« ユニークなMVも話題に | トップページ | 日本の辺境の地の音楽 »

2019年12月 7日 (土)

インパクトあるポップなメロが魅力的

Title:Ode To Joy
Musician:Wilco

アメリカのオルタナティブロックバンド、Wilcoの約3年ぶりとなるニューアルバム。ここ最近、メンバーJeff Tweedyのソロアルバムのリリースが続いていたため、バンドのオリジナルアルバムとしてはちょっと久しぶりとなる新作。ユーモラスな不条理漫画がジャケットとなっていた前作から一転、本作はかな~りシンプルなジャケットのアルバムとなっています。

前作「Schmilco」はアルバムの内容としてはフォーキーで非常にシンプルな作風に仕上がっていました。それに続く新作で、かつこれだけシンプルなジャケットの作品。そのためか、今回のアルバムもまずパッと聴いた感じではシンプルな作風に感じられる作品になっています。

まず1曲目「Bright Leaves」は非常に重いドラムのリズムが鳴り響きながらも、サウンド的にはそれに静かなギターが加わるシンプルなサウンド。フォーキーでメロディアスな歌も印象的。ただ微妙にギターの音色が歪んでいるのが彼ららしくユニークに感じます。さらにそれに続く「Before Us」「One and a Half Stars」もアコギを中心としたシンプルでフォーキーな楽曲。ただ、力強いドラムの音やピアノの音なども加わり、楽曲全体としてはアコースティックな感覚ながらも分厚い音作りとなっているのが印象に残ります。

このアコースティックな手触りながらも力強いドラムの音やピアノの音などが加わり分厚い音になっているという点がこのアルバムを通じての最大の特徴。その後も「Quiet Amplifier」「Everyone Hides」「White Wooden Cross」など、同じようにアコギが入ってアコースティックな作風ながらも、様々な音が加わり分厚い音が印象的な作品が続いていきます。なおかつメロディーラインはフォーキーで爽やか、かつポップでメロディアスな点も大きな特徴え、「Everyone Hides」など、軽快なポップで楽しくなってきますし、「We Were Lucky」もしんみりとしたメロディーラインがどこかビートルズ風。さらに「Hold Me Anyway」は軽快で楽しいポップチューンに仕上がっており、飛び跳ねるようなドラムのリズムにはどこかお祭りのような楽しさを感じさせます。

そんな訳でアルバム全体としてはポップなメロディーがインパクトになっている、とても楽しい雰囲気のメロディアスなアルバムに仕上がっていました。前作「Schmilco」に関しては、フォーキーな作風ながらかなり地味といった印象を受けた方も多いかもしれませんが、今回のアルバムに関してはメロディーラインのインパクトも増し、分厚い音作りもあって、いい意味で楽曲に派手さも加わったように感じます。また、「Bright Leaves」や「We Were Lucky」などでは歪んだギターサウンドを絶妙に加えておりサイケな作風も感じられるなど、単純なポップではない、Wilcoらしいスパイスもアルバムからは感じることが出来ます。

今回も彼ららしい非常に良質で、かつメロディーラインにも魅力がつまった傑作アルバムだったと思います。インパクトあるポップなメロディーラインを持った曲も多いだけに広い層が楽しめそうなアルバムでした。いままでも彼らの音楽を聴いてきた方はもちろん、いままでWilcoを聴いたことない、という方にも勧められる1枚です。

評価:★★★★★

WILCO 過去の作品
Wilco(This Album)
THE WHOLE LOVE
Star Wars
Schmilco


ほかに聴いたアルバム

All Mirrors/Angel Olsen

アメリカのシンガーソングライター、エンジェル・エルセン。基本的にはフォーキーな作風ながらもエレクトロサウンドを大胆に取り入れ、ドリーミーな作風が大きな特徴となっている作品に。ジャジーな曲調の作品を聴かせつつ、優しさあふれる彼女の歌声も大きな魅力に。エレクトロな作風で分厚いサウンドに魅力を感じつつ、どこか同時にアコースティックの作品のような暖かさを感じさせる、そんな作品に仕上がっていました。

評価:★★★★★

|

« ユニークなMVも話題に | トップページ | 日本の辺境の地の音楽 »

アルバムレビュー(洋楽)2019年」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




« ユニークなMVも話題に | トップページ | 日本の辺境の地の音楽 »