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2019年7月

2019年7月31日 (水)

先週に続き・・・つ、ついに・・・

今週のHot100

http://www.billboard-japan.com/chart_insight/

先週、ついに米津玄師「Lemon」がベスト10からダウンしたのですが、それに引き続き今週、ついにあいみょん「マリーゴールド」が先週の8位から11位にダウン。こちらも連続ベスト10記録が31週でストップしました。一方で先週20位だった「真夏の夜の匂いがする」がCDリリースにあわせてランクアップし7位にランクイン。ダウンロード数6位、ストリーミング数8位、ラジオオンエア数1位、PCによるCD読取数2位を獲得。一方、Twitterつぶやき数は82位に留まり、CD販売数も20位に。オリコン週間シングルランキングでも初動売上7千枚で20位という結果に。前作「ハルノヒ」の1万枚(6位)からもダウンという結果になっており、相変わらずCDよりも圧倒的に配信系の売上が主導しているヒット傾向になっています。ちなみに米津玄師「Lemon」は今週14位にダウン。ダウンロード数がついに12位にダウンした他、You Tube再生回数も5位にダウン。カラオケ歌唱回数だけは1位をキープしていますが、さすがにここまでか、といった印象を受ける結果になっています。

さて今週の1位ですが、韓国の女性アイドルグループTWICE「Breakthrough」が先週の49位からCDリリースにあわせてランクアップし、1位を獲得しています。ちなみにTWICEは先週2位を獲得した「HAPPY HAPPY」も今週5位にランクインしているため、2曲同時ランクインという結果になっています。

一方、TWICEに敗れて2位に留まったのがSKE48「FRUSTRATION」。CD販売数ではSKE48が1位、TWICEが2位という結果になっているのですが、ラジオオンエア数はTWICE4位に対してSKE48が53位、PCによるCD読取数がTWICE1位にSKE4811位、Twitterつぶやき数のみTWICE6位に対してSKE485位と一矢を報いましたが、TWICEは他にもダウンロード数44位、ストリーミング数6位、You Tube再生回数23位にランクインし、総合順位ではSKE48を上回る結果となっています。

ちなみにオリコンではSKE48が初動売上32万枚で1位、TWICEが22万枚で2位という結果に。SKE48は前作「Stand by you」の23万4千枚(1位)から売上増となりましたが、コアなファン層以外への広がりを欠ける結果となっています。一方、TWICEは先週の「HAPPY HAPPY」の24万7千枚(2位)からダウンという結果になっています。

3位はRADWIMPS「愛にできることはまだあるかい」が先週の4位からワンランクアップでベスト3入り。ダウンロード数は先週から引き続き1位をキープ。さらにラジオオンエア数で2位、You Tube再生回数では見事1位を獲得。特にYou Tube再生回数で上位に食い込んでくる曲はロングヒットの傾向が強いだけに今後に注目されます。ちなみに9位にも先週から変わらず「グランドエスケープ feat.三浦透子」がランクイン。2週連続2曲同時ランクインとなっています。

続いて4位以下の初登場曲ですが、今週は前述のあいみょん以外でベスト10初登場は1曲のみ。6位にRoselia「FIRE BIRD」が初登場でランクイン。Roseliaはメディアミックスプロジェクト「BanG Dream!」内のキャラクターによるバンド。CD販売数5位、ダウンロード数4位、PCによるCD読取数4位、Twitterつぶやき数7位。オリコンでは初動売上2万9千枚で5位初登場。前作「Safe and Sound」の3万枚(3位)から微減という結果になっています。

さてロングヒット組。ついに「Lemon」も「マリーゴールド」も姿を消してしまったヒットチャートですが、そんな中、次の超ロングヒットになりそうなのがOfficial髭男dism「Pretender」。今週は5位から4位に再度ランクアップ。ストリーミング数は今週も1位をキープしているほか、You Tube再生回数も4位から3位にアップ。これで12週連続のベスト10ヒットとなり、今後もさらなるロングヒットが期待できそうです。一方、菅田将暉「まちがいさがし」は7位から8位にダウン。ストリーミング数は2位をキープ。You Tube再生回数は1位を明け渡したものの2位をキープ。まだまだロングヒットしそうな予感もありますが、さてさて。

今週のHot100は以上。明日はHot Albums!

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2019年7月30日 (火)

清志郎の本音が次々と

今回は最近読んだ、音楽がらみの本の紹介です。

忌野清志郎「ロックで独立する方法」。2000年から2001年に「Quick Japan」誌に掲載されていた記事を1冊にまとめた本で、もともとは2009年8月、彼が逝去した直後に販売された1冊。今回、新潮社から文庫本として発売されたため、はじめて同書を読んでみました。

タイトル的にはロックミュージックで身を立てたいとする「ミュージシャンの卵」たちへのメッセージのようにも思われますが、内容はそんなこれからミュージシャンを志すような人たちへのメッセージもある一方で、彼が音楽業界に対して思うことやRCサクセションの活動を振り返った記載、RCやソロでの活動を通して感じたことやさらには「君が代」をロックアレンジで歌って騒動となった1999年の出来事に関する率直な感想など、忌野清志郎の音楽遍歴を総括するような内容になっていました。

そんな訳で忌野清志郎ファンにとってはバイブル的な1冊となっているのですが、ただそんな清志郎ファンに関わらず日本のポピュラーミュージックに興味を持っている方ならば間違いなく興味深く読むことが出来る1冊だったと思います。まず非常におもしろいのが世間の常識に全く捕らわれない清志郎の物言い。例えばよく芽の出ない人たちに対して「世間のせいにするな、力のない自分が悪い」という忠告が行われがちです。しかし清志郎は同書の中では「世間のせいにすべきだ」と言っています。ただし、それは決して甘やかすメッセージではなく「『わかってくれない世間のせいにしちゃえるほどのこと』を、『やっぱりダメかと簡単には反省しちゃえないほどのこと』を、自分がどれだけできてるかっていうことが大切なんだ。そこまでの自信が持てないと言うなら、それは最初っからそれほど好きなことなんかじゃなかったんだよ。」と言い切っています。逆にとても厳しいメッセージともとれるのですが、読んでいてとても納得感がありました。

その後も音楽業界の裏話のようなネタやそれに対して清志郎が思っている「本音」が次々と登場してくるため、非常に興味深く一気に読める内容になっています。例えば「君が代」騒動の時に「君が代」をパンクアレンジで歌おうと思った本音としては「今やれば目立つし売れると思ったから」と根も葉もない本音が語られていますし、それに対して特に「社会派」とされるインタビュアーが自分たちの思っていることを答えさせようとするインタビューばかりする、とうんざりしている裏話もそのまま書かれています。

音楽雑誌についても、「ロッキング・オン」など実名を出して、「音楽のことを訊いてくれない」「話題になるのは歌詞の内容ばっかり」と強く批判していますし、さらに広告の見返りにインタビューが行われる「バーター記事」についても赤裸々に語っています。また、彼のファンについても30年間「ファンに裏切られ続けてきた」と語り、「ファンを信じてなんかいない」と語っているのは、熱心なファンにとってはショックかもしれません(笑)。ただ、これと似たような話を石野卓球もしていたなぁ・・・と思いだしました。「ファンは信じられない」というのはミュージシャンの偽らざる本音なのかもしれません。まあ、確かにファンなんて気まぐれな存在というのはよくわかるような気がします・・・。

そんな彼の本音が軽快な語り口で次々と出てくるため非常におもしろく、また読みやすい内容になっていました。RCの話や清志郎のソロの話がメインなのですが、そんな音楽業界の裏話やミュージシャンの本音のような話も多いため、おそらく幅広い人が読んでいてとても楽しめる1冊になっていたと思いますし、こういう話を率直に話せてしまうあたりが清志郎の清志郎たるゆえんなんだろうなぁ、とも感じました。ただひとつとても悲しく感じたのがラスト。「次のテーマはきっと『ロックで爺さんになる方法』か、さもなきゃ『ロックで天寿を全うする方法』になるだろうな」と書かれている点。その後の彼のことを思うと、思いいるところが強くありました。もっとも、最期の最期までロックを貫いてこの世から旅だっていったという点では、「天寿を全うした」のでしょうが。

そんな訳で、最初から最後までとても楽しめる音楽好きなら無条件でお勧めしたい1冊。清志郎節が最初から最後まで楽しめる、とても楽しい作品でした。

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2019年7月29日 (月)

ベテランらしい安定した良作

Title:ウ!!!
Musician:ウルフルズ

約2年ぶりとなるウルフルズのニューアルバム。ギターのウルフルケイスケがソロ活動に専念するためウルフルズとしての活動を休止。3人組となって初となるアルバムとなりました。

そんなニューアルバムですが、1曲目にはいきなり度胆を抜かれます。いきなりエレクトロサウンドが飛び込んでくるディスコ調のテクノポップチューン。一応、先行配信曲なのでこのアルバムで初お目見え、ではないのですが、ルーツ志向のバンドサウンドで泥臭いイメージのあるウルフルズとしては、3人組になって方向転換か??と驚かされます。(もっとも、彼らのブレイク作、「ガッツだぜ!!」もディスコ風のナンバーでしたので、ウルフルズの方向性として「いままでにない」といった感じではないのですが)

ただし2曲以降はいかにもウルフルズらしい曲の連続で、まずは安心させられます。続く「リズムをとめるな」は大ヒットした映画「カメラを止めるな!」を意識したタイトルですが、タイトル通り、テンポよいバンドサウンドが終始続く、軽快だけどメロにはちょっと切なさを感じさせるギターロック。そして続く「ワンツースリー天国」はまさに彼らの真骨頂ともいうべきロックンロールナンバー。さらにそこから一転、「ひとつふたつ」はソウルフルに聴かせるソウルバラードのラブソングに仕上がっています。

さらに続く「ありがっちゅー」も暖かい雰囲気にさせてくれる歌詞が印象的なロックチューン。さらに「生きてく」もスウィートなソウルナンバーで、こちらもほっこりと暖かい感じなのが魅力的。ちなみにインタビューではこの2曲を「今までウルフルズでやってそうでやってなかったタイプの曲。」と語っています。そういう面で彼らなりの挑戦を感じさせますが、そんな曲でもしっかりと「ウルフルズ色」に染め上げており、「彼ららしさ」を感じさせてしまう点、彼らの個性と実力を感じさせます。

その後も力強いバラードナンバー「抱きしめたい」やピアノが入って爽快感のある「変わる 変わる時 変われば 変われ」と続き、リズミカルで前向きな歌詞が明るいロックンロールチューン「パワー」へと続きます。最後は2003年にリリースされたアルバム「ええねん」に収録されている彼らの代表曲のひとつ「愛がなくちゃ」のセルフカバーで締めくくり。ある意味、実に彼ららしいラブソングでアルバムの幕は下ります。

そんな訳で、彼らなりの挑戦を感じつつも、アルバム全体としてはウルフルズらしさを感じさせるアルバム。ベテランらしい、きちんと自分たちの立ち位置を踏まえた上で、新しいこととファンに求められることのバランスを上手くとったアルバムだったように感じます。また前作「人生」がルーツ志向なアルバムだったのに対して、本作はルーツ志向な部分を垣間見せつつ、全体的には明るくポップな要素の強い作品だったように感じました。とりあえずしばらくは3人組になってしまった彼らですが、ウルフルズとしての活動に心配はなさそう。これからの彼らにも期待です。

評価:★★★★★

ウルフルズ 過去の作品
KEEP ON,MOVING ON
ONE MIND
赤盤だぜ!
ボンツビワイワイ
人生

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2019年7月28日 (日)

「ドリーム・カメラ」完成

Title:ANIMA
Musician:Thom Yorke

ご存じRADIOHEADのボーカリスト、トム・ヨークによる、ソロでは3枚目となるオリジナルアルバム。純然たるオリジナルアルバムとしては約5年ぶりのリリースとなるものの、その間、映画「サスペリア」のサントラもリリースしているため、ソロとしては比較的コンスタントに活動を続けている感もあります。今回の作品でもRADIOHEADの作品にも多く関わっている盟友、ナイジェル・ゴドリッチをプロデューサーに迎えた作品となっています。

ここ最近、ソロでの活動と並行してRADIOHEADとしての作品もリリースされているように、基本的にはソロとバンドとしての活動は、今の彼にとって車輪の両輪のようなものになっているのでしょう。ただ両立できるということは、ソロとしての活動とバンドとしての活動を区別しているということも言える訳で、実際、音楽的にもバンドサウンドが主軸になっているRADIOHEADとエレクトロサウンドが主軸のソロでは明確に区分がされています。

良く知られているように、RADIOHEADといえば2000年にリリースされたアルバム「KID A」が、エレクトロニカやビートミュージックに大きくシフトした作品となっておりシーンに大きな衝撃を与えました。ただ、その後はRADIOHEADとしての作品は徐々にバンドサウンドに回帰していく訳ですが、「KID A」の方向性にトム・ヨークの興味がなくなった訳ではなく、エレクトロ方面の作品はソロとして発表するようになっています。そういう意味で言うとこのアルバムも「KID A」からの流れに沿ったアルバムになっていると言えるでしょう。

そんな今回のアルバム、広告の際には夢を映す機械、「ドリーム・カメラ」なる商品の広告を模したプロモーションも話題となりました。「ドリーム・カメラ」なんて言うと、日本人にはむしろドラえもんの秘密道具を彷彿とさせてしまいますが、今回の作品は「Impossible Knots」のように、ドリーミーな雰囲気を醸し出しているようなエレクトロチューンが目立ったような印象を受けました。もっとも、決して楽しいワクワクするような夢の世界だけではなく、例えば「Last I Heard(He Was Circling The Drain)」のような、不気味な雰囲気を醸し出している楽曲も少なくありませんでしたが。

ただ全体的には「The Axe」のような、どこか哀愁感も覚えるような叙情感あるメロディアスな要素がアルバムの全体から感じられ、印象としては「KID A」のような難解なエレクトロというよりも、比較的聴きやすいポップチューンという印象を受けます。もっとも、「KID A」以降、世間にあふれだしているビートミュージックに耳が慣れてしまった、という側面も大きいのでしょうが。

また、サウンドとしてもエッジの効いたエレクトロサウンドを最小限に入れてくる・・・というスタイルではなく、音は比較的絞ってはいるものの、決して「音の隙間を聴かせる」というスタイルではなく、音の美しい重なりを聴かせるスタイルだったように感じます。そういう意味では「KID A」以降の変化も感じられるのですが、全体的には、今、最先端の音といった印象は受けません。実際、曲によっては3年前にすでにライヴで披露された曲もあるそうで、時代の先端を行くというよりも、彼にとって最も魅力的なエレクトロサウンドを時間をかけて作り上げた作品と言えるのかもしれません。

そんな訳で、非常に凝ったエレクトロアルバムであるものの、リスナーにとってはドリーミーな世界をただ楽しむことの出来る傑作アルバムだったと思います。ある意味、バンドとしての活動とソロとしての活動を理想的に両立させている彼。次はRADIOHEADのアルバムか?まだまだたくさんの傑作アルバムを聴くことができそうです。

評価:★★★★★

Thom Yorke 過去の作品
The Eraser Rmx
Tomorrow's Modern Boxes
Suspiria(Music for the Luca Guadagnino Film)
Suspiria Unreleased Material

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2019年7月27日 (土)

不安と前向きな気持ちが同居

Title:トワイライト
Musician:スカート

青春の1ページを切り取ったような、ちょっと甘酸っぱさも感じる漫画のジャケット絵が強い印象に残る澤部渡のソロプロジェクト、スカートのメジャー2作目となるアルバム。ちなみにこのジャケットは「このマンガがすごい!2019」のオンナ編第1位を獲得した「メタモルフォーゼの縁側」の作者、鶴谷香央理による書下ろしだそうです。

このジャケットの絵からは、どこか切なさと、それと同時に前向きな爽やかさを感じさせます。そして、そんな切なさや寂しさと前向きさが同居した複雑な心境は本作のスカートの作風に沿っていました。まずアルバムは女性アイドルグループNegiccoのKaedeに提供した曲のセルフカバー「あの娘が暮らす街(まであとどのくらい?)」からスタートします。この曲は、「ひとりじゃ不安だけど それでも逃げ出したい」という逃避行をにおわせるような表現が登場します。ただ一方最後はタイトルである「あの娘が暮らす街まであとどのくらい?」と、おそらく恋人の元に向かっているであろう、明るさと希望を感じさせつつ曲は締めくくられます。

さらに「君がいるなら」でも

「眠れない夜にはしごをかけて
風もない春に寄り添う
今がこのまま続いて行くならば
不安でも前を見ていたい」
(「君がいるなら」より 作詞 澤部渡)

と爽やかさを感じる表現ながらも、どこか影の部分を想像してしまう歌詞が印象に残ります。

ただそんな不安や影の要素を感じつつも、「歩き出そう 風がどんなに強くても」と歌う「ずっとつづく」や「指をつないで 扉の向こうへ」と締めくくる「ハローと言いたい」など前向きな希望を感じさせる曲も目立ちます。ただ、単純な前向き応援歌ではなく、その向こうにある決して上手くいくばかりではない現実も垣間見れる歌詞になっており、それが本作の大きな魅力に感じました。

また爽やかさを彩るような風景描写も印象的で、高田馬場での乗り換え風景を描いた「高田馬場で乗り換え」のような曲もあれば、春を描いた風景描写も印象的な「遠い春」や暗い海辺に佇み、不安を感じる恋人を描いた「花束にかえて」など心境にあった風景をしっかりと切り取った歌詞も大きな魅力となっています。

