アルバムレビュー(邦楽)2019年

2019年12月28日 (土)

80年代に一世を風靡した女性ロックシンガー

Title:Ayumi of AYUMI~35th Anniversary BEST 完全版
Musician:中村あゆみ

80年代を代表する女性ロックシンガー、中村あゆみ。1985年にシングル「翼の折れたエンジェル」がカップヌードルのCMソングにもなり大ヒットを記録しました。本作はそんな彼女のデビュー35周年を記念してリリースされたオールタイムベスト。もともと5年前の30周年の時点で同タイトルのベスト盤をリリースしていたのですが、本作はそこに収録曲も増やし、2枚組としてリリース。タイトル通り「完全版」と言う内容になっています。

中村あゆみと言えば、主にティーンエイジャーの心の叫びをそのまま歌にのせるスタイルで若い世代の絶大な支持を受けたミュージシャン、といったイメージになるのでしょうか。ある意味、今以上にアイドルシンガーが席巻していた80年代において、装飾されたラブソングがメインだったアイドルポップスがメインだったヒットチャートの中で、ティーンエイジャー、特に女の子の本音をそのまま歌にしたり、あるいは複雑な心境を抱きがちなティーンエイジャーに対する応援歌として、絶大な支持を得ていたミュージシャンだった、というイメージがあります。

実際、本作にも収録されている大ヒットシングル「翼の折れたエンジェル」は、ラブソングのスタイルはとっているものの、まさにやり場のないティーンエイジャーの心境に重きを置いたような歌詞になっていますし、同じくヒットを記録した「ともだち」などもティーンエイジャー向きらしい、友だちの大切さを歌った歌詞になっています。また、もうちょっと時代を下ったヒット曲になるのですが、「HERO」もタイトル通りの力強い応援歌となっており、スマッシュヒットを記録しました。

この80年代の女性ロックシンガーで、ティーンエイジャーの複雑な心境を歌う、というシンガーで同じく思い出されるのが渡辺美里でしょう。二人とも同い年どころか誕生日がわずか14日しか離れていないうえに、デビューも1年だけの違い。中村あゆみのブレイク作となった「翼の折れたエンジェル」が85年のヒットならば、渡辺美里のブレイク作「My Revolution」も86年のヒットと、ほぼ同じ時期にデビューし、かつブレイクしており、2人が比較されることも少なくありません。

ただ、その後(主にアルバム単位ですが)ミリオン作を連発した渡辺美里に対して中村あゆみはそれなりにスマッシュヒットを記録し続けたのですが、若干人気の面では寂しい印象は否めません。しかし今回、中村あゆみのブレイク期の作品を聴いてみると、正直言うと、渡辺美里ほどの大ブレイクに至らなかったのもわからないではないかな、という印象も受けてしまいました。渡辺美里がブレイク以降、ティーンエイジャーの心境を歌うシンガーとして軸足を確保し、かつ、徐々にロック路線からポップス路線にシフトしていったのに比べると、中村あゆみについては、若干その方向性が定まっていなかったように感じます。特に初期の作品については、その時代性もあるのでしょうが、アイドル的な売り方も捨てきれなかったようで、「翼の折れたエンジェル」の次のシングルとなる「A BOY」はどこかアイドルポップ的な様相も感じます。

その後もポップス色が強くなったかと思えば、ロックに寄ったりと、チグハグさは最後まで抜けきれません。結果として90年代も「HERO」のようなロックテイストの強いスマッシュヒットがありつつ、徐々にその名前はヒットシーンから遠ざかってしまいました。ここらへん、もうちょっとロック風を貫くか、ポップ路線にシフトするか、一貫したものがあれば、もうちょっと中村あゆみの人気は確かなものになっていたんじゃないかなぁ、と今回のベスト盤を聴いて感じてしまいました。

特に気になるのはその後の彼女の動向。ある意味、非常にベタな方向性といえば方向性なのですが、ここ最近の曲は「紬 -tsumugi-」「アジアの海賊」など歌謡曲、もしくは演歌の方向にまでシフトしていっています。まあこの点に関しては渡辺美里も2000年代以降、迷走して、一時期、ベテランシンガーがベタな方向性として取りがちなジャズの方向性にシフトしていたので、お互い様といった感じはするのですが…。この演歌・歌謡曲路線の曲も決して悪くはないのですが、彼女が歌わなくてもいいのにな、とも感じてしまいます。

彼女の代表曲は網羅されており、中村あゆみというシンガーの歩みを知るには最適な1枚。もちろん名曲も多く、十分楽しめたアルバムなのは間違いありません。一方で彼女のウィークポイントのようなものも感じてしまう、そんなベスト盤でした。渡辺美里がここ最近、80年代の原点に回帰したようなアルバムをリリースし、若干人気を回復させていますが、彼女もそろそろ80年代の彼女らしい曲を聴いてみたいような印象も…。せっかくパワフルな歌唱力の持ち主なので、単なる懐メロ歌手に終わらない活躍を期待します!

評価:★★★★


ほかに聴いたアルバム

あかりおねえさんの ニコニコへんなうた/町あかり

町あかりが「あかりおねえさん」として出演している、フジテレビ系およびBSフジの子供番組「じゃじゃじゃじゃーン!」の中での人気コーナー「あかりおねえさんのニコニコへんなうた」で歌われた曲を集めた企画盤。前半は童謡の替え歌、後半はオリジナルの童謡が収録。「池じゃなかった! どんぐりころころ」ではあの石野卓球がアレンジに参加するなど、豪華なアレンジャー勢も魅力的で、楽曲は童謡なのに異常にクオリティーの高いアレンジが特徴的なアルバムになっています。

ただ、個人的にはこの手の童謡の替え歌というのが正直苦手…。個人の好みの問題もあるのですが、なじみのメロに変な替え歌を付けられて頭にこびりつくのがすっごく嫌なんですよね…。まあ、これは完全に個人の趣味の話なのですが、ただ正直全体的に、良くも悪くも子ども用の童謡というよりも「子ども用みたいに作られた大人向けのポップス」といった印象を強く受けてしまいます。最近、子どもと一緒にNHKの朝の幼児向け番組でつくられた曲を良く聴くのですが、こちらの曲は子どもの興味や、子どもがちょうど覚えたような言葉、覚えてほしい言葉を上手く取り入れた、非常に考えこまれた良質な童謡を提供しているのですが、正直、本作に収録されている曲はそういった考慮をされたような跡はほとんどなく、あくまでも大人の感覚でつくられた「子ども用っぽい曲」といった感じになっています。もちろん、大人が聴く分には、それはそれで楽しめることは間違いなく、そういう意味ではコンセプチュアルで楽しいアルバムであることは間違いないのですが…。

評価:★★★★

町あかり 過去の作品
ア、町あかり
あかりの恩返し
EXPO町あかり
収穫祭!(町あかり&池尻ジャンクション)

