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2019年5月

2019年5月31日 (金)

感慨も深い30周年のベスト盤

Title:カーネーション
Musician:辛島美登里

1990年にシングル「サイレント・イヴ」が大ヒットを記録し、一躍人気シンガーの仲間入りを果たした女性シンガーソングライター、辛島先生のデビュー30周年を記念してリリースされたベストアルバム。ちなみにこの「デビュー30周年」というのは1989年にリリースされた「時間旅行」から起算されたもので、実はこの前に何枚かシングルをリリースしており、厳密なデビュー作は1984年の「雨の日」というシングルだそうです。ただ、本格的な歌手活動のスタートという意味で公式的には「時間旅行」が「デビュー作」と謳われているようです。

しかし彼女ももうデビューから30周年かぁ・・・と個人的には感慨深いものがあります。私的な話となりますが、高校時代の友人に辛島美登里の熱烈なファンだった奴がおり、彼につれられて彼女のライブ(正式にはラジオの公開収録)に足を運んだことがあるのが今となってはいい思い出。また、自分にとっても1991年にリリースされた彼女のアルバム「GREEN」は、私がポピュラーミュージックを聴き始めた直後に聴いたアルバムの1枚という意味でも印象深い作品。そういう意味でも自分にとって中高生の頃の思い出が強いシンガーのひとりであって、そんな彼女がもうデビュー30周年という事実に時の流れを感じてしまいます。

もっとも最近は彼女の活動もスローペース。20周年の時もベスト盤「オールタイム・ベスト」をリリースしており、その後にリリースされたアルバムは3枚のみ。さらにその3枚のうち2枚までがカバーアルバムであって、そういう意味では「ベスト盤出しすぎじゃない?」という印象も受けてしまいます。

ただ、その10年前にリリースした「オールタイム・ベスト」は全17曲入りでCD1枚のみという彼女のキャリアを考えればかなり凝縮した構成。本作も同じくCD1枚に17曲のみ収録という凝縮した内容になっており、そのため、前作とはかぶらない曲が多く、「オールタイム・ベスト」を聴いていたとしても今回のアルバムも十分楽しめる構成になっていました。今回のアルバムでも彼女のヒット曲「サイレント・イヴ」「あなたは知らない」「愛すること」などはきちんと押さえられているのですが、「サイレント・イヴ」は今回のアルバムのための再録。「あなたは知らない」は2014年にリリースされたアルバム「colorful」で再録されたバージョンとなっています。「サイレント・イヴ」はここ最近、毎作にように再録がアルバムに収録されており、そろそろ「サイレント・イヴ」のバージョン違いだけを収録したアルバムが1枚出来ちゃうんじゃないか、と思っちゃうんですが(苦笑)。

その他もブレイク前の1990年にリリースしたシングル「ツバメ」やデビュー前に永井真理子に楽曲提供し、彼女が注目されるきっかけとなった曲のセルフカバー「瞳・元気~都会のひまわり~」、シングル「愛すること」のカップリングで知る人ぞ知る的な名曲「明日へのターン」など、前作に収録されていない注目曲も数多く収録されており、そういう意味ではファンにとってもうれしい1枚となっています。

そしてその肝心な内容の方ですが、こちらは言うまでもありません。まさに辛島「先生」という愛称の通りの恋愛に対する大人のレッスンが受けられるような女性心理をしっかりと読み込みつつ、女性に対しての後押しになるような前向きなラブソングの連続。特に彼女の楽曲のスタイルは、デビュー前に楽曲提供された「瞳・元気」から既に確立されており、あらためて彼女の実力を感じさせます。ここ最近は残念ながらあまりヒット曲もなく(というよりも楽曲自体あまりリリースされておらず)、おそらく若い方にとっては辛島先生の名前を知らない方も多いかと思いますが、そんな方にこそ是非とも聴いてほしい名曲が詰まったベスト盤になっています。

ちなみに今回、ラストにアルバムのタイトルチューンでもある新曲「カーネーション」が収録。伸びやかに聴かせるAORに仕上がっているのですが、その歌詞もメロディーも全盛期に比べて全く衰えておらず、ボーカルも今でも澄んだボーカルが魅力的。また積極的に音楽活動を開始すれば、以前のようなヒット曲がリリースできるのでは?と思うほどの出来栄えとなっています。

そんな訳で初心者の方でも文句なく薦められるベストアルバム。ただ一方、そろそろオリジナルアルバムも聴きたいなぁ、とも思えてしまいます。特に新曲が魅力的だっただけに、こんな曲をまたたくさん聴きたい!まだまだこれからのご活躍も期待しています!

評価:★★★★★

辛島美登里 過去の作品
オールタイムベスト
辛島美登里 パーフェクトベスト
colorful
Cashmere


ほかに聴いたアルバム

東京スカパラダイスオーケストラトリビュート集 楽園十三景

スカパラのデビュー30周年を記念してリリースされた、13人のミュージシャンたちがスカパラの曲をカバーしたトリビュートアルバム。うーん、正直言うと、まあ無難なカバーではあるのですが、スカパラの曲をうわべだけでとりあえずカバーしてみましたといった感じの内容がほとんど。まさかのインストカバーに仕上げた氣志團の「砂の丘~Shadow on the Hill~」は良かったのですが、それ以外はいまひとつ、スカパラをトリビュートしているとは感じられない、平凡なカバーの曲が並んでいました。

評価:★★★

Chime/sumika

ストリングスやピアノを取り入れた爽快なポップチューンが魅力的なロックバンド、sumikaの最新作。底抜けに明るいポップチューンが大きな魅力で、楽曲によってはちょっと星野源っぽいかも?と思わせる部分も。メロディーのインパクトも増してきて、人気が高まるとともに脂ものってきているように感じます。ただ一方、悪い意味でルーツレスなJ-POPバンドらしい音楽的な底の浅さもちらほら。ニューオリンズ風の曲なんかもあって彼らの進みたいベクトルはわかるのですが、ソウルやブルースなどの要素が皆無のため楽曲としてどうも薄っぺらさも感じてしまいます。そこらへんは開き直ってメロディーラインの圧倒的なインパクトで突き進むという手もあるのですが、そのほどのグッドメロディーを書けているかというとそれは微妙といった感じ。今後の成長次第といった感じはするのですが・・・。

評価:★★★★

sumika 過去の作品
Familia

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2019年5月30日 (木)

今週も新譜ラッシュ

今週のHot Albums

http://www.billboard-japan.com/chart_insight/

今週も先週から引き続き、ベスト10のうち7枚までが初登場という新譜ラッシュとなりました。

まず今週の1位ですが、BALLISTIK BOYZ from EXILE TRIBE「BALLISTIK BOYZ」が初登場でランクイン。ミュージシャン名義通り、EXILEの弟分の新ユニットによるデビューアルバム。ダウンロード数は10位、PCによるCD読取数は74位に留まりましたが、CD販売数で1位を獲得し、総合順位でも見事1位に輝きました。オリコン週間アルバムランキングでも初動売上2万6千枚で1位獲得。大物がいない週で初動売上は低めですが、とはいえデビューアルバムで見事1位獲得となりました。

2位にはback number「MAGIC」が先週の5位からアップし、2週ぶりのベスト3返り咲き。CD販売数は13位に留まっていますが、ダウンロード数は先週の8位から3位にアップ。PCによるCD読取数は先週に引き続き1位を獲得し、総合順位でも2位獲得となりました。

3位は・・・これはちょっと驚きました。女王蜂「+」がランクイン。女王蜂は妖艶な雰囲気を漂わせるメンバーが特徴的なロックバンド。CD販売数4位、ダウンロード数2位、PCによるCD読取数49位で総合順位で見事ベスト3入りを果たしています。オリコンでも初動売上6千枚で5位初登場。シングルアルバム通じて初のベスト10ヒットを記録しています。前作「Q」の4千枚(12位)からアップしています。

