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2019年6月

2019年6月30日 (日)

吹っ切れている

Title:GOTH ROMANCE
Musician:カジヒデキ

1989年にフリッパーズ・ギターに強い影響を受けたギターポップバンド、ブリッジを結成。ブリッジ解散後の1997年には「ラ・ブーム~だってMY BOOM IS ME」をスマッシュヒットさせたシンガーソングライター、カジヒデキ。半ズボンで少年っぽいいで立ちが特徴的だった彼も既に52歳(!)。しかし、前作「秋のオリーブ」でも80年代に一世を風靡したファッション雑誌「オリーブ」への愛情を歌うなど、アラフィフとなってもそのスタイルは30年前からほとんど変化はありません。

今回のアルバム「GOTH ROMANCE」も彼自身が影響を受けた「90年前後に最も刺激を受けたサウンドをベースに、過去と今が美しく結びつく接点のような作品作りを心掛けて」いるそうで、ビックリするくらい、90年代初頭の渋谷系サウンドがあまりにもそのまんまな楽曲が並んでいます。

アルバムの1曲目「フランス映画にしようよ」はタイトルからして「渋谷系」のイメージそのままなのですが、スネアドラムを細かく刻むマーチ的なドラムのリズムといい、渋谷系の楽曲をそのまま持ってきたような陽気なギターポップ。タイトルからしてそのままと言えば「夏の終わりのセシルカット」も軽快でちょっと切ないギターポップなサウンドもそのままですし、「セシルカット」のイメージも非常に渋谷系っぽさを感じます。ある意味、一番そのままなのは「5時から7時のマキ」で、エレクトロサウンドのディスコチューンは渋谷系のイメージとちょっと異なるものの、歌詞の中にそのままズバリ「渋谷系」という言葉が登場してきたりします。

他にも豪華なメンバーが顔をそろえているのが今回のアルバムの大きな特徴で、「さんでーべいべー」では渋谷系の大御所、野宮真貴とデゥエット。「そばかすミルク」では彼の師匠(?)でもある小山田圭吾がアコギで参加。そういえばこの曲のサウンドは妙に今風になっている印象を受けます。そんな渋谷系の大御所たちが名前をそろえているだけではなく、前作「秋のオリーブ」でも組んだ盟友、堀江博久や、かせきさいだぁ、おとぎ話やThe Wisely Brothersのような新進気鋭のバンド、さらにちょっと変わったところでは「ノンノン・ソング」ではタイトル通り、のんこと能年玲奈がボーカルで参加し、渋谷系というよりもヒットチャート本流だった90年代J-POP風n陽気なギターロックを聴かせてくれます。

アルバムタイトルの「GOTH ROMANCE」は彼が影響を受けたゴシックとネオアコ(=ロマンス)を並べたもの。ただし、ゴシックの要素は「秘密の夜会」の歌詞の部分だけだそうで、アルバム内容はもっぱらロマンスに偏っています。それだけにアルバム全体としてはある種の吹っ切れた感がつよく、前作「秋のオリーブ」もそうだったのですが、さすがにアラフィフになって「う~ん」と思ってしまう部分もないことはないのですが、この吹っ切れ方はすごいなぁ、と逆に感心してしまいます。

はっきりいって目新しさはゼロなのですが、純粋にポップソングとしては良く出来ていますし、アルバム1枚分、十分楽しめることが出来る内容だと思います。前作でも書いたのですが、もうここまで来たら最後まで吹っ切れいていてほしいなぁ、と思ってしまいます。還暦になっても、このスタイルのカジヒデキが見てみたいなぁ。

評価:★★★★

カジヒデキ 過去の作品
LOLIPOP
STRAWBERRIES AND CREAM
TEENS FILM(カジヒデキとリディムサウンター)
BLUE HEART
Sweet Swedish Winter
The Blue Boy
秋のオリーブ

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2019年6月29日 (土)

40年のキャリアが良きにつれ悪しきにつれ

Title:Scheduled by the Budget
Musician:吾妻光良&The Swinging Boppers

結成から40年。日本を代表するジャンプ・ブルースバンドの大御所、吾妻光良&The Swinging Boppersの約6年ぶりとなるニューアルバムがリリースされました。もっとも彼らは結成から40年という長いキャリアを誇りつつ、メンバーのほぼ全員が普通のサラリーマンとしての肩書も持っているそうで、活動も断続的。そのため、40年目にしてアルバムとしてはわずか8枚目となるアルバム。リーダーの吾妻光良も評論家として活躍しているほか、長年、日本テレビに社員として従事し、現在は日本デジタル放送システムズの代表取締役社長というお偉いさんだったりします。

ちなみに彼らが奏でるジャンプ・ブルースというジャンルはビッグバンドの影響を受けた、ホーンセッションなどを入れて楽しく奏でるアップテンポなナンバーがメイン。1930年代から40年代にかけて成立し、後のロックンロールにも大きな影響を与えたジャンルで、そのため一般的に「ブルース」といってイメージされるような「しんみり聴かせる」というイメージはほとんどありません。

今回のアルバムでももちろん、特にアルバム前半にはホーンセッションにピアノを入れた、ビックバンドやスウィングの要素を取り入れたご機嫌な楽曲が並んでいます。お酒に関する大人のたしなみ(?)を陽気に歌った「大人はワイン2本まで」やタイトル通りの内容で、ある意味、元も子もない「やっぱ見た目だろ」など、結成40年のベテランバンドらしい、まずは音楽を楽しんでいるような陽気なナンバーが並んでいます。

一方、後半に関してはオーティス・レディングの歌唱でも知られる「Try a Little Tenderness」をムーディーに聴かせたり、焼肉と恋愛を重ねわせたダブルミーニングの歌詞が、ある意味「ブルース」らしい「焼肉アンダー・ザ・ムーンライト」をジャジーに聴かせてくれたりと、こちらもこちらで大人の魅力を感じさせる曲が並んでいます。

そんなメロやサウンド的には魅力的な曲が並ぶ今回のアルバムですが、歌詞に関してはかなり気になる部分が多々ありました。一言で言ってしまうと、悪い意味でおやじ臭い。歌詞の中にいかにも今時な言葉や若者文化を取り入れつつも、価値観的には完全に昭和。かく言う私も昭和生まれのアラフォーなので、完全に「おやじ世代」なのですが、そんな私が聴いても、正直言って、ちょっとイラッとさせられるような歌詞が少なくありませんでした。

例えば1曲目の「ご機嫌目盛」ではいきなりラップが登場してくるのですが、さすがに「YO!YO!」的なノリこそありまえんでしたが、本格的にHIP HOPに挑戦するわけではなく、あくまでもノリ的に取り入れてみました的な中途半端なもので、まだHIP HOPに対する偏見が多かった10年くらい前ならともかく、すっかりHIP HOPが定着した今頃にこのノリは・・・。ほかにもSNSだのスマホに関する用語だの、今時の言葉が目立つのですが、今時の言葉を取り入れてみました、的な感じが癇に障る感じで・・・。正直、今時の言葉を取り入れて薄っぺらくするよりも、もっと年齢なりの歌詞を聴きたかったように思います。

もちろん、上にも書いた通り、キャリア40年の年齢に応じた実力と魅力をしっかりとみせている部分がありつつ、一方では年齢が悪い意味でマイナスになってしまった感も否めなかったアルバム。総じていうと、それなりに楽しめたアルバムだったとは思うのですが・・・。ただ、リーダーの吾妻光良は評論家としての文章の中でもこういう悪い意味でのおやじらしさが気になる部分が多いので、良くも悪くもこういうキャラクターなんだろうなぁ・・・。純粋に楽しい部分も多かっただけに惜しさを感じるアルバムでした。

評価:★★★★

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2019年6月28日 (金)

生と死をテーマに

Title:三毒史
Musician:椎名林檎

オリジナルアルバムとしては「日出処」以来、約4年半ぶりとなる椎名林檎のオリジナルアルバム。前作から約4年半の間、彼女の音楽活動で目立っていたのは数多くの男性ミュージシャンたちとのコラボでした。今回のアルバムでは、男性ミュージシャンとのコラボ曲を偶数曲に収録。そしてその間に椎名林檎ソロの曲を並べるという構成に仕上がっています。

そんな今回のアルバムで特に耳を惹いたのはこの男性ミュージシャンとのコラボ曲の素晴らしさでした。今回、コラボしているのはエレカシの宮本浩次やBUCK-TICKの櫻井敦司、NUMBER GIRL、ZAZEN BOYSで活躍している向井秀徳など癖のあるミュージシャンばかり。ただそんな曲者揃いのミュージシャンたちの個性をうまく引き出しつつ、一方でしっかりと椎名林檎の個性を加えてきている絶妙のバランスが大きな魅力となっていました。

例えば宮本浩次とのコラボ「獣ゆく細道」は楽曲的にはジャズをベースとした椎名林檎色の強いナンバー。ただこの曲の上を宮本浩次が曲名のごとく獣のように咆哮するボーカルが強いインパクトに。椎名林檎はボーカルとしてはあくまでもサブ的な立ち位置なのですが、椎名林檎らしい楽曲と宮本浩次のインパクトあるボーカルで両者の個性が見事融合した曲になっています。逆に櫻井敦司とのコラボ「駆け落ち者」は櫻井の音楽性に沿ったインダストリアルなナンバーに。こちらでは逆に椎名林檎と櫻井のボーカルがしっかりと四つに組んだデゥオを聴かせてくれており、ボーカリストとして椎名林檎の個性をしっかりと発揮しています。さらに向井秀徳とのコラボ「神様、仏様」では向井秀徳のギターがかっこいいロックンロールなナンバーに。こちらは向井のギターが林檎の曲の中でしっかりと個性を発揮した形となっており、これまた理想的なコラボとなっています。

楽曲的にはそれぞれのコラボ相手とのバランスを考慮したロックやジャズ、インダストリアルやらポップスやらバラバラとも言える構成になっていますが、そんなコラボ曲をつなぐ椎名林檎のソロ曲がまた見事。例えば「獣ゆく細道」と「駆け落ち者」の間をつなぐ「マ・シェリ」はフレンチ風のナンバーなのですが、ちょっとジャジーな雰囲気で「獣ゆく細道」とつなぎつつ、一方で妖艶さを加えることによって「駆け落ち者」との間も見事につないでいます。アルバム全体を通じて、楽曲の構成も非常に上手さを感じさせ、楽曲的にはかなりバリエーション豊富な構成でありつつ、アルバム全体として一体感を覚える作品に仕上がっていました。

ちなみに今回のアルバム「三毒史」というタイトルですが、これは「三国志」のパロディー的なタイトルながらも、「三毒」とは仏教において克服すべき煩悩を意味する“むさぼり”“いかり”“おろかさ”のこと。人間の生きていく中での諸悪・苦しみの根源とされるそうで、今回のアルバムはまさにそんな生きるということ、そして死をテーマとしたコンセプチュアルな内容にも感じます。実際、アルバムの1曲目は「三毒」を象徴する獣をタイトルとした「鶏と蛇と豚」からスタート。いきなり般若心経からスタートするのですが、ファンタジックなサウンドとお経のアンマッチがユニークな楽曲から開始。お経を入れることによって、仏教的な概念である「三毒」というテーマをより強調しると同時に、(本来的な意味合いとはことなるものの)私たちにとってお経からイメージしてしまう「お葬式」=「死」を感じさせるようなスタートとなっています。

一方アルバムのラストの「あの世の門」は彼女が子供のころに先天的な疾患で死に瀕していた記憶に基づいて書いた曲だとか。ブルガリアの聖歌隊が参加しており、1曲目とはまさしく対照的な構成に。こちらも「死」を意識しつつ、聖歌隊の澄んだ雰囲気の歌声に逆に「生」を感じさせる楽曲になっています。アルバムのテーマ的にも最初から最後までうまくつながっており、アルバム全体としての統一感を覚える内容になっています。

ちなみに前述のとおりバリエーションある曲調も大きな特徴となっており、サイケの要素も加えたギターロックチューン「急がば回れ」やブギウギ調で軽快な「ジユーダム」、またトータス松本と組んだビッグバンド調の「目抜き通り」などバラエティー豊かなのですが、椎名林檎として完全に新しいスタイルというよりも、いままでの彼女の楽曲の中で出会ったことあるような曲が多く、そういう意味では紆余曲折あった椎名林檎の音楽活動の集大成的な構成にも感じました。

コンセプト的にも楽曲の構成的にも、そして1曲1曲の出来としても実によく出来たアルバムとなっており、椎名林檎の底力を感じられる傑作アルバムだったと思います。また、間違いなく今年を代表する1枚とも言える内容だったと思います。デビューから20年以上が経過した今でありつつ、ここまでのアルバムを作り上げてくるのは驚愕すらしてしまいます。これからの彼女の活動からも目が離せなさそうです。

評価:★★★★★

椎名林檎 過去の作品
私と放電
三文ゴシップ
蜜月抄
浮き名

逆輸入~港湾局~
日出処
逆輸入~航空局~


ほかに聴いたアルバム

NIGHT OF THE BEAT GENERATION/THE BEATNIKS

1981年以来、断続的に活動を続けている高橋幸宏と鈴木慶一による音楽ユニット、THE BEATNIKSのライブアルバム。ライブサポートメンバーに、ゴンドウトモヒコ、砂原良徳、白根賢一、高桑圭、堀江博久、さらには相対性理論の永井聖一と豪華なメンバーをズラリと揃えています。内容的にはロック、ポップスを軸としてソウルやフォーク、ニューウェーブなどを取り込んだ非常に自由度の高いポップチューンを展開。大人が音楽を使って自由に遊んでいる・・・そんな印象を受けるライブ盤になっていました。

評価:★★★★★

THE BEATNIKS 過去の作品
LAST TRAIN TO EXITOWN
EXITENTIALIST A XIE XIE

Thank you for our Rock and Roll Tour 2004-2019 FINAL at 日本武道館/THE BAWDIES

昨年リリースされたベストアルバム「THIS IS THE BEST」後のツアーファイナル、2019年1月17日に行われた、自身3度目となる日本武道館でのライブを収録したベストアルバム。ロックンロールの聖地としての日本武道館公演にかなりこだわりを持っている彼ららしく、かなり気合の入った演奏が楽しめるライブ盤。途中、MCやコントのような寸劇もそのまま収録されており、ライブの空気感もそのままパッケージされたような内容になっています。THE BAWDIESのライブの雰囲気がそのまま伝わってくるアルバム。何気に彼らのワンマンは一度も行ったことないから、一度行きたいんですよね・・・。その思いがより強くなったライブ盤でした。

評価:★★★★★

THE BAWDIES 過去の作品
THIS IS MY STORY
THERE'S NO TURNING BACK
LIVE THE LIFE I LOVE
1-2-3
GOING BACK HOME
Boys!
「Boys!」TOUR 2014-2015 –FINAL- at 日本武道館
NEW
THIS IS THE BEST

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2019年6月27日 (木)

驚きのベスト3入り

今週のHot Albums

http://www.billboard-japan.com/chart_insight/

今週、3位には安室奈美恵のベストアルバム「Finally」が先週の6位からランクアップ。昨年の10月1日付チャート以来、実に40週ぶりとなるベスト3返り咲きとなりました。先週も書いた通り、彼女のアルバムの配信、ストリーミングが解禁された影響で、ダウンロード数は今週も2位を獲得しています。また、Apple Musicのストリーミング数が1週間で日本人史上最多の再生数を記録したという報道もあり、あれだけベスト盤が売れたのに、まだ配信で聴かれているという事実に驚かされます。ちなみにこれにあわせてCD販売数も97位から80位にアップ。彼女の人気の高さをうかがわせる結果となりました。

さて一方今週1位を獲得したのはHot100同様にこちらもジャニーズ系アイドル、King&Princeのデビューアルバム「King&Prince」が獲得。ジャニーズ系なので配信は対象外だったのですが、CD販売数及びPCによるCD読取数いずれも1位を獲得し、総合順位でも1位となりました。ちなみにオリコン週間アルバムランキングでも初動売上46万7千枚を売り上げて1位を獲得しています。

2位にはサカナクション「834.194」が初登場。途中、カップリング&リミックス集「懐かしい月は新しい月~Coupling&Remix works~」やベスト盤「魚図鑑」のリリースはあったもののオリジナルアルバムとしては約6年3か月ぶりとかなり久々となるニューアルバム。2枚組というボリューム感ある内容なのですが、当初、4月24日リリース予定とアナウンスされたものの、山口一郎の作詞が完成できなかったということで6月に発売が延期になるというアクシデントがありつつ、無事、発売にたどり着きました。CD販売数及びPCによるCD読取数は2位、ダウンロード数では見事1位を獲得。なお、オリコンでは初動売上8万1千枚で2位初登場。直近のベスト盤「魚図鑑」の7万2千枚(1位)からはアップ。オリジナルアルバムとしての前作「sakanaction」の8万2千枚(1位)からは微減という結果となりました。

続いて4位以下の初登場盤です。まず6位にAqoursのメンバーでもある女性声優逢田梨香子のソロでは初となるEP盤「Principal」がランクイン。CD販売数4位、ダウンロード数20位で、総合順位ではこの位置に。オリコンでは初動売上1万4千枚で4位初登場となっています。

8位には3人組ガールズロックバンドSHISHAMOの初となるベスト盤「SHISHAMO BEST」がランクイン。CD販売数5位、ダウンロード数22位、PCによるCD読取数65位で総合順位では8位に。オリコンでは初動売上9千枚で5位初登場。前作「SHISHAMO 5」の1万1千枚(3位)からダウンしています。

さて、今週の初登場盤は以上。ただし、1枚、ベスト10返り咲きがありました。それが先週の73位から4位に大幅にアップしたHYDEのニューアルバム「ANTI」。このアルバム、配信で先行リリースしていたのですが、このほどCDもリリース。CDの売上が加味されたことにより大幅に順位をあげ、5月13日付チャート以来、7週ぶりのベスト10返り咲きとなりました。ちなみにオリコンでは初動売上2万8千枚で3位初登場。HYDE名義のアルバムの前作は2009年にリリースしたベスト盤「HYDE」以来で、同作の6万枚(4位)からは大幅にダウン。

今週のHot Albumsは以上。チャート評はまた来週の水曜日に!