BEGIN ガジュマルベスト/BEGIN

なんか、ここ最近、企画盤的なアルバムばかりリリースしている印象もあるのですが…本作はBEGINのベストアルバム。彼らはいままで「シングル大全集」と名付けたベスト盤をリリースし、かつ節目の年にシングル曲を追加し、再リリースし続けてきましたが、本作はそれとはまた異なる軸でのベスト盤だそうで、ライブの定番曲をまとめたベスト盤だとか。そのため「恋しくて」「島人ぬ宝」のような代表曲も収録しつつ、全体的にはしっかりと聴かせるバラードナンバー、あるいは聴いていて楽しくなるような明るい曲のような、いかにもライブ映えしそうな曲が並んでいます。BEGINの全貌を捉えた、といった感じではないのかもしれませんが、BEGINというミュージシャンの魅力をしっかり詰め込んだベスト盤になっていました。

評価:★★★★★

BEGIN 過去の作品
3LDK
ビギンの島唄 オモトタケオ3
ビギンの島唄 オモトタケオのがベスト
トロピカルフーズ
Potluck Songs

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2019年12月26日 (木)

彼女の幅広い音楽性を感じる

Title:Turnable
Musician:竹内まりや

竹内まりやにとってデビュー40周年というメモリアルイヤーとなった今年。日本レコード大賞の「特別賞」を受賞したり、さらには初の紅白歌合戦出場が決まるなど、様々なビックニュースも飛び込んでいますが、なんといってもファンにとって大きな出来事だったのが本作のリリースでしょう。全3枚組となる本作は、1枚目が「More Expressions」と名付けられ、ベストアルバム「Expressions」に収録しきれなかった曲を集めたアナザーベスト。2枚目「Mariya's Rarities」は未発表音源やレア音源、セルフカバーなどをあつめたアルバム。そして3枚目は、旦那である山下達郎がパーソナリティーを務めるラジオ番組「サンデー・ソングブック」の中の名物コーナー「まりやの課外活動」でカバーした洋楽のスタンダードナンバをCD化しています。

3枚のCDはそれぞれ(例外もありますが)基本的には、自ら歌う前提で作った曲、他の人が歌う前提で作った曲、第三者の曲を自ら歌った曲という形で収録されています。それらの曲をまとめて聴いてまずは感じる感想として、彼女は本当にバラエティー豊かな曲を作って、そして歌うミュージシャンなんだな、ということを強く感じます。公私ともに大きな影響を受けている山下達郎と同様、まず大きな影響を感じさせるのが50年代や60年代のオールディーズ。このアルバムの冒頭を飾るDisc1の1曲目「すてきなヒットソング」などはまさにそんなオールディーズからの影響が顕著ですし、「アンフィシアターの夜」なども同じく昔ながらもロックンロールからの影響を強く受けた曲になっています。

一方、Disc2に収録されている曲のうち、ほかのシンガー、特にアイドル勢などに提供した曲に関しては、非常の歌謡曲テイストの強いナンバーが並びます。例えば岡田有希子に提供した「憧れ」や、松田聖子に提供した「声だけ聞かせて」が顕著な例でしょうか。本人が作った曲ではありませんが、加山雄三の曲のカバー「君のために」やCMソングとして話題となった「You & Night & Whisky ~ウイスキーが、お好きでしょ」のような歌謡曲テイストの強いナンバーも収録されており、歌謡曲からの影響を強く感じると同時に、また彼女の歌声自体、歌謡曲のようなウェットな作風の曲によくマッチしているように感じます。

ほかにも「幸せの探し方」はラテンの要素が入ったポップスに仕上がっていますし、「静かな伝説(レジェンド)」に至っては、歌詞の雰囲気も含めて中島みゆき的な雰囲気を醸し出している楽曲になっているなど、全体的には楽曲のバリエーションの広さを強く感じます。洋楽から、特に50年代、60年代のオールディーズの影響を強く受けている点は、旦那である山下達郎と同じなのですが、歌謡曲な雰囲気を感じるポップチューンを含めて、洋楽的なカラリとした雰囲気を感じる山下達郎に比べると、竹内まりやの曲は、ある意味より日本的なウェットさを感じるという点で大きな違いを感じさせます。音楽的に似た路線を歩むこの夫婦ですが、一方では明確な両者の違いも感じることが出来ました。

またDisc3は洋楽のカバー。特に前半はビートルズのおなじみの曲のカバーが延々と続くのですが、こちらはほぼ原曲通りのカバーになっており、あまり竹内まりや独自の解釈というおもしろさはないものの、原曲への敬愛ぶりが強く感じさせられるカバーになっていました。カバー曲はオールディーズやジャズなどからのカバーも多く収録されており、竹内まりやのルーツを知るにはうってつけの選曲と言えるかもしれません。

全3枚組、トータル3時間半を超えるボリュームあふれるアルバムでしたが、アナザーベストやセルフカバーの選曲により、竹内まりやのより幅広い音楽性を知ることが出来、非常に興味深く感じられた企画盤になっていました。デビューから40年が経過した彼女ですが、旦那様ともども、まだまだ日本の音楽シーンに大きな影響を与えてくれそうです。

評価:★★★★★

竹内まりや 過去の作品
Expressions
TRAD
REQUEST -30th Anniversary Edition-

で、今回は「Turnable」に連動する形でリリースされたもう1枚のアルバムも一緒に紹介します。

Title:岡田有希子 Mariya's Songbook
Musician:岡田有希子

1984年にデビュー。一躍トップアイドルの仲間入りを果たしたものの、それからわずか3年後、1986年に人気絶頂の最中に自殺という形でわずか18年の生涯に幕を下ろしたアイドル歌手、岡田有希子。彼女の自殺報道に影響を受けた若者の自殺が相次いだとされ、当時は一種の社会問題となった出来事でした。そのこともあり、彼女の楽曲はしばらく事実上の封印状態だったのですが、ここ最近、徐々に彼女の楽曲もリリースされるようになり、本作はデビューシングル「ファースト・デイト」をはじめとした彼女に数多くの楽曲を提供してきた竹内まりやの曲を収録したアルバムとなっています。

アルバム「Turnable」にも竹内まりやによるセルフカバーが何曲が収録されています。竹内まりやのセルフカバーも決して悪くはないのですが、より清純な雰囲気を醸し出す岡田有希子本人のボーカルの方が、より曲の雰囲気にはマッチしているように感じます。全体的にはピュアな女の子のはじめての恋を描いたような作品が多く、彼女がどのような売り出され方をしたのかよくわかります・・・といってもこの時代のアイドル歌手の典型的な売り出し方だとは思うのですが。

楽曲的には良くも悪くもいかにも80年代のアイドル歌謡曲という印象が強い点は否めないのですが、そこはさすが竹内まりやだけあって、歌謡曲のテイストが強くても、要所要所に洋楽の影響も垣間見れ、キラリと光るものを持っているポップソングが並んでいました。岡田有希子をリアルタイムで知らなくても、竹内まりやが好きならばチェックしても損はないアルバム。とはいえ、彼女の澄み切った歌声を聴くと、もし彼女が今も生きていたら・・・と感じてしまう、そんなアルバムでした。

評価:★★★★

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2019年12月17日 (火)