続いて4位以下の初登場盤です。4位には男性アイドルグループCOLOR CREATIONのデビューアルバム「FIRST PALETTE」がランクイン。CD販売数は2位を記録していますが、ダウンロード数及びPCによるCD読取数は圏外となり、総合順位はこの位置に留まっています。オリコンでは初動売上1万1千枚で2位初登場。

6位にはかつてロックバンドPOLICEとしての活躍でも知られるイングランド出身のシンガーソングライターSTING「MY SONGS」が初登場。そのPOLICE時代やソロとなってからのヒット曲をセルフカバーしたアルバムで、そのため多くのリスナーにとって聴きやすいアルバムになっています。CD販売数5位、ダウンロード数6位、PCによるCD読取数78位を記録。ちなみにオリコンでも初動売上6千枚で4位初登場。前作「57th&9th」の7千枚(11位)よりダウン。

8位にはいわゆるボカロPとしての活躍でも知られるDECO*27「アンドロイドガール」が初登場。PCによるCD読取数7位、ダウンロード数14位、PCによるCD読取数73位を記録。オリコンでは初動売上5千枚で8位初登場。これが初のベスト10ヒット。前作「GHOST」の3千枚(22位)からもアップしています。

さらに9位には田村ゆかり「Strawberry candle」がランクイン。90年代後半から活躍を続ける女性声優としてはベテランとなる人気声優。本作は自身のプライベートレーベル「Cana aria」から発表された2枚目となるミニアルバム。CD販売数3位、PCによるCD読取数34位。オリコンでは初動8千枚で3位初登場。前作「Princess Limited」の1万1千枚(6位)からはダウンしています。

初登場組最後は10位、澤野弘之「プロメアORIGINAL SOUNDTRACK」が初登場。劇場版アニメ「プロメア」のサントラ。CD販売数は44位と低調ながら、ダウンロード数は見事1位を獲得し、総合順位ではベスト10入り。ダウンロード数に比べてCDの販売が芳しくないのですが、なぜなのでしょうか?オリコンでは初動売上1千枚で39位に留まっています。

一方、そんな新譜ラッシュの中でもロングヒット盤が。あいみょん「瞬間的シックスセンス」が先週11位から5位にランクアップ。2週ぶりのベスト10返り咲きを果たしています。CD販売数は19位でしたが、ダウンロード数は8位、PCによるCD読取数は2位を記録しており、まだまだロングヒットは続きそうです。

今週のHot Albumsは以上。チャート評はまた来週の水曜日に!

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2019年5月29日 (水)

ジャニーズ系が1位獲得

今週のHot100

http://www.billboard-japan.com/chart_insight/

先週発生した元KAT-TUN田口淳之介逮捕のニュースといい、ジャニーズ系がらみの悪いニュースが続いています。先日もHey!Say!JUMPのライブツアーが一部のファンのマナーの悪さから中止に追い込まれるという前代未聞の事態が発生し、悪い意味で大きな話題となりました。

そんな中で1位を獲得したのがその話題のHey!Say!JUMPによる新曲「Lucky-Unlucky」が獲得。日テレ系ドラマ「頭に来てもアホとは戦うな!」主題歌。CD販売数及びPCによるCD読取数1位、Twitterつぶやき数18位を獲得。まあ、アホと戦わざるを得なかった結果が今回のライブツアー中止ということなのでしょうが、ただ熱烈なファンは昔から存在していたはずなのに、なぜここに来て、これほどマナーの悪いファンが目立つようになったのか若干疑問に感じます。これは根拠のない個人的な全くの仮説なのですが、ひょっとしたら例のAKB商法などでファンとの距離を縮めて売上を伸ばそうというアイドルの登場により、ジャニーズ系のファンもアイドルとの距離が縮められると勘違いする人が増えたのではないでしょうか。もっともジャニーズ系に関してはAKB商法は取り入れていませんし、以前とファンへのスタンスは変わっていませんので、もしそうだとしたら、とんだとばっちりといった感じなのですが。オリコン週間シングルランキングでは初動売上19万9千枚で1位獲得。前作「COSMIC☆HUMAN」の22万1千枚(1位)からダウンしています。

2位はOfficial髭男dism「Pretender」が先週からワンランクアップで最高位を更新。CD販売数は29位までダウンしましたが、ダウンロード数及びラジオオンエア数が2位、そして、長らくあいみょんが1位を獲得し続けていたストリーミング数で、今週ついに1位を獲得。ほか、PCによるCD読取数及びYou Tube再生回数で5位にランクインしておりロングヒットを予感させるチャート傾向になっています。

3位は先週2位の菅田将暉「まちがいさがし」がワンランクダウンでこの位置。ただし、ダウンロード数は先週から変わらず1位をキープしており、こちらもロングヒットの兆しが。

続いて4位以下の初登場曲ですが、今週の初登場曲は1曲のみ。9位に乃木坂46「Sing Out!」がランクイン。5月29日にリリースされたシングルからの先行配信によるランクイン。ダウンロード数及びTwitterつぶやき数で3位、ストリーミング数35位、ラジオオンエア数56位、You Tube再生回数68位を記録しています。

またベスト10返り咲き曲も1曲。10位に欅坂46「黒い羊」が33位からランクアップ。握手会用のCDの販売分が集計された影響でしょうか。ただ、先日、暴行被害にあったNGT48の山口真帆の卒業公演でこの歌が歌われたということで話題になりました。今回のランクアップはこちらの影響もあるかもしれません。

続いてロングヒット曲ですが、まずはあいみょん「マリーゴールド」。今週は先週と変わらず4位をキープ。You Tube再生回数も先週に引き続き1位を獲得しました。ただ、前述のとおり、ストリーミング数1位を今週Official髭男dismに明け渡し、ついに連続1位獲得記録は20週で終止符を打ちました。とはいえ今週もストリーミング数は2位をキープ。まだまだ強さを見せています。また「ハレノヒ」も先週と変わらず7位をキープ。本作も8週連続のベスト10ヒットとなり、2作同時にロングヒットを続けています。

米津玄師「Lemon」は今週、6位から再び5位にランクアップ。ダウンロード数は7位から5位に、PCによるCD読取数は5位から4位にそれぞれアップ。You Tube再生回数3位、カラオケ歌唱回数は1位を今週もキープしています。

Kinu Gnu「白日」は逆に5位から6位にダウン。ただダウンロード数は12位から8位にアップ。ストリーミング数3位、You Tube再生回数4位は先週から変わらず。こちらもまだまだ強さを感じさせます。

今週のHot100は以上。明日はHot Albums!

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2019年5月28日 (火)

ちょっと雰囲気の異なる久しぶりの新譜

Title:Father of the Bride
Musician:Vampire Weekend

2008年にリリースされたデビュー作「Vampire Weekend」が大きな注目を集め、新進気鋭のインディーロックバンドとして話題を集めたVampire Weekend。その後、2010年にリリースされた2ndアルバム「Contra」はなんとビルボードチャートで1位を獲得。インディーズという枠組みを超えた人気を獲得しています。2016年にはキーボードのロンタム・バトマングリが脱退し、3人組となってしまいましたが、約6年ぶりの新作となった本作もビルボードチャートで1位を記録。これで3作連続1位を獲得し、その人気のほどを見せつけました。

ただ、久しぶりとなった今回のアルバムは、これまでのアルバムとは少々異なる雰囲気になっており、戸惑いも覚えました。具体的に言うと、いままでのタイトなアフロビートのリズムは後ろに下がり、メロディーラインを前に押し出した歌モノがメインになっており、良くも悪くもあか抜けたという印象を強く抱きました。

まずアルバムの1曲目「Hold You Now」からいきなりアコギを使ってフォーキーな作風に。ガールズロックバンドHAIMのダニエル・ハイムをゲストボーカルに迎えた爽やかさも感じるポップスに、いつもとは異なる作風を感じます。

