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2019年10月

2019年10月31日 (木)

人気パンクバンドが1位獲得

今週のHot Albums

http://www.billboard-japan.com/chart_insight/

今週は人気のパンクバンドが見事、1位を獲得しました。

今週1位はWANIMAのメジャー2枚目となるアルバム「COMINATCHA!!」が獲得。読みにくいアルバムタイトルですが「カミナッチャ」と読むそうです。CD販売数及びダウンロード数共に1位獲得。PCによるCD読取数は2位で、総合順位も1位。これで前作「Everybody!」に続く1位獲得となります。オリコン週間アルバムチャートでも初動売上7万2千枚で1位獲得。ただし、初動売上は前作「Everybody!」の12万6千枚(1位)から大幅にダウンしてしまっています。

2位はOfficial髭男dism「Traveler」が先週の4位から2ランクアップ。2週ぶりのベスト3返り咲きとなりました。CD販売数及びダウンロード数は2位、PCによるCD読取数1位と堂々たる結果となり、その人気のほどを見せつけました。Hot100同様、Hot Albumsでもロングヒットとなるのでしょうか。ちなみにオリコンでも今週1万8千枚を売り上げて2位を獲得しています。

3位には槇原敬之「The Best of Listen To The Music」がランクイン。これまで「Listen To The Music」「Listen To The Music 2」「Listen To The Music 3」という3枚のカバーアルバムをリリースしてきた彼ですが、今回はその3枚のアルバムから選曲したカバーアルバム。加えて、新カバーとしてフジファブリックの「若者のすべて」、YUKIの「聞き間違い」が収録されています。CD販売数3位、ダウンロード数7位、PCによるCD読取数38位で総合3位。オリコンでは初動売上1万5千枚で4位初登場。前作「Design&Reason」の1万枚(10位)よりアップ。正直、オリジナルより初動が上回るとは…複雑な心境です…。

続いて4位以下の初登場盤です。まず6位に演歌歌手、氷川きよし「新・演歌名曲コレクション10-龍翔鳳舞-」がランクイン。CD販売数5位でそのほかはランク圏外というのが、おそらくネットから縁遠い方がファン層のメインである氷川きよしらしいランク傾向に。昭和歌謡曲のカバーと自身のオリジナル曲を収録した「新・演歌名曲コレクション」シリーズの第10弾。オリコンでは初動売上1万6千枚で3位初登場。前作「新・演歌名曲コレクション9-大丈夫/最上の船頭-」の1万7千枚(5位)から微減。

今週、初登場はあと1枚。10位に木梨憲武「木梨ファンク~NORI NORI NO-RI~」がランクイン。ご存じお笑いコンビとんねるずの木梨憲武による4曲入りのEP。B'zの松本孝弘や藤井フミヤなど豪華なゲストが参加した作品となっています。とんねるずといえば、いままで「とんんねるず」名義での「情けねえ」などのヒット曲や、その後の野猿、矢島美容室などといった音楽面での活躍も目立っており、木梨憲武オンリーでも「憲三郎&ジョージ山本」なんて活動もありましたが、意外なことにソロとしては初となるEP。とんねるずといえば、最近、ゴールデンのレギュラー番組がなくなり、「落ち目的」な報道も目立ちます。確かに90年代のとんねるず全盛期に比べると、その人気は見る影もありませんが、ただそれでも配信オンリーながらもダウンロード数で見事4位を獲得。総合順位でもベスト10に入ってくるあたり、まだまだ根強いとんねるず(というか木梨憲武人気?)を感じる結果となりました。

ちなみにロングヒット勢としては嵐のベストアルバム「5×20 All the BEST!! 1999-2009」は10位から13位へダウン。ベスト10返り咲きは1週で終わりました。

今週のHot Albumsは以上。チャート評はまた来週の水曜日に!

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2019年10月30日 (水)

今週はジャニ系が1位

今週のHot100

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まず今週1位はジャニーズ系が獲得。

今週1位にはSexy Zone「麒麟の子」が先週の32位からCDリリースにあわせてランクアップ。CD販売数、PCによるCD読取数、Twitterつぶやき数で1位、ラジオオンエア数85位で総合順位では見事1位獲得です。本作はSexy Zoneの佐藤勝利、King&Princeの高橋海人主演のドラマ「ブラック校則」の主題歌なのですが、このドラマ、日テレの深夜ドラマとして放送された後、日テレ系の配信サイト、Huluで別ストーリーを配信。さらには11月には映画公開を予定しており、お金を無尽蔵に使ってくれるアイドルのファンの財布をターゲットに、これでもかというほど「課金」してくるシステムになっています。以前も同じようなことをやろうとしてバッシングを受けたはずなんでしょうが、結局なんだかんだいってもアイドルファンはお金を使ってくれるんで、バッシングなんでどーでもいいんでしょうね。もっとも、課金させて一応は「別のストーリー」を提供するわけだから、同じCDを何枚も買わせようとする音楽業界よりよっぽど良心的なのですが…。ちなみにオリコン週間シングルランキングでは初動売上15万9千枚で1位初登場。前作「カラクリだらけのテンダネス」の16万5千枚(1位)よりダウンしています。

そんな訳でジャニーズ系が1位を獲得した今週のチャートですが、もちろんヒゲダン旋風が止まった訳ではありません。1位から1週で陥落したとはいえ、Official髭男dism「Pretender」は今週2位にランクイン。もちろんストリーミング数は1位をキープしており、You Tube再生回数は今週も1位。ダウンロード数4位、カラオケ歌唱回数2位、Twitterつぶやき数9位とまだまだ上位をキープしています。また先週2位の「イエスタデイ」は2ランクダウンながらも4位をキープ。また「宿命」もワンランクダウンながらも5位をキープ。今週も3曲同時のランクインに。ちなみにストリーミング数は今週も2位「イエスタデイ」、3位「宿命」となっており、ベスト3独占が続いています。

そして3位には「Lemon」に続くロングヒット曲となってきた米津玄師「馬と鹿」が先週と変わらず3位をキープ。ダウンロード数1位、PCによるCD読取数2位、You Tube再生回数3位と上位にランクインしており、まだまだこの勢いは続きそうです。

続いて4位以下の初登場曲。まず4位にBALLISTIK BOYZ from EXILE TRIBE「44RAIDERS」がランクイン。ミュージシャン名どおり、EXILEの弟分的な男性ダンスグループ。5月にアルバムをリリースし、Hot Albumsでも1位を獲得しましたが、本作が初となるシングル。ある意味、EXILE系らしいオラオラ系の入ったHIP HOP風のナンバー。CD販売数で2位、Twitterつぶやき数では3位にランクインしましたが、他はPCによるCD読取数31位にランクインしただけでその他のランキングでは圏外となり、総合順位ではこの位置に。一部の固定ファン以外への知名度はまだまだ低いようです。オリコンでは初動売上5万枚で2位初登場。

9位には狼の頭に人間の身体というスタイルもすっかり知名度を得てきたロックバンドMAN WITH A MISSION「Dark Crow」が初登場。NHKアニメ「ヴィンランド・サガ」オープニングテーマ。CD販売数4位、ラジオオンエア数及びPCによるCD読取数7位にランクインしましたが、ダウンロード数20位、Twitterつぶやき数42位に留まり、総合順位もこの位置に。オリコンでは初動売上2万2千枚で3位初登場。前作「Remember Me」の3万2千枚(6位)からダウンしています。

今週の初登場組は以上。一方、ロングヒット組はまずKing Gnu「白日」が先週の8位からなんと6位にランクアップ。ダウンロード数が9位から5位、You Tube再生回数も10位から7位にランクアップ。ここに来て人気が再燃しています。ただし、先週までベスト10入りしていた「傘」は今週17位にランクダウン。ベスト10入りは2週で終わりました。

またあいみょん「マリーゴールド」は7位から8位にダウン。ストリーミング数は5位から6位、You Tube再生回数は4位から5位と少しずつダウン。まだまだ根強い人気は感じるのですが、徐々に順位を落としてきています。一方「空の青さを知る人よ」は先週の9位から10位にダウン。こちらは意外な粘り腰を見せています。さすがに来週以降のベスト10入りは厳しそうですが…。

そんな訳で今週のHot100は以上。明日はHot Albums!

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2019年10月29日 (火)

OGRE流ディスコサウンド??

Title:新しい人
Musician:OGRE YOU ASSHOLE

アルバムを出す毎に傑作をリリース。リスナーに驚きを与え続けてきたOGRE YOU ASSHOLE。2014年にリリースした前々作「ペーパークラフト」はある意味、彼らの目指す音楽がひとつ行き着いた感のある傑作アルバムに仕上がっており、次の一歩がいろいろな意味で注目されました。その結果リリースされた前作「ハンドルを放つ前に」は、「ペーパークラフト」の方向性を保持しつつ、セルフプロデュース作となりOGREの新たな一歩を象徴するような傑作に仕上がっていました。

今回のアルバムも極限までシンプルに落としまくった音の世界をゆっくり聴かせ、独特のサイケデリックな雰囲気を醸し出している点、以前のアルバムから引き続く彼らの音楽的な方向性を感じることが出来ます。まさにアルバム1曲目でタイトルチューンになっている「新しい人」などは典型例。シンプルながらもダウナーなサウンド、その向こうで静かになっているノイジーなギター。音的には最小限だからこそ、どこか不思議なサイケな世界観を構築しています。

中盤の「ありがとう」などもまさにシンプルなサウンドながらも独特なサイケ感を作り出している楽曲。ゆっくり進んでいくテンポの乗る、非常にダウナーで淡々としたメロディーもその世界観に間違いなく一役買っています。「自分ですか?」もダウナーなメロディーと亀の歩みのようにゆっくりと進んでいくリズムが、不思議な浮遊感を醸し出しています。

彼らの書くメロディーラインについても一種独特。シンプルながらもダウナー。決してフックが効いているわけではないですし、わかりやすいメロディーラインがないにも関わらず、ついつい聴いてしまう中毒性があります。今回のアルバムでも、この中毒性あるメロディーで歌われる歌とサウンドが一体となってアルバム全体の世界観を構築していました。

ただ、ここまでの話はいままでのアルバムにも共通するOGREの魅力。今回のアルバムの大きな魅力はOGRE流ディスコサウンドとも言うべきエレクトロのリズムを取り入れた曲でしょう。それが「さわれないのに」。ミディアムテンポのエレクトロビートが淡々と続いていく楽曲。そんなエレクトロサウンドの背後に流れるスペーシーなサウンドも実に魅力的。聴いているうちに軽くトリップ感を覚えるようなグルーヴを感じさせる楽曲になっています。

さらに続く「過去と未来だけ」も淡々と続いていくリズムに知らず知らずに惹かれる楽曲。リズムよりもダウナーなサウンドとメロが前に押し出されるいるものの、気が付くとバックに流れるリズムのグルーヴ感に身体が揺れている曲に仕上がっています。ある意味、OGRE流のダンスポップと言える…かもしれません。また「わかってないことがない」も同じように四つ打ちで淡々と繰り広げられるリズムが、一種独特のグルーヴ感を生み出しています。

今回はこのOGRE流ディスコともいうべき四つ打ちの淡々としたビートを取り入れた曲が目立っているのですが、四つ打ちのリズムが生み出す無機質感がOGREのサウンドともピッタリとマッチ。また聴いていて妙に癖のあるグルーヴ感も生み出しており、このアルバムの最大の魅力となっていました。間違いなく今回のアルバムで彼らが新たに手に入れた、OGRE YOU ASSHOLEの新たな方向性と言えるでしょう。

正直、彼らの最高傑作「ペーパークラフト」を超えたかと言われると微妙なのですが、ただ本作も間違いなく今年のベスト盤候補と言えるだけの傑作アルバムだったと思います。これだけの傑作アルバムをリリースし続けるというの本当に驚くべき話。本当にとんでもないバンドになってきました。これからも彼らの活動からは目が離せません。

評価:★★★★★

OGRE YOU ASSHOLE 過去の作品
しらないあいずしらせる子
フォグランプ
浮かれている人
homely
100年後
confidential
ペーパークラフト
WORKSHOP
ハンドルを放つ前に


ほかに聴いたアルバム

おはこ/柴田淳

柴田淳が、昭和歌謡曲を歌ったカバーアルバム。2012年に同じくカバーアルバム「COVER 70's」をリリースしており、その第2弾的なアルバムになります。かすれた感じで薄幸な雰囲気を醸し出す彼女のボーカルは昭和歌謡曲にピッタリとマッチしており、前作「COVER 70's」は非常に魅力的なカバーアルバムに仕上がっていたのですが、本作に関してはかなり残念な出来に。フォーク、ニューミュージック寄りの選曲だった前作に比べると、演歌、ムード歌謡寄りに寄った選曲をほぼ原曲準拠のアレンジで歌った結果、非常にチープなアレンジをバックにして歌われるカバーは、まるで場末のスナックで歌われるカラオケのよう(苦笑)。肝心の歌に関しても、無難にこなしている感も強く、原曲に何ら解釈も加えておらず、いささか退屈なカバーになってしまっていました。アレンジにしろ歌い方にしろもうちょっと彼女らしさを加えればおもしろくなったとは思うのですが…。前作の出来がよかっただけに残念に感じたカバーアルバムでした。

評価:★★★

柴田淳 過去の作品
親愛なる君へ
ゴーストライター
僕たちの未来
COVER 70's
あなたと見た夢 君のいない朝
Billborda Live 2013
The Early Days Selection
バビルサの牙
All Time Request BEST~しばづくし~
私は幸せ
プライニクル

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2019年10月28日 (月)

少しずつスタイルを変えた25年の歩み

Title:ALL TIME BEST 1994-2019
Musician:HUSKING BEE

今年、デビュー25周年を迎えるロックバンドHUSKING BEE。1994年の結成後、90年代後半にはその当時のメロコアブームに乗ってブレイクを果たします。ただしその後、音楽性を徐々に変えつつ、2005年に解散。しかし、2012年に再結成を果たし、その後はコンスタントに活動を続け、ついに今年、デビューから25年をいう歳月を迎えました。

本作はそんな彼らの25年間を統括するようなオールタイムベスト。HUSKING BEEといえば基本的に分厚いギターサウンドを軸としたロックにメロディアスなメロディーラインという方向性は保ちつつ、楽曲的にはその時期によって徐々に変化を見せているバンドです。90年代後半のブレイク時はメロコア路線だったのに対して、その後徐々にメロコア的な雰囲気を残しつつもパワーポップやさらにポップ色の強い作品を多くリリースするようになりました。

そんな彼らのベストアルバムだから、その経歴を辿るような曲順…かと思えば、今回の作品、リリース順ではありません。それでは全体の曲の流れがわかるように考えて構成されているのか、と曲順をよくよく見ると…なんとABC順(笑)。収録曲はおそらくメンバーたちが選んだのでしょうが、その選曲は恣意的な要素を一切排除した並び順となっています。確かにHUSKING BEEは時代によって曲の雰囲気を徐々に変化させてきたのですが、そのコアな部分は変わらないので、どんな並び順にしようと、曲の魅力は失せるものではない、そんな彼らの主張を感じるようです。

確かに今回のアルバム、いろいろなタイプの彼らの曲が収録されており、その時代時代のHUSKING BEEの曲調を知れるという意味ではとても興味深いものを感じました。ハードなギターロックを軸としつつ、例えば2005年の解散直前にリリースされた「魔訶不思議テーゼ」は日本語詞でかなりポップで軽快なギターロックになっていますし、再結成後にリリースした「Spitfire」は疾走感あるノイジーなギターサウンドが特徴的な、ガレージテイストも感じられる楽曲に仕上がっています。

今回は彼らがメジャーデビューする前の、PIZZA OF DEATH RECORDS時代の曲も収録されているのですが、この時代の曲が今の彼らのイメージよりもパンクの影響が強くてちょっとビックリ。「BEAT IT」「OWN COURSE」が本作には収録されているのですが、今の歌い方と比べると、しゃがれた声を前に押し出して、よりへヴィーで駈け足的なギターサウンドを前に押し出したような楽曲に。後の彼ららしいポップなメロは健在なのですが、彼らのスタートラインはまずパンクロックだったのか、ということをあらためて認識しました。

ちょっと意外だったのはHUSKING BEEといえば前述の通り、メロコアブームの流れに乗ってブレイクしたのですが、その最中にリリースされた「PUT ON FRESH PAINT」からの曲は「SING TO ME」の1曲だけ。確かに今聴くと、いかにも「メロコア」といった感じの曲になっています。あまりにもブームに乗ったアルバムだっただけに、今となっては少々納得がいなかい部分もあったということでしょうか。

ただそんな時代によってそのスタイルを徐々に変えてきた彼らですが、今回のベストアルバムを通して聴いても、アルバム全体の流れとして違和感のようなものはほとんどありません。少しずつスタイルを変えてきても、「キュート」という形容詞さえ似合いそうなポップな曲調と、ギターを軸として分厚いバンドサウンドを聴かせる楽曲の構成は時代を経ても変化がないからではないでしょうか。そのためABC順というかなり力技のような曲順となっていても、曲の切り替わりにも違和感は全くありません。今回CD評を書くにあたってあらためて曲順を見て、はじめてABC順ということに気が付いたくらいですから…。

デビューから25年、すっかりベテランの域に入った彼ら。再結成からも早くも7年が経過しました。これからもHUSKING BEEらしさはそのままに、そのスタイルは少しずつ変化していきそう。これからの彼らの活躍にも期待です。

評価:★★★★★

HUSKING BEE 過去の作品
Suolo
Stay In Touch
Lacrima


ほかに聴いたアルバム

Grape/Base Ball Bear

Base Ball Bearの新譜は4曲入りのミニアルバム。配信でリリースされる一方、CD媒体はライブ会場などでのリリースオンリーということ。先日紹介したPeople In The Boxのアルバムも同じような形態でのリリースでしたが、この販売形態は今後のひとつの流れとなっていくのでしょうか?内容的には切ないメロを聴かせるギターロックというスタイルは基本的にBase Ball Bearらしいといった感じ。4曲のどれもそのような彼らの王道を行くような路線で目新しさは感じられませんでしたが、バンドとしての安定感も覚える出来栄えに。ジャケットタイトル的には1月にリリースされたミニアルバム「ポラリス」と対になるような形になっており、前作の続編といった感じでしょうか。EPが2作続けてリリースされ、次はちょっと久々となるオリジナルアルバムのリリースか?そちらも楽しみです。

評価:★★★★

Base Ball Bear 過去の作品
十七歳
完全版「バンドBについて」
(WHAT IS THE)LOVE&POP?
1235
CYPRESS GIRLS
DETECTIVE BOYS

新呼吸
初恋
バンドBのベスト
THE CUT
二十九歳
C2
増補改訂完全版「バンドBのベスト」
光源
ポラリス

完全が無い/Ivy to Fraudulent Game

フルアルバムとしては約1年10ヶ月ぶりとなる新作。シューゲイザーからの影響からが顕著だった前作「回転する」に比べると、良くも悪くもJ-POPらしい、ちょっとベタさを感じられる哀愁感も感じられるポップなメロが前に出て、良くありがちなギターロックになってしまった感も。ただ、ノイズで埋め尽くされた「真理の火」やエレクトロサウンドとノイズギターで実験的な作風の「Only Our Oath」など、一味違う彼らの方向性も感じられることが出来ます。以前から同様、ヴィジュアル系っぽいちょっと鼻にかかったような歌い方は相変わらず。個人的にはもうちょっとシューゲイザー系かサイケ寄りに寄った方がおもしろいと思うんですが・・・。

評価:★★★★

Ivy to Fraudulent Game 過去の作品
継ぐ
回転する

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2019年10月27日 (日)

