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2019年7月23日 (火)

疾走感あふれるパンクチューンが心地よい

Title:Patience
Musician:Mannequin Pussy

女性に対する侮蔑語であるPussyという言葉がかなり強いインパクトを持つこのバンドは、アメリカ出身の女性ボーカルによる男女混合4人組のインディーロックバンド。3枚目となるこのアルバムはオフスプリングやNOFXなど数多くのパンクバンドを輩出してきたアメリカのインディーレーベル、エピタフ・レコードからリリースされています。

まだまだ日本では無名な彼女たち。今回、はじめて彼女たちのアルバムを聴いたのですが、メロディアスでポップなメロディーと勢いあるパンキッシュなバンドサウンドがとにかく気持ちよく、一気に気に入ってしまいました。

彼女たちのサウンドは基本的に非常にシンプルなオルタナ系のギターロック。インディーバンドらしい粗削りな部分も多く、それもまた大きな魅力となっています。特に分厚いバンドサウンドに力強いシャウトを聴かせる「Cream」や1分弱という短さをシャウトとバンドサウンドで一気に畳みかける「DrunkⅠ」、力強いギターリフが耳を惹く「F.U.C.A.W.」などは80年代あたりのインディーロックバンドを彷彿とさせる部分があり、懐かしくもこの時代にこんな音を鳴らすバンドが残っていたんだ、といううれしさを覚える曲になっています。

ただ彼女たちのもうひとつの大きな魅力はパンキッシュなバンドサウンドだけではなく、しっかりとインパクトあるポップなメロディーラインを聴かせてくれるという点。単純に力強いバンドサウンドで勢いで押し切るのではなく、あくまでも聴かせるメロディーラインが土台となっており、バンドとしての基礎体力の強さを感じさせます。

例えば「DrunkⅡ」ではちょっと切なさを感じさせるメロディーを聴かせてくれますし、「Fear/+/Desire」も哀愁感を覚えるメロディーが耳を惹きます。「Who You Are」なども軽快でポップなメロディーが大きなインパクトとなっていますし、ラストを締めくくる「In Love Again」も軽く入ったピアノの音色も爽やかな、メロディアスなポップチューンに仕上がっています。

パンキッシュなサウンドを軸にしつつ、バラエティーのある作風も大きな魅力。ポップなメロディーラインはインパクト十分で人なつっこさもあり、日本で売れそうな印象もあります。チャットモンチーやSHISHAMOあたりのガールズロック好きはもちろん、the pillowsのようなオルタナ系ギターロックが好きなリスナーや海外でいうとPixiesあたりに通じる部分もありそう。個人的にはかなり壺をつきまくったバンドでした。

ちなみに全10曲25分というパンクバンドらしいアルバムの短さもひとつの魅力。そのため最初から最後まで一気に聴ききることができて、いい意味でダレることがありません。このアルバムの短さも本作の大きな魅力に感じました。

そんな訳で、ロック好きにはかなりおすすめしたいパンクロックバンドの傑作アルバム。上に出したバンドでピンと来たような方には是非とも聴いてほしい1枚。いい意味で聴きやすいアルバムになっているため、ロック好きには幅広くお勧めできる傑作でした。

評価:★★★★★

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