ミュージシャンとしての矜持を感じる

Title:Same Thing
Musician:星野源

すっかり国民的スターとしてその地位を確立した星野源。音楽ファンならご存じかと思うのですが、もともと彼はインストバンドSAKE ROCKのメンバーとしてデビューしており、本籍地は間違いなくミュージシャンであり、かつ以前から非常に高い評価を受ける音楽を作り続けていました。ただ、最近は俳優などマルチタレント的な活動も目立ち、一般的に星野源という名前が売れ出したのもどちらかというと俳優としての活躍があったから。それだけにひょっとしたら彼の音楽活動のことを、俳優などで売れてきたタレントが片手間に音楽活動をやっている、という勘違いをしているような方もいるかもしれません。

今回紹介するのは10月に急きょリリースされた4曲入りのEP盤。ただ今回の作品は「売れっ子ミュージシャン」というイメージが強くなった星野源が、「売れっ子」のイメージにとらわれず、音楽的な挑戦をした作品になっているように感じました。そもそも1曲目に収録されているタイトルチューン「Same Thing」は、最近注目を集めているイギリスのインディーロックバンドSuperorganismがゲストで参加。当サイトでも紹介したことあるミュージシャンですが、自由な曲作りで、いかにもインディーらしいロックバンド。楽曲的にもSuperorganismの色合いの濃い、アバンギャルドさを感じるポップチューンになっています。そんな中でもしっかり星野源としての色も入れているのですが、最近の星野源のヒット曲と比べると、あきらかに異質な楽曲に仕上がっています。

2曲目「さらしもの」も今、話題のラッパー、PUNPEEが参加。ループするトラックといい、HIP HOP色の強いナンバーに。1曲目に比べると、星野源の色合いが強い楽曲なのですが、それでもHIP HOPにグッと寄った作品になっており、星野源の音楽的な挑戦を強く感じさせます。さらに3曲目「Ain't Nobody Know」も、新進気鋭のイギリスのシンガーソングライターTom Mischが参加。こちらも最近のR&Bの流行を積極的に取り入れたような楽曲になっており、彼の新しい音楽に対する貪欲さを感じさせるポップチューンになっています。

そして最後を締めくくる「私」はアコースティックギター1本で聴かせるフォーキーなナンバー。ここ最近、ホーンセッションなどを取り入れて分厚いサウンドの分厚い曲作りが目立つ彼でしたが、ブレイク前は比較的アコースティックなサウンドでシンプルな曲調が彼の音楽の特徴でした。今回のラストソングはまさにそんなブレイク前の作風を彷彿とさせる楽曲。原点回帰的なものを感じさせますし、また、その曲が「私」というタイトルをつけて、内省的な歌詞を聴かせており、「国民的スター」となった今、あえて自身を見つめ直している彼の姿を垣間見ることが出来ます。

直近作「POP VIRUS」は傑作アルバムではあったものの、ここ最近の彼の人気から来る重圧感をアルバムから感じるような内容になっていました。今回のアルバムはそんな重圧感から解放されるべく、あえて「売れ線ミュージシャン」としての殻を取りのぞき、ミュージシャンとしてやりたいことをやった作品のように感じました。そういう意味では、国民的スターとして期待される曲をつくらなくてはいけない彼にとって、このアルバムからは、ミュージシャンとしての矜持を保つべくリリースされた作品のようにも感じました。今回の作品に収録されている楽曲は、ブレイクしてから星野源を知った人、俳優やタレントとしての彼を好きになった人にとっては、ちょっと違和感を覚える作品になっていたかもしれません。ただ、ブレイク前から彼のことを知っている人にとっては、間違いなく星野源の魅力を再認識できる傑作だったと思います。個人的にも音楽的自由度が低く感じられた「POP VIRUS」よりも好きな作品かもしれません。ただ、この方向性でフルアルバムを作るというのは、彼の立場的にも難しいんだろうなぁ、ということも感じてしまうのですが…。次のアルバムに今回のこの作品で取り入れた方向性が反映されることを期待しつつ、これからの星野源の活躍にも要注目です。

評価:★★★★★

星野源 過去の作品
ばかのうた
エピソード
Stranger
YELLOW DANCER
POP VIRUS


ほかに聴いたアルバム

或る秋の日/佐野元春

佐野元春のニューアルバムは、配信でリリースされた4曲に新曲4曲を加えた8曲入りのアルバム。半数が既発表曲ということでちょっと寂しく感じますし、また楽曲的にも「秋」というイメージで統一されているのか、爽快さもありつつも、全体的にはインパクトの強いメロディーラインはなく、全体的に地味な印象が。よく言えば「大人のポップス」というイメージでしょうか。かなり落ち着いた印象を受けるアルバムでしたが、それでも聴かせる部分はしっかりとツボをおさえてくるあたり、佐野元春の実力も感じられるアルバムでした。

評価:★★★★

佐野元春 過去の作品
ベリー・ベスト・オブ・佐野元春 ソウルボーイへの伝言
月と専制君主
ZOOEY
BLOOD MOON
MANIJU
自由の岸辺(佐野元春&THE HOBO KING BAND)

濡れゆく私小説/indigo la End

最近はゲスの極み乙女。やこのバンド以外にもジェニーハイやら美的計画やら数多くのプロジェクトを同時並行させて活動を進めている川谷絵音。そんな中でindigo la Endでも約1年3か月というスパンで新作をリリースするあたり、川谷絵音のワーカホリックぶりがうかがえます。今回もindigoらしい哀愁感たっぷりのメロディーラインが魅力的な作品に。ただ川谷絵音の脂がのりまくっていた前作「PULSATE」に比べると、今回も安定感はあるものの、若干、無難にまとめている感を感じてしまいました。相変わらずの悲しげなメロは印象的ながらも、似たタイプの曲がどうしても多くなってしまうのもマイナス要素。良作ではあると思うのですが…個人的にはそろそろ川谷絵音も手を広げすぎず、ゲスとindigoの活動に注力した方がいいように思うのですが…。

評価:★★★★

Indigo la End 過去の作品
あの街レコード
幸せが溢れたら
藍色ミュージック
Crying End Roll
PULSATE

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2019年12月14日 (土)

2つの異なるスタイルで

今年、インディーズデビューから20年が経過(!)。デビュー当初の見立てと反して、未だに根強い人気で積極的な活動を続けるPOLYSICS。そんな彼らが、今年、なんとPOLYSICSと並行し、The Vocodersというバンドを立上げ、ポリと同時に活動を開始しました。この2つのバンド、例えば同じライブで前半がポリ、後半がThe Vocodersというスタイル…ではなく、完全に別バンドとして活動。ライブツアーもポリ、The Vocoders別々の会場を回り、ついにPOLYSICSとThe Vocoders同時に2枚のアルバムをリリースしました。

Title:In The Sync
Musician:POLYSICS

まずこちらが約2年ぶりとなるPOLYSICSのニューアルバム。こちらはいつも通りのPOLYSICS。イントロ的な1曲目「Broken Mac」に続いてはじまる「Piko」はタイトルからしてもポリらしいのですが、急かすようなリズムがコミカルなパンキッシュなナンバー。続く「Check Point」はシンセの音とギターサウンドで軽快かつハイトーンのボーカルもまじえてユニークに展開する、これまたPOLYSICSらしいポップチューンと続いていきます。

