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2019年12月16日 (月)

なんと今年2作目!

Title:Two Hands
Musician:Big Thief

ニューヨーク、ブルックリンを拠点としている4人組インディーロックバンドBig Thief。今年5月にリリースした2枚目のオリジナルアルバム「U.F.O.F.」が高い評価を受け、大きな話題となりました。当サイトでも紹介させていただきましたが、美しいメロディーラインにボーカル、エイドリアン・レンカーの歌声が強い印象に残る傑作アルバムで、個人的にも一気に気になるバンドとなりましたが、それからわずか5ヶ月。早くも3枚目となるニューアルバムがリリースされました。

今回のアルバムは前作が完成してからわずか5日後にレコーディングを開始したそうで、それだけ彼らのバンドとしての勢いを感じさせます。もちろんわずか5ヶ月というインターバルということもあり、基本的な方向性としては前作から大きな違いはありません。静かでフォーキーな雰囲気を持ったサウンドと美しいメロディーライン、そしてエイドリアンの感情のこもった静かで美しいボーカルを軸とした曲作り。前作「U.F.O.F.」を気に入った方なら、文句なしに今回のアルバムも気に入るのではないでしょうか。

ただ、サウンド的には終始アコースティックでフォーキーなサウンドを聴かせてくれた前作と比べると、バンド色が強く感じるようになりました。「Forgotten Eyes」もギターサウンドを聴かせる楽曲で、エイドリアンのボーカルにも力強さを感じさせますし、「The Toy」もエイドリアンの歌を静かに聴かせる楽曲ながらも、ギターサウンドを前に押し出したサウンドメイキングに。「Sholders」も力強いギターサウンドが前に押し出された楽曲になっていますし、「Not」もバンドサウンドをバックに男性コーラスを加えた力強い歌声が印象に残る楽曲に仕上がっています。

もちろんアコースティックなサウンドが主体となっている曲もあり、「Wolf」などはまさにアコギのアルペジオのフォーキーな楽曲を、透き通るようなエイドリアンのボーカルで聴かせるアコースティックなサウンド構成に。この曲なんかは実に美しいメロディーラインが印象に残る楽曲になっており、アルバムの中でも特に魅力的な傑作になっていました。

全体的にアコースティックな作風の曲が多く、時折入るギターサウンドがインパクトとなっていた前作とは対照的に、ギターサウンドが押し出した作品がメインとなっており、時折入るアコースティックな作風の曲がインパクトとなっていた今回のアルバム。そういう意味で前作とは対になっているアルバムと言えるでしょう。ただ、もっともフォーキーなメロディーラインは前作から変わりませんし、エイドリアンの感情がこもったボーカルの魅力も前作と同様。そういう意味では上でも書いた通り、アルバムとしての本質的な部分は前作から変わらないと言ってもいいでしょう。

前作が傑作だっただけに、今回のアルバムは前作に比べると日本のメディアでも比較的取り上げられる機会がグッと増えたように感じます。シンプルで美しいメロディーラインは広い層に支持されそうですし、インディーバンドとはいえ、この手のバンドにありがちなわかりにくさ的なものは皆無。そういう意味でも日本でも今後、さらに支持が広がりそう。前作が気に入った方にはもちろん、今回はじめて彼女たちの名前を知ったという方にも文句なしにお勧めできる傑作です。

評価:★★★★★

Big Thief 過去の作品
U.F.O.F.

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