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2019年11月29日 (金)

どこかで聴いたことある曲がいっぱい

今回紹介するのは、長年作曲家として活躍し、数多くのヒット曲を生み出し、2015年には日本レコード大賞功労賞も受賞している作曲家の小林亜星の作品集。CMソングやアニメソングなどでの活躍も目立つ彼らしく、楽曲のジャンル別に4組にわかれてのリリースとなっています。

Title:小んなうた 亞んなうた ~小林亜星 楽曲全集~ 歌謡曲編

まずこちらは歌謡曲篇。都はるみの「北の宿から」や、「裸の大将」の主題歌としておなじみのダ・カーポ「野に咲く花のように」のような、誰もが知っているようなスタンダードナンバーも収録されています。・・・が、全体として歌謡曲に関しては「ヒット曲」は少な目。おそらく彼の本領が発揮されているのは、その他のCMソングやアニメの主題歌になるのではないでしょうか。

Title:小んなうた 亞んなうた ~小林亜星 楽曲全集~ コマーシャル・ソング編

まずCMソング。全体的にはアラフォーの私にとっても物心つく前の、ちょっと昔のCMソングも多いのですが、日立のCMソングとしておなじみの「この木なんの木」をはじめとして、「積水ハウスの唄」「酒は大関こころいき」「ネオソフト『おいしい顔篇』」など、あの有名なフレーズも彼が作っていたのか…と驚いてしまうようなおなじみのフレーズが並んでいます。このタイトルを見て、頭の中にフレーズが浮かんだとしたら、そう、その曲です。CMソングによっては、セリフを含めてCMをそのまま収録したトラックもあり、貴重な音源にもなっていました。

Title:小んなうた 亞んなうた ~小林亜星 楽曲全集~ こどものうた編

キッズソングをまとめた「こどものうた編」も、収録曲的にはちょっと昔の曲が多く、「ピンポンパン体操」などはリアルタイムで大ヒットしたようですが、アラフォー世代にとっても、なじみないほど昔の曲も少なくありません。ただ、そんな中で、今でも「スタンダードナンバー」的に多くの日本人にとっておなじみなのが、「まんが日本昔ばなし」のエンディングとしておなじみの「にんげんっていいな」と、童謡としてすっかりおなじみの「あわてんぼうのサンタクロース」でしょう。個人的には合唱曲「未知という名の船に乗り」も(確か中学生の頃だったと思うのですが)昔、学校で歌った記憶があり懐かしさを感じるのですが、今の学生も歌っているのでしょうか?

Title:小んなうた 亞んなうた ~小林亜星 楽曲全集~ アニメ・特撮主題歌編

そして彼の本領がもっとも発揮されている分野といえば、「アニメ・特撮主題歌編」。その収録曲が多いだけに2枚組になっています。こちらも1970年代あたりの曲が多く、私よりももっと前の世代になじみのある曲が多いのですが、それでも「ガッチャマンの歌」「花の子ルンルン」「ユカイツーカイ怪物くん」にプロゴルファー猿のオープニング「夢を勝ちとろう」など懐かしい曲が多く収録されています。ちなみに「ひみつのアッコちゃん」「魔法使いサリー」という2大魔女っ娘アニメ(?)の主題歌をどちらも同じ人が書いていたというのははじめて知りました…。

さて、こうやって彼の代表曲を並べて聴くと、彼がもっとも脂ののっていた頃は70年代あたりから80年代にかけてで、私くらいの世代だとむしろ、役者やバラエティー番組への出演でおなじみというイメージが少なくありません。実際、私の彼に対するイメージは「わくわく動物ランド」の回答者だったり、「パッとさいでりあ」のCMに出てくるおじさん…だったりします。もちろん作曲家としての彼も知っていたのですが、あらためてこうやって代表曲を聴くと、今でもスタンダードナンバーとして知られている曲の多さに驚かされます。

特にアニメソングやCMソング、キッズソングなどでそのヒット曲が多いという特徴からもわかるように、彼の最大の魅力は、誰もが一度聴いたら忘れられないようなキラーフレーズを書いてくる点、なのでしょう。わずか15秒でリスナーの心をつかむ必要のあるCMソングや、子どもたちの心をすぐにつかめるようなわかりやすさが求められるキッズソングやアニメソングで彼が引っ張りだこなのは、そういうキラーフレーズを書いてくれる、という要素が多いように感じます。

一方、彼に限らず数多くのヒット曲を抱えるような作曲家は同じような特徴があるのですが、小林亜星としての「色」はほとんどなく、演歌からポップス、童謡から合唱曲、ロックにフォークとあらゆるジャンルの曲を非常に起用に書いています。ただその中でも「どこか洋楽からの影響を感じる」といった、よくよく聴くとどこかそのルーツが垣間見れる部分もある作曲家も少なくない中、彼についてはそんな洋楽などからの影響はほとんど感じません。ある意味、良くも悪くも無味無臭の歌謡曲といった印象を受けてしまいます。

ただ、そんな無味無臭だからこそ多くの人の心に残る、いい意味で癖のない楽曲を書いてくるのでしょう。また、「にんげんっていいな」や「野に咲く花のように」に代表されるような、リスナーをほっとさせるような、暖かさを感じる曲を書いてくるのも彼の大きな魅力のように感じるのですが、それも、癖のないフレーズを書いてくるからこそ、多くの人の心のひだにふれるような楽曲を生み出してくるのでしょう。

全4組、5枚のCDによるフルボリュームの内容でしたが、耳なじみある曲も多かったため、最後まで楽しむことが出来る作品集でした。現在87歳の彼。さすがに以前ほど精力的な活動は行っていないようですが、まだまだお元気なようで、今でも時折、メディア等に出演されているようです。アラフォー世代よりもっと上の世代の方にとっては、さらに懐かしく感じる曲も多いかも。今回紹介した曲に懐かしさを感じるような方は是非チェックしておいてほしい作品集です。

評価:どれも★★★★

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