明るいポップチューンが魅力的なSSW

Title:ソラべスト2
Musician:イズミカワソラ

個人的にデビュー時から注目している女性シンガーソングライター、イズミカワソラ。彼女のことをはじめて知ったのは、1998年にリリースされた2枚目のシングル「ヤッホー!」でした。底抜けに明るいポップチューンにフックの利いたメロディーラインが一度聴くと耳から離れられなくなるようなナンバー。一気に気になるミュージシャンとなり、その後もコンスタントにチェックしていった…のですが、残念ながらブレイクとはならずメジャーシーンからも離れていってしまい、正直、ここ最近の音源についてはなかなかチェックできない状況となってしまっていました。

そんな中、本作にも注目された「絵の具」が今を時めく人気のロックバンドUNISON SQUARE GARDENのライブSEに使用され注目を集め、昨年にはまさかのトリビュートアルバムもリリース。ここに来て彼女の名前を聞く機会がグッと増えてきました。そして今回リリースされたのが2006年にリリースされた「ソラベスト」以来、約13年ぶりとなるベスト盤「ソラベスト2」。ただ、その間にリリースされたアルバム音源は残念ながらほとんどチェックできなかったため、私にとっては久々に聴いたオリジナルアルバム、といった感じで聴くことが出来ました。

そんな訳で久しぶりに聴いた彼女のアルバム。しかしアルバムを聴きはじめて久々の彼女の曲だったのですが、すぐに彼女のご機嫌な楽曲の連続に一気にはまってしまいました。まず1曲目「Plastic City」はブギウギ風なピアノが軽快なポップチューン。心がウキウキするような明るいメロディーラインは相変わらず。非常に魅力的な楽曲が耳に飛び込んできます。続く「メインステージ」も同様に明るいピアノが軽快なポップ。こちらもリズミカルなサウンドの明るいメロディーラインに気持ちはどんどんと楽しくなってきます。

さらに続く「Fly」もピアノが軽快なナンバーなのですが、タイトル通り、空へ飛んでいきそうな伸びやかなメロディーラインが大きな魅力のポップチューン。ストリングスも入ってスケール感も覚えるナンバーに。その後も「リピートブライトデイ」では軽快なピアノにバンドサウンドが加わった分厚いサウンドも心地よい明るいメロのポップチューン。前向きな歌詞もご機嫌で楽しい雰囲気を醸し出しています。さらに後半の「願い」もミディアムチューンのナンバーなのですが、ホーンセッションも入り祝祭色を感じさせる楽曲に仕上がっています。

ただ、彼女は単純にハッピーで明るい曲を書いているだけのシンガーソングライターではありません。例えば「碧」などはピアノがさわやかながらも切なさを感じるメロディーと歌詞も魅力的なナンバー。「黄昏ゆく」もミディアムチューンの聴かせる楽曲ながらも、しっかりとフックの利いたメロディーを聴かせてくれています。ラストを締めくくる話題の「絵の具」もシンプルなサウンドでゆっくりと聴かせる曲ながらもメロがしっかりと耳に残る楽曲。暖かいメロディーラインにやさしい気持ちになりながらアルバムは幕を下ろします。

もちろん彼女の魅力といえば底抜けに明るいポップチューンなのですが、今回のアルバムではこれらのミディアムチューンがキラリと光っていたように感じます。加えて、明るいポップチューンにしてもわかりやすいサビを全面に押し出してそれ以外の部分はやっつけ…というJ-POPにありがちな構成ではなく、楽曲全体の展開で聴かせるような楽曲に仕上げており、シンガーソングライターとしての実力をあらためて感じさせる内容になっています。またアップテンポな楽曲にしてもどこか大人びた雰囲気を漂わせており、ちゃんと年齢なりのキャリアを積み重ねてきた彼女の成長も強く感じることが出来ました。

もうひとつ、今回のアルバムで大きな魅力に感じたのがサウンド的な側面。前述の「Plastic City」や「メインステージ」のピアノでもブギウギのリズムを取り入れたりしていたのですが、「OH! Sunny Day」ではニューオリンズ風のサウンドを取り入れているなど、デビュー当初では感じなかった洋楽的な要素も。全体的にもあか抜けたサウンドが大きな魅力となっており、彼女のポップチューンの後押しをしています。

最初に書いた通り、個人的にはデビュー当初から注目していたシンガーソングライターだったのですが、今回のこのベスト盤を聴いて、「ここまで素晴らしいミュージシャンだったのか!」と再認識させられました。インディーズの活動がメインとなってしまった彼女ですが、これだけ優れたポップチューンを作りながら、このまま埋もれさせておくのはあまりにも惜しいと感じさせてくれる傑作アルバム。全ポップス好きにもろ手をあげておすすめできるアルバム。是非、このベスト盤を機に、イズミカワソラの魅力に触れてみてください!

評価:★★★★★


ほかに聴いたアルバム

It's my Life/竹原ピストル

約1年半ぶりとなるニューアルバム。アコギがメインのフォーキーなサウンドを主軸としつつ、「狼煙(ver.2)」のようなヘヴィーなサウンドとラップを取り入れたような曲も。全体的には自らを鼓舞するような力強い歌詞の曲がメイン。自らの全身をぶつけてくるような歌い方といい、良くも悪くも暑苦しさを感じさせるスタイルは相変わらず。ブレイクしても全く変わらないそのスタイルには強い信念を感じさせますが。

評価:★★★★

竹原ピストル 過去の作品
PEACE OUT
GOOD LUCK TRACK

Say Hello to My Minions 2/SKY-HI×SALU

avexのダンスグループAAAのメンバーとしても活躍しつつ、ソロでのラッパーとしての活動が高い評価を受けているSKY-HIと、こちらもラッパーとして高い評価を受けているSALUによるコラボレーションアルバム。本作はそのコラボ作としては2年ぶりとなる第2弾となるそうです。今時のトラップの影響を受けたシンプルなサウンドのリズミカルな楽曲がメインとなるのですが、「Goodbye To The System」のような哀愁感ある歌モノも。SKY-HIはもともとアイドル的な活動も行っていただけあって端整な聴きやすいボーカルを持っているのですが、今回のアルバムではそのボーカルが良い意味でアルバム全体としての取っつきやすさの大きな要因となっています。特にラストの「Things To Do」はピアノをバックに聴かせるメロウな歌が秀逸な楽曲に。コラボとしての両者の息もピッタリな傑作アルバムに仕上がっていました。

評価:★★★★★

SKY-HI 過去の作品
FREE TOKYO
JAPRISON

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2019年10月26日 (土)

ピアノを主体とした優しい歌が目立つ

Title:Tabula Rasa
Musician:People In The Box

高い音楽性を感じさせつつも、なかなかブレイクに至らないバンドPeople In The Box。今回のアルバム、CDはライブ会場限定でのリリース。ただし、各種配信サイトで聴くことが出来るため、サブスクリプションなどでも楽しむことが出来ます。ちなみにタイトルの「Tabula Rasa」とはラテン語で「白紙状態」のこと。彼らにとって新たな一歩を意味するかのようなアルバムタイトルですが、ライブ会場限定というCDリリース形態といい、ひょっとしたらメジャー契約が切れたのか??

そんな推測はとりあえずは置いておいて、今回のアルバム、大きな特徴としては全編にピアノによる美しい調べが流れてくる優しい曲調という点があげられます。まず1曲目「装置」はゆっくりとしたピアノの音色をバックに優しい歌声をゆっくり聴かせる歌モノ。途中から入ってくるバンドサウンドが分厚く曲を埋め尽くすサウンドに快感も覚えます。続く「いきている」もピアノを主体としてメロディーを美しく聴かせてくれる楽曲になっています。

その後も「2121」などピアノやアコギを中心として優しく歌を聴かせるになっていますし、「懐胎した犬のブルース」も分厚いバンドサウンドも流れますが、美しいピアノの調べとメロディーラインが心をうつナンバーになっています。ラストを締めくくる「まなざし」も、ピアノの音こそ入りませんが、爽やかなアコギの音色で軽快に歌われる、ちょっと切ないメロも印象に残る楽曲。全体的にピアノやアコギといったアコースティックなサウンドに美しい歌を中心とした構成の、優しい雰囲気のアルバムに仕上がっていました。

もっとも、そんな中でも中盤、「風景を一瞬で変える方法」はノイジーでダイナミックなプログレ風のバンドサウンドと歪んだメロディーラインを聴かせる楽曲になっていましたし、「忘れる音楽」もピアノの音色を聴かせるナンバーながらも途中からリズムパターンが変わるなど複雑なナンバーに。また「ミネルヴァ」など疾走感あるギターサウンドを聴かせるロックチューンも聴かせてくれます。

People In The Boxらしい複雑な音楽性を間に聴かせつつ、ピアノを主体に優しく聴かせるポップチューンにしても、どこか癖のあるサウンドやメロディーが特徴的。全体的にはいままでの彼らのアルバムの中ではバリエーションは少な目だったのですが、そんな中でもPeople In The Boxの魅力をしっかりと感じられるアルバムになっていました。比較的シンプルな楽曲が多かっただけに、そういう意味で、素のPeople In The Boxをより表に出したという意味でも今回のアルバムのタイトルを「白紙状態」という意味のTabula Rasaにしたのでしょうか?もちろん今回のアルバムもまた、文句なしの傑作。もうちょっと注目を集めてもいいバンドだと思うんだけどなぁ・・・。これからの活躍も楽しみです。

評価:★★★★★

People In The Box 過去の作品
Ghost Apple
Family Record
Citizen Soul
Ave Materia
Weather Report
Talky Organs
Things Discovered
Kodomo Rengou


ほかに聴いたアルバム

WATCH YOUR BLINDSIDE 2/The Birthday

ギターにフジイケンジが加入した後のシングルのカップリング曲を集めたThe BirthdayのB面集。フジイケンジはよりエッジの効いたギターの音を前に押し出してくるのが特徴的でしたが、このB面集でのフジイケンジのギターが前に押し出されたエッジの効いたガレージロックを聴かせてくれます。特に「泥棒サンタ天国」などは歌詞の意味よりも語感重視のユニークな歌詞がいかにもガレージロック然としたナンバーとなっており、強いインパクトを受ける楽曲に。その他もB面集らしい個性的な曲も多く、最後まで飽きることなく一気に楽しめる内容に仕上がっていました。

評価:★★★★★

The Birthday 過去の作品
TEAR DROP
MOTEL RADIO SiXTY SiX
NIGHT ON FOOL
WATCH YOUR BLINDSIDE
I'M JUST A DOG
VISION
GOLD TRASH
BLOOD AND LOVE CIRCUS

NOMAD
LIVE AT XXXX
VIVIAN KILLERS

天気の子/RADWIMPS

RADWIMPSが音楽面で全面的に参加。映画も大ヒットを記録した新海誠監督によるアニメ映画「君の名は。」。その新海誠監督作品の最新作、映画「天気の子」には再びRADWIMPSが音楽で参加し、本作はその映画のサントラ盤となります。残念ながら主題歌「愛にできることはまだあるかい」は「君の名は。」の主題歌「前前前世」ほどの大ヒットとはいきませんでしたが、映画のヒットに伴い、このサントラ盤は再び、好セールスを記録しています。

ただ基本的には「君の名は。」のサントラ盤同様、短いワンフレーズの映画の劇伴曲を並べた作品なので映画を見ていないとあまり楽しめないかも。今回も「愛にできることはまだあるかい」をはじめ「グランドエスケープ」「風たちの声」「祝祭」「大丈夫」と5曲も主題歌に起用されているのですが、RADWIMPSとしては薄味な印象で、インパクトも弱め。「君の名は。」でも感じたのですが、映画のファンじゃなければ、次のオリジナルアルバムを待った方が無難かも。

評価:★★★

RADWIMPS 過去の作品
アルトコロニーの定理
絶対絶命
×と○と罰と
ME SO SHE LOOSE(味噌汁's)
君の名は。
人間開花
Human Bloom Tour 2017
ANTI ANTI GENERATION

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2019年10月25日 (金)

K-POP勢が目立つ

今週のHot Albums

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まずは1位にK-POPの人気アイドルユニットがランクイン。

今週1位に初登場したのは韓国の男性アイドルグループ東方神起「XV」。日本デビュー15周年にリリースされたアルバムで、全15曲入りと「15」にこだわったアルバム...ですが、アルバムとしては15枚目のアルバムではなく10枚目のアルバムとなります。CD販売数及びPCによるCD読取数で1位、ダウンロード数で4位を獲得し、総合順位も1位に。オリコン週間アルバムランキングでも初動売上15万5千枚で1位初登場。前作「TOMORROW」の12万5千枚(1位)からアップしています。

今週はK-POP勢のアルバムが目立つチャートとなっています。他に9位に同じく韓国の男性アイドルグループSUPER JUNIOR「Time Slip」がランクイン。韓国盤のためHot AlbumsではCD販売数が圏外となっていますが、ダウンロード数5位、PCによるCD読取数60位で総合順位でもベスト10入り。オリコンでは輸入盤の売上で初動売上1万枚で7位初登場。前作で同じく韓国盤の「PLAY」の初動5千枚(16位)からアップしています。

もう1枚K-POP勢。6位に女性アイドルグループBLACKPINK「Kill This Love」がランクイン。こちらは4月15日付チャートで9位にランクインした後、28週ぶりのベスト10返り咲き。これはもともと全世界リリースした同作の日本語盤が国内リリースされた影響。CD販売数5位、ダウンロード数13位にランクインし、総合順位では6位にランクインしてきました。オリコンでは日本盤が初動売上1万1千枚で5位初登場。国内盤の前作「BLACKPINK IN YOUR AREA」の1万3千枚(9位)からアップしています。

そんなK-POP勢以外では...まずはベスト3。まず2位は動画投稿サイトへの動画投稿で人気を博したまふまふのニューアルバム「神楽色アーティファクト」が初登場。CD販売数及びPCによるCD読取数2位、ダウンロード数6位。来年3月には東京ドーム公演も予定するなど、人気上昇中のミュージシャン。オリコンでは初動売上10万7千枚で2位初登場。前作「明日色ワールドエンド」の7万1千枚(2位)よりアップ。

3位には星野源「Same Thing」がランクイン。配信オンリーでリリースされた4曲入りのEP。そのためCD販売数及びPCによるCD読取数は圏外でしたが、ダウンロード数では見事1位を獲得。配信オンリーながらもベスト3入りという結果となり、その人気のほどを見せつける結果となりました。

続いて4位以下の初登場盤ですが、前述のK-POP勢を除くと4位以下の初登場は1枚のみ。8位にポルカドットスティングレイのミニアルバム「ハイパークラクション」がランクイン。CD販売数7位、ダウンロード数9位、PCによるCD読取数32位で総合順位は8位にランクイン。オリコンでは初動売上8千枚で9位初登場。前作「一大事」の1万2千枚(4位)よりダウンしています。

今週の初登場は以上ですが、返り咲き組も1枚。10位にのベストアルバム「5×20 All the BEST!! 1999-2009」が先週の25位から10位にランクアップ。9月30日付チャート以来4週ぶりのベスト10返り咲きで、これで通算14週目のベスト10入りとなりました。特にCD販売数が20位から8位に大幅アップしており、返り咲きの大きな要因に。今週、彼らのミュージッククリップをまとめたDVD&Blu-ray「5×20 All the BEST!!CLIPS 1999-2019」がリリースされており、オリコンのDVDランキングでも1位にランクインしており、このDVD&Blue-rayのヒットに引っ張られる形での売上増といった感じでしょうか。

今週のHot Albumsは以上。ちなみにシングルチャートで旋風を巻き起こし、先週のアルバムチャートで1位を獲得したOfficial髭男dism「Traveler」は初登場盤に押し出される形で4位にランクダウン。ただ、ダウンロード数は今週も2位につけており、これからの巻き返しにも期待がかかります。

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2019年10月24日 (木)

ついにヒゲダンが!

今週のHot100

http://www.billboard-japan.com/chart_insight/

すいません。昨日は所用のためHot100の更新が出来ず、1日遅れの更新となります。

ここ最近、ヒットチャートに旋風を巻き起こしてきたOfficial髭男dism。そして今週、ついに彼らの曲が頂点に立ちました。

という訳で今週1位はOfficial髭男dism「Pretender」が獲得。チャートインから27週目にして初の1位獲得となりました。ストリーミング数は今週も1位。ダウンロード数でも4位を獲得。カラオケ歌唱回数2位、PCによるCD読取数9位などを記録していますが、今週、You Tube再生回数でも1位を獲得。総合順位で見事1位となりました。

さらに2位には「イエスタデイ」が先週の3位からワンランクアップで続いており、ヒゲダンが1、2フィニッシュという結果に。そして「宿命」は5位から4位にランクアップ。ストリーミング数では今週も「Pretender」1位、「イエスタデイ」2位、「宿命」3位というベスト3独占が続いています。まだまだヒゲダン旋風は続いていきそうです。

そして3位は米津玄師「馬と鹿」が4位から3位にランクアップしベスト3返り咲き。こちらはダウンロード数及びPCによるCD読取数が先週の2位から1位にアップ。You Tube再生回数も4位から3位にアップしています。これで10週連続のベスト10ヒットとなり、「Lemon」に続くロングヒットナンバーになりそうです。

続いて4位以下の初登場曲ですが、まず5位にONE N'ONLY「Category」が初登場でランクイン。スターダストプロモーション所属のアイドルグループEBiSSHとさとり少年団のメンバーから構成された派生グループ。EDMチューンでちょっとしゃがれ声気味のHIP HOP風の楽曲は完全にK-POPを意識した感じなのですが、それゆえに個性があまり感じられない印象。CD販売数では1位を獲得したもののラジオオンエア数80位、PCによるCD読取数66位、Twitterつぶやき数50位、そのほかは圏外と完全に固定ファン以外に人気が波及せず、5位に留まりました。オリコン週間シングルランキングでは初動売上4万枚で1位初登場。前作「Dark Knight」の4万6千枚(1位)よりダウン。

6位にはUVERworld「ROB THE FRONTIER」が初登場。TBS系アニメ「七つの大罪 神々の逆鱗」オープニングテーマ。ダイナミックなサウンドとわかりやすいメロディーラインはある意味、タイアップによる売上を意識した全国放送のテレビアニメ向けといった印象。前作「Touch off」もフジテレビ系アニメ「約束のネバーランド」のオープニングテーマでしたし、彼らのはっきりいってしまうと「わかりやすいロックナンバー」は「マガジン」とか「ジャンプ」とかの連載漫画がアニメ化するような、比較的マス向けのアニメの主題歌にはうってつけといった感じなのでしょうか。CD販売数は4位、PCによるCD読取数は5位を獲得したもののダウンロード数10位、ストリーミング数41位、ラジオオンエア数56位、Twitterつぶやき数27位と奮わず、総合順位はこの位置に。オリコンでは初動売上2万3千枚で4位初登場。前作「Touch off」の3万2千枚(3位)からダウン。

今週の初登場曲は以上2曲のみ。一方、ベスト10返り咲き組も。今週、なんとKing Gnu「白日」が先週の13位からランクアップして8位にランクインしてベスト10返り咲き。9月9日付チャート以来7週ぶりの返り咲きで、これで通算4度目のベスト10返り咲きに。特にダウンロード数は15位から9位に、You Tube再生回数も17位から10位にランクアップしており、返り咲きの大きな要因となっています。先週ランクインしてきた配信オンリーのシングル「傘」のヒットに伴う人気再燃でしょうか。ちなみに「傘」は先週の9位から10位にダウンしたもののベスト10入りを継続。結果、King Gnuは2曲同時ランクインとなっています。

最後にロングヒット曲ですが、あいみょん「マリーゴールド」。先週と変わらず7位をキープ。ストリーミング数は5位、You Tube再生回数は4位とまだ上位をキープしており、まさに米津玄師「Lemon」級のロングヒットとなってきました。さらに「空の青さを知る人よ」は先週の6位から9位にダウンしたもののベスト10をキープ。2曲同時ランクインとなっています。ただ、「空の青さを知る人よ」はこれ以上のロングヒットは厳しそう・・・。ただあいみょんも、今週2曲同時ベスト10入りとなっています。

今週のHot100は以上。明日はHot Albums!