ただ今回のアルバムは特にThe Vocodersとの違いを意識したのか、POLYSICSのスタイルの中でも特にシンセの音とバンドサウンドでパンキッシュなサウンドを聴かせるようなナンバーが並んでいました。その後も「It's Noisy」のようなタイトル通りのノイジーギターでパンキッシュな曲や、ハードロックなギターでダイナミックに聴かせる「Frame On」のようにメロディーを聴かせる歌モノのスタイルではなく、アバンギャルドさも垣間見せつつコミカルさも感じるそのサウンドを聴かせるスタイルの曲が続きます。

今回のアルバムの中で唯一の「歌モノ」だったのが最後を飾る「Part of me」。実はこの曲、The Vocodersバージョンを同時に発表しており、両者の聴き比べが楽しめる楽曲。POLYSICSのアルバムの最後を飾りつつ、The Vocodersのアルバムの1曲目にもってくるなど、両者のつながりを意識したユニークな構成に。ポリのバージョンの方はメロを前に押し出しつつ、バンド色も強い楽曲になっていました。

The Vocodersとの差を明確にしようとした結果、歌モノでポップな楽曲が少なくなり、ポリのパンキッシュな側面が強調された今回の作品。ポリらしい作品には仕上がっていたのですが、個人的にはもうちょっとポップな歌モノが聴きたかったかも。ただ、The Vocodersと合わせて聴いてほしいという感じなのでしょうか。ある意味、POLYSICSの特色がより強調されていたアルバムに仕上がっていました。

評価:★★★★

POLYSICS 過去の作品
We ate the machine
We ate the show!!
Absolute POLYSICS
BESTOISU!!!
eee-P!!!
Oh!No!It's Heavy Polysick!!!
15th P
Weeeeeeeeee!!!
MEGA OVER DRIVE
ACTION!!!
HEN 愛 LET'S GO!
HEN 愛 LET'S GO! 2~ウルトラ怪獣総進撃~
What's This???
Replay!
That's Fantasitc!

Title:1st V
Musician:The Vocoders

そしてこちらがThe Vocodersのデビューアルバム。アルバムタイトルもジャケットも、POLYSICSの1stアルバム「1st P」を意識したような作品に仕上がっています。The Vocodersは「カフェテクノグループ」を自称しているバンドのようで、演奏スタイルもポリとは変えてきています。おなじみ黄色のつなぎにサングラスというスタイルのポリに対して、The Vocodersは赤いスーツでサングラスはなし。ライブも基本的に座って聴くスタイルのようで、ライブハウスで暴れさせるというスタイルのPOLYSICSのライブとは大きく異なります。

楽曲的にもバンド名の通り、メンバー全員がボコーダーを使い歌うスタイル。今回、POLYSICSとの共演となっている「Part of me」ではパンキッシュなポリのバージョンと比べると、BPMもちょっと落として、おとなしく聴かせるスタイルになっています。また、この曲に限らず「Catch On Everywhere」「New Melody」「Shizuka is a machine doctor」などPOLYSICSの曲のカバーも数多く収録。いずれもテンポを落としてパンク色を薄め、一方、テクノポップ色を強くした作風に仕上げています。

パンキッシュなバンドサウンドメインのPOLYSICSとはまた異なる音楽性を打ち出すことにより、ポリではできなかったスタイルに挑戦したバンド…といった感じなのですが、ただ率直に言うと、このスタイル、本当にポリでやれなかったのかなぁ、といった印象は受けてしまいます。基本的に打ち込み+バンドサウンドというスタイルはポリと一緒ですし、ポリのカバーにしても雰囲気は変えているものの原曲と比べてガラッと感じが変わった、という感じではありません。もっとも、楽曲だけではなくライブスタイルもPOLYSICSと大きく変えており、そういう側面も含めてPOLYSICSとしての活動と区別したかったのかもしれませんが。

ただ、全員がボコーダーで歌うというスタイルを取った結果、メロディアスなポップソングを目指しながら、いまひとつ歌が印象に残らない内容になってしまったのは残念。あえてボコーダーを使ったのもポリとは異なる特徴を付けたかったからなのでしょうか。歌モノでありつつボーカルにエフェクトをかけるスタイルを今後、どう生かしていけるのか…今後の課題のように感じました。

評価:★★★★


ほかに聴いたアルバム

Black Map/ストレイテナー

途中、ベスト盤のリリースを挟みつつ、オリジナル作としては「Future Soundtrack」以来、約1年4作ぶりとなる新作のミニアルバム。相変わらず曲によって出来栄えに差があり、1曲目「STNR Rock and Roll」は文句なしでかっこいいものの、日本語詞となった2曲目以降は悪くはないけど、シンプルで平凡なギターロックといった印象が。決して悪いわけではないのですが、いまひとつストレイテナーとしての個性を感じられなかったミニアルバムでした。

評価:★★★★

ストレイテナー過去の作品
Immortal
Nexus
CREATURES
STOUT
STRAIGHTENER
21st CENTURY ROCK BAND
Resplendent
Behind The Scene
Behind The Tokyo
COLD DISC
Future Soundtrack
BEST of U -side DAY-
BEST of U -side NIGHT-

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2019年12月13日 (金)

2019年最大の注目盤

Title:Traveler
Musician:Official髭男dism

2019年の音楽シーンを代表するミュージシャンと言えば、間違いなく彼らOfficial髭男dismでしょう。ご存じの通り、今年彼らがリリースした「Pretender」が大ヒットを記録。5月リリースのこの曲はいまだにチャートの上位をキープしています。さらに彼らがすごいのは、その後リリースされた「宿命」「イエスタデイ」も「Pretender」同様のロングヒットを続けている点。ベスト10のうち3曲をヒゲダンが独占し続けるチャートが続いていますし、特にBillboard Hot 100ではストリーミングチャートにおいてヒゲダンの3曲がベスト3を独占する事態が続いています。

そんな中、ついにリリースされたオリジナルアルバムは、まさに2019年最大の注目盤と言えるでしょう。特に、このアルバム、冒頭にいきなり「イエスタデイ」「宿命」と大ヒット曲を並べてきています。さすがに「Pretender」はアルバム後半に配置されており、アルバム全体のバランスを保ってはいますが、インパクトあるヒット曲2曲をいきなり冒頭に持ってくるあたり、この2曲に頼らなくても、最後まで飽きさせずにアルバムを聴かせることが出来るという、彼らの自信を感じさせます。

実際、「イエスタデイ」「宿命」の後からも彼らの勢いを感じさせるバラエティー富んだポップチューンが並びます。ちょっとファンクの要素も入ったダンスチューン「Amazing」にミディアムテンポでムーディーな「Rowan」、シティポップ風の「最後の恋煩い」、ホーンセッションも入って分厚いサウンドも特徴的なロッキンなチューン「FIRE GROUND」など、バラエティー富んだ展開が続き、そして2019年を代表するヒットチューン「Pretender」に流れ込みます。この様々なタイプの音楽性から彼らの音楽的な素養の深さを感じます。