さて、スカートの曲ですが、歌詞も大きな魅力なのですが、それ以上にメロディーも大きな魅力。もともとはスピッツのバックバンドに参加して話題になった彼ですが、スピッツのように暖かい雰囲気のポップスが大きな特徴になっています。特にメジャーデビュー作となった前作「20/20」でメロディーにインパクトが出てきたのですが、今回のアルバムもいい意味でメロディーがあか抜けてきているように思います。

あえて言うのならフォーキーな雰囲気にはくるりのような雰囲気を感じます。メロディー的にわかりやすいサビがあるわけではないのに、聴き終わった後に強く印象を残すという点もくるりに似ていますし、同時に澤部渡のメロディーセンスの良さを感じさせます。ただ、くるりと比べると、例えば「遠い春」などAORの要素も強く感じさせ、ここらへんは歌い方も含めて、どこかキリンジを彷彿とさせる部分も。くるりとキリンジの中間を行くサウンドといった感じでしょうか。

ただ、くるり+キリンジ÷2といっても決して既存のミュージシャンのコピーではなく、そこはしっかりスカートとしての色を出しています。確かに決してサウンドの面では目新しい感じではないものの、暖かさを感じるメロディーとサウンドは聴いていて安心しますし、また歌詞の世界観をしっかりとサポートしているようにも感じました。

メジャー2作目となった本作ですが、前作から引き続き、いい意味でインパクトも増してスカートの魅力をしっかりと出すことのできた傑作アルバムに仕上がっていたと思います。ポップスが好きならば、間違いなく聴いておきたい1枚です。

評価:★★★★★

スカート 過去の作品
CALL
20/20


ほかに聴いたアルバム

大きな玉ねぎの下で/サンプラザ中野くん

元爆風スランプのボーカル、サンプラザ中野くんの新作は、爆風スランプの代表曲で1989年にリリースされ大ヒットした「大きな玉ねぎの下で」のリメイクを中心とした6曲入り(うち1曲はカラオケ)のミニアルバム。同じく代表曲のひとつである「月光」のセルフカバーを収録しているほか、オカモトラバーズ研究所とのコラボ曲「岡本と友だち」、QUEENの日本語直訳カバー「女王様物語」、お笑いコンビ野生爆弾のくっきー作詞作曲歌唱による「月光」のアンサーソング「日光」が収録されているなど、真面目な側面とギャグの側面が混在したような楽しい1枚になっています。

ただリメイクの「大きな玉ねぎの下で」に関しては正直言ってサンプラザ中野くんの声があまり出ていない・・・不快というほどではなく曲自体は十分楽しめるものの、ちょっと残念に感じました。ただ、そんな気になる点はあるものの、今聴いてもやはりこの曲は名曲ですね。武道館を舞台にペンフレンドとの切ない恋愛を描いた風景描写が絶妙。なんでペンフレンドが会場に来なかったのか一切語られていませんが、そこをいろいろと想像できる余地がある点もまたこの曲を名曲にしている要素のように思います。ちなみに今となってはかなり時代を感じさせる歌詞に。「ペンフレンド」とか完全に死語になってしまいましたしね。でも、はじめて会う異性にドキドキ感を覚えるのはいつの時代も変わらず、そういう意味ではこの曲もしっかりと時代を超えた名曲と言えるのでしょう。

このシリーズ、まだ第3弾、第4弾もありそうだなぁ。次は「リゾ・ラバ」とか「涙2」あたりか?若干、露骨なアラフォーホイホイ的な後ろ向きな企画な点は気にかかるのですが、率直にアラフォー世代としては楽しめた1枚でした。

評価:★★★★

サンプラザ中野くん 過去の作品
Runner

美空ひばりトリビュート Respect HIBARI -30 years from 1989-

没後30年の区切りの年にリリースされた、主にポップス系ミュージシャンによる美空ひばりへのトリビュートアルバム。妖艶に歌い上げる吉井和哉や煤けた雰囲気が楽曲にもマッチしている徳永英明。ちょっとコミカルなカバーが楽しいNICO Touches the Wallsや、2曲目の「東京キッド」のカバーでは、ちょっとこなれすぎた感がマイナスだった松山千春もラストの「津軽のふるさと」ではその歌唱力を遺憾なく発揮し、その実力を見せつけました。

基本的には感情を込めたカバーを非常に上手く歌い上げている人ばかりで、ちょっと浮いている感のある倖田來未も意外と力強いボーカルで他のミュージシャンに決して負けていませんでした。ただそんな中、唯一このメンツに参加しているのが疑問だったのが水谷豊。それも「川の流れのように」という代表曲をカバーしたのですが、完全にそこらへんの飲み屋のおじさんのカラオケレベル・・・。いや、彼は歌が下手なのは知っていたので最初から全く期待はしていなかったのですが、他のミュージシャンが上手い人ばかりだったので、その酷さが際立ちます。なんで参加させたんだろう?その点は非常に残念でしたが、そこを差し引けばよくできたカバーがそろったアルバムだったと思います。参加ミュージシャンが好きな方はチェックして損のない1枚です。

評価:★★★★

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2019年7月26日 (金)

刺激的なサウンドで要注目のロックバンド

Title:Schlagenheim
Musician:black midi

今、ロンドンで最も刺激的と言われる4人組ロックバンド、black midi。ロンドンを拠点に活動を続け、みるみるうちに注目を集め、このデビューアルバムも大きな話題に。各種メディアを中心に大絶賛を受けました。また、日本でも徐々に話題になっており、様々な場所で絶賛と共にその名前を見る機会が増えてきています。まさに今、もっとも注目度の高いバンドのひとつと言えるでしょう。

そもそもこのアルバムはジャム・セッションを基調として5日間で完成させたアルバムだそうです。そのためアルバムの内容を一言で言うには非常に難しい、バンドの様々な側面が次々にあらわれる作品となっていますが、ただ、それゆえに非常に緊迫感のあるアルバムに仕上がっていたと思います。

まずアルバムはダイナミックなバンドサウンドが迫力満点に耳元に押し寄せてくる「953」からスタート。ハードコアテイストの強い作風にまずは圧倒されるのですが、途中から突然、歌のパートもスタート。この歌もまた、不規則さゆえに楽曲に一種の緊迫感を与えています。この出だしの「953」はプログレ的な色合いも強く、イメージ的には70年代あたりのロックの雰囲気も感じます。

しかし一方、続く「Speedway」は、ミニマル的なリズム感を覚えるような作品に。ラップのように淡々と歌われるボーカルも含めてイメージとしてはバンドサウンドを主導としながらも、むしろエレクトロ的なテイストも感じさせる作風に。イメージとしてはクラフトワークも彷彿とさせました。

さらに「Reggae」はアバンギャルドな様相を帯びた作風になっていますし、「Near DT,MI」はダークな雰囲気でありつつシャウトの入ったボーカルにパンキッシュな要素を感じさせます。「bmbmbm」もトーカティブなボーカルで淡々と続くような展開が緊迫感を感じさせますし、「Ducter」も途中、トライバルでファンキーなリズムが登場してきたかと思えば、ラストはギターノイズで埋め尽くすサイケな展開となってきます。

基本的には変拍子のリズムを主導としつつ、ハードコア的な要素を感じさせるダイナミックなバンドサウンドを聴かせ、サイケやアバンギャルドの要素を取り入れた実験的なロックサウンド、とあえて一言で言えばそんな感じでしょうか・・・全然一言じゃありませんが・・・(^^;;全体的には70年代のプログレからの影響も強く感じる一方で、そう一言ではとらえきれない様々な音楽からの影響も感じられます。決して今風のサウンドといった感じではないものの、決して懐古趣味でもない、本当に独特なサウンドを感じさせるバンドです。

評判通り、今後さらに注目をあつめそうな刺激的でとてもおもしろいバンドの登場だと思います。決して人懐っこい感じではないのですが、聴き始めるとどんどんとはまっていきそうなそんな魅力があります。これからのロックシーンをかき回していきそうな予感が・・・今後が非常に楽しみです!

評価:★★★★★

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2019年7月25日 (木)

「君の名は。」旋風再びなるか?

今週のHot Albums

http://www.billboard-japan.com/chart_insight/

2016年に大ヒットを記録したアニメ映画「君の名は。」。今週は、同映画の新海誠監督による最新作のサントラが見事1位を獲得しました。

まず今週1位を獲得したのがRADWIMPS「天気の子」。前述の通り、「君の名は。」の新海誠監督による最新作「天気の子」のサントラ盤で、前作同様、音楽をRADWIMPSが担当しています。CD販売数は2位に留まりましたが、ダウンロード数で見事1位を獲得。PCによるCD読取数も5位にランクインし、総合順位では1位を獲得しました。「君の名は。」といえばRADWIMPSの「前前前世」が大ヒットを記録しました。今週、Hot100でも「天気の子」の主題歌2曲が同時ランクインしていますが、「前前前世」と同様のロングヒットを記録するのでしょうか?ちなみにオリコン週間アルバムランキングでは初動売上4万3千枚で3位初登場。直近作のオリジナルアルバム「ANTI ANTI GENERATION」の7万7千枚(1位)からはダウン。また「君の名は。」のサントラ盤の初動5万7千枚(1位)からもダウン。若干、厳しめのスタートとなっています。

2位初登場はそらる「ワンダー」。動画投稿サイトへの歌唱動画投稿で人気を博したシンガーソングライターの新作です。CD販売数は見事1位を獲得したものの、ダウンロード数41位、PCによるCD読取数22位で総合順位は2位。ネット初なのになんでダウンロード数の順位がこんなに悪いのか?と思ってしまうのですが、やはりアイドル的な人気が主導しているのでしょうか。オリコンでは初動売上4万4千枚で2位初登場。前作「ビー玉の中の宇宙」は流通形態が限定されていたようで、オリコン最高位223位でしたので、ベスト10入りは前々作「夕溜まりのしおり」以来となりました。

3位には先週1位を獲得したBUMP OF CHICKEN「aurora arc」が2ランクダウンながらもベスト3をキープ。CD販売数は4位、PCによるCD読取数は22位ながらもダウンロード数では2位を獲得し、総合順位でベスト3入りとなりました。

続いて4位以下の初登場盤です。まず5位に宇野実彩子(AAA)「Honey Stories」がランクイン。ミュージシャン名の通り、avexの音楽グループAAAのメンバーによるソロデビュー作です。CD販売数及びダウンロード数5位、PCによるCD読取数46位を記録。オリコンでは初動売上1万7千枚で5位初登場。ご存じの通り、AAAはリーダーの浦田直也が暴行事件を起こし謹慎中。AAAとしてはライブツアーも行っているようですが、今後は徐々にメンバーそれぞれのソロに活動をシフトしていくのでしょうか。

6位初登場はHump Back「人間なのさ」。Hump Backは女性3人組ロックバンドで、以前、チャットモンチーのトリビュートアルバムにも参加していました。CD販売数6位、ダウンロード数8位、PCによるCD読取数15位。徐々に人気を伸ばしていき、初のフルアルバムで見事初のベスト10ヒットを記録しました。オリコンでは初動売上1万5千枚で6位初登場。ミニアルバムである前作「hanamuke」の4千枚(17位)から大きく枚数を伸ばしています。

初登場最後。8位にDouble Ace「2Type」がランクインです。Double Aceは昨年、名前を超新星からSUPERNOVAと改名した韓国の男性アイドルグループのメンバー、ユナクとソンジェによるユニット。CD販売数7位、ダウンロード数は36位。オリコンでは初動売上1万2千枚で7位初登場。前作はユナク&ソンジェ from 超新星名義でリリースされた「2Re:M」で、同作の初動1万8千枚(4位)からはダウンしています。

さて最後に、今週、安室奈美恵「Finally」は残念ながら16位へダウン。残念ながら配信開始によるベスト10返り咲きは5週で幕を下ろしました。といっても、5週もランクインし続けたのか・・・。

今週のHot Albumsは以上。チャート評はまた来週の水曜日に!

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2019年7月24日 (水)

つ、つ、つ、つ、ついに!!!

今週のHot100

http://www.billboard-japan.com/chart_insight/

今週最大の話題は、すいません、チャートインした曲の話題ではなく逆にベスト10落ちした曲の話。米津玄師「Lemon」が今週11位にダウン!昨年の2月26日付チャートから続いたベスト10ヒットは、約1年5ヶ月74週という驚異的なロングヒットを持って、とりあえず一旦は幕を下ろしました。もっとも、まだカラオケ歌唱数1位、You Tube再生回数2位、PCによるCD読取数6位と上位にランクイン。ダウンロード数も10位につけており、まだまだ人気のほどをうかがわせます。今週は新譜ラッシュだったのでそれに押し出されるような形でベスト10落ちしてしまいましたが、来週以降は再ランクインの可能性は高そう。「Lemon」のヒットはまだまだ続く予感もします。

さて今週1位を獲得したのはAKB系。日向坂46「ドレミソラシド」。CD販売数、PCによるCD読取数及びTwitterつぶやき数1位、ダウンロード数4位、ラジオオンエア数7位、ストリーミング数24位を記録。非常に爽やかな雰囲気のポップチューンなので「こういう売り方をしていくんだな・・・」ということを強く感じます。オリコン週間シングルランキングでは初動売上44万8千枚で1位初登場。前作「キュン」の47万6千枚(1位)からはダウンしています。

2位は韓国の女性アイドルグループTWICE「HAPPY HAPPY」が先週の76位からCDリリースに合わせてランクイン。こちらも夏場のシーズン向けの爽やかでダンサナブルなナンバー。CD販売数、PCによるCD読取数で2位、Twitterつぶやき数3位、ラジオオンエア数6位、ストリーミング数及びYou Tube再生回数8位。ただなぜかダウンロード数だけは51位と落ち込みました。オリコンでは初動売上24万7千枚で2位初登場。前作「Wake Me Up」の26万2千枚(1位)よりダウンしています。

3位は名古屋のローカル男性アイドルグループBOYS AND MENの弟分、BOYS AND MEN研究生の選抜メンバーによるグループ祭nine.「ゴールデンジパングソウル」が初登場でランクイン。CD販売数は3位でしたが、ラジオオンエア数24位、PCによるCD読取数44位、Twitterつぶやき数67位に留まりました。オリコンでは初動売上7万枚で3位初登場。前作「有超天シューター」の7万5千枚(1位)からダウン。

続いて4位以下の初登場曲です。まず4位にRADWIMPS「愛にできることはまだあるかい」がランクイン。大ヒットを記録した「君の名は。」の新海誠監督の新作アニメーション映画「天気の子」主題歌。「君の名は。」から引き続き、RADWIMPSが音楽を担当し、この曲はその主題歌となります。同作のサントラ的なアルバム「天気の子」が今週のアルバムチャートで上位にランクインしていますが、この曲もダウンロード数で見事1位を獲得。ほか、You Tube再生回数6位、Twitterつぶやき数12位、ラジオオンエア数22位を記録し、見事ベスト10入りを記録しています。

さらに今週9位におなじくRADWIMPS「グランドエスケープ feat.三浦透子」がランクイン。こちらも「天気の子」のもう1曲の主題歌となります。ダウンロード数2位、Twitterつぶやき数53位を獲得。今週、ダウンロード数ではRADWIMPSが見事1、2フィニッシュとなりましたし、また見事2曲同時ランクインとなりました。

6位にはスターダストプロモーション所属の男性アイドルグループM!LK「かすかに、君だった。」が初登場。CD販売数4位に対して、ストリーミング数87位、PCによるCD読取数80位、Twitterつぶやき数61位に留まり、総合順位ではこの位置に。オリコンでは初動売上5万枚で4位初登場。前作「Over The Storm」の6万2千枚(2位)からダウンしています。

初登場最後はご存じ人気女性声優水樹奈々「METANOIA」が10位初登場。テレビアニメ「戦姫絶唱シンフォギアXV」主題歌。良くも悪くもいつもの彼女らしい、マイナーコードメインで叙情感たっぷりダイナミックな楽曲ですが、今回は特にバンドサウンドを前に押し出したメタル色の強い作風になっています。CD販売数は11位とベスト10入りを逃しましたが、ダウンロード数及びPCによるCD読取数で3位を獲得。ラジオオンエア数は39位、Twitterつぶやき数は13位に留まりましたが、総合順位ではベスト10入りを果たしました。一時期に比べて人気は落ち着いた感じはしますが、一方、CD販売数よりダウンロード数の順位が上回っているなど、アイドル的な人気から純粋に音楽的な支持へシフトしてきた感じでしょうか。オリコンでは初動売上2万5千枚で8位初登場。前作「NEVER SURRENDER」の3万3千枚(5位)からダウンしています。

さて今週、残念ながら米津玄師「Lemon」がベスト10落ちしてしまいました。またKing Gnu「白日」も17位にダウンしています。ただ一方でそのほかのロングヒット曲はまだまだがんばっています。まずOfficial髭男dism「Pretender」は3位から5位にダウンながらもベスト5をキープ。ストリーミング数は今週も1位をキープ。You Tube再生回数も先週から変わらず4位をキープしており、まだまだロングヒットは続きます。また、菅田将暉「まちがいさがし」は4位から7位にダウン。ただこちらもストリーミング数2位、You Tube再生回数1位は先週から変わらず。こちらもまだロングヒットは続きそう。

さらにあいみょん「マリーゴールド」も5位から8位にダウンしたもののまだまだがんばっています。こちらもストリーミング数及びYou Tube再生回数の3位、カラオケ歌唱回数の2位は先週から変わらず。今週で31週連続通算33週目のベスト10ヒットとなりましたが、この記録はまだ伸びそうです。

今週のHot100は以上。明日はHot Albums!