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2019年10月23日 (水)

ベテランバンドとしての実力を感じる

Title:トランタン
Musician:真心ブラザーズ

今年、なんとデビュー30周年を迎える真心ブラザーズ。いまや「大御所バンド」という貫録する感じさせる彼らがアニバーサリーイヤーである今年にリリースしたのが、彼らの代表曲をセルフカバーした本作。豪華なゲストミュージシャンが数多く参加しており、彼らの30周年を祝う形になっています。今回の選曲はファン投票による上位10曲を選んだ、ということ。ただちょっと意外だったのは彼らの代表曲ともされている「サマーヌード」も「拝啓、ジョン・レノン」も選ばれていないこと。一般的な代表曲がファン投票では上位に来ないことは、熱心なファンは一般的に知名度が高い曲を「好きな曲」としてあえて選ばない傾向があったりするため、よくありがちな話なのですが、これらの曲もそのためベスト10入りしてこなかったのでしょうか。

逆に「どか~ん」が入って来たのが意外に感じたのですが、ただこちらはボーナストラック扱いだそうで、彼らがあえて選曲したのでしょう。当時大人気だったテレビ朝日系の「ニュースステーション」の中の一コーナー「プロ野球一本勝負」のBGMとして使用された曲。ホームランシーンを中心としてその日のプロ野球をダイジェスト的に紹介したコーナーだったのですが、ホームランのシーンにあわせてつかわれた「どか~ん」という言葉が強いインパクトを与えた曲。真心ブラザーズという名前を世間に知らしめた1曲であるのですが、一方ではその名前もあってコミックバンド的な見方をされていたことを思いだします。この曲も非常にコミカルな1曲なのですが、原曲よりちょっとテンポを落としつつ、原曲よりも分厚いバンドサウンドとより落ち着いたボーカルによって楽曲の円熟味が増し、ミュージシャンとしての大きな成長を感じさせます。

ゲスト参加という側面がより強調されていたのが、2曲目「突風」からの3曲。ウルフルズのサンコンJr.、フラカンのグレートマエカワが参加した「突風」では力強くロッキンなバンドサウンドが前に押し出されており、よりロックなナンバーに。東京スカパラダイスオーケストラが参加した「愛」はスカパラのホーンセッションが入り、YO-KINGのラップを力強くバックからサポートしています。さらに「素晴らしきこの世界」はアコギのみでしんみりと歌を聴かせるナンバーなのですが、奥田民生がボーカルで参加。奥田民生の味のあるボーカルがこの曲の雰囲気にピッタリとマッチしています。

今回のアルバムの中でちょっと異色だったのが「恋する二人の浮き沈み」。デビューシングル「うみ」のカップリング曲で、いままでアルバム未収録だったという曲なのですが、実質2曲の曲が組曲的に収録されており、曲の途中で雰囲気がガラリと変わります。歌詞もコミカルな内容となっており、本作の中でも異色な雰囲気に。ただこの曲や1曲目の「どか~ん」なども含めてコミカルな曲からロックな曲、フォーキーな曲まで真心の音楽的なバリエーションの豊富さ、自由さを強く感じさせる選曲となっており、彼らの音楽的な実力を伺うことが出来ます。

また今回のセルフカバー、バンドの曲にしろアコギ1本での曲にしろ非常にライブ感を前面に押し出したアレンジとなっていたように感じます。ここらへんにはロックバンドとしての彼らのこだわりを感じさせると同時に、また30周年を迎えた今の彼らの音楽的な方向性を感じることが出来ました。本作では2人が演奏している姿を絵にしたジャケットとなっているのですが、まさにこの2人で演奏しているミュージシャンとしての姿こそが、このアルバムの中でのアレンジの方向性のように感じられました。

本作の最後はデビューシングル「うみ」を2人だけでアコギのみで歌っているアレンジとなっているのですが、まさに2人だけの真心で原点に回帰している楽曲に。一方でこの曲に続くのが新曲「はなうた」。並べて聴いても全く違和感ないあたり、真心ブラザーズの個性はデビュー作から今に至るまでいい意味で変化がないことに気が付かされます。デビュー作から続き、本編のラストに新曲を持ってくるあたりに、原点に立ち返った後で、ここからが新たなスタートと踏まえている彼らのスタンスを強く感じることが出来ました。

30周年のアニバーサリーイヤーに出されたセルフカバーアルバムは、まさに30年のキャリアを経た今の彼らの実力を強く感じることが出来る傑作に仕上がっていました。またライブ感が強く本作には今の彼らの音楽的方向性も強く感じることが出来ます。まだまだ真心ブラザーズの活躍はこれからも続いていきそう。これからの彼らも楽しみです。

評価:★★★★★

真心ブラザーズ 過去の作品
DAZZLING SOUND
俺たちは真心だ!
タンデムダンデイ20
GOODDEST

Keep on traveling
Do Sing
PACK TO THE FUTURE
FLOW ON THE CLOUD
INNER VOICE


ほかに聴いたアルバム

Before It's Too Late/THE ORAL CIGARETTES

現在、人気上昇中のロックバンドによる2枚組の初となるベストアルバム。少々歌謡曲テイストを感じる哀愁感漂うメロディーラインが大きなインパクトを持つバンドで、メロディーラインはそれなりにフックが効いており、ベタという印象を受けるもののしっかりと耳に残るメロディーを書いています。ただ、2枚組となる今回のベスト盤ですが、楽曲のパターンはほとんど同じ。Disc2のラストの方にようやく打ち込みを入れてくるようなエレクトロチューンでバリエーションはあるものの、正直、それらの曲を除くとほとんど似たような曲という印象を受けてしまいます。それでも2枚組のベストアルバムを最後までそれなりに聴くことが出来るのはメロディーラインがしっかりしている影響なのでしょうが・・・。鼻にかかったヴィジュアル系のような歌い方もインパクトあるものの賛否分かれそうな印象。

評価:★★★★

THE ORAL CIGARETTES 過去の作品
FIXION
UNOFFICIAL
Kisses and Kills

THE SIDE EFFECT/coldrain

約1年10ヶ月ぶりとなる6枚目のニューアルバム。基本的にはいつもと同じスタイル。英語詞による洋楽テイストが強いサウンドに哀愁感あるメロ。ハードコアの要素を取り入れたダイナミックなサウンドながらも端正なボーカルとメロディーラインのためポップに聴かせる楽曲。特にサウンド面は前作に続き、Incubusなども手掛けるプロデューサーのMichael “Elvis” Basketteを起用しているため、サウンド的にはかなり垢抜けている印象も。ただ、1曲1曲に関してはかなりカッコいいのですが、アルバム全体として似ている曲が続き、バリエーションが極端に乏しい印象が。もうちょっと楽曲的なバリエーションが増えると一気におもしろくなると思うのですが。

評価:★★★★

coldrain 過去の作品
THE REVELATION
Until The End
VENA
FATELESS

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2019年10月22日 (火)

改名して心機一転

Title:OAU
Musician:OAU

BRAHMANの別動隊的バンドとしてスタートしたOVERGROUND ACOUSTIC UNDERGROUND。BRAHMANとしての活動の傍らで、同バンドも継続的な活動を続け、すでに結成から14年目という中堅の域に達するような活動歴を見せてくれています。そんな彼らは非常に長い名前を名乗っていましたが、このたび、バンド名を以前のバンド名の略称である「OAU」に変更。本作はそのバンド名変更後、初となるアルバムとなりました。

バンド名変更後、初となるアルバムはセルフタイトルとなる作品。本人たちも「1枚目のつもりで作った」という強い意気込みを感じられる作品で、いままでの作品はライブを意識して作っていたそうですが、今回のアルバムはあくまでも「作品としていいものを作る」という気持ちで作ったそうです。そのため、いままでのアルバムに比べても一段と楽曲のバリエーションも増え、かつ純粋に楽曲としてよく出来ている作品の並ぶ傑作に仕上がっていたように感じました。

もともと彼らの音楽はアコースティックなサウンドをベースとしてフォーク、カントリー、ブルース、ケルティッシュなど様々な音楽的要素を感じられる作風が大きな魅力でしたが、今回のアルバムもアコースティックベースのシンプルなサウンドながらも多種多様な音楽性を楽しめる内容に仕上がっています。勇壮なスケール感を覚える「A Better Life」からスタート。リズムからトライバルな要素を感じる「こころの花」に、彼ららしいケルティッシュな要素を取り入れた「Midnight Sun」。さらに和風なメロディーラインに歌詞を含めて郷愁感を強く覚える「帰り道」へ。シンプルなサウンドながらも序盤から全く異なった作風の曲が次々と展開していきます。

その後もラテンなリズムの陽気なインストチューン「Banana Split」に、カントリー風の「Again」、ドラムやストリングスでダイナミックに展開するエキゾチックな雰囲気も耳を引く「Where have you gone」、タイトル通りにアメリカの荒野を想像させるような乾いた雰囲気とカントリー調のアレンジが印象的な「Americana」など、最後の最後まで次々とバラエティーあふれる曲が続いていきます。そしてラストを締めくくるのは「I Love You」というシンプルなタイトルのフォーキーな優しいポップチューン。ほっこりと温かい気持ちとなり、アルバムは幕を下ろします。

彼らのアルバムに対する意気込み通り、しっかりと聴かせる名曲がそろった今回のアルバム。なによりもアコースティック主体のシンプルなアレンジながらも非常に幅広い音楽性に、彼らの音楽的な素養の深さを感じさせますし、驚きすら感じられました。ただ、これだけ幅広い作風ながらもアルバム全体としての統一感をしっかり感じられるのは、彼ららしい暖かさを感じるメロディーラインが流れているからでしょうか。最後まで全く飽きさせず、耳の離せない傑作アルバムに仕上がっていました。

OAUと改名してまだまだこれからの活躍に期待できそうな彼ら。その第1弾アルバムは、彼らの魅力を存分に詰め込んだ作品に仕上がっていました。これからの彼らの活躍にも期待です。

評価:★★★★★

OAU(OVERGROUND ACOUSTIC UNDERGROUND) 過去の作品
New Acoustic Tale
夢の跡
FOLLOW THE DREAM


ほかに聴いたアルバム

#6/AA=

ご存じTHE MAD CAPSULE MARKETSの上田剛士によるソロプロジェクトAA=の最新作。ダイナミックでへヴィーなエレクトロサウンドに今回のアルバムに関しては抜けのあるサウンドの比較的ポップな楽曲も多かった印象も。それだけにバラエティーも多く感じられた作品になっており、MADで感じられた高揚感を覚えたような曲もチラホラ。ただそれでもアルバムを通して聴くと大味な部分も否めず。いろいろな意味で惜しい感じのするアルバムなのですが・・・。

評価:★★★★

AA= 過去の作品
#1
#2
#
4

#5
(re:Rec)
THE OIO DAY

GEKIBAN 2-大友良英サウンドトラックアーカイブス-/大友良英

数多くのテレビドラマの劇伴曲や映画音楽を手掛ける大友良英の劇伴曲を集めたベスト盤。2013年のNHK朝の連続テレビ小説「あまちゃん」の音楽を担当し大きな話題を集め、今年もいろいろな意味で話題となっている大河ドラマ「いだてん」の音楽も手掛けています。「いだてん」の曲は収録されていないのですが、「あまちゃん」からは「希求2」を収録。そのほかにもNHKドラマ「クライマーズ・ハイ」や映画「色即ぜねれいしょん」の音楽、「揖保乃糸」のCMソングなども収録しています。

楽曲は全体的にしんみりと哀愁感漂うようなメロディーが大きな印象を残し、いい意味で劇伴曲らしい「聴きやすさ」を感じる曲が並んでいます。ただ一方、彼はもともとフリージャズや前衛音楽の世界でも活躍していたミュージシャン。そのため「兵器のある風景」「対立」など、曲によってはフリージャズ的な要素を感じさせる部分もあり、こういうフリーキーなサウンドが急に飛び出してくるのがユニークなところ。ここらへんの単に耳障りのいい音楽だけではない狂気性を合わせ持つところが、彼が多くの劇伴曲にかりだされる大きな要因でしょうか。

評価:★★★★

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2019年10月21日 (月)

ハイプ気味だったデビュー時の印象を覆す傑作

Title:Norman Fucking Rockwell!
Musician:Lana Del Rey

アメリカのシンガーソングライター、Lana Del Reyのニューアルバム。2012年にリリースされたメジャーデビューアルバム「Born To Die」が大ヒットを記録。一躍、「時の人」となりました。ただ正直なところ、ミュージシャンとしての評価は「賛否両論」という感が強く、個人的にも悪いアルバムではないけど…といった印象を受けていました。そのため2枚目のアルバム「Ultraviolence」まではチェックしていたのですが、その後はちょっと彼女のアルバムからは遠ざかっていました。

しかし、その後リリースされた「Honeymoon」もビルボードチャートで2位、「Lush for Life」も1位を記録するなどシンガーソングライターとして一定以上の地位を確立。今回リリースされたニューアルバムもPitchfork等のメディアでも高い評価を受け、チャートでも3位を獲得。高い人気を維持していると共に、ミュージシャンとしての評価も確立した感もあります。そんなこともあって今回、久しぶりに彼女のアルバムを聴いてみました。

そんな久しぶりに聴いた彼女のアルバムなのですが、いや、予想していたよりもいいじゃん!というのが率直な感想。まずはボーカリストとしての彼女の力量に強い魅力を感じます。もともとデビューアルバムからその美しい歌声が大きな魅力だったのですが、ボーカリストとしての魅力がグッと増したように感じます。特に魅力的だったのが中盤の「Doin' Time」で、いきなり「Summer Time~♪」からスタートする出だしからして、ジャニス・ジョプリンへのリスペクトか?と思いつつ、その憂いを帯びたボーカルが非常に魅力的。「California」もピアノとストリングスで荘厳な雰囲気を醸し出しつつ、優しさと力強さを同居させたようなボーカルでしっかりと聴かせます。

基本的にはピアノでシンプルなサウンドが多く、彼女のボーカルと歌を主軸に据えてしっかりと聴かせるスタイルの曲がメイン。アレンジも比較的ギミックが多く、無駄なエフェクトが多かった印象の受けるデビュー当初の作品と比べるとシンプルにまとまった印象が強く、そういう意味でもボーカルという彼女の強みをしっかりと生かした曲作りにきちんとシフトしているように感じました。

また、アレンジは似たようなものが多く、最後まで聴くと飽きてしまう、というのが以前のアルバムから強く受けた印象でした。今回のアルバム、打ち込みのリズムが入った「How to disappear」などそれなりのバリエーションはあるものの、基本的にはピアノやストリングス、アコギを中心としたアコースティックでシンプルなアレンジがメイン。それだけに決してバラエティー豊富なアルバムではありません。ただ、しっかりとした彼女の「歌」を主軸に据えたからでしょうか、最後まで飽きるという感じを受けることがなく、だれることなく楽しめることができました。そういう意味でも以前のアルバムから大きな成長を感じる作品となっていました。

最後を締めくくる「Hope is a dangerous thing for a woman like me to have – but I have it」もピアノでシンプルなアレンジの中、感情を込めた彼女のボーカルでしっかりと聴かせる、ある意味このアルバムを象徴するような作風の曲で幕を下ろします。最後までしっかりと彼女のボーカルの魅力を前に押し出した傑作アルバムに仕上がっていました。

そんな訳でデビュー当初はハイプ気味だった彼女ですが、気が付くと、しっかりと実力のあるシンガーソングライターとしての成長を遂げていました。またボーカリストとしても実に魅力的で、本作はそんな彼女の魅力をアルバムに詰め込んだ傑作に仕上がっていたと思います。名実ともにアメリカを代表するシンガーとなった彼女。すっかり見直しました。これからの活躍も楽しみです。

評価:★★★★★

Lana Del Rey 過去の作品
Born To Die
Ultraviolence


ほかに聴いたアルバム

Live and Loud/NIRVANA

今や伝説ともいえるアメリカのロックバンド、NIRVANA。本作は1993年に米ワシントン州シアトルのPier 48にて行われたライブの模様を収録した音源で、もともと「In Utero」の20周年記念盤に映像、音源が収録されていましたが、配信及びアナログ盤がこのたびリリースされました。NIRVANAといえば、個人的にはオリジナルアルバム以上に、2009年にリリースされたライブ音源「Live at Reading」に大きな衝撃を受けました。それだけ彼らのライブは圧巻だったのですが、今回のライブ盤、「Live at Reading」ほどの衝撃は受けなかったものの、今回もヘヴィーで力強い彼らの演奏にただただ圧巻されるライブ盤に。その中で歌われるカート・コバーンの力強さと繊細さを同居させたようなボーカルも大きなインパクトに。オリジナル作よりもむしろライブ盤の方がNIRVANAの本質をあらわしているのでは?とすら感じさせる傑作でした。

評価:★★★★★

NIRVANA 過去の作品
LIVE AT READING

Threads/Sheryl Crow

約2年ぶりとなる新作は本人曰く「最後のアルバムになるかもしれない」と語ったそうですが、とにかく超豪華なゲスト勢が目を惹く内容。キース・リチャーズ、エリック・クラプトン、スティング、ニール・ヤング…とこれでもかというほどのビックネームがズラリと並んでおり、彼女の人脈の広さをうかがわせます。楽曲的にも彼女らしいカントリーの曲からロッキンなナンバー、ブルージーな曲までバリエーション豊富。ここ最近の彼女のアルバムと同様、良くも悪くも安心して聴ける安定感ある作風になっているのですが、これだけ豪華なゲストが参加しつつ、Sheryl Crowとしての色をきちんと出してしっかりと彼女のアルバムにしているのはさすがです。

評価:★★★★

Sheryl Crow 過去の作品
HITS&RARITIED
Detours
Be Myself

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2019年10月20日 (日)

骨太なバンドサウンドを聴かせるガールズバンド

Title:人間なのさ
Musician:Hump Back

ここでも何度か言及しているのですが、ここ最近、女の子オンリーのバンドが急増しています。最大の理由は間違いなくチャットモンチーのブレイク。男性に媚びることなく、かといってフェミニスト的に尖ることもなく、女の子としての等身大としての姿を歌いながらもロックバンドとしての迫力あるプレイを聴かせてくれた彼女たちがブレイクした影響は音楽シーンにおいてかなり大きく、その後、多くのガールズロックバンドがデビューしていきました。

今回紹介するHump Backというバンドは2009年に結成した3ピースバンド。ボーカルでメインのライターでもある林萌々子はチャットモンチーに強く影響を受けたと公言しており、かつ、当初はチャットモンチーのコピーバンドだったそうですので、まさにそんな「ポストチャットモンチー」のバンドの一つと言っていいでしょう。ちなみに昨年、リリースされたチャットモンチーのトリビュートアルバムにも参加しています。

私は今回、はじめて彼女たちのオリジナル作を聴いてみました。ここ最近、人気が急上昇している彼女たち。このアルバムはなんとBillboard Hot Albumsで6位という快挙を達成。大きくブレイクしています。正直言って、チャットモンチーのトリビュートアルバムでの彼女たちは無難にまとめている印象が強く、さほどピンと来ませんでした。それだけに今回のアルバムもさほど大きな期待はしていなかったのですが…ただ、実際の音源を聴いてみると、その印象はいい意味で大きく変わりました。

まずはバンドとしてのサウンドが非常に骨太。アルバムの冒頭「LILLY」から力強いドラミングからスタートしますし、続くシングル曲「拝啓、少年よ」もパンキッシュなバンドサウンドが大きな魅力となっています。その後もギターノイズを全面に押し出したパワフルでパンキッシュなバンドサウンドを聴かせる曲がメイン。バンドとしての足腰の強さが大きな魅力となっています。