続く「Harmony Hall」「Bambina」、先行シングルともなった「This Life」はシンプルでアフロ風のビートが楽しめる、比較的以前の彼らのイメージを引き継ぐようなポップスになっていたのですが、ポップなメロディーを前に押し出した歌モノの要素が強くなっています。もちろん彼らはいままでの作品もメロディーのポップさが大きな魅力だったのですが、メロディーラインは良くも悪くもあか抜けた印象を受けるインパクトあるものとなっていました。

特に後半は新たな要素を加えたようなポップが並びます。例えば「Rich Man」もタイトなリズムが流れつつも、優雅な雰囲気のストリングスが流れるポップに。同じくダニエル・ハイムを迎えた「Married in a Gold Rush」も男女デュオによる爽快なポップチューンになっていますし、さらに「My Mistake」に至ってはピアノが流れるジャジーなポップスになっており、いままでの彼らのイメージとは大きく異なる作風に驚かされます。

その後もラテンな要素を取り入れた「Sympathy」やAORな色合いを感じる「Sunflower」など新たな作風の曲が目立ちます。今回のアルバムは58分弱という長さながらも18曲入りという、1曲あたりが2、3分程度の短めの曲が並ぶなのですが、それだけに後半はいろいろなタイプの曲が次々と展開されるような構成になっていました。

正直言うと、本作の評価については難しいなぁ・・・というのが感想。いままでのタイトはアフロポップという方向性が薄くなってしまい、彼らの持ち味がちょっと薄れてしまった反面、新たなスタイルを提示できたかというとちょっと微妙な部分もあります。ただ一方、後半にみられる新たな挑戦は彼らの新たな可能性を示唆していますし、またいままでのアルバムでも感じることが出来た魅力的なポップなメロは健在。また、アフロっぽいリズムもそれなりに残ってはいないし、シンプルなサウンドという方向性は今回も変わりありません。

個人的には残念ながらいままで3枚のアルバムに比べると劣ってしまうかなぁ、とも思うのですが、それでも魅力的なポップである点は変わらないため下の評価で。次回作がどのような方向になるのかは気にかかるところなのですが・・・新たな一歩に踏み出した彼らのこれからも注目したいところです。

評価:★★★★★

VAMPIRE WEEKEND 過去の作品
VAMPIRE WEEKEND
CONTRA
Modern Vampire Of The City
This Life/Unbearably White


ほかに聴いたアルバム

Hurts 2B Human/P!NK

アメリカをはじめ全世界で絶大な人気を誇る女性シンガーソングライターP!NKの2年ぶりとなる新作。このアルバムも当然のように全米でチャート1位を獲得し、その人気のほどを見せつけています。基本的にR&Bをベースとしているのですが、男女デゥオでしんみり聴かせるバラードがあったり、エレクトロサウンドでリズミカルなダンスポップがあったり、レトロ調のポップがあったりとバリエーション豊富。インパクトあるポップチューンが並んでおり、彼女がこれだけ売れるのも十分理解できます。また、インパクトあるポップをごった煮的なジャンルで聴かせるというのは、ある種の「J-POP的」とすら言えるのかも・・・??

評価:★★★★

P!NK 過去の作品
FUNHOUSE
BEAUTIFUL TRAUMA

Free Spirit/Khalid

昨年のグラミー賞では最優秀新人賞含む5部門にノミネートされた期待の男性R&Bシンガー、カリードによる2枚目のアルバム。ただ楽曲的には比較的オーソドックスなR&Bという印象で、AORに近い作風もチラホラ。彼の写真を見ると、比較的ふくよかな感じなのですが、な~んとなく槇原敬之に似ている印象が・・・というか、楽曲もジャンル的にはちょっと違えど、シンプルに歌を聴かせるという点ではマッキーに近いタイプのような印象を受けました。日本でも今後、もっと売れそうな予感もするシンガーです。

評価:★★★★

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2019年5月27日 (月)

oasisの曲もたっぷりと!

NOEL GALLAGHER'S HIGH FLYING BIRDS JAPAN TOUR 2019

会場 愛知県芸術劇場大ホール 日時 2019年5月16日(木)19:00~

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 仕事の都合で少々忙しい時期が続いたので2ヶ月ぶりとなったライブ。今回足を運んだのは、ご存じ元oasisのお兄ちゃんことノエル・ギャラガーのソロプロジェクト、NOEL GALLAGHER'S HIGH FLYING BIRDSのライブ。oasisのライブには何度か足を運んだことがありますし、弟がかつて結成していたBEADY EYESのライブも一度サマソニで見たことがあるのですが、お兄ちゃんのソロは今回はじめて。oasis時代の名曲も数多く披露してくれるということも聴いていたので、楽しみにして足を運びました。

今回の席は3階バルコニー席の一番前。比較的ステージから近い位置で、かつ立っても座って見てもステージが完全に見えるという良席。この日はそのため曲によって座ったり立ったりしながら、自分のペースでステージを楽しんでいました。

この日は外タレのライブとしては珍しく、19時ピッタリにライブがスタート。会場が暗くなってメンバーが入場し、おもむろに最新アルバム「Who Built The Moon」の1曲目「Fort Knox」、さらには同じく2曲目の「Holy Mountain」へと続きます。この1曲目から2曲目への展開で会場の空気は一気にハイテンションに。まさにライブ向けとも言える構成になっており、どうしてもoasis時代の曲に注目があつまりがちなノエルのステージですが、この「Holy Mountain」で感じられるアゲアゲなテンションはoasis時代の曲に勝るとも劣らない魅力を感じられます。

特にこの前半、「Keep On Reaching」「It's a Beautiuful World」「She Taught Me How To Fly」と序盤は「Who Built The Moon」の曲順そのままの展開。お兄ちゃんのソングライターとしての魅力を存分に感じられ、テンションもどんどんあがっていきます。そこから最新曲「Black Star Dancing」は四つ打ちのリズムが特徴的なダンスチューン。エレクトロな原曲と比べてライブではバンドサウンドが軸となるため、よりタイトなサウンドになっているのが印象的ですが、まさにここまでノエルのソロ曲が決してoasis時代に負けていないと強く感じられる曲が並んでいました。

とはいってもやはりうれしいのはoasis時代の曲のカバー。まずは「Talk Tonight」「The Importance of Being Idle」「Little by Little」となかなか渋いセレクトのカバーが並びます。懐かしさを感じつつ、リアムボーカルの曲でもしっかりとノエルの曲になっているのも印象的でした。

その後は再び「Dead In The Water」をアコースティックギターで聴かせたり、「Everybody's On The Run」「Lock All The Doors」などといったノエルソロ曲が並びます。「If I Had A Gun...」の後に短いMCもあったのですが、ここでは先日、プレミアリーグで優勝をしたノエルが大ファンのマンチェスター・シティーのユニフォームを着た客がシティーの応援歌を歌い、ノエルがうれしそうな顔を見せるようなシーンもあったりしました(笑)。

後半はノエルのソロ曲「In The Heat Of The Moment」で盛り上げた後は再びoasis曲のコーナーへ。「The Masterplan」に続いては、大名曲「Wonderwall」が登場。これには観客席からも大きな歓声があがりました。そして本編ラストもoasisの「Stop Crying Your Heart Out」で締めくくり。ラストはoasisの曲の連続で盛り上げつつ、一度ステージは幕を下ろします。

もちろんその後はアンコールへ。比較的早くメンバーがステージに戻ってきて、再びライブがスタート。まずはノエルソロ曲「AKA...What A Life!」から。アップテンポで盛り上がるナンバーで再び会場を暖め、そしてoasis曲の「Half The World Away」へ。アコギメインの軽快なナンバーを聴かせたかと思えば、そしてお待ちかね「Don't Look Back In Anger」へ!個人的にもこの日一番聴きたかったナンバーなので、かなりテンションがあがります。サビは彼が歌わず、観客全員で合唱。もちろん私も思いっきり歌いました。さすが2番もサビの部分を観客に歌わせたので、サビは全部観客に歌わせて楽する気か?(笑)と思ったのですが、さすがに3番以降はノエル自身でしっかりと歌ってくれました。