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2019年7月23日 (火)

疾走感あふれるパンクチューンが心地よい

Title:Patience
Musician:Mannequin Pussy

女性に対する侮蔑語であるPussyという言葉がかなり強いインパクトを持つこのバンドは、アメリカ出身の女性ボーカルによる男女混合4人組のインディーロックバンド。3枚目となるこのアルバムはオフスプリングやNOFXなど数多くのパンクバンドを輩出してきたアメリカのインディーレーベル、エピタフ・レコードからリリースされています。

まだまだ日本では無名な彼女たち。今回、はじめて彼女たちのアルバムを聴いたのですが、メロディアスでポップなメロディーと勢いあるパンキッシュなバンドサウンドがとにかく気持ちよく、一気に気に入ってしまいました。

彼女たちのサウンドは基本的に非常にシンプルなオルタナ系のギターロック。インディーバンドらしい粗削りな部分も多く、それもまた大きな魅力となっています。特に分厚いバンドサウンドに力強いシャウトを聴かせる「Cream」や1分弱という短さをシャウトとバンドサウンドで一気に畳みかける「DrunkⅠ」、力強いギターリフが耳を惹く「F.U.C.A.W.」などは80年代あたりのインディーロックバンドを彷彿とさせる部分があり、懐かしくもこの時代にこんな音を鳴らすバンドが残っていたんだ、といううれしさを覚える曲になっています。

ただ彼女たちのもうひとつの大きな魅力はパンキッシュなバンドサウンドだけではなく、しっかりとインパクトあるポップなメロディーラインを聴かせてくれるという点。単純に力強いバンドサウンドで勢いで押し切るのではなく、あくまでも聴かせるメロディーラインが土台となっており、バンドとしての基礎体力の強さを感じさせます。

例えば「DrunkⅡ」ではちょっと切なさを感じさせるメロディーを聴かせてくれますし、「Fear/+/Desire」も哀愁感を覚えるメロディーが耳を惹きます。「Who You Are」なども軽快でポップなメロディーが大きなインパクトとなっていますし、ラストを締めくくる「In Love Again」も軽く入ったピアノの音色も爽やかな、メロディアスなポップチューンに仕上がっています。

パンキッシュなサウンドを軸にしつつ、バラエティーのある作風も大きな魅力。ポップなメロディーラインはインパクト十分で人なつっこさもあり、日本で売れそうな印象もあります。チャットモンチーやSHISHAMOあたりのガールズロック好きはもちろん、the pillowsのようなオルタナ系ギターロックが好きなリスナーや海外でいうとPixiesあたりに通じる部分もありそう。個人的にはかなり壺をつきまくったバンドでした。

ちなみに全10曲25分というパンクバンドらしいアルバムの短さもひとつの魅力。そのため最初から最後まで一気に聴ききることができて、いい意味でダレることがありません。このアルバムの短さも本作の大きな魅力に感じました。

そんな訳で、ロック好きにはかなりおすすめしたいパンクロックバンドの傑作アルバム。上に出したバンドでピンと来たような方には是非とも聴いてほしい1枚。いい意味で聴きやすいアルバムになっているため、ロック好きには幅広くお勧めできる傑作でした。

評価:★★★★★

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2019年7月22日 (月)

11年ぶりの突然の新作

Title:Help Us Stranger
Musician:The Raconteurs

途中、ライブ活動などで断続的な活動は続けていたものの、オリジナルアルバムとしては11年ぶりとなる、ジャック・ホワイト率いる4人組ロックバンドの新作。ファン待望の・・・というよりも、まさかいまさらリリースされるとは思わなかった、と思った方も多いのではないでしょうか。個人的にも率直に言ってしまうと、まだ活動していたのか・・・とすら思ってしまいました。

もともとルーツ志向的な傾向が強いジャックですが、今回のアルバムでも60年代や70年代の、ロックが最も輝いていた時代の音楽を、思う存分に奏でています。メンバー自ら「The Whoを彷彿とさせる」と語っている疾走感あるロックナンバー「Bored and Razed」からスタートし、「Only Child」も70年代あたりの匂いを感じさせるくすんだ雰囲気が特徴的な楽曲。「Shine The Light On Me」はピアノが入ってメロディアスなナンバーなのですが、The Beatlesっぽさを強く感じます。

その後も、これまた70年代風のブルースロック「Somedays(I Don't Feel Like Trying)」と続き、ラストの「Thoughts And Prayers」もカントリーの雰囲気を入れてしんみり聴かせる、これまた70年代あたりを彷彿とさせるナンバー。アルバムを通じて、古き良きロックに対するバンドの愛情を強く感じさせます。

ただ、このバンドのおもしろい点は単なる懐古趣味のロックではない、という点でしょう。例えばオールドスタイルのロックだけではなく、「Don't Bother Me」などは力強いギターリフにハードロックやメタルからの影響も感じさせます。さらに特徴的なのはアルバムの終盤。パンキッシュな「Live A Lie」は昔ながらのロックというよりはむしろ90年代以降のグランジの影響を色濃く感じます。全体的にもバンド全体の音量の大きななども含めて、単純に昔ながらのロックを追随するのではなく、現代としての視点を感じさせるアレンジになっており、しっかりとThe Raconteursのロックと作り上げていました。

そしてそんなアルバム全体に共通するのは、ただただ音量の大きなギターロックと勢いのあるメロに感じさせる心地よさとロックを聴いたという満足感。楽曲をいろいろと聴くと、前述のような理屈をこねられるのですが、純粋にリスナーとしてはそんな屁理屈などどうでもよくなるような、大音量のロックサウンドに身をゆだねられる、そんなアルバムに仕上がっていました。

ちなみに久しぶりのアルバムにも関わらず、全米チャートでは見事1位を獲得したとか。ヒットチャートの主役がすっかりHIP HOPに置き換わってしまった今、これほど「ロック」らしいアルバムが1位を獲得するのは快挙といえるかもしれませんが、逆に言えば、今でもこのアルバムのように大音量のバンドサウンドを聴きたいと思っているリスナー層は大きいという証左でしょう。次は11年後・・・なんて言わないで、また近いうちにアルバムを作ってほしいなぁ。ロック好きにはたまらない1枚でした。

評価:★★★★★

The Rancounteurs 過去の作品
Consoler Of The Lonely

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2019年7月21日 (日)

ジェットコースターのようなアルバム

Title:
Musician:女王蜂

メンバー全員、年齢、国籍、性別まで不明という謎にみちたプロフィールに奇抜なファッションがとにかくインパクトのあるバンド、女王蜂。2011年のメジャーデビュー後も確実にその人気を伸ばしてきました。ただ個人的には彼らのスタイルが非常におもしろいと思う反面、楽曲がミュージシャンイメージのインパクトに負けてしまっていたというのがいままでの彼らのアルバムの感想でした。

しかし、今回のアルバムではついに、楽曲のインパクトが彼らのミュージシャンとしてのインパクトに追いついてきました。今回の彼らのアルバムについて一言で例えるとまるでジェットコースターのようなアルバムと言っていいかもしれません。最初から最後まで次々と楽曲のスタイルが変わっていく構成に最後まで耳の離せない、非常にスリリングな作品になっていました。

アルバムの1曲目「聖戦」はストリングスも入って優雅な雰囲気にスタート。哀愁感たっぷりのメロとダイナミックなバンドサウンドは女王蜂っぽいものの、端整なサウンドには逆に意外性も感じさせます。ただ続く「火炎」は琴の音色で和風を施したサウンドと打ち込みのリズムのアンバランスさがユニークな和風なナンバーに展開。さらに「魔笛」では和風なメロを奏でながらもファンキーなリズムでギターリフ主導のロックなナンバーに、と次々と異なるタイプの作風の曲が展開されていきます。

女王蜂の真骨頂的なのが中盤の「先生」。ファルセットを用いた中性的なボーカルスタイルに「むすんでひらいて」のメロディーを入れつつ、妖艶さとエロチシズムを感じさせる和のテイストのロックが、まさに女王蜂らしい怪しさがむんむん楽曲全体から漂ってくる楽曲。禁断の恋愛を描いた歌詞にもゾクゾクさせられます。まさに彼らのアーティストイメージが楽曲とピッタリマッチした楽曲に仕上がっていました。

さらにジェットコースターのような展開は後半も続いていきます。タイトルチューンの「十」は静かな雰囲気の前半から、後半は打ち込みやストリングスも入れたダイナミックで分厚いサウンドに変化。そこから「Serenade」はディスコ風のダンサナブルなナンバーに一気に変化。さらに「HALF」ではハードロック風なギターリフを聴かせるヘヴィーなロックチューンへと展開していきます。

最後を締める曲が「Introduction」というタイトルなのがまたユニーク。こちらは比較的ポップでリズミカルなギターロックチューン。ただ、ポップな曲調の中でもどこか怪しげな雰囲気を感じさせる部分がチラホラ感じられるのが女王蜂らしいといった感じでしょうか。最後の最後まで耳を離せない展開が続くアルバムになっていました。

ただ、これほどバリエーションのある内容ながらもアルバム全体としては女王蜂らしさがしっかりと貫かれており、統一感をちゃんと感じられる作品になっていました。こちらは女王蜂というミュージシャン自体が強いインパクトを持っている影響でしょうか。彼らが演っていれば、どんな曲でもしっかりと女王蜂の曲になる・・・そんなインパクトありすぎるミュージシャンイメージが、バラバラな作風の今回のアルバムではうまい方向に作用していたように感じました。

いままで少々物足りなさを感じることの多かった彼らのアルバムでしたが、今回のアルバムは文句なしの傑作といえる出来だったように感じます。今回のアルバムでは、アルバムとして初のベスト10ヒットを記録しましたが、そんな人気の高さも納得の1枚でした。

評価:★★★★★

女王蜂 過去の作品
孔雀
蛇姫様
奇麗
失神
Q


ほかに聴いたアルバム

SICK(S)/BLUE ENCOUNT

BLUE ENCOUNTの新作は全6曲入りのミニアルバム。1曲目の「PREDATOR」は疾走感あるギターロックで垢抜けた感もあり非常にカッコいい楽曲に仕上がっていました。その後の楽曲に関しては1曲目と比べると若干平凡なギターロックという傾向にあったことは否定できないのですが、インパクトもありポップなメロをしっかりと聴かせる楽曲に仕上がっていたと思います。個人的にはもう一皮むけてほしい感のあるバンドなのですが、それなりに楽しむことの出来たミニアルバムでした。

評価:★★★★

BLUE ENCOUNT 過去の作品

THE END
VECTOR

Fetish/夜の本気ダンス

タイトル通り、ダンサナブルなロックが特徴的な夜の本気ダンスの3枚目となるアルバム。正直言って、いままで聴いた2枚のアルバムはあまりピンと来なかったのですが、今回のアルバムはメロディーにもインパクトが増し、またダンサナブルなビートと分厚いバンドサウンドのバランスも絶妙。ロックバンドとしてのダイナミズムさも兼ね備えてきており、いままでのアルバムの中では文句なしに一番楽しめました。ただ、サウンドにしろメロにしろ、あと一歩で傑作になりそうだったのにそこに至らなかったもどかしさを感じる面も。あと一歩、乗り越えてほしい壁も感じてしまったアルバムでした。

評価:★★★★

夜の本気ダンス 過去の作品
DANCEABLE
INTELLIGENCE

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2019年7月20日 (土)

齢80歳にして圧巻の傑作

Title:We Get By
Musician:Mavis Staples

主に60年代から70年代にかけてソウルグループのThe Staple Singersのメンバーとして活躍した女性シンガーMavis Staples。いわばリビング・レジェンド的な立ち位置の彼女ですが、しかし、ミュージシャンとしての勢いは全く止まっていません。今でも2、3年に1度はオリジナルアルバムを作成する精力的な活動を続けていますが、ただ単にアルバムを作っているだけではなく、そのどれも傑作アルバムとなっているから驚き。さらに今年2月にリリースしたライブアルバムでも若手ミュージシャンにはとても真似できないすごみのあるボーカルを聴かせてくれており、その実力のほどを見せつけています。

今回のアルバムもオリジナルアルバムとしては約1年半という、ベテランシンガーとしては非常に短いスパンでリリースされたアルバム。そんな彼女はなんと今年、御年80歳(!)。さすがにここ最近、還暦を超えても精力的に活動を続けるミュージシャンが珍しくはなくなりましたが、80歳を過ぎてもここまで精力的に、現役感ある活動を続けるミュージシャンも珍しいように思います。

前々作と前作はWilcoのJeff Tweedyプロデュースによる作品が続いていましたが、今回のアルバムはアメリカのミュージシャン、Ben Harperが全面的にプロデュース及び作詞・作曲を手掛けています。Ben Harperも今年50歳を迎えるベテランミュージシャンですが、Mavisから見ればおそらくまだまだ若手のうち(笑)。そんなミュージシャンと新たにコラボするあたりも彼女のミュージシャンとしての現役感があらわれているように思います。

今回、プロデューサーが変わった影響でしょう、前作までと比べて作風が変化しました。その最大の特徴はギターサウンドが前に押し出された曲が多かったという点。1曲目の「Change」も力強いギターが印象的ですし、続く「Anytime」もブルージーなギターが耳に残ります。Ben Harper自らも演奏に参加しているタイトルチューン「We Get By」も哀愁感たっぷりのギターを聴かせるバラードナンバーですし、「Brothers And Sisters」もファンキーなギターが大きな魅力となっています。

ただこのアルバムでなんといっても素晴らしいのは彼女のその歌声。静かに聴かせるボーカルながらも迫力とある種の凄みのあるボーカルで、失礼ながらもその年齢故の円熟味した深みを感じさせます。一方で彼女くらいの年齢になると普通はやはり声に艶やはりがなくなってくるのですが、彼女のボーカルにはそんな年齢ゆえの衰えは全く感じさせません。ボーカリストとしてこの年齢でありながらもここまでの現役感を維持するというのは驚きですらあります。

特にそんなボーカルの迫力を存分に感じされるのが中盤の「Heavy On My Mind」。ギターが静かに流れるだけのサウンドをばっくに噛みしめるように静かに歌い上げる彼女の歌声はまさに文字通り、胸に突き刺さってきます。さらに「Stronger」のような静かに力強く歌うボーカルは包容力たっぷりという表現がまさにピッタリくるような、スケール感も覚えるボーカルが大きな魅力となっていました。

また前作「If All I Was Was Black」は強いメッセージ性を込めたアルバムになっていましたが、今回のアルバムも彼女の強いメッセージが込められている点も大きな特徴。1曲目の「Change」では「世の中を良くするためには変わらなくてはいけない」と歌い上げていますし、「Brothers And Sisters」でも不平等に立ち向かおうというメッセージを発信しています。さらにアルバムの最後「One More Change」でも、どんなに大変であっても変わらなくてはいけないという強いメッセージで締めくくっています。80歳となった今でもなお、さらに世の中を良くして行こうというスタンスも彼女の活力の大きい理由のように感じます。

2月にリリースされたライブ盤も今年を代表しそうなベスト盤候補でしたが、本作もそれに勝るとも劣らない傑作アルバムに仕上がっていました。本当にその歌声とメッセージに圧倒された作品。まだまだ彼女は傑作をこの世に送り出してくれそう。これからもまだまだ楽しみなシンガーです。

評価:★★★★★

Mavis Staples 過去の作品
One True Vine
If All I Was Was Black
Live In London


ほかに聴いたアルバム

Late Night Feelings/Mark Ronson

ブルーノ・マーズをゲストに迎えた「Uptown Funk」が大ヒットを記録。日本でも昨年、星野源とコラボライブを実施し大きな話題となったマーク・ロンソンの新作。本作では全編女性ボーカルをゲストに迎えたアルバムになっており、マイリー・サイラスやアリシア・キーズといった豪華なゲストも参加。そんな女性ボーカルを生かしつつ、ダンサナブルだったりドリーミーだったり、またちょっとレトロな雰囲気を入れてきたりと魅力的なポップソングを並べてきています。無難という印象もあるのですが、良くできたポップスアルバムといった印象を強く受けるアルバムでした。

評価:★★★★

Mark Ronson 過去の作品
Uptown Special

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2019年7月19日 (金)

Princeの音楽性の広さを実感

Title:Originals
Musician:Prince

ファンクミュージックの第一人者として絶大な人気を誇り、数多くのヒット曲をこの世に送り出しながらも2016年にわずか57歳という若さで突然この世を去ったPrince。そんな彼は生前、自ら歌うのみならず数多くのミュージシャンたちに楽曲を提供してきましたが、本作は彼が他のミュージシャンたちに提供した楽曲を自らが歌ったデモ音源を収録した企画盤。いわば楽曲提供を行うためのガイドボーカル的な録音をおさめたアルバムになっており、ファンにとっては実にうれしいアルバムになっています。Princeは特に80年代に、シーラ・EやThe Timeといった「プリンス・ファミリー」と呼ばれるようなミュージシャンたちのプロデュースを手掛け、楽曲を提供してきたこともあり、今回、それらの曲のPrince版の録音が数多く収録されています。