メロディーラインに関してはどこかフォーキーな感じも漂う哀愁感あるメロが大きな魅力に。このメロに関しては、どこか和風なテイストがひとつの特徴となっているのですが、バンドサウンドともマッチしており、歌謡曲的な雰囲気はあまりありません。なによりもちょっとしゃがれた雰囲気に味がある林萌々子のボーカルが楽曲の雰囲気にピッタリとマッチしており大きな魅力に感じれました。

歌詞も切ないラブソングが目立つのですが、どこか郷愁感を覚える歌詞が多い印象。作詞を手掛ける林萌々子は若干25歳なのですが、いい意味での大人びた雰囲気も感じさせます。例えば「コジレタ」の歌詞の

「味噌をとくだけじゃ 味気ないかな 味気ないよな
朝起こすことが 愛だって 思ってたのさ」
(「コジレタ」より 作詞 林萌々子)

なんて一節、完全に四畳半フォークの世界すら彷彿とさせられますが、このちょっとくすんだ雰囲気のある世界観がまた楽曲にもピッタリとマッチしています。

チャットモンチーに影響を受けたという林萌々子をはじめ、メンバーが影響を受けたミュージシャンとしてGalileo GalileiやELLEGARDENなどの名前を挙げているようですが、楽曲の雰囲気としてはむしろフラワーカンパニーズや真心ブラザーズに近い感じも覚えてしまいます。彼女たちはブルース、あるいはブルースロックからの影響は直接は受けていないようですが、楽曲の向こうからはフラカンや真心と同様、どこかブルースの匂いすら漂ってくるような、そんなバンドに感じました。

個人的にはかなり個性的でおもしろいバンドに感じましたし、ロックバンドとしての実力も感じられます。また、なによりもいい意味で老成した雰囲気が大きな魅力に感じました。数多くいるチャットモンチーフォロワーの中では間違いなく頭ひとつ抜け出しているように感じる彼女たち。いきなりのブレイクも納得ですし、これからの活躍も楽しみ。うるさ方のロックリスナーにもおすすめできる要注目のバンドです。

評価:★★★★★


ほかに聴いたアルバム

TAPE TAPE/Ryugo Ishida

ゆるふわギャングとしても活動しているラッパー、Ryugo Ishidaが、日本発のアパレルブランド「BlackEyePatch」と組んでリリースしたミックステープ。ゆるふわギャングとは異なりトラップ色は比較的薄めながらもシンプルでリズミカルなエレクトロトラックが耳をひく内容。リリックはソロとしての前作「EverydayIsFriday」と同様、彼の日常を綴ったような歌詞がメイン。前作のような北関東の不良の日常を如実に…というようなアンダーグラウンド感はちょっと薄れた感じも?ただ、けだるげなトラックにテンポよいリズムが微妙な中毒性をかもし出す作品になっていました。

評価:★★★★

Ryugo Ishida 過去の作品
EverydayIsFriday

金色BITTER/ウカスカジー

Mr.Childrenの桜井和寿とEAST ENDのGAKU-MCによるユニット、ウカスカジーの新作。彼らの全国ツアー「ウカスカジー TOUR 2019 WE ARE NOT AFRAID!!」にあわせてリリースされた本作は、配信オンリーでのリリースとなる7曲入りのミニアルバム。名義上は作詞作曲ウカスカジーとなっているものの優しい雰囲気の前向きな日常の応援歌的な歌詞は前作「Tシャツと私たち」同様、おそらくGAKU-MCの意向による部分が強いように感じます。ただ、あまりにも漂白されたような歌詞で鼻白んでしまった最近のGAKU-MCの曲と比べると、桜井が参加したことにより多少は中和した感も。個人的にはもうちょっと毒の要素があったほうがおもしろいとは思うのですが。

評価:★★★★

ウカスカジー 過去の作品
AMIGO
Tシャツと私たち

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2019年10月19日 (土)

第2の米津玄師を探して?

最近、米津玄師が国民的ヒットを次々と飛ばしつつある中、注目を集めつつある「ボカロP」出身という点。最近、第2、第3の米津玄師を発掘すべく、「ボカロP」出身のミュージシャンが次々とプッシュされています。そんな中、今回は人気の2組の「ボカロP」出身のミュージシャンたちの紹介です。

Title:porte
Musician:須田景凪

もともと「バルーン」名義で曲を発表していた男性ミュージシャン。これで「すだけいな」と読むそうです。本作にも収録されている「MOIL」が映画「二ノ国」主題歌に起用されたり、「veil」がテレビアニメ「炎炎ノ消防隊」に起用されたりと注目を増している男性シンガー。特に10代を中心に絶大な支持を得ているようで、「大人は知らない」を本作ではキャッチコピーとして使用していますが、まだ大人と若者世代の分断を利用することが広告の売り文句になるんだ…と逆に意外な印象を受けてしまいます。

男性ソロミュージシャンで、「ボカロP」出身ながらも自らが歌う、というスタイルからしても、おそらくレコード会社側としては第2の米津玄師を意識しているんだろうなぁ、ということを感じさせるミュージシャン。ただ率直な話、第2の米津玄師としては今の所、かなり物足りなさを感じてしまう、というのが正直な感想となってしまいます。メロディーラインはマイナーコード主体で哀愁感たっぷりのメロを聴かせるスタイルなのですが、はっきり言ってよくあるスタイル。歌詞にしても抽象的な言葉を並べて「何かを言っている風」に装っている感があるのですが、正直言って、狙いすぎな感じが否めません。

あともうひとつ辛いのはそのボーカル。はっきり言って、軽すぎる…。アイドル的な、ちょっとナルシスちっくな鼻にかかったような歌い方もどうかと思うのですが、決してボーカルを売りに出来るような歌唱力ではないのだから、もうちょっと素直に歌った方がよいように感じてしまいます。

現状としては決定的な個性も薄いように思いますし、まだまだ厳しい点を多く感じてしまいます。今後の成長に期待といった感じでしょうか。今の段階では「ハイプ」という印象を強く受けてしまった1枚でした。

評価:★★★

Title:エルマ
Musician:ヨルシカ

今回紹介するもう1枚が同じくボカロPのn-bunaが、suisという女性ボーカルと結成した2人組ロックバンド。本作が2枚目となるフルアルバムとなります。どちらかというと広いリスナー層へアピールしようとする売り方を感じさせる須田景凪と比べると、2人の顔やプロフィールを公表していないスタイルや、「雲と幽霊」の歌詞の一節「夜しかもう眠れずに」から取られたというそのバンド名といい、どちらかというと広く一般受けというよりは狭いコミュニティー向けといった印象を受けてしまいます。

ただ、楽曲としてはそんなミュージシャンイメージとは裏腹に、決して狭いコミュニティー向けではなく、むしろ一般的にもかなり浸透しそうなポップミュージックに仕上がっていたように感じました。サウンド的には基本的にシンプルなオルタナ系のギターロック路線。目新しさはありませんが、良い意味で変な癖がありませんし、「歩く」「声」などようにインパクト十分なメロの曲もあったりします。また「雨とカプチーノ」のようにサビで転調してインパクトをつける曲も。このスタイルはJ-POPで良くありがちなスタイルなのですが、それだけに一般リスナー層へのアピールも十分できそうな曲が並びます。

ボーカルのsuisも、こちらも良くありがちなハイトーン系の女性シンガーなのですが、歌い方は比較的落ち着いているためこちらも変な癖がなう聴きやすい印象。歌詞の世界観についても、若干「自意識高い系」のような印象がありネット初系によくありがちなファンタジックな要素も見え隠れする部分も否めないのですが、「心に穴があいた」「雨晴るる」など切ない歌詞も印象に残ります。ただ、歌詞についてはもうちょっとキラーフレーズのような、一度聴いたら忘れられないようなインパクトある一節が欲しい感も。歌詞に「これ」といったフレーズがないため、アルバム全体としても少々薄味な印象も受けてしまいました。

そのように気になる点もあるのですが、全体的にはよく出来たギターポップのアルバムに仕上がっており、ネット初というイメージを抜きとして比較的多くのリスナー層が楽しめる作品に仕上がっていたと思います。確かに人気が出てくるのも納得感ある仕上がり。今後、さらに人気が伸びてきそうな感もある作品でした。

評価:★★★★


ほかに聴いたアルバム

笑顔のおまじない/岡本真夜

岡本真夜初のEP盤。・・・といってもタイトル曲である新曲と、カップリング曲的な新曲がもう1曲。さらに4月に銀座の王子ホールで行われた「岡本真夜 Premium 一人旅弾き語りツアーLive Tour2019『東京はひとりじゃないかも』」からの音源4曲を収録した、事実上のシングル+ボーナストラック的な作品。新曲の2曲はいずれも彼女らしいメロディアスで明るくもどこか切なさを感じさせるポップチューンで、ファンにとっては安心して聴けそうな曲。ライブ音源もアコースティックにアレンジされた彼女の代表曲が新鮮に感じられ、ファンなら楽しめる音源に。全体的にファンなら十分楽しめそうな作品に仕上がっていました。

評価:★★★★

岡本真夜 過去の作品
seasons
Crystal Scenery II
My Favorites
Close To You
Tomorrow
岡本真夜 20th Anniversary ALL TIME BEST~みんなの頑張るを応援する~
Love Story
Happy Days

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2019年10月18日 (金)

最後の「デイリーライブ」

あいちトリエンナーレ2019 円頓寺デイリーライブ

七尾旅人

会場 円頓寺駐車場 日時 2019年10月11日(金) 19:00~

何度も足を運んでここでもライブレポートで紹介してきたあいちトリエンナーレの企画、円頓寺デイリーライブ。長く続いたこの企画もついに最終回。最後はシンガーソングライターの七尾旅人が登場しました。彼のライブは2011年のライブフェス「Our Favirite Things」ではじめて見たのですが、予想以上に素晴らしいステージに感動して、また見てみたい…と思いつつ、そこから8年、なかなか彼のステージを見る機会もなく、今回のデイリーライブが久々に見た彼のステージとなりました。

Nanaotabito1 そんな訳で会場には20分くらい前に到着。既にステージ上には七尾旅人の姿が。音合わせの最中だったのですが、10分くらい前にはステージ前にはかなりの人だかりが。そんなこともあって「時間の前だけど、サウンドチェックということで」ということで18時50分くらいにライブがスタート。この日のステージは相羽崇巨という名古屋在住の筋ジストロフィーの詩人が車椅子で登場。彼とは愛知県のライブイベント「リゾームライブラリー」で知り合ったとか。2人でのコラボライブとなりました。

まず最初は「星に願いを」のカバーからスタート。途中、相羽崇巨に七尾旅人が惑星の名前を尋ね、「水星」と答えると、水でうがいする音を出したり、「金星」と答えると、金星をイメージしたような音をサンプリングマシーンから出そうとしたり・・・と惑星にちなんだパフォーマンスを披露。「土星」と答えると、かぶっていた帽子を思いっきり回したり(土星の輪のイメージ?)、最後、「天王星」ではにこやかに微笑みながら手をゆっくり振って…つまり「天皇」の真似をしたんですね。かなりユーモラスなパフォーマンスで会場を沸かしました。

続いては「ストリッパーのおねえさん」へ。東京に上京してきた頃のエピソードを元にした歌詞だそうで、物語性ある歌詞をアコギ一本でじっくりと聴かせます。さらに相羽崇巨が自らの詩を朗読します。もちろん彼の詩を聞くのは今回がはじめてなのですが、結構大柄な方なのですが、その声と詩は非常に繊細な内容な印象に残ります。その彼の詩の朗読に合わせて、七尾旅人がギターをつま弾きながら、詩に合わせて、時折ハミングを加えていました。

Nanaotabito2

そこから一転「Across Africa」ではアフリカを彷彿させる自然の音をサンプリングマシーンから出しつつ、途中、観客とのコールアンドレスポンスで盛り上がり、静かなここまでの雰囲気から一転してスケール感あるステージを見せてくれました。さらに「きみはうつくしい」で再びその歌声を聴かせ、そこからそのまま再び相羽崇巨の詩の朗読へ。そして再び七尾旅人の「蒼い魚」へとそのまま続きます。アコギでしんみり聴かせつつ、サンプリングマシーンから波の音を出し、会場はまるで海辺のような雰囲気となりました。

Nanaotabito3

そして続くは彼の代表曲のひとつといえる「Rollin'Rollin'」へ。会場からは大きな歓声があがり、一気に盛り上がります。途中、観客席からおそらく14~5歳くらいの観客の少女をステージ上に引き上げます。彼女にトランペットのおもちゃのようなものを手渡し、七尾旅人の頭をそれで叩くようにお願いすると…あら不思議、「ガチャガチャ」「ビヨーン」みたいなコミカルな音が飛び出してきました。この少女がトランペットで七尾旅人の頭を叩いて飛びだしてくるユニークなリズムの音にあわせて曲が続き、会場は大盛り上がりとなりました。

Nanaotabito4 さらにもう1曲、彼の代表曲とも言える「サーカスナイト」へ。これにも再び会場からは大きな歓声があがります。すると曲の途中でいきなり七尾旅人が観客の上に。そのままサーフのように観客に運ばれ、ステージの横にあるお立ち台のようなステージに。さらにここでも5~6歳くらいの少女を再びステージ上に引き上げ、彼女と一緒に「サーカスナイト」をメロウに聴かせます。女の子は途中、曲にあわせてはしゃいだして、とてもかわいらしかったです(笑)。

最後は再び相羽崇巨の詩の朗読へ。「優しい声」という歌詞で、タイトル通りの優しく繊細の愛を綴った詩に聴きほれます。そしてそのまま七尾旅人の「きらきら星」へ。夜空の下で会場たっぷりに歌い上げ、20時ちょっと過ぎにライブは幕を閉じました。

そんな訳で1時間強のこの日のライブだったのですが、期待した通りの素晴らしいステージでした!とにかく彼の歌声は非常に繊細で美しく、かつ楽曲もそんな彼の歌声にマッチするような素晴らしい楽曲ばかり。また、この日のコラボとなった詩人の相羽崇巨の詩の朗読もこれまた素晴らしく、七尾旅人の曲のイメージともマッチしていました。一方でそんな曲の合間に見せる七尾旅人のユーモラスなパフォーマンスもまた強い印象を残すステージで、とても素晴らしい時間を過ごすことが出来ました。なんだかんだいって8年ぶりとなってしまった七尾旅人のライブ。次はもっと短いスパンで足を運びたいです!また、今回、何度も足を運んだあいちトリエンナーレのデイリーライブ、この企画もとても素晴らしい内容で、その最後が七尾旅人という人選も素晴らしい!ほどよい満足感を覚えつつ、会場を後にしました。

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2019年10月17日 (木)

ヒゲダン旋風は続く アルバム編

今週のHot Albums

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Hot100ではOfficial髭男dismの躍進が目立っています。そして今週、その風がHot Albumsにも!

今週、Official髭男dismのニューアルバム「Traveler」が見事1位を獲得。CD販売数及びPCによるCD読取数で1位。ダウンロード数は残念ながら2位となりましたが、総合順位では1位を獲得しています。特に今週は、1位の常連のベテランバンド、スピッツのアルバムも同日リリースされており、両者のデッドヒートとなりましたが、見事スピッツのアルバムを下しての1位獲得となり、その人気のほどをうかがわせます。ある意味、Official髭男dismもスピッツも、サウンド的には派手なギミックもなく、シンプルに歌を聴かせるバンドという意味では共通項も感じられます。Official髭男dismもスピッツのように末永く愛されるバンドになるか…これからの活躍にも注目したいところでしょう。

一方、惜しくも2位初登場だったのがスピッツのニューアルバム「見っけ」。CD販売数及びPCによるCD読取数はいずれも2位。ダウンロード数は9位という結果となり、総合順位でも2位という結果となりました。ちなみにオリコンの週間アルバムランキングでもヒゲダンは初動売上8万4千枚で1位、スピッツは初動売上7万7千枚で2位という結果に。ヒゲダンは前作「エスカパレード」の4千枚(15位)から20倍以上という大幅な躍進。一方、スピッツの直近作はベスト盤「CYCLE HIT 1991-2017 Spitz Complete Single Collection -30th Anniversary BOX-」の13万1千枚(1位)からダウン。オリジナルアルバムとしても前作「醒めない」の8万3千枚(2位)からダウンという結果となっています。

3位はアイドルがメタルを歌うということで話題となったBABYMETALのニューアルバム「METAL GALAXY-JAPAN Complete Edition-」がランクインしてきました。CD販売数及びPCによるCD読取数は3位、ダウンロード数では8位にランクインし、総合順位は3位に。オリコンでは初動売上7万3千枚で3位初登場。直近作はライブアルバム「『LIVE AT WEMBLEY』BABYMETAL WORLD TOUR 2016 kicks off at THE SSE ARENA, WEMBLEY」で同作の初動売上1万1千枚(5位)より大幅アップ。ただし、前作「METAL RESISTANCE」の13万2千枚(2位)から大幅ダウンとなっています。良くも悪くも話題性だけで購入していたような購買層が去っていったといった感じでしょうか。

続いて4位以下の初登場盤です。まず4位に渋谷すばる「二歳」が初登場。元関ジャニ∞のメンバーによるソロ作。以前、カバーアルバムをリリースしたことはありましたが、ジャニーズ事務所退所後、初となるオリジナルアルバムです。CD販売数4位、ダウンロード数10位、PCによるCD読取数6位。オリコンでは初動売上6万8千枚で4位初登場。前作でカバーアルバムの「歌」の初動6万3千枚(5位)からアップしています。

さて5位以下ですが、今週、女性アイドルグループBiSHのアルバムが5位以下を独占しました。これは10月11日に彼女たちの過去作をiTunesにて1日限定で300円で配信した影響。この日、テレビ朝日系バラエティー「アメトーーク!」で「BiSHドハマり芸人」がトークテーマとしてオンエアされ、それに伴う限定配信リリースとなり、その影響で過去作が軒並みランクインしています。以下5位に2016年1月リリースの「FAKE METAL JACKET」(ダウンロード数1位)、6位に今年7月にリリースされた「CARROPTS and STiCKS」(CD販売数74位、ダウンロード数3位、PCによるCD読取数87位)、7位に2015年5月リリースの「Brand-new idol SHiT」(ダウンロード数4位)、8位に2016年10月リリース「KiLLER BiSH」(ダウンロード数5位)、9位に2017年11月リリース「THE GUERRiLLA BiSH」(ダウンロード数6位、PCによるCD読取数95位)、そして10位に2017年6月リリース「GiANT KiLLERS」(ダウンロード数7位)という結果となっています。

今週のHot Albumsは以上。チャート評はまた来週の水曜日に!

