古き良きロックを今の時代に
Title:"Let's Rock"
Musician:The Black Keys
ヒットシーンの中で、すっかりHIP HOP勢に主役の座を奪われてしまった感のあるギターロック。ただ一方ではいかにも昔ながらのロックを貫いたThe Racounteursのアルバムがビルボードチャートで1位を獲得するなど、一方では根強い人気も感じられます。アメリカ・オハイオ州出身の2人組ロックバンド、The Black Keysもそんな昔ながらのロックナンバーを奏でながらも根強い人気を誇るバンドのひとつでしょう。前作「Turn Blue」では全米チャート1位を獲得し、その高い人気ぶりを誇りました。今回、約5年ぶりとなる新作はチャート的には全米チャート4位にダウンしたものの、根強いロック人気を感じさせる結果となりました。
今回のアルバムでも「Shine A Little Light」ではいきなり力強いギターリフからスタート。ちょっとくすんだ雰囲気もある「古き良き時代」のへヴィーロックの様相の強いナンバーとなっています。さらに「Eagle Birds」もヘヴィーなギターサウンドが軽快なロックンロールチューン。ギターリフ主導のナンバーは続く「Lo/Hi」もそうで、軽快ながらも力の抜けたギターリフはどこかローリングストーンズからの影響も感じさせます。まさにロックリスナーとしては壺をつきまくったロックチューンの連続。「Let's Rock」というある意味そのままなタイトルは伊達ではありません。
いかにもロックンロール然としたギターリフ主導の楽曲から一転、「Walk Across The Water」以降の中盤戦ではミディアムチューンのナンバーが並びます。ミディアムチューンのナンバーもヘヴィーでノイジーなギターサウンドを響かせつつ、60年代や70年代の雰囲気を感じさせる哀愁感漂うメロディーラインが大きな魅力に。こちらもしっかりと古き良き時代のロックを感じさせる楽曲となっています。
後半は郷愁感あふれる「Sit Around And Miss You」、軽快なギターサウンドに爽快さも感じる「Go」、ノイジーでダイナミックなサウンドを展開する「Breaking Down」と、オールドスタイルのロックという方向性は変わらないものの、比較的バリエーションある展開に。最後を締めくくる「Fire Walk With Me」はギターリフが展開されるサウンドに60年代あたりの雰囲気を感じさせるフォーキーでポップなメロが魅力的な、いかにも昔ながらもロックといった雰囲気の曲で締めくくり。最初から最後まで古き良きロックというスタイルが貫かれたアルバムになっていました。
前作「Turn Blue」は昔ながらのロックというスタイルよりもサイケな様相の強くなったアルバム。良くも悪くも彼らが新たな挑戦を行った作品という印象がありましたが、今回のアルバムは再び、彼らの本来の持ち味であるヴィンテージなロックナンバーに回帰した作品にように感じました。
こういうアルバムがそれなりに売れるということは、やはりロックらしいロックを聴きたいというリスナー層は少なくないってことなんでしょうね。個人的にもいかにも「ロックを聴いた」という満足感を強く覚えるアルバムになっていました。ロックが好きならば無条件でお勧めできるアルバムです。
評価:★★★★★
The Black Keys 過去の作品
EL CAMINO
| 固定リンク
「アルバムレビュー(洋楽)2019年」カテゴリの記事
- 圧巻のステージ(2019.12.29)
- 前作と同じレコーディングで生まれた作品(2019.12.24)
- ゴスペル色が強い新作(2019.12.23)
- バラエティー富んだエレクトロサウンド(2019.12.22)
- 待望の続編!(2019.12.20)
コメント