ほかのミュージシャンに提供した楽曲とはいえ、当たり前といえば当たり前ですがPriceが歌うと実に彼らしい、軽快なファンクチューンが並んでいます。ハイトーンボイスで軽快にファンキーに歌う「Sex Shooter」からスタートし、The Timeに提供した「Jungle Love」もダンサナブルなリズムが心地よいナンバー。また「Noon Rendezvous」はピアノのシンプルな演奏でPrinceの歌声をこれでもかと聴かせるバラードナンバーになっており、Princeファンにとっては感涙ものの、魅力的な楽曲となっています。

また、Princeが楽曲提供を行っていた時期は主に80年代に固まっており、いかにも80年代的な楽曲が多いのも今回のアルバムの特徴。ラップを聴かせる「Holly Rock」も、いかにも80年代のオールドスクール的なHIP HOPナンバーになっていますし、「The Glamorous Life」もある意味80年代的なチープとも言える打ち込みのサウンドが特徴的。「Dear Michaelango」も、特にドラムのサウンドなど80年代の空気を色濃く感じさせるナンバーになっています。ここらへんは良くも悪くも時代を感じさせるのですが、一方では非常に懐かしさを感じさせる楽曲にもなっていました。

さらに今回のアルバムで非常におもしろかったのはPrinceらしい楽曲が並んでいる中に、ちょっと彼のイメージからすると毛色の違う楽曲が紛れ込んでいる点でしょう。前述の「Holly Rock」もオールドスクールなHIP HOPチューンになっていますし、「Manic Monday」もファンク色の薄いフォーキーでメロディアスなナンバー。「You're My Love」もAORの色の濃いメロディアスなミディアムチューンとなっており、Princeらしいファンク色は薄くなっています。ここらへん、逆に他のミュージシャンへの楽曲提供だからこそPrinceの普段の作風とは異なる色を出せたということでしょうか。非常に興味深く感じるとともに、彼の音楽性の幅の広さを感じることが出来ました。

そんな訳でPrinceらしい楽曲を楽しめると同時にPrinceの音楽性の広さをあらためて感じることが出来るアルバムに。ファンにとっては間違いなく実にうれしいアルバムになっていたと思います。また熱心なファンでなくてもオリジナルアルバム感覚でPrinceの魅力に触れられる傑作に。突然の逝去から3年がたった今でも彼の楽曲の魅力はまだまだ多くのリスナーを魅了しそうです。

評価:★★★★★

PRINCE 過去の作品
PLANET EARTH

ART OFFICIAL AGE
PLECTRUMELECTRUM

HITnRUN Phase One
HITnRUN Phase Two
4EVER
Piano&A Microphone 1983


ほかに聴いたアルバム

Black Star Dancing/NOEL GALLAGHER'S HIGH FLYING BIRDS

ノエル・ギャラガーの新作はリミックス込み全5曲入りのEP盤。表題曲は先日の来日公演でも披露してくれましたが、打ち込みのリズムが軽快なサイケ的な要素も入ったダンスチューンで、oasis時代では聴けなかったような方向性の曲調が魅力的。2曲目は哀愁感たっぷりに聴かせるナンバーに、3曲目はカントリー風の軽快な楽曲になっており、どちらもノエル・ギャラガーのメロディーメイカーとしての才を感じさせる出来となっています。今年はあと2枚のEPのリリースを予定しているそうで、今後の新曲、そしてその後に控えているであろうフルアルバムも楽しみになってきます。

評価:★★★★★

NOEL GALLAGHER'S HIGH FLYING BIRDS 過去の作品
NOEL GALLAGHER'S HIGH FLYING BIRDS
CHASING YESTERDAY
Who Built the Moon?
Wait And Return EP

Loom Dream/Leif

The XXやFKA TWIGSを生み出したイギリスのレーベル、YOUNG TURKS傘下のサブレーベルWHITIESからリリースされたイギリスのプロデューサー、Leifによる新作。基本的にドリーミーなエレクトロサウンドを聴かせるアンビエントなのですが、その中にパーカッションが加えられており、なにげにアルバム通じてリズミカルな作風になっているのがユニーク。しんみり聴き入りつつも、独特なリズムに妙な癖のあるアルバムでした。

評価:★★★★★

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2019年7月18日 (木)

嵐を見事下したのは・・・

今週のHot Albums

http://www.billboard-japan.com/chart_insight/

先週まで2週連続1位を獲得していた嵐のベスト盤を見事下して1位を獲得したのはあのバンドでした。

今週、初登場で1位を獲得したのはBUMP OF CHICKENの約3年5ヶ月ぶりとなるニューアルバム「aurora arc」でした。CD販売数、ダウンロード数、PCによるCD読取数でいずれも見事1位を獲得。文句なしの1位となりました。オリコン週間アルバムランキングでも初動売上20万2千枚で1位獲得。前作「Butterflies」の19万7千枚からアップ。なにげにここ2作、18万2千枚→19万7千枚→20万2千枚と増加傾向が続いており、既に「ベテラン」の域に入る彼らが、CDがどんどんうれなくなってきている今の時代に、CDの売上を伸ばしているというのは驚きです。

2位は先週1位の嵐「5×20 All the BEST!! 1999-2019」がワンランクダウンながらもベスト3をキープ。CD販売数及びPCによるCD読取数でいずれも2位を獲得しています。

そして3位は、現在「まちがいさがし」がロングヒット中の俳優、菅田将暉のアルバム「LOVE」がランクイン。CD販売数3位、ダウンロード数4位、PCによるCD読取数は12位。同作にも収録している「まちがいさがし」は米津玄師作詞作曲プロデュースで話題となりましたが、本作ではほかにもなんとあのあいみょんが楽曲を提供しているほか、amazarashiの秋田ひろむや忘れらんねえよの柴田隆浩、ドレスコーズの志磨遼平など豪華なメンバーが楽曲を提供しています。オリコンでは初動売上4万8千枚で3位初登場。前作「PLAY」の3万枚(2位)からアップしています。

続いて4位以下の初登場盤です。まず4位にPEDRO「THUMB SUCKER」がランクイン。こちら、女性アイドルグループBiSHのアユニ・Dによるソロプロジェクト。8月28日にリリース予定のアルバムからの先行配信で、ダウンロード数が2位にランクインし、ベスト10入りを記録しています。

5位はEd Sheeran「No.6 Collaborations Project」が入ってきました。2011年のデビューアルバム「+」から最新作「÷」まで3作連続イギリスのナショナルチャートで1位を獲得、最新作はアメリカビルボードでも1位を獲得するなど、世界的に高い人気を誇るイギリスのシンガーソングライターの新作。こちらは人気ミュージシャンたちとコラボした曲を集めた企画盤的なアルバム。ジャスティン・ビーバーやチャンス・ザ・ラッパー、さらにはエミネムやブルーノ・マーズなど、超豪華なミュージシャンたちとのコラボを繰り広げています。CD販売数5位、ダウンロード数3位、PCによるCD読取数40位で総合順位は5位獲得。オリコンでは初動売上9千枚で6位初登場。前作「÷」の1万2千枚(4位)からダウン。

8位には韓国の男性アイドルグループEXOのメンバーであるBAEKHYUN(ペクヒョン)のソロデビューアルバム「City Lights」がランクイン。韓国盤のリリースのためビルボードではダウンロード数のみ5位にランクインしています。オリコンでは初動売上3千枚で14位初登場。

初登場組最後は10位に「初音ミク『マジカルミライ2019』OFFICIAL ALBUM」がランクイン。8月から9月にかけて東京、大阪で開催される、「初音ミク」の文化を体感できるライブと企画展を併設したイベント「初音ミク『マジカルミライ2019』」のオフィシャルアルバム。CD販売数で7位、PC読取数50位で総合順位では10位にランクイン。オリコンでは初動売上7千枚で9位初登場。

初登場は以上。ほかにロングヒット組では安室奈美恵「Finally」が先週の10位から9位にアップ。ただ、ダウンロード数は1位から6位に大幅ダウンしてしまっています。

今週のHot Albumsは以上。チャート評はまた来週の水曜日に!

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2019年7月17日 (水)

日韓男性アイドル対決

今週のHot100

http://www.billboard-japan.com/chart_insight/

今週は日韓男性アイドルグループが1位2位でデッドヒートを繰り広げました。

結果、1位を獲得したのはジャニーズ系。Kis-My-Ft2「HANDS UP」が先週の79位からCDリリースに合わせて大きく順位を伸ばし、1位を獲得しています。CD販売数、PCによるCD読取数及びTwitterつぶやき数で1位獲得。ラジオオンエア数は27位に留まっています。ただ楽曲的にはEDMの、いかにもK-POP勢から影響を受けたようなダンスチューンになっていますが・・・。オリコン週間シングルランキングでは初動売上19万6千枚で1位獲得。前作「君を大好きだ」の29万7千枚(1位)からダウンしています。

一方、2位を獲得したのが先週1位だった韓国のアイドルグループBTS「Lights」がワンランクダウン。オリコンでも2位にランクインしており、Hot100、オリコン共に日韓の男性アイドルグループが並ぶ結果となりました。

3位はOfficial髭男dism「Pretender」が3週連続の3位を獲得。ストリーミング数が8週連続1位を獲得したほか、ダウンロード数も8位から6位にアップ。You Tube再生回数も3週連続4位などヒットを続けています。そして今週なんと7位に彼らの新曲「宿命」もランクイン。2019 ABC 夏の高校野球応援ソングとなり、この夏、何度もテレビから流れそうなこの曲は、ミディアムテンポでゆっくり歌われるナンバーながらもホーンセッションが爽やかさを感じるポップチューン。7月31日リリース予定のCDからの先行配信となります。ダウンロード数2位、ストリーミング数6位、ラジオオンエア数4位、Twitterつぶやき数27位、You Tube再生回数10位と上位にランクインし、先行配信のみで見事ベスト10入りを果たしました。Official髭男dism、これで本格的にブレイクとなりそうです。

続いて4位以下の初登場曲です。ただ、今週の初登場は前述のOfficial髭男dismのほかは1曲のみ。それが9位にランクインしたヤバイTシャツ屋さん「癒着☆NIGHT」。相変わらずユニークなMVを見せてくれる楽しいポップチューンなのですが、2017年にリリースした「ハッピーウェディング前ソング」のMVに登場する2人の2年後を描いたというから、なかなかユニーク。CD販売数4位、PCによるCD読取数3位に対して、You Tube再生回数が66位と伸び悩んでいるのがちょっと残念。ただダウンロード数も65位に留まっており、いまひとつ固定ファン以外の広がりが欠けるのが気になります。オリコンでは同曲を収録した「スペインのひみつ」が初動売上2万枚で4位初登場。前作「とってもうれしいたけ」の1万4千枚(6位)からアップしています。

また今週は返り咲き曲も1曲。BUMP OF CHICKEN「Aurora」が10位にランクイン。4月1日付チャート以来、16週ぶりのベスト10返り咲きとなりました。これは今週アルバムチャートでランクインしている彼らのニューアルバム「aurora arc」リリースの影響によるものと思われます。

そして相変わらず強いのがロングヒット曲。まずは4位に菅田将暉「まちがいさがし」。これで9週目のベスト10ヒット。先週の2位からはダウンしてしまったものの、You Tube再生回数は6週連続1位をキープ。ストリーミング数も2位を維持しており、まだまだロングヒットは続きそう。またあいみょん「マリーゴールド」は4位からワンランクダウンの5位。ストリーミング数は先週から変わらず3位を、カラオケ歌唱回数も2位をキープ。You Tube再生回数はワンランクダウンながらも3位を維持しており、まだまだ根強い人気を伺わせます。

さらに米津玄師「Lemon」は6位をキープ。ここに来てダウンロード数が4位から3位にアップ。You Tube再生回数も3位から2位にアップするなど化け物的な人気を見せています。そしてKing Gnu「白日」は7位から8位にワンランクダウン。ただストリーミング数は4位をキープ。You Tube再生回数も8位から6位に再びアップするなど、こちらもまだまだロングヒットは続きそうです。

今週のHot100は以上。明日はHot Albums!

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2019年7月16日 (火)

軽快なエレクトロポップが楽しい傑作

Title:False Alarm
Musician:TWO DOOR CINEMA CLUB

北アイルランド出身のロックバンド、TWO DOOR CINEMA CLUBによる約2年8ヶ月ぶりとなるニューアルバム。2010年にリリースされたデビューアルバム「Tourist History」が高い評価を受け、さらに続く2枚目のアルバム「Beacon」では全英チャートで2位、アメリカビルボードチャートでも17位と人気の面でもグッと飛躍を遂げました。

そして前作「Gameshow」でついにメジャーデビュー・・・となった訳ですが、残念ながら前作はサウンドが垢抜けた結果、よくありがちなポップバンドになってしまったという印象を受けるアルバムになっていました。その影響かどうかは不明なのですが、ちょっと久々となる最新アルバムは全英チャートでは69位と前作の5位を大きく下回る結果に。売上の面ではちょっと残念な結果に終わってしまっています。

ただし、アルバムの出来としては前作を大きく上回り、TWO DOOR CINEMA CLUBのポップな側面の魅力をいかんなく発揮した傑作アルバムに仕上がっていました。

まず楽曲の方向性としては80年代の雰囲気を感じるニューウェーヴ風のエレクトロサウンドに哀愁感を帯びたメロディーラインといういままでの彼らのスタイルからは大きくは変わりません。「Satellite」などちょっとスペーシーさを感じるエレクトロサウンドは完全に80年代といった感じですし、ラップを取り入れた「Nice To See You」もそのラップのスタイルを含めて、80年代的な懐かしさを感じさせるナンバーになっています。

一方、サウンドの方向性としてはそれなりにタイトなサウンドであるもののデビュー当初に比べると音数も増えた結果、スカスカなサウンドゆえのグルーヴィーさが薄れ、垢抜けた感じになってきたという意味では前作と共通。デビュー当初のいかにもインディーバンド然とした雰囲気を求める方には本作もちょっと方向性が違ったかもしれません。

ただ、ポップソングとしての強度は前作と比べて大きく増したような印象を受けます。シングルにもなった「Talk」は軽快なエレクトロポップなのですが、聴いていてワクワクするようなポップでインパクトあるメロディーラインを聴かせてくれますし、ミディアムチューンの「Break」もちょっと切ないメロディーが耳に残るナンバー。前述の「Satellite」も80年代らしいちょっとレトロフューチャーな雰囲気のあるサウンドが心地よいリズミカルな楽曲となっています。

サウンド的にも軽快なエレクトロポップの中に「Dirty Air」のようなダイナミックなバンドサウンドを聴かせるロックな作品を入れてきたりと緩急のある内容に。前作は似たようなタイプの曲が多かった結果、最後は少々飽きてしまったアルバムになってしまいましたが、今回のアルバムでは最後まで魅力なポップソングを存分に楽しめる作品に仕上がっていました。

デビュー当初の彼らのイメージからするとちょっと違うと感じるかもしれませんが、今の彼らの方向性としては彼らのひとつの到達点のようにも感じられる、実に魅力的なポップスを聴かせてくれる傑作アルバムに仕上がっていました。人気の面では少々低迷気味の彼らですが、これだけの傑作を聴かせてくれるのならば、また盛り上がるでしょう。ポップソング好きにはたまらない1枚でした。

評価:★★★★★

TWO DOOR CINEMA CLUB 過去の作品
Tourist History
Beacon
Gameshow


ほかに聴いたアルバム

Shepherd in a Sheepskin Vest/Bill Callahan

現在53歳。アメリカのインディーフォークシンガー、ビル・キャラハンのニューアルバム。全編、アコースティックギターでシンプルに聴かせるサウンドをバックに、フォーキーなメロディーが魅力的。アンダーグラウンドらしい、ちょっと荒々しい手触りも魅力的。一方でメロディーは万人の心をうちそうなシンプルでメロディアスなもの。知る人ぞ知る的なシンガーのようですが、多くのリスナーが楽しめそうな内容になっていました。

評価:★★★★★

Western Stars/Bruce Springsteen

約5年ぶりとなるブルース・スプリングスティーンの新作。かのトランプが大統領に就任した後、初となるアルバムなのですが、予想されていたような社会派なメッセージが強いロックンロールなアルバムではなく、その渋い歌声でゆっくりと歌い上げる、あくまでも歌を聴かせる包容力のあるアルバムに仕上がっていました。トランプのアメリカに限らず、自国中心主義的な思想が広がっていく中だからこそ、あえて対立をあおるのではなく、優しく包み込むのようなアルバムを作って来たということなのでしょうか。そんな彼のメッセージも感じる作品でした。

評価:★★★★

BRUCE SPRINGSTEEN 過去の作品
Working On A Dream
WRECKING BALL
High Hopes
1980/11/05 Tempe,AZ

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2019年7月15日 (月)

あえてバンドサウンドで

Title:成長の記録 ~全曲バンドで録り直し~
Musician:KREVA

今年、ソロデビュー15周年を迎えたKREVA。そんな記念すべき年に年初から、9月連続リリースとしてシングルなどをリリースし続けています。本作はそんな記念リリースの第6弾となるアルバム。彼のソロの代表曲を集めたベストアルバムになるのですが、今回のアルバムでユニークなのはタイトルそのままとなるのですが、全曲、バンドによって録り直しが行われているということ。HIP HOPというとサウンドはいわばサンプリングやら打ちこみやらがメインとなるケースが多く、トラックがバンドサウンドというケースは珍しいのですが、そんな中であえてバンドサウンドで録り直しが行われているという点に非常にユニークなものを感じます。

