« あいちトリエンナーレの企画へ、再び | トップページ | ロングヒットが目立つチャート »

2019年9月10日 (火)

一挙6枚のEPがリリース

白人3人組という編成ながらもHIP HOPシーンに偉大な業績を残し、今なお多くのミュージシャンのリスペクトを受ける3人組ユニットBeastie Boys。2012年、メンバーのひとりMCAがわずか47歳という若さで癌により急逝し、その後、事実上の活動休止状態となっています。そんな彼らが1989年にリリースした2枚目のアルバムが「Paul's Boutique」。大ヒットしたデビュー作「Licensed to Ill 」から売上面では落ち込んでしまった2枚目ですが、音楽的には高い評価を受けている本作。今回、その「Paul's Boutique」リリース30周年を記念して、6枚のEPが順次配信リリースされました。今回はその6作を一挙に紹介!

Title:An Exciting Evening At Home With Shadrach, Meshach & Abednego
Musician:Beastie Boys

Title:Love American Style
Musician:Beastie Boys

まず第1弾としてリリースされたのがこの2枚。どちらももともとは1989年にリリースされたEP盤で、いずれもレコードのみのリリースのため、配信で聴くことができるというのはやはりファンにとってはうれしいニュースだったのではないでしょうか。楽曲はいずれもスカスカながら大きな音をたてるドラムのリズムとシャウト気味のボーカルが特徴的な、今となっては「いかにも」といった印象のオールドスクールの作品になっています。

ただ、今の耳で聴いても間違いなく楽しくワクワクさせられるようなナンバーが並んでおり、掛値なしに明るいスタイルの楽曲が耳を惹きます。特に「Paul's Boutique」にも収録されている「Shadrach」はロッキンなダイナミックも兼ね備えつつ、時々入るホーンの音色とドラムのリズムが非常にファンキーで楽しませてくれる作品に。ほかにもビースティーファンなら絶対に楽しめるポップなナンバーが並んでおり、文句なしに楽しめるEP盤でした。

評価:どちらも★★★★★

Title:Hey Ladies(Remixes)
Musician:Beastie Boys

で、第2弾としてリリースされた1作目のEPが「Hey Ladies」のリミックス盤。5曲入りなのですが、それぞれが個性的なリミックスが楽しい感じ。よりファンキーにまとめたPaul Nice RemixやメロウながらもどこかコミカルなCount Base D Remixなどが特に耳に残った印象。またループするサウンドが心地よいFred C Remixも印象に残ります。全体的には80年代的なにおいを残しつつ、「Hey Ladies」をリミキサーそれぞれの切り口で再構築した、5曲5様の楽しいリミックスでした。

評価:★★★★★

Title:Shadrach(Remixes)
Musician:Beastie Boys

こちらも5曲入りのリミックスアルバム。リミキサーそれぞれの個性が強く出ていた「Hey Ladies」のリミックスに比べると、全体的にサウンドが抑え気味の構成になっており、シャウト気味でパワフルなビースティーズのラップがただ目立つようなリミックスになっていたように感じます。それはそれで、もちろんビースティーズのラップをよく生かしたリミックスと言えるのかもしれませんが・・・。

評価:★★★★

そして第3弾として配信されたのがまず・・・

Title:Shake Your Rump(Remixes)
Musician:Beastie Boys

収録曲は3曲のみで、「EP」というよりも「シングル」という感じかもしれません。ただ、2曲目のLatch Brothers Remixがとてもユニークで楽しいリミックス。タブラのリズムでエキゾチックにスタートしたかと思えば、様々な音をサンプリングした賑やかで、でもどこか異国情緒を感じさせるトラックがとても楽しい感じ。今回のリミックスの中では一番聴いてみて楽しかったかも。ちょっと3曲のみというのは物足りなさもありましたが・・・。

評価:★★★★

Title:Looking Down The Barrel Of A Gun (Remixes)
Musician:Beastie Boys

で、ラストを飾るのが4曲入りとなった本作。ビートを前が押し出したリミックスになっています。ただ、そんな中でもメロウさを押し出したDub Hackers Remixや逆にダイナミズムを前に押し出したOD Remix、もの悲し気にまとめたDJ Moe Love Remixなどバリエーションあるリミックスに仕上がっていました。

評価:★★★★

そんな訳で一挙6作配信リリースされた今回のEP盤。残念ながらおそらくBeastie Boysとしての新譜はもうリリースされることはないでしょうから、こういう形でのリリースはうれしい話です。彼らがあらためて魅力的なグループだったんだな、とも感じられる作品でした。

Beastie Boys 過去の作品
HOT SAUCE COMMITTEE PART 2

|

« あいちトリエンナーレの企画へ、再び | トップページ | ロングヒットが目立つチャート »

アルバムレビュー(洋楽)2019年」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




« あいちトリエンナーレの企画へ、再び | トップページ | ロングヒットが目立つチャート »