アラフォー世代感涙のアニメ映画サントラ盤
2月に公開され話題となった映画、「劇場版シティーハンター 新宿プライベイト・アイズ」。私もアラフォー世代として中学生の頃、「シティーハンター」には夢中になったたちでしたので、ちょっと前、3月くらいの話になるのですが、この映画を見に行きました。その感想も簡単に後で書くとして・・・その映画に関連して2枚、アルバムがリリースされていますので今回はそのアルバムの紹介です。
Title:劇場版シティーハンター <新宿プライベート・アイズ> -VOCAL COLLECTION-
まずは映画の中で使われたボーカル曲をまとめたコンピレーションアルバム。映画ではかつてのテレビアニメで使われたオープニングテーマ、エンディングテーマがそのまま使われており、評判となりました。このコンピレーションアルバムはそんな懐かしいテレビアニメのOP/EDテーマをまとめたアルバムなのですが・・・シティーハンターのアニメOP/EDといえば名曲揃いでアニメをかつて見ていた私にとっても懐かしいセレクション。まさに感涙モノのセレクションアルバムとなっています。
「シティーハンター」のエンディングテーマとしてなんといっても忘れてはいけないのが「Get Wild」でしょう。TM NETWORKのブレイク曲にもなった曲なのですが、アニメの中での使い方も実に秀逸。アニメのラストシーンに重なるように「Get Wild」の最初のピアノの音がスタート。そしてそのままエンディングに突入するというスタイルは今聴いても鳥肌モノ。アニメの世界観と楽曲がピッタリとマッチしており、おそらく、アニメのエンディングとしては強いインパクトを受けたアラフォー世代は少なくないでしょう。
また、「シティーハンター」のエンディングテーマとして使われたのは主にエピックソニー(当時)からCDをリリースしていた新進気鋭のミュージシャンたち。当時のエピックソニーといえば、若者世代に圧倒的な支持を得ていた時代の先端を行くようなミュージシャンを多く抱えていたレーベル。さらに今と違い、当時はアニメ主題歌といえば一般的にはアニメ向けにカスタマイズされたキッズソングが流れるというイメージが強かった時代。そんな時代にポップスシーンの先端を行くミュージシャンたちの曲がアニメのOP/EDとして流れるというのは非常に衝撃的でした。いまはアニメの主題歌にJ-POPのミュージシャンたちが使われるのは普通になりましたが、そんな走りとも言えるのが「シティーハンター」でした。
そしてそんな時代の先端を行っていた曲の数々は、(思い出補正も入っているかもしれませんが)今聴いても全く遜色ありません。疾走感あるニューウェイブのサウンドにCHAKAのハイトーンのボーカルも心地よいPSY・S「ANGEL NIGHT~天使がいる場所~」に、ファンキーなポップスが今聴いても文句なしにカッコいい岡村靖幸の「SUPER GIRL」、個人的にはTMの曲の中で「Get Wild」より好きな「STILL LOVE HER」はキネメロと小室サウンドが上手く融合された切ないメロがたまりませんし、小比類巻かほるの「City Hunter~愛よ消えないで~」も彼女の力強い歌声が印象に残るAORナンバーに仕上がっています。
一方、今回のコンピレーションには当時の挿入歌もおさめられているのですが、こちらはその当時の時代性をそのまま反映されたニューウェーヴ風のポップスで、チープなサウンドも含めて今聴くとちょっと辛い感じも。良くも悪くも80年代をそのままパッケージしてきたような内容になっています。そういう意味ではOP/EDテーマ曲との差がちょっと激しかったような感じがします。
「シティーハンター」を知らない世代にまでお勧めできるかどうかは微妙なのですが・・・アラフォー世代なら間違いなくはまる感涙モノの1枚。映画でもこれらの曲が上手く使われていましたが、このアルバムを聴いて、また懐かしさがこみあげてきました。
評価:★★★★★
で、こちらは映画のバックミュージックが収録されたサントラ盤。
Title:劇場版シティーハンター <新宿プライベート・アイズ> -ORIGINAL SOUNDTRACK-
映画でも印象的だった、カッコイイラップからスタートしつつ、ラストは「シティーハンター」でおなじみの「モッコリ」をカッコよく言って終わるというコミカルな「Mr.Cool」や、今回、ゲスト的に出演したCAT'S EYEの登場シーンで流れた「CAT'S EYE」なども収録されています。