今回のアルバムリリースに先立つインタビューにおいて、彼は「ここ5年くらい、音楽をやりたい気持ちはあるが言いたいことがない」という旨の発言をしています。言いたいことはあるものの、わざわざ曲にするようなものではないという気持ちになるケースが増えているそうで、そんな中でだからこそ本作では彼の曲の「音楽」という側面にあえて着目したアルバムということになるのでしょうか。

そんな中であらためて本作を聴くとKREVAの曲はポップであるがゆえにサラッと聴けてしまうのですが、一方では確かに彼の言いたいことがつまったメッセージ性の強い楽曲が多いということを、いまさらながら再認識させられます。存在感はある でも でも、決定打が出ていない気がした」と綴る「存在感」は、ブレイク後でも襲われる彼の焦りにようなものがリスナーにも伝わってきますし、現状に満足して成長することをやめてしまった人に対して鼓舞するメッセージを発している「かも」なども、ふと日々の日常に押しつぶされそうな時に聴くと、非常に心に響いてくるものがあります。

ただ、今回、こういう彼のラップを通じてのメッセージがより強く伝わってきている要因として、バンドサウンドによる録り直しが行われたから、という点が非常に大きいように感じます。基本的に今回の録り直しについては原曲のイメージそのままであり、大きな変更はありません。しかし生音を入れることにより、例えば「I Wanna Know You」はよりメロウさが増したように感じますし、「成功」もよりジャジーな雰囲気が強まり、楽曲の雰囲気がよりムーディーになったように感じます。特に「アグレッシ部」では今回、ストリングスの音が原曲以上に楽曲を盛り上げており、メッセージがさらに心に響いてきたように感じました。

「成長の記録」というアルバムタイトル通り、バンドサウンドによって録り直すことにより、楽曲がいずれも原曲よりもさらに成長を遂げたような印象を受ける、そんなアルバムになっていたと思います。ベスト盤は5年前にリリースしたばかりで、これが3作目になるのですが、楽曲が生まれ変わっており、非常に意義のあるアルバムだったと思います。

ちなみに、「言いたいことがない」と言いつつ、9月には待望のニューアルバムがリリースされるKREVA。KICK THE CAN CREWとしてもライブを中心に活動を続けており、なんだかんだ言っても積極的な音楽活動が目立ちます。ソロデビュー15年でまだまだ成長を続ける彼だけに、今後の活動も楽しみです。

評価:★★★★★

KREVA 過去の作品
心臓
OASYS
GO
BEST OF MIXCD NO.2
SPACE
SPACE TOUR
KX
嘘と煩悩
存在感

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2019年7月14日 (日)

THE歌謡ショウ

長島温泉 歌謡ショウ 大石まどかショウ

日時 2019年7月2日(火)13:00~ 場所 長島温泉湯あみの島

今回のライブレポートは当サイトではかな~り異質なレポートです。先日、会社が休みの日に地元、長島温泉の日帰り入浴施設「湯あみの島」に行って来たのですが、そこでちょうど「歌謡ショウ」が行われていました。この「歌謡ショウ」、全国各地のこの手の温泉施設などでしばしば行われている、いわば演歌歌手のドサ回り。長島温泉の歌謡ショウもおそらくCMなどで多く流れていたりするので、地元名古屋の方には、そういったショウが行われていること自体はよく知られているのではないでしょうか。普段聴く音楽からは縁はないのですが、せっかくの機会、音楽ファンとしてはどんなイベントなのか好奇心もあって(また施設を使っていれば基本的にタダなので)ちょっと覗いてみました。

Nagashima1

会場はこんな感じで大きな宴会場みたいな感じ。宴会場の横には食事を提供するブースがあって、ここで食事をしながらステージを楽しめる作りになっていました。いわば和風のフードコートの中でのステージみたいな感じでしょうか。基本的に観客は年配の方がメイン。ただ、この日は平日だったので、「湯あみの島」に来ていた人も年配の方が多かったのですが・・・私くらいの40代あたりの方も、せっかくだから見ていくか、といった感じでちらほらいらっしゃいました。

この日登場してきたのは大石まどかという女性演歌歌手の方。残念ながら有名なヒット曲はありませんが、チラホラテレビにも出演されており、私も名前だけは知っていました。ステージは上の写真のように比較的派手な雰囲気のステージですが、演奏はもちろんカラオケ。たださすがといった感じでしょうか、声量ある力強い安定感ある歌声をしっかりと聴かせてくれました。

Nagashima2

最初は彼女の曲を4曲程度。合間に簡単なMCや曲の紹介を挟みつつ、客席に歓声をお願いしたりするものの、みんな湯上りでまったりとした雰囲気で見ているため、正直言ってさほど盛り上がらず・・・(^^;;もちろんみんなそれなりにステージは見ていたのですが、こういう場所で盛り上げていかなくてはいけないのって大変だなぁ・・・なんて思いながら見ていました。

後半は同じ事務所の都はるみの曲などのカバーも披露していたのですが、ただこの都はるみの曲も有名なヒット曲ではなく、知る人ぞ知る的な曲で私は全く知りませんでした。ここらへんはやはり業界の掟で、単純に他人のヒット曲をカバーすることは出来ないということなのでしょうか。ちょっと残念な感じも。

ステージは40分程度で終了。ただ、それなりに大きな拍手も沸き、みんなまったりしつつもそれなりに盛り上がってステージは幕を下ろしました。楽曲は正直言って、完全に様式化されたド演歌といった感じ。歌手としての力量はさすがといった感じなのですが、個人的には残念ながらさほどはまれず。ただ湯上りのひと時、力強いその歌声で楽しむことが出来たステージでした。

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2019年7月13日 (土)

ソロ時代の曲を「発掘」したセルフカバーアルバム

Title:ブリトラ埋蔵金
Musician:ブリーフ&トランクス

ご存じ「半径5メートル以内の日常生活」をテーマにユニークな視点からの歌詞と高校時代からの友人という2人の息のあったハモリが特徴的なデゥオ、ブリーフ&トランクスの最新作。2012年の再結成後もほぼ毎年のようにニューアルバムをリリースし積極的な活動を続けています。ただし今回の作品はベスト盤を挟んで約2年ぶりとなるアルバム。また、この間、ポニーキャニオンから自主レーベルに移籍し、その第1弾となるアルバムとなります。そんな本作は、今回のアルバムは2000年の解散後、伊藤多賀之がソロとしてリリースした作品の中からピックアップし、ブリトラの曲としてカバーした、いわばセルフカバーアルバム。「埋蔵金」というタイトルになっていますが、そのタイトルの通り、伊藤ソロの作品として埋まっていた「隠れた名曲」をあらためてブリトラとして発掘したアルバムということになります。

ただし、伊藤多賀之のソロといっても基本的なスタイルはブリトラの曲とほとんど変わりません。公園にある子どもに見せるには不具合な存在を、子どもの視点から描いた「公園」などは、まさにブリトラらしいスタイルですし、「しこり胸」「戦争ごっこ」のように、最初のA,Bメロの歌詞のヘヴィーさとサビで展開されるオチの下らなさのギャップがユニークな曲もまたいかにもブリトラらしい楽曲。「ユニットバス」のようにムーディーな曲調と歌詞の下ネタというギャップがユニークなのもブリトラならではといった感じ。「ミジンコフェチ」のように、ちょっと変わった人にスポットをあてているのもブリトラでよくありがちなパターンですし、さらにラストの「必要のない君へ」はまじめな曲で締めくくっており、こういう笑いの要素のない曲を入れてくるのもいままでのブリトラと同じ構成になっています。

ただ一方、もともとは伊藤のソロで好きにやっていた曲だったからでしょうか、ブリトラの曲よりは全体的にドギツイ感のある歌詞が多かったように思います。例えば「しこり胸」の家庭崩壊の歌詞はかなりヘヴィーですし、「団地妻の説教」もストレートに浮気がテーマで歌詞もリアル。まじめ曲の「必要のない君へ」もブリトラの曲よりも重いテーマとなっています。ただ、個人的には「ふとん乾燥機」の歌詞はちょっと引いてしまったのですが・・・。

またネタ的にもインディーズでソロで自由にやっていた曲だから練りこみが足りない部分があるのでしょうか、ここ最近の曲に比べるとネタ的にはちょっといまひとつだったように感じます。特にこれはソロ曲のカバーなので仕方ないといえば仕方ないのですが、2人のハーモニーをいかしたような曲はほとんどなく、その点は残念な感じ。「公園」にしてもユニークさを出すために後ろで(無意味な)「カバディ」を連呼しているだけだし・・・。そういう意味ではブリトラの良さを生かし切れていないような印象を受けました。

そういう意味では比較的良作の続いていた再結成後の作品の中ではちょっと残念な印象を受ける部分もあったアルバム。また、途中レコード会社の移籍ということがあったものの、ベスト盤を挟んで久々となる新譜がカバーアルバムというのは、ネタ切れ気味?と若干心配になってしまいます。もっとも、ネタが集まっていないのに無理にリリースするよりも、こういう形で間をつなぎつつ、傑作をリリースしてくれたほうがうれしいのは間違いありません。そんな訳で、次の新譜に期待したいところ。もちろん、ちょっと残念な部分もあったものの本作もブリトラが好きなら十分楽しめるアルバムであることは間違いありません。残念ながら再びメジャー契約が切れてしまったようですが、これからの彼らの活躍にも期待したいところです。

評価:★★★★

ブリーフ&トランクス 過去の作品
グッジョブベイベー
ブリトラ道中膝栗毛
ブリトラ依存症
手のひらを満月に
ブリトラBESTバイブルⅠ~家族で聴いても恥ずかしくない曲集~
ブリトラBESTバイブルⅡ~ひとりでこっそり聴いた方がいい曲集~


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2019年7月12日 (金)

ガールズバンドの先頭を行く

Title:SHISHAMO BEST
Musician:SHISHAMO

ガールズロックバンド、SHISHAMOの初となるベストアルバム。チャットモンチーのブレイク以降、急激に増加した女の子オンリーのロックバンド。そんな中、「正統派のギターロックバンド」として、もっとも人気を獲得しているのは彼女たちではないでしょうか。2017年には紅白への出場も果たしていますし、このベストアルバムもBillboard Japan Hot Albumsで8位を獲得するなど、その高い人気のほどを感じさせます。

今回のベストアルバムで特徴的なのはベスト盤にありがちな発売順に並べるというスタイルではなく、全体の流れを考えて曲を配置するスタイルであるという点。そのため、オリジナルアルバムのようにスムーズに曲を聴くことが出来ます。そんなこともあって今回、デビュー当初の曲と最新曲が並ぶようなスタイルの構成になっているのですが、そこで気が付くのが彼女たちの楽曲は比較的初期の段階から完成していたんだなぁ、ということでした。

特に今回、1曲目は最新曲「OH!」からはじまり、2曲目が1枚目のフルアルバム「SHISHAMO」に入っている「恋する」という並びになっています。「OH!」は彼女たちのパンキッシュな側面が強調された曲になっており、一方、「恋する」はノイジーなギターが前に押し出された、こちらもロックテイストの強い曲。序盤は彼女たちのロックバンドにスポットがあたった曲が並んでいるのですが、この2曲が違和感なく並んでいます。そういう意味で彼女たちはデビュー当初からいい意味で今と全く変わらないレベルの曲をリリースしていたということに気が付かされますし、また最新曲を聴くと、ブレイクしてからも単純にポップ路線に突き進むのではなく、しっかりとロックバンドとしての矜持を持ち続けていることにも気が付かされました。

また、せつない心境を上手く描いた歌詞も彼女たちの大きな魅力で、例えば「量産型彼氏」などは男性視点のラブソングながらも微妙な恋心を描いた歌詞は女性からも共感を呼びそう。「卒業」をテーマとした「水色の日々」も、リアルタイムな学生はもちろん、それでない人でも昔を思い出して胸がキュンと来そう。ここらへんの心境描写をしっかりと具体的に描いている点はチャットモンチーに通じる部分もありますし、まただからこそ彼女たちが人気を博している大きな理由となっているのでしょう。

ベスト盤を通じて聴くと、楽曲的には配信でヒットし紅白でも歌った「明日も」がやはり一番強いインパクトを持っていたような印象を受けます。ホーンセッションが入ったアレンジといい、サビで転調するJ-POP的な楽曲構成といい、とにかく耳に残るポップチューンとなっており、これをラストに持ってくることにより、いい余韻を残したままアルバムを聴き終えることが出来るという点でも今回のベスト盤は非常によく出来た構成になっているようにも感じました。

全体的にはシンプルなギターロックが多く、音楽的な挑戦が目立ったチャットモンチーに比べると(なんでも比べちゃうのも申し訳ないのですが・・・ただやはり比べざるを得ないような立ち位置なので・・・)良く言えばシンプル、悪く言うと、ちょっとバンドとしての幅が狭いという印象も受けます。ただ、無理な挑戦をせずにあくまでも彼女たちの土俵で勝負しているスタイルは、あらためてベスト盤を聴くと彼女たちにとって最善の方向性なのかも、という印象を受けます。個人的には序盤の「OH!」や「恋する」のようなロックバンドとしてのSHISHAMOをもうちょっと聴いてみたい感じもするのですが、それはこれからのお楽しみといった感じで。とりあえず全13曲入りという長さもちょうど良いですし、SHISHAMOの魅力を知るためにはうってつけのベスト盤だと思います。今でも増え続けているガールズバンドの中でのトップバンドとして、これからの活躍も期待したいところです。

評価:★★★★★

SHISHAMO 過去の作品
SHISHAMO 3
SHISHAMO 4
SHISHAMO 5


ほかに聴いたアルバム

DUO/家入レオ

家入レオの最新アルバムはいままでの作品に比べても非常に歌謡曲テイストの強い作風に仕上がっています。もともと90年代J-POPをそのまま受け継いだような良くも悪くも「ベタ」な作風が特徴的でしたが、今回のアルバムでは歌謡曲的なウェットさが加わり、さらにアレンジもより分厚くなり、良くも悪くも歌謡テイストが強いアルバムに仕上がっています。ただ彼女の歌声は本作のようなウェットな歌謡曲に合っており、なにげに聴いた印象としては彼女の良さを上手く引き出しているようにも感じました。今後もこの路線が続くのか?

評価:★★★★

家入レオ 過去の作品
LEO
a boy
20
WE
5th Anniversary Best
TIME

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2019年7月11日 (木)

見事2週連続で

今週のHot Albums

http://www.billboard-japan.com/chart_insight/

今週も先週に引き続き、あのアルバムが1位獲得です。

今週の1位は先週から引き続き、のオールタイムベストアルバム「5×20 All the BEST!! 1999-2019」が獲得。CD販売数及びPCによるCD読取数で1位を獲得し、総合順位でも見事1位を獲得しました。しかし、オリコン週間アルバムランキングでは1位を獲得したのがHot Albumsでは2位初登場のすとぷり「すとろべりーらぶっ!」。すとぷりは動画サイトの「歌ってみた」コーナーへの投稿やゲーム実況などで人気を博するメンバーからなるユニットの本作がデビューアルバム。Hot AlbumsではCD販売数2位、ダウンロード数10位、PCによるCD読取数7位で結果、2位となりましたが、オリコンでは嵐が10万4千枚、すとぷりが10万7千枚と僅差がならも見事1位獲得となりました。

嵐は先週、130万4千枚という圧倒的な売上を上げつつ、2週目は10分の1以下にダウン。一方、比較されがちなSMAPの最後のベストアルバム「SMAP 25 YEARS」は初動売上66万8千枚でしたが2週目は27万5千枚と嵐のベスト盤を大きく上回っています。トータルの売上ではまだ嵐が圧勝しているので、どうにも言えない部分もあるのですが、先週も書いた通り、熱心な固定ファンがメインの嵐と比較的幅広い層に支持を集めるSMAPという対比が2週目の売上にあらわれたような結果となっています。

続く3位初登場はGENERATIONS,THE RAMPAGE,FANTASTICS,BALLISTIK BOYZ from EXILE TRIBE「BATTLE OF TOKYO ~ENTER THE Jr.EXILE~」。EXILEの弟分的なユニット3組が、それぞれコラボバトル的にタッグを組んだ6曲と参加メンバー全員による1曲を加えた全7曲入りの企画盤。CD販売数3位、ダウンロード数6位、PCによるCD読取数8位で総合順位ではベスト3入り。オリコンでは初動売上6万9千枚で3位初登場。ちなみにGENERATIONSの直近作はベスト盤「BEST GENERATIONS」で初動11万4千枚(2位)、オリジナルの直近作「涙を流せないピエロは太陽も月もない空を見上げた」の9万4千枚(2位)のいずれからもダウン。一方、THE RAMPAGEの直近作「THE RAMPAGE」の3万6千枚(2位)、BALLISTIK BOYZの直近作「BALLISTIK BOYZ」の2万6千枚(1位)からは大きくアップ。既に高い人気を確保しているGENERATIONSの人気に引っ張ってもらう形になっています。

続いて4位以下の初登場盤です。4位初登場は女性アイドルグループBiSH「CARROTS and STiCKS」。CD販売数4位、ダウンロード数3位、PCによるCD読取数19位。オリコンでは初動売上3万6千枚で4位初登場。前作「THE GUERRiLLA BiSH」はタワレコでの「ゲリラ販売」で先行販売をしており通常販売を含めて初動2万7千枚を売り上げていたので、それを上回る結果となっています。

5位にはUNISON SQUARE GARDEN「Bee side Sea side ~B-side Collection Album~」がランクイン。タイトル通り、いままでのシングルのカップリング曲をあつめた企画盤。CD販売数6位、PCによるCD読取数9位ながら総合順位ではいずれも上回る結果に。オリコンでは初動売上2万4千枚で5位初登場。直近のオリジナルアルバム「MODE MODE MODE」の3万9千枚(2位)からダウン。

6位は韓国の女性アイドルグループOH MY GIRL「OH MY GIRL JAPAN 2nd ALBUM」が初登場。CD販売数5位ながらも、そのほかのランキングでは圏外となり総合順位ではこの位置。あまりにそのままなタイトルですが、前作も「OH MY GIRL JAPAN 1st ALBUM」とそのままなタイトル。オリコンでは初動売上1万9千枚で7位初登場。「1st ALBUM」の1万5千枚(2位)からアップしています。

初登場最後は7位に聖川真斗(鈴村健一)「うたの☆プリンスさまっ♪ソロベストアルバム聖川真斗『HOLY KNIGHT』」がランクイン。タイトル通り、女性向け恋愛ゲーム「うたの☆プリンスさまっ♪」登場キャラクターによるソロベストアルバム。CD販売数7位、PCによるCD読取数16位で総合順位はこの位置に。オリコンでは初動売上2万2千枚で6位初登場。同ソロベストアルバムシリーズの前作、一十木音也(寺島拓篤) 「うたの☆プリンスさまっ♪ソロベストアルバム 一十木音也『I am Here.』」の1万9千枚(4位)からアップしています。

今週の初登場は以上。ロングヒット組では安室奈美恵「Finally」。残念ながら今週も7位から10位にダウン。ただダウンロード数では今週も1位をキープしており驚くべき人気ぶりを見せつけています。

今週のHot Albumsは以上。チャート評はまた来週の水曜日に!