そして本編ラストはThe Beatlesのカバー「All You Need Is Love」。アレンジを含めて原曲に忠実なカバーで、原曲同様のハッピーな雰囲気で約1時間40分のステージは幕を下ろしました。

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さて、はじめて足を運んだノエルソロのライブ。予想はしていたことなのですが、oasis時代の楽曲も多く歌ってくれて、懐かしく感じると同時に非常にうれしく感じました。ただ一方、ノエルソロの曲もあらためて聴いてみるとoasis曲に負けない魅力をしっかりと備えた曲が多く、彼のメロディーメイカーとしての実力を再認識するとともに、ソロ曲の魅力も再認識できました。

また今回取り上げたoasis時代の曲も、「Wonderwall」や「Don't Look Back In Anger」のような有名曲もある一方、比較的知る人ぞ知る的な曲も多く、曲の人気関係なく、本当に彼が気に入っている曲を選んでいるんだなぁ、というこだわりも感じることが出来ました。

1時間40分という長さは正直、ちょっと短くてあっという間のライブだったのですが、ただ名曲の連続のステージで満足度の高いライブでした。また、彼のステージを是非とも見てみたいです!

ちなみに5月29日がお兄ちゃんの誕生日ということもあって、右のような写真をプリントしたタペストリーにメッセージの寄せ書きが出来るコーナーがあり、多くのファンが誕生日のメッセージを寄せていました。

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2019年5月26日 (日)

日本をテーマに

Title:246911
Musician:SPIN MASTER A-1&Shing02

ラッパーのShing02が、彼のツアーDJを務めたこともあるDJ、SPIN MASTER A-1と組んでリリースしたニューアルバム。今回のアルバムはShing02にとって2008年にリリースした「歪曲」以来の日本語詞によるアルバムとなります。今回のアルバム、タイトルとなる「246911」はおそらく日本人なら誰もが知っている小の月の語呂合わせ「西向く侍」から取られたもの。Shing02は現在、アメリカ在住なのですが、そんな彼だからこそ「日本人らしさとは何か」ということをよく感じるそうで、今回のアルバムはそんな「和」をテーマとしたアルバムになっていました。

そのため、今回のアルバムで大きな特徴となっているのはトラックに和楽器を多く取り入れている点。1曲目「Mirage/蜃気楼」からまずは美しい琴の音と太鼓のリズムを取り入れたサウンドで楽曲はスタートします。「Kane/鐘」でも琴の音をミニマル・ミュージック的に取り入れているのが印象的ですし、「Gensou/幻想」のように和風な音と今風なトラップ風のリズムを見事融合させているサウンドも見事。「Zantetsu/斬鉄」のような、太鼓や笛の音を用いつつ、ドリーミーに聴かせるトラックも印象に残ります。

またそんなサウンド以上に印象に残ったのがShing02のリリックでした。日本を舞台とした物語的な歌詞が非常にユニークで、「Tanuki/狸」は日本の民話のような、狸とウサギの物語となっていますし、アルバムの中の一つの核となっているのが「Shigurui/死狂い」。本人はインタビューで「八百屋お七の話をサンプリングした」と語っているように、江戸をテーマとした物語に。さらに話はそのまま「Sanzu/三途」へとつながり、ストーリーテラーとしての実力を感じる連作となっています。

和楽器をサンプリングさせたサウンドに日本を舞台にした時代劇的なストーリーが繰り広げられ、まさに「日本らしさ」を体現したアルバムになっていた本作。ただ、和楽器を取り入れれるとベタな和風になってしまう部分が多いのですが、一方では今どきのサウンドも巧みに取り入れることにより、しっかりと今のHIP HOPシーンにキャッチアップされているため、決して「ベタ」には陥っていません。リリックも物語的なリリックが多いため、この手のアルバムにありがちな単純な日本賛美に陥っていない点も聴いていて違和感なくすんなりとその世界観を楽しめた大きな要因だったように思います。

ただ一方、この手の企画にありがちなのですが、自分の理想像を歴史の中に無理やり反映させたフィクション的な歴史観が登場している部分があり、その点は非常に残念でした。具体的に言えば「Jin/陣」。この中で、Shing02は武士を孤高の求道者として描いていますが、その描き方にはかなりの違和感があります。この中で「商人にだまされ 町人に笑われ 農民にたかられ」という表現が出てくるのですが、江戸時代の武士といえば絶対的な権力者。例えば古典落語の世界でも武士は町人たちにいばりまくっていて怖い存在として描かれているように、影でとやかくいわれるのはともかく、面と向かってバカにできる存在ではありません。どうもここ最近、武士やら侍やらを必要以上に美化するような傾向があり、変な理想像に違和感を覚えることが多いのですが、この曲に関しても残念ながら強い違和感を覚えました。

そんなマイナス点はありつつも、ただ全体としては日本というテーマを変に排外主義的な要素と結びつけることなく、うまくHIP HOPの世界に落とし込めていた傑作だったと思います。物語性強い歌詞は多くのリスナー層が楽しめそう。サウンド面でもリリック面でも彼らの実力がよく反映されたアルバムに仕上がっていた作品でした。

評価:★★★★★

Shing02 過去の作品
歪曲
SURDOS SESSIONS: Nike+ Training Run
1200Ways(Shing02+DJ $HIN)
S8102(Sauce81&Shing02)


ほかに聴いたアルバム

KAZUYOSHI SAITO 25th Anniversary Live 1993-2018 25<26 〜これからもヨロチクビーチク〜 Live at 日本武道館 2018.09.07/斉藤和義

ライブツアー毎の毎度おなじみ感の強い斉藤和義のライブアルバム。ただ今回はタイトル通り25周年の記念ライブ、それも昨年9月に実施した日本武道館のライブの演奏曲をすべて収録という内容になっており、選曲もベスト盤的な内容。まさに彼のライブの集大成的な作品となっており、聴き応え十分。彼のライブの魅力はもちろん、楽曲の魅力も十分感じられるアルバムになっていました。

評価:★★★★★

斉藤和義 過去の作品
I (LOVE) ME
歌うたい15 SINGLES BEST 1993~2007
Collection "B" 1993~2007
月が昇れば
斉藤“弾き語り”和義 ライブツアー2009≫2010 十二月 in 大阪城ホール ~月が昇れば 弾き語る~
ARE YOU READY?
45 STONES
ONE NIGHT ACOUSTIC RECORDING SESSION at NHK CR-509 Studio
斉藤
和義

Kazuyoshi Saito 20th Anniversary Live 1993-2013 “20<21" ~これからもヨロチクビ~ at 神戸ワールド記念ホール2013.8.25
KAZUYOSHI SAITO LIVE TOUR 2014"RUMBLE HORSES"Live at ZEPP TOKYO 2014.12.12
風の果てまで
KAZUYOSHI SAITO LIVE TOUR 2015-2016“風の果てまで” Live at 日本武道館 2016.5.22
斉藤和義 弾き語りツアー2017 雨に歌えば Live at 中野サンプラザ 2017.06.21
Toys Blood Music
歌うたい25 SINGLES BEST 2008~2017
Kazuyoshi Saito LIVE TOUR 2018 Toys Blood Music Live at 山梨コラニー文化ホール2018.06.02

HOMETOWN MUSIC LIFE/坂本サトル

ロックバンドJIGGER'S SONのボーカルで、1999年にはソロでリリースした「天使達の歌」がスマッシュヒットを記録し話題となったシンガーソングライター坂本サトルのニューアルバム。2枚組の作品で、1枚目はリクオや加藤いづみ、松本英子などとのコラボ曲を収録。2枚目はサッカーチームのサポーターや福祉作業所の方、故郷の小中学生に東日本大震災の被災者の方と一緒に作り上げた楽曲を収録。「みんなで作り上げた」という意味で暖かみを感じさせるアルバムになっていました。