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2019年6月26日 (水)

ジャニ系が1位ながらもロングヒットが目立つ

今週のHot100

http://www.billboard-japan.com/chart_insight/

今週も1位はジャニーズ系ながらもロングヒット曲も目立ちました。

まず1位はNEWSの元メンバー、山下智久「CHANGE」がランクイン。自身が主演をつとめるTBS系ドラマ「インハンド」オープニングテーマ。CD販売数及びTwitterつぶやき数1位、ラジオオンエア数53位、PCによるCD読取数3位を獲得。またジャニーズ系にしては珍しく配信が解禁されており、ダウンロード数では5位を記録しています。オリコンの週間シングルランキングでは初動売上8万3千枚で1位獲得。前作「Reason」の6万5千枚(2位)からアップしています。

2位はスピッツ「優しいあの子」がランクイン。NHK連続テレビ小説「なつぞら」主題歌。約3年2か月ぶりと久々となるシングル。タイトルからも彷彿されるようなスピッツらしい優しいポップチューンに仕上がっています。CD販売数3位、ダウンロード数及びラジオオンエア数では見事1位を獲得。ほかにPCによるCD読取数2位、Twitterつぶやき数45位を獲得しています。オリコンでは初動売上2万5千枚で2位初登場。前作「みなと」の1万8千枚(6位)からアップ。タイアップ効果があったのでしょうか。

3位は先週4位の菅田将暉「まちがいさがし」がワンランクアップで2週ぶりにベスト3返り咲き。ダウンロード数3位、ストリーミング数2位、さらにはYou Tube再生回数1位とロングヒットの兆しを見せています。

続いて4位以下の初登場組ですが、まず5位にサカナクション「忘れられないの」が先週の80位から大きくランクアップしてベスト10入り。配信オンリーとなりますが、ダウンロード数4位、ストリーミング数6位、ラジオオンエア数2位、Twitterつぶやき数2位、You Tube再生回数15位で総合順位は5位を獲得。先日出演したMステでは80年代の音楽番組をそのまま模したようなテロップなどが話題となりましたが、この曲自体も、最近流行のシティポップの中の80年代歌謡曲な部分を抽出したポップチューンになっています。

今週の初登場曲は以上。一方、今週は返り咲き曲も。まず10位に乃木坂46「Sing Out!」が先週の14位からランクアップし2週ぶりにベスト10に返り咲いています。また今週、King Gnu「白日」が先週の12位から9位にランクアップ。6月3日付チャート以来4週ぶりのベスト10返り咲きに。各種チャートでは目立ったチャート上昇は見受けられないのですが、ストリーミング数はここ3週連続4位をキープし、返り咲きの大きな要因となっています。これでベスト10入りは通算13週目となり、ベスト10返り咲きも2度目。まだまだロングヒットは続きそうです。

さて、そのKing Gnuもそうですが、今週は強力な新曲がなかった影響もありロングヒット曲が目立ちました。まず4位にOfficial髭男dism「Pretender」が先週の6位から4位にアップ。これで通算7週目のベスト10ヒットとなりました。特にストリーミング数は5週連続1位をキープ。ダウンロード数8位、You Tube再生回数6位などネット系の順位で上位につけており、今後のさらなるロングヒットが期待されます。

あいみょん「マリーゴールド」も先週の7位から6位にアップ。こちらもストリーミング数の3位、You Tube再生回数は2位につけており、まだまだロングヒットは続きそう。さらに米津玄師「Lemon」は8位から7位にアップ。さすがにダウンロード数は9位までダウンしてしまいましたが、PCによるCD読取数は今週5位から1位に大幅アップ。カラオケ歌唱回数1位、You Tube再生回数も3位をキープしており、まだまだ根強い人気を見せています。また米津玄師は「海の幽霊」が5位からダウンしたものの8位をキープ。今週も2曲同時ランクインとなっています。

今週のHot100は以上。明日はHot Albums!

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2019年6月25日 (火)

独特の世界観は相変わらず

Title:光の中に
Musician:踊ってばかりの国

独特なサイケフォークロックのサウンドでリスナーを虜にしている踊ってばかりの国。このたび、自主レーベル「FIVELATER」を設立。約1年ぶりとなるアルバムは、そのレーベル第1弾のアルバムとなりました。

以前は社会派な歌詞を書いてくることでも特徴的だった彼らですが、前々作「SONGS」以降は社会派な歌詞が鳴りを潜め、「歌」を聴かせるスタイルの曲が目立っています。今回のアルバムも基本的にその「歌」を聴かせるスタイルが続いている「歌モノ」のアルバムに仕上がっていました。

そんな中で目立ったのが、まずは歌を聴くとその場の光景が目に浮かぶような、風景描写を軸とした楽曲。郷愁感ある歌詞が胸をうつ「シンクロナイズド」や幻想的な風景を描く「ナイトライダー」、悲し気な歌詞が印象的な「water」「帰るからね」のような歌詞の中にはっきりと風景が描写された歌詞が目立ち、今回のアルバムの大きな魅力となっています。

また「殺し合いはやめて歌おうぜ」と歌う「world is your's」「どんな時でも音楽は君の味方なんだよ」と歌うラストチューンの「ロープ」のように、音楽に対する賛歌も目立つ今回のアルバム。そして今回のアルバムを方向づける決定的な特徴がやはりタイトルチューンの「光の中に」でしょう。「光の中に君を連れていくよ」と歌うこの曲は、とても前向きな明るさを感じさせます。アルバム全体としてもどこか悲しげな雰囲気や闇の部分を歌詞の中に覗かせつつも、聴き終わった後は前向きな明るさも感じさせるアルバムになっていたように感じました。

サウンド的にはギターサウンドを前に押し出してロック色が強かった前作と比べると、横ノリでサイケ風のフォーク色が強い楽曲が目立ちます。そのボーカルやサウンド的には気だるい雰囲気がより強くなったような印象も受けました。もっとも後半はノイジーなギターロックの「マリブコーク」や60年代のガレージロック風の「トルコブルー」などギターロックの色合いが強い曲も並び、アルバムの中で大きなインパクトとなっていました。

アルバム全体としてはバンドとしての独特の世界観は相変わらず。いい意味での安定感を覚える彼らしか出来ない世界を作り上げていました。新しいメンバーで5人組となってからこれで2作目となりますが、バンドとして安定してきたということでしょうか。これからの彼らの活躍も楽しみです。

評価:★★★★★

踊ってばかりの国 過去の作品
グッバイ、ガールフレンド
世界が見たい
SEBULBA
FLOWER
踊ってばかりの国
サイケデリアレディ
SONGS
君のために生きていくね


ほかに聴いたアルバム

沸騰 沸く~FOOTWORK~/ケンモチヒデフミ

いまや「水曜日のカンパネラ」としての活動がすっかりおなじみとなったトラックメイカー、ケンモチヒデフミの約8年半ぶりのソロアルバム。本作は、シカゴ発のクラブミュージック、Jukeを取り入れた作品になっています。JukeとはBPMの80,120,160を行き来する、緩急あるリズムトラックが特徴的なダンスミュージックだそうで、タイトルになっている「FOOTWORK」とはそのJukeにあわせてダンサーが踊る、超高速で足を動かすダンスのスタイルのことだそうです。

そんな訳で、緩急つけた刺激的なダンストラックが大きなインパクトとなっている今回のアルバム。ポップでユニークさがある水カンと異なり、至ってストイックなクラブチューンが展開されるアルバムになっています。まさに今の音楽を取り入れている刺激的で挑戦的なアルバム。これが今度、水カンにどのように反映されるのか、楽しみになってくるようなアルバムでした。

評価:★★★★

Dream Baby Dream/EGO-WRAPPIN'

途中、ベスト盤のリリースは挟んだものの、実に6年ぶりとなるEGO-WRAPPIN'のニューアルバム。いままでの彼女たちの曲にあったスウィングの要素やキャバレーロック的な怪しげな雰囲気が薄くなった一方、エキゾチックな雰囲気漂う「Arab no Yuki」やミディアムファンクの「Shine Shine」、レトロポップ風の「心象風景」など、今まで以上にバリエーションが増えた作品に。ユニークさを感じるサウンドでメロディアスに聴かせるアルバムになっており、ベスト盤リリース後の新生EGOの第一歩を感じさせるアルバムになっていました。

評価:★★★★★

EGO-WRAPPIN' 過去の作品
ベストラッピン 1996-2008
EGO-WRAPPIN' AND THE GOSSIP OF JAXX
ないものねだりのデットヒート
steal a person's heart
ROUTE 20 HIT THE ROAD

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2019年6月24日 (月)

より聴きやすく

Title:Flamagra
Musician:Flying Lotus

毎回、挑戦的なアルバムが大きな話題となるFlying Lotusの約5年ぶりとなるニューアルバム。今回も1時間7分という長さながらも全27曲が収録。1曲平均3分弱という長さの曲が並んでおり、次々と楽曲が展開していくスタイルが大きな特徴となっています。また、今回のアルバムでも大きな特徴なのがその豪華なゲスト陣がズラリと参加している点。盟友のサンダーキャットはもちろん、アンダーソン・パーク、ジョージ・クリントン、ソランジュなどといったミュージシャンが名前を連ねています。

そして今回のアルバムでもHIP HOP、ソウル、ジャズ、ファンクなどといった音楽的な要素を様々に取り入れているのも大きな特徴。それが1曲あたり3分弱という曲にのせて次々と展開される訳ですから、目くるめく展開がある種ジェットコースター的にスリリングですらあり、最後まで耳を離せません。例えばファンキーなリズムがユニークな「Pilgrim Side Eye」、ダウナーなサウンドにラップが乗る「Yellow Belly」、アフロ風なリズムが耳に残る「Actually Virtual」などなど、様々な音楽性を感じられる曲が並んでいます。

ただ、そんな曲が並ぶ中で今回のアルバムに関しては、いままで以上にポップであるという印象を強く受けるアルバムになっていました。まずは中盤、リトル・ドラゴンのユキミ・ナガノがボーカルで参加した「Spontaneous」はエレクトロサウンドにのせて伸びやかな女性ボーカルを聴かせるメロウなAORチューンが耳を惹きます。そして後半はそんな歌モノが並びます。サンダーキャットが参加した「The Climb」はハイトーンボイスで聴かせるメロウな歌が非常に心地よいAORナンバーに仕上がっていますし、ソランジュのハイトーンボイスが魅力的な「Land Of Honey」も幻想的な雰囲気がとても心地よい楽曲に仕上がっていました。

歌モノ以外でもピアノとストリングスでメロディアスに聴かせる「Say Something」など歌モノに挟まれるインストナンバーもメロディアスで聴きやすい曲が並びます。以前のアルバムのようなトリッキーな曲は少なくなり、一方でメロウなポップチューンが増えたという傾向にあります。もっともトラップ風なリズムにハイテンポなエレクトロサウンドを複雑に組み合わせた「Heroes In A Half Shell」のような刺激的な作品はもちろんアルバムの随所に聴くことが出来、決して聴きやすいだけの無難なアルバムといった訳ではもちろんありません。

また本作で日本人なら「おやっ?」と思うのが「Takashi」という楽曲。こちらもエレピで軽快なインストチューンなんですが、このタイトルはアーティスト集団チームラボの工藤岳氏に由来しているとか。彼の作品が今回のアルバム制作にインスピレーションを与えたらしく、今回の楽曲タイトルの由来ものなっています。さらにこの作品には日本人ミュージシャンのオンシュンスケが参加。日本人にとってはちょっとうれしいコラボとなってます。

そんな感じでいままでのFlying Lotusの魅力もしっかりと残しつつ、よりポップでいい意味で聴きやすさが増した今回のアルバム。今回も間違いなく音楽ファンに大きな衝撃を与えた傑作アルバムに仕上がっていたと思います。彼の次から次へと出てくる音楽のアイディアにはいつも驚かされますが、まだまだこれからも私たちを驚かせてくれそうです。

評価:★★★★★

Flying Lotus 過去の作品
Cosmogramma
PATTERN+GRID WORLD
UNTIL THE QUIET COMES

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2019年6月23日 (日)

ウェールズの匂い漂うポップス

Title:Reward
Musician:Cate le Bon

イギリスはウェールズ出身の女性シンガーソングライター、Cate le Bon(「ケイト・ル・ボン」と読みます)のニューアルバム。2007年にSuper Furry Animalsのグリフ・リースのUKツアーのサポートを行い注目を浴び、その後もSt.VincentやPerfume Geniusなどのツアーに参加するなど、高い評価を受けています。本作はそんな彼女の5枚目となるアルバムとなります。

楽曲は基本的にフォーキーなサウンドに、ちょっと気だるさも感じられる熱量の低いボーカルが大きな特徴となっています。本作では序盤、「Miami」は静かなホーンが入り、どこか幻想的な雰囲気な曲からスタートするものの、続く「Daylight Matters」「Home To You」とフォーキーなメロを彼女の美しい歌声で聴かせるメロディアスなポップチューンになっており、まずはその美しいメロディーと歌声に大きく惹きつけられます。

そんな雰囲気が少々変わるのが続く「Mother's Mother's Magazines」。ホーンセッションも入って軽快なリズムのナンバーなのですが、どこかアバンギャルドな要素も強く入ったサウンドが不思議な雰囲気を醸し出しています。あくまでもイメージなのですが、ちょっと怪しげなイギリスのファンタジーの世界を彷彿とさせるような・・・。後半の「Magnificent Gestures」もそのようなアバンギャルドなテイストを加味したポップスが耳を惹く楽曲になっていました。

もちろん全体的な楽曲の雰囲気としてはフォーキーなメロを聴かせるポップチューンがメイン。中盤から後半にかけてもちょっとジャジーな要素が入った「Sad Nudes」や、フォーキーなメロを聴かせる「You Don't Love Me」など歌モノがメインになっています。ただ、これらの曲にも共通するのですが、楽曲の中でどこか感じる牧歌的でかつファンタジックな要素が魅力的。彼女の出身、ウェールズといえばケルト文化で知られていますが、まさにそんなケルト文化やケルト音楽の要素の影響を強く感じるポップチューンに仕上げていました。

最後を締めくくる「Meet The Man」もピアノをバックに静かに歌声を聴かせつつ、どこか感じるファンタジックな要素が魅力的。また、この曲に限らず、アルバム全体として適度に入ってくるホーンの音がまたよい味わいとなっているのですが、このホーンのサウンドもケルティッシュな雰囲気を楽曲に漂わせていました。

