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2019年6月 2日 (日)

はっぴいえんどフォロワーながらもサウンドに独特な個性が

Title:STORY
Musician:never young beach

これがメジャー2作目、インディーズも含めると4作目となる5人組ロックバンド、never young beachの最新作。もともとは「名前程度は聞いたことがある」程度の印象のバンドだったのですが、先日、CDショップのお勧めとして並んでいたのを試聴してみてよさげだったのでアルバムをはじめて聴いてみた次第。これが予想以上に良い作品になっており、一気に気になるバンドとなりました。

個人的に当初このバンドに食指が伸びなかった理由として、なんとなくの偏見なのですが、昨今よくありがちな「フェス」仕様のロックバンドだと誤解していたから。しかし、実際に聴いてみるとこれが予想外だったのですが、よくありがちなパンク風のポップロックバンド、ではなく、まさかのはっぴいえんど直系のフォークロックバンドだったから正直ちょっとビックリしてしまいました。

まずアルバムの冒頭を飾る「Let's do fun」からしてスティールパンを取り入れたトロピカルなサウンドはもろ細野晴臣。続くタイトル曲「STORY」の郷愁感を覚えるメロディーラインといい、「歩いてみたら」の和風な雰囲気を感じる暖かみあるメロといい、完全にはっぴいえんど近辺からの影響を強く感じさせます。

その影響はメロディーのみならず、例えば「春を待って」だとか「春らんまん」だとかタイトルからしてはっぴいえんどの色合いを強く感じますし、その「春らんまん」や「歩いてみたら」で感じられる叙情的な歌詞の世界観もはっぴいえんどからの影響を強く感じさせます。

・・・なんてことを書いていると全体的に単なるはっぴいえんどのフォロワーで終わってしまいそうな感もありますが、ただその一方で彼らが非常にユニークなのはサウンド的にはっぴいえんどという範疇に留まらず、しっかりと現代の音を入れてきている点だったと思います。サウンド的にもアコースティックなサウンドがベースとなるフォーキーな色合いを強く感じさせますが、一方で音数はそぎ落とし、エッジを利かせた音作りが大きな特徴。特に空間を聴かせるようなサウンドとなっており、タイトでスタイリッシュな作風を感じさせます。

さらには例えば「春を待って」などではファンキーで少々アフロポップからの影響すら垣間見れるサウンドになっていたり、「思うまま」もベースラインのサウンドにファンキーさを感じさると同時にミニマルミュージックからの影響すら感じさせたりとなにげに音楽的な幅の広さを感じさせます。そんな作風はどこかポストパンクの影響すら感じさせるものであり、個人的にはVampire Weekendあたりに通じるものすら感じたりもして・・・。このポストパンク的なサウンドと叙情的かつ和風なフォーキーな作風の融合というのが非常にユニークかつ彼らの大きな魅力に感じました。

正直言うと、歌詞にしろメロにしろ、ちょっと未熟さを感じる部分もあり、さらなる成長を期待したい点も少なくはありません。ただそういう点を差し引いても現状、既に独特な個性を持っており、非常のおもしろいアルバムに仕上がっていたと思います。逆に未熟さに感じられた点は今後の伸びしろとしてバンドの行く末が楽しみにすらなってきます。間違いなく、注目すべき期待の新人バンドです。

評価:★★★★★


ほかに聴いたアルバム

ジャズ/ドレスコーズ

純然たるオリジナルアルバムは「平凡」以来約2年ぶりとなるドレスコーズの新作。前作「平凡」が傑作だっただけに最新作も期待したのですが・・・ちょっと期待はずれだったかなぁ。基本的にいままでの彼らしい、自由度の高く、ポップな要素を詰め込んだようなアルバムになっているのですが、どうも全体的にはいろいろと詰め込みすぎでゴチャゴチャした印象が否めません。もうちょっと方向性を明確にして交通整理が行われれば、前作のような傑作になりえたような感じもするのですが。悪いアルバムではないのですが、やりたいことが多すぎて、ちょっと暴走気味に感じました。

評価:★★★★

ドレスコーズ 過去の作品
the dresscodes
バンド・デ・シネ
Hippies.E.P.

オーディション
平凡

CIRCUS CIRCUS/ゆるふわギャング&Ryan Hemsworth

実生活でも恋人同士のラッパー、Ryugo IshidaとNENEと、プロデューサーAutomaticによるユニット、ゆるふわギャングがカナダのプロデューサーRyan Hemsworthと組んでリリースされた配信限定のアルバム。ゆるふわギャングといえば酩酊感たっぷりのトラップのサウンドに日常生活を綴ったラップが魅力的なのですが、今回のアルバムは残念ながらトラップの要素は薄く、酩酊感もあまり感じません。リリックもこれといってピンとくるようなものはなく、全体的にはゆるふわギャングの良さがいまひとつ出ていないように感じたアルバム。「Mars Ice House」「Mars Ice House II」と傑作が続いていただけにちょっと残念でした。

評価:★★★

ゆるふわギャング 過去の作品
Mars Ice House
Mars Ice House II

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アルバムレビュー(邦楽)2019年」カテゴリの記事

コメント

ゆういちさん、こんばんは。

ゆういちさんの音楽嗜好的にネバヤンはインディーズ時代からチェックしているものだとばかり思ってたんですが、まさか今作が初ネバヤンだったとは驚きました。てか昔ゆういちさんのネバヤンのレビューを見た気がしたんですが・・・僕の記憶違いか別のバンドと混同してたみたいです。
内容的にはフェスはフェスでもやサマソニのような都市型フェスより、フジロックやライジングのような自然がいっぱいあるフェスが似合う感じですよね。


投稿: 通りすがりの読者 | 2019年6月 3日 (月) 00時08分

>通りすがりの読者さん
ひょっとしたら過去に書いていたかも・・・と思って調べてみたのですが、やはり本作がネバヤンを聴いたはじめての作品でした(^^;;
こういうバンドもいろいろとがんばっているのはうれしいですね。今後ともに応援してきたいところです。

投稿: ゆういち | 2019年6月10日 (月) 23時34分

こんばんは。いつも興味深く拝見しています。
ネバヤンを初めて聴いたのはアジカンのトリビュートアルバムだったのですが、「随分大胆なアレンジをするバンドだな」という印象が強く残りました。
ゆういちさんもそのアルバムをレビューしていたような気がするのですが、私の記憶違いでしょうか?

投稿: 話は絶えない | 2019年6月13日 (木) 18時54分

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