そんな感じで、特にブラックミュージックからの影響を含め、Official髭男dismからは音楽的な深いバックボーンを感じる部分が少なくありません。ただ一方、比較的シンプルなバンドサウンドでメロディーラインもインパクトあってわかりやすいメロディーライン。楽曲的には間違いなくJ-POPの範疇に入る楽曲になっています。前作「エスカパレード」の感想にも書いたのですが、個人的にはもっとソウルやR&Bの要素を前に出した方がおもしろいのでは?と思ってしまいますが、「Pretender」の大ヒットでもわかるように、そういったジャンルは隠し味的な感じで抑えておき、J-POP的なわかりやすさを前に押し出した方が多くのリスナーの支持を得られるのでしょう。今回のアルバムに関しては、多くのリスナーの支持を得られている彼らならではの、ある種の勢いを強く感じました。

もっともJ-POPのミュージシャンというと、なんとなくロックっぽい音が鳴っているルーツレスなバンドが多い中、彼らに関してはわかりやすいポップなメロの向こうに間違いなくソウルやR&B、ファンクの要素を感じられます。そしておそらく今後の彼らにとってそういう深い音楽的な素養が大きな武器になるでしょう。そういう意味でもまだまだ彼らの可能性は大きく広がっているように感じます。2019年を代表するミュージシャンとなった彼らですが、来年以降もその勢いは続きそうです。

Official髭男dismというと、シングル「ノーダウト」がフジテレビの月9ドラマの主題歌になったりと、ここ最近、ブレイクの最右翼と言われ続けてきました。今年はまさにその期待に応える結果が出せた訳ですが…ただ、それにしてもここまで大ヒットになるとは思いもしませんでした。しかし、このアルバムもそんな彼らの今の勢いを強く感じさせる傑作に仕上がっていました。これからの彼らの活躍も楽しみになってくる、そんな1枚でした。

評価:★★★★★

Official髭男dism 過去の作品
エスカパレード

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2019年12月10日 (火)

良質なポップソングは変わらず

Title:見っけ
Musician:スピッツ

この間、久しぶりにスピッツのライブに行ってきました。ここでも紹介したフラワーカンパニーズの30周年記念ライブだったのですが、イベントライブのゲストということで持ち時間は45分。「涙がキラリ☆」や「メモリーズ」などといったちょっと懐かしい代表曲を披露してくれたのですが、その一方でこのアルバムにも収録されている、現時点での直近のシングル「優しいあの子」や、「見っけ」の収録曲(多分「ラジオデイズ」だったと思う)も披露してくれました。アルバムリリース直前のステージということもあったのですが、アウエイの観客を(といってもスピッツ目当ての人も相当多かったのですが…)引き付ける必要のあるイベントライブのゲストで、最新アルバムからの曲を披露するあたりにベテランらしからぬ攻めの姿勢を感じさせます。ただライブで聴いてあらためて驚いたのが、彼らの過去の代表曲と最新アルバムからの楽曲をライブで並べて聴いても全く違和感がないという事実でした。

本作は途中、シングルコレクションのリリースもあり、前作「醒めない」から約3年2か月ぶりとなるオリジナルアルバム。ただ、ここ最近、オリジナルアルバムはほぼ3年毎のリリースとなっていたため、ある意味、いつも通りのリリースパターンと言えるかもしれません。その間リリースした「優しいあの子」はNHK朝の連続テレビ小説「なつぞら」の主題歌に採用されるなど、スマッシュヒットを記録。彼らの代表曲のあたらしい1曲となりました。もちろん本作には同曲も収録しています。

そしてリリースされた本作は、前述の通り、まさにいままで通りのスピッツ。いきなり1曲目からタイトル曲の「見っけ」からスタートするのですが、爽やかなメロディーで伸びやかに歌い上げる祝祭色を感じさせるナンバーはいかにも彼ららしい感じですし、続くヒット曲「優しいあの子」はタイトル通り、スピッツらしい優しさを感じる素敵なポップチューンになっています。

今回のアルバムの中で特に歌詞が印象的だったのが「ありがとさん」。楽曲のタイトルから受ける印象とは裏腹に、とても切ないラブソングで、別れた彼女との日々を思い出しつつ、彼女への感謝の気持ちを歌う曲で、その歌詞は聴いていて胸に突き刺ささってきます。また歌詞で言えば、「花と虫」「はぐれ狼」は隠喩的な歌詞が印象的。ここらへんの歌詞の世界観にも非常にスピッツらしさを感じます。

メロディーラインの良さでいえば、もちろんどの曲も素晴らしいのですが、そんな中でも「ブービー」のしんみり聴かせつつ、胸の奥底の弱い部分をついてくるような切ないメロディーラインに心惹かれるものがありました。「初夏の日」のアコギでフォーキーな雰囲気、かつ爽やかに聴かせるメロディーも印象的。またほかにもワルツのリズムで哀愁感たっぷりに聴かせる「まがった僕のしっぽ」など、勢いがあり、フックの効いたメロディーを聴かせるアップテンポな曲ももちろんですが、それ以外の曲にこそ、彼らのメロディーラインの魅力を強く感じることが出来ました。

アルバム全体としては目新しい部分はほとんどありません。「大いなるマンネリ」と言えるかもしれません。それにも関わらず、先日のライブでも感じたように過去の作品と並べて聴いても違和感ゼロ。マンネリな印象もほとんど受けません。それはメロディーにしろ歌詞にしろ、非常にクオリティーが高く、ポップソングとして強度が高いからでしょう。全体的に地味目に感じた前作「醒めない」と比べると、「優しいあの子」や「ラジオデイズ」、あるいは「ありがとさん」のようなメロディー、アレンジ、歌詞の側面でもインパクトが増した感じもしますし、また、実にスピッツらしい曲が並ぶような作品になっていたようにも感じました。いまだに若手のようなみずみずしさを感じさせるスピッツ。今回も文句なしにお勧めできる傑作でした。

評価:★★★★★

スピッツ 過去の作品
さざなみCD
とげまる
おるたな
小さな生き物
醒めない
CYCLE HIT 2006-2017 Spitz Complete Single Collection


ほかに聴いたアルバム

この雨に撃たれて/cali≠gari

cali≠gariのニューアルバムは「雨三部作」と銘打ち、既存曲「冷たい雨」「続、冷たい雨」に新曲「この雨に撃たれて」を収録。「冷たい雨」「続、冷たい雨」のメドレーにそれぞれのカラオケも収録した全7曲入りのミニアルバム。その「雨三部作」は爽やかな雰囲気も感じつつ、タイトルから想像できるような哀愁を感じるメロディーラインが耳に残るナンバー。cali≠gariらしさをしっかりと感じられる楽曲になっていました。

ただ今回のアルバムでよかったのは、この3曲ももちろんのこと、「夕立盤」に付属された、10年前にリリースされたアルバム「10」を一部新録し、全曲リミックスした「10-Rebuid」。パンキッシュな楽曲からエレクトロチューン、アバンギャルドなポップまでcali≠gariの幅広い音楽性を感じられる作品となっており、個人的には本編以上に気に入った内容になっていました。