そんなウェールズの匂いを漂わせるフォーキーなポップチューンが大きな魅力の傑作。日本でファンタジックというと、とにかく音を詰め込んでダイナミックに聴かせるという楽曲が多いのですが、彼女の場合は、そのボーカルもそうなのですが、音も最低限で熱量が低いのが特徴的。ただ、だからこそその向こうにある世界をいろいろと想像できる余地も大きいと言えます。ポップで聴きやすいアルバムですが、その向こうには広大な世界が広がっている、そんなことも感じさせる作品でした。

評価:★★★★★

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2019年6月22日 (土)

変わりゆく音楽性の軌跡をたどるシングル集

Title:MAXIMUM ROCK ‘N’ ROLL: THE SINGLES
Musician:Primal Scream

1982年に結成し、30年以上に渡りイギリスのロックシーンを走り続けるロックバンド、Primal Scream。日本でも高い人気を誇る彼らですが、彼らの過去のシングル曲がリマスターされ、アルバムとしてまとめられました。1986年にリリースされた「Velocity Girl」から、2016年にリリースされた「100% or Nothing」まで、全31曲が発売順に並ぶ構成になっています。

そしてPrimal Screamというバンドの大きな特徴としては、デビュー時から現在に至るまで、アルバム毎に音楽性を大きく変え続けているという点があげられます。今回のこのシングル集は、まさにそんなPrimal Screamの変わりゆく音楽性の軌跡をたどれるアルバムになっており、あらためてその音楽性の変化のすさまじさを感じることが出来るアルバムになっていました。

まずデビュー直後の彼らはいわば平凡なインディーギターロックバンド。「Velocity Girl」や「Gentle Tuesday」はまさに80年代のギターポップな楽曲で、良くも悪くもよくありがち、といった印象を受けます。もっともポップでインパクトがあり人懐っこさを感じさせるメロディーラインはデビュー直後から健在。この時期から後のPrimal Screamらしさに繋がる要素はきちんと感じられます。

そんな彼らの大きな契機になったのが言わずと知れた1990年のヒット曲「Loaded」。ギターロックバンドがアシッドハウスを取り入れた曲として大きな注目を集め、Primal Screamというバンドの知名度と評価を一気に引き上げることになりました。今聴いても、続く「Come Together」「Higher Than the Sun」などのグルーヴィーなサウンドは実に魅力的。これらの曲がPrimal Screamの評価を大きく上げたと言われても、今でも納得できる名曲がこの時期には並んでいます。

しかし、この路線を続けるかと思えば、今でもライブの定番になっている「Rocks」では再びギターロックに回帰。これ以降、しばらくのシングルはロック路線に走ったかと思えば、アシッドハウス路線に回帰したような曲もあったりして、若干迷走気味に感じられる部分もあります。そしてそんな中、彼らの評価を決定づけたのは間違いなく1999年にリリースされた「Swastika Eyes」でしょう。ギターロックに大胆にエレクトロサウンドを取り入れたこの曲は当時非常に大きな話題となったことを今でも覚えています。特にこの曲や同曲を収録したアルバム「XTRMNTR」は、ロックバンドがエレクトロサウンドを取り入れてもいいんだ、ということを多くのロックバンドに気づかせ、これ以降、多くのバンドがギターロックに行き詰まるとエレクトロサウンドを取り入れるというシフトチェンジを図るなど、特に日本のバンドに大きな影響を与えました。

その後はさすがに「Loaded」や「Swastika Eyes」のような大胆な音楽性のチェンジはありませんでしたが、フォーキーな要素を取り入れた「Sometimes I Feel So Lonely」やホーンを取り入れてグルーヴィーにまとめた「2013」などバラエティー豊富な音楽性はその後も今に続いています。今回のアルバムはそんな彼らの音楽遍歴をたどることが出来る作品になっていました。

そんな音楽的に挑戦を続けている彼らですが、しかし、それにも関わらず彼らの音楽からは決して小難しさを感じません。それは彼らの音楽がいい意味でポップでわかりやすいからではないでしょうか。彼らの曲はどの曲もはっきりとわかりやすいメロディーラインが流れており、またインパクトあるフックの効いたフレーズも散りばめられています。ある種のベタさを感じるメロディーラインが流れており、彼らの音楽がまずはポップスとして機能しているからこそ、様々な音楽的な挑戦を続けても、彼らの楽曲が小難しくならないのではないでしょうか。

さらにこの絶え間ない音楽的な挑戦が、彼らの楽曲に緊張感を与え、その結果、キャリア30年以上を誇るベテランバンドでありながらも、彼らは大物然とした雰囲気は薄く、いまだに若手バンドのような生き生きとした雰囲気を感じさせます。それがまたPrimal Screamというバンドの大きな魅力に感じました。

そんな訳で、彼らの音楽の軌跡をたどるには最適ともいるシングル集。あらためてPrimal Screamというバンドの魅力を強く感じることが出来た作品でした。そろそろ待望のニューアルバムのリリースを期待したいところなのですが・・・これから彼らがどんな音楽を聴かせてくれるのか、今から楽しみです。

評価:★★★★★

primal scream 過去の作品
Beautiful Future
Screamadelica 20th Anniversary Edition
More Light
Chaosmosis
Give Out But Don't Give Up:The Original Memphis Recordings


ほかに聴いたアルバム

DRIFT Episode3 "HEART"/Underworld

昨年11月にスタートしているUnderworldの新プロジェクト、DRIFT。様々なジャンルの友人たちと組み、毎週木曜日に新曲をアップしていくプロジェクトで、エピソードを締めくくるたびに配信でEP盤をリリースしているのですが、このたびEpisode3が終了。Episode3の曲をまとめたEPが配信限定でリリースされました。

Episode3の曲はミディアムテンポのチルアウト系のナンバーがメイン。ゆっくりとしたテンポで淡々とダウナーに聴かせる曲が主となっています。ただ、そんな中でも美しいサウンドを聴かせてくれたり、しっかりとしたメロディーラインが流れていたり、またダウナーな作風でありつつもしっかりとしたリズムがテンポよく流れていたりと、なにげに耳を惹く楽曲が多く、飽きさせない内容になっています。アゲアゲな彼らを求めたとしたら物足りなさを感じるかもしれませんが、純粋にポップソングとしては魅力的な楽曲が並ぶ作品に。現在、Episode4が進行中のようですが、こちらも楽しみです。

評価:★★★★★

UNDERWORLD 過去の作品
Oblivion with Bells
The Bells!The Bells!
Barking
LIVE FROM THE ROUNDHOUSE
1992-2012 The Anthology
A Collection
Barbara Barbara, we face a shining future
Teatime Dub Encounters(Underworld&Iggy Pop)
DRIFT Episode1 "DUST"
DRIFT Episode2 "ATOM"

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2019年6月21日 (金)

まだ日本では無名ですが・・・

Title:Nothing Great About Britain
Musician:slowthai

今日紹介するのは現在、24歳のイギリスのラッパーによるデビューアルバム。イギリスの新人ミュージシャンの登竜門である「BBC Sound of 2019」に4位でランクイン。ほかにYou Tube Musicが選定する「今見るべきYou Tuberミュージシャンベスト10」の6位に選ばれるなど、まさに今、最も注目を集めているラッパーの一人といって間違いないでしょう。デビューアルバムである本作もイギリスのナショナルチャートで9位にランクインされるなどいきなりのブレイク。日本では残念ながらまだほとんど無名のミュージシャンといった感じなのですが、今後、徐々に人気が注目を集めてくること間違いなしかと思います。

私が彼のことを今後日本でも注目を集めそうという大きな理由のひとつとしては、彼の楽曲がいい意味でわかりやすくポップにまとまっている、という点があげられます。サウンド的にはトラップ風の刻むようなリズムとダークな雰囲気のサウンドでいわば今風。まあ、ここまでは割とここ最近、よくあるタイプのラッパーと言えるかもしれません。

ただ一方で、彼の楽曲全体としてバリエーションもありポップでわかりやすく、どこかユーモラスなセンスがある、という点が大きな魅力に感じられました。例えばアルバムの冒頭を飾るタイトルチューンである「Nothing Great About Britain」は力強くダークなリズムにのる彼のラップからは、どこか焦燥感のよなものが感じられて、歌詞の内容がわからなくても、どこか危機感が迫るようなラップとサウンドがマッチしており、非常に耳に残るような楽曲になっています。さらにインパクトがあるのが続く「Doorman」。テンポよい打ち込みのリズムで疾走感あるトラックは、ロックテイストも強く、テンポよいポップチューンとしておそらくHIP HOPリスナー以外でも十分に楽しめるポップチューンに仕上がっています。

また、「Dead Leaves」「Inglorious」などはサウンドの側面ではダークという印象が強いものの、そのラップにはどこかコミカルでユーモア感すら漂っています。このようにその表現から感じられるコミカルさが、楽曲にいい意味でのわかりやすさをより与えているような印象を受けました。

もっともそのラップは決してコミカルなだけではありません。例えば「Toaster」ではしっかりと言葉を噛みしめながら語るようなラップが印象に残りますし、「Grow Up」では哀愁感をラップから漂わせています。また「Missing」ではとても悲しげなラップを聴かせてくれるなど、コミカルという以上に非常に表現力豊かなラップが大きな魅力となっています。

このように、彼のラップが表現力豊かだからこそ、言葉がダイレクトに伝わらない私たち日本人にとっても、彼のラップからはどこか伝わるものがあるのではないでしょうか。だからこそ、個人的には彼が今後、もっともっと日本での知名度があがってもいいのでは、と思う大きな要因だったりします。

ちなみにサウンドのタイプ的には全く異なるのですが、彼を聴いていると、どこかEMINEMを思い起こす部分がありました。よくよく考えるとEMINEMもそのラップに喜怒哀楽をはっきりと表してくるミュージシャン。そんなスタイルがslowthaiにも通じる部分があるのかもしれません。そういう意味でもEMINEMが日本でブレイクしたのと同様、彼も今後、十分日本でのブレイクの可能性もあるのでは?いい意味でわかりやすいラップが魅力的な、今、最も注目したいラッパーの傑作です。

評価:★★★★★

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2019年6月20日 (木)

「謎」のミュージシャンが1位獲得

今週のHot Albums

http://www.billboard-japan.com/chart_insight/

「謎」のミュージシャンが初の1位獲得となりました。

1位初登場はずっと真夜中でいいのに。「今は今で誓いは笑みで」が獲得。You Tubeへの動画投稿で話題となったミュージシャンで、フロントマンのACAね以外はグループかどうかも含めて全く謎につつまれたミュージシャン。CD販売数1位、ダウンロード数3位、PCによるCD読取数7位で総合順位では見事1位獲得となりました。オリコン週間アルバムランキングでは初動売上2万枚でこちらも1位初登場。前作「正しい偽りからの起床」の1万4千枚(8位)からアップしています。

2位は先週1位のaiko「aikoの詩。」がワンランクダウンながらもベスト3をキープ。CD販売数2位、PCによるCD読取数では6位を獲得しています。

3位4位にはBOOWYのライブアルバム「LAST GIGS -1988.04.04-」「LAST GIGS -1988.04.05-」が並んでランクインしました。1988年4月4日、5日に東京ドームで行われたBOOWYのラストライブの模様を収録したライブアルバム。同年5月には同ライブの模様を収録した「LAST GIGS」がリリース。さらに2008年には「"LAST GIGS"COMPLETE」がリリースされていますが、2008年の「COMPLETE」でも2日間のライブのベストセレクトとなっており、今回のアルバムで2日間のライブの曲がすべて収録した内容となったそうです。しかし、解散から30年以上経過して、なおこれだけ高い人気を誇っているのは驚くべきことです。もっとも今回のアルバムも一部修正された箇所があったそうなので、また数年たったら、未修正のバージョンをそのまま収録したアルバムを「Ultimate」とか名付けてリリースしそうな予感が・・・。

ちなみに今回、4月4日のアルバムの方が上位にランクインしていますが、これはおそらく、いままでのアルバムの収録曲が4月5日に偏って収録された傾向にあったためと思われます。オリコンでは両者をあわせた4枚組の限定盤「LAST GIGS-THE ORIGINAL-」が初動売上1万5千枚で3位初登場。前作は同じくライブアルバム「"GIGS" CASE OF BOOWY -THE ORIGINAL-」で、同作の1万1千枚(8位)からアップしています。

5位には東方神起のU-Know(ユンホ)による韓国盤のソロアルバム「True Colors」がランクイン。Hot Albumsでは輸入盤はCD販売数ではカウントされないようで、ダウンロード数1位のみでのベスト10入り。一方、オリコンでは輸入盤の売上が加味されて、初動売上1万枚で5位に初登場しています。

また10位には「アラジン オリジナル・サウンドトラック」が先週の13位からランクアップし、初登場から2週目にしてベスト10入り。CD販売数は11位、PCによるCD読取数は23位に留まりましたが、ダウンロード数は7位にランクインし、見事ベスト10入りです。本作は6月7日より公開されているディズニー映画「アラジン」の実写版。音楽も話題となった「ラ・ラ・ランド」や「グレイテスト・ショーマン」に参加したソングライターのベンジ・パセクとジャスティン・ポールも参加。またオリジナルアニメ「アラジン」の主題歌として有名な「A Whole New World」は本作でも使用されており、このサントラにも収録。音楽的にも大きな話題となっています。ここ最近、映画のサントラのロングヒットが続いているだけに本作もロングヒットになるのでしょうか。

さらに今週、6位に安室奈美恵のベストアルバム「Finally」が先週の86位から一気にランクアップし、昨年10月22日付チャート以来、36週ぶりのベスト10返り咲きとなっています。これは6月17日にこのアルバムの配信及びApple Musicでのストリーミングがスタートした影響。ダウンロード数は2位にランクインし、総合順位でもベスト10にランクイン。あれだけ売れたのに配信するとまだ売れるのか・・・と驚愕してしまいます。

ロングヒット盤では今週、back number「MAGIC」は11位にダウン。ベスト10ヒットは11週連続でとりあえずは幕を下ろしました。ただPCによるCD読取数は今週も1位を獲得しており、今後の動向次第では十分ベスト10に返り咲く可能性もありそうです。

今週のHot Albumsは以上。チャート評はまた来週の水曜日に!