楽曲の方は比較的シンプルなポップスがメイン。ただ、今回のアルバムで一番良かったのはリクオと組んだ「タビガラス」で、彼のしゃがれたボーカルはこの曲のようなブルース調の曲に合っているように思います。個人的にはもっとブルース寄りの曲を聴いてみたいなぁ、とも思ってしまいました。また椎名林檎の「ギブス」のカバーも彼の歌声が妙にマッチしていて味わいのあるカバーに仕上がっていました。2014年に故郷青森に拠点を移し、これがその第1弾アルバムだとか。そんなふるさとでの活動開始にピッタリな、温かさを感じるアルバムでした。

評価:★★★★

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2019年5月25日 (土)

アフリカン・アメリカンにバンジョーを取り戻す

Title:Songs Of Our Native Daughters
Musician:Our Native Daughters

グラミー賞でベスト・トラディッショナル・フォーク・アルバムを受賞したアメリカン・ルーツ・ミュージック・グループ、キャロライナ・チョコレート・ドロップスのメンバーで、バンジョー、フィドル、ギターなど様々な楽器を手掛けるマルチインストゥルメンタリスト、リアノン・ギデンズを中心として黒人女性4人により結成されたバンド、Our Native Daughters。上のジャケット写真ではバンジョーを抱えた4人の女性が写っています。バンジョーというとカントリーウエスタンの楽器として日本人にもイメージされやすい楽器ですが、もともとはアフリカがルーツの楽器。このOur Native Daughtersというバンドはアフリカン・アメリカンがバンジョーを取り戻すというひとつの意義を抱えて活動を行っているそうです。

このバンジョーを取り戻すというコンセプトもそうなのですが、今回のアルバムは黒人差別や女性差別などを真正面から取り上げた作品に仕上がっています。黒人だからこそ経験する差別について歌い上げる「Black Myself」からスタートし、「Quasheba,Quasheba」はガーナ人の女性奴隷の過酷な運命を描いた歌、「Mama's Cryin' Long」もシンプルな手拍子のみをバックにアカペラで歌われるコール&レスポンスの歌ながらも、曲中の「Mama's dress is red」という歌詞は「ママのドレスが血で染まっている」という内容だそうで、過酷な奴隷労働を描写した歌詞となっているそうです。

そんなある意味、非常にヘヴィーなテーマを抱えたコンセプチャルなアルバムになっているのですが、楽曲を聴いた印象としては決して重苦しいという印象はありません。むしろバンジョーの明るく軽快な音色がインパクトとなって、ある種の爽快さすら感じられるナンバーが並んでいます。例えば「Moon Meets the Sun」はフォーキーで美しい演奏に伸びやかなボーカルが歌を切なく聴かせる爽やかなポップチューン。「Better Git Yer Learnin'」もフォーキーで軽快な明るさを感じる楽曲に仕上げています。「Music and Joy」もタイトル通りの楽しさを感じさせるバンジョーの音色が軽快な明るいポップチューンに仕上げており、純粋にポップなアルバムとして楽しめる作品に仕上がっています。

またユニークなのはバンジョーという楽器はフォークやカントリーというイメージが強いのですが、アフリカン・アメリカンの手に取り戻すというコンセプトに従ったためでしょうか、むしろブルースやソウルの要素を強く感じる曲が目立つのも強い印象を受けました。冒頭にも取り上げた1曲目「Black Myself」も力強いボーカルで、ジャンル的にはブルースにカテゴライズされそうなナンバーですし、ボブ・マーリーのカバー「Slave Driver」もブルージーなカバーに仕上げています。ここらへんの曲調についてはまさにアフリカン・アメリカンの魂的なものを感じさせる作風と言えるのかもしれません。

そんな重いテーマを取り上げつつ、ラストは「You're Not Alone」と、タイトル通り、みんなの背中を押すような曲を最後に配しているのも彼女たちの強いメッセージを感じさせます。ラスト前の曲も「Music and Joy」とまさに喜びを感じさせるような曲になっていましたし、聴き終わった後は希望をもって明るく前を向けるようなそんな構成になっていました。重いテーマを投げかけるだけではなく、その向こうにある希望もしっかりと歌っている点も素晴らしい構成のアルバムだったと思います。

バンドとしてメッセージ性を持ちつつ、一方ではしっかりエンタテイメント性も両立させていた心地よい傑作アルバム。ただ、彼女たちが歌っている歌詞のテーマはいまでも重く、私たちにのしかかっていることを忘れてはいけません。特にアメリカのみならず世界各地で排外主義がはびこりつつある現状において、このアルバムが提示するメッセージは残念ながら今の社会において私たちの大きな課題となっています。残念ながら英語で、かつ背景にある文化を知らなくては読み取りにくいメッセージも多いためストレートに伝わってこない部分も多々あるのですが・・・いろいろな意味で非常に強い印象を私たちリスナーに与えてくれるアルバムでした。

評価:★★★★★


ほかに聴いたアルバム

Wait And Return EP/Noel Gallagher's High Flying Birds

元oasisのお兄ちゃん、ノエル・ギャラガー率いるNoel Gallagher's High Flying Birdsの新作は配信限定3曲入りのEP盤。前作「Who Built the Moon?」でもoasisのイメージを変えるような挑戦的な作風の曲が目立ちましたが、本作は、その「Who Built the Moon?」に収録されている3曲のリミックスアルバム。3曲が3曲ともイメージの違う作風になっており、ノエルのあくなき挑戦心を感じさせます。oasis再結成の要望も非常に強い状況ですが、ノエル・ギャラガーのソロもまだまだ今後の活動が楽しみになってくるEPでした。

評価:★★★★★

NOEL GALLAGHER'S HIGH FLYING BIRDS 過去の作品
NOEL GALLAGHER'S HIGH FLYING BIRDS
CHASING YESTERDAY
Who Built the Moon?

History/Youssou N'Dour

セネガル出身、アフリカ音楽界を代表するミュージシャン、Youssou N'Dourの新作。基本的に欧米向けのアルバムということでトライバルな要素はちょっと薄め。哀愁感あるメロディーラインでのびやかに聴かせる垢ぬけたポップスが続きます。特に「Hello」は実に今どきのR&Bといった感じで、最初、聴くアルバムを間違えたか?と思ったくらい・・・。個人的にはやはりもうちょっとトライバル色が強いアルバムが好みなのですが、純粋にポップスアルバムとしては完成度の高い作品に仕上がっていました。

評価:★★★★

Youssou N'dour 過去の作品
AFRICA REKK
Seeni Valeurs

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2019年5月24日 (金)

暖かい雰囲気に人柄の良さも感じる

Title:Not Waving,But Drowning
Musician:Loyle Carner

新人ミュージシャンの登竜門である「BBC Sound of 2016」やイギリスの最高峰の音楽賞「ブリッド・アワード」へのノミネートなどで注目を集めるイギリスの次世代ラッパー、ロイル・カーナーの2枚目となるアルバム。前作「Yesterday's Gone」ではイギリスのインディペンデンス誌の年間ランキングで1位を獲得するなど高い評価を得ています。それに続く本作も大きな注目を集め、本国イギリスのアルバムチャートでは初のベスト10入りを果たし、3位にランクインされるなど、さらなるブレイクを果たしています。

そんなイギリスの新世代ミュージシャンとして俄然注目を集める彼。本作でもトム・ミッシュやジョルジュ・スミスなどといった新進気鋭のイギリスのミュージシャンたちが多く参加しています。また、彼が綴るラップは彼の日常を綴ったり、内省的なテーマを持ったラップがメイン。さらに最後に収録されている「Dear Ben」は母親のJean Coyleの語りがサンプリングされた曲になっている一方(ちなみに「Ben」はおそらくロイルの本名、Benjamin Gerard Coyle-Larnerの愛称のことと思われます)、このラストに対応する形の1曲目「Dear Jean」もタイトルからして母親へのメッセージを綴った曲。家族へのメッセージ性の強い楽曲がアルバムのキーになっている点も彼の人柄を伺わせます。