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2019年7月10日 (水)

新譜は少な目

今週のHot100

http://www.billboard-japan.com/chart_insight/

先週から引き続き今週も新譜は少な目。純然たる初登場曲はわずか2曲というチャートになっています。

そのうち1曲は1位初登場。世界的に人気のある韓国のアイドルグループBTS「Ligths」が先週の81位からCDリリースにあわせて大きくランクアップし、1位を獲得しています。CD販売数、PCによるCD読取数、Twitterつぶやき数で1位を獲得したほか、ダウンロード数13位、ストリーミング数5位、You Tube再生回数10位と比較的万遍なく上位にランクインしてきています。オリコン週間シングルランキングでは初動売上62万枚で1位獲得。前作「FAKE LOVE」の45万4千枚から大きくアップしています。

ここ最近、戦後最悪の状態まで悪化した日韓関係ですが、BTS人気には全く影響を及ぼしていない模様。正直言って、この曲も平凡なミディアムポップでここまで人気が出ている理由がいまひとつわからないのですが、ただ日韓の政治的な関係とは全く関係なく人気を獲得しているという点は、個人的にはうれしく感じます。

2位は菅田将暉「まちがいさがし」が先週と変わらず2位をキープ。ストリーミング数が先週と変わらず2位を獲得したほか、ダウンロード数は2位から1位にアップ。You Tube再生回数も先週に引き続き1位をキープしており、ロングヒットの兆候が続いています。

さらに3位もOfficial髭男dism「Pretender」が先週と同順位に。ダウンロード数8位、ストリーミング数1位、You Tube再生回数4位は先週から変わらず。PCによるCD読取数が11位から8位にアップ。こちらもロングヒットが続いています。

続いて4位以下の初登場曲ですが、前述の通り今週は1曲のみ。8位にGLAY「JUST FINE」がランクイン。CD販売数は2位、PCによるCD読取数は6位ながらもラジオオンエア数25位、Twitterつぶやき数97位で総合順位はこの位置に。オリコンでは同曲が収録された「G4」が初動売上3万6千枚で2位初登場。前作「愁いのPrisoner」の2万8千枚(4位)からアップしています。

また今週はベスト10返り咲き曲もありました。まず5位にLiSA「紅蓮華」が先週の52位からランクアップし、5月6日付チャート以来、11週ぶりにベスト10に返り咲きました。こちらは先行配信でランクインしていたのですが、このたびCDがリリースされ、CD売上分が加味された影響。CD販売数は3位にランクイン。ただそれにつられてかダウンロード数も14位から7位に、Twitterつぶやき数も28位から3位にアップしています。オリコンでは初動売上2万5千枚で3位初登場。前作「赤い罠(who loves it?)」の3万5千枚(2位)よりダウン。

さらにFoorin「パプリカ」が12位から9位にランクアップ。5月13日付チャート以来9週ぶりのベスト10ヒットとなりました。米津玄師作詞作曲プロデュースによるNHK2020応援ソングプロジェクトであるこの曲。ベスト10入りはこれで2週目なのですが3月25日付チャート以来ベスト20入りを続けており、隠れたロングヒットとなっています。なにげにカラオケ歌唱回数で5位にランクインされているのも根強い人気の証拠でしょう。引き続きロングヒットは続きそうです。

さて今週も初登場が少なかったためロングヒット曲が目立っています。まずはあいみょん「マリーゴールド」は先週と変わらず4位をキープ。ストリーミング数3位、You Tube再生回数及びカラオケ歌唱回数の2位は先週から変わらず根強い人気をキープしています。

米津玄師「Lemon」も6位をキープ。カラオケ歌唱回数1位、You Tube再生回数3位は変わらないもののダウンロード数が6位から4位にアップ。ストリーミングとかではなくいまだにダウンロードでこの曲を買っている人が多くいるという事実には驚かされます。さらにKing Gnu「白日」も8位から7位にアップ。ストリーミング数は4位をキープ。You Tube再生回数は6位から8位にダウンしたものの総合順位では先週から順位を上げてきました。

今週のHot100は以上。明日はHot Albums!

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2019年7月 9日 (火)

バンドとしての意識を高く

Title:834.194
Musician:サカナクション

これは決して揶揄することを意図した表現ではないのですが、ここ最近のサカナクションは・・・というよりも山口一郎は、かなり「意識高い系」のミュージシャンになっているような印象を強く受けます。例えば「NF」という新しい表現を目指す音楽イベントを立ち上げたり、また8月にもあいちトリエンナーレで「暗闇-KURAYAMI-」という実験的要素の強いパフォーマンスを予定しています。さらに各種メディアなどで音楽の現状とその中での自分の考えを積極的に語っている記事を何度も読みましたし、彼自身が今の音楽シーンに対して問題意識を抱き、サカナクションとしてその中でどのようにシーンを切り開いていくか、しっかりと考えているという印象を強く受けます。

そんな中リリースされた約6年ぶりのニューアルバムである本作に関しても、非常に力が入っているように感じます。実際、当初は4月リリース予定だったのが、歌詞に納得がいかないから、という理由で6月に延期された事実からでも、その力の入れようがよくわかります。そしてリリースされたアルバムは2枚組というボリューム。かつ、アルバムの構成としてもかなりコンセプチュアルな内容に仕上がっていました。

まず今回の2枚ですが、Disc1は外に向けて発信することを意図した「東京」をイメージしたアルバム。Disc2は自分たちのために作ろうと考えた、彼らが活動を開始した「札幌」をイメージしたアルバムであり、今回のアルバムタイトル「834.194」はその東京と札幌の距離をあらわしているそうです。

そして外へ向けて発信することを意図した1枚目のアルバムに関しては、一言で言うと、「昨今のシティポップムーブメントに対するサカナクションからの回答」といったところでしょうか。さらにとてもユニークなのが、ここ最近のシティポップの流れは楽曲の「洋楽性」を強調するような流れになっているのに対して、サカナクションは日本のポップスシーンの歴史の中での「シティポップ」をあえて強調した楽曲に仕上げてきています。

特に典型的なのはMVも話題になった「忘れられないの」でしょうが、それ以外でもシングルの「新宝島」では「ドリフ大爆笑」をはじめ、昭和の歌番組をモチーフにしたMVが大きな話題となりましたし、「マッチとピーナッツ」などもエレクトロダンスチューンながらもウェットな雰囲気に歌謡曲的な要素を強く感じます。全体的にエレクトロサウンドを取り入れて、耳なじみやすくコーティングされた和風なシティポップというイメージで統一されており、コンセプシャルな構成に仕上がっていました。

一方、Disc2については、「自分たちのために作る」というコンセプト通り、非常に自由度の高い内容に仕上がっていました。サイケ風アレンジの「グッドバイ」をはじめ、エレクトロサウンドでドリーミーに仕上げた「ナイロンの糸」やダイナミックなバンドサウンドが耳を惹く「ワンダーランド」など、アルバムを通じての統一感はなく、ポップな作風もあればタイトルチューンの「834.194」のような実験的なテイストが強い曲もあり、まさに彼らが好き勝手に曲を作り上げた結果という内容に仕上がっていました。

あえて「外」を意識したDisc1と、あえて「外」を全く意識しなかったDisc2をセットでアルバムにするあたりも、彼らの挑戦心を感じさせますし、また、その反応からサカナクションがどう捉えられているか、彼らなりの実験のようにも感じられます。またその結果としても、「外」を意識したDisc1はいい意味でインパクトのある耳に残る楽曲に仕上がっており、Disc2もアルバムとしてのまとまりは薄いものの、サカナクションの魅力と実力をしっかりと感じさせる曲が並ぶ完成度の高い傑作アルバムに仕上がっていたと思います。今の時点でのサカナクションの集大成とも言える作品。またバンドとしての意識の高さが、このアルバムに上手く傑作として結合されたように感じます。バンドとしてさらなる成長を感じさせる、今年を代表する作品でした。

評価:★★★★★

サカナクション 過去の作品
シンシロ
kikUUiki
DocumentaLy
sakanaction
懐かしい月は新しい月~Coupling&Remix works~
魚図鑑


ほかに聴いたアルバム

BLACK MIRROR : SMITHEREENS ORIGINAL SOUND TRACK/坂本龍一

Netflixのドラマシリーズ「ブラック・ミラー」の最新シリーズ「ブラック・ミラー: 待つ男(原題:Black Mirror: Smithereens)」の音楽を手掛けた坂本龍一によるサントラ盤。ダークでメタリック色の強いエレクトロサウンドがメインの全18曲。ドリーミーな曲もありバリエーションも。全体的にもメロディアスで比較的聴きやすく、ドラマを見ていなくても楽しめる内容になっていました。

評価:★★★★

坂本龍一 過去の作品
out of noise
UTAU(大貫妙子&坂本龍一)
flumina(fennesz+sakamoto)
playing the piano usa 2010/korea 2011-ustream viewers selection-
THREE
Playing The Orchestra 2013
Year Book 2005-2014
The Best of 'Playing the Orchestra 2014'
Year Book 1971-1979
async
Year Book 1980-1984

ASYNC-REMODELS
Year Book 1985-1989
「天命の城」オリジナル・サウンドトラック
BTTB-20th Anniversary Edition-

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2019年7月 8日 (月)

徹底的に自己を見つめた強力なメッセージ

Title:MOROHA IV
Musician:MOROHA

本作がオリジナルアルバムとしてはメジャー第1弾となるHIP HOPユニット、MOROHAのニューアルバム。MCのアフロとギターのUKの2人組のユニットで、以前、ベスト盤も紹介したことがあるのですが、彼らは「HIP HOP」という枠組みにあてはめるには非常に異質となるユニット。基本的にトラックはUKの奏でるアコースティックギター1本のみ。ラップもしっかりと韻は踏まれており、それなりにHIP HOPのマナーには沿っているものの、それ以上にアフロの力強いメッセージを伝える、ラップ以上にポエトリーリーディング的な要素の強い作風に仕上がっています。

そんな彼らの歌詞の大きな特徴は、まさに今回のアルバムの1曲目「ストロンガー」の冒頭に凝縮されています。

「バカにされるのは 惨めな思いをするのは
俺達が弱いから悪いんだ
この楽曲は怒りと痛み 屈辱と葛藤
それらをメインスポンサーに迎えてつくられた
手の中に残った悔しさだけがギャランティ
それを歌詞と旋律に全額ベットする
俺達はもっと強くなりたい」
(「ストロンガー」より 作詞 アフロ)

要するに世の中で上手く言っていない自分たちのふがいなさに嘆き、怒り、そしてそんな思いを徹底的にぶつけたのが彼らの歌詞。徹底的に内省し、自分たちの身を削るような歌詞は、おそらく同じように現状、なかなか思うように上手くいかず、鬱屈した思いを抱えている人たちに強く響いてくるのではないでしょうか。

そんな今回のアルバムでも特に心に響いてくるんが「拝啓、MCアフロ様」。別れた恋人からの最後のメッセージという形態を取られた歌詞で、お互いおそらく目指すものの違いから別れざるを得なかった恋人からの言葉が非常にリアルで胸に響くと共に、その中に実はアフロの決意を感じるようなメッセージも織り込まれており、強い印象を残す歌詞となっています。またラストの「五文銭」もメジャーデビューし、この音楽業界の中で戦っていこうという決意を歌った歌詞が印象的。この音楽で生きていく決意をつづった歌詞は、以前紹介したベスト盤の中でも多く登場してきますが、彼らの歌詞の大きなテーマのひとつとなっています。

またアフロの書く歌詞にはもうひとつ大きな特徴があります。それは歌詞の内容が徹底して内省的であり、上手くいかない現状の原因として自分自身に求めえいる点。ある意味、上手くいかない現状にいらだち、それを音楽にぶつけるというスタイルはパンクロックに通じる部分があるのですが、その原因を外に求め、そんな社会をぶっ壊してやるというスタイルのパンクとはある意味、対極的にすら感じます。

そんなスタンスが明確なんが、これも1曲目の「ストロンガー」で

「貧しかろうと苦しかろうと三度の飯にありつける
運命ともパッチパチの喧嘩が出来る
こんな恵まれた国に生まれ育っちまったからには
被害妄想はいい加減に捨てちまえ馬鹿野郎」
(「ストロンガー」より 作詞 アフロ)

という歌詞が、ある意味、社会一般に対するアフロのスタンスを読み取ることが出来ます。ただ個人的にはこのスタンスは若干の違和感があって、確かに上手くいかない現状の原因を自分に求めるというのは非常に潔さを感じる反面、一方ではその原因を外に求め、世の中を変えていこうとするからこそ、世の中は少しずつでも進歩してよくなってくるはず。「食うに困らないから現状容認」というのは今の若者っぽいのかもしれないのですが、個人的にはあまり賛同できない部分ではあります。

もっとも、この「ストロンガー」の歌詞で示されているように、彼の世代はバブル景気の後始末をさせられたという認識があるようで、世間をよくして行き着くあてがあのバブルなら現状のほうがまし、という認識が根底にあるのかもしれません。

そんな気になる部分はあるものの、非常にメッセージ性の強い歌詞が1曲1曲胸に響いてくる作品。ほかにも「お金」に徹底的にこだわった「米」や、少年への強いメッセージをつづった「スタミナ太郎」など強い印象に残る曲が並びます。正直、説教くさいといわれれば否定は出来ず、そういう意味でも賛否はありそうな部分は否定できないのですが、BGMとして片手間に聴くことを拒否した力強いメッセージは間違いなく耳に残ることと思います。

ただ若干気になるのは前述のとおり、彼らの歌詞の内容の本質を問われると「ストロンガー」の冒頭で示されたメッセージのワンイシューで最後まで構成されています。そうい意味では形を変えつつ、基本的にはワンパターンな部分は否めませんし、それが今後、どうなっていくのかは良くも悪くも気になるところ。また、なにげに彼ら、本作はオリコンベスト20に入ってきており、徐々に「成功」しつつあります。そんな彼らがブレイクして成功した暁にはどんな歌を歌うのか・・・これも良くも悪くも気にかかるところ。そのメッセージが強烈なだけにいろいろと気になる部分も大きいのですが、そんな点を含めて前に紹介したベスト盤を含めて、是非一度チェックしてほしいミュージシャン。要注目です。

評価:★★★★★

MOROHA 過去の作品
MOROHA BEST~十年再録~


ほかに聴いたアルバム

more humor/パスピエ

フルアルバムとしては約2年ぶりとなるパスピエの新作。ファンキーなギターが印象的な1曲目の「グラフィティー」にロックバンドとしてのカッコよさを感じたのですが、アルバム全体としてはメロディアスなシンセポップがメインといった印象。「resonance」などはメロディー的にはインパクトがあるものの、悪い意味で様式化しているアニソンっぽいイメージも。それなりにインパクトと個性を感じられる曲が並んでいるのですが、絶賛するにはあと一歩、何かが不足しているように感じてしまうアルバムでした。