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2019年10月16日 (水)

ヒゲダン旋風は続く シングル編

今週のHot100

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まずは1位。今週はジャニーズ系が首位獲得です。

1位はジャニーズWEST「Big Shot!!」が獲得。フジテレビ系「ワールドカップバレー2019」大会テーマソング。CD販売数、PCによるCD読取数、Twitterつぶやき数で1位獲得。ラジオオンエア数は20位。オリコン週間シングルランキングでは初動売上16万6千枚で1位初登場。前作「アメノチハレ」の15万9千枚(1位)よりアップ。

さて、今週のタイトル。今週、Official髭男dismのアルバム「Traveler」がランクインしてきましたが、その影響か、Hot100でもヒゲダンの躍進が目立ちます。特に今週ベスト3には、2位にOfficial髭男dism「Pretender」が先週と変わらず、3位に「イエスタデイ」が5位から2ランクアップでランクイン。ついにベスト3のうち2曲をヒゲダンが占める結果となりました。特に「イエスタデイ」はベスト10入り4週目にして初のベスト3ヒットとなりました。

さらに「宿命」も今週6位から5位にアップ。これで今週も3曲同時ランクインとなっています。またストリーミング数は「Pretender」が1位、「イエスタデイ」2位、「宿命」3位と今週もベスト3を独占。ほかにも「Pretender」はYou Tube再生回数及びカラオケ歌唱回数で2位、「イエスタデイ」はラジオオンエア数で2位など上位ランクを獲得。ヒゲダン旋風はまだまだ続きそうです。

続いて4位以下の初登場曲ですが、まずは8位にUNISON SQUARE GARDEN「Phantom Joke」がランクイン。アニメ「Fate/Grand Order -絶対魔獣戦線バビロニア-」オープニングテーマ。CD販売数、ダウンロード数及びPCによりCD読取数は5位でしたが、ラジオオンエア数11位、Twitterつぶやき数20位で総合順位はこの位置に。オリコンでは初動売上2万枚で5位初登場。前作「Catch up,latency」の2万7千枚(3位)よりダウンしています。

初登場はもう1曲。「白日」がロングヒットを記録したロックバンドKing Gnuの配信オンリーのシングル「傘」が9位にランクイン。ブルボン「アルフォート」CMソング。ダウンロード数で見事1位を記録。ストリーミング数16位、ラジオオンエア数22位、Twitterつぶやき数48位ながらも総合順位では配信オンリーながらもベスト10入りです。ちなみに「白日」の方も今週、まだ13位をキープしており、こちらもまだまだベスト10返り咲きの可能性も?

さて続いてはロングヒット曲。今週もヒゲダンのヒットが目立ちましたが、米津玄師、あいみょんもがんばっています。まず米津玄師「馬と鹿」は3位から4位にダウンしたもののこれで9週連続のベスト10ヒット。ダウンロード数及びPCによるCD読取数2位、You Tube再生回数4位と上位をキープしています。そしてあいみょん「空の青さを知る人よ」は4位から6位にダウン。一方「マリーゴールド」は9位から7位にアップ。驚異的なヒットを続けています。

今週のHot 100は以上。Hot Albumsはまた明日に!

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2019年10月15日 (火)

コミックソングからポピュラーミュージック史を眺める

今回も最近読んだ音楽関連の書籍の感想です。今回読んだのはこちら。

ライターの矢野利裕による「コミックソングがJ-POPを作った~軽薄の音楽史」という1冊。ポピュラーソングの黎明期から今に続くまで脈々と歌われるコミックソングというジャンル。本作はそのコミックソングからJ-POPというよりも日本のポピュラーミュージックシーンを分析する1冊となっています。そういう紹介を聴いて、単に日本で売れたコミックソングを順々に紹介していく本、最初はそんな予想の元に読み始めました。しかし、実際にはこの本はそんな単純にコミックソングを紹介するだけの本ではありませんでした。

このコミックソングというジャンル、アメリカではノヴェルティソングと呼ばれているのはご存じの方も多いかもしれません。この「ノヴェルティ」は「珍しさ・目新しさ」という意味あり、いままでになかった音楽が入って来た時に、まずは「その珍妙さをフックにして、人々のあいだで音楽が広まっていく」ということを著者は指摘しています。この「『ノヴェルティ』性によって音楽が広まっていく」という力学に着目した上で、その視点から日本のポピュラーミュージック史を分析した力作となっていました。

この「ノヴェルティ」性によって音楽が広まっていくと言われて、おそらく私のようなアラフォー世代にとって思い出されるのはHIP HOPでしょう。HIP HOP、特に日本語ラップは、EAST END×YURIによる「DA.YO.NE」がヒットしたように、最初はコミックソング的に扱われてきました。しかし、それにより徐々にラップが広まっていき、Dragon AshがZEEBRAをフューチャーした「Grateful Days」のヒットによって一気にブレイクしました。本書ではそんなHIP HOPがノヴェルティ性により広がっていく側面ももちろん分析していますし、さらにそんな新しい音楽がノヴェルティ性を軸として広まっていく様子を戦前の日本のポピュラーミュージックの黎明期まで遡り紹介しています。

個人的に特に興味深かったのがこの戦前のポップス史の分析。戦前のヒットメイカーとしてよく取り上げられる添田唖蝉坊という演歌師がいます。彼は「オッペケペー節」のような政治性の強い歌を歌い、その社会的な側面をよく取り上げられます。しかし本書では彼の政治的スタンスよりもむしろ「『オッペケペー』という珍妙な言葉とサウンドが人々の気を引いた」と指摘。ほかにも「まっくろけ節」や「東京節」などもユーモラスな言葉のリズムというノヴェルティ性がヒットの要因となっており、そういう音楽の意味から解放された音感、いわば「音楽の軽薄さ」こそが重要であるという著者の分析には、目からうろこが落ちる思いがしました。

著者の本書を通じた重要な主張のひとつが、この「音楽の軽薄さ」の重要性であり、まさに副題の通り、日本のポピュラーミュージックの中の「軽薄さ」に焦点を当てて、その歴史を綴っています。特に興味深かったのが戦時下におけるジャズ。戦時下のジャズマンはジャズを演奏しつつも、歌詞を軍国主義的なものにすることにより当局の規制を逃れようとした歴史を紹介しています。まさに歌詞の内容ではなく、サウンドそれ自体が政治的なアクションを取っている例であり、「音楽の軽薄さ」と述べていますが、時として歌詞などの意味から離れたサウンドそれ自体が強いメッセージ性を持ちうる場合もあることがとても興味深く感じました。

戦後のポピュラーミュージック史でも、トニー谷からクレイジーキャッツ、ドリフターズにスネークマンショーからさらにタモリからダウンタウンへと続いていき、最近ではマキタスポーツに至るまで、日本のポップソングの中で輝かしい歴史を誇るコミックソングの系譜が紹介されています。また「音楽の軽薄さ」という観点では小室哲哉を巡る「音楽の軽薄さ」を紹介。確かに音楽の精神性よりリズムの楽しさをただ重視する小室哲哉の方向性はファンの立場からも納得のいく指摘でした(かつこの点が、「良心的な音楽ファン」から小室哲哉が批判される大きな要素なんでしょうね)。

ただ「あとがき」でも著書が書いているように、あまりにも奥の深い日本のコミックソング、書き切れていないことが多くありました。個人的にもピコ太郎やPERFECT FUMANにあれだけ分量を裂くよりも、例えば音楽のジャンルが受け入れられる時の「ノヴェルティ性」という意味では、メタルにおける聖飢魔Ⅱや日本のファンクにおける米米CLUBあたりを取り上げた方が本書の趣旨に合うのでは?

もっとも著者が終始指摘している「音楽の軽薄さ」と評している音楽の身体的な楽しさは、この手の音楽評論では無視されがちなのですが、実は音楽の本質とも言える部分であり、そういう意味でも本書の分析は最初から最後まで非常に興味深く楽しむことが出来ました。思った以上に音楽の本質に切り込んだ興味深い、鋭い分析に何度もうなずかされた1冊でした。

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2019年10月14日 (月)

歌詞の雰囲気は魅力的だが

Title:boys
Musician:My Hair is Bad

途中、ミニアルバムのリリースを挟みつつ、フルアルバムとしては約1年7ヶ月ぶりとなるMy Hair is Badのニューアルバム。ブレイク作となった2枚目のフルアルバム「woman's」以降、コンスタントにアルバムをリリースするとチャート上位に食い込んでくるなど、しっかりとした人気を確保しています。

具体的な風景描写とそれに伴う心理描写が描きこまれている具体性ある切ない歌詞の世界とほどよくノイジーなバンドサウンドが魅力的なギターロックがインパクトのある彼ら。バンドサウンドの方はよくありがちなギターロック路線といった感じで目新しさはないもの、確かに歌詞に関しては、昨今の夏フェスバブルの中で雨後のたけのこのように出てくるギターロックバンドの中では一線を画するものがあり、彼らの人気の大きな要因になっているように感じます。

例えば本作でも「君が海」では学生時代を彷彿とさせるようなノスタルジックな風景描写と切ない恋を想像させるような言葉が曲の中にちりばめられておりとても魅力的。続く「青」も学生時代の思い出をそのままパッケージしたような歌詞が魅力的で、懐かしさと切なさを感じられる楽曲になっています。

ふたりの心境を観覧車に反映させて描く「観覧車」の歌詞も詩的で見事なものがありますし、「僕の最後になっておくれよ」と歌う「虜」もストレートなその歌詞に心惹かれるものがあります。女性の立場から、好きな人がほかの女のもとへと向かう姿を見送る心境を歌う「化粧」などは楽曲の雰囲気を含めて、まさに歌謡曲の世界観。全体的にウェットな雰囲気の楽曲が多く、いい意味で実に日本的なものを感じるロックバンドだったりします。

ただ一方では正直言うと、大絶賛するにはどこかあと一歩の惜しさを感じてしまうのも本作の特徴。前述のとおり、シンプルなギターロックは良くも悪くも特徴がありませんし、後半になると「舞台をおりて」のようなへヴィネスさが増したサウンドが聴けたりもするのですが、サウンドだけで惹きつけるには物足りなさもあります。

楽曲のバリエーションにしても「怠惰でいいとも!」のようなコミカルな曲があったり、ラップを取り入れた曲があったりとそれなりにバリエーションを出そうとしているのですが中途半端。また歌詞も非常に魅力的な歌詞ではあるものの、これといったキラーフレーズがないためひっかかりが弱かったり、心理描写にしても比較的表層的で、「あっ」と思わせるような言葉には残念ながら出会えません。その中途半端さが特徴的なのはインターリュード的な「one」で、演劇的なセリフのみで構成された実験的な「曲」なのですが、いまひとつ言いたいテーマが不明確なまま終わってしまっています。

要するに歌詞にしてもサウンドにしてもあと一歩のひねりがほしかったな、と思う中途半端さが残念に感じてしまいます。もっとも逆に言えば、歌詞にしてもサウンドにしてもあと一歩という感じであるため、上手くはまればとんでもない傑作がリリースされるような予感もするアルバム。そういう意味では間違いなく今後が楽しみ、と言えるバンドだと思います。ここ数作のアルバムがチャート上位に食い込んでいるものの、「大ブレイク」という意味では「あと一歩」の感もある彼ら。とんでもない傑作がリリースされれば、一気にお茶の間レベルの人気バンドになる、かも?

評価:★★★★

My Hair is Bad 過去の作品
woman's
mothers
hadaka e.p.


ほかに聴いたアルバム

今は今で誓いは笑みで/ずっと真夜中でいいのに。

ACAねという女性ボーカリストを中心としたユニットずっと真夜中でいいのに。の2枚目となるミニアルバム。ビルボードのHot Albumsやオリコンでも1位を獲得し、人気上昇中のユニットなのですが、感想としては前作とほぼ同じ。ハイトーンボイスの女性ボーカルと疾走感あるサウンドは良くも悪くも昨今のネット中心に人気を確保するミュージシャンにありがちなスタイルで聴き飽きた感もありますし、意味がありげなのですが、どうも深さを感じさせない歌詞の世界観にもどうもピンと来ません。今年のフジロックにも出演した彼女たち。最近フジロックは観客動員のためか、以前に比べると「売れ線」の邦楽ミュージシャンも積極的に呼ぶようになってきたのですが、それにしてももうちょっと選んでもいいのでは?とすら思ってしまいます。前作「正しい偽りからの起床」に続いて彼女たちの作品を聴くのはこれが2枚目なのですが、3枚目はさすがにもうスルー・・・かなぁ。

評価:★★★

ずっと真夜中でいいのに。 過去の作品
正しい偽りからの起床

PACIFIC/クレイジーケンバンド

デビュー21年目を迎えるクレイジーケンバンド。以前はほぼ毎年、オリジナルアルバムをリリースし続けてきた彼らでしたが、前作「GOING TO GO-GO」は約3年ぶりとちょっとスパンの空いた久々のニューアルバムとなりました。しかし今回のアルバムは再び前作「GOING TO GO-GO」からわずか1年というスパンでリリースしてきており、彼らの変わらぬ勢いを感じさせます。

ただ、楽曲的には1曲1曲、相変わらず高いクオリティーで安定した出来栄えの曲が並んでいるものの、アルバム全体として核になるような曲がなく、アルバム全体を聴き終わった後にいまひとつ印象に残らないような内容に・・・。一番インパクトを感じたのが「南国列車」のVIDEOTAPEMUSICによるリミックスだった、というのがちょっと残念な感じ。出来としては決して悪くないだけに、1曲2曲程度、強いインパクトのある曲だったり、いつもとちょっと違う雰囲気の曲が入っていれば、全然印象が変わるアルバムになっていたと思うのですが・・・。来年リリースされるであろう、次のアルバムに期待したいところです。

評価:★★★★

クレイジーケンバンド 過去の作品
ZERO
ガール!ガール!ガール!
CRAZY KEN BAND BEST 鶴
CRAZY KEN BAND BEST 亀

MINT CONDITION
Single Collection/P-VINE YEARS
ITALIAN GARDEN
FLYING SAUCER
フリー・ソウル・クレイジー・ケン・バンド
Spark Plug
もうすっかりあれなんだよね
香港的士-Hong Kong Taxi-
CRAZY KEN BAND ALL TIME BEST 愛の世界
GOING TO A GO-GO

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2019年10月13日 (日)

結成30周年の記念ライブ

フラワーカンパニーズ presents DRAGON DELUXE DELUXE

フラワーカンパニーズ/スピッツ

会場 名古屋国際会議場センチュリーホール 日時 2019年10月4日(金)

今年、結成30周年を迎えた名古屋出身のベテランロックバンド、フラワーカンパニーズ。その結成30周年を記念したライブイベントが先日、彼らの地元名古屋のセンチュリーホールで開催されました。以前から彼らが主催して行っていたライブイベント「DRAGON DELUXE」のさらに「DELUXE」と題された今回のライブ。以前、フラカンについては2011年におこなわれた今は亡き夏フェス「Rock on the Rock」でそのステージを見て、とても素晴らしいライブだったので一度見ていたい・・・と思いつつ、それから8年。今回のこのライブイベント開催を知り、じゃあ是非見てみよう、ということもありチケットを確保しました。

今回のライブイベント、ゲストミュージシャンの名前が伏せられており、一般販売が開始された後もしばらくは名前が公表されないような状況でした。そのため、おそらく発表されたらセンチュリーホールクラスはあっという間にソールドアウトしてしまうような大物なんだろうなぁ、という期待をしつつチケットを確保。そしてしばらくするとゲストミュージシャンがスピッツと発表。これにはおもわずガッツポーズしてしまいました(笑)。そんな訳で、通常ならアリーナクラスのライブではないとなかなかチケットが確保できないスピッツのステージを思いがけず彼らとしては狭めの会場で見ることが出来ました。

Flower01

←そんな訳で、スピッツのおかげ(?)で見事、会場もソールドアウト。もっとも、フラカンのステージでは会場全体が盛り上がっていましたので、決してスピッツのみが目当ての観客が多かった訳ではなく、私のようにはじめて来た観客や久々に足を運んだファン、遠隔地からのファンも多かったのでしょう。当初開演時間をしばらくすぎると、まずはフラワーカンパニーズの4人がステージに姿を現します。まずは挨拶と開幕の宣言、そしてゲスト、スピッツの紹介と続き、まずは待望のスピッツの登場となりました。

メンバーのうち、ベースの三輪テツヤは素肌にサスペンダーデニムといういで立ち。このスタイル、フラカンのグレートマエカワのスタイルを真似ており、それで笑いのような歓声も(笑)。そしてライブは「ハイファイローファイ」そして「メモリーズ」とライブ映えするロックな曲が続きます。

その後は挨拶を兼ねたMCがあり、リリース予定の新譜「見っけ」からの新曲。さらに「魔法のコトバ」と続きます。そして、それに続いてはフラワーカンパニーズのナンバー「ビューティフルドリーマー」のカバー!これには会場からも大きな歓声が。その後のMCでは草野マサムネが「フラカンと自分たちって似たようなタイプのバンドなんだよね」「先日、RADWIMPSの『前前前世』のカバーをやったんだけど、全然違う。フラカンだと自分が思った通りに曲が展開していく」「きっと同世代のバンドだからなんだろうけど・・・」という話をしていました。

さらに最新シングルの「優しいあの子」を挟んだ後、「トンガリ'95」「8823」とライブ映えするアップテンポなナンバーが続き、最後は彼らの大ヒット曲「涙がキラリ☆」で会場を盛り上げ、約45分でステージから去っていきました。

そして15分程度のセットチェンジの後、お待ちかねのフラワーカンパニーズの登場。まずはいきなり彼らの代表曲「深夜高速」からスタート。さらには「はぐれ者賛歌」「永遠の田舎者」と続き会場を盛り上げます。以前のフェスの時にも感じたのですが非常に力強い迫力ある演奏にまずは惹きつけられつつ、MCへ。鈴木圭介が「普段は東京に住んでいるけど名古屋人です!」といったら、グレートマエカワに「普段は東京人って言ってるじゃん」と突っ込まれたりして(笑)いましたが、やはりそこは名古屋出身のバンド、30周年の記念ライブは名古屋でやることを決めていたとか。この日はグレートマエカワと竹安堅一の母校である高校の同窓会からもお祝いの花束が届いていました。Flower2

(写真右:その母校の同窓会からの花束。ちなみに自分の出身地と同じく「区内」の地元中の地元で、そういう意味ではちょっとうれしくなったりして)そんなMCを挟みつつ、その後は最新アルバム「50×4」からのナンバーなどが続きます。さらに「名古屋にいた時につくった曲」ということで25年以上前の「暖かいコーヒー」という曲を。こちらはタイトル通り、アコースティックで暖かい雰囲気の曲となっていました。

そしてその後はメンバー紹介から「真冬の盆踊り」へ。この曲では会場全体が手を上にあげて一体となって踊りまくります。途中、メドレー的にスピッツの「メモリーズ」のカバーに会場からも歓声が。会場全体が盛り上がった中、ラストチューンということで「サヨナラBABY」で締めくくり。全50分のステージでした。

その後はもちろん盛大なアンコールへ。正直、フラカンのステージがたった1時間弱でちょっと早いな・・・と思っていたのですが、セットチェンジではドラムセットが2つセット。マイクもステージ前方に6本用意され、やがて出てきたフラカンのメンバーも「お気づきだとは思いますが・・・」とスピッツのメンバーを呼び出します。ここらからは、なんとフラカンとスピッツのメンバー合同によるステージに。草野マサムネ曰く、ボーカリストとして1人だけ参加したセッションは多かったけど、バンド全体が一緒にやるということははじめてでは?ということでした。

そんな豪華なセッションライブ。まず最初は鈴木圭介からのリクエストということでスピッツのデビューシングル「ヒバリのこころ」からスタート。基本的に楽器部隊は全員そろっての演奏で、鈴木圭介と草野マサムネは1番ずつ交互に歌うスタイル。ちょっと意外な選曲に、曲が終わった後、草野マサムネが「なんでこの曲?」と聴いたら、「ただただ好きなんです!」とちょっと恐縮したように答えていました。

その後はフラカンの「最後の夏」、そしてスピッツの「野生のポルカ」とお互いの曲を交互に披露。曲の合間にMCが入るのですが、草野マサムネの方が先輩ということで鈴木圭介が妙に恐縮していました(笑)。さらに「野生のポルカ」の後は地元ネタということでスガキヤの話も。この日はバックステージのケータリングでスガキヤが提供されたとか。またスピッツがフランスでジャケットの写真を撮影した時、なぜか街中でスガキヤのカップラーメンを売っていた話などで盛り上がります。マサムネもそんなにたくさん話すタイプではないし、鈴木圭介も先輩の前で恐縮していたのに、「お互い50歳を過ぎちゃうと、なぜか話が長くなったうんだよね」となぜかタラタラとMCが続きます(笑)。で、終電になってしまう人もいるから、ということで「スピッツにないナンバーを」(byマサムネ)と「恋をしましょう」へ。確かにスピッツにはないハードなナンバーで、ラップ気味のハイテンポな歌詞を歌う草野マサムネという貴重なカバーを聴くことができました。

