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2019年11月25日 (月)

比較的コンスタントにリリースされた復帰後3枚目

Title:Beneath The Eyrie
Musician:Pixies

1980年代後半のインディーロックシーンで活躍し、その後の多くのバンドに影響を与えたPixies。2004年にまさかの再結成を果たしたものの、その後はライブを中心に活動を続け、2014年にようやく約23年ぶりとなるニューアルバムをリリースし大きな話題となりました。その後はオリジナルメンバーであるキム・ディールが脱退という残念なニュースがあったものの、新メンバー、パズ・レンチャンティンが加入。その後は比較的コンスタントにアルバムをリリースし、本作も前作「Head Carrier」から約3年のスパンでの新作リリースとなりました。

80年代の頃はいずれも傑作アルバムのオリジナル作を4枚リリースしシーンに衝撃を与えた彼ら。それだけに活動再開後のアルバムにも、良きにしろ悪しきにしろ注目が集まりました。ただそんな中でリリースされた2枚のアルバムは、いずれも往年の彼らを彷彿とさせるような出来で評判は悪くありません。そして今回のアルバムも往年の彼らを彷彿とさせるような楽曲が少なくありません。例えば「On Graveyard Hill」などは微妙に歪んだギターサウンドが実にPixiesらしさを感じますし、ラストを締めくくる「Death Horizon」などもちょっと切ないメロディーに彼ららしさを強く感じます。

ただ今回のアルバムは、Pixiesらしい歪んだノイズギターと、意外とポップでキャッチーなメロという主軸はそのままに、微妙にいままでのスタイルと変えてきた作風の曲も目立ちました。例えば1曲目を飾る「In the Arms of Mrs.Mark of Cain」などはちょっとダークな雰囲気とグルーヴィーなギターはいままでの彼らとはちょっと異なる雰囲気を感じさせます。「Silver Bullet」もムーディーな雰囲気に、いままでの作風よりも「大人」な匂いを覚えますし、「St.Nazaire」もいつもよりしゃがれ声を前に持ってきて、いつも以上にヘヴィーな作風に仕上げています。

いままでのPixesらしさをきちんと残しつつ、一方では少しずつ軸足をずらした新たなスタイルに挑戦した復帰後3枚目。こう書くと、かなり理想的なスタンスでの作風のように感じますし、実際、この方向性自体は大正解に感じます。感じる…んですが…。正直、いままでの復帰後のPixiesのアルバムもいまひとつピンと来ていなかったのですが、残念ながら今回のアルバムも「悪くはないんだけど…」という印象にとどまってしまいました。

出来としては決して悪くないし、往年の彼らを彷彿とさせる部分も少なくなく、素直に楽しめた、と言えないわけではありません。ただ、やはり全体的には無難にまとまっていた感は否めませんし、どこか小さくまとまってしまった感も否めません。80年代のアルバムと比べると、どうしても物足りなさが残ってしまうのも事実で。個人的にPixiesが好きだからこそ、高いハードルを設けすぎといわれると否定は出来ないのですが…。

とはいえ、凡百のギターロックバンドと比べると、間違いなくすぐれたアルバムであるのは事実。そういう意味ではギターロック好きには素直におすすめできる作品だと思います。個人的にはやはり今後のPixiesにも期待してしまうのですが…あと一歩、さらなる傑作を次は期待したいのですが…。

評価:★★★★

PIXIES 過去の作品
EP1
EP2

Indy Cindy
Doolittle25
Head Carrier

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