« 世界が注目するシンガーソングライター | トップページ | テーマ性を持った新作 »

2020年1月20日 (月)

若き日の"King"の写真が…

Title:2020-Classic Blues Artwork from the 1920s Calendar

Bluescalendar2020

今年も無事、購入しました。これがないと年が明けません!毎年恒例のブルースカレンダー。といっても購入したのは、昨年の11月頃だったのですが…。アメリカのブルース・イメージズ社が毎年リリースしているブルースカレンダー。1920年代のブルースの広告アートワークが使われたカレンダーで、ブルース好きではなくてもなかなか洒落たアートワークになっているカレンダーです。そしてなんといってもカレンダー以上にお目当てなのは毎年ついてくる付属のCD。戦前ブルースの貴重な音源が収録された内容になっており、ブルース好きにはたまらない内容となっています。

そして今年なんといっても目立つのがトップをかざる写真。こちらは2015年に亡くなった(…もう5年もたつんですね…)B.B.Kingの若き日の写真。1949年頃に撮影された写真だそうで、自らがDJを務めたラジオ局WDIAのマイクの前でポーズをきめる写真だそうです。この写真は1月のカレンダーも飾っているほか、付属CDの1曲目は彼の最初期の録音「Got The Blues」からスタート。写真のキングも若さ、というよりも初々しさすら感じるのですが(1949年だとしたら24歳の時の写真(!))、楽曲の方も軽快なピアノとホーンセッションをバックに初々しい歌声を聴かせてくれる楽曲にを楽しむことが出来ます。

さらに毎年のように発掘音源を収録している本作ですが、今回はJuke Boy Barnerの「Life Is A Cheater」「I Got Hip To It」が初CD化の発掘音源だそうです。いずれも1950年の作品。陽気な雰囲気の歌声が楽しいナンバー。ただ今回、前述のB.B.Kingの曲もそうなのですが、いままでこだわっていた「戦前モノ」に限らず、戦後の音源を発掘音源として取り上げています。まあ、優れたブルースなら戦前も戦後も関係ないですからね~。

ただ今回のアルバム、一番印象に残ったのは女性シンガーの楽曲でした。特に素晴らしかったのはVictoria Spiveyの「Blood Thirsty Blues」。緩急のつけた感情こもったボーカルが胸をうつナンバー。彼女は1930年には映画「ハレルヤ」に出演したり、さらに戦後も長く活動を続け、ボブ・ディランのアルバムにも参加したりしたそうですが、そんな彼女の魅力的なボーカルが楽しめる楽曲になっています。

さらにかのBlind Blakeがギターで参加しているLeola B.Wilson with Blind Blake名義の「Ashley St.Blues」「Dying Blues」の2曲も素晴らしい内容でした。彼女の、ちょっとか細くも、実は力強いボーカルより繰り出される哀愁感たっぷりの歌声にBlind Blakeのメロディアスさを感じるギターの音色も大きなインパクトに。2曲とも、強く印象に残る作品になっています。

基本的に戦前ブルースがメインだけに音が悪く…と言いたいところなのですが、技術の進歩か、また戦後のブルースも収録されていた影響か、いままでのブルースカレンダーの付属CDに比べると、グッと音質がよくなったようにも感じます。そういう意味でいままで比較的「マニア向け」といった印象もあった本作ですが、比較的広い層が違和感なく楽しめる内容になっていたようにも感じる。ブルースを聴き始める最初の1枚…はさすがに厳しいかもしれませんが、ブルースに興味があればぜひともチェックしてほしい、素晴らしい作品集でした。

評価:★★★★★

2013-Classic Blues Artwork from the 1920s Calendar
2014-Classic Blues Artwork from the 1920s Calendar
2015-Classic Blues Artwork from the 1920s Calendar
2016-Classic Blues Artwork from the 1920s Calendar
2017-Classic Blues Artwork from the 1920s Calendar
2018-Classic Blues Artwork from the 1920s Calendar
2019-Classic Blues Artwork from the 1920s Calendar


ほかに聴いたアルバム

Apollo XXI/Steve Lacy

R&BバンドThe InternetのメンバーでもあるSteve Lacyの初のソロアルバム。The Internetもちょっと懐かしさを感じるメロディアスなR&Bが特徴的でしたが、本作も、ちょっと懐かしさを感じるメロウなR&Bが主軸に。ただそんな中でAORやHIP HOP、果てにはギターロックまで飛び出す自由度の高く、そしてバリエーションの多い音楽性が強い魅力に。全体的にはポップにまとまっておりバリエーションあるサウンドにも統一感を覚えつつ、ハイトーンボイスで爽快さも感じる歌声も魅力的。The Internetとしての活躍以上に、ソロでの活躍が楽しみになってくるような傑作アルバムでした。

評価:★★★★★

Colorado/Neil Young&Crazy Horse

Crazy Horseとの名義となるNeil Youngのニューアルバム。70歳を過ぎても精力的な活動が続く御大ですが、本作は渋みの増したボーカルにブルージーなギターロックという、昔ながらのスタイルといった印象。Neil Young+Promise Of The Realの「The Visitor」はバリエーションに富んだ作風の意欲作でしたが、今回のアルバムは良くも悪くもオールドファン向けといった感じでしょうか。もちろん、いまなお現役感あふれるアグレッシブなギターサウンドは非常に魅力的ではありましたが。

評価:★★★★

Niel Young 過去の作品
Fork In The Road
Psychedelic Pill(Neil Young&Crazy Horse)
Storytone
The Monsanto Years(Neil Young+Promise Of The Real)
Peace Trail
The Visitor(Neil Young+Promise Of The Real)

|

« 世界が注目するシンガーソングライター | トップページ | テーマ性を持った新作 »

アルバムレビュー(洋楽)2020年」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




« 世界が注目するシンガーソングライター | トップページ | テーマ性を持った新作 »