刺激的なサウンドで要注目のロックバンド
Title:Schlagenheim
Musician:black midi
今、ロンドンで最も刺激的と言われる4人組ロックバンド、black midi。ロンドンを拠点に活動を続け、みるみるうちに注目を集め、このデビューアルバムも大きな話題に。各種メディアを中心に大絶賛を受けました。また、日本でも徐々に話題になっており、様々な場所で絶賛と共にその名前を見る機会が増えてきています。まさに今、もっとも注目度の高いバンドのひとつと言えるでしょう。
そもそもこのアルバムはジャム・セッションを基調として5日間で完成させたアルバムだそうです。そのためアルバムの内容を一言で言うには非常に難しい、バンドの様々な側面が次々にあらわれる作品となっていますが、ただ、それゆえに非常に緊迫感のあるアルバムに仕上がっていたと思います。
まずアルバムはダイナミックなバンドサウンドが迫力満点に耳元に押し寄せてくる「953」からスタート。ハードコアテイストの強い作風にまずは圧倒されるのですが、途中から突然、歌のパートもスタート。この歌もまた、不規則さゆえに楽曲に一種の緊迫感を与えています。この出だしの「953」はプログレ的な色合いも強く、イメージ的には70年代あたりのロックの雰囲気も感じます。
しかし一方、続く「Speedway」は、ミニマル的なリズム感を覚えるような作品に。ラップのように淡々と歌われるボーカルも含めてイメージとしてはバンドサウンドを主導としながらも、むしろエレクトロ的なテイストも感じさせる作風に。イメージとしてはクラフトワークも彷彿とさせました。
さらに「Reggae」はアバンギャルドな様相を帯びた作風になっていますし、「Near DT,MI」はダークな雰囲気でありつつシャウトの入ったボーカルにパンキッシュな要素を感じさせます。「bmbmbm」もトーカティブなボーカルで淡々と続くような展開が緊迫感を感じさせますし、「Ducter」も途中、トライバルでファンキーなリズムが登場してきたかと思えば、ラストはギターノイズで埋め尽くすサイケな展開となってきます。
基本的には変拍子のリズムを主導としつつ、ハードコア的な要素を感じさせるダイナミックなバンドサウンドを聴かせ、サイケやアバンギャルドの要素を取り入れた実験的なロックサウンド、とあえて一言で言えばそんな感じでしょうか・・・全然一言じゃありませんが・・・(^^;;全体的には70年代のプログレからの影響も強く感じる一方で、そう一言ではとらえきれない様々な音楽からの影響も感じられます。決して今風のサウンドといった感じではないものの、決して懐古趣味でもない、本当に独特なサウンドを感じさせるバンドです。
評判通り、今後さらに注目をあつめそうな刺激的でとてもおもしろいバンドの登場だと思います。決して人懐っこい感じではないのですが、聴き始めるとどんどんとはまっていきそうなそんな魅力があります。これからのロックシーンをかき回していきそうな予感が・・・今後が非常に楽しみです!
評価:★★★★★
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