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2019年6月19日 (水)

今週も日韓男性アイドル対決

今週のHot100

http://www.billboard-japan.com/chart_insight/

今週1位2位はジャニーズ系とK-POPの男性アイドルグループが並びました。

まず1位はジャニーズ系アイドルグループNEWS「トップガン」がランクイン。テレビ東京系ドラマ「よつば銀行 原島浩美がモノ申す! ~この女(ひと)に賭けろ~」オープニングテーマ。CD販売数、PCによるCD読取数、Twitterつぶやき数で1位、ラジオオンエア数で12位を獲得。オリコン週間アルバムランキングでは初動売上17万9千枚で1位獲得。前作「『生きろ』」の21万5千枚(1位)からはダウン。

2位にはK-POPの男性アイドルグループMONSTA X「Alligator」がランクイン。CD販売数2位、Twitterつぶやき数20位、ほかは圏外という典型的に固定ファン層以外に訴求していない形のヒットになっています。オリコンでは初動11万7千枚で2位初登場。前作「Shoot Out」の8万7千枚(2位)よりアップ。

3位は女性アイドルグループ。モーニング娘。'19「人生Blues」。CD販売数3位、ダウンロード数23位、PCによるCD読取数15位、Twitterつぶやき数10位。EDMアレンジにちょっとエキゾチックな雰囲気を加えつつ王道の昭和歌謡テイストのナンバーという、この王道路線につんく♂らしさが出ている楽曲になっています。オリコンでは初動10万9千枚で3位初登場。前作「フラリ銀座」の11万枚(2位)から微減。

続いて4位以下の初登場曲です。といっても今週、4位以下の初登場曲は1曲のみ。9位にsumika「イコール」が先週の31位からCDリリースに合わせてランクアップし、ベスト10入りしました。日テレ系アニメ「MIX」オープニングテーマ。CD販売数7位、ダウンロード数10位、ラジオオンエア数9位、PCによるCD読取数2位、Twitterつぶやき数21位と上位にランクインし、総合順位でもベスト10入り。オリコンでは初動売上1万5千枚で7位初登場。前作「ファンファーレ」の1万9千枚(4位)からダウンしています。

また、初登場曲が少なかった影響でロングヒット曲が目立った今週のチャート。まずは米津玄師「Lemon」。先週は10位までランクダウンし、さすがにここまでか・・・と思われたのですが、今週は8位にランクアップ。ただし、ダウンロード数は5位から6位、PCによるCD読取数も4位から5位とダウン傾向は続いており、そろそろさすがに厳しい状況になりつつあります。一方「海の幽霊」は1位から5位までダウン。ただしダウンロード数は1位をキープしており、まだまだヒットは続きそう。

あいみょん「マリーゴールド」も9位から7位へアップ。こちらはダウンロード数は7位から12位にダウンしたものの、ストリーミング数は3位をキープ。You Tube再生回数も3位から2位にアップしており、まだまだ強さを見せつける結果となりました。

今週のHot100は以上。明日はHot Albums。

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2019年6月18日 (火)

ポップ路線へシフト

Title:IGOR
Musician:Tyler,The Creator

HIP HOP集団Odd Futureのリーダーとしても活躍しているアメリカのラッパー、Tyler,The Creator。デビュー作「GOBLIN」ではそのグロテスクなPVが話題になり、日本でも大きな評判を呼びました。その衝撃的だった「GOBLIN」から早8年。正直言うと、デビュー当初に比べると、日本ではメディアなどで取り上げられる機会が少なくなってきたような印象を受けます。

しかし本国アメリカではむしろ逆。本作ではちょっと意外なことに初となるビルボードアルバムチャート1位を記録。イギリスのナショナルチャートでも自己最高位の4位を記録するなど、世界的に見たらむしろ人気は上り調子といった印象を受けます。

その人気のひとつの要因として考えられるのが、楽曲の方向性としてポップにシフトした、という点ではないでしょうか。デビュー作はある種の狂気を感じさせるようなヤバイ雰囲気が漂うアルバムでしたが、3枚目のアルバム「CHERRY BOMB」からポップ路線にシフト。そして5枚目となる本作は、その路線のひとつの到達点のような印象を受けました。

特に前半では「EARFQUAKE」でメロウな男性ボーカルの歌モノを聴かせたかと思うと、「I THINK」は陽気で楽しいダンサナブルなナンバーに。中盤の「NEW MAGIC WAND」はちょっとヤバげな雰囲気を漂わせるHIP HOPナンバーとなりますが、その後の「A BOY IS A GUN」「PUPPET」は胸にキュンとなるようなメロウなトラックが強く印象に残る楽曲となっています。

さらに、今回のアルバム、日本人として注目したいのは、なんと「GONE,GONE/THANK YOU」では山下達郎の「Fragile」をサンプリングしていることで大きな話題となっています。実は彼は以前ポットキャストの番組で山下達郎の曲を流したことがあり、山下達郎のファンということは知る人ぞ知る的な事実だったとか。それだけに今回、山下達郎の曲をサンプリングするのは自然な流れといったところなのでしょう。また今回のアルバムの流れの中でも山下達郎の曲がピッタリとマッチしていたように思います。

最後を締めくくる「ARE WE STILL FRIENDS?」もストリングスでメロウに聴かせるトラックをバックとした歌モノ。最後の最後まで非常に心地よさを感じるアルバムに仕上がっていました。

今回のアルバム、サウンド的にはHIP HOPのアルバムであることは間違いないのですが、ラップの要素は薄く、全体的に歌モノという印象を強く受けるメロウでポップな作品に仕上がっていました。デビュー当初の彼から考えると、かなり遠くまで来てしまったなぁ、という印象も受けます。ただ、間違いなくポップな作品としては逸品とも言える出来。エレクトロサウンドを取り入れたり、今風なトラップ的な要素を感じる曲もあったり、かと思えばダイナミックなギターサウンドを取り入れた曲もあったりとサウンドのバリエーションも豊かで最後まで飽きさせません。昨今の人気も納得の、満足感のあるアルバムでした。

評価:★★★★★

TYLER,THE CREATOR 過去の作品
Goblin
Wolf
CHERRY BOMB
Flower Boy

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2019年6月17日 (月)

ライブのたびに新曲!

世の中を斜めから見たようなユニークな視点で切り取った歌詞が大きな魅力のシンガーソングライター、TOMOVSKY。そんな彼が昨年のはじめに、ライブのたびに新曲を発表し、年末にそれをまとめたアルバムをリリースすると宣言。結果として毎回、ライブのたびに必ず新曲を発表し、アルバムを発表。見事、公約を達成しています。今回紹介するのは、そうしてリリースされた2枚のアルバムです。

Title:SHINKYOKU TIME 2018-1
Musician:TOMOVSKY

Title:SHINKYOKU TIME 2018-2
Musician:TOMOVSKY

この「ライブのたびに新曲を披露する」という公約のすごいところは、本当に文字通り、「ライブのたび」という点。ワンマンや対バン形式のライブ、イベントなどはもちろん、インストアライブのような類のライブでも新曲を作ってきているようで、そのスタンスはかなり徹底しています。

また、新曲が誕生するその瞬間をとらえているという点も大きな特徴で、全編、新曲披露時のライブ録音。そのため、録音環境が整っていないような会場ではかなり音が悪い曲もあるのですが、新曲発表に際してのTOMOVSKYのMCや、その時の観客の反応もそのまま収められており、一種のドキュメンタリーのような感触のある作品にもなっていました。

そんな肝心の楽曲の方なのですが、基本的にはおそらく2度とライブでは演らないだろうなぁ、というような即興的な曲やネタ曲がメイン。特に地方ライブではその地方のネタをそのまま取り込んだような曲が多く、ライブハウスの名前そのままな「FANDANGO」やら「九州ピーポー」やら、さらにそのまま「マツモト」「名古屋」なんて曲まで登場しています。

ほかにもアカペラのラップだけというスタイルの「無意味に燃えてるぜ」みたいな「これで新曲でいいの?」と思うような曲もあったり、「食っとけよ」のような替え歌があったり、そこで見たポスターの標語をそのまま歌詞にしただけだろ?といった感じの「犯罪者が恐れるのはあなたの視線」なんて曲もあったりします。

ただし、そんなネタ曲なども含めて、彼らしいユニークな視点を取り込んだ歌詞も目立ち、ライブのたびに作られる即興的な新曲にも関わらず、TOMOVSKYの魅力をしっかりと感じられる曲が多く収録されていました。視覚から与える影響についてユニークに歌った「トンボのめがねと同じしくみ」だったり、郷愁的な雰囲気を漂させつつ、「流氷もあの雲もただの水」と根も葉もないことを歌う「流氷もあの雲も」だったり、異常気象のことを「天気の神がバランス感覚ないからだ」と歌う「お天気の神」など、ユニークな視点は冴えまくっています。

ほかにもふたの留め具がバカになってパカっと空いてしまうコロコロを「自我が芽生えた」と歌うシュールな「ピンクコロコロに自我」という曲もあったり、「ギリギリセーフ」なんかはハロウィンをテーマとした一発ネタが笑える曲になっていますし、即興的なテーマでも強いインパクトを受ける曲が少なくありません。

またもちろんそんな即興的な曲ばかりではなく、例えば「平成の次はまた昭和」なんかは「また昭和が来るからやり直せる」というユニークながらもちょっと切ない歌詞も印象に残る曲で、次のアルバムに収録されていても不思議ではないしっかりとした曲になっていましたし、幼い頃の思い出を歌った「お盆」も子供の頃の思い出の中の父親が今の自分よりも年下という歌は、おそらくある一定の年代以上の方にとっては強く共感できそうな内容で、こちらも次のアルバムに収録されていても不思議ではない内容になっていました。

彼のオリジナルアルバムは、比較的一本のテーマに従った曲が多く、それもまた魅力的なのですが、今回のアルバムはテーマ性がなかっただけに自由度がより広く、そういう意味ではテーマに従ったオリジナルアルバム以上に、ありのままのTOMOVSKYの魅力を強く感じることが出来たアルバムとも言えるかもしれません。確かに即興的なネタ曲も少なくありませんでしたが、その誕生の瞬間をとらえたというユニークさも併せて、聴きごたえのある魅力的なアルバムでした。

評価:どちらも★★★★★

TOMOVSKY 過去の作品
幻想
秒針
いい星じゃんか!
終わらない映画
BEST3
SHAAA!!!
FUJIMI


ほかに聴いたアルバム

ALIVE -The live history-/KOKIA

KOKIAの最新作は2010年から2018年に行われたライブから曲をピックアップして収録した2枚組のライブベスト。オーケストラアレンジのスケール感あるアレンジからアコースティックのシンプルなアレンジから自由自在に歌いこなす彼女の、透明感があってファンタジックなボーカルスタイルが大きな魅力。序盤のちょっと説教じみたMCにはちょっと引いてしまった部分はありましたが、最後までその世界観が楽しめるライブベストに。正直、少々感情過多な部分もあり、その点は賛否別れそうな部分はあるのですが、その点を差し引いても実に強い魅力を感じるライブ盤に仕上がっていました。

評価:★★★★

KOKIA 過去の作品
The VOICE
KOKIA∞AKIKO~balance~
Coquillage~The Best Collection II~
REAL WORLD
Musique a la Carte
moment
pieces
心ばかり
Where to go my love?
I Found You
EVOLVE to LOVE-20 years Anniversary BEST-
Tokyo Mermaid

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2019年6月16日 (日)

アフリカとラテンの融合

Title:Celia
Musician:Angelique Kidjo

西アフリカはベナン共和国出身の女性シンガーソングライター、アンジェリーク・キジョーの最新作。グラミー賞を3度受賞しているほか、ザ・ガーディアン紙では「世界で最も影響力を持つ女性100人」に選ばれているなど、すっかりアフリカを代表するミュージシャンとして活躍しています。

そんな彼女の前作は、Talking Headsの名盤「Remain In Right」をアルバムごとカバーしたアルバムとして多いに話題となり、当サイトでも紹介させていただきました。アフロビートを取り入れた西洋音楽をアフリカの視点から解釈したというユニークなアルバムでしたが、本作のコンセプトもある意味、前作から続くもの。今回のアルバムは、伝説的なサルサ歌手、セリア・クルスに捧げた作品。サルサをアフリカ音楽の視点から再解釈しているユニークなアルバムになっています。

そもそもサルサという音楽はキューバからの難民によりニューヨークで生まれた音楽。西洋音楽と非西洋音楽の融合から生まれたという意味では、前作で彼女がカバーした「Remain In Right」と似たような構図かもしれません。また、そのサルサもルーツをたどるとやはりアフリカ音楽に結びつくわけで、そんなサルサという音楽をアフリカ音楽の視点から再解釈した試みは非常に興味深く感じます。

実際にサルサというジャンルとアフリカの音楽の相性はとてもよくマッチしているように感じます。例えば1曲目「Cucala」はアフリカ的なポリリズム風のビートやコールアンドレスポンズというスタイルと、サルサの要素を感じる爽快感あるホーンやギターの音色が非常に上手くマッチ。「Toro Mata」も哀愁感あふれるメロディーラインはまさにラテンといった感じなのですが、これにトライバルなパーカッションが実に上手く融合されています。

また「Sahara」のようにピアノとストリングス、さらには静かなパーカッションをバックに哀愁感たっぷりに伸びやかに歌い上げる楽曲は完全にラテン風。また、その歌声には彼女のボーカリストとしての実力を感じされます。さらに軽快なパーカッションとホーンセッションが楽しい「Baila Yemaya」もラテンのテイストが強いナンバーに仕上がっています。

このようにラテンテイストの比較的強いナンバーが並ぶ今回のアルバムですが、その一方、アルバム全体としてトライバルなパーカッションが一貫して流れている作品に。また、アフリカ音楽的なコールアンドレスポンスやポリリズムも多く取り入れており、そういう意味ではラテン色とアフリカ色を見事に両立されているアルバムになっていました。まさに彼女なりにサルサを解釈したアルバムと言える1枚で、前作に引き続き、間違いなく傑作と言える作品に仕上がっていたと思います。アフリカ音楽が好きな方にもラテンが好きな方にも文句なしでお勧めしたい作品です。

評価:★★★★★

Angelique Kidjo 過去の作品
Remain in Light


ほかに聴いたアルバム

Retroactive-EP1/Keane

2013年にリリースしたベスト盤を最後に無期限の活動休止となったイギリスのロックバンドKeane。ただ昨年、待望の活動再開がアナウンスされ、9月には待望の新譜も予定されています。本作はそんなニューアルバムに先駆けてリリースされたEP盤。過去のライブ音源やデモ音源を収録した4曲入りの作品で、どちらかというとファンズアイテム的な様相の強いアルバムになっています。活動再開へのご挨拶的な作品と言えるでしょうか。ただ、ピアノを主体としたサウンドに狂おしいまで美しい彼らのメロディーに、Keaneの魅力を再認識させ、また来るべきアルバムが楽しみになってくるような、そんな作品でした。

評価:★★★★

KEANE 過去の作品
Perfect Symmetry
NIGHT TRAIN
Strangeland
The Best Of Keane

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2019年6月15日 (土)

アルバム1枚 13,000円也(!)

Title:The KING
Musician:Anarchy

日本の「下流社会」の様子をリアルに描いたリリックが注目を集め、人気を博しているラッパー、Anarchyの新作。今回の新作は、なんといってもその売り方が大きな話題となっています。なんと、CDの販売価格が13,000円(!)。今回の価格設定について本人は「一度でいいから自分が作ったものに自分で値段をつけてみたい」と語っていましますが、ダウンロードやストリーミングなどで簡単に曲が聴ける今だからこそ、あえてCDに価値を見出し、一般的な価格から大きくかけ離れた高値を付けるという試みは非常におもしろいと思います。

ただ、今回、結果としてAmazonのレビューでも荒れてしまったようにその売り方に大きな問題を抱えてしまいました。それは、CDの限定生産を公言し予約を促したのですが、実際はCDだけではなくストリーミングやダウンロード販売も行われた点。もっとも、CD販売に価値を見出さず、どういう形でも曲さえ聴ければいいというリスナーも少なくなく、またその姿勢も決して否定できません。そのため、CDをあえて高値で販売した一方、その試みを良しとしないリスナーのためにもストリーミングやダウンロード販売を行うこと自体については問題ありません。問題は、ストリーミングやダウンロード販売を行うことを当初のCD販売の告知時に公表しなかったこと。その結果、CD自体に13,000円という価値を見出していなくても、他に聴く手段がないから、と考えたファンが泣く泣く大枚をはたいたようなケースが出てしまい、そういうファンにとっては、今回の売り方が一種の詐欺まがいのように感じられる結果になってしまっています。このやり方については事実上、ファンを騙すような恰好になってしまい、非常に残念に感じます。

さて、そんなちょっと「ケチ」がつくことになってしまった今回のアルバムですが、まず大きな特徴としてAnarchyをはじめとする13人のラッパーが参加。ソロ曲1曲の他はすべて他のラッパーとのコラボ作となっている作品になっていました。その唯一のソロ作はタイトル曲であり1曲目を飾る「The KING」。彼とHIP HOPとの出会い、そしてHIP HOPへの愛情と決意を綴ったリリックが印象的。本作は彼のソロ作ですが、数多くのラッパーの名前が登場し、リリックの中で様々なラッパーとのコラボが行われた作品になっています。

リリックが印象的といえば続くMIYACHIとコラボした「Run It Up」が印象的。今風なトラップのサウンドが耳に残る作品なのですが、「いくらいくらいくら?俺の価値はいくら?」というリリックに今回、13,000円という価格設定を行った彼の考えが反映されています。また、コラボという面で一番印象に残ったのが般若とのコラボ「Kill Me」。一発で般若とわかるその声が印象的ですし、またユニークなライムが耳に残りますし、さすがは「ラスボス」と思わせる般若の実力が反映されたコラボになっていました。

アルバム全体としては今風のトラップ風のリズムが目立つダークな雰囲気のトラックが印象的。ただ、正直言うと、13人とのラッパーとのコラボということなのですが、そのコラボがあまり上手くいかされていなかったようにも感じます。その理由として全体的にAnarchyの個性を強く押し出しすぎてしまい、ラッパーの個性がさほど生かされていなかったように感じた点。逆に言うと、それほどAnarchyの個性が強かったということも言えるのでしょうが、もうちょっとゲストの個性を前に出してもよかったのでは?もっとも、般若なんかは十分彼の個性を発揮していただけに、コラボしたラッパーの多くがAnarchyに負けてしまっているというだけのことかもしれませんが・・・。