そして彼の奏でるトラックは、全体的に彼の人柄を反映されたようなジャズやソウル的な要素を取り入れた優しい印象のトラックが心に残ります。2曲目「Angel」も軽快なドラムのリズムをメインとしつつ、エレピでジャジーなトラックに仕上がっていますし、ゲストミュージシャン、サンファの美しい歌声も胸をうつ「Desoleil」もピアノを軸としたシンプルながらも美しいサウンドが強く印象に残るナンバー。「Krispy」もピアノの美しい音色でシンプルなトラックに強く惹きつけられます。

また、前述の「Desoleil」もそうなのですが、要所要所に入っているゲストミュージシャンたちの歌がちょうどよいインパクトを曲に与えているのも印象的。「Ottolenghi」もテンポよいラップとピアノでメロウなトラックが流れる中で入るジョーダン・ラカイによるハイトーンの美しい歌声が実に心地よく響いてきますし、「Loose Ends」もジョルジャ・スミスによる伸びやかで透き通った歌声が美しく、大きなインパクトとポピュラリティーを曲に与えています。

さらになによりもロイル本人のラップが楽曲の中で大きな魅力になっているように感じました。母親へのメッセージを綴った「Dear Jean」が典型的なのですが、ゆっくりと語るようなラップが彼の特徴。日本人にとっても比較的聴き取りやすいラップになっており(・・・といっても内容がわかるほど聴き取れるわけではないのですが(^^;;)、しっかりとリスナーに対してそのメッセージを届けようとする姿勢もまた、彼の人柄を感じさせますし、なによりもゆっくりと語るようなラップにはどこか暖かみも感じられました。

そんなラップや要所要所に流れる歌、さらにジャズやソウルの要素も強いメロウなトラックが組み合わさり、アルバム全体としてはポップな要素が強く、いい意味で聴きやすいアルバムに仕上がっていた今回の作品。ある意味、トラップやマンブルラップといったアメリカのHIP HOPの傾向とは全く異なるような方向性を向いているのが、イギリス発らしいという印象も受けます。最後まで心地よく、その暖かさがとても魅力的な1枚。最初にも書いた通り、このアルバムでランキングを大きく上げて、さらなる注目を集めるようになった彼。いい意味で聴きやすい内容ですので、日本でももっと注目を集めてもよいアルバムだと思います。広い音楽リスナー層にお勧めできる傑作です。

評価:★★★★★


ほかに聴いたアルバム

The Weeknd In Japan/The Weeknd

昨年、初の来日公演を果たしたカナダ出身のR&Bシンガー、The Weeknd。本作はその来日公演にあわせてリリースされた日本限定のベスト盤。メロディアスで哀愁感あってポップで良い意味でわかりやすいメロディーラインは日本人受けしそうな感じ。一方でトラックにはトラップ的な要素を入れてきて今風を感じさせます。このバランス感覚の良さが人気の秘密かも。日本での人気もまだまだ広がりそうです。

評価:★★★★★

The Weeknd 過去の作品
Kiss Land
Beauty Behind The Madness
STARBOY
My Dear Melancholy,

DANCE PARTY ALBUM/Z-FACTOR featuring JESSE SAUNDERS

今回紹介するのは1984年にリリースされた世界で最初のハウスレコード。もともとアナログ盤で500枚のみリリースされた「幻の名盤」で、今回、シカゴ・ハウスについてのドキュメント書籍「ハウス・ミュージックーその真実の物語」のリリースに合わせて世界初のCD化(+サブスプで配信)となったそうです。

いまから35年も前のアルバムということで、さすがにサウンドについては今聴くとかなりチープ。ただいい意味でシンプルといえば非常にシンプルで、純粋なエレクトロポップとして楽しめるアルバム。「Fast Cars」などは今聴くとハウスというよりもテクノポップみたいな印象を受けるのですが、どこか感じるアジアンなテイストも楽しく、何気に今聴いてもポップソングとして十分すぎるほど機能しているアルバムになっています。どちらかというとその歴史的価値から意義深いアルバムといった感じなのですが、ポップアルバムとして今でも十分楽しめる1枚でした。

評価:★★★★

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2019年5月23日 (木)

一転、新譜ラッシュに

今週のHot Albums

http://www.billboard-japan.com/chart_insight/

先週までGWの関係で新譜が極端に少なかったHot Albumsですが、今週は一転新譜ラッシュ。ベスト10のうち1枚を除いてすべて新譜というチャートとなりました。

そんな中で1位を獲得したのは女性アイドルグループももいろクローバーZ「MOMOIRO CLOVER Z」。CD販売数1位、ダウンロード数及びPCによるCD読取数で3位を獲得し、総合順位で1位獲得となりました。オリコン週間アルバムランキングでも初動売上5万3千枚で1位獲得。直近作はベスト盤「MOMOIRO CLOVER Z BEST ALBUM 『桃も十、番茶も出花』」で、同作の初動5万6千枚(1位)からは若干のダウン。オリジナルアルバムとしては前作となる2作同時リリースの「白金の夜明け」「AMARANTHUS」の8万1千枚(1位)及び8万枚(2位)からもダウンしています。

2位初登場はEXILEのメンバー、EXILE SHOKICHI「1114」が初登場でランクイン。CD販売数2位、ダウンロード数14位、PCによるCD読取数で29位を獲得し、総合順位はこの位置に。オリコンでは初動売上1万9千枚で3位初登場。ちなみに「1114」とは前作でデビューアルバムの「THE FUTURE」の発売日から同作の発売日までの日数だそうで、その前作から初動売上枚数は横バイ(5位)となっています。

さて、今週はHot100でKAT-TUNの亀梨和也が1位を獲得し、さらに今、ワイドショーでは元KAT-TUNの田口淳之介逮捕のニュースでもちきりですが、Hot Albumsでも元KAT-TUN赤西仁のニューアルバム「THANK YOU」が3位に初登場しています。CD販売数4位、PCによるCD読取数39位の一方、ダウンロード数では見事1位を獲得し、総合順位ではベスト3入り。オリコンでは初動売上2万枚で2位初登場。直近作のリアレンジアルバム「A la carte」(3位)から横バイ。オリジナルアルバムとしては前作となる「Blessed」の3万1千枚(4位)からはダウンしています。ちないに本作のタイトルは自身のレーベル「GoGoodRecords」設立から5周年という区切りの年で、応援してくれているファンへの感謝の意味を込めたそうです。ジャニーズ脱退前後でいろいろと言われた彼ですが、なにげに音楽活動はコンスタントにがんばっているようです。

初登場盤は4位以下も続きます。4位には「Fate/Grand Order Original Soundtrack III」がランクイン。スマホ向けRPG「Fate/Grand Order」の楽曲を集めたサントラ盤。CD販売数3位、PCによるCD読取数で14位を記録。オリコンも初動売上1万5千枚で4位初登場。同作の第2弾「Fate/Grand Order Original Soundtrack Ⅱ」の2万6千枚(4位)からダウンしています。

6位はハロプロ系女性アイドルグループアンジュルム「輪廻転生〜ANGERME Past, Present & Future〜」がランクイン。CD販売数6位、ダウンロード数18位、PCによるCD読取数36位を記録。オリコンでは初動売上1万枚で5位初登場。直近作はベスト盤「S/mileage/ANGERME SELECTION ALBUM『大器晩成』」で、同作の6千枚(17位)からアップ。またオリジナルアルバムとしてはスマイレージ名義の「②スマイルセンセーション」以来で、同作の6千枚(13位)からアップ。シングルではほぼ毎作ベスト10入りしてきますが、アルバムではスマイレージ時代を含めて初のベスト10ヒットとなりました。