そして、曲が終わると、スペシャルゲストということで、なんと!スガキヤのキャラクター、スーちゃんが登場!そっか、スガキヤの話をしていたのは、この前振りなのか(笑)。意外なゲストに、この日一番ではないか?というほどの大歓声が上がりました(ちなみに大きなビニール製の着ぐるみの人形ですよ、念のため)。そしてこの日最後は、「フラカンの曲でもスピッツの曲でもない曲を」ということでなぜかCHAGE&ASKAの大ヒット曲「YAH YAH YAH」へ。いや、なぜフラカンのイベントでチャゲアス???と思いつつも、この曲で盛り上がらないのは嘘でしょ、といった感じで会場は大盛り上がり。観客も私と同じくらいのアラフォー世代がメインなので、この曲はちょうど世代的にピッタリなんでしょうね。フラカンとスピッツによる「YAH YAH YAH」のカバーという貴重なステージを堪能しつつ、このアンコール(というより第三部)は約45分、9時15分頃にライブは幕を下ろしました。

最初、フラカンのステージが1時間弱で終わった時は予想よりもかなり早いな、と思ったのですが、結果としてアンコール、というよりも最後のジョイントのステージも含めて事実上、3部構成のようなライブとなっており、スピッツの演奏も前座的なライブのゲストという感じではなく、フラカンと同様にお腹いっぱい楽しむことが出来ました。

久しぶりにフラカンのステージを見たのですが、やはり迫力満点のステージは非常にカッコよく、センチュリーホールのような大きめな会場もいいのですが、ライブ会場も似合いそうなそんな印象も強く受けました。またライブバンドとしても非常に魅力的なバンドであることを再認識しました。スピッツももちろん、すばらしいメロの曲にあらためて聴きほれつつ、ロックバンドとしての骨太さも感じられたステージ。スピッツのライブも2011年に見たワンマンライブ以来久しぶりだったのですが、やはりスピッツのライブはいいなぁ、とあらためて感じたステージでした。

そんな訳で、フラカンとスピッツという2組のバンドが同時に見れる非常にお得感の強いライブイベント。最初から最後までとても楽しむことが出来ました。どちらもちょっと久々となってしまいましたが、またもうちょっと間をあけずに彼らのステージを見てみたいなぁ。とても楽しめた3時間弱のイベントでした。

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2019年10月12日 (土)

エレクトロサウンドを取り入れた明るいポップアルバム

Title:Lover
Musician:Taylor Swift

世界的に高い人気を誇るポップミュージシャン、Taylor Swiftの約1年9ヶ月ぶりとなるニューアルバム。アメリカのビルボードチャートでもイギリスのナショナルチャートでも当然のように1位を獲得。日本でもアルバムチャートでベスト3に食い込むなど、世界的に高い人気を今回のアルバムでも見せつけています。

Taylor Swiftといえば、もともとはカントリーミュージシャンとしてその名を広めたミュージシャン。デビュー当初はアコースティックで言うまでもなくカントリー色の強いポップスを奏でてきました。しかし徐々にカントリー色が薄まりポップ色が強くなり、特に前作ではエレクトロサウンドを全面的に取り入れたアルバムとなってきました。

そもそもカントリーといえばアメリカ国内のみで熱烈な支持を受ける地域性が強くかつ保守的というイメージも強い音楽。もともとデビュー当初から彼女の音楽はアメリカ国内の人気に留まらないようなポピュラリティーを持った曲だったのですが、世界で人気を広げた結果、カントリーという枠組みに捕らわれない、世界を視野に入れたポップスを歌い出した、ということなのでしょう。

今回のアルバムでも前作と同様、エレクトロサウンドを取り入れたポップな曲調が特徴的。ただ、比較的暗めの作風の曲が多く、結果としてインパクトが薄かった前作に比べるとピンクを基調としたジャケット写真からもわかるように明るい雰囲気の曲調の多くなった本作では、楽曲のインパクトもグッと増したように感じます。「I Think He Knows」のような明るく軽快なエレクトロポップや「London Boy」のようなキラキラしたアレンジがかわいらしい雰囲気すら感じるポップチューンが並びます。

そんなポップミュージックには正直言うと目新しさはほとんどありません。今時のミュージシャンにありがちな、例えば今風のベースミュージックの要素を入れてくるとか、トラップ風のリズムを入れてくるとか、そういう部分は皆無。エレクトロサウンドといってもちょっと懐かしさすら感じるようなサウンドが特徴的で、良くも悪くも安心して聴けるポップチューンに。また、だからこそ幅広く人気を確保しているのでしょう。

もっとも一方では「Cornelia Street」のようにR&B的な要素を感じさせる伸びやかなポップチューンがあったり、ムーディーに歌う「False God」のような曲もあったりとバラエティー豊富でリスナーを最後まで飽きさせません。またカントリーミュージシャンであるDixie Chicksも参加した「Soon You'll Get Better」は初期の彼女を彷彿とさせるようなカントリーバラードとなっており、決して彼女がカントリーを捨てた訳ではないことを感じられます。この音楽的なバリエーションの豊富さも彼女の人気の秘訣なのでしょう。

日本でも高い人気を誇るミュージシャンなのですが、それも納得の、いい意味で万人が楽しめる良質なポップアルバムに仕上がっていました。ちょっと地味目だった前作と比べるとアルバムのインパクトも増してエレクトロサウンドもいい感じで彼女のスタイルになじんできているように感じます。すっかり世界的なシンガーとなった彼女。その人気はまだまだ続きそうです。

評価:★★★★

TAYLOR SWIFT 過去の作品
FEARLESS
RED
1989
REPUTATION

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2019年10月11日 (金)

奥深き、阿波踊りの世界

ここでも毎作紹介している、久保田真琴プロデュースにより阿波踊りを「音楽」として収録しアルバムとしてリリースしているぞめきシリーズ。先日、その第7弾と第8弾が同時にリリースされました。

Title:ぞめき七 徳島阿波おどり 純情派

まず第7弾はいつも通りの「ぞめき」シリーズ。「躍動するリズムと瑞々しいメロディーで、清らかな響きを感じさせる徳島の6連を収録」という紹介をされています。いままでの「ぞめき」の作品でも躍動するリズムを感じられたので、今回の作品が本当にそこまでこのテーマ性に沿ったものなのかどうかは微妙なのですが、今回収録されている6組についてはいずれも同じ阿波踊りといってもそれぞれの個性を感じられる魅力的な録音が並んでいました。

個人的にこの6組の中でも気に入ったのが「本家大名連」。強いビートを前に押し出した演奏と、そこに重なる鐘を強く打つ音色がインパクトある演奏で、CDの解説文にも「ファンキー」という表現をされていましたが、まさにそんな印象を受ける独特のビート感が癖になりそうな演奏となっています。

ほかにも冒頭の「葉月連」は軽快なリズムが特徴的で、今回の「ぞめき七」のテーマ、「躍動するリズムと瑞々しいメロディー、清らかな響き」というイメージがピッタリくる演奏。「殿様連」は全体的にちょっとしっとりとした雰囲気。「やっこ連」はハイテンポなビートで疾走感あるリズムが印象的。「藝茶連」はエッジの効いたタイトなリズムが印象的で、演奏からも迫力を感じさせます。そしてラストを締めくくる「無作連」はある意味王道的なイメージ。シンプルなサウンドながらも力強さを感じさせる躍動感あふれる演奏が大きな魅力となっています。

今回の録音は、いままで行ってきた公民館や体育館でのレコーディングと異なり、四国大学音楽科のスタジオを利用して録音されたとか。そのため久保田本人も「今までで一番音の分離がよくてクリアだと思う」と語っているようですが、確かに素人の耳で聴いてもいままでの作品に比べると、より音像がはっきりした形で耳に飛び込んできており、演奏のリアリティーが増しているように感じました。個人的に今回の「ぞめき七」、最高傑作に近い出来栄えにも感じられたのですが、それは今回のこの録音状態の良さに起因する点が大きいようにも感じました。

しかしそれにしても今回で第7弾となる「ぞめき」ですが、いまだにこれだけの演奏を収録できるとは、その奥の深さにあらためて感心させられます。特にこういうビートミュージックが日本の民俗芸能として古くから存在しているという事実にまた、うれしくなってしまいます。このシリーズ、毎作チェックしているのですが、今後の展開も楽しみです。

評価:★★★★★

Title:ぞめき八 Re-mixes Stupendous!

で、その「ぞめき」シリーズ第8弾はリミックス作品。デンマーク在住のコンゴ人とポーランド人のハーフのプロデューサーでDJのMooLatteやブラジル北東部のパライバ州出身のChico Correaなど久保田麻琴本人がセレクトしたリミキサーによるリミックス。その人選からもわかるように、ワールドワイドな人選を行っており、ほかにもイスラエル、カメルーン、ウクライナなどのミュージシャンが参加。また日本からも、水曜日のカンパネラとの仕事で話題となったオオルタイチもリミキサーとして参加しています。

それぞれが阿波踊りのビートを独自の解釈で行っているリミックスは非常にユニーク。Chico Correaによる「Zomeki no.61"Paraiba Dub"」やイスラエル出身のサーフロックバンドBoom Pamのリーダー、Uriによる「Zomeki no.65 "Jaffa Strut"」などダブを取り入れたリミックスが目立つのですが、一方ではウクライナ人マルチ楽器奏者のOMFOによる「Zomeki no.63 "Obake Odori"」のように和太鼓や琴の音色を取り入れて、あえて「日本風」を強調したようなリミックスやWho?Me?とカメルーン人ラッパーValのユニット、Ambient Chameleonによる「Zomeki no.64 "Awa Gnawa"」のようにHIP HOP的なサウンドを取り入れたもの。さらには映画音楽やアニメ音楽で活躍する石川智久のユニット、TECHNOBOYS PULCRAFT GREENFUNDによる「Zomeki no.66 "Mayuzuki goes to Bollywood"」のような、阿波踊りの鐘のビートをトランシーに取り入れたリミックスなどユニークなリミックスが並びます。

そんな訳で、個々のリミックスについてはバラエティーに富んでおり、阿波踊りのビート感を上手く取り入れた良作が並んでいます。しかし、例えば「ぞめき七」と比べてしまうと、リミックスで原曲に付加したリミックスのアレンジはどうしても蛇足に感じてしまいます。エッジの効いた躍動感あるリズムという阿波踊りの大きな魅力がリミックスにするとどうも薄れてしまっているような感もあり、リミックス作品単体としては優れているように感じたのですが、阿波踊りの魅力を感じるには、やはり何もアレンジを加えない元の演奏の方がよいのでは?と強く感じてしまいました。

阿波踊りをリミックスするという試みは非常に面白いとは思うのですが、正直言って、それで魅力が増しているか、と言われるとかなり疑問を感じてしまう作品。まあ、こういうのもありかもしれないけどね、という消極的な評価になってしまいます。ミュージシャンとしてこういう試みをしてみたくなることはわかるような気もするのですが・・・。

評価:★★★★


ほかに聴いたアルバム

Never Grow Up/ちゃんみな

「練馬のビヨンセ」という愛称を持つ女性ラッパーの2枚目となるアルバム。トラップなど今風のHIP HOPの要素を取り入れつつ、歌モノの要素も非常に強いアルバム。ただ、全体的にHIP HOPというよりもR&Bの色合いが強かった前作に比べるとHIP HOP寄りにシフトした感の強いアルバムに。全体的にダウナーな雰囲気の作風になっているのですが、

「正直 1人で生きていける
だから可愛げがなさすぎる
この国はそんな子は
モテない呪いがあるんだ」
(「Can U Love Me」より 作詞 ちゃんみな、Marlon"Chordz"Barrow)

といった男性社会を皮肉った歌詞にドキリとさせられるような部分も。女性の本音を赤裸々に切り取った歌詞が特徴的なのですが、こういう男性陣をドキリとさせるような攻撃的な歌詞がもっと増えればインパクトもさらに増しておもしろいと思うのですが。

評価:★★★★

ちゃんみな 過去の作品
CHOCOLATE

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2019年10月10日 (木)

人気上昇中のロックバンドが見事1位獲得

今週のHot Albums

http://www.billboard-japan.com/chart_insight/

タイトル通り、見事1位獲得です。

今週1位を獲得したのはMrs.GREEN APPLE「Attitude」。これが4枚目のアルバムとなる人気上昇中の5人組ロックバンド。CD販売数は3位、PCによるCD読取数は10位でしたが、ダウンロード数が1位を獲得し、総合順位でも1位を獲得しました。オリコン週間アルバムランキングでは初動売上2万6千枚で4位初登場。前作「ENSEMBLE」の1万5千枚(3位)からアップ。順位こそダウンしてしまいましたが、初動売上は大幅にアップしており、その人気ぶりをうかがわせる結果となっています。

一方2位はベテランバンドGLAY「NO DEMOCRACY」がランクイン。デビュー25周年を記念してリリースされた約2年3ヶ月ぶりのオリジナルアルバム。CD販売数はこちらは1位を獲得したものの、ダウンロード数4位、PCによるCD読取数は7位に留まり、総合順位でも惜しくも2位に留まりました。オリコンでは初動売上3万9千枚で2位初登場。直近作は過去作のリアスタリング盤「HEAVY GAUGE Anthology」の5千枚(8位)から大きくアップ。ただしオリジナルアルバムとしては前作「SUMMERDELICS」の5万2千枚(1位)からはダウンしています。

3位初登場は神宮寺レン(諏訪部順一 )「うたの☆プリンスさまっ♪ソロベストアルバム 神宮寺レン『Rose Rose Romance』」。CD販売数は2位でしたが、PCによるCD販売数15位で総合順位はこの位置に留まりました。オリコンでは初動売上3万枚で3位初登場。同シリーズでは前作、一ノ瀬トキヤ(宮野真守)「うたの☆プリンスさまっ♪ソロベストアルバム一ノ瀬トキヤ『Target is you!』」の3万3千枚(3位)からダウン。

続いて4位以下の初登場盤です。まず4位に虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会 「Love U my friends」がランクイン。アニメキャラによるアイドルプロジェクト「ラブライブ!」の一環である「ラブライブ! スクールアイドルフェスティバル」に登場するキャラクターによるキャラソン。CD販売数4位、ダウンロード数10位、PCによるCD読取数14位で、総合順位は4位獲得。オリコンでは初動売上2万枚で5位初登場。前作「TOKIMEKI Runners」の2万2千枚(5位)からダウン。

5位には韓国の男性アイドルグループSuperMのデビューアルバム「SuperM」がランクイン。テミン(SHINee)、ベクヒョン、カイ(EXO)、NCTよりテヨン、マーク(NCT 127)、ルーカス、テン(WayV)というメンバーで構成されているスーパーグループで本作が全世界デビュー作。国内盤のリリースがないためダウンロード数のみ2位にランクインして総合順位でもベスト10入りです。

6位初登場はハロプロ系のアイドルグループこぶしファクトリー「辛夷第二幕」。「辛夷」はこれで「こぶし」と読むそうです。CD販売数6位、ダウンロード数8位、PCによるCD読取数54位。オリコンでは初動売上1万4千枚で7位初登場。前作「辛夷其ノ壱」の9千枚(11位)からダウン。

7位にはユニコーン「UC100W」がランクイン。今年は「ユニコーン再結成10周年」、現メンバー体制となった「アルバム『服部』から30周年」、「ドラム川西幸一還暦、つまり60周年」で合わせて100年ということで、「ユニコーン100周年」を掲げている彼らの、今年2年目となるオリジナルアルバム。CD販売数5位、ダウンロード数29位、PCによるCD読取数23位。オリコンでは初動売上1万3千枚で8位初登場。前作「UC100V」の1万8千枚(5位)からダウン。

8位初登場はNissy(西島隆弘)「Nissy Entertainment 5th Anniversary (BEST DOME TOUR at TOKYO DOME 2019.4.25)」。AAAのメンバーのNissyこと西島隆弘のタイトル通り、4月に東京ドームで行われたライブ音源が配信リリース。ダウンロード数で3位にランクイン。配信オンリーながらもベスト10入りしてきました。

初登場最後は10位に人気女性声優の内田真礼「you are here」がランクイン。全6曲入りのミニアルバム。CD販売数7位、ダウンロード数19位、PCによるCD読取数30位。オリコンでは初動売上1万枚で9位初登場。前作「Magic Hour」の1万3千枚(7位)からダウンしています。

今週はベスト10のうち9作まで初登場という新譜ラッシュとなりました。その影響もありロングヒット中だった嵐のベスト盤「5×20 All the BEST!! 1999-2019」は13位までダウン。ベスト10ヒットは連続14週で残念ながら一度、幕引きとなりました。

今週のHot Albumsは以上。チャート評はまた来週の水曜日に!

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2019年10月 9日 (水)

今週も強い3組のミュージシャン

今週のHot100

http://www.billboard-japan.com/chart_insight/

まずAKB系の女性アイドルグループが1位獲得です。

まず1位を獲得したのは日向坂46「こんなに好きになっちゃっていいの?」がランクイン。相変わらずの清純派路線の王道的なアイドルポップスに仕上げています。CD販売数1位、ダウンロード数5位、PCによるCD読取数2位、Twitterつぶやき数4位。一方、ストリーミング数は41位、ラジオオンエア数は34位に留まっています。オリコン週間シングルランキングでも初動売上47万6千枚で1位獲得。前作「ドレミソラシド」の44万8千枚(1位)からアップしています。

さて、2位以下は今週もまた、圧倒的な強さを見せている3組のミュージシャン、Official髭男dism、米津玄師、あいみょんがズラリと並んでいます。まずはOfficial髭男dism。2位に「Pretender」がまずランクイン。先週よりワンランクアップ。今週もストリーミング数で1位を獲得したほか、You Tube再生回数でもついに初となる1位を獲得しています。他にも今週は「イエスタデイ」が先週と変わらず5位をキープ。「宿命」も6位をキープと今週も3作同時ランクインとなっています。さらにストリーミング数では今週も2位「イエスタデイ」、3位「宿命」とベスト3を独占。まだまだヒゲダン旋風は続きそうです。

3位は米津玄師「馬と鹿」がワンランクダウンながらもベスト3をキープ。これで8週連続のベスト10ヒットとなり、「Lemon」はさすがに今週も14位にとどまっており、ここまで感が強いのですが、それに代わり、新たなロングヒット作となりそうです。ちなみにFoorin「パプリカ」は今週13位にダウン。ただ、こちらはまだまだ返り咲きも期待できそう。

そしてあいみょん「空の青さを知る人よ」が先週の15位から一気に4位にアップし、ベスト10に返り咲いています。これは今週、CDがリリースされてCD販売数がランキングに加味された影響。ただし、CD販売数は9位に留まっており、相変わらずストリーミングやダウンロードではヒットするのにCDはさっぱり売れない、という状況が続いています。ただ本作はラジオオンエア数で見事1位を獲得したものの、ダウンロード数及びストリーミング数も9位、You Tube再生回数も7位に留まっており、ロングヒットはちょっと厳しいか?オリコンでは初動売上7千枚で7位初登場。前作「真夏の夜の匂いがする」(18位)から横バイ。

なお、あいみょんは今週、「マリーゴールド」も先週から変わらず9位をキープし、ベスト10入りを続けています。こちらはまだストリーミング数及びYou Tube再生回数で5位を記録しており、まだまだヒットは続きそうです。

さて、そのほかの初登場曲です。まず7位に香取慎吾「10%」がランクイン。ご存じの通り、先日10月1日に消費税が10%にアップしましたが、それにちなんで10月1日に突然配信でリリースされたソロシングル。ただ、増税のネガティブなイメージとはあえて反するような軽快でダンサナブルなファンクチューンに仕上がっています。ダウンロード数3位、ラジオオンエア数27位、Twitterつぶやき数で2位を獲得し、配信オンリーながらも見事ベスト10入りです。

8位には男性声優によるラッププロジェクト、ヒブノシスマイクよりDivision All Stars「ヒプノシスマイク -Division Rap Battle- +」が先週11位からランクアップし、2週目にしてベスト10入り。ストリーミング数38位、Twitterつぶやき数12位、You Tube再生回数15位ながらもダウンロード数で2位を獲得し、こちらも配信オンリーながらも見事ベスト10入りです。

初登場組最後は10位にTHE RAMPAGE from EXILE TRIBE「SWAG&PRIDE」が先週の88位からCD販売にあわせてランクアップしベスト10入り。EXILEの弟分的なボーカルグループで、楽曲的にはよりワイルドな雰囲気を売りとしている模様。CD販売数は2位だったのですが、ダウンロード数及びTwitterつぶやき数40位、ストリーミング数80位、ラジオオンエア数及びPCによるCD読取数14位と軒並みふるわず、総合順位ではギリギリのベスト10入りとなりました。オリコンでは初動売上3万3千枚で2位初登場。前作「WELCOME 2 PARADISE」の5万7千枚(3位)からダウン。初動売上ダウンは10月30日リリース予定のアルバムからの先行シングルであることが影響している模様。

今週のHot100は以上。明日はHot Albums!

