」もピアノとストリングスをバックに美しいメロディーラインを聴かせる楽曲になっています。「sunset」については、彼ららしい比較的シンプルに歌とメロディーを聴かせるようなタイプの曲が多く、Coldplayの魅力をしっかりと発揮したような楽曲が並んでいました。

若干、テーマ性の部分が前に押し出され過ぎて、悪い意味で押し付けがましい、Coldplayの本来の魅力であるメロディーや歌が後ろに下がってしまっている部分もありましたが、ただアルバムトータルで見ると、しっかりと彼らの魅力は感じることの出来る良作に仕上がっていたと思います。とはいっても、次はもうちょっとシンプルなアルバムを作ってほしいかな、と思わなくはないのですが…。

評価:★★★★★

COLDPLAY過去の作品
Viva La Vida or Death And All His Friends(美しき生命)
Prospekt's March
LeftRightLeftRightLeft
MYLO XYLOTO
Ghost Stories
A HEAD FULL OF DREAMS
Kaleidoscope EP
Live In Buenos Aires
Love In Tokyo

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