また、いままでアンダーグラウンドを押し出したリリックが多かった彼でしたが、どうも今回のアルバムではリリックが丸くなった、というよりも若干型にはまったようなリリックが多くなってしまって、「アンダーグラウンド風」のみを醸し出しているだけで、インディーズ時代の「ヤバさ」がなくなってしまっている感を覚えます。もっともこの傾向はメジャーデビュー以降のアルバムに共通する問題点。ただ、そんな中でも今回のアルバムのラストを締めくくる「Lucky13」では、そんな彼の原点とも言える貧乏時代の思い出と感謝をリリックにしており、胸をうつ内容に仕上がっていました。

とりあえず売り方という点はともかくとして純粋にアルバムの内容としては下のような評価で。正直言って、アルバムの内容として13,000円か、と言われると、熱心なファンじゃなければ「うーん」と思ってしまうような感じかもしれません。よほどのファンじゃなければストリーミングか、(ストリーミングは権利の関係か1曲、未配信となっていますので)ダウンロードで十分かと。ちなみにレンタルも解禁されているので、そちらもありかも。試みとしてはおもしろいとは思います。ただその告知方法が残念に感じるアルバムでした。

評価:★★★★

Anarchy 過去の作品
Dream and Drama
Diggin' Anarchy
DGKA(DIRTY GHETTO KING ANARCHY)
NEW YANKEE
BLKFLG


ほかに聴いたアルバム

Sanctuary/中田裕二

ソロとして早くも8枚目となるニューアルバム。相変わらずの歌謡曲路線にはある種の安定感も覚えるのですが、ただ、全体的にはちょっとマンネリ気味。ラップを取り入れた曲もあったり、今回は打ち込みを取り入れた作品も多かったのですが、肝心の歌自体に関してはインパクト不足で、正直なところ、最後の方は飽きてしまいました。そろそろ新機軸を見せてくれるか、もうちょっとメロディーか歌詞にインパクトが欲しいところ。

評価:★★★

中田裕二 過去の作品
ecole de romantisme
SONG COMPOSITE
BACK TO MELLOW
LIBERTY
thickness
NOBODY KNOWS

CHANGES/NAMBA69

ご存じ、Hi-STANDARDのフロントマン、難波章浩率いるNAMBA69のニューアルバム。ko-hey加入後、フルアルバムとしては本作が初となりますが、以前に比べて音がかなり分厚くなり、パンクロックというよりもハードコア的な様相が強くなってきたアルバムになっています。ただし、分厚いサウンドになってもメロディアスでポップなメロは相変わらず。むしろサウンドが分厚くなったため、ポップのキュートさがより際立ったようにも感じられるアルバムでした。

評価:★★★★

NAMBA69 過去の作品
21st CENTURY DREAMS
LET IT ROCK
Ken Yokoyama VS NAMBA69(Ken Yokoyama/NAMBA69)

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2019年6月14日 (金)

完全に1人のみのステージ

斉藤和義 弾き語りツアー2019 "Time in the Garage"

会場 名古屋国際会議場センチュリーホール 日時 2019年6月4日(火)18:30~

Saitokazuyoshi

以前から足を運びたいと思っていた斉藤和義ワンマンライブ。いままではなかなかタイミングも合わず、足を運べなかったのですが、ついに行ってきました!今回足を運んだのは、彼がライフワークともしている弾き語りツアー。実は斉藤和義のライブは今から19年前(!)に一度、渋谷公会堂でワンマンライブを見たことがあるのですが、実にその時以来のワンマン。ただし、彼のステージ自体は2013年にTHE BAWDIESとの対バンライブを見ているので、その時以来のステージとなりました。

ステージは、今回のライブタイトルに沿ってか、古びたガレージのような舞台セットに。そこにソファーが2つとドラムセットが置いてありました。開演時間を5分ほど経ったころ、おもむろに自動車(それも古い)が止まる音がすると、舞台セットのドアに灯りがともり、そしてせっちゃんが登場。もちろん、会場は大歓声でのスタートとなりました。

まずせっちゃんはステージ真ん中のソファーに座ると、1曲目は「月光」からスタート。個人的にも大好きな曲で、その歌詞にまずは聴き入ります。さらに「愛に来て」と続きおなじみの「ずっと好きだった」に。

そんな感動的な曲と対照的だったのが序盤のMC。いきなりセンチュリーホールのことを「せん〇りホール」なんて言いだしたり、この日の楽屋のトイレにはウオシュレットがついていなかったらしく、直前にもよおしたため、「ア〇ルが崩壊しています」なんて言いだしたりと、とてもそのままここには書けないような下ネタの連続(笑)。せっちゃんらしいのですが、かなり飛ばしまくっていました。

その後も「レノンの夢も」や昔の曲ということで「何となく嫌な夜」で聴かせます。さらにここでリゾネーターギターを取り出し、リゾネーターギターの紹介。昔、エレキがなかった頃、音が小さくてホーンなどの中に伴奏としてしか用いられなかったギターに、反響板などをつけて音を増幅させることによりメインの楽器として用いられることになった・・・という説明の後で(ちなみにリゾネーターギターという固有名詞は出てこなかったな・・・)ムッシュかまやつの「やつらの足音のバラード」へ。哀愁感たっぷりのリゾネーターギターの大きな音でしんみり聴かせてくれました。

さらに「時が経てば」へ。物語調の歌詞も聴かせる内容なのですが、最後の「がんばれ」というメッセージ性強い歌詞も力強く響きます。その後は新曲「小さな夜」。こちらは「ベリーベリーストロング」の10年後をイメージして書かれた曲だとか。伊坂幸太郎の小説「アイネクライネナハトムジーク」の主題歌にもなっているこの曲。もともとはせっちゃんと伊坂幸太郎がコラボしようという話からこの小説が生まれたそうで、そんなエピソードや、今回映画音楽を担当することになったエピソードなどを交えつつ、この新曲を聴かせてくれました。

その後はドラムセットに座り彼のドラムプレイで「幸福な朝食 退屈な夕食」で盛り上がります。この曲、30歳の頃のギター演奏をおさめたマスターテープを流しつつ演奏するというスタイルで、新旧せっちゃんのセッションというユニークなスタイルに。続く「老人の歌」も同じく19歳の頃のマスターテープに今の彼のギタープレイを重ねたセッションとなっており、1人での弾き語りライブらしいユニークな試みになりました。

そしてライブは終盤に。ここからは「Good Luck Baby」や「Stick to fun! Tonight!」など盛り上がるナンバーでみんな立ち上がって会場のテンションも最高潮に。本編は「マディーウォーター」「Summer Days」と続きます。「Summer Days」では最後のミュージシャンの名前を羅列する歌詞のところで「ショーケン」「ミチロウ(=遠藤ミチロウ)」「シェケナベイビー(=内田裕也)」と最近鬼籍に入ったロックミュージシャンたちの名前を歌に入れて、彼らを悼むシーンもあったりしつつ、本編は幕を下ろしました。

もちろんその後はアンコールへ。アンコールではこの日のツアーグッズであるエプロンをつけてせっちゃんが登場(笑)。「空に星が綺麗」からスタート。さらにアコギ1本でしずかにしんみり歌う「歌うたいのバラッド」は非常に感動的でした。そしてラストは「Endless」で締めくくり。会場も大盛り上がりで約2時間半のステージは幕を下ろしました。

この日は弾き語りライブということで完全に彼1人のみのステージ。ただし、その中でも打ち込みを用いたり、リゾネーターギターみたいなユニークな楽器を取り出したり、ドラムやキーボードの演奏があったり、過去の彼の演奏とのセッションがあったりと、様々な見どころの多いステージで、最後までファンを飽きさせない内容になっていました。

また、1人でのステージということで比較的MC多めのまったり目のステージになるのかな・・・と予想していたのですが、思ったよりもMCは少な目で、全編、曲を歌いまくるステージに。現在52歳という彼ですが、年齢を感じさせないアグレッシブなステージでした。一方、MCの方は下ネタ満載で、ここではいろいろと書きにくいMCで(笑)。せっちゃんといえばツアーのたびにライブアルバムをリリースしているのですが、このライブアルバムにもっとMCも収録してほしいなぁ、と思っていたのですが、このMCの内容では、確かにアルバムには収録できないなぁ(^^;;

そんな訳で約2時間半、実に内容の濃いステージで、彼の魅力を満喫できたステージでした。あと、これはあくまでも私事なのですが・・・実はこのライブの前に仕事で非常に嫌なことがありかなり落ち込んでいました。そんな中、彼の曲ってあらためて聴くと、どうにも現状が上手くいかなくもがいている人に対する応援歌的な歌詞になっているんですよね・・・正直、かなり彼の歌が心に染み入り、ライブが終わった後、元気が出るようなステージでした。

本当に素晴らしいステージで大満足。次はバンド形態でのワンマンライブにも行ってみたい!やはり斉藤和義は素晴らしいミュージシャンだな、ということをあらためて認識したステージでした。

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2019年6月13日 (木)

ベスト盤が1位2位

今週のHot Albums

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まず今週はベスト盤が1位2位に並びました。

まず1位はaikoのベストアルバム「aikoの詩。」がランクイン。いままでのシングル曲を両A面曲を含めてすべて収録したシングルコレクション。CD販売数1位、PCによるCD読取数で2位を獲得し、総合順位は見事1位獲得となりました。ちなみにオリコン週間アルバムランキングでも初動売上8万9千枚で1位獲得。直近作「湿った夏の始まり」の初動6万8千枚(3位)からアップしています。

2位は男性5人組のアイドルグループ、Da-iCEのベストアルバム「Da-iCE BEST」がランクイン。CD販売数2位、ダウンロード数8位、PCによるCD読取数48位を獲得。オリコンでは初動売上3万5千枚で2位初登場。直近のオリジナルアルバム「BET」の3万8千枚(3位)からダウン。ベスト盤の初動がオリジナルアルバムの初動売上を下回るのは固定ファンのみに支えられており、それ以外に人気が波及していないアイドル系によくありがちな傾向で、そういう意味では「らしい」結果となっています。

3位にはAvicii「TIM」がランクイン。CD販売数では9位、PCによるCD読取数は53位でしたが、ダウンロード数で1位を獲得。総合順位でも見事ベスト3入りとなりました。昨年4月にわずか28歳という若さで急逝した、世界的な人気を誇るEDMミュージシャン。本作は彼の残された録音やメモなどを基として共同プロデューサーたちが作り上げた3枚目となるアルバム。オリコンでは初動売上7千枚で9位初登場。前作「Stories」の9千枚(11位)より若干のダウンとなっています。

続いて4位以下の初登場盤です。まずは6位にテヨン「VOICE」がランクイン。韓国の女性アイドルグループ、少女時代のメンバーによる日本盤では初となるミニアルバム。CD販売数4位、PCによるCD読取数78位で総合順位は6位にランクイン。オリコンでは初動売上1万7千枚で6位初登場。

7位には一十木音也(寺島拓篤) 「うたの☆プリンスさまっ♪ソロベストアルバム 一十木音也『I am Here.』」が初登場。女性向け恋愛アドベンチャーゲーム「うたの☆プリンスさまっ♪」のキャラクターによるベストアルバム。CD販売数5位、PCによるCD読取数13位を獲得。オリコンでは初動1万9千枚で4位初登場。

初登場組最後は8位に氷川きよし「新・演歌名曲コレクション9-大丈夫/最上の船頭-」がランクイン。CD販売数6位、その他は圏外という結果に。氷川きよしのファン層的にはパソコンやらダウンロードやらは使わなそうだなぁ。昭和歌謡曲のカバーと自身のオリジナル曲を収録した「新・演歌名曲コレクション」シリーズの第9弾。オリコンでは初動売上1万7千枚で5位初登場。前作「新・演歌名曲コレクション8-冬のペガサス-勝負の花道~オーケストラ」の1万8千枚(4位)から微減。

ロングヒットでは、back number「MAGIC」は先週の8位から2ランクダウンながらも10位をキープ。CD販売数20位、ダウンロード数6位で、一方、PCによるCD読取数は今週1位を獲得。まだまだその強さを感じます。一方、あいみょん「瞬間的シックスセンス」は残念ながら今週11位にダウンし、ベスト10から陥落しています。

今週のHot Albumsは以上。チャート評はまた来週の水曜日に!

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2019年6月12日 (水)

米津玄師旋風吹き荒れる

今週のHot100

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今、間違いなくもっとも勢いのあるミュージシャンの一人、米津玄師。今週のヒットチャートはまさにそんな彼の人気を象徴するようなチャートとなりました。

まず1位には米津玄師「海の幽霊」が先週の9位からランクアップ。映画「海獣の子供」主題歌。今週、配信を開始されたことによりランクを大きくアップ。ダウンロード数及びラジオオンエア数で1位、Twitterつぶやき数4位、You Tube再生回数2位で見事CD販売なしでの1位獲得となりました。

さらに2位には菅田将暉「まちがいさがし」が先週の8位からランクアップ。2週ぶりのベスト3返り咲きとなっていますが、こちらも米津玄師作詞作曲プロデュースによる作品。結果として米津玄師関連作品が1、2フィニッシュを飾るという結果になっています。ちなみに本作はダウンロード数及びストリーミング数2位、You Tube再生回数で1位を獲得。ストリーミングやYou Tubeで強いあたり、ロングヒットの予感がします。

一方、米津玄師「Lemon」は今週10位までランクダウン。さすがに後がなくなってきました。とはいえ、ダウンロード数5位、PCによるCD読取数及びYou Tube再生回数4位、カラオケ歌唱回数では1位をキープしており、まだまだ巻き返しの可能性も?

3位はようやく初登場曲。V6「ある日願いが叶ったんだ」が初登場。メンバーの井ノ原快彦主演ドラマ「特捜9」主題歌。CD販売数1位、PCによるCD読取数2位、Twitterつぶやき数6位を獲得。オリコン週間シングルランクインでは初動売上9万4千枚で1位獲得。前作「Super Powers」の10万枚(1位)よりダウンしています。

続いて4位以下の初登場曲です。まず6位に名古屋を拠点に活動する男性アイドルグループMAG!C☆PRINCE「ゴメン、、離したくない」がランクイン。CD販売数は2位にランクインしましたが、そのほかはラジオオンエア数で99位、Twitterつぶやき数は100位にとどまり、総合順位ではこの位置に。オリコンでは初動売上8万3千枚で2位初登場。前作「SUMMER LOVE」の8万4千枚(1位)から微減。

そして7位にはハロプロ系女性アイドルグループJuice=Juice「『ひとりで生きられそう』って それってねぇ、褒めているの?」が初登場でランクイン。タイトルは秋元康っぽい感じもするのですが、楽曲的には王道のアイドルポップのハロプロ系らしい曲調に。CD販売数は3位でしたが、ダウンロード数29位、PCによるCD読取数21位、Twitterつぶやき数67位にとどまり、総合順位はこの位置に。オリコンでは初動売上6万4千枚で3位初登場。前作「微炭酸」の6万2千枚(3位)より若干のアップとなりました。

今週の初登場曲は以上ですが、今週はベスト10返り咲き曲も。MAN WITH A MISSION「Remember Me」がCD販売にあわせて先週の13位から5位に大きくアップ。4週ぶりのベスト10返り咲きとなりました。フジテレビ系ドラマ「ラジエーションハウス~放射線科の診断レポート~」主題歌。 CD販売数は6位でしたが、ダウンロード数は5位から3位にアップ。総合順位も5位にランクインしています。オリコンでは初動売上3万2千枚で6位初登場。前作「Take Me Under」の2万4千枚(4位)よりアップ。

最後にロングヒット曲ですが、今週、あいみょん「マリーゴールド」は5位から9位にダウン。「Lemon」同様、こちらも厳しい結果になっています。ストリーミング数及びYou Tube再生回数は3位にダウン。ダウンロード数も6位から7位にダウンしています。ただ、とはいえまだまだストリーミング数もYou Tube再生回数も上位にランクインしており、こちらも今後の巻き返しに期待したいところです。

今週のHot100は以上。明日はHot Albums。

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2019年6月11日 (火)

多彩な女性ボーカルが参加

Title:I Am Easy To Find
Musician:The National

アメリカはニューヨーク、ブルックリンを拠点として活動しているインディーロックバンド、The National。2010年にリリースしたアルバム「High Violet」がアメリカビルボードチャートで3位にランクインするなどブレイク。特に前々作「Trouble Will Find Me」は各種メディアなどでも高い評価を受け、日本でも一気に注目が集まりました。ただ、彼ら自体の結成は1999年というから、なにげにキャリア20年を誇るベテランバンド。その作風からは長いキャリアに裏付けされた安定感も覚えます。

