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2019年10月26日 (土)

ピアノを主体とした優しい歌が目立つ

Title:Tabula Rasa
Musician:People In The Box

高い音楽性を感じさせつつも、なかなかブレイクに至らないバンドPeople In The Box。今回のアルバム、CDはライブ会場限定でのリリース。ただし、各種配信サイトで聴くことが出来るため、サブスクリプションなどでも楽しむことが出来ます。ちなみにタイトルの「Tabula Rasa」とはラテン語で「白紙状態」のこと。彼らにとって新たな一歩を意味するかのようなアルバムタイトルですが、ライブ会場限定というCDリリース形態といい、ひょっとしたらメジャー契約が切れたのか??

そんな推測はとりあえずは置いておいて、今回のアルバム、大きな特徴としては全編にピアノによる美しい調べが流れてくる優しい曲調という点があげられます。まず1曲目「装置」はゆっくりとしたピアノの音色をバックに優しい歌声をゆっくり聴かせる歌モノ。途中から入ってくるバンドサウンドが分厚く曲を埋め尽くすサウンドに快感も覚えます。続く「いきている」もピアノを主体としてメロディーを美しく聴かせてくれる楽曲になっています。

その後も「2121」などピアノやアコギを中心として優しく歌を聴かせるになっていますし、「懐胎した犬のブルース」も分厚いバンドサウンドも流れますが、美しいピアノの調べとメロディーラインが心をうつナンバーになっています。ラストを締めくくる「まなざし」も、ピアノの音こそ入りませんが、爽やかなアコギの音色で軽快に歌われる、ちょっと切ないメロも印象に残る楽曲。全体的にピアノやアコギといったアコースティックなサウンドに美しい歌を中心とした構成の、優しい雰囲気のアルバムに仕上がっていました。

もっとも、そんな中でも中盤、「風景を一瞬で変える方法」はノイジーでダイナミックなプログレ風のバンドサウンドと歪んだメロディーラインを聴かせる楽曲になっていましたし、「忘れる音楽」もピアノの音色を聴かせるナンバーながらも途中からリズムパターンが変わるなど複雑なナンバーに。また「ミネルヴァ」など疾走感あるギターサウンドを聴かせるロックチューンも聴かせてくれます。

People In The Boxらしい複雑な音楽性を間に聴かせつつ、ピアノを主体に優しく聴かせるポップチューンにしても、どこか癖のあるサウンドやメロディーが特徴的。全体的にはいままでの彼らのアルバムの中ではバリエーションは少な目だったのですが、そんな中でもPeople In The Boxの魅力をしっかりと感じられるアルバムになっていました。比較的シンプルな楽曲が多かっただけに、そういう意味で、素のPeople In The Boxをより表に出したという意味でも今回のアルバムのタイトルを「白紙状態」という意味のTabula Rasaにしたのでしょうか?もちろん今回のアルバムもまた、文句なしの傑作。もうちょっと注目を集めてもいいバンドだと思うんだけどなぁ・・・。これからの活躍も楽しみです。

評価:★★★★★

People In The Box 過去の作品
Ghost Apple
Family Record
Citizen Soul
Ave Materia
Weather Report
Talky Organs
Things Discovered
Kodomo Rengou


ほかに聴いたアルバム

WATCH YOUR BLINDSIDE 2/The Birthday

ギターにフジイケンジが加入した後のシングルのカップリング曲を集めたThe BirthdayのB面集。フジイケンジはよりエッジの効いたギターの音を前に押し出してくるのが特徴的でしたが、このB面集でのフジイケンジのギターが前に押し出されたエッジの効いたガレージロックを聴かせてくれます。特に「泥棒サンタ天国」などは歌詞の意味よりも語感重視のユニークな歌詞がいかにもガレージロック然としたナンバーとなっており、強いインパクトを受ける楽曲に。その他もB面集らしい個性的な曲も多く、最後まで飽きることなく一気に楽しめる内容に仕上がっていました。

評価:★★★★★

The Birthday 過去の作品
TEAR DROP
MOTEL RADIO SiXTY SiX
NIGHT ON FOOL
WATCH YOUR BLINDSIDE
I'M JUST A DOG
VISION
GOLD TRASH
BLOOD AND LOVE CIRCUS

NOMAD
LIVE AT XXXX
VIVIAN KILLERS

天気の子/RADWIMPS

RADWIMPSが音楽面で全面的に参加。映画も大ヒットを記録した新海誠監督によるアニメ映画「君の名は。」。その新海誠監督作品の最新作、映画「天気の子」には再びRADWIMPSが音楽で参加し、本作はその映画のサントラ盤となります。残念ながら主題歌「愛にできることはまだあるかい」は「君の名は。」の主題歌「前前前世」ほどの大ヒットとはいきませんでしたが、映画のヒットに伴い、このサントラ盤は再び、好セールスを記録しています。

ただ基本的には「君の名は。」のサントラ盤同様、短いワンフレーズの映画の劇伴曲を並べた作品なので映画を見ていないとあまり楽しめないかも。今回も「愛にできることはまだあるかい」をはじめ「グランドエスケープ」「風たちの声」「祝祭」「大丈夫」と5曲も主題歌に起用されているのですが、RADWIMPSとしては薄味な印象で、インパクトも弱め。「君の名は。」でも感じたのですが、映画のファンじゃなければ、次のオリジナルアルバムを待った方が無難かも。

評価:★★★

RADWIMPS 過去の作品
アルトコロニーの定理
絶対絶命
×と○と罰と
ME SO SHE LOOSE(味噌汁's)
君の名は。
人間開花
Human Bloom Tour 2017
ANTI ANTI GENERATION

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