7位には神様、僕は気づいてしまった「20XX」が初登場。中2病的な名前が特徴的な4人組バンドで、メンバーの詳細なプロフィールが明かされない「謎のバンド」として話題を呼んだバンドの、フルアルバムとしては初となる作品。CD販売数11位、PCによるCD読取数は41位に留まりましたが、ダウンロード数で6位を記録して、総合順位ではベスト10入り。オリコンでは初動売上7千枚で9位初登場。ミニアルバムだった前作「神様、僕は気づいてしまった」の9千枚(9位)よろダウンしています。

8位には声優谷山紀章がギタリスト飯塚昌明と組んだユニットGRANRODEO「FAB LOVE」がランクイン。CD販売数8位、ダウンロード数20位、PCによるCD読取数34位。オリコンでは初動売上9千枚で8位初登場。前作「Pierrot Dancin'」の1万3千枚(3位)からダウンしています。

9位初登場はmilet「Wonderland EP」。これが2枚目のEPとなる女性シンガーソングライターの新作。詳細なプロフィールを明かしていない「謎めいた経歴」を売りにしているようで、前作「inside you EP」のタイトル曲「inside you」はONE OK ROCKのToruプロデュースで、フジテレビ系ドラマ「スキャンダル専門弁護士 QUEEN」オープニングテーマに抜擢されるなど、レコード会社側からかなり「売り」に来ているミュージシャン。CD販売数は17位に留まったものの、ダウンロード数で2位を獲得。見事ベスト10ヒットとなりました。ちなみにオリコンでは初動売上3千枚で18位初登場。前作「inside you EP」の6千枚(16位)からダウン。ただ、どちらかというとダウンロードでの売上先行で人気を集めてきている模様です。

そして最後10位にはさだまさし「新自分風土記Ⅱ~まほろば篇~」がランクイン。「新自分風土記Ⅰ~望郷篇~」と2枚同時リリースされたセルフカバーアルバム。CD販売数5位、その他はランク圏外で総合順位はなんとかベスト10入り。ちなみに「Ⅰ」は12位にランクインしています。オリコンでは初動売上1万枚で6位初登場。直近作はオリジナルアルバム「Reborn~生まれたてのさだまさし~」で、同作の1万1千枚(5位)からは微減という結果になっています。

そんな新譜ラッシュだった今週。長らくヒットを続けていたあいみょん「瞬間的シックスセンス」は先週の3位から11位にダウン。ベスト10ヒットは13週連続で幕を閉じました。またONE OK ROCK「Eye of the Storm」も5位から15位にダウンしています。

一方、先週1位のback number「MAGIC」は新譜ラッシュの中、なんとか5位をキープ。通算8週目のベスト10ヒットとなりました。CD販売数は14位までダウンしてしまいましたが、ダウンロード数は8位、PCによるCD読取数は1位を獲得しており、まだまだヒットは続きそうです。

今週のHot Albumsは以上。チャート評はまた来週の水曜日に。

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2019年5月22日 (水)

初のソロ作が1位獲得

今週のHot100

http://www.billboard-japan.com/chart_insight/

本日、元KAT-TUNの田口淳之介が大麻所持で逮捕という衝撃的なニュースが入ってきましたが、よりによってそんな日に1位を獲得したのは、かつての同僚のソロデビュー作でした。

今週、初登場で1位を獲得をしたのはKAT-TUNの亀梨和也の初のソロシングル「Rain」でした。本人主演のフジテレビ系ドラマ「ストロベリーナイト・サーガ」主題歌。CD販売数、PCによるCD読取数、Twitterつぶやき数1位で、そのほかは圏外という結果になっています。オリコンでは初動売上13万6千枚で1位獲得。ちなみに田口淳之介逮捕で過去のKAT-TUNの楽曲の扱いはどうなるのでしょうか?彼が所属していた頃の作品のみ出荷停止とか、そういうまたバカみたいな扱いになるんでしょうか?

2位は俳優、菅田将暉「まちがいさがし」がランクイン。フジテレビ系ドラマ「パーフェクトワールド」主題歌。米津玄師作詞作曲プロデュースによる作品。ミディアムテンポでしっかり歌い上げるナンバーになっており、米津色はちょっと薄めだったような。ダウンロード数で見事1位を獲得。ラジオオンエア数19位、Twitterつぶやき数は14位に留まりましたが、総合順位で配信オンリーながらもベスト3ヒットに輝きました。

3位はOfficial髭男dism「Pretender」が先週の8位からCDリリースに合わせてランクアップ。CD販売数で9位に食い込んだほか、ダウンロード数、ストリーミング数いずれも2位。さらにはラジオオンエア数で1位を獲得。PCによるCD読取数6位、Twitterつぶやき数21位、You Tube再生回数11位と満遍なくヒットを獲得し、総合順位でベスト3入りを果たしています。オリコンでも初動売上1万2千枚で9位初登場。シングルアルバム通じて、初となるベスト10ヒットを獲得しました。

続いて4位以下の初登場曲です。といっても初登場組は1曲のみ。10位にEd Sheeran&Justin Bieber「I don't care」が先週の26位からランクアップしてベスト10入りです。イギリスの男性シンガーソングライター、エド・シーランと、アメリカの人気アイドル、ジャスティン・ビーバー。どちらも絶大な支持を得ているシンガー同士がタッグを組むという、まさに夢のコラボ。楽曲的にも非常に爽快で気持ちの良いポップチューンに仕上がっています。ダウンロード数20位、You Tube再生回数23位に留まりましたが、ストリーミング数6位、ラジオオンエア数では2位を獲得。配信オンリーですが、総合順位でベスト10入りとなりました。

また今週、HKT48「意志」が先週のランク圏外から8位に突如ランクイン。5週ぶりのベスト10返り咲きとなりました。CD販売数2位で残りは圏外。例によって握手券対象のCDの通販分がまとめて計上されたのでしょう。

一方、今週も強いロングヒット曲。まずあいみょん「マリーゴールド」ですが、今週は残念ながら2位から4位にダウン。ただ、ストリーミング数がついに20週目の1位を獲得したほか、You Tube再生回数が3位から1位にランクアップ。4月1日付チャート以来8週ぶりの1位返り咲きとなっています。また、「ハルノヒ」も4位からダウンしたものの7位にランクインし、今週も2曲同時ランクインを記録しています。

米津玄師「Lemon」も3位から6位にダウン。ダウンロード数は4位から7位、PCによるCD読取数は2位から5位、You Tube再生回数も2位から3位と今週は軒並みランクダウン。とはいえまだまだカラオケ歌唱回数1位を含め、多くのチャートで上位を維持しているだけにロングヒットはまだ続きそう。

一方、King Gnu「白日」は先週と変わらず5位をキープ。ダウンロード数は8位から12位とダウンしていますが、You Tube再生回数は4位をキープ。ストリーミング数も2位から3位とダウンしているもののベスト3をキープしており、こちらは根強さを感じさせます。これからさらに伸びそうな予感も。

今週のHot100は以上。明日はHot Albums!