評価:★★★★

パスピエ 過去の作品
ONOMIMONO
演出家出演
幕の内ISM
娑婆ラバ
&DNA
OTONARIさん
ネオンと虎

NIAGARA CONCERT '83/大滝詠一

1983年7月24日に西武球場で行われた、結果として大滝詠一名義ではラストライブとなってしまった「ALL NIGHT NIPPON SUPER FES '83 /ASAHI BEER LIVE JAM」の模様を完全収録したライブアルバム。もともと大滝詠一はライブに積極的ではなかったようで、特にライブ会場では自分の音に納得が出来ないため、なかなかライブを行わなかったのだとか。このアルバムに収録されているライブ音源も、彼のこだわりを感じさせる、オーケストラの演奏を取り入れた「完璧な演奏」。ただライブの魅力というと、不完全だからこそ生じ得る、突発的な化学反応的に発生する素晴らしいステージを体験することが出来る点であり、そういう意味では作り込まれた彼のステージというのはライブ本来の魅力とは少々異なるのかもしれません。ただ、今となっては非常に貴重な音源であることは間違いなし。完成度の高い音源はもちろんファンならずとも楽しめる内容になっています。おそらく彼の生前ではリリースが望めなかったであろう作品。そういう作品がリリースされるというのは複雑な感もするのですが、それを差し引いても音楽遺産として世に残しておく音源だと思います。

評価:★★★★★

大滝詠一 過去の作品
EACH TIME 30th Anniversary Edition
Best Always
NIAGARA MOON -40th Anniversary Edition-
DEBUT AGAIN

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2019年7月 7日 (日)

女王の貫録と攻めの姿勢

Title:Madame X
Musician:Madonna

女性に対して年齢のことを言っては失礼かと存じますがあえて・・・昨年、ついに還暦を迎えたマドンナ。その事実だけでも驚いてしまうのですが、今の写真を見ても、そんな年齢を感じさせない美貌を維持している事実には「還暦」という年齢以上に驚いてしまいます。そんな彼女の最新作はサッカー少年の息子、デビッドに英才教育をさせようとポルトガルに移住した彼女が、現地ポルトガルの音楽に影響を受けて作成した作品。息子のためにポルトガルに移住してしまうあたり、子ども第一のママさんぶりを発揮している点がほほえましいのと同時に、だからってあっさりとポルトガルに行けてしまう点にそのセレブぶりを感じてしまいます・・・。

そんな環境の中でリリースされた本作は、まずはマドンナの女王としての貫禄を存分に感じることの出来るアルバムに仕上がっていました。まず最大の特徴としてはアルバムの要所要所にちりばめられている、様々な音楽からの強い影響。例えば1曲目の「Medellin」はまさにポルトガルの音楽からの影響を強く感じるレゲトンの要素を入れたポップス。「Future」もレゲエ風のリズムが入っており、ここらへんもポルトガルに移住した影響でしょうか。ただ、それらの曲に加えて「Batuka」「Faz Gostoso」など、全体的にはトライバルな要素を強く入れた内容に仕上がっています。

ただ、様々な音楽からの影響はポルトガル移住によるものばかりではありません。例えば「God Control」ではゴシック風なアレンジを聴かせてくれますし、「Killers Who Are Partying」のストリングスからは和風な要素すら感じます。ポルトガル移住の影響はアルバムの中で確かに感じられるものの、それはこのアルバムを形作る数多くのパーツのひとつにすぎません。また、そんな還暦を迎えた今となってなお、様々な音楽の要素を取り入れてくるあたり、彼女の年齢を感じさせない攻めの姿勢を強く感じます。

またどの曲もそうなのですが、どんなタイプの音楽の影響を加えようと、楽曲自体はあくまでもマドンナの曲に仕上がっていました。それはそれで様々な音楽的要素を入れるという攻めの姿勢に反して、いままでのアルバムと似た感じになってしまっているというマイナスの要素もあるのですが、どんな曲になろうと私は私、というマドンナの女王としての貫禄も感じさせます。ここらへんはさすがといっていいでしょう。

攻めの姿勢は作詞の面でも見受けられます。例えば「I Rise」はアメリカフロリダ州の高校で起きた銃乱射事件をモチーフとし、銃規制運動を先導した同校の生徒エマ・ゴンザレスのスピーチから曲が始まっていますし、「God Control」のMVでも銃犯罪の悲惨さをモチーフとして話題を呼んでいます。さらに「Killers Who Are Partying」では

「I'll be Islam, if Islam is hated
I'll be Israel, if they're incarcerated」
(もしイスラム教徒が嫌われるのなら私はイスラム教徒になろう
もし彼らが監禁されるのなら、私はイスラエル人になろう
(「Killers Whe Are Partying」より Written by Madonna Ciccone / Mirwais Ahmadzai)

と歌い、この曲では世の中で不当に差別されている者や弱者に寄りそう姿勢を強く示しています。銃規制にしろイスラムの問題にしろ、アメリカでは特に騒がれるような論点であるため、そこであえて彼女なりの姿勢を表明する点でも彼女の攻めの姿勢を強く感じることが出来ます。

楽曲自体は前述の通り、様々な音楽性を入れつつも最終的にはいつもの彼女という部分が良くも悪くも見受けられるのですが、そこらへんを含めて女王の貫録と今なお続く攻めの姿勢を感じさせる作品に。還暦を過ぎてもまだまだ彼女の攻撃はおさまりそうにありません。

評価:★★★★

MADONNA 過去の作品
Hard Candy
Celebration
MDNA
Rebel Heart


ほかに聴いたアルバム

The Rolling Stones Rock and Roll Circus/The Rolling Stones

1968年にローリングストーンズが作成した映像作品「ロックンロール・サーカス」。ストーンズのほかにはジョン・レノン、エリック・クラプトン、The Whoなど大物ゲストが参加し、作品としては完成させながらも、その後、世に出ることがなく封印され「幻の作品」として知られていました。それから30年近くが経過した1996年にようやくVHSとサントラ盤がリリースされ、日の目を見ることになりました。

その後、2004年にはDVD化。個人的にはこちらのDVDを見ているのですが、このたびBlu-rayを含めて再発。その際にライブCDも同時にリリースされました。基本的に映像を前提とした作品なのですが、ただ音源だけを聴いても60年代当時の貴重な空気は伝わってきます。長く封印された理由としてストーンズ本人がその演奏に納得いかず、かつ直前のThe Whoの演奏の出来が良かったため、The Whoの演奏の前にストーンズがかすんでしまうため、という理由が語られていましたが、確かにThe Whoの「A Quick One While He's Away」は圧巻。その力強いパフォーマンスに惹きつけられます。ただその後のストーンズの演奏が悪いか、と言われると決してそうではなく、今となっては60年代の貴重な演奏として聴く価値が十分にある出来になっています。映像作品のためまずはDVDなりBlu-rayなりをチェックしておきたいのですが、ライブCDも非常に聴きごたえある内容でした。

評価:★★★★★

The Rolling Stones 過去の作品
Shine a Light: Original Soundtrack
Some Girls LIVE IN TEXAS '78
CHECKERBOAD LOUNGE LIVE CHICAGO 1981(邦題 ライヴ・アット・ザ・チェッカーボード・ラウンジ・シカゴ1981)
(MUDDY WATERS&THE ROLLING STONES
GRRR!
HYDE PARK LIVE
Sweet Summer Sun-Hyde Park Live
Sticky Fingers Live
Blue&Lonesome
Ladies & Gentlemen
ON AIR
Voodoo Lounge Uncut
Honk

Die A Legend/Polo G

今、シカゴのラップシーンで最も注目を集めるラッパーPolo Gのデビュー作。同作ではいきなり全米チャートで6位を獲得。まさに人気上昇中のラッパーと言えるでしょう。ジャンル的には「ドリル・ミュージック」と呼ばれ、トラップ・ミュージックと似たような、不穏で重いビートにシカゴの治安の悪化に影響された暴力的な歌詞を乗せているのが特徴だそうです。確かにトラップ・ミュージック的な重いビートが特徴的な本作ですが、それと同時に非常に悲しげで、でもメロディアスな雰囲気を感じるトラックも魅力的。ラップも歌うようなラップが多く、シカゴの現状を嘆くかのような悲しい雰囲気が伝わってくるよう。不穏な雰囲気を感じつつも、意外と聴きやすいポピュラリティーを両立させており、デビュー作のヒットも納得の傑作でした。

評価:★★★★★

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2019年7月 6日 (土)

ロックバンドとして

Title:QUIZMASTER
Musician:NICO Touches the Walls

途中、「OYSTER-EP-」「TWISTER-EP-」という2枚のEP盤を挟みつつ、フルアルバムとしては約3年3ヶ月ぶりとなるNICO Touches the Wallsのニューアルバムは、一言で言って、彼らにとって大きなターニングポイントとなるような作品となっていました。

思えばNICO Touches the Wallsといったら「ミスチルの亜流」といったイメージのあったギターロックバンドでした。ポップなメロが特徴的なバンドではあったものの、楽曲の構成として明らかにミスチルに似ている部分があり、彼らの個性が薄い、そう感じてしまうアルバムが続いていました。ただ、前々作「Shout to the Walls!」はいままでと比べてメロがグッと垢抜けたメロに彼らの成長を感じ、前作「勇気も愛もないなんて」では大きなインパクトを持ったメロディーラインが素直に楽しめる、バンドとして一皮むけた傑作に仕上がっていました。

さらにその後リリースされた2枚のEPもいままでの彼らにない曲調のナンバーが収録されており、彼らのさらなる進化を感じさせる作品になっていたのですが、続く今回のアルバムに関しては、彼らのバンドとしての大きな成長を感じ、ロックバンドとして強度が非常に強くなったアルバムに仕上がっていたように感じます。

アルバム1曲目の「18?」からシャウト気味のボーカルに力強いストロークを奏でるアコギの音色がまずは「ロック」として聴かせる曲になっていますし、続く「KAIZOKU?」もノイジーで非常にヘヴィーなギターサウンドを聴かせる曲になっており、いままでのニコではあまり聴かせることのなかったヘヴィネスさを感じるサウンドが強いインパクトを受けます。さらに「マカロニッ?」もテンポのよいガレージロックのナンバーになっており、こちらも彼らのロックな側面が強調された楽曲になっています。

また、後半の「2nd SOUL?」などもストリングスを入れスケール感を出し、伸びやかに歌う楽曲構成などはいままでの彼らと同様のJ-POP的な側面を強く感じるのですが、ただそんな曲でも分厚いバンドサウンドが加わり、ロックバンドとしての底力を見せるなど、明らかに「バンド」としての大きな進化を感じさせる楽曲に仕上がっていました。

一方で軽快なポップチューンの「サラダノンオイリーガール?」「3分ルール?」などインパクトあるポップなメロを聴かせるような曲も並んでおり、ここらへんは従来のポップバンドとしての彼らの魅力も感じます。ただ、残念ながらポップなメロを聴かせるという側面においては今回はちょっと後退してしまった印象も受けます。もっともメロに関しても以前にような「ミスチルフォロワー」的な部分はかなり薄れており、そういう意味ではしっかりとニコとしての個性を感じられる作品になっていたと思います。

そんな訳でNICO Touches the Wallsはロックバンドである、ということを改めて主張し、かつバンドとして力のあるところを見せつけたアルバム。いままでのポップス路線ではなく、今後はよりロックとしての強度を強めた作品を作り上げていくという彼らのスタンスを感じさせる作品になっており、そういう意味では彼らにとっての大きなターニングポイントになったアルバムだったと思います。正直、メロディーの良さなども含めた出来としては前作の方が上だったと思うのですが、彼らのバンドとしての進化という点を含めて非常に意義深い作品に仕上がっていたと思います。あらたなる進化を遂げたニコ。これからの活躍が非常に楽しみになってきます。

評価:★★★★★

Title:Howdy!! We are ACO Touches the Walls~STAR SERIES~
Musician:NICO Touches the Walls

で、こちらはもともと2枚のEP「OYSTER-EP-」「TWISTER-EP-」と上記「QUIZMASTER」のボーナス盤としてついてきたアコースティックバージョンの作品をひとつにまとめた配信限定の企画盤。「QUIZMASTER」を含め、比較的、メロよりもバンドサウンドに重きを置いたような作品が並んでいただけに、アコースティックアルバムでは彼らのメロディーにより力点を置いた・・・と思ったのですが、アコースティックバージョンでも比較的、ロックバンドとしてのニコに力点を置いたような作品が目立っていました。

「FRITTER」などでは正統派ブルースのようなイントロにまず驚かされます。ただ、残念ながら歌がはじまるとブルース的な要素が薄くなってしまうのですが・・・。原曲でもガレージ色が強かった「マカロニッ?」はアコースティックバージョンとなるとキャバレーロックとしての様相が強くなり、また「別腹?」などではジャジーな要素が加わったりしてユニーク。同じバンドサウンドに力点を置きつつ、オリジナルとアコースティックバージョンで違いを見せるあたり、非常におもしろさを感じます。

ただ、「QUIZMASTER」のオリジナルで感じたのと同様にアコースティックバージョンにすると、若干メロの弱さを感じてしまう部分は否定できず。アコースティックバージョンだからこそ、それがより強く感じてしまう部分はありました。そういう点はちょっと残念にも感じるのですが、その点を差し引いてもロックバンドとしての彼らの魅力を感じさせるアルバム。これからの彼らの活躍も楽しみです。

評価:★★★★

NICO Touches the Walls 過去の作品
Who are you?
オーロラ
PASSENGER
HUMANIA
Shout to the Walls!
ニコ タッチズ ザ ウォールズ ノ ベスト
Howdy!! We are ACO Touches the Walls
勇気も愛もないなんて
OYSTER-EP-
TWISTER-EP-


ほかに聴いたアルバム

FEEL GOOD/SIR UP

以前はKYOtaro名義で活動していた大阪出身のシンガーソングライターが、SIR UPと名義を変えてリリースした初のソロアルバム。現在、人気上昇中で、本作では初となるベスト10ヒットを記録しています。楽曲のタイプとしてはメロウでフィーリーなソウルミュージックをベースとしたポップチューン。昨今のシティポップブームの流れで出てきた印象を強く受けます。メロのインパクトはあり、グルーヴィーなサウンドに惹きつけられますが、正直言うと、よくありがちというイメージが強く、SIR UPならではの独自性は薄い印象も。そのため、最初は非常に惹きつけられるものの、後半はちょっとダレて来てしまいました。次回作以降、もうちょっと彼らしい個性が欲しいところかも。今後に期待。

評価:★★★★

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2019年7月 5日 (金)

「人生」を歌ったメッセージが重く

Title:fierte
Musician:岡村孝子

今年4月、非常にショッキングなニュースが入ってきました。岡村孝子が急性白血病で公表。発表されていたライブ公演もキャンセルし、闘病生活に入りました。白血病は言うまでなく「血液のガン」とも言われる重い病気。彼女も療養生活も長期になることが見込まれ、一日も早い回復が望まれます。そしてそんな中、当初の予定通りのリリースされたのが約6年ぶりとなるニューアルバムである本作。このアルバム自体は白血病発覚前に制作されたアルバムなので彼女の病気を反映された内容ではないのですが、それでも今から聴くと彼女の今の境遇と重ね合わせて、胸に来るものがあるものもありました。

まず、正直に言ってしまうと、病気云々関係なく、彼女自身は脂にのって勢いがある、といった感じでは決してありません。6年ぶりのアルバムにも関わらず、わずか9曲入りでそのうち2曲は過去の曲のリメイク。今回のオリジナル曲に関しても、良くも悪くも岡村孝子らしい、金太郎あめのような似通った作風の曲、アレンジのナンバーが続いており、目新しさはゼロ。かつ、アルバムの中であきらかに耳を惹くのが過去作のリメイクの2曲であって、それだけオリジナル曲の勢いのなさが目立ちます。

しかしそんな中、今回のアルバムは人生について歌ったような曲が目立ちました。例えば「遥かなる旅路」

「限りのある命の日々を
燃やし尽くしたいから

やがて夜が明ける
明日はまだ見えないけど
この悲しみの果てに
遥かなる夢を抱いて」
(「遥かなる旅路」より 作詞 岡村孝子)

という歌詞は図らずも今の彼女の境遇と重ね合わせられますし、「Hello」でも

「ありがとう 同じ時代 こうしてくぐりぬけて
長い旅を続けている このままどこまでも
あなたとめぐりあって 喜び分かちあって
この小さな命燃やし 明日へ歩いていく」
(「Hello」より 作詞 岡村孝子)

「命」という単語を出しつつ、非常に前向きなメッセージを聴かせてくれます。この前向きなメッセージソングというのは良くも悪くも彼女の歌詞の特徴で、今回の歌詞についてもある意味、いつも通りの彼女のスタイルともいえるのですが、ただ、まるで病気のことを察していたような歌詞とも感じられ、胸に来るものがあると同時に、私たちの心に響くものもあります。

そんなアルバムの最後を飾るのが「Happy Song」というのも偶然ながらもまさに彼女の病気のことを思うと、非常に重いメッセージ性を感じさせます。特にこの曲では

「人生は案ずるより
素敵なものだと
いつの日も変わらず
信じさせていてね

あなたと歩いてく」

(「Happy Song」より 作詞 岡村孝子)

という歌詞で締めくくられており、こちらも前向きのメッセージソングながらも彼女から発せられると、重いメッセージ性を感じます。

偶然だったのでしょうが、彼女がその病気を察したかのような「人生」について歌った曲が目立つ今回の作品。前向きなメッセージソング自体は彼女のいつものスタイルであり、目新しいものではありません。ただ、今回、彼女の病気と重ね合わせることにより、その歌詞に重さが加わり、私たちの心にもズシリと響くような曲になっていました。とにかく、1日も早い回復を心からお祈り申し上げると共に、次のアルバムではその病気にかかったことも前向きにとらえられるような、また彼女らしいメッセージソングをその澄み切った歌声で聴かせてほしい、その日が1日も早く来ることを心から祈っています。

