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2019年8月31日 (土)

聴かれることをより意識したポップなアルバム

Title:Our Secret Spot
Musician:the HIATUS

ELLEGARDENの活動休止中に細美武士が立ち上げたロックバンド、the HIATUS。その後、細美はMONOEYESとしての活動もスタート。さらにELLEGARDENの活動を再開させるなど、現在、なんと3つのバンドを掛け持ちという事態になっています。そうするとthe HIATUSの活動は徐々に縮小していくのか・・・と思えばさにあらず。ここに来て約3年ぶりというニューアルバムをリリース。その後もこのアルバムをぶら下げて全国ツアーをスタートさせるなど、むしろthe HIATUSとしての活動をさらに活発化させています。

前作「Hands of Gravity」は伊澤一葉のピアノの美しさが光る「ポップ」なアルバムとなっており、MONOEYESとの違いを明確としたアルバムとなっていました。今回のアルバムに関してもその方向性が続くアルバム・・・というよりもより顕著になったアルバムだったように感じます。MONOEYESも活動を続け、さらにはELLEGARDENの活動も再開される中で、the HIATUSの方向性がより顕著となった作品といえるでしょう。

今回もやはり耳に強く残るのが伊澤一葉のピアノの音色。序盤は比較的バンドサウンドを前に出してロックな作風の曲が並ぶのですが、まず彼のピアノが強く印象に残るのが「Time Is Running out」。バンドサウンドの中でもダイナミズムさと美しさを同居させたピアノの音が強く耳を惹きます。さらに印象に残るのが悲しげなピアノの調べが強く耳を惹く「Silence」でしょう。そのピアノの美しさが強く印象付けられるナンバーになっています。

その後は基本的に伊澤一葉のピアノが軸となっている曲が続きます。時には美しく、また「Firefly/Life in Technicolor」のような軽快なリズムを聴かせる楽曲もあったり。そして最後の「Moonlight」は優しくメロディアスなピアノの音色で包み込むような、ちょっと切なさも感じるポップチューンでアルバムは幕を閉じます。

そんなピアノを主軸とした今回のアルバム。全英語詞となっており洋楽テイストも強い作風となっているのですが、それよりなによりもポップなメロディーを聴かせるという点に強い主眼を置かれたアルバムのように感じます。前述の楽曲もいずれもポップなメロが強いインパクトを持っていましたし、ほかにも「Chemicals」も切ないメロディーラインが強いインパクトを持つ、細美武士のメロディーメイカーとしてのセンスが光る楽曲になっていました。

また今回のアルバムのユニークな試みとしてストリーミングで聴かれることを前提に、中音域以上のゆがんだ音を削り、全体的に音数を減らすという試みが行われたそうです。あえてストリーミングという環境にターゲットを絞った制作方針もユニークですし、またそれだけthe HIATUSは「多くのリスナーに聴かせる」ということをより意識した曲作りをした、ということなのかもしれません。

そういう意味でも前述の通り、ELLEGARDENの活動が再開された今だからこそ、the HIATUSの方向性がよりクリアになった本作。もっとも、あえてthe HIATUSのベクトルを変えた、というよりもELLEGARDENやMONOEYESのような「ロック」を前に出したバンドではできないような曲をthe HIATUSで行っている、という印象を受けます。それだけに今後もthe HIATUSの活動はコンスタントに続きそう。しかし、それにしても細美武士の活動の精力さはすごいなぁ。次はELLEGARDENの新作を聴きたい、かも。

評価:★★★★★

the HIATUS 過去の作品
Trash We'd Love
ANOMARY
A World Of Pandemonium
THE AFTERGLOW TOUR 2012
Keeper Of The Flame
Hands of Gravity

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