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2019年10月 8日 (火)

話題のラッパーのデビュー作

Title:So Much Fun
Musician:Young Thug

ここ数年来、HIP HOPシーンを席巻しているトラップというムーブメント。ちょっと前までは「新しいジャンル」として注目され、メディアにもよく取り上げられていましたが、ここ最近ではあまりそのような形で取り上げられることが少なくなったような感じもします。ただ、それはブームとして収束した・・・という話ではなく、むしろここ最近は様々なミュージシャンがトラップの要素(特にハイハットの連続音に特徴づけられる独特のリズム)を取り入れることにより、トラップというジャンルがわざわざ新しいムーブメントとして取り上げる必要のないような、音楽シーンの中で根付いたジャンルになりつつあるように感じます。

個人的には正直言って、あまりトラップというジャンルにピンと来ることがなく、積極的に聴くようなことはあまりありませんでした。もちろん毛嫌いしていた、とかいう話ではなく、例えば日本でトラップを取り入れた第一人者であるゆるふわギャングなどは好んで聴いていましたし、ミュージシャン単位では好き嫌いがあったのですが、それも特にトラップというジャンルが気に入っていた訳ではありませんでした。ただ、ここ最近、耳が慣れてきたのか、あの独特のリズムに妙な中毒性を感じるようになってしまっていました。

今回紹介するYoung Thugというミュージシャンも、そんなトラップシーンを代表するラッパーの一人。奇抜なファッションも話題となったり、同じくトラップシーンの代表格のラッパー、Futureと喧嘩したニュースも話題となったそうです。ただ、Futureとは後に和解。本作でもFutureが参加したトラック「Sup Mate」が収録されています。本作はそんな話題のラッパーによるスタジオアルバムとしてはデビュー作(いままではミックステープという形態でのみのリリースだったので)。ただ、高い注目を集め、ビルボードチャートでは見事1位を獲得しています。

楽曲的にはもちろんトラップをベースとしたサウンドが大きな特徴。トラップの特徴であるハイハットを多用した高音の細かいリズムで、軽快でリズミカルなサウンドが終始流れており、大きなインパクトとなっています。ただ、そんな特徴以上に大きく印象に残ったのが、トラップをベースにしつつ、非常にメロディアスでポップなメロが流れているという点。1曲目「Just How It Is」から物悲しげなメロディーラインが前に出ている楽曲になっていますし、「Surf」もラップがメインながらもしっかりとしたメロディーラインが流れています。「What's The Move」も鳥の声をサンプリングして爽やかさを感じるメロディーが流れていますし、「I'm Scared」もトラップのリズムの中で爽快なエレクトロサウンドが流れ、ポップでメロディアスな作風の曲に仕上がっています。

楽曲のバリエーションとしてもちょっとコミカルさを感じる「Jumped Out The Window」やメタリック感のある歪んだサウンドが不気味に鳴り響く「Pussy」などバラエティー豊富。最後はJ.ColeとTravis Scottという豪華な面子がゲストで参加している「The London」というリズミカルなトラップチューンで締めくくっています。

意外と人懐っこさすら感じるメロディーラインに、1時間2分という長さながらも19曲入りで1曲あたり3分程度の短さというテンポの良さ、さらには楽曲のバリエーションという要素も重なり、いい意味でポップで聴きやすい内容となっており、ビルボードチャート1位という人気も納得の内容。また、ポップで耳馴染みやすい作風だからこそ、そんな中で流れているトリップのリズムの中毒性に知らず知らずにはまっているようなアルバムにも感じました。ま、正直、トラップのリズムがあふれている現状だからこそ、その状況が今後どれだけ続いていくかは非常に微妙なのですが、そんなことはさておき、純粋に優れたHIP HOPのアルバムとして楽しめる傑作アルバムだったと思います。HIP HOPに興味ある方はもちろん、そうでなくても意外と楽しめるかも?

評価:★★★★★

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2019年10月 7日 (月)

歌は世につれ

今日はまた、最近読んだ音楽関連の書籍の紹介です。

今回読んだのは芸能ライターのとみさわ昭仁による「レコード越しの戦後史」という一冊。戦後に生じた様々な出来事を、それに関連して発売された歌謡曲とリンクさせて紹介して戦後史を概観しようと試みた一冊です。

「歌は世につれ世は歌につれ」というのは歌謡曲を語る際によく言及される言葉ですが、この本で紹介されている曲はまさに「歌は世につれ」を体現化している曲がいろいろと紹介されています。もっとも必ずしもヒットしたり話題となった曲ばかりではなく、便乗商法的に売り出された曲やほとんど流通しなかったような「知る人ぞ知る」曲も含まれているため、重箱の隅をつつくような選曲も少なくないのですが、ただ、パンダが日本にやって来た時は本書曰く「100種類以上」のパンダに関連するレコードがリリースされたり、ほかにも80年代に都市伝説として一躍話題となった口裂け女にちなんだレコードが存在していたり、アポロ11号の月面着陸にちなんで「月の世界でランデブー」(椿まみ)、「静かの海のブルース」(宝田明)なんて歌謡曲がリリースされたりと、ある種の節操のなさに歌謡曲のしたたかさを感じてしまいます。

最近では良くも悪くもこの手の便乗歌がグッと減ってしまったような感じがします。もっとも最大の理由がそもそもCDが売れなくなってしまい、世の中の出来事に便乗した曲を作ったとしてもお金儲けが出来なくなってしまったから、という理由が大きいのでしょう。まあ、安直な便乗ソングには閉口することも少なくはないのですが、そういう曲が少なくなってしまうことには寂しさも感じられます。もっとも、以前よりも少なくなったとはいえ、世の流行に便乗する曲の存在がなくなることはなく、今回、この記事を書くにあたっていろいろと調べてみたところ、タピオカブームに乗った↓みたいな曲をみつけてしまいました。ちなみに歌っている方を含めて全くの初耳です。

またこの本でひとつ興味深かったのが、「あとがき」の記載。この本に美空ひばりの曲が1曲も紹介されていない、という点でした。「あとがき」で著者曰く「彼女の300曲を超えるシングル盤には、本書の企画趣旨に合う曲がなかった」という記載があるのですが、安直に世の中のトピックに便乗した曲を作らなかった、というのはおそらく彼女の矜持なのでしょう。いまほど「国民的歌手」として評価が定着していなかった活動初期の頃から、そのような曲を作っていなかったという点にも彼女の高い志も感じますし、安直に時代に便乗した曲を作らなかったからこそ、逆に多くの人に愛される曲を歌い続けることが出来た、ということもあるのかもしれません。

そんな訳で、なかなか興味深く楽しみながら読むことの出来た一冊ではあるのですが、率直に言って、読み終わった後の感想としては中途半端なものを感じてしまいました。本の構成としては、戦後史の出来事を主軸として、それに関連する歌を紹介する流れとなっています。確かにトピックによっては歌謡曲と上手くリンクさせて記述できたような項目もあるのですが、ただ単に戦後史の出来事を記述したあと、欄外のトピック的に関連する歌謡曲を紹介するだけで終わっている項目も少なくありません。かと思えば、あくまでも関連する歌謡曲が発売されていることを前提としているため、戦後史の重要な出来事であっても関連する歌謡曲がない場合は全く言及されることはありません。個人的には、歌をまず紹介した上で、それに関連する戦後史のトピックを紹介するような構成の方が本のテーマがより明確になってよかったような感じがします。この構成だと、戦後史の紹介としても戦後史と歌謡曲のリンクという意味でも中途半端な印象が強く残ってしまったのが残念に感じました。

エッセイ的にそれなりに楽しめた本ではあるものの、もうちょっと時代と歌謡曲のリンクの在り方についてはつっこんでほしかったように感じます。2,000円近い値段の本としてはちょっと物足りなかったかなぁ。雑誌などの一コーナーとしてなら興味深くおもしろい内容であったとは思うのですが・・・。

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2019年10月 6日 (日)

奇跡の復活ライブ

TOUR「NUMBER GIRL」

会場 名古屋ダイアモンドホール 日時 2019年9月27日(金)19:00~

1995年に福岡市博多区にて結成。1999年にシングル「透明少女」でメジャーデビュー後、瞬く間に絶大な支持を集めたNUMBER GIRL。結果としてメジャーデビュー後わずか3年の活動の後に解散したものの、いまだに多くのロックバンドへ影響を与え、今や「伝説のバンド」の感も強くなった彼らですが、なんと解散から15年を経て今年、奇跡の再結成。チケットはかなりの争奪戦となったようですが、無事チケットを確保。NUMBER GIRLの復活第1弾ライブに足を運んできました。

Numbergirllive

個人的にNUMBER GIRLはかなり思い入れの深いバンドで、デビュー直後に当サイトに遊びに来てくださっている方から薦められてライブを見に行き、その後もコンスタントに足を運び、何度もそのライブを見てきました。今回のライブは、東京でのラストライブとなった2002年のZepp Tokyoでのライブ以来、約17年ぶり(!)となるステージ。ほぼ定刻通りの19時に、Televisonの「Marquee Moon」にのってメンバーが登場しましたが、この4人が再び同じステージに立つなんて・・・と感慨深いものがありました。

大歓声の中スタートした1曲目は「鉄風 鋭くなって」からスタート。その音が奏でられた瞬間から「あぁ、ナンバガの音だ・・・」と唯一無二のサウンドに感動し、懐かしさも感じると共に、17年ぶりにも関わらずバンドとして一体感のある迫力ある演奏に驚きもしました。さらにアヒト・イナザワの「1、2」という掛け声にうれしさを感じつつ2曲目は「タッチ」。これも個人的にかなり聴きたかったナンバーなだけにはじまった瞬間、思わず歓声を上げてしまいました。

さらに「ZEGEN VS UNDERCOVER」に「IGGY POP FUNCLUB」とライブの定番曲が続きます。そしてここでようやく向井秀徳のMC。「ナゴヤシティー!」という掛け声が第一声。そしておなじみの「福岡市博多区からやってきましたNUMBER GIRLです」という自己紹介に胸が熱くなりつつ「裸足の季節」へ。その後は曲の前に曲のタイトルにちなんだ向井秀徳の口上が入り、これまた彼らの代表曲「透明少女」へ。さらに「そんなあの子は17歳」というおなじみの口上から「YOUNG GIRL SEVENTEEN SEXUALLY KNOWING」と続きます。さらに「今日の良き日に…」という口上からスタートしたのは「NUM-AMI-DABUTZ」!以前と何ら変わりのないエッジの効いた演奏にテンションも上がっていきます。

その後も「SENTIMENTAL GIRL'S VIOLENT JOKE」「DESTRUCTION BABY」さらには向井秀徳の「漫画の歌」という簡単な紹介からスタートした「MANGA SICK」、「SASU-YOU」と続いていきます。さらに「U-REI」では以前のライブバージョンに比べるとかなり激しいギターノイズを前に押し出したサウンドに。「TATOOあり」の出だしの歌も、以前に比べるとかなり哀愁感の増した向井秀徳の歌を聴かせてくれます。

ここでまさかの「水色革命」。以前のライブでもあまり聴いた記憶はなく、再初期のナンバーなだけに他の曲と比べて爽やかでポップな作風のナンバーがここで演奏されるのはかなり意外な印象が。さらに「もはや日常か非日常かわからなくなった私に捧げます」という口上に軽い笑いも起きつつ「日常に生きる少女」へと続いていきます。

そして、「ナゴヤシティー!また来ます」という短いMCから「福岡市博多区からやってまいりましたNUMBER GIRLです。ドラムス、アヒト・イナザワ」というおなじみの口上からアヒトのドラム、そしてそして、待ってました!「omoide in my head」へ!これにはテンションが上がりまくり。この曲は以前のライブでは最後の曲としておなじみだっただけに、これでラストか?と思いきや、最後にもう1曲「I don't know」でシャウト、そしてすさまじい轟音を聴かせつつ、本編は幕を閉じます。

以前から必ずしもアンコールのあるバンドではなかっただけに、どうなるのかなぁ、と思っていたのですが会場は明るくならず、やがてメンバー4人が再登場。これまた意外性ある選曲だった「大あたりの季節」から、なぜかこの日2回目の「水色革命」へ。なぜ2回目?1回目の出来に納得がいかなかったのかなぁ・・・とちょっと訝しく感じてしまいました。ただ演奏は2回とも素晴らしいと思ったのですが・・・。

最後は「TRAMPOLINE GIRL」から、再び「福岡市博多区からやってまいりましたNUMBER GIRLです。ドラムス、アヒト・イナザワ」からラストとしては定番中の定番の「omoide in my head」をこの日2回目。こちらもかなり意外だったのですが、こちらは他のライブでも2回演ったようで、素直にファンサービスでしょうか?もちろん会場のテンションは最高潮のまま終了。最後は簡単なメンバー紹介から「また会いましょう」といううれしい一言があった上で、これまたおなじみの「乾杯」の、実に向井秀徳らしい締めセリフで終了しました。

そんな訳で全編2時間弱。おなじみのナンバーの連続で、17年前に戻ったのかのような胸の熱くなってくるステージでした。特にステージ上の演奏はいい意味で昔と変わっていないテンションと切れの鋭さ、そして迫力を感じさせ、久しぶりというのが信じられないくらいの素晴らしいステージを見せてくれました。

ただ一方では以前から変化を感じるような部分も少なくなく、特に向井秀徳のボーカル。「IGGY POP FAN CLUB」や「TATOOあり」では感情のこもった歌声が強い印象に残ります。ただただシャウトするだけだった以前と比べるとボーカリストとしての深みを感じさせるステージで、以前よりも彼の歌声に強いインパクトを感じます。それだけ彼が年齢と経験を重ねて味が出てきたということでしょうか。この彼のボーカリストとしての「進化」が大きく印象に残りました。

さらに強い印象に残った曲が「日常に生きる少女」。こちらはイントロと途中にこれでもかというほどのギターノイズを展開する迫力ある轟音を披露。かと思えば向井秀徳の歌を前面に押し出したような部分もあったりと、緩急つけたバンドサウンドも印象的。以前と比べるといい意味での複雑さが増したナンバーへの進化を遂げていました。ほかにも「YOUNG GIRL SEVENTEEN SEXUALLY KNOWING」が以前に比べるとちょっとゆっくり目の演奏となり17歳の少女の感情をより伝えようとする演奏になっていたりと、以前と比べるとより味わい深さを感じさせるステージになっていたように感じます。

また、ステージ全体としては最初から最後までテンションがはりつめたようなステージでした。観客からの呼びかけにも基本的に応じることもなく、メンバー間のやり取りもなし。MCも基本的にお決まりの口上だけ。おそらく昔からのファンによる「お互い歳を取ったな!」という掛け声にも向井秀徳本人は応じることなく、中尾憲太郎がちょっと苦笑いをした程度(笑)。ただ、逆にこの日のステージ全体が彼らにとって練りこんで作り込まれた一種の芸術作品の完成品にすら感じてしまいました。さらにある種の馴れ合いを排じたステージだけに最初から最後まで一切テンションが切れることのなく、バンドとしての一体感を強く感じさせるステージになっていたように思います。

そんな訳で17年のブランクを一切感じさせない…どころか、ここに来てバンドとしての進化すら感じさせるようなステージになっていました。個人的な思い入れもあって、非常に懐かしさに胸が熱くなってくるライブだったのですが、そんな感情を抜きとしてもすさまじいステージだったと思います。これはまたナンバガのライブに何度も足を運ばないといけないですね!今後は再びコンスタントに活動を続けて行くのでしょうか?若干、このテンションを今後も維持していくのは大変そうだなぁ、と感じる部分もあるのですが、これからの彼らの活動に期待したいところです。いや、すさまじいステージでした。

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2019年10月 5日 (土)

ダイナマイトボディが繰り出すパワフルなボーカル

Title:Cuz I Love You
Musician:Lizzo

そのふくよかな身体を惜しむことなくさらけ出しているジャケット写真が大きなインパクトを受ける本作は、今、注目を集めている女性シンガー/ラッパー、Lizzoのニューアルバム。本作はアメリカのビルボードチャートで4位を獲得し、一気にブレイクしています。また、このジャケット写真が典型的ですが、自分のありのままの体型を受け入れて愛そう、というボディポジティブムーブメントの象徴的なミュージシャンとしても注目を集めているようで、今回のジャケット写真もそんな彼女の考えを象徴したものと言えるのでしょう。

そんな彼女の最大の魅力は、そのダイナマイトボディからも想像できるようなパワフルなボーカル。今回のアルバムでも1曲目の「Cuz I Love You」はまさに本作を代表するようなナンバーで、分厚いサウンドをダイナミックに聴かせつつ、そんなサウンドに負けていない・・・というよりも彼女のボーカルを支えるにはそれだけ力強いアレンジが必要となるんだろうなぁ、ということを感じてしまうようなパワフルでソウルフルなボーカルをこれでもかというほど聴かせてくれます。

その後も伸びのあるボーカルを力強く聴かせる「Soulmate」やシャウトを入れつつファンキーに聴かせる「Better In Color」など、そのパワフルなボーカルにまずは耳を奪われます。一方で力押し一辺倒かと思いきや、「Lingerie」ではしんみりと感情を込めたスモーキーな歌声を聴かせてくれたりして、表現力を伴う緩急をつけたボーカルが実に魅力的。ボーカリストとしての実力を存分に感じることができます。

サウンドは「Tempo」のような、今風のトラップの要素を取り込んだような曲もありましたが、全体的にはオーソドックス、というよりも昔ながらである種の懐かしさを感じるサウンドがメインとなっていました。例えば「Juice」は完全に80年代を彷彿とさせるリズミカルなエレクトロチューンですし、「Cry Baby」も分厚いギターサウンドにかけられたエフェクトは、今となってはあまり聴かれないような懐かしいスタイル。「Heaven Help Us」もゴスペル調のサウンドを盛り上げるピアノを入れたサウンドには一昔前の懐かしさを感じます。

トラップなどの最近の楽曲はどちらかというと音数を絞ってシンプルなサウンドが目立ちますが彼女のサウンドメイキングはむしろ逆。音を入れて埋め尽くすようなサウンドメイキングのスタイルは最近の時代の潮流に逆らっているような感もあります。ただ、彼女のそのふくよかな身体から存分に繰り出されるパワフルなボーカルを支えるには、おそらくこのアルバムのような分厚いサウンドの方がピッタリ来るのでしょう。実際、彼女のソウルフルなボーカルは懐かしさを感じるサウンドにピッタリとマッチしているように感じました。

