これ・・・アルバムタイトル?
Title:労働なんかしないで 光合成だけで生きたい
Musician:スガシカオ
ある意味そのタイトルだけでいままでにないインパクトを与えるスガシカオのニューアルバム。タイトル自体にはかなり個人的にも共感できる部分はあるのですが、なぜアルバムタイトルとしてこれを持ってくる??(笑)ちなみにタイトルチューンである「労働なんかしないで 光合成だけで生きたい」は1曲目に収録。ただ歌詞は「働いたら負け」的なニートの思想を体現化したものではなく、都会の中で孤独をかかえた人の描写。ただ、軽快なギターリフとファンキーなホーンセッションが入ったリズミカルなファンクチューンとなっており、暗さよりもどこかユニークさを感じる曲になっています。
ちなみに今回のアルバム、ほかにも「あんなこと、男の人みんなしたりするの?」だったり「おれだってギター1本抱えて 田舎から上京したかった」だったり、なぜか妙に長いタイトルの曲が並ぶアルバムになっています。ただ、どの曲も必ずしもコミカルなナンバーではなく、都会に生きる人の心境をしっかりと描写した真面目な楽曲になっています。
さてオフィスオーガスタを離れ、SPEEDSTAR RECORDSと契約してリリースされた第1弾アルバムである前作「THE LAST」は初期のスガシカオを彷彿とさせるようなファンク色の強いアルバムに仕上がっており、スガシカオがより自由に楽曲を制作したんだな、ということを感じさせる傑作アルバムに仕上がっていました。そして前作から約3年3ヶ月ぶりとなる本作も、前作から引き続き、彼がやりたいことをやったような自由度の高いアルバムに仕上がっていました。
とにかくファンクの要素の強い作風で、前述のタイトルチューン「労働なんかしないで 光合成だけで生きたい」も「あんなこと、男の人みんなしたりするの?」も非常に黒いファンクチューン。後半の「マッシュポテト&ハッシュポテト」もアップテンポでダンサナブルな正統派ファンクチューンに仕上がっており、ワクワク踊りだしたくなるようなリズムを聴かせてくれています。
さらに「おれだってギター1本抱えて 田舎から上京したかった」もグルーヴィーなギターサウンドが心地よいチューンですし、ラップでRHYMESTERが参加した「ドキュメント2019」はスガシカオ流のファンキーディスコチューンに。前作から続いてファンクなスガシカオという側面をより強く押し出されたアルバムになっています。ひょっとしたら妙に長い楽曲タイトルも彼の本来の趣味で、レコード会社を移籍してより自由に活動できるようになったからこそ、楽曲に長いタイトルがつけられるようになった・・・・・・・のかも?
ちなみにそんなファンクチューンの混じるように収録されている聴かせるポップチューンも非常に良質。中盤の「スターマイン」もしっかりと聴かせるナンバーになっていますし、ラストを締めくくる「深夜、国道沿いにて」も、途中ちょっとどぎつい描写も出てくるのですが、郷愁感あるメロと歌詞が胸をうつナンバーになっています。
そんな訳でファンキーで黒いスガシカオをきちんと聴かせつつ、しっかりとメロディアスでポップに聴かせるスガシカオもしっかりと収録されている、前作に続く傑作アルバムになっていました。全編書下ろしのアルバムでシングル曲がなく、インパクトがちょっと薄い面もあるのですが、それを差し引いてもスガシカオの良さがしっかりと発揮されたアルバムになっていました。新たなレコード会社となって、いままで以上に勢いが出てきた感のある彼。これからの活動も楽しみです。
評価:★★★★★
スガシカオ 過去の作品
ALL LIVE BEST
FUNKAHOLiC
FUNKASTiC
SugarlessII
BEST HIT!! SUGA SHIKAO-1997~2002-
BEST HIT!! SUGA SHIKAO-2003~2011-
THE LAST
THE BEST-1997~2011-
フリー・ソウル・スガシカオ
ほかに聴いたアルバム
TETSUYA KOMURO ARCHIVES EX
昨年、週刊誌の不倫報道をきっかけに音楽活動を引退した小室哲哉。昨年はそんな彼の作品を網羅したベスト盤「TETSUYA KOMURO ARCHIVES」がリリースされましたが、本作は配信限定でリリースされた、「ARCHIVES」シリーズでは収録できなかった曲を収録したアルバム。ミリオンセールスを記録したH Jungle with tの「GOING GOING HOME」のような曲もあるのですが、trfのブレイク前のデビュー曲「GOING 2 DANCE」やglobeの非売品シングル「winter comes around again」、さらにはあの大魔神佐々木主浩が歌った珍曲(?)「break new ground」など知る人ぞ知る的な曲がメイン。もちろんどの曲も小室哲哉らしい曲が並んでいるのですが、彼がいろいろなミュージシャンに幅広く楽曲を提供していたことをうかがわせる選曲になっています。ただ一方で小室系がブレイクする前にも多くのミュージシャンに曲を提供していた彼。今回の作品では2000年代以降の曲がメインになっており、80年代や90年代前半の曲も正直、もっと収録してほしかったなぁ、という不満も感じてしまったアルバムでした。
評価:★★★★
TETSUYA KOMURO ARCHIVES "T"
TETSUYA KOMURO ARCHIVES "K"
SUKIMASWITCH 15th Anniversary Special at YOKOHAMA ARENA ~Reversible~/スキマスイッチ
すっかり恒例のライブツアー毎にリリースされるスキマスイッチのライブアルバム。今回は昨年11月10日、11日に行われた横浜アリーナでのライブを収録したアルバム。~Reversible~というタイトル通り、2日目のステージは1日目の曲順を全く逆にして披露したという構成になっていたそうです。このライブ盤では2日目の模様を収録。そのため「~Reversible~」の効果は味わえませんが、ほぼ「ベスト盤」とも言える選曲になっており、またアリーナでのライブにあわせてよりスケール感あるアレンジで楽しめるライブ盤に。そういう意味ではいままでのライブ盤に比べると、よりライブらしいアレンジを楽しみつつ、ベストな選曲のため聴きやすい選曲のアルバムになっていました。
評価:★★★★
スキマスイッチ 過去の作品
ARENA TOUR'07 "W-ARENA"
ナユタとフカシギ
TOUR2010 "LAGRANGIAN POINT"
musium
DOUBLES BEST
TOUR 2012 "musium"
POP MAN'S WORLD~All Time Best 2003-2013~
スキマスイッチ TOUR 2012-2013"DOUBLES ALL JAPAN"
スキマスイッチ 10th Anniversary Arena Tour 2013“POPMAN'S WORLD"
スキマスイッチ 10th Anniversary“Symphonic Sound of SukimaSwitch"
スキマスイッチ
TOUR 2015 "SUKIMASWITCH" SPECIAL
POPMAN'S ANOTHER WORLD
スキマスイッチTOUR2016"POPMAN'S CARNIVAL"
re:Action
新空間アルゴリズム
スキマノハナタバ~Love Song Selection~
SUKIMASWITCH TOUR 2018"ALGOrhythm"
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