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2019年8月27日 (火)

「ほっとけないよ」の大ヒットでおなじみ

Title:Single Collection and Something New
Musician:楠瀬誠志郎

シンガーソングライター楠瀬誠志郎のベストアルバム・・・・・・と言われても、若い世代の方にはおそらく「誰?」といった感じのミュージシャンかと思うのですが、アラフォー世代にとっては1991年に大ヒットを記録した「ほっとけないよ」のミュージシャン、と言われれば「ああ、あの人」と思う方が多いのではないでしょうか。シンガーとしての彼は残念ながらこの曲の一発屋といっても仕方ない状況ではあるのですが、「僕がどんなに君を好きか、君は知らない」を郷ひろみがカバーしてスマッシュヒットを記録したため、この曲も知っている、という方も少なくないかもしれません。また、90年代から2000年代にかけては数多くのシンガーに曲を提供し、むしろ作家としての活動が目立ちました。

そんなアラフォー世代にとっては懐かしいシンガー楠瀬誠志郎のベスト盤を今回あらためて聴いてみた最大の理由は、個人的にこの「ほっとけないよ」が大好きだったから。ちょうどその頃、高校生だったのですが、リアルタイムでかなりはまっていました。今回のベスト盤で久しぶりにこの曲を聴いてみたのですが、リリースから28年が経過した今、さらにアラフォーとなった今の私の耳で聴いても素直にいい曲だなぁ、と強く感じました。AメロからBメロ、さらにサビに至る曲のどんどん盛り上がっていく展開に聴いていてワクワクさせられるような楽曲になっており、特にサビのメロのインパクトも耳を惹きます。

ただ、正直言うと今回のベストアルバムを聴いて、楠瀬誠志郎に対して持っていたイメージが若干変わりました。私が前から知っていた彼の曲は、大ヒットした「ほっとけないよ」と「僕がどんなに君が好きか、君は知らない」、そして「ほっとけないよ」の次のシングル「君と歩きたい」やドラマ主題歌としてスマッシュヒットを記録した「しあわせはまだかい」くらいでした。いずれも爽やかなポップチューンで、その当時のイメージとしては、槇原敬之やKAN、あるいは東野純直あたりに連なる爽やかなポップ系の男性シンガーソングライターというイメージを持っていました。

しかし今回のベスト盤を聴いて感じたのは、特に彼の初期のナンバーについてはAORやシティポップ、もっと言えば山下達郎からの影響を強く感じさせました。もともとは山下達郎のバックコーラスがキャリアのスタートだったようなのでその傾向は当然といえば当然なのかもしれません。ただし初期のナンバー、もっと言えば大ヒットした「ほっとけないよ」以前の楽曲についてはその傾向が強すぎるあまり、単なる山下達郎のフォロワーになっており、楠瀬誠志郎としての個性がほとんど感じられませんでした。ほかにもカップリング曲となりますが「一時間遅れの僕の天使」などは完全に大瀧詠一そのまんまといった感じの楽曲になっていますし、「ほっとけないよ」以前の曲に関しては正直なところ、少々厳しいな、という印象を受けました。

それだけにこういう形でシングル曲や彼の代表曲をまとめて聴くと、ようやく「ほっとけないよ」で楠瀬誠志郎としての色を出すことが出来、そして、それが大ヒットにつながったんだな、ということを今回、強く実感しました。ただ残念ながらこの曲を超える曲を出すことが出来ず、結果として「一発屋」として終わってしまいました。確かに、このベスト盤を聴くと、「ほっとけないよ」を超えるインパクトを持った曲は「僕がどんなに君が好きか、君は知らない」くらいで、そのほかの曲に関してはいい曲だとは思うけど、ヒットするには厳しいかも、という印象を持ってしまいました。

ベスト盤全体としては決して悪いわけではありませんし、メロディーメイカーとしての実力も間違いなく感じられます。私のように「ほっとけないよ」が好きだったというアラフォー世代にはお勧めできるベスト盤と言えるでしょう。ただ、幅広く積極的に勧められるか、と言われると正直若干微妙な部分も・・・。ただ「ほっとけないよ」は本当に名曲だと思うので、若い世代もぜひとも聴いてほしいのですが・・・。

評価:★★★★

楠瀬誠志郎 過去の作品
LET'S SWEET GROOVE

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