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2019年10月 6日 (日)

奇跡の復活ライブ

TOUR「NUMBER GIRL」

会場 名古屋ダイアモンドホール 日時 2019年9月27日(金)19:00~

1995年に福岡市博多区にて結成。1999年にシングル「透明少女」でメジャーデビュー後、瞬く間に絶大な支持を集めたNUMBER GIRL。結果としてメジャーデビュー後わずか3年の活動の後に解散したものの、いまだに多くのロックバンドへ影響を与え、今や「伝説のバンド」の感も強くなった彼らですが、なんと解散から15年を経て今年、奇跡の再結成。チケットはかなりの争奪戦となったようですが、無事チケットを確保。NUMBER GIRLの復活第1弾ライブに足を運んできました。

Numbergirllive

個人的にNUMBER GIRLはかなり思い入れの深いバンドで、デビュー直後に当サイトに遊びに来てくださっている方から薦められてライブを見に行き、その後もコンスタントに足を運び、何度もそのライブを見てきました。今回のライブは、東京でのラストライブとなった2002年のZepp Tokyoでのライブ以来、約17年ぶり(!)となるステージ。ほぼ定刻通りの19時に、Televisonの「Marquee Moon」にのってメンバーが登場しましたが、この4人が再び同じステージに立つなんて・・・と感慨深いものがありました。

大歓声の中スタートした1曲目は「鉄風 鋭くなって」からスタート。その音が奏でられた瞬間から「あぁ、ナンバガの音だ・・・」と唯一無二のサウンドに感動し、懐かしさも感じると共に、17年ぶりにも関わらずバンドとして一体感のある迫力ある演奏に驚きもしました。さらにアヒト・イナザワの「1、2」という掛け声にうれしさを感じつつ2曲目は「タッチ」。これも個人的にかなり聴きたかったナンバーなだけにはじまった瞬間、思わず歓声を上げてしまいました。

さらに「ZEGEN VS UNDERCOVER」に「IGGY POP FUNCLUB」とライブの定番曲が続きます。そしてここでようやく向井秀徳のMC。「ナゴヤシティー!」という掛け声が第一声。そしておなじみの「福岡市博多区からやってきましたNUMBER GIRLです」という自己紹介に胸が熱くなりつつ「裸足の季節」へ。その後は曲の前に曲のタイトルにちなんだ向井秀徳の口上が入り、これまた彼らの代表曲「透明少女」へ。さらに「そんなあの子は17歳」というおなじみの口上から「YOUNG GIRL SEVENTEEN SEXUALLY KNOWING」と続きます。さらに「今日の良き日に…」という口上からスタートしたのは「NUM-AMI-DABUTZ」!以前と何ら変わりのないエッジの効いた演奏にテンションも上がっていきます。

その後も「SENTIMENTAL GIRL'S VIOLENT JOKE」「DESTRUCTION BABY」さらには向井秀徳の「漫画の歌」という簡単な紹介からスタートした「MANGA SICK」、「SASU-YOU」と続いていきます。さらに「U-REI」では以前のライブバージョンに比べるとかなり激しいギターノイズを前に押し出したサウンドに。「TATOOあり」の出だしの歌も、以前に比べるとかなり哀愁感の増した向井秀徳の歌を聴かせてくれます。

ここでまさかの「水色革命」。以前のライブでもあまり聴いた記憶はなく、再初期のナンバーなだけに他の曲と比べて爽やかでポップな作風のナンバーがここで演奏されるのはかなり意外な印象が。さらに「もはや日常か非日常かわからなくなった私に捧げます」という口上に軽い笑いも起きつつ「日常に生きる少女」へと続いていきます。

そして、「ナゴヤシティー!また来ます」という短いMCから「福岡市博多区からやってまいりましたNUMBER GIRLです。ドラムス、アヒト・イナザワ」というおなじみの口上からアヒトのドラム、そしてそして、待ってました!「omoide in my head」へ!これにはテンションが上がりまくり。この曲は以前のライブでは最後の曲としておなじみだっただけに、これでラストか?と思いきや、最後にもう1曲「I don't know」でシャウト、そしてすさまじい轟音を聴かせつつ、本編は幕を閉じます。