評価:★★★★

cali≠gari 過去の作品
10
cali≠gariの世界

11
12
13

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2019年12月 9日 (月)

the pillowsのアナザーベスト的な

Title:王様になれ オリジナルサウンドトラック
Musician:the pillows

ここのサイトでも以前紹介しましたが、9月に公開されたthe pillowsの結成30周年を記念して公開された映画「王様になれ」。今回紹介するのはその映画のサントラ盤です。映画の中でも数多くのthe pillowsの名曲が使われ、ライブシーンも使われてきましたが、今回のサントラ盤も劇伴のインスト曲を集めたようなスタイルではありません。映画の中で使用されたthe pillowsの曲を収録しているほか、ライブ音源も収録。さらに映画の中でも登場したストレイテナーのホリエアツシによる「ストレンジカメレオン」のカバーやGLAYのTERUとJIROによる「スケアクロウ」のカバーも収録されています。

さて、このアルバムで特に特徴的だったのが全21曲中12曲を占めるthe pillowsの楽曲たち。そのうち「LITTLE BUSTERS」「この世の果てまで」はライブ音源が収録されているほか、「Sleepy Head」「ハイブリッドレインボウ」そして映画タイトルにもなった「王様になれ」は新録が収録されているなど、ファンにとってもうれしい内容となっています。

ただそれ以上にこのサントラ盤に注目したいのはその選曲。「ハイブリッドレインボウ」や最近、カバー曲がCMにつかわれて話題となった「Funny Bunny」、「LITTLE BUSTERS」や「I think I can」などといった代表曲が収録されている一方、アルバム収録曲でベスト盤などに収録されていない「MY FOOT」やカップリング曲「Sleepy Head」、さらにはライブ会場限定のシングル曲だった「どこにもない世界」などといった曲も収録され、単純なベスト盤とは異なるアナザーベスト的な選曲となっています。

今回のサントラ盤に使われたのは映画にも使用された曲なのですが、今回収録された楽曲の多くが、がんばっているのにどこか世間になじめず、上手くいかない人たちへのエールという映画のテーマに沿った歌詞の曲になっています。また、そのような歌詞のテーマはthe pillowsの中でも、おそらくファンに最も支持されているようなテーマであり、また彼らの歌詞の世界の「コア」とも言えるテーマ。今回収録されている曲は、そんなもっともthe pillowsらしさを体現化した曲を集めた選曲とも言える内容になっていました。

映画の中でヒロインが主人公にthe pillowsを知るために最初に聴くべきアルバムを貸していましたが、このアルバムはそんなアルバムの1枚に加わりそうな、the pillows初心者が彼らがどんなバンドが知るためにはうってつけの選曲のアルバムとなっていました。the pillowsも結成30年というベテランバンドとなり、代表曲も多くなってきましたが、そんな数多く代表曲の中で、特にthe pillowsらしい曲をギュッと1枚のアルバムに凝縮してセレクトした内容となっているため、the pillows初心者が最初に手を出すには最適の1枚と言えるでしょう。

ちなみにそんなおそらくthe pillowsらしさを最も体現化している曲のひとつである「ストレンジカメレオン」もthe pillowsバージョンで聴きたかったな…という点はちょっと残念。カバー2曲に関しても、どちらも素晴らしいカバーであることは間違いないし、映画の中でも効果的につかわれていたカバーなので、サントラに収録するのは当然の選択肢であるのですが…。

一方、ライブ音源に関しては、これまたthe pillowsというバンドのライブの魅力を知るという意味では絶好のセレクトと言えるでしょう。今回ライブ音源が使用されていたのは映画中で使用されていた、というのが最大の理由なのでしょうが、これにより彼らのライブの雰囲気も伝わってきます。まさに初心者が最初に聴くthe pillowsのアルバムとして実にふさわしい収録曲になっていました。

また劇伴曲のインストは全7曲。映画を見ていた方にとっては映画のシーンを彷彿とさせる曲ですし、また山中さわお作曲の曲だけにthe pillowsファンにとってもチェックしておきたい楽曲。もっとも楽曲的には1、2分程度の短い曲ですので、映画を見ていない方にとっても全体の流れを妨げない程度の長さとなっており、そういう意味では映画のサントラ盤でありがちな「映画を見ていない人にとっては退屈なインスト曲の連続」という感じにはなっていません。そういう点からも本作はthe pillows初心者にもお勧めできる内容と言えます。

といった感じで、まさにthe pillowsというバンドがどんなバンドか知るために最適なベスト盤的なアルバム。映画を見ていない方にも強くお勧めしたい作品になっていました。またファンにとっても新録やライブ音源もあり非常にうれしい内容に。そしてあらためて彼らの素晴らしさを実感できる、そんなアルバムでした。

ちみに映画を見た時の感想はこちらから。

評価:★★★★★

the pillows 過去の作品
LOSTMAN GO TO YESTERDAY
PIED PIPER
Once upon a time in the pillows
Rock stock&too smoking the pillows

OOPARTS
HORN AGAIN
トライアル
ムーンダスト
Across the metropolis
STROLL AND ROLL
NOOK IN THE BRAIN
REBROADCAST
劇場版「フリクリ オルタナ/プログレ」Song Collection「Fool on CooL generation」


ほかに聴いたアルバム

Melodrive/東京カランコロン

底抜けに楽しいポップチューンが大きな魅力のポップバンド、東京カランコロン。2017年からインディーレーベルのTALTOに活動を再開していますが、本作はミニアルバムとしてはTALTOで2枚となるニューアルバムです。本作もリズミカルでテンポのよい楽曲が多いのですが、一方でドリーミーなサウンドも目立ち、軽快なポップチューンがメインだったいままでの作品からバンドとして一歩、新たな歩みを開始したアルバムになっています。ただ、今回のアルバムは残念ながらいままでの彼女たちの作品で聴くことが出来たインパクトある底抜けの明るいポップチューンにはあまり出会えず。ポップアルバムとしては良質な内容だとは思うのですが、東京カランコロンとしての良さがあまり出ているとは言いがたいアルバムになっていました。

評価:★★★★

東京カランコロン 過去の作品
We are 東京カランコロン
5人のエンターテイナー
UTUTU
カランコロンのレンタルベスト
noon/moon
東京カランコロン01
わすれものグルーヴィ

season/マカロニえんぴつ

男性4人組ポップバンド、マカロニえんぴつのミニアルバム。本作はBillboard Hot Albumsでもオリコンチャートでのベスト10ヒットを記録し、一躍ブレイクを果たしました。実は彼ら、所属レーベルは前述の東京カランコロンと同じTALTO。東京カランコロンのライブを見た時に、一度彼らのステージも見たことあります。良質なポップソングを奏でるバンドながら、これといった特徴は薄いなぁ、という印象があったのですが…今回のオリジナルアルバムに関しても正直感想は一緒。良質なポップソングを奏でるバンドなのですが、これといった特徴もなく、なぜこれだけブレイクできたのか、若干不思議にも感じました。悪いバンドではないので、これからどう成長していくのか注目したいところです。

評価:★★★★

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2019年12月 8日 (日)

