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2019年6月24日 (月)

より聴きやすく

Title:Flamagra
Musician:Flying Lotus

毎回、挑戦的なアルバムが大きな話題となるFlying Lotusの約5年ぶりとなるニューアルバム。今回も1時間7分という長さながらも全27曲が収録。1曲平均3分弱という長さの曲が並んでおり、次々と楽曲が展開していくスタイルが大きな特徴となっています。また、今回のアルバムでも大きな特徴なのがその豪華なゲスト陣がズラリと参加している点。盟友のサンダーキャットはもちろん、アンダーソン・パーク、ジョージ・クリントン、ソランジュなどといったミュージシャンが名前を連ねています。

そして今回のアルバムでもHIP HOP、ソウル、ジャズ、ファンクなどといった音楽的な要素を様々に取り入れているのも大きな特徴。それが1曲あたり3分弱という曲にのせて次々と展開される訳ですから、目くるめく展開がある種ジェットコースター的にスリリングですらあり、最後まで耳を離せません。例えばファンキーなリズムがユニークな「Pilgrim Side Eye」、ダウナーなサウンドにラップが乗る「Yellow Belly」、アフロ風なリズムが耳に残る「Actually Virtual」などなど、様々な音楽性を感じられる曲が並んでいます。

ただ、そんな曲が並ぶ中で今回のアルバムに関しては、いままで以上にポップであるという印象を強く受けるアルバムになっていました。まずは中盤、リトル・ドラゴンのユキミ・ナガノがボーカルで参加した「Spontaneous」はエレクトロサウンドにのせて伸びやかな女性ボーカルを聴かせるメロウなAORチューンが耳を惹きます。そして後半はそんな歌モノが並びます。サンダーキャットが参加した「The Climb」はハイトーンボイスで聴かせるメロウな歌が非常に心地よいAORナンバーに仕上がっていますし、ソランジュのハイトーンボイスが魅力的な「Land Of Honey」も幻想的な雰囲気がとても心地よい楽曲に仕上がっていました。

歌モノ以外でもピアノとストリングスでメロディアスに聴かせる「Say Something」など歌モノに挟まれるインストナンバーもメロディアスで聴きやすい曲が並びます。以前のアルバムのようなトリッキーな曲は少なくなり、一方でメロウなポップチューンが増えたという傾向にあります。もっともトラップ風なリズムにハイテンポなエレクトロサウンドを複雑に組み合わせた「Heroes In A Half Shell」のような刺激的な作品はもちろんアルバムの随所に聴くことが出来、決して聴きやすいだけの無難なアルバムといった訳ではもちろんありません。

また本作で日本人なら「おやっ?」と思うのが「Takashi」という楽曲。こちらもエレピで軽快なインストチューンなんですが、このタイトルはアーティスト集団チームラボの工藤岳氏に由来しているとか。彼の作品が今回のアルバム制作にインスピレーションを与えたらしく、今回の楽曲タイトルの由来ものなっています。さらにこの作品には日本人ミュージシャンのオンシュンスケが参加。日本人にとってはちょっとうれしいコラボとなってます。

そんな感じでいままでのFlying Lotusの魅力もしっかりと残しつつ、よりポップでいい意味で聴きやすさが増した今回のアルバム。今回も間違いなく音楽ファンに大きな衝撃を与えた傑作アルバムに仕上がっていたと思います。彼の次から次へと出てくる音楽のアイディアにはいつも驚かされますが、まだまだこれからも私たちを驚かせてくれそうです。

評価:★★★★★

Flying Lotus 過去の作品
Cosmogramma
PATTERN+GRID WORLD
UNTIL THE QUIET COMES

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