以前から必ずしもアンコールのあるバンドではなかっただけに、どうなるのかなぁ、と思っていたのですが会場は明るくならず、やがてメンバー4人が再登場。これまた意外性ある選曲だった「大あたりの季節」から、なぜかこの日2回目の「水色革命」へ。なぜ2回目?1回目の出来に納得がいかなかったのかなぁ・・・とちょっと訝しく感じてしまいました。ただ演奏は2回とも素晴らしいと思ったのですが・・・。

最後は「TRAMPOLINE GIRL」から、再び「福岡市博多区からやってまいりましたNUMBER GIRLです。ドラムス、アヒト・イナザワ」からラストとしては定番中の定番の「omoide in my head」をこの日2回目。こちらもかなり意外だったのですが、こちらは他のライブでも2回演ったようで、素直にファンサービスでしょうか?もちろん会場のテンションは最高潮のまま終了。最後は簡単なメンバー紹介から「また会いましょう」といううれしい一言があった上で、これまたおなじみの「乾杯」の、実に向井秀徳らしい締めセリフで終了しました。

そんな訳で全編2時間弱。おなじみのナンバーの連続で、17年前に戻ったのかのような胸の熱くなってくるステージでした。特にステージ上の演奏はいい意味で昔と変わっていないテンションと切れの鋭さ、そして迫力を感じさせ、久しぶりというのが信じられないくらいの素晴らしいステージを見せてくれました。

ただ一方では以前から変化を感じるような部分も少なくなく、特に向井秀徳のボーカル。「IGGY POP FAN CLUB」や「TATOOあり」では感情のこもった歌声が強い印象に残ります。ただただシャウトするだけだった以前と比べるとボーカリストとしての深みを感じさせるステージで、以前よりも彼の歌声に強いインパクトを感じます。それだけ彼が年齢と経験を重ねて味が出てきたということでしょうか。この彼のボーカリストとしての「進化」が大きく印象に残りました。

さらに強い印象に残った曲が「日常に生きる少女」。こちらはイントロと途中にこれでもかというほどのギターノイズを展開する迫力ある轟音を披露。かと思えば向井秀徳の歌を前面に押し出したような部分もあったりと、緩急つけたバンドサウンドも印象的。以前と比べるといい意味での複雑さが増したナンバーへの進化を遂げていました。ほかにも「YOUNG GIRL SEVENTEEN SEXUALLY KNOWING」が以前に比べるとちょっとゆっくり目の演奏となり17歳の少女の感情をより伝えようとする演奏になっていたりと、以前と比べるとより味わい深さを感じさせるステージになっていたように感じます。

また、ステージ全体としては最初から最後までテンションがはりつめたようなステージでした。観客からの呼びかけにも基本的に応じることもなく、メンバー間のやり取りもなし。MCも基本的にお決まりの口上だけ。おそらく昔からのファンによる「お互い歳を取ったな!」という掛け声にも向井秀徳本人は応じることなく、中尾憲太郎がちょっと苦笑いをした程度(笑)。ただ、逆にこの日のステージ全体が彼らにとって練りこんで作り込まれた一種の芸術作品の完成品にすら感じてしまいました。さらにある種の馴れ合いを排じたステージだけに最初から最後まで一切テンションが切れることのなく、バンドとしての一体感を強く感じさせるステージになっていたように思います。

そんな訳で17年のブランクを一切感じさせない…どころか、ここに来てバンドとしての進化すら感じさせるようなステージになっていました。個人的な思い入れもあって、非常に懐かしさに胸が熱くなってくるライブだったのですが、そんな感情を抜きとしてもすさまじいステージだったと思います。これはまたナンバガのライブに何度も足を運ばないといけないですね!今後は再びコンスタントに活動を続けて行くのでしょうか?若干、このテンションを今後も維持していくのは大変そうだなぁ、と感じる部分もあるのですが、これからの彼らの活動に期待したいところです。いや、すさまじいステージでした。

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