さて、そんな彼らの約2年ぶりとなるニューアルバム。本作もアメリカビルボードでは5位、イギリスのナショナルチャートでは2位にランクインするなど、人気の面でも安定してきています。The Nationalといえば、哀愁感と優しさを同居させたようなメロディーラインをシンプルに聴かせるポップバンドという点がひとつの大きな特徴。本作でも、その特徴な遺憾なく発揮されています。アルバムの冒頭を飾る「You Had Your Soul With You」もテンポ良い楽曲ながらもゆっくりと優しく包み込むのようボーカルで歌われる暖かみのあるポップソングが魅力的。まずは彼ららしい魅力的なポップチューンでアルバムの幕は開きます。

そして今回のアルバムの特徴は数多くの女性ボーカリストが参加している点。例えばボーカル、マット・バーニンガ-のボーカルに寄りそうように優しく歌われる「Roman Holiday」ではデイヴィット・ボウイのセッションミュージシャンとしても活躍したゲイル・アン・ドロシーが参加。彼女はどちらかというとバックコーラスとしての参加となるのですが、長いキャリアを持つ彼女らしい深みのあるコーラスが大きな魅力となっています。

またタイトル曲「I Am Easy To Find」ではThis Is the Kit名義でも活躍している女性シンガー、ケイト・ステーブルスが参加。静かな歌声で優しく聴かせてくれていますし、「So Far So Fast」ではアイルランドのシンガーソングライター、リサ・ハニガンがほぼメインボーカルとして参加。ドリーミーでサイケ気味なサウンドをバックに、その美しいボーカルを聴かせてくれています。

さらには女性ボーカルではありませんが、「Her Father In The Pool」「Dust Swirls In Strange Light」「Underwater」ではブルックリン青少年合唱団が参加。合唱団の美しく澄み切った歌声が、楽曲に神々さすら与えており、アルバムの中でも大きなインパクトとなっています。

そんな訳で女性ボーカリストの参加により楽曲がより美しく、優しさを感じさせるようになった今回のアルバム。それに呼応するためか、サウンド面でも前作に見受けられたガレージロック的な楽曲はなくなり、逆にピアノやストリングスを取り入れたアコースティック色の強い楽曲が多くなり、サウンド面でも優しさを感じさせるポップなアレンジに仕上がっていたように感じます。

ちなみに今回のアルバム、女性ボーカルが参加するも、あえて特定のボーカリストが参加するのではなく、多くのボーカリストが参加しているのは、マット曰く「人々のアイデンティティの構造をより多く表現しようと思った」からだそうで、その多様性もまたこのアルバムの大きな魅力となっています(ちなみに男性が参加していないのはマットが男は嫌だったからだそうです(笑))。

前作も比較的シンプルで優しいポップチューンが大きな魅力でしたが、今回は多様な女性ボーカルが参加することによりその魅力がより際立った傑作アルバムに仕上がっていたと思います。シンプルゆえに比較的多くの方に素直にお勧めできる傑作アルバム。ポップなメロディーが心に染み入る作品です。

評価:★★★★★

The National 過去の作品
Sleep Well Beast


ほかに聴いたアルバム

Rammstein/RAMMSTEIN

ドイツのメタルバンドによる約10年ぶり、久々となる新作。非常に重いメタリックなサウンドでダークに聴かせる楽曲が特徴的。このヘヴィーな楽曲の雰囲気に、ある種の堅苦しさを感じさせるドイツ語が妙にマッチしており、妙なインパクトを与えています。彼らのアルバムを聴くのはこれがはじめてですが、このドイツ語という点も含めて非常にインパクトを覚えるアルバムになっていました。

評価:★★★★

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2019年6月10日 (月)

伝説のバンドによる伝説のステージ

Title:三田祭 1972
Musician:村八分

1969年から1973年の4年間のみ活動し、その激しいパフォーマンスで「伝説的なバンド」として今でも名高い村八分。本作は1972年11月23日に、慶応義塾大学三田祭の前夜祭でのライブの模様を収録したライブアルバム。もともとこのライブの模様は2000年に「Live'72-三田祭-」として発表されていましたが、今回は新たに発見されたコピーテープを使用。ゆらゆら帝国などでおなじみのエンジニア、中村宗一郎によるリマスタリングが施され、新たにリリースされました。

そんなリマスタリングが施されたアルバムなのですが、それにも関わらず正直言って音はかなり悪いです。曲によってはボーカルのチャー坊こと柴田和志の声がほとんど聴こえないような曲もあり、その点は「リマスタリングだから」といって期待すると若干期待はずれに感じる部分があるかもしれません。もっとも、当時の機材で、かつ学園祭での演奏ということを考えれば、この音の悪さでも仕方ないのでしょうが・・・。

ただ、そんな音の悪さを差し引いても、70年代初頭にこれだけかっこいいバンドが日本に居たのか!!ということをあらためて驚かされる迫力ある演奏が実に魅力的なアルバムになっています。シャウト気味のしゃがれ声で歌うチャー坊のボーカルが非常にカッコよく、強く印象に残ります。また、迫力あるバンドサウンドも印象的。サウンド的にはローリングストーンズからの影響が顕著で、特に「あッ!!」のギターリフなどはまさにそのまんま。もっとも1972年といえば、ストーンズにとっては「メイン・ストリートのならず者」がリリースされた頃で、今から考えると、ようやくそのスタイルを確立させてきたころ。その頃に、ストーンズフォロワーとはいえ、ここまでの実力を感じさせるバンドが日本に居たということは驚きです。

なにより彼らのカッコよさを感じさせる大きな要素はそのリズム感の良さのように思います。ともすれば今ですらそう感じることが多いのですが、どうも日本人はリズム感が悪いようで、スクエアでグルーヴ感が皆無のリズムを奏でるロックバンドが今でも少なくありません。そんな中で彼らは、それこそストーンズに通じるようなブラックミュージックからの影響をしっかりと感じさせるグルーヴィーな演奏を聴かせてくれます。また、「水たまり」「機関車25」などブルースの影響をダイレクトに感じさせるギターを聴かせてくれたりして、こちらの演奏も見事。正直、メロディーラインにはちょっと和風というか歌謡曲的な部分も垣間見れるのですが、このリズムのカッコよさが彼らの大きな魅力になっているように感じます。

時代的にはちょうどこの年の2月にあさま山荘事件が発生するなど、学園紛争の余波が残る時代。オーディエンスには政治思想を持ったグループも詰めかけるなど、かなり物々しい雰囲気だったとか。今回のライブ盤ではそんな緊迫感も演奏を通じて感じることが出来ます。逆に、これだけ緊迫感のある演奏は、こんな会場の雰囲気を反映してのことだった、と言えるかもしれません。この緊張感あふれる雰囲気もこのライブ盤の大きな魅力に感じます。

また今回のアルバムには、当日の模様をおさめたDVDも収録。ただ、こちらはねじ巻き式の8mmフィルムで撮影されたため、断片的な映像。音も入っているのですが、こちらは撮影者監修の元で、後付けで音を重ねたもの。途切れ途切れの映像であり、鑑賞用というよりは、記録的な価値の強い映像となっています。ただ、この断片的な映像なのですが、そこからはしっかりと当日のアグレッシブな彼らのステージの魅力が伝わってきます。今の目から見ても、これよりかっこいい演奏を聴かせてくれるロックバンドは今の日本でどのくらいあるんだろう・・・と考えてしまうような、魅力的なステージでした。

こんなカッコいいバンドが、今から40年以上前に日本に存在していたということにあらためて驚かされるライブ盤。音的には非常に悪いため、聴きずらさを感じる部分も少なくありませんが、それを差し引いても「名盤」と言えるライブ盤だったと思います。時代の空気も感じられるロック好き必聴のアルバムです。

評価:★★★★★

村八分 過去の作品
ぶっつぶせ!!


ほかに聴いたアルバム

Mr.cook/東野純直

最近、ラーメン屋での修行を経て、独立。人気ラーメン店の店主として成功を収めたことも話題となった東野純直。ただ、音楽活動も継続しているようで、このたび8年ぶりとなるニューアルバムがリリース。彼はデビューアルバム以来、アルバムタイトルの頭文字がAからスタートし、アルファベット順に並んでいるのですが、本作ではついに「M」まで到達。「Mr.cook(=料理人)」というタイトルはまさに今の彼を表しているタイトルという訳でしょうか。

そんな久々となったニューアルバムですが、楽曲のスタイルとしては以前と全く変わりません。ピアノをバックに歌う爽やかなポップチューンの連続。本作では分厚いバンドサウンドでダイナミックに聴かせる曲も多く、スケール感を覚える曲も少なくありません。ここらへんの音の分厚さは90年代っぽい感じもするのですが、良くも悪くも安定感のあるポップソングが楽しめる1枚でした。

評価:★★★★

東野純直 他の作品
GOLDEN☆BEST 東野純直~アーリーシングルコレクション~
Loading Myself

THE WORLD/go!go!vanillas

最近、人気上昇中のロックバンド、go!go!vanillasのニューアルバム。彼らのアルバムは今回はじめて聴いたのですが、基本的にポップで軽快なギターロックをメインに、ガレージロックな作品があったり、サマーポップ風のさわやかなナンバーがあったり、カントリー風の曲があったりとバラエティー豊富。ひとつ核となるような曲が欲しいかも、という印象も受けるのですが、そのバリエーションの多さに最後まで飽きずに楽しめるアルバムになっていました。

評価:★★★★

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2019年6月 9日 (日)

アフリカン・アメリカンの「レガシー」をテーマに

Title:LEGACY!LEGACY!
Musician:Jamila Woods

前作でデビュー作であるアルバム「Heavn」が、各種メディアの年間アルバムランキングで上位にランクインし高い評価を得たシカゴのR&BシンガーJamila Woods。最近では話題のHIP HOPミュージシャン、Chance the Rapperの「Sunday Candy」に参加していることでも大きな注目を集めました。そんな彼女の約3年ぶりとなる2枚目のニューアルバムが本作。今回、彼女のアルバムをはじめて聴いたのですが、このデビュー作の高い評判に違わぬ傑作アルバムに仕上がっていました。

まず本作で印象的だったのは彼女の歌声。アルバムの1曲目を飾る「BETTY」は静かな雰囲気のトラックでしんみりと聴かせる楽曲になっていましたが、包み込むような雰囲気のボーカルが魅力的。ちょっとしゃがれた雰囲気の声も大きな魅力となっており、一言でいえばスモーキーという表現がピッタリ来るのでしょうか。ボーカリストとしての深みを感じるそのボーカルが大きな魅力になっていました。

また今回のアルバムは「LEGACY!LEGACY!」というタイトルが示すように彼女が今までの人生で影響を受けてきた芸術作品がテーマになっています。実際、特にアフリカン・アメリカンの芸術家の名前を冠した楽曲が並んでおり、「ZORA」は1920年代から40年代に活躍した作家、ゾラ・ニール・ハーストンの名前ですし、「MILES」はまさにジャズの巨人、MILES DAVISの名前。同じくジャズミュージシャンの「SUN RA」の名前を付けた曲もありますし、「MUDDY」なる曲はやはりMUDDY WATERSの名前を冠した曲ということでしょうか。アフリカン・アメリカンの偉大なる業績を伝えるテーマ性の強いアルバムになっています。

もっとも楽曲的にはそんな偉人たちの影響をそのまま受けた・・・というよりはしっかりとジャミーラの色と付けた、聴かせるメロウなソウルチューンが並びます。アルバムとしてはしっかりと歌を聴かせる楽曲が並んでおり、シンプルに彼女の歌声を聴かせる楽曲が耳を惹きました。

そんな中でも例えば「SONIA」ではラップを取り入れ、エレクトロなトラックの中には今風のリズムを入れてきていますし、「MILES」ではその名前の通りか、エレクトロジャズの要素も。また、「MUDDY」では力強いギターの音も取り入れたり、楽曲によりバラエティーを感じさせまず。全体的には彼女のスモーキーなボーカルを含め、昔ながらのソウルの要素を強く感じつつ、一方では強いリズムトラックが耳を惹く、比較的今風にアップデートされたサウンドが大きな魅力に感じました。

今回のアルバムがはじめて聴いた彼女のアルバムとなるのですが、その歌声とメロディーに強く惹かれる傑作アルバムだったと思います。まだ本作が2作目となるキャリア的にはまだまだのミュージシャンですが、ボーカルにはある種の貫禄すら感じますし、これからの活躍が非常に楽しみなミュージシャン。ソウルやR&Bが好きなら間違いなく要チェックの1枚です。

評価:★★★★★

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2019年6月 8日 (土)

シンプルなサウンドと歌が魅力的

Title:Spirit
Musician:Rhye

ロサンジェルスを拠点に活動する男性2人組デュオ、Rhye。デビュー作「Woman」で大きな注目を集め、昨年リリースした2枚目のアルバム「Blood」も傑作アルバムに仕上がっていました。そんな彼らが続いてリリースしたのは前8曲入りのEP。うち1曲はイントロ的、あと1曲インターリュード的なインストナンバーが入り、実質6曲入り27分という短い作品ですが、今回のアルバムも彼らの魅力がしっかりと詰まった傑作アルバムに仕上がっていました。

さて、ピアノの静かな音色に彼らの澄み通るボーカルを聴かせるイントロ曲「Dark」に続くのが事実上の1曲目であり、ミュージックビデオが先行配信された「Needed」なのですが、まずこれが実に美しい!彼らのウイスパー気味のハイトーンボイスに静かなピアノやストリングスが重なるサウンドがとにかく美しいのですが、さらに静かに聴かせるメロディーラインがとにかく切なく、胸に染み入ってくるような楽曲になっています。

さらに「Patience」ではアイスランドのミュージシャン、オーラヴァル・アルナルズが参加。本作もピアノの音色とボーカルがとにかく美しいナンバーなのですが、特に本作では楽曲全体に流れるピアノの調べが非常に瑞々しい美しさを感じさせます。そしてインスト曲を挟み、「Wicked Dream」はメロディアスな歌を聴かせる、この中では比較的テンポが速めのポップチューン。シンセも入り、ちょっと懐かしさも感じるAORのテイストの強いナンバーに仕上がっています。

後半も美しい楽曲が続きます。「Awake」はピアノとストリングスの音色のみで伸びやかに美しく聴かせるバラードナンバー。幻想的な雰囲気はこのアルバム随一な楽曲に仕上がっています。そしてラストを締めくくる「Save Me」は切なく歌い上げるボーカルが印象に残るのですが、ピアノの音色は意外と可愛らしく、比較的明るくポップにまとまった楽曲に。最後は爽やかな印象でアルバムは幕を閉じます。

全編、ピアノやストリングスが入り静かに美しく聴かせるサウンドと、澄み切ったボーカルが歌う切ないメロディーが魅力的な楽曲が並びます。エレクトロサウンドなども取り入れていた前作「Blood」と比べると、打ち込みは抑えめとなり、ピアノとストリングスのアコースティックな音が目立つ構成になっています。その結果、サウンド的には暖かみが増したという印象を受けるのですが、一方、そのサウンドに呼応するようにボーカルには前作よりも包容力を感じさせます。ただしその一方で、前作の魅力だったボーカルのエロティシズムは本作からは皆無。もっともその歌声は前作から大きくは変わっているわけではなく、サウンドとのバランスにより絶妙にスタイルを変えてくる、そのボーカリストとしての表現力に舌を巻く内容になっていました。

楽曲的には決して今風といった感じではなく、シンプルなサウンドにあくまでも歌を聴かせる、いい意味でシンプルな、ある種の普遍性を感じさせるポップスが魅力的。特に今回の作品ではアコースティックなアレンジもあり、そのシンプルさがより前に出てきたように感じます。とにかく終始、その美しい歌声に聴きほれる傑作アルバム。シンプルなゆえに、その歌の魅力がより際立ったアルバムでした。

評価:★★★★★

Rhye 過去の作品
Blood


ほかに聴いたアルバム

Purse/Elvis Costello&The Imposters

4月13日のレコードデイ限定でリリースされたエルヴィス・コステロの4曲入りEP。その後、ストリーミングでも配信を開始し、そちらで聴くことが出来ました。全4曲入りの内容はコステロがボブ・ディラン、バート・バカラック、ジョニー・キャッシュ、ポール・マッカートニーという錚々たる面子とコラボした楽曲が収録された作品。どれもミディアムテンポで聴かせる曲が多く、いい意味で安定感を覚える楽曲に。正直言うと派手さはないのですが、安心して聴くことが出来る良質なポップスが4曲並ぶ作品になっていました。