日本の辺境の地の音楽

今日紹介する2枚のアルバムはいずれも日本の伝統的な音楽を継承しているグループの作品。ただどちらもアイヌや奄美民謡と日本の辺境の地に息づいてきた音楽を今に伝えるグループで、いずれもアイヌの血を引き、自らもアイヌの音楽を世に伝えてきたミュージシャン、OKIが深くかかわった作品になっています。

Title:mikemike nociw
Musician:MAREWREW

まず本作は女性4人組によるグループ、マレウレウによる7年ぶりのアルバム。アイヌの伝承歌「ウポポ」の再生と伝承をテーマとして活動するグループだそうで、OKIがプロデューサーとして参加した作品。長らくメンバーのRimRimが活動を休止し、3人での活動を続けてきましたが、彼女が久々に復帰し、4人メンバーにて制作したアルバムとなっています。

楽曲的にはかなり癖のある独特な内容になっているのが特徴的。楽曲の構成はほぼボーカルのみのアカペラとなっており、所々に三味線的な弦楽器の音色やパーカッションがリズムとして入るだけ。独唱の曲もあれば、一方では4人のボーカルが重層的に重なる曲もあり、特にボーカルが重なるスタイルの曲ははっきりとしたメロディーラインがあるわけではなく、ある種の「うなり」のようなボーカルを聴かせており、独特の幻想的とすら感じるような内容になっています。

録音としてはフィールドレコーディングのような雰囲気をあえて残したであろう方法を取っており、楽曲によってはメンバーのやり取りなどがそのまま残っているような曲もあったりします。おそらくこのような録音方法を取ったのは、現場の雰囲気をそのまま残すことによって、彼女たちが歌っている音楽が、民衆の土着の音楽であるということをより強調したのではないでしょうか。実際、フィールドレコーディングのような録音方法のため、より民衆に息づいた音楽であるということを強く感じる部分もありました。

正直言うと、うねるような歌い方でありわかりやすいメロディーラインもありません。前述のように癖のある楽曲となっており、伝承歌「ウポポ」について詳しく知らないのですが、おそらく「ウポポ」を決して売れるためにわかりやすく解釈した、という感じではなく、むしろ伝統そのままに歌い継いでいるスタイルなのでしょう。そういう意味では決してわかりやすい音楽ではありませんし、万人向けといった感じではありません。どちらかというと興味がある方向け、といった感じでしょうか。ただうねるような伸びやかなボーカルと4人のコーラスワークは非常に素晴らしく、ちょっとしたトリップ感も味わえるような内容に。私たちがよく知るような民謡とも異なるスタイルの歌となっており、このような音楽が日本の片隅で歌い継がれてきたことにも興味のわくアルバムになっていました。

評価:★★★★

Title:Amamiaynu
Musician:Amamiaynu

で、こちらは奄美島唄を歌う朝崎郁恵を中心に結成された、奄美民謡とアイヌ音楽のコラボレーションというとてもユニークなユニット、Amamiaynuのアルバム。OKIもメンバーとして参加しているほか、マレウレウのメンバー、Rekpoも参加しており、今回紹介する2枚のアルバムはとても密接した関係にあるアルバムと言えるでしょう。

基本的には楽曲のスタイルとしては朝崎郁恵が奄美島唄を伸びやかなボーカルで歌いつつ、OKIの奏でるアイヌの伝統な弦楽器、トンコリを中心としたアイヌ音楽的なスタイルのアレンジがのった作品になっています。トンコリの音色に関して言えば「Ikyabiki no yaysama」「Kyuramun rimse」で聴かせる非常に力強い音色が印象に残ります。うねるようなトンコリのサウンドがとても独特で迫力満点。そのサウンドに負けない朝崎郁恵の伸びのあるボーカルも強いインパクトを与えています。

一方で「Miturasanmae kamuy samada」「Sengromui menoko」で聴かせるようなコーラスを重層的に重ねて幻想感を出しているスタイルは、上で紹介しているマレウレウの音楽の方法を引き継いでいるような感じでしょうか。独特なコーラスワークにユニークなものを感じさせます。

そして何と言ってもおもしろいのは、そんな奄美の島唄とアイヌ音楽を融合させながらも、その両者にほとんど違和感のない点でしょう。歴史も文化も全く異なるはずの両者の音楽が、こんなにも相性がいい、というのは非常に興味深い事実のように感じます。実はOKIは以前、沖縄民謡の大城美佐子とコラボアルバムをリリースしていたりします。同作は正直、沖縄民謡の色合いが強すぎたように感じたのですが、今回のユニットでは奄美とアイヌはよりうまく融合されていたように感じます。ただ、大城美佐子とコラボが行えたように、沖縄・奄美の音楽とアイヌの音楽は相性がいいのかもしれません。日本の辺境の2つの伝統的な音楽にどこか共通項があるという事実に非常に興味深さを感じさせます。

ちなみに一種独特で癖がある、という意味ではマレウレウと同様、本作も決してわかりやすいメロディーラインがあるわけではありません。ただ伝統をそのまま伝えようとするマレウレウと比べると、奄美とアイヌの融合という新しい音楽スタイルを模索する本作は一般リスナー層にも十分アピールできる、いい意味でのわかりやすさもありました。そういう意味では奄美民謡やアイヌ音楽に興味を持った入り口的にもお勧めできるアルバムかもしれません。非常におもしろい試みであり、かつその試みが成功しているアルバムだったので、これからも継続的に活動してほしいなぁ。

評価:★★★★★


ほかに聴いたアルバム

NO DEMOCRACY/GLAY

デビュー25周年を迎えた彼らの最新作。「令和」という元号が発表された日に配信オンリーでリリースされた「元号」も収録。ただこの曲、「令和」という単語はもちろん入っておらず、新元号発表からわずか2時間後にリリースされたゴールデンボンバーの「令和」の前に完全にかすんでしまいましたね…。この「元号」や「反省ノ色ナシ」など社会派な曲も収録されているのですが、ただどちらも社会派を名乗るには非常に中途半端。特に体制や権力を批判したり皮肉っているわけでもなく、社会派をきどりながら誰も怒らせないような「忖度」しまくりのナンバーで、悪い意味でJ-POPの王道といった印象を受けました。

そういう意味では逆にアルバムの中盤あたりからは、ある意味25年前から良くも悪くも変化のない、王道のJ-POPナンバーが続き、いろいろと安心できる内容に。はっきり言えば目新しさはゼロなのですが、こういうナンバーをデビューから25年たった今でも臆面もなく作ることが出来るあたりが長年人気を保つ大きな要因なのでしょう。前作「SUMMERDELICS」はオルタナロック寄りにシフトした感の強いアルバムだったのですが、今回のアルバムはグッとJ-POP、もしくは歌謡曲の色合いが強くなった感じがします。ここらへんは前作と本作でバランスを取った感も。なんだかんだいって王道J-POP路線はそれなりに楽しめたのですが。

評価:★★★★

GLAY 過去の作品
GLAY
JUSTICE
GUILTY

MUSIC LIFE
SUMMERDELICS

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2019年12月 6日 (金)

