楽しいポップソングの中にロックな要素も
Title:Duck
Musician:Kaiser Chiefs
イギリスの人気ロックバンド、カイザー・チーフスの約1年9ヶ月ぶりとなるニューアルバム。デビュー当初はイギリスで期待のバンドということで日本でも多くメディアに取り上げられていたのですが、ここ最近は以前ほど日本では話題に上ることが少なくなってしまったように感じます。ただ、イギリス本国では相変わらず高い人気を誇っており、前作「Stay Together」もイギリスのナショナルチャートで4位にランクイン。ちょっと久々となった本作も3位に入ってくるなど、変わらぬ人気を感じさせます。
なんてこと書いていながらも、実は私自身、彼らのアルバムを聴くのは2008年の「Off with Their Heads」以来、11年ぶり。その間にアルバムを3枚もリリースしていたのですが、え?そんなにスルーしていたっけ??とちょっと意外な感じもしました。もっとも今回のアルバムを聴いてみたのも、なにか強いきっかけがあった訳ではなく「なんとなく」なんですが・・・。
そんな久々に聴いてみた彼らのアルバムなのですが、とにかく外連味のない楽しさあふれるポップチューンの連続で最初から最後までワクワク楽しめるポップアルバムに仕上がっていました。もともと以前のカイザー・チーフスのイメージもブリット・ポップの正当な継承者という印象の強い、ポップなギターロックバンドというイメージがありました。さすがに今となって「ブリット・ポップ」といった感じもないのですが、ストレートにポップで楽しい作風というのは今も変わっていません。
特に今回のアルバムではエレクトロサウンドを取り入れたリズミカルで楽しいポップチューンが並んでいることが大きな特徴。「Wait」や「Record Collection」「The Only Ones」さらには「Electric Heart」といったリズミカルな曲が並んでおり、聴いていて純粋にワクワクさせられる構成となっています。そもそもアルバムの最初を飾る「People Know How to Love One Another」からしてホーンセッションを取り入れて爽快でとても明るい雰囲気をかもしだしているポップチューン。リスナーは最初の最初からワクワクした気持ちでアルバムを聴き進めることが出来ます。
そのほかも「Northrn Holiday」や「Kurt vs. Frasier (The Battle for Seattle)」などポップなメロディーラインが光るメロディアスな楽曲ならも並んでおり、終始、彼らのメロディーセンスが光る楽しいアルバムに仕上がっています。一方、ユニークなのが、例えば「Golden Oldies」のようにバンドサウンドの泥臭さがちょっとしたアクセントとして加えられている曲も見受けられる点。アルバム全体としてはポップという印象の強い作品だったのですが、その中でも確実にロックバンドとしての主張を感じられる部分が多々あり、このロックバンドとしての部分がアルバムの中でほどよいインパクトとなっていたようにも思います。
前述のように日本では以前ほど名前を聞かなくなってしまった彼らですが、本国での人気が示すとおり、楽曲の魅力は以前から全く変わっていませんでした。私も本作が久々に聴いてみたアルバムとなってしまいましたが、今後はコンスタントにアルバムをチェックしてみないと・・・。これだけの傑作をリリースしているのであれば、彼らの人気はまだまだ続きそうです。
評価:★★★★★
Kaiser Chiefs 過去の作品
Your Truly,Angry Mob
Off With Their Heads
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