評価:★★★★

Elvis Costello 過去の作品
Momofuku(Elvis Costello&the Imposters)
Secret,Profane&Sugarcane
National Ransom
Wise Up Ghost(Elvis Costello&The Roots)
LOOK UP(Elvis Costello&the Imposters)

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2019年6月 7日 (金)

雅楽を取り入れた独特なアンビエント

Title:Anoyo
Musician:Tim Hecker

カナダ人のアンビエントミュージシャン、Tim Heckerの最新作。非常に高い評価を得た前作「Konoyo」は日本を代表する民間雅楽団体である東京楽所と共に、東京練馬の観蔵院というお寺で録音された音源を使用し、雅楽とアンビエントを融合させた独特のサウンドを展開。各種メディア等において高い評価を得た傑作アルバムでした。タイトルの「Konoyo」も日本語の「この世」から取られたように、日本とつながりの深いアルバムになっていました。

それに続く新作「Anoyo」も前作で使用した東京楽所の演奏の音源を使用したアルバム。「Anoyo」ももちろん日本語の「あの世」から取られており、いわば前作とは姉妹盤とも言えるアルバムになっています。また、そのため今回のアルバムも非常に日本とつながりの深いアルバムに仕上がっていました。

今回は全6曲入りのアルバムになっていたのですが、特にサウンドについては前作以上に雅楽の音を深く取り入れた作品に仕上がっていたように感じます。アルバムの冒頭「That World」は最初、琴の音から静かにスタート。その琴の音を奏でられた一番最初に、わずかに小鳥の声も入っており、まさに日本の自然の中で奏でられた、優雅な雰囲気を感じさせるはじまりとなっています。

続く「Is but a simulated blur」も笙と太鼓の音からスタート。この雅楽の音にエレクトロサウンドが重なり、中盤からダイナミックなサウンドに展開されます。笙と太鼓の音は終始鳴り響いているのですが、このダイナミズムさは雅楽のイメージからすると少々異なる雰囲気となっているのがおもしろいところ。雅楽の音は取り込みつつも、日本人が思い描く神聖なイメージとはちょっと異なった音作りをしている点が非常にユニークに感じさせます。

そしてそんな中でも特に雅楽器を前に押し出したのが5曲目の「Not alone」でしょう。静かな琴の音をバックに力強い太鼓のリズムが全編で展開されるナンバー。静かなアンビエント調のエレクトロサウンドと動的な太鼓のリズムの対比が見事な作品になっており、雅楽というよりはむしろ和太鼓の印象を強く抱く楽曲なのですが、そのダイナミックな演奏が強く印象づけられる作品になっています。

さて、雅楽の要素を前作以上に押し出されたアルバムになっていた本作ですが、ただおもしろいのが雅楽器を前に押し出しておきながら、一般的に日本人が想像するような雅楽的な雰囲気とはちょっと異なる感触となっていた点でした。特に前述の「Not alone」などダイナミックな太鼓を聴かせる部分などは優雅さがイメージされる雅楽とは真逆の雰囲気。こういう雅楽器の使い方は、ある意味日本人ではおそらく思いつかないようなサウンドだったのではないでしょうか。

かといって逆に外国人が日本といって想像するような、いかにも陳腐な日本イメージとも無縁。そういう意味では「日本」というイメージから作品を作り上げたというよりも、純粋に雅楽器の音色に惹かれた結果、制作された作品といったイメージが強く、雅楽器をそのままTim Hekerのアンビエントの世界に取り入れたアルバムになっていたように感じました。

ただとはいっても日本人にとってはどこか馴染みやすさを感じるアンビエントのアルバム。日本では前作同様、残念ながらさほど大きく取り上げられていないように感じますが、日本人なら是非聴いておいてほしいアルバムだと思います。アンビエントなサウンドもとても心地よい傑作アルバムでした。

評価:★★★★★

Tim Hecker 過去の作品
Konoyo

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2019年6月 6日 (木)

今週も新譜は多め

今週のHot Albums

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ここ2週、新譜ラッシュが続いていましたが、今週もベスト10のうち7枚までが新譜という新譜ラッシュとなっています。

まず上位にはアラフォー世代以上から絶大な支持を得ているベテランミュージシャンがズラリと並んでいます。まず1位初登場は今年デビュー31年目を迎えるB'zのニューアルバム「NEW LOVE」がランクイン。今回はエアロスミスのジョー・ペリーが参加するなど豪華なゲストも話題に。CD販売数及びPCによるCD読取数で1位を獲得し、総合順位でも1位に。オリコン週間アルバムランキングでも初動売上20万6千枚で1位獲得。前作「DINASOUR」の20万1千枚(1位)から若干のランクアップとなりました。

2位初登場は椎名林檎「三毒史」。こちらもデビューから21年目を迎え、ベテランの域に達している女性シンガーのオリジナルとしては約4年半ぶりとなるアルバム。CD販売数2位、PCによるCD読取数4位、ダウンロード数では見事1位を獲得。ただ1位のB'zはダウンロード販売は行われていないようですが。オリコンでは初動売上5万7千枚でこちらも2位初登場。直近のセルフカバーアルバム「逆輸入~航空局~」の4万8千枚(3位)や、オリジナルアルバムとしての前作「日出処」の4万2千枚(3位)よりもアップ。同作はストリーミングでも配信されており、かつ初回盤に特にDVDなどがついてくるわけでもない販売形態の中で、ここに来て初動売上アップは正直、ちょっと驚きです。

3位には布袋寅泰「GUITARHYTHM VI」がランクイン。こちらは上位の2組よりもさらに上の世代。本作は「GUITARHYTHM」シリーズとしては実に10年ぶりとなるアルバムで、さらに同作収録曲の「Thanks a Lot」ではBOOWY時代の盟友、松井常松と高橋まことが参加したということでも大きな話題となりました。CD販売数3位、ダウンロード数5位、PCによるCD読取数33位を記録。オリコンでは初動売上2万1千枚で3位初登場。前作「Paradox」の1万2千枚(7位)からアップしています。

続いて4位以下の初登場盤です。まず4位には韓国の女性アイドルグループRed Velvet「SAPPY」がランクイン。CD販売数で4位。ただし、ダウンロード数は61位、PCによるCD読取数は86位に留まっています。オリコンでは初動売上1万4千枚で4位初登場。日本デビュー作だった前作「#Cookie Jar」の2万6千枚(3位)からは大きくダウンとなりました。

5位にはZORN「LOVE」が初登場。般若主宰の昭和レコード所属の男性ラッパーによる新作。CD販売数は25位に留まりましたが、ダウンロード数が見事2位にランクインし、総合順位でベスト10入りしてきました。オリコンでは初動売上1千枚で28位初登場。前作「柴又日記」の1千枚(40位)から若干のアップ(1.4千枚→1.7千枚)。

6位にはレゲエグループ湘南乃風のメンバー、HAN-KUNの初のカバーアルバム「Musical Ambassador」がランクイン。CD販売数5位、ダウンロード数4位、PCによるCD読取数63位。レゲエの過去の名曲を・・・と言いたいところなのですが、これがベタベタな90年代のヒット曲がメインとなるカバー。現在、40歳の彼ですが、同年代として非常にわかりやすい選曲となっています。オリコンでは初動売上7千枚で5位初登場。前作「VOICE MAGICIAN V~DEEP IMPACT~」の4千枚(19位)からアップ。

初登場組最後は9位にSIRUP「FEEL GOOD」がランクイン。CD販売数及びダウンロード数6位、PCによるCD販売数65位。シンガーソングライターKYOtaroによるニュープロジェクトでR&Bやソウル、HIP HOPをベースとした楽曲を聴かせてくれるミュージシャンです。オリコンでは初動売上4千枚で7位初登場。

一方、ロングヒット組もがんばっています。まずback number「MAGIC」は今週8位に。残念ながら先週の2位から大きくダウンとなりましたが、新譜ラッシュの中、CD販売数は先週の13位から11位にアップ。PCによるCD読取数はワンランクダウンながらも2位をキープとまだまだがんばっています。またあいみょん「瞬間的シックスセンス」も5位から10位にダウンしたものの今週もベスト10入り。こちらもダウンロード数9位、PCによるCD読取数3位とそれぞれ先週からワンランクダウンながらもまだまだロングヒットを続けています。

今週のHot Albumsは以上。チャート評はまた来週の水曜日に。

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2019年6月 5日 (水)

上位はアイドル系がランクイン

今週のHot100

http://www.billboard-japan.com/chart_insight/

ジャニーズ系の1位獲得が続いていましたが、今週は一転、AKB系が1位獲得となりました。

今週1位を獲得したのは乃木坂46「Sing Out!」。先週、先行配信で9位に初登場していましたが、CDリリースに合わせてランクアップし、1位獲得となりました。CD販売数、PCによるCD読取数及びTwitterつぶやき数1位、ダウンロード数7位、ストリーミング数14位、ラジオオンエア数14位、You Tube再生回数81位。比較的万遍なくランクインしていますが、それでもCD販売が先行するCDをアイテム的に購入するアイドル系特有のチャート傾向になっています。オリコン週間シングルランキングでは初動売上100万4千枚で1位初登場。前作「帰り道は遠回りしたくなる」の106万2千枚(1位)よりダウンしています。

2位には韓国の男性アイドルグループSEVENTEEN「Happy Ending」がランクイン。CD販売数及びPCによるCD読取数で2位、Twitterつぶやき数で7位を獲得した一方、ダウンロード数は41位、ストリーミング数は47位に留まっています。オリコンでは初動25万4千枚で2位初登場。いままでアルバムでのリリースはありましたが、シングルではこれがデビュー作となります。

3位初登場は名古屋を中心に活動を続ける男性アイドルグループBOYS AND MEN「頭の中のフィルム」。CD販売数3位、Twitterつぶやき数19位のほかはすべてランク圏外という典型的なCDをアイテム的に購入する固定ファンのみに訴求しているヒット形態になっています。オリコンでは初動売上9万1千枚で3位初登場。前作「炎・天下奪取」の11万5千枚(2位)よりダウンしています。

続いて4位以下の初登場曲です。まず6位に新しい地図 join ミュージック「星のファンファーレ」がランクイン。言うまでもなく元SMAPの香取慎吾、草彅剛、稲垣吾郎によるユニットの新曲。スマホ用ゲーム「星のドラゴンクエスト」応援歌。SEKAI NO OWARIのNakajinが作詞作曲を手掛ける、セカオワの雰囲気を彷彿とさせるちょっとファンタジックな雰囲気の明るいポップチューン。配信オンリーでのリリースでダウンロード数2位、Twitterつぶやき数3位、ラジオオンエア数23位を記録。楽曲も豪華な作家陣を起用して出来がよく、またタイアップも大型タイアップなのにテレビはほとんど無視という異様な状態が続いています。

さらに9位には米津玄師「海の幽霊」がランクイン。映画「海獣の子供」主題歌。ラジオオンエア数5位、Twitterつぶやき数2位、You Tube再生回数では1位にランクイン。6月3日の配信開始を前にして見事ベスト10ヒットを記録しています。ボーカルにエフェクトをかけ、どこか祝祭色も感じるスケール感あるナンバーに。これもロングヒットを記録するか?ちなみに米津玄師の「Lemon」は5位から7位にダウン。ただダウンロード数は5位から4位に、PCによるCD読取数も4位から3位にアップしており、まだまだ根強い人気は続いています。

最後10位に女性ボーカルグループLittle Glee Monster「君に届くまで」が先週の97位からCD販売にあわせて大きくランクアップ。日テレ系アニメ「MIX」エンディングテーマ。CD販売数は4位、ラジオオンエア数は9位でしたが、ダウンロード数18位、PCによるCD読取数56位、Twitterつぶやき数46位と落ち込み、総合順位ではこの位置に。オリコンでは初動3万枚で4位初登場。

続いてロングヒット系ではあいみょん「マリーゴールド」が4位から5位にワンランクダウン。ストリーミング数は残念ながら今週も2位でしたが、ダウンロード数6位、You Tube再生回数及びカラオケ歌唱回数では2位を獲得するなど、こちらもまだまだロングヒットは続きそう。一方、King Gnu「白日」は残念ながら11位にダウン。ベスト10ヒットは6週連続、通算12週でひとまずは幕を下ろしています。ただ、ストリーミング数は今週も3位と上位をキープしており、まだまだ今後のベスト10返り咲きの可能性も高そうです。

今週のHot100は以上。明日はHot Albums!

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2019年6月 4日 (火)

今でも魅力的な幻の名盤

Title:You're The Man
Musician:Marvin Gaye

主に60年代から70年代にかけてモータウンに所属し、数多くのヒット曲を世に送り出したソウルシンガー、マーヴィン・ゲイ。特に1971年にリリースされたアルバム「What's Going On」はその社会的なメッセージ性を含む歌詞を含めて、ソウルというジャンルを越えて音楽史上に残る名盤の誉れ高い1枚として知られています。本作はもともと、その「What's Going On」に続きリリースの予定されていたアルバム。ただ、先行シングルであったタイトルチューン「You're The Man」がビルボードのソウルチャートでは上位を記録したものの、ポップチャートで伸び悩んだためアルバムのリリースが中止となったそうで、いわば「幻のアルバム」と言える作品。今回、マーヴィンの生誕80年、モータウンの設立60周年を記念し、その「幻のアルバム」がリリースされる運びとなりました。

ただし、「幻のアルバム」といってもその収録予定曲はいままでいろいろな形で世に出ており、今回、未発表ミックスは何曲か収録されていますが、純粋な形での新曲はありません。もっとも、発表されたアルバムはボックス盤の中の1曲だったりして、熱心なファン以外にとってはやはり耳なじみのない曲が多く、また、彼が意図した形でのアルバムでのリリースはやはり非常に意義深いアルバムだと言えるでしょう。

さて、そんな曰く付きのアルバムですが、既に40年以上前のアルバムにも関わらず、今聴いても全く時代を感じさせない名曲が並んでおり、マーヴィンの魅力にあらためて強く惹かれる傑作に仕上がっていました。アルバムは先行シングルでもあるタイトルチューンの「You're The Man」からスタートするのですが、彼がハイトーンボイスで伸びやかに聴かせる中、パーカッションとギターで奏でるリズムが非常にグルーヴィーで心地よく、これがなんでポップスチャートでヒットしなかったか、今の感覚で聴くと不思議になってきます。

その後もピアノやストリングスを入れつつ、その透き通ったボイスでメロウに聴かせる楽曲が並びます。ソウルをベースにAORテイストの強い「Piece Of Clay」「Where Are We Going?」では心に染み入るような優しい歌声を聴かせてくれたかと思えば、「Try It,You'll Like It」ではソウルフルなボーカルでパワフルに歌い上げるなど、緩急つけたそのボーカルが実に魅力的。「I'd Give My Life For You」などジャジーなサウンドで感情たっぷりにムーディーに歌い上げる楽曲もあったり、ソウルにジャズ、ファンク的な要素を加えメロウに歌い上げるそのスタイルは、現在のネオソウルに続くスタイルも彷彿とさせます。

特に中盤の「My Last Chance」は彼の優しいハイトーンボイスの歌声とメロウなメロディーラインが胸をかきむしられるほど魅力的に心に響いてくる名曲。様々な音楽性を取り入れたそのスタイルももちろん、その歌声、美しいメロディーラインには普遍的な魅力を感じさせ、今でも全く古さを感じさせない理由はそのような普遍性を本作が強く持っているからではないでしょうか。

また本作は歌詞も大きな特徴となっており、前半は社会派のメッセージ性の強い歌詞、後半はラブソングが並ぶ構成になっています。特に前半、タイトルチューン「You're The Man」ではアメリカの現状を嘆いた上にそんな時代を代えたいのなら投票に行くべきと歌う楽曲。さらに続く「The World Is Rated X」は今の世界のひどさを嘆いた上で、こんなひどい世界は子どもに見せられない、18禁にすべきだ、と歌う、ある意味皮肉たっぷりのユーモアを感じさせる歌詞が魅力的。全体的には「愛と平和」を歌う・・・と書くとちょっと陳腐に感じるかもしれませんが、そのメッセージは(残念ながら)今でも強く響いてくる内容になっています。

マーヴィン・ゲイといえば前述したアルバム「What's Going On」ももちろん、1973年にリリースされた「Let Get It On」も名盤の誉れ高く、それだけ脂ののっていた時期ということでしょう。そんな中で企画・制作された本作が悪い訳がありまえん。逆にこれだけの出来にも関わらず、リリースされなかったというのが今となっては不思議で仕方ないのですが。マーヴィンの新たな名盤が登場、そう言っても全く過言ではない傑作アルバムでした。