昔ながらのスタイルゆえにどこかベタさも感じる部分もあるのですが、それを含めて懐かしさを感じるサウンドがとても心地よく、そんな中にちょっと入っているトラップの要素がまたちょうどよいスパイスとなった傑作アルバムに仕上がっていました。いい意味で耳なじみあるサウンドが多様されているだけに幅広い層にアピールできそうな彼女の音楽。今後、日本でももっと注目を集めるかもしれませんね。これだけパワフルなボーカルはライブでも聴いてみたいなぁ。これからが楽しみな女性シンガーです。

評価:★★★★★

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2019年10月 4日 (金)

ここは安全な場所ではない

Title:THIS IS NOT A SAFE PLACE
Musician:RIDE

1980年代終盤から1990年代にかけて活躍したイギリスのロックバンドRIDE。いわゆるシューゲイザーバンドの代表格として日本でも高い人気を誇った彼ら。1996年には残念ながら解散してしまいましたが2014年に再結成。2017年には実に21年ぶりとなるニューアルバム「Weather Diaries」をリリース。イギリスのアルバムチャートでは最高位11位というまずまずの成績を記録し、長い間、待ちわびていたファンが多かったことを証明する結果となりました。

そんな前作「Weather Diaries」は以前のRIDEのイメージに沿った形でのアルバムとなっており、長く待ちわびたファンへの挨拶代わりの1枚となっていました。そして今回のアルバムとの間にリリースされたのが5曲入りのEP「Tomorow's Shore」。こちらは5曲が5曲とも違うタイプの曲が収められており、いわばRIDEの次の一歩を模索するようなアルバムに仕上がっていました。そしてリリースされた再結成後2枚目となる本作は、その「Tomorrow's Shore」のコンセプトを引き継ぐような、新しいRIDEを模索するバリエーションあふれる作品に仕上がっていました。

アルバムのオープニングを飾るのは自らのバンド名を題した「R.I.D.E.」。こちらはある意味、イントロ的なインストナンバーなのですが、メタリックなリズムトラックとノイジーに歪んだギターサウンドが特徴的なナンバーで、まずはいかにもシューゲイザーな雰囲気の楽曲からスタートします。しかし続く「Future Love」はギターノイズが展開されるものの爽やかさを感じられるポップチューンに。さらに続く「Repetition」はノイジーなギターサウンドを取り入れているものの、全体的にはニューウェーブのテイストの強い軽快なポップチューンに仕上げられています。

さらに「Kill Switch」はダークな雰囲気のダイナミックなサウンドが特徴的なパンキッシュなナンバーに。「Clouds of Saint Marie」はメロディアスで爽快感あるギターポップチューン。「Dial Up」はサイケなポップチューンで、かのBeckに影響を受けたとか。アコースティックギターを抱えて美しいメロディーをゆっくりと聴かせるバラードナンバー「Shadows Behind the Sun」もRIDEのイメージからすると意外性を感じられる楽曲と言えるでしょう。

今回のアルバムタイトルは「THIS IS NOT A SAFE PLACE」。既に音楽シーンの中で一定の人気と評価を確立しているベテランバンドの彼らですが、いままでのことを演っているだけでは「安全な場所とは言えない」と、新たな境地を目指しての挑戦を宣言するようなアルバムタイトルのようにも感じました。

ただ、これだけ新たなスタイルに挑戦していても聴き終わった後はしっかりとRIDEのアルバムを聴いた、という満足感を覚えるアルバムに仕上がっていました。というのはやはり、なんだかんだいってもどの曲も、彼ららしいノイジーなギターが入っている点、メロはどれもポップで耳なじみやすく仕上がっている点なども満足感を覚える理由なのでしょうが、それ以上に「Eternal Recurrence」「Jump Set」など、RIDEらしいノイジーなギターと疾走感あるリズム、ポップなメロがしっかりと入ったシューゲイザーなナンバーが要所要所に入っている点も大きいのではないでしょうか。また、ラストを締めくくる「In The Room」も彼ららしいノイジーでかつドリーミーなナンバー。RIDEを聴いたという満足感を覚えつつ、アルバムは幕を閉じます。

当初の活動開始から30年以上が経ったベテランバンドの彼ら。しかし、このアルバムタイトルの通り、この場所に安住する気はないとばかりに新たな挑戦を感じさせるつつ、一方ではしっかりとRIDEらしさを残した、いい意味でのバランス感覚を上手く取れた傑作アルバムに仕上がっていました。というか、ここに来て、これだけの傑作をリリースするとは驚き。また再結成後の作品はいずれも出来が良く、彼らのポテンシャルにも驚かされます。まさに第2の全盛期のような様相すら感じさせてくれる彼ら。大ベテランとなった今でも、まだまだイギリスのギターロックシーンを引っ張って行ってくれそうです。

評価:★★★★★

RIDE 過去の作品
OX4 -the best of RIDE
Weather Diaries
Tomorrow's Shore

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2019年10月 3日 (木)

こちらも韓国関連が1位獲得

今週のHot Albums

http://www.billboard-japan.com/chart_insight/

Hot100でも書きましたが、音楽シーンでは本当に、政治上の日韓関係とは無縁な状況が続いていますね…

今週1位は元東方神起のメンバーで現在はJYJのメンバーとして活躍しているジェジュンことキム・ジェジュンのソロアルバム「Love Covers」がランクインしました。タイトル通りのカバーアルバムで、ドリカムの「未来予想図II」やスキマスイッチの「奏」など、J-POPのナンバーをカバーしたアルバム。CD販売数及びダウンロード数で1位獲得。PCによるCD読取数は11位でしたが、総合順位では見事1位獲得となりました。オリコン週間アルバムランキングでは初動売上6万3千枚で1位獲得。直近のオリジナルアルバム「Flawless Love」の4万2千枚(1位)からアップしています。

2位はさとみ「Memories」が獲得。You Tube上で本人歌唱動画やゲーム実況動画などを配信するユニット、すとぷりのメンバーによるソロデビューミニアルバム。こんな名前ですが、男性のようです。アイドル的な人気を確保しているようで、デビュー作ながらもCD販売数2位でベスト3入り。ただしダウンロード数は32位、PCによるCD読取数は15位に留まっています。オリコンでも初動売上5万2千枚を記録して2位初登場。

3位は先週1位のPerfumeのベストアルバム「Perfume The Best "P Cubed"」が2ランクダウンながらもベスト3をキープしています。

続いて4位以下の初登場盤です。まず4位に「Disney 声の王子様 Voice Stars Dream Selection Ⅱ」がランクイン。人気男性声優がディズニーの名曲を歌った企画盤。CD販売数は3位だったもののダウンロード数28位、PCによるCD読取数16位で総合順位は4位に。オリコンでは初動売上2万5千枚で4位初登場。同シリーズの前作「Disney 声の王子様  Voice Stars Dream Selection」の1万3千枚(4位)からアップしています。

5位にはThe Beatles「Abbey Road」がランクイン。CD販売数5位、ダウンロード数26位、PCによるCD読取数37位。1969年にリリースされた彼ら12作目となるアルバムで、解散の危機の中で制作されたと言われるアルバム。アビイ・ロードの横断歩道で撮影されたジャケット写真はあまりにも有名で、今ではイギリスの観光名所になっているとか。今回、同作の50周年記念エディションがリリースされ、見事ベスト10入り。時代を超えて普遍的な人気を確保し続けるThe Beatlesの強さを見せつける結果となりました。オリコンでも初動売上2万1千枚で6位初登場。ちなみにこの「50周年記念エディション」は「Sgt. Pepper's Lonely Hearts Club Band」「The Beatles(White Album)」に続く3作目。ここ数年、毎年一度、必ずThe Beatles関連のアイテムがリリースされていますが、来年は間違いなく「Let It Be」の50周年記念エディションがリリースされるんでしょうね・・・。ちなみに「The Beatles(White Album)」の50周年記念エディションの初動売上2万枚(6位)よりも若干ですがアップしています。

6位初登場はGReeeeN「第九」。タイトル通り、9枚目となるオリジナルアルバム。CD販売数6位、ダウンロード数5位、PCによるCD販売数24位。オリコンでは初動売上1万6千枚で8位初登場。前作「うれD」の2万2千枚(3位)からダウンしています。

7位には高木さん(高橋李依) 「『からかい上手の高木さん2』Cover Song Collection」が初登場。テレビアニメ「からかい上手の高木さん2」のエンディングテーマとして使用されたJ-POPのカバー曲を収録したアルバム。レミオロメン「粉雪」や今週6位に入ってきたGReeeeN「キセキ」のほか、今週1位を獲得したジェジュンのソロアルバムにも収録されているスキマスイッチ「奏」がこちらにも収録されています。CD販売数は13位、PCによるCD読取数は42位に留まったもののダウンロード数4位を獲得し、ベスト10入り。ちなみにオリコンでは初動売上8千枚で15位初登場。同シリーズの前作 「『からかい上手の高木さん』Cover Song Collection」の5千枚(19位)よりアップしています。

9位には打首獄門同好会「獄至十五」がランクイン。日常のネタをヘヴィーなラウドロックにのせて歌うスタイルがネットを中心に人気を集め、今年5月には農林水産省から「FANバサダーロック」に任命されるなど話題を集めているロックバンドの結成15周年を記念してリリースされたベストアルバム。CD販売数8位、ダウンロード数19位、PCによるCD読取数23位を記録。オリコンでは初動売上8千枚で14位初登場。前作「そろそろ中堅」の5千枚(18位)から若干のアップとなります。

初登場は以上。ロングヒット組ではのベスト盤「5×20 All the BEST!! 1999-2019」が先週の4位から10位に大幅ダウン。後がなくなりました。またRADWIMPS「天気の子」は今週、20位までダウン。連続ベスト10ヒットは10週で終了しました。

今週のHot Albumsは以上。チャート評はまた来週の水曜日に!

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2019年10月 2日 (水)

日韓合同女性アイドルグループが・・・

今週のHot100

http://www.billboard-japan.com/chart_insight/

今週は日韓合同女性アイドルグループが1位を獲得です。

今週1位を獲得したのが日韓合同女性アイドルグループIZ*ONE「Vampire」。先行配信の影響で先週の57位からCDリリースに合わせてランクアップし、見事1位獲得となりました。CD販売数1位、Twitterつぶやき数6位。ただし、ダウンロード数64位、ラジオオンエア数46位、PCによるCD読取数29位、You Tube再生回数92位と固定ファン層以外には伸び悩んでいます。オリコン週間シングルランキングでは初動売上20万5千枚で1位獲得。前作「Buenos Aires」の21万5千枚よりダウンしています。

IZ*ONEは基本的に日本側で参加しているのはAKB48関連のグループに所属しているアイドルで、本作も秋元康作詞と基本的にはAKBグループの延長線上のグループなのですが、日韓関係が最悪の状況になっている中でも音楽ではこのような日韓合同の取り組みが違和感なく受け入れられているという事実は、ここでも何度か書いたのですが、やはりうれしく感じます。韓国に対する好感度調査では20代では好感度が高いという調査結果もありますし、若い世代では政治の問題としっかり切り分けているということを感じます。

日韓合同女性アイドルグループといえばこちらのグループも同様。TWICE「Feel Special」が4位初登場。9月23日にリリースされた同名タイトルの韓国盤ミニアルバムの中のタイトルチューンで、ストリーミング数で3位、You Tube再生回数で1位を獲得。ほかにダウンロード数13位、Twitterつぶやき数5位を獲得し、総合順位ではベスト10入り。チャート傾向として幅広い層に支持されているという点ではIZ*ONEよりTWICEが上回っている感があります。特にストリーミング数とYou Tube再生回数で上位ランクインはロングヒット曲の共通の傾向なだけに、今後、どれだけヒットを維持していくのか気になるところです。

さて、今週も先週から引き続きロングヒット曲が目立ちます。まず2位には米津玄師「馬と鹿」が先週から引き続き2位をキープ。これで7週目のベスト10ヒット。特にダウンロード数は7週連続の1位、You Tube再生回数は先週からワンランクダウンしたものの2位をキープしており、「Lemon」同様、ダウンロード主導のヒットとなっています。ちなみに残念ながら「Lemon」は今週は13位にランクダウン。ただ一方、米津玄師作詞作曲プロデュースによるFoorin「パプリカ」が12位から10位にランクアップ。これで通算7週目のベスト10ヒットとなりました。こちらもベスト10の上位まではなかなかあがってきませんが、当初リリースは昨年の8月。特に幼稚園児や小学生の間で大人気となっており、驚異的なロングヒットを続けています。

3位も先週から変わらずOfficial髭男dism「Pretender」がランクイン。ストリーミング数は今週も1位をキープ。ダウンロード数及びYou Tube再生回数は3位、カラオケ歌唱回数も2位と高い人気を誇っています。ヒゲダンは今週、「イエスタデイ」が6位から5位にアップ。一方、「宿命」は4位から6位にダウンしてしまいました。しかし今週も3曲同時ランクインはキープ。ストリーミング数もTWICEに3位を取られたものの、1位「Pretender」2位「宿命」4位「イエスタデイ」と上位を独占しています。

続いて4位以下の初登場曲です。まずは7位にAqours「未体験HORIZON」が初登場でランクイン。「ラブライブ!サンシャイン!!」から生まれたアニメキャラによるアイドルグループ。CD販売数、PCによるCD読取数、Twitterつぶやき数で3位を獲得。一方、ダウンロード数は20位、その他は圏外と固定層以外に人気は波及せず、総合順位ではこの位置に。オリコンでは初動売上4万枚で3位初登場。前作「Aqours CLUB CD SET 2019」の2万5千枚(2位)よりアップ。

8位にはジャニーズ系。A.B.C-Z「DAN DAN Dance!!」。ベタなタイトルですが、タイトル通り、内容も軽快なディスコ風のダンスチューン。CD販売数は2位だったものの、PCによるCD読取数5位、Twitterつぶやき数2位でそのほかは圏外という結果に。オリコンでは初動売上4万4千枚で2位初登場。「Black Sugar」の4万7千枚(3位)よりダウンしています。

今週の初登場曲は以上。一方、ロングヒット曲としては、前述のFoorin、ヒゲダン以外ではおなじみあいみょん「マリーゴールド」。今週は7位から9位に一気にダウン。ストリーミング数及びYou Tube再生回数5位、カラオケ歌唱回数3位とまだまだ強さを見せていますが、総合順位では背水の陣となってきました。ちなみに先週ランクインした「空の青さを知る人よ」は10位から15位にダウン。ただし、CD販売数が加わる来週ではベスト10に返り咲いてきそうです。

今週のHot100は以上。明日はアルバムチャート!

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2019年10月 1日 (火)

日本人の琴線にも触れそうなメロディーラインが大きな魅力

Title:Basking In The Glow
Musician:Oso Oso

アメリカはニューヨークを活動拠点とするエモバンド、Oso Osoの最新アルバム。ちょっと不思議なバンド名ですが、これで「オソ・オソ」と読むそうです。まだまだ日本では知名度も低いバンドですが、本作はPitchforkでBest New Musicに選ばれるなど高い評価を得ているほか、日本でも国内盤がリリースされるなど徐々に注目を集めているバンドです。

楽曲的にはシンプルなギターロックといった感じになるのですが、このバンドの最大の魅力はやはりそのメロディーラインでしょう。Death Cab For CutieやJimmy Eat Worldを比較対象として提示されることの多いバンドのようですが、エモバンドらしい狂おしいような感傷的なメロディーラインが大きな特徴的。今回のアルバムでも序盤、「the view」はまさにこのイメージにピッタリの切ない感傷的なメロに分厚いギターロックが魅力的なポップチューンに。続くタイトルチューンの「Basking In The Glow」もノイジーで分厚いギターロックの中、軽快でポップなメロが耳に残るナンバーに仕上がっています。

さらに続く「dig」はまさに胸にキュンとくるようなメロディーラインに、ポップチューンを甘く味付けするかのような分厚く心地よいギターのホワイトノイズが魅力的なナンバーに。アルバムの前半戦はまさにOso Osoの魅力が満載のポップなギターロックが続いていく展開になっています。

アコギのみでデモ音源風の「one sick plan」がある種の箸休め的に挿入されつつ、続く「a morning song」もタイトル通り、朝の爽やかさとちょっと気だるさを上手くメロディーラインで表したギターポップチューンに。楽曲のタイプとしては基本的に後半戦も同じスタイルで、疾走感あるギターロックチューンの「wake up next to god」に、しんみり切なく聴かせるメロディーが印象に残るミディアムチューンの「charile」と続いていきます。アルバムのラストを締めくくる「subside」もノイジーなギターロックチューンの中に流れる切ないメロディーラインが大きな魅力。感傷的に歌い上げられるサビも非常に印象に残るラストチューンとなっており、アルバムが締めくくられます。

正直言うと、楽曲自体のバリエーションはあまりありません。どの曲も分厚くノイジーなギターサウンドに感傷的でポップなメロディーを聴かせるというスタイル。ただ、このメロディーがどの曲もメロディアスで狂おしい切なさを感じられて非常に魅力的。また哀愁感も覚えるメロデイーラインは日本人の琴線にも触れそうな印象を受けます。知名度的にはかなり低いこのバンドで、今時国内盤がリリースされるのは、間違いなく日本人受けしそうなバンドというレコード会社側の判断が働いたのでしょうし、そしてその「読み」は間違いないと思います。

上にあげたバンドはもちろん、例えばWEEZERやASIAN KUNG-FU GENERATIONSあたりのパワーポップバンドが好きな人にも気に入りそうなバンド。おそらく今後、日本でも知名度が上がっていきそうな予感がするだけに、今のうちに要チェックといった感じでしょうか。「エモバンド」という言葉にピクっと来るような方は無条件でお勧めできる傑作アルバム。今後の彼らの動向にも要注目。来年あたり、フジかサマソニあたりが呼びそうだなぁ。

評価:★★★★★


ほかに聴いたアルバム

We Are Not Your Kind/Slipknot

一時期、活動休止状態となり、約5年ぶり、久々となったアメリカのヘヴィーメタルバンドSlipknotの最新作。へヴィーなサウンドやデス声のシャウトの中に、意外とポップなメロディーラインが流れているというスタイルはいままでのアルバムと同様。良くも悪くも大きな変化はないのですが、パッと聴いた感じ気持ちよくても最後はお腹いっぱいになっていたここ数作に比べて、緩急つけたサウンドで最後まで飽きさせることもなく、メロディーラインのインパクトも増して、最後までダレることなく楽しめることが出来ました。個人的にはいままでに聴いた彼らのアルバムの中では最高傑作と言える出来だったような感じがします。一時的な活動休止はメンバーそれぞれのソロ活動を充実されるため、という説明がされたのですが、その活動休止がいい意味でバンドの勢いにつながったような印象を受けました。

評価:★★★★★

slipknot 過去の作品
All Hope Is Gone
ANTENNAS to HELL

TALLULAH/FEEDER

約3年ぶりとなるイギリスのギターロックバンドのニューアルバム。メンバーのTaka Hiroseはご存じ岐阜出身の日本人。今回のアルバムでは「Kyoto」というナンバーも収録されているのは日本人にとってうれしいところ。楽曲的には奇をてらわないストレートで疾走感あるギターロック。目新しさはないものの、いい意味で安心して楽しめるギターロックで、UKロック好きにとっては文句なく気に入りそうな内容になっています。それを反映してか、イギリスのアルバムチャートでも最高位4位という好セールスを記録。その人気の高さをうかがわせました。日本人が参加しており、かつイギリスで高い人気を獲得しているバンドなだけに、もっと日本でも取り上げられてもいいと思うんですけどね・・・。

評価:★★★★★

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