内容的には映画のワンシーンを彷彿させる曲が多いのですが、ただ全体的には印象が薄い感じ。というか、どちらかというと必要以上にインパクトを持たせないで、映画の中にうまく溶け込ませているといった印象を受ける楽曲ばかりで、サントラ盤としてアルバムで聴くとどうしても物足りなさを感じてしまうのですが、映画の中で使われる分にはむしろ非常によく出来た楽曲ばかりだったとも思います。
そんな訳で、こちらは映画を見た方、それもかなり熱心なファン向けの1枚といった感じ。良くも悪くもサントラらしいサントラ盤といった印象を受けた1枚でした。
評価:★★★
で、せっかくなので以下、映画についての感想も・・・
そんな訳で先日・・・といっても3月上旬なのですが・・・見てきた「劇場版シティーハンター<新宿プライベイト・アイズ>」の感想です。
この映画、一言で言えば、「ファンがシティーハンターに求めているものを求めていたとおりに見せてくれた映画」だったと思います。映画を見た後にWeb上の感想などを見て回ったのですが、その中で「ラーメン屋へ行ってラーメンを注文したらちゃんとラーメンが出てきた」という感想を見たのですが、まさに言い得て妙。その通りだな、と膝を打ちました。
過去の名作のリメイクって、実はこの「求めているものを求めていたとおりに見せる」ということがなかなかできていないんですよね。周りのしがらみが関係してくるのか、複雑な権利関係の影響か、それとも監督のムダなエゴのせいなのか、理由はいろいろでしょうが、例えばオリジナル作品とは全く異なる声優が参加したり、オリジナルの雰囲気をぶちこわすようなキャラクターを入れてきたり、主題歌もオリジナルとは全くそぐわない最新のJ-POPが起用されたり・・・とオリジナルのファンにとっては納得いかない内容になるケースが少なくありません。
しかし今回の「シティーハンター」に関しては、まさにファンが求めるとおりの展開。メインキャストはいままで通りですし、ゲストキャラクターも原作でもよく出てくるような美女の依頼人。悪者が出てきて、新宿を舞台としたクライマックスがあり、その中で獠と香の絆を感じさせるシーンがあり、その2人は実は両想いなんだけど、ということをほのめかしつつ、ラストは変わらない関係で続いていくという展開。ファンにとってはある意味ベタベタな展開なのですが、安心して見ていられる、そして見終わった後、ああ、やはりシティーハンターはいいなぁ、と心から思うことが出来る映画でした。
映画の感想などを見ていると、ストーリーの陳腐さを指摘するレビューコメントも少なくありません。確かにストーリー的にはご都合主義的な部分も多く、獠に目立ったピンチが訪れるわけではなく比較的あっさりと終わります。ただオリジナルの方も「シティーハンター」って決して「手に汗握るストーリー」だとか「意外性ある物語展開」だとかではなく、どちらかというとスナイパーとして圧倒的な腕前を持つ冴羽獠が一方的に敵をやっつけるという展開が多く、そういう意味ではこの「ご都合主義」的な展開も、ある意味オリジナル通りだったような感じはします。
ただ一方、ちょっと残念だったのがおなじみ「もっこり」のギャグがちょっとくどい部分があった点と、あと彼の盟友の海坊主が、ちょっとコメディーリリーフに偏りすぎだったように思う点でしょうか。とはいえ、上にも書いた通りに、概ね満足度の高い映画で、最後ももちろん「Get Wild」で締めくくり。さらにその後「STILL LOVE HER」も流れてくるあたり、個人的にはグッと来てしまいました。さすがに当初公開日から3ヶ月が経過し、いまだに上映している映画館はほとんどなくなってしまったのですが、おそらく近いうちにテレビでも放映されると思われる本作。かつて「シティーハンター」に一度でもはまったことあるアラフォー世代なら間違いなく気になる作品だと思います。要チェックです!
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コメント
「CITY HUNTER」ご覧になったんですね。
いい映画でしたよ。
投稿: ひかりびっと | 2019年5月16日 (木) 18時50分