伝説のバンドのラストギグ
1980年代の日本のロックシーンにおいて一世を風靡し、伝説のバンドとして今なお絶大な人気を維持しているロックバンド、BOOWY。そんな彼らの事実上、ラストライブとなった1988年4月4日、5日の東京ドームでのライブの模様を収録したライブアルバムがリリースされました。
Title:LAST GIGS -1988.04.04-
Musician:BOOWY
Title:LAST GIGS -1988.04.05-
Musician:BOOWY
もちろん、この公演を収録したライブ盤のリリースは今回がはじめてではありません。そもそも公演から約1ヶ月後の1988年5月3日には「LAST GIGS」としてリリース。ミリオンセールスの大ヒットを記録しています。ただしこの時は4月5日の公演のうちわずか12曲のみを収録という、かなりの出し惜しみのあったアルバムになっていました。その後、何度かのリマスターを行ったのですが、2008年には「"LAST GIGS"COMPLETE」としてリリース。ただし本作も4月5日の公演のみを収録し、一部、4月4日の公演を混ぜてくるなど、必ずしも「COMPLETE」と言えるような内容ではありませんでした。
今回、ようやく4月4日と5日の公演の全てがCD化。全4枚のCDとしてリリースとなりました。特に4月4日の公演の音源は、今回ほぼ初登場ということもあり、大きな話題となっています。さて、そんなBOOWYの話題のライブ音源。BOOWYといえば、いわば日本のビートロックを誕生させ、その後のJ-POPに大きな影響を残したバンド。ロックというジャンルを歌謡曲にもっともうまい形で融合させたバンドというイメージが個人的には強く持っているのですが、ライブ音源を聴くと純粋にロックバンドとしてのカッコよさを強く感じます。
特に今回、4月4日と5日の音源を比較すると4日の音源の方がロックバンドとしての迫力を感じ、勢いも感じます。5日の音源はサビを観客に歌わせる部分も多く、4日で力を若干使い果たしてしまった部分もあるかな?とすら感じるほど。BOOWYとしての最後の日ということで、いままで5日の音源が主に使われてきたのでしょうが、4日の方がロックバンドBOOWYとしての本質を感じることが出来るように思います。
また、もう30年以上前のライブ音源なのですが、全く古さを感じさせない点も驚かされます。80年代といえば、猫も杓子もシンセを取り入れて、今となってはそのシンセの音がとてもチープに感じられ、それが良くも悪くも時代性を感じさせるのですが、彼らのサウンドはあくまでも4人のストイックなロックバンドとしての演奏に終始。そのため、今聴いても古さを感じさせません。
ただ一方でそれは必ずしもポジティブな側面だけではなく、逆に言えばこの30年間、彼らのスタイルから日本のロックがほとんど進歩していない、という証拠でもあったりするのですが・・・もちろん30年前にこういうスタイルを確立したBOOWYのすごさではあるとは思うのですが、いまだにBOOWYの縮小再生産のようなバンドが時々出てくるような現状を考えると、そろそろこの音が古く感じるような大きな地殻変動が日本の音楽シーンにも起きて欲しいのですが、と思ったりもしてしまいます。
ちなみに今回のライブ音源でもオリジナルに比べると若干の修正が入っているとか。そういう意味では今後、さらに修正が入って、「Ultimate」みたいなタイトルを付けた完全版がリリースされる可能性も??まだまだこの手の小出しのBOOWY商法は続いていきそうですが、それだけ人気を維持しているということなのでしょう。まだまだBOOWY人気は続きそうです。
評価:どちらも★★★★★
BOOWY 過去の作品
BOOWY THE BEST "STORY"
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