評価:★★★★★


ほかに聴いたアルバム

Live Through the Years/Billy Joel

Billy Joelの最新作は配信限定リリースのライブ盤。以前に映像作品のみリリースされた公演のライヴ音源や「The Stranger: 30th Anniversary Legacy Edition」のiTunesおよびBest Buyエディションにのみ収録されていたライヴ音源なども収録した内容になっています。年代的に1977年のライブ音源から2006年の音源まで時代順に並んでおり、初々しさも感じさせる1977年の録音に対して、時代を経るにつれボーカルがよりパワフルに、より貫録がついてくるのがよくわかる内容になっています。もちろん、どの時代の音源もメロディアスでポップな彼の楽曲の魅力は健在。ベスト盤的にも楽しめるライブ盤になっていました。余談ですが、15曲目、1994年のドイツでのライブ音源「My Life」に、なぜか日本語で「バカヤロー」と叫んでいるように聴こえる部分があるのですが、なぜ日本語??それとも単なる「空耳」???謎です・・・。

評価:★★★★★

BILLY JOEL 過去の作品
LIVE AT SHEA STADIUM
She's Always a Woman to Me:Lovesongs
A Matter of Trust: TheBridge to Russia

The Balance/Catfish and the Bottlemen

イギリスはウェールズで結成された4人組インディーバンド。いまどき珍しいギミック抜きのストレートなロックバンド。適度にヘヴィーでダイナミックなバンドサウンドを聴かせつつ、疾走感あるオルタナ系の色合いの強いロックチューンも聴かせたりして、ロックリスナーにとっては素直に心地よいギターサウンドを聴かせてくれます。そんなバンドが前作「The Ride」では全英チャート1位を獲得し、本作も2位を獲得とブレイクしているあたり、まだまだロックの人気は根強いな、とも感じさせます。

ただ全体的に骨太のサウンドは最初は非常に心地よさを感じる反面、最後まで聴くと、若干胸やけしてしまうような感覚も。泥臭いサウンドは魅力的ではあるのですが、良くも悪くもひねりのないロックになっており、そういう意味ではちょっと保守的な印象も強く受けるアルバムでした。

評価:★★★★

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2019年6月 3日 (月)

圧巻な音世界は健在

Title:weak
Musician:WRENCH

今回紹介するバンドについては、個人的にはまずは懐かしい名前だな、という感覚が先に立ちます。1994年にインディーズでセルフタイトルのミニアルバム「WRENCH」でデビュー。デビュー当初はラウドロックの流れに乗り、大きな話題を集め、1998年と2000年のAIR JAMにも出演するなどして一気に注目を集めました。その後もフジロックやサマソニに出演するなど大きな注目を集めたものの、メンバーの脱退などもあり徐々に名前を聞く機会が減ってきました。

そんな中、久々にその名前を聴いたのがこのニューアルバム。なんと前作から11年ぶりとなる新作だそうで、まだまだ彼らはその活動を続けていたと久しぶりに知ることが出来てちょっとうれしくなりました。そしてそんな久々となる新作なのですが、かつてライブを中心に多くの音楽リスナーを魅了したWRENCHがいまなお健在であるということを実感させられるアルバムに仕上がっていました。

さてWRENCHというとハードコアの文脈でデビューしてきたバンドでしたが、デビュー当初からエレクトロサウンドやダブ、サイケロックなどの要素を取り入れてきており、ともすれば「暴れること」一辺倒になりがちなシーンの中においてある種のクレバーさを感じさせるバンドでした。そんな方向性は本作でも健在。まず1曲目「KIRAWAREMONO」では強いドラミングにリバーブのかかったダビーなボーカルが乗り、さらには分厚いバンドサウンドがこれにからむサイケな要素の強いナンバー。続く「NOCHINOI」もまずエレクトロビートからスタートし、そこに迫力あるバンドサウンドがのっかかる疾走感ある楽曲に仕上がっています。

とにかく向こうから激しい音が攻めてくるような楽曲はその後も続きます。「Nothing」はへヴィーなギターリフがからむ、よりメタリックな要素の強い楽曲。さらに「New World」でもヘヴィーなギターに力強いドラムでこれでもかというほどハードなサウンドを展開。ここらへんは彼らのハードコアな側面がより前に押し出されたナンバーになっています。

後半も「ヘルノポリス」でエレクトロサウンドに疾走感あるバンドサウンドをからませたサウンドを聴かせたかと思えば、続く「公然スペース罪」では凶器とも思えるエレクトロノイズが耳に襲い掛かります。さらに続く「tORA」もノイズミュージック的な要素の強いナンバーに、そして「Sound Wave」ではドラマの音声をサンプリングした出だしから不気味なノイズが展開される楽曲に。この終盤はノイジーなサウンドに圧巻される楽曲展開となっています。

そしてラストの「Future Now?」はリズミカルなトラックにシンセも取り入れた分厚いバンドサウンド。リズミカルなラップも加わりこのアルバムの集大成ともいえるサイケロックで締めくくられます。全10曲55分。その音の世界に終始圧倒させられるアルバムになっていました。

最初にも書いた通り、もともとエレクトロやサイケなどの要素を加えたバンドでしたが、久々となるアルバムではその方向性がよりクリアになり、そしてその方向にさらに突き進んだアルバムになっていたと思います。そのため、最初から最後まである種の迷いのないフルスロットルなサウンドで終始圧巻。また、以前のアルバムではある種のマッチョイムズ的な要素を強く感じられ、それが個人的にはマイナス要素だったのですが、今回のアルバムではそのような要素をあまり感じませんでした。

デビューから25年が経つ、まさにベテランバンドの彼ら。ただ残念ながらその長い活動に反してここ最近、あまり話題にのぼることが少ないように思います。しかし、今回のアルバムを聴く限りでは、彼らの実力は以前と比べて全く衰えていません。今回、この紹介文で彼らのことをはじめて知った方にも是非とも聴いてほしい1枚。その音の世界に圧倒されてください。

評価:★★★★★


ほかに聴いたアルバム

REIWA/清竜人

ミュージカル色の強いステージで観客の度肝を抜いたかと思えば、いきなりアイドルグループ清竜人25を結成。その後はライブの参加者全員がメンバーというTOWNというプロジェクトを実施するなど、次々とその活動のスタイルを変化させるシンガーソングライター清竜人。次の一手はどう来るかな?と思ったら、なんと正統派歌謡曲路線に挑戦。それも令和最初の日にリリースされた本作に「REIWA」と名付けるなど、時代を意識したような作品に仕上がっています。

そんな彼の「歌謡曲」なのですが、「天才」という評判も高い彼だけにそのメロディーラインは文句なしなものの、楽曲全体の出来としては残念ながらいまひとつ。ひとつの原因が彼の声で、その声質も歌い方もちょっと歌謡曲にマッチしていないように感じます。歌詞も「歌謡曲らしい」フレーズを使っているのですが、いまひとつパンチ不足。歌謡曲として一番重要な「インパクト」に欠けていたように感じました。

もちろん最低限のレベルには到達しており悪いアルバムではないのですが、ちょっと合わなかったかな。評価は彼のその挑戦心を加味して下の評価に。さて、彼の次の一手は何だ?

評価:★★★★

清竜人 過去の作品
WORLD
MUSIC
WORK
BEST
WIFE(清竜人25)
TOWN(清竜人TOWN)

ANTI/HYDE

L'Arc~en~Cielのボーカル、HYDEによるソロアルバム。全英語詞でハードコアや疾走感あるグランジ系のギターロックの要素を取り入れたサウンドは洋楽的指向が強い反面、耽美的なボーカルやヘヴィーな曲でもサビになるといきなりポップになるメロディーラインは完全にJ-POP。サウンド的にもメロディー的にも良くも悪くもベタな感じはするのですが、そこらへんは洋楽的な部分とJ-POP的な部分をよくバランスを保ちつつ展開している印象。方向性はONE OK ROCKと似ている印象も受けるのですが、洋楽方面に走りすぎて最新アルバムでは底の浅さが露呈してしまったONE OK ROCKと比べると、しっかりと自分の立ち位置を認識している部分、さすがラルクとして長い間、音楽シーンのトップを走り続けてきただけはあるな、と感じるアルバムでした。

評価:★★★★

HYDE 過去の作品
HYDE

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2019年6月 2日 (日)

はっぴいえんどフォロワーながらもサウンドに独特な個性が

Title:STORY
Musician:never young beach

これがメジャー2作目、インディーズも含めると4作目となる5人組ロックバンド、never young beachの最新作。もともとは「名前程度は聞いたことがある」程度の印象のバンドだったのですが、先日、CDショップのお勧めとして並んでいたのを試聴してみてよさげだったのでアルバムをはじめて聴いてみた次第。これが予想以上に良い作品になっており、一気に気になるバンドとなりました。

個人的に当初このバンドに食指が伸びなかった理由として、なんとなくの偏見なのですが、昨今よくありがちな「フェス」仕様のロックバンドだと誤解していたから。しかし、実際に聴いてみるとこれが予想外だったのですが、よくありがちなパンク風のポップロックバンド、ではなく、まさかのはっぴいえんど直系のフォークロックバンドだったから正直ちょっとビックリしてしまいました。

まずアルバムの冒頭を飾る「Let's do fun」からしてスティールパンを取り入れたトロピカルなサウンドはもろ細野晴臣。続くタイトル曲「STORY」の郷愁感を覚えるメロディーラインといい、「歩いてみたら」の和風な雰囲気を感じる暖かみあるメロといい、完全にはっぴいえんど近辺からの影響を強く感じさせます。

その影響はメロディーのみならず、例えば「春を待って」だとか「春らんまん」だとかタイトルからしてはっぴいえんどの色合いを強く感じますし、その「春らんまん」や「歩いてみたら」で感じられる叙情的な歌詞の世界観もはっぴいえんどからの影響を強く感じさせます。

・・・なんてことを書いていると全体的に単なるはっぴいえんどのフォロワーで終わってしまいそうな感もありますが、ただその一方で彼らが非常にユニークなのはサウンド的にはっぴいえんどという範疇に留まらず、しっかりと現代の音を入れてきている点だったと思います。サウンド的にもアコースティックなサウンドがベースとなるフォーキーな色合いを強く感じさせますが、一方で音数はそぎ落とし、エッジを利かせた音作りが大きな特徴。特に空間を聴かせるようなサウンドとなっており、タイトでスタイリッシュな作風を感じさせます。

さらには例えば「春を待って」などではファンキーで少々アフロポップからの影響すら垣間見れるサウンドになっていたり、「思うまま」もベースラインのサウンドにファンキーさを感じさると同時にミニマルミュージックからの影響すら感じさせたりとなにげに音楽的な幅の広さを感じさせます。そんな作風はどこかポストパンクの影響すら感じさせるものであり、個人的にはVampire Weekendあたりに通じるものすら感じたりもして・・・。このポストパンク的なサウンドと叙情的かつ和風なフォーキーな作風の融合というのが非常にユニークかつ彼らの大きな魅力に感じました。

正直言うと、歌詞にしろメロにしろ、ちょっと未熟さを感じる部分もあり、さらなる成長を期待したい点も少なくはありません。ただそういう点を差し引いても現状、既に独特な個性を持っており、非常のおもしろいアルバムに仕上がっていたと思います。逆に未熟さに感じられた点は今後の伸びしろとしてバンドの行く末が楽しみにすらなってきます。間違いなく、注目すべき期待の新人バンドです。

評価:★★★★★


ほかに聴いたアルバム

ジャズ/ドレスコーズ

純然たるオリジナルアルバムは「平凡」以来約2年ぶりとなるドレスコーズの新作。前作「平凡」が傑作だっただけに最新作も期待したのですが・・・ちょっと期待はずれだったかなぁ。基本的にいままでの彼らしい、自由度の高く、ポップな要素を詰め込んだようなアルバムになっているのですが、どうも全体的にはいろいろと詰め込みすぎでゴチャゴチャした印象が否めません。もうちょっと方向性を明確にして交通整理が行われれば、前作のような傑作になりえたような感じもするのですが。悪いアルバムではないのですが、やりたいことが多すぎて、ちょっと暴走気味に感じました。

評価:★★★★

ドレスコーズ 過去の作品
the dresscodes
バンド・デ・シネ
Hippies.E.P.

オーディション
平凡

CIRCUS CIRCUS/ゆるふわギャング&Ryan Hemsworth

実生活でも恋人同士のラッパー、Ryugo IshidaとNENEと、プロデューサーAutomaticによるユニット、ゆるふわギャングがカナダのプロデューサーRyan Hemsworthと組んでリリースされた配信限定のアルバム。ゆるふわギャングといえば酩酊感たっぷりのトラップのサウンドに日常生活を綴ったラップが魅力的なのですが、今回のアルバムは残念ながらトラップの要素は薄く、酩酊感もあまり感じません。リリックもこれといってピンとくるようなものはなく、全体的にはゆるふわギャングの良さがいまひとつ出ていないように感じたアルバム。「Mars Ice House」「Mars Ice House II」と傑作が続いていただけにちょっと残念でした。

評価:★★★

ゆるふわギャング 過去の作品
Mars Ice House
Mars Ice House II

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2019年6月 1日 (土)

洗練されたフォークロックが魅力

Title:U.F.O.F.
Musician:Big Thief

アメリカはニューヨーク、ブルックリンを拠点としている4人組インディーロックバンドBig Thief。ソロでも大きな評価を受けている女性シンガーソングライター、エイドリアン・レンカーを中心としたバンドで、2016年にリリースしたデビューアルバム「Masterpiece」が文字通りの傑作アルバムとして大きな評価を受け、一躍注目を集めたバンド。本作ではインディーレーベルの名門4ADに移籍。満を持しての2ndアルバムとなりました。

そんな注目のバンド、Big Thiefは、「大泥棒」という名前とは裏腹に全編メロディアスに聴かせるフォークロックのバンド。アコースティックギターを中心としたシンプルなサウンドが持ち味で、エイドリアン・レンカーのウィスパー気味の透き通るようなボーカルを聴かせるメロディアスで静かな歌が持ち味のバンドとなっています。

切なさを感じる美しいメロディーラインが魅力的で、タイトル曲である「U.F.O.F.」は澄みきった歌声を美しいアコギのアルペジオをバックに聴かせる、どこか切なさを感じさせる楽曲になっていますし、「Open Desert」などもギターを入れてちょっとドリーミーなアレンジになっていながらも静かに聴かせるフォーキーなメロが大きな魅力に。また個人的に一番気に入ったのが「Terminal Paradise」で、エイドリアンのウィスパーボイスに重なる男性のコーラスのバランスが絶妙。時折、こぶしを利かせたような歌い方を入れ、力強さも感じさせます。

インディーロックバンドらしいギミック的なものはほとんどなく、アルバムは終始、アコースティックでフォーキーなサウンドと美しいメロディーラインで構成された歌モノのポップスが続きます。あえていうのならば1曲目「Contact」の終盤にノイジーなギターが入ってくる点と終盤の「Jenni」がへヴィーでノイジーなギターが流れるダウナーなロックに仕上がっている点くらい。ここらへんもアルバムの中ではちょうどよいインパクトとなっていました。

アメリカのこの手のバンドとしてありがちなカントリーの色合いはほとんどなし。また、それと同時にアメリカのバンドにありがちな泥臭さもほとんどなく、ジャケット写真から想像できるようなヒッピー的な雰囲気もほとんどありません。いい意味で爽やかさを感じる垢抜けたメロディーラインが大きな特徴で、ブルックリン出身らしい都会のバンドっぽい洗練さを感じさせます。田舎の空気を感じさせるバンドももちろん魅力的なのですが、そういうバンドはいかにもアメリカらしさが良くも悪くも特徴的。それに比べて彼らのサウンドは洗練されているがゆえに日本人にとってもすんなりとなじみやすい作品になっていたように感じます。

今回のアルバムも既に高い評価を得ているようですが、日本ではまだまだ知名度も低い彼ら。ただ、インディーロック好きなら文句なしにはまりそうなアルバムですし、これから注目度もどんどん増していきそう。基本的に楽曲はシンプルな歌モノがメインなだけに小難しさはありませんし、広い層にアピールできるアルバムだと思います。ポップス好きなら要注目の1枚です。

評価:★★★★★

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