アフリカと欧米ポップスをほどよくブレンド
Title:African Giant
Musician:Burna Boy
今回紹介するのは今、注目されているナイジェリアのシンガーソングライター、Burna Boy(バーナボーイ)のニューアルバムです。本作は2010年にデビューした彼の4作目となるアルバム。アフリカ系アメリカ人やマイノリティーに贈られるアメリカの文化賞であるBETアワードで本年度のBest International Actを受賞。最近ではBeyonceのアルバム「The Lion King:The Gift」にも参加しているほか、Fall Out BoyやLilly Alenのアルバムにも参加しており、アフリカのみならず世界的な注目を集めているミュージシャンで、本作もイギリスのアルバムチャートでは最高位16位を獲得するなどヒットを記録しています。
彼についてはBeyonceのアルバム「The Lion King:The Gift」でその存在を知り、今回のアルバムも高い評価を受けているみたいなので聴いてみました。もともとアフリカ系のミュージシャンには高い関心がありいろいろと聴いているのですが、これは確かにヒット!高い注目も納得の傑作アルバムに仕上がっていました。
アルバムはタイトルチューンである「African Giant」でスタートするのですが、タイトル通り、アフリカの空気を感じさせるようなトライバルなリズムが壮大なアフリカの大地を感じさせるような楽曲。ただ一方、哀愁感たっぷりのメロディーラインは逆に西洋的なあか抜けた雰囲気を感じさせます。そんなタイトル通りのアフリカの空気を感じさせつつも、レゲエやラテンの要素が強いのも大きな特徴。続く「Anybody」はレゲエの要素を、「Wetin Man Go Do」はラテンの要素を感じさせるナンバー。そこにトライバルなリズムが融合されている点がBurna Boyの大きな魅力でしょう。
ただ、それに加えてBurna Boyの大きな魅力といえるのが「African Giant」のメロディーラインでも感じられたように、欧米のポップスと地続きのようなあか抜けたサウンドとメロディーライン。例えば「Dangote」ではメロウなエレピが入りつつ、音数を絞ったシンプルなサウンドを聴かせてくれており、シンプルに刻むリズムも含め、今時の音作りを感じさせます。メロディーラインにしても例えば「Gum Body」ではイギリスのシンガー、Jorja Smithをフューチャーしてメロウな歌声を聴かせてくれているなど、アフリカ的な要素、レゲエやラテン、さらに西洋的なポップスを上手く入り交ぜたポップチューンを聴かせてくれています。
アルバム全体としてはナイジェリアの音楽の魅力をほどよく感じさせつつ、一方では欧米のポップミュージックの要素を色濃く取り入れているためいい意味でバランスの取れた、多くのリスナー層にとって聴きやすい楽曲が大きな魅力と感じました。確かに、こういう音楽性なら多くのミュージシャンが彼をゲストとして招きたくなるのも納得です。今後、さらに大きくブレイクしそうな予感のする彼。日本でもその名前を聞く機会が増えていきそうです。
評価:★★★★★
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