評価:★★★★

岡村孝子 過去の作品
勇気
After Tone IV
DO MY BEST Ⅱ


ほかに聴いたアルバム

Sweet Candy Power/少年ナイフ

約3年ぶりとなる少年ナイフのニューアルバム。レトロなロックンロール風のナンバーやポップなナンバーなど、ここ最近のアルバムの中ではバラエティーが豊富な内容になっています。ただ、基本的にはいつも通りの陽気で軽快なガレージロックという方向性は変わらず。良くも悪くも安定感があり、安心して聴けるアルバムになっていました。

評価:★★★★

少年ナイフ 過去の作品
スーパーグループ
フリータイム
大阪ラモーンズ
Pop Tune
アドベンチャーでぶっとばせ!
ALIVE! in Osaka

GUITARHYTHM VI/布袋寅泰

彼のライフワークである「ギタリズム」シリーズの最新作。「Thanks a Lot」では元BOOWYの松井常松、高橋まことが参加したことでも大きな話題に。一方では、MAN WITH A MISSIONやCorneliusといったミュージシャンとのコラボがあったりと、若手から(・・・ってMAN WITH A MISSINもそろそろ中堅どころか)ベテランまで様々なミュージシャンとの意欲的なコラボも特徴的。彼の音楽への挑戦心を感じられます。ただ、エレクトロサウンドを取り入れた楽曲は正直言ってどうも中途半端。ギターのダイナミズムさも薄く、正直、タイトルの由来となっている「ギター」と「リズム」が上手く融合されていないような印象を強く受けました。久々の「ギタリズム」シリーズながらもちょっと残念な印象を受けてしまったアルバムでした。

評価:★★★

布袋寅泰 過去の作品
51 Emotions -the best for the future-
Paradox

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2019年7月 4日 (木)

1位は圧倒的な強さで

今週のHot Albums

http://www.billboard-japan.com/chart_insight/

まず今週1位は大方の予想通り、圧倒的な強さであのアルバムが1位獲得です。

1位は来年12月末をもって活動を休止するジャニーズ系アイドルグループ、のオールタイムベストアルバム「5×20 All the BEST!! 1999-2019」が獲得。CD販売数及びPCによるCD読取数いずれも1位を獲得し、オリコンの週間アルバムランキングでも初動売上130万4千枚という圧倒的な数値での1位獲得となっています。これは直近のオリジナルアルバム「『untilted』」の66万8千枚(1位)を大きく上回る結果になっており、ちょうど10年前にリリースしたベスト盤「All the BEST! 1999-2009」の初動売上75万枚も大きく上回る結果となっています。

ちなみにSMAPが解散時にリリースしたベストアルバム「SMAP 25 YEARS」の初動売上66万8千枚も大きく上回る結果となっており、嵐の人気のほどを見せつけた結果となっていますが、ただ正直言って、嵐の曲と言われておそらく一番多く知られていそうなのがデビューシングル「A・RA・SHI」で、SMAPの「世界で一つだけの花」や「夜空ノムコウ」のような国民的ヒットと言える曲があるかどうかと言われるとかなり疑問。それにも関わらずCDの売上だけではSMAPを大きく上回ってしまう点、一部熱烈な固定ファンが支えている、ここ最近の音楽業界の傾向を表しているような印象を受けます。なんとなくSMAPが平成初期~中期のJ-POP全盛期を象徴するグループだとしたら、嵐は平成後期の、音楽業界全体が低迷し、音楽を売るのではなく一部の固定ファンにいかにCDというアイテムを買わせるか、ということに焦点を合わせた時代を象徴するアイドルと言えるかもしれません。

2位は浦島坂田船「$HUFFLE」が初登場。CD販売数2位、ダウンロード数27位、PCによるCD読取数17位を記録。主に動画サイトでの投稿で人気を博した男性4人組グループ。ネット初の割にはダウンロード数は伸び悩んでいるのはアイドル的なユニットだからというところでしょうか。オリコンでは初動売上7万9千枚でこちらも2位初登場。前作「V-enus」の5万5千枚(1位)よりアップしています。

3位はロックバンドMy Hair is Bad「boys」が初登場。CD販売数は4位、PCによるCD読取数は13位だったのですが、ダウンロード数では3位を獲得。総合順位でもベスト3入りを果たしました。オリコンでは初動売上3万枚で5位初登場。直近作はミニアルバム「hadaka e.p.」で同作の初動2万枚(5位)よりアップ。フルアルバムとしての前作「mothers」の3万1千枚(2位)からは微減となっています。

続いて4位以下の初登場盤ですが、まず5位にTHE ALFEE「Battle Starship Alfee」がランクイン。かなりプログレちっくなタイトルですが、デビュー45周年を迎えた彼らの記念すべき約3年半ぶりのオリジナルアルバム。CD販売数5位、ダウンロード数25位、PCによるCD読取数58位でこの位置に。ダウンロードやPCによるCD読取数が低い順位なのはやはり世代的に昔ながらにCDをプレイヤーで聴くファンが多いからでしょうか。オリコンでは初動売上3万6千枚で3位初登場。前作「三位一体」の2万9千枚(3位)よりアップしています。

8位にはHIP HOPグループDOBERMAN INFINITY「5IVE」がランクイン。CD販売数8位、ダウンロード数17位で総合順位ではこの位置に。結成5周年を迎えた彼らの初となるベストアルバムです。オリコンでは初動売上1万5千枚で8位初登場。直近のオリジナルアルバム「OFF ROAD」の1万枚(7位)からアップしています。

最後、9位10位にはイケメン役者育成ゲーム「A3!」より「A3! BRIGHT SPRING EP」「A3! BRIGHT SUMMER EP」がそれぞれ9位、10位にランクイン。前者がCD販売数6位、PCによるCD読取数63位、後者がCD販売数7位、PCによるCD読取数61位という結果になっています。オリコンでは「SPRING」が初動売上1万6千枚で6位、「SUMMER EP」が同じく初動1万6千枚で7位という結果に。同シリーズの前作「A3! VIVID AUTUMN EP」「A3! VIVID WINTER EP」はそれぞれ初動2万7千枚(2位)、2万4千枚(4位)という結果でしたので、それよりはダウンしています。

さて今週の初登場は以上ですが、ロングヒット組も。配信開始によりヒットチャートを上昇してきた安室奈美恵のベストアルバム「Finally」ですが、今週は残念ながら3位から7位にダウン。ただし、ダウンロード数は2位から1位にアップ。PCによるCD読取数も12位を記録しており、その強さを見せつけています。本作のロングヒットはまだまだ続きそうです。

今週のHot Albumsは以上。チャート評はまた来週の水曜日に!

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2019年7月 3日 (水)

今週もロングヒット曲が目立つチャート

今週のHot100

http://www.billboard-japan.com/chart_insight/

今週も比較的新曲は少なめ。そのためロングヒット曲が目立つチャートとなりました。

ただし、そんな中で1位を獲得したのは韓国のオーディション番組「PRODUCE 48」から誕生した日韓の合同女性アイドルグループIZ*ONEの2枚目となるシングル「Buenos Aires」が獲得しました。CD販売数では1位、Twitterつぶやき数では6位を獲得しましたが、ダウンロード数は81位、PCによるCD読取数では15位に留まっています。オリコン週間シングルランキングでは初動売上21万5千枚で1位獲得。前作「好きと言わせたい」の22万1千枚(2位)よりダウンしています。

2位からはロングヒット曲が並んでいます。まず2位には菅田将暉「まちがいさがし」が先週の3位からランクアップ。これで7週連続のベスト10入りとなりました。ダウンロード数が3位から2位にアップしているほか、ストリーミング数、You Tube再生回数が4週連続でそれぞれ2位と1位をキープ。ネット系を中心に高い支持を集めているほか、カラオケ歌唱回数が15位から11位にアップ。ここらへんの順位が高いとロングヒットになる傾向が強いため、この曲も今後、長くランクインしてきそうな予感がします。

3位はOfficial髭男dism「Pretender」が4位からアップし、5週ぶりにベスト3返り咲き。同作もストリーミング数で6週連続1位をキープ。You Tube再生回数が6位から4位に、カラオケ歌唱回数も10位から8位にアップ。こちらもまだまだロングヒットが続きそうです。

続いて4位以下の初登場曲ですが、今週、初登場は1曲のみ。男女混合ダンスグループAAAのメンバー、西島隆弘ことNissyの配信限定シングル「NA」が9位に初登場。ダウンロード数4位、Twitterつぶやき数5位、ストリーミング数11位で総合順位でベスト10入りを記録しています。

またベスト10返り咲き組も1曲。MAN WITH A MISSION「Remember Me」が先週の12位から10位にランクアップ。2週ぶりのベスト10返り咲きとなりました。こちらはダウンロード数が7位から5位にアップし、高順位をキープしています。

そしてロングヒット組。まずはあいみょん「マリーゴールド」が先週の6位から4位にアップ。こちらはストリーミング数が4週連続3位をキープ。You Tube再生回数も3週連続2位を記録。一時期、9位までダウンしここまでか、と思ったのですが、その後3週連続してチャートをあげ、4週ぶりのベスト5ヒットとなりました。

米津玄師「Lemon」も先週の7位からワンランクアップの6位。こちらもダウンロード数が9位から6位にアップ。You Tube再生回数が2週連続3位。こちらも一時期、10位までダウンしたものの、3週連続ランクアップを記録。まだまだロングヒットが続きそうです。ただ残念ながら先週8位だった「海の幽霊」は今週11位にダウン。とりあえず4週でベスト10落ちとなってしまいました。

さらにこの2曲ほどではないもののKing Gnu「白日」も先週の9位から8位に順位を上げ、通算14週目のベスト10入りを記録しています。こちらもストリーミング数が4週連続4位をキープ。You Tube再生回数も今週、8位から6位に順位を上げています。現状、最高位は5位で派手なヒットは記録していないものの、まだまだ末永いロングヒットが期待できそうです。

今週のHot100は以上。明日はHot Albums!

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2019年7月 2日 (火)

アフリカ音楽を取り入れつつ、サンタナらしさも強く感じる傑作

Title:Africa Speaks
Musician:SANTANA

1969年のウッドストックフェスティバルへの出演も誇るご存じ、大御所中の大御所バンド、SANTANA。結成から50年以上を経た今でも精力的な活動を続けています。そんな彼らの約3年ぶりとなるニューアルバムはアフリカの音楽やリズムからインスピレーションを受けたという作品。そうだとしてもあまりにもベタなタイトルが目を惹くのですが、今回のアルバムではアメリカのラジオ局NPRで「史上最強のボーカリスト50人」にあげられたマヨルカ島出身のスペイン人シンガー、ブイカを全面的にボーカリストとして起用。またデフ・ジャムの創始者であり、レッチリやビースティーズ、アデルまで様々なミュージシャンへのプロデュースで知られるリック・ルービンをプロデューサーとして起用し大きな話題となっています。

そんなアフリカの音楽から強い影響を受けた今回のアルバム。特に特徴的なのがアルバム全体に奏でられているトライバルなリズムを刻むパーカッション。軽快で、時にはポリリズム的なリズムを刻むパーカッションのリズムが強い印象を受けます。そしてそんなパーカッション以上に強い印象を受けるのがなんといってもブイカのボーカルでしょう。彼女のボーカルはしゃがれ声気味なのですが、それがトライバルな雰囲気とマッチしなんともいえない味があります。さらに表現力ありパワフルなボーカルは、どこかエキゾチックな雰囲気を漂わせています。また、楽曲の多くがアフリカ音楽に良くみられるコールアンドレスポンスの形式を取っており、そういう意味でも全編的にアフリカ音楽からの影響を強く感じさせるアルバムになっていました。

ただし、単なるアフリカ音楽を取り入れたアルバム、というだけではサンタナのアルバムとしての面白味はありません。このアルバムが非常にユニークだったのはここからの話。トライバルなサウンドのに対抗するかのごとく、カルロス・サンタナのギターが奏でられています。そしてこのギターはいつも通りのサンタナ節といった感じで、全くアフリカ音楽に寄せられていません。ただ、サンタナのギターというと、良くも悪くも60年代の昔ながらもクラシカルなロック路線そのままのギターサウンドなのですが、これがアフリカ音楽のサウンドとマッチすることにより、全く新しい独特の様相を帯びてくるからユニーク。まさに文化と文化の融合とも言える独特の楽曲に仕上がっています。

またサンタナというとラテン・ロックというイメージが強いのですが、本作でも「Breaking Down The Door」のようにラテン風味の強い曲もあり、このようなラテンとの融合という点も含めて非常の強い独自性も感じられます。まさにサンタナの音楽とアフリカの音楽が非常に高い次元で融合した傑作と言えるかもしれません。

実際、今回のアフリカ音楽の取り入れ方も、決して全面的にアフリカらしさを取り入れた訳ではありません。パーカッションのサウンドにしろポリリズム的な要素も感じられるものの、全面的にポリリズムのサウンドを押し出した・・・といった感じにはなっていません。あくまでも基本はサンタナのアルバムであるということ。また、全面的にボーカルとして起用されたブイカにしても、彼女の両親はアフリカ、赤道ギニア出身らしいのですが、彼女自身は生まれも育ちもスペイン。ある意味、そんな彼女の生い立ちもこのアルバムのコンセプトにピッタリマッチしていると言えるかもしれません。

キャリア50年以上の大ベテランバンドの彼らですが、今なお新たな挑戦を続ける彼らのすごさにあらためて驚かされた傑作。また、アフリカの音楽をサンタナの音楽と上手く融合させることが出来たのは彼らの実力あってゆえでしょう。リーダーのカルロス・サンタナは既に70歳を超えた大ベテランですが、まだまだこれからも傑作を世に送り出してくれそう。現役感あふれる彼らのこれからの活躍にも期待です。

評価:★★★★★

Santana 過去の作品
Guitar Heaven:The Greatest Guitar Classics Of All Time
POWER OF PEACE(THE ISLEY BROTHERS & SANTANA)

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2019年7月 1日 (月)

生前の音源を基に

Title:TIM
Musician:AVICII

EDMの代表的なミュージシャンとして世界的に人気を博し、日本でも2016年に千葉マリンスタジアムでライブを行うなど、絶大な人気を誇ったミュージシャン、AVICII。そんな彼が昨年の4月、わずか28歳という若さで突然この世を去ったというニュースは世界中で衝撃をもって迎え入れられました。一説によると自殺だったという彼の突然の死でしたが、そんな彼が亡くなる直前まで録音を続けられていたという音源を、残された彼のメモ書きやEメールなどに基づき、彼の意思を受け継いだプロデューサー勢が完成させたアルバムが本作となります。

もともとAVICIIの楽曲というと、EDMと言われて一般的にイメージさせるような、とにかく踊らせることを重視したアップテンポな作品という感じではなく、メロディアスな歌を聴かせるエモーショナルなサウンドやメロが特徴的。今回のアルバムもそんないままでのAVICIIの作風を引き継いでいる哀愁感あふれるポップチューンの連続となっており、一言で言うと、実に彼らしい楽曲の並ぶアルバムに仕上がっていたと思います。

特に2曲目の「Heaven」はテンポよいリズミカルなエレクトロサウンドに叙情感あふれる悲しげなメロディーラインが印象に残るスケール感もある楽曲。「Bad Reputaion」も悲しいメロディーラインが胸をうつ哀愁感あふれる楽曲になっていますし、さらに「Ain't A Thing」は狂おしいまでの泣きメロを聴かせてくれ、胸が締め付けられるような切なさを覚えます。

また、アルバム全体としてはエモーショナルな作風で一貫しつつも、一方では様々なプロデューサーが参加した結果、バラエティー豊かな作風を聴かせてくれるのも今回のアルバムの特徴。例えば「Tough Love」ではエキゾチックな雰囲気のサウンドで聴かせてくれますし、ロックバンドのImagine Dragonsが参加した「Heart Upon My Sleeve」はまさにロックテイストのダイナミックなサウンドを聴かせてくれます。また日本人にとっては「Freak」で「上を向いて歩こう」のメロディーラインが登場してくるあたりはちょっとうれしいところかもしれません。

未完成だったアルバムを死後に完成させるアルバムは古今東西、少なくありませんし、本人にとって未完成だった作品を第三者が完成させて公表させてしまうのは賛否両論がわかれるところでしょう。そういう意味では今回のアルバムも否定的に捉える方も少なくないかもしれません。そういう意味では微妙な部分を含むアルバムであるのは間違いありませんが、ただそれを差し引いてもAVICIIの新作として、実に彼らしい、そしてよく出来たアルバムに仕上がっていたと思います。良くも悪くもその分、新鮮味に欠ける部分も感じたのですが、評価的にはこれが最期のアルバムであり、追悼の意を込めて・・・。これが最後というのは本当に残念。ただ、今後も未発表音源はリリースされそうな予感もしますが・・・。

評価:★★★★★

AVICII 過去の作品
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True:Avicii By Avicii
STORIES
AVICII(01)


ほかに聴いたアルバム

ZUU/Denzel Curry

マイアミシーンを代表するラッパーで、現在、人気上昇中のDenzel Curryによる最新アルバム。トラップ的な要素も取り入れたダークな雰囲気のトラックとラップが特徴的ですが、曲によってはメロウなトラックを入れてきたり、メタリックなサウンドを聴かせたりとバラエティーがあり、意外とポップでメロディアスな傾向も強く、耳を惹かれます。今後もさらに注目度が高まっていくかも?

評価:★★★★

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