ユニークなMVも話題に

Title:獄至十五
Musician:打首獄門同好会

強烈なバンド名がまずは強いインパクトを残すロックバンド、打首獄門同好会。デス声も繰り広げるハードコアなヘヴィーロックバンドながらも、お米のおいしさをそのまま歌にした「日本の米は世界一」や、タイトルそのまま「はたらきたくない」「布団の中からでたくない」など、日々のくらしの中で感じたことを素朴に歌詞にのせたスタイルが特徴的で、サウンドと歌詞の大きなギャップがインパクトとなっています。特にそんなコミカルな歌詞をそのまま漫画などで表現したMVがYou Tube上で大きな話題となり、どちらかというとネット主導で人気を確保してきました。

そんな彼らもなにげに結成15年目の中堅バンド。その結成15年目を記念してリリースされたベストアルバムが本作です。とはいえ彼ら、10周年の時もベストアルバムをリリースしているそうで、本作はその続編。2014年にリリースされた前作「10獄〜TENGOKU〜」以降にリリースされた曲を集めたベスト盤となっています。そのため、オールタイムベストではなく、ある意味、わずか5年の間にリリースされた曲だけ収録された内容なのですが、主にネット上で話題になった曲はこの5年にリリースされた曲ばかりで、代表曲はほぼ網羅されたベスト盤、と言ってもいい選曲になっています。

さて、ヘヴィーなサウンドとコミカルな歌詞のギャップが特徴、というとSEX MACHINEGUNSと方向性はかぶります。彼らも出身地である愛媛のみかんについて歌った「みかんのうた」が代表曲ですし、同作ではやはり「愛媛のみかんは世界一」と同じようなことをシャウトしています。そういう意味では彼らのスタイルは若干、マシンガンズの二番煎じと感じる部分もあるのですが、日常というよりももっと広いネタを題材にしているマシンガンズに対して、彼らは本当に日常の中で素朴に感じた出来事を歌にしているという点で異なった方向性を示しています。

その結果としてリスナーからすると非常に共感度の強い歌詞が多いのが特徴的で、冷蔵庫にとっていたプリンを食べられた、という恨みを延々と歌った「TAVEMONO NO URAMI」だったり、歯が痛いけど虫歯じゃないと言い聞かせている「歯痛くて」だったり、題材的にはたわいないネタなのですが、聴いていて、わかるわかると思ってしまうような曲が並びます。またサウンド的にも「布団の中からでたくない」のように、布団の中に入っている時はボッサ風のほんわかした曲調で歌いつつ、布団から出た瞬間にヘヴィーなデス声で寒さを強調するなど、彼らのバンドスタイルをうまくいかしたコミカルな作風も印象に残ります。

そんな彼らの曲を今回のベスト盤では楽しく聴くことが出来たのですが…ただ、後半になるとちょっと飽きてきてしまいました。その理由としては明確で、はっきり言うとネタがかぶりすぎ。例えば「島国DNA」も「日本の米は世界一」も、単純に食事が上手いという叫ぶだけのネタでかぶっていますし、「はたらきたくない」と同じ方向性の「だらだらしたい」なんて曲もあります。「なつのうた」と「布団の中から出たくない」も「暑い」と「寒い」を変えただけのネタ。わずか5年の間の作品なのですが、ネタとしてちょっとかぶりすぎでは?

確かに純粋にユニークな歌詞の曲を楽しめたのは間違いないのですが、今後のことを考えると、このままではちょっと辛いかも、とも感じてしまいました。ネタ被り上等!!と突き進む手もあるにはあると思うのですが、それを差し引いても、もうちょっとネタのバリエーションを増やした方が…。彼らの魅力も感じられた一方、問題点も見えてしまったベスト盤でした。

評価:★★★★

打首獄門同好会 過去の作品
そろそろ中堅

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2019年12月 3日 (火)

相変わらずの自由度の高さ

Title:UC100W
Musician:UNICORN

今年は、なんとUNICORNは100周年!…といってももちろん彼らが100年も活動している訳ではなく、彼らが再結成して10周年、ABEDONが加入して今のメンバーとなった初のアルバム「服部」から30周年、そして川西幸一が還暦を迎えて60周年で、合わせて100周年…という、ある意味彼ららしい謎?な足し算によって100周年を迎えた彼ら。既に今年に入って「UC100V」というアルバムをリリースしましたが、そこからわずか半年、早くもニューアルバムがリリースされました。

再結成してからの彼らはメンバーそれぞれがおのれの個性をフルに発揮したバラバラで自由度の高い作風が大きな魅力でした。その傾向は、特にここ最近のアルバムに関してより顕著にあらわれており、自由度がますます高まったように感じます。ABEDON作曲のエレクトロチューン「M&W」からはじまり、奥田民生作曲による「チラーRhythm」、そしてあいかわらずのハードロック志向のテッシーによる「That's Life」、さらにEBI作詞作曲「TYT」はEBIらしい哀愁感の強い歌謡曲風のナンバーと、序盤の4曲だけピックアップしてもすべてバラバラ。それぞれの個性が走りまくっている曲が並んでいます。

その後も「BLUES」は奥田民生らしいブルースロックなサウンドに川西幸一のラップ風のボーカルがのるユニークなスタイルですし、ABEDONによる「D-D-D-,Z-Z-Z-」はダイナミックでサイケの要素も取り入れたナンバーと、各々のメンバーが自分の音楽的嗜好をフルに発揮した曲が並んでいます。

こういう自由度の高い傾向は再結成後の彼らの作品に共通しているので、そういう意味では平常運転なのですが、ただここ最近ではその自由度がより強くなってきており、良くも悪くも売れることを無視したような作風になってきているように感じます。その結果としてアルバムとしてもバラバラな感が強くなっていますし、今回のアルバムに関しては純粋に音楽的な出来を考えた際に、正直言うと、悪い意味でまとまりがなく、さらに楽曲的な核となるような曲がない結果、自由度が高すぎてアルバムの内容がぼやけてしまったアルバムになっていたように感じます。

特に再結成後の自由度の高いアルバムに関しては、メンバー各人が自由になりつつも、要所要所でファン以外にもアピールできるような真面目につくったポップチューンが入っており、それが核となりアルバムを引き締めていました。そんな曲を通常は奥田民生かABEDONあたりが作ってきたのですが、今回のアルバムに関してはむしろ奥田民生やABEDONが率先して自由度の高い曲を作ってきています。あえていえばラストに収録されているシングル曲でもある「DENDEN」がアルバムを引き締めている感があるのですが、アルバム最後の曲でもあり、ちょっと時すでに遅しの感がありました。

今回のアルバムも素直に聴いていて楽しいアルバムであることは間違いないのですが、ただ自由度が高すぎて少々暴走気味かなぁ、という感が否めません。各人自由な作風に走るのは彼らの大きな魅力であり、今後も続けてほしいのは間違いないのですが、もうちょっと全体を引き締めるような楽曲も何曲か収録してほしいなぁ。いいアルバムだとは思うのですが、ちょっと彼ららしさが行き過ぎた感も否めない、そんな1枚でした。

評価:★★★★

ユニコーン 過去の作品
シャンブル
I LOVE UNICORN~FAN BEST
URMX
Z
ZII
Quarter Century Single Best
Quarter Century Live Best

イーガジャケジョロ
ゅ13-14
半世紀No.5
D3P.LIVE CD
UC100V

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