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2019年5月21日 (火)

買って応援

今年3月、あるニュースに衝撃が走りました。ピエール瀧逮捕。最近では役者としての活躍も目立った彼の薬物犯罪での逮捕というニュースは連日、ワイドショーを中心に大きく取り上げられました。そんなニュースを受け、電気グルーヴの所属するソニーレコードでは電気グルーヴの過去のCDの回収・出荷停止を決定。さらにサブスプの配信も停止されたことから大きな衝撃が広がりました。ただ、これについては音楽という作品と、それを作った本人の犯罪とは別物という当然の議論が巻き起こり、出荷停止に抗議する署名活動も起きたほか、著名人からこのレコード会社の行動に対する疑問の意見も相次ぎました。

実は今回の電気グルーヴのCD回収・出荷停止騒ぎの中であまり指摘されていない事実があります。それは、電気グルーヴに関する書籍については回収・出荷停止という事態は全く起こっていないということ。例えば今回紹介する今年2月に発売された「電気グルーヴのメロン牧場ー死神は花嫁<6>」も現在、普通にAmazonでも取り扱いがされていますし、書店で購入することもできます。

邦楽専門誌「ROCKIN'ON JAPAN」に長年連載を続けている電気グルーヴの対談集を一冊にまとめた単行本のこれが6冊目。ちなみに回収・出荷停止にしていないというのは明らかに意図的で、ピエール瀧逮捕直後の「JAPAN」誌の中でもはっきりと「好評発売中」と宣伝されていました。ちなみにこういう方針なのはロッキン・オンだけではなく、誠文堂新光社が5年前に発刊した「電気グルーヴ×アイデア―電気グルーヴ、石野卓球とその周辺。」も問題なくAmazonで取り扱いがありますし、それこそピエール瀧本人名義の「ピエール瀧の23区23時」すら、問題なくKindleで配信されています。

これは思うに、単純に「CDに比べて目立たないから」とかではなく、おそらく自ら言論・表現の自由を担っているという自負が出版社にはあり、簡単に自らの出版物を回収したり出荷停止にしたりはしないとい、出版社としての矜持があるからはないでしょうか。そう考えると、レコード会社が簡単にCDを回収・出荷停止してしまうというのは同じく表現の自由を担わなければいけない立場であるはずなのに、あまりにも情けなく感じてしまいます。

私が今回、本書を買った最大の理由はそんな出版社の心意気に対して買って応援したいと思ったから。電気グルーヴのCDやDVDをいままでいろいろ買ってきた私ですが、正直、トークをまとめただけの内容に1,400円はちょっと高いかなぁと思っており、発売当初は手が出ませんでした。そんな経緯がありつつ今回、購入してみた訳ですが・・・これが予想していたよりおもしろかった!いやぁ、十分1,400円+消費税という価値のある満足度の高い一冊でした。

身の回りの日常ネタにサブカルネタや下ネタなどを交えた毒のあるトークが終始冴えわたっていて、特に今回、単行本として読んでみると、トークの主導権を握っているのはあくまでも石野卓球ということに気が付きます。ただ一方、様々なサブカルネタなどを入れつつ飛びまくっている石野卓球のトークをしっかりと受け取っているピエール瀧との相性の良さも抜群。本書の中でも「うちらは、一緒になってからアイデンティティを得てるから、そこがブレない」(p358)と語っていますが、そんな2人の仲の良さが会話の節々から伝わってきます。

また、そんな中でも世の中の常識・良識に対して疑いの目を向け、時としてそんな常識のうすっぺらさをおちょくっているやり取りも印象に残ります。「ファン」を否定して「結局世の中は、客か、客じゃないか!(笑)」(p62)なんて衝撃的な発言があったり、「結婚式とかやる奴、信用できないんだよ、誰ひとりとして(笑)」(p268)と結婚式(というよりは披露宴?)の無意味さを指摘したり、「変な奴とかが楽屋挨拶に来たりするじゃん。どうでもいいのにさあ。」(p29)と芸能界のしきたり的なものに疑問を呈したり、デビュー当初からの「世の中の良識をおちょくる」というスタイルは、2人とも50歳を超えた今でも一切変わりません。

そして今回、今となってこの本を読むと、2人の・・・というよりも石野卓球のスタイルがピエール瀧逮捕という衝撃的なニュースを経ても全く変わっていないことに驚かされます。特にTwitterでの飄々とした発言は一部のメディアに批判されつつも多くのファン(客?)にとってはそのぶれない姿勢を絶賛されています。そんな中でも石野卓球本人にからんでくるイタイ発言に対して、彼はスルーすることなく反論しているのですが、本書の中に石野卓球のこんな発言が登場します。

「SNSとか放っときゃいいっていうけど、そうはいかないぜ?放っとけないやつもあるし、追い詰めたほうがいいやつもあるんだよ。俺、追い詰めるから(笑)。だって追い詰めないとさ、これOKなんだっていうふうになるから。自由な校風になると学級崩壊っていうか」(p299)

まさに今の彼のTwitterでの姿勢はこの発言そのものですし、瀧逮捕のニュースでおかしな奴が大量に集まるようになってもスタンスを全く変えない彼の姿勢には素晴らしいものがあります。また、この発言もそうなのですが、電気の2人は一見すると飄々とした態度を取りながら、実はしっかりとした考えの下で行動を起こしており、今回、メディアなどで話題となったTwitterでの石野卓球の発言も、しっかりとその影響を考えての上なんだろうなぁ、と実感しました(と思っていたら最新のROCKIN'ON JAPAN6月号の「メロン牧場」でちゃんとTwitterの発言の趣旨を語っていましたね)。

ただ、2人が、というか特に卓球自身がどちらかというと論理的に語るというよりは感情的に語っている部分が多いため、読んでいて若干わかりにくくなる部分もなきにしもあらずなのですが(笑)、それもある種の味として、本当に楽しくって、過去の書籍も遡って読んだみたくなりました。どうも「メロン牧場」自体も事件に関係なく今後も連載が続くようですし、まだまだ彼らのトークは楽しめそう。ピエール瀧はしっかりと罪を償って、そして電気グルーヴとして活動を再開することを、ファンとして待っています!

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2019年5月20日 (月)

轟音に圧倒

Title:Life Metal
Musician:Sunn O)))

アメリカのドゥームメタルバンド、Sunn O)))のニューアルバム。ドゥームメタルとはヘヴィーメタルのサブジャンルのひとつで、遅いテンポと重い音作りを特徴とするジャンル。Sunn O)))はそんなドゥームメタルの代表的なバンドのひとつだそうですが、そのため一般的にヘヴィーメタルといってまず思い浮かぶような、テクニック重視のハイテンポなギターにボーカルの高音シャフト、ハイテンポなドラミングという展開は全くありません。

今回のアルバムは1時間8分という長さの中にわずか4曲という構成。そのためその4曲は短くて11分台。ラストを飾る「Novae」に至っては25分という長尺の曲となります。そんな彼らのアルバムを聴いてまずは最初に耳に飛び込んでくるのは、埋め尽くすような轟音のギターノイズ。非常に重いギターノイズの和音が響き渡ります。1曲目「Between Sleipnir's Breaths」はまず、アルバムの幕開けを告げるようなダイナミックなサウンドからスタート。へヴィーなギターノイズが展開されるのですが、中盤、アイスランドのエレクトロニカバンド、mumのメンバーでもあるHildur Guðnadóttirがボーカルとして参加。重く暗い世界の中の一筋の光のような美しい歌声を聴かせてくれています。

基本的に轟音で埋め尽くされるギターの和音がゆっくりと少しずつ展開されるという構成はその後も同様。4曲あるのですが、正直なところ、1曲目に女性ボーカルが参加している以外は4曲とも音楽的には大きな変化はありません。ある意味、淡々としたギターノイズの世界が1時間以上続いていく、そんなアルバムになっていました。

そんな中に1曲目の女性ボーカルだったり、2曲目の「Troubled Air」にはトライアングルのような音が入っていたり、途中、ギターノイズの中に異質な音が混じってくるのもユニーク。ラストの「Novae」も後半にシンフォニックな雰囲気の音がふっと入ってきたりして、突然あらわれる違和感がアルバムにさらなる面白さを与えています。

また、肝心の轟音のギターノイズなのですが、微妙に不協和音が混じっているような音の作りになっており、妙に耳にひっかかってきます。さらに楽曲を通じて少しずつそんな和音が変化していくのですが、どこかメロディアスでポップスさを感じられるのが大きな特徴。この轟音に身をゆだねるのがただただ気持ちよく、同じような構成の楽曲が並びながらも、合計1時間強のアルバムに最後まで耳が離せませんでした。

ちなみに今回のアルバム、かのスティーヴ・アルビニと一緒に制作。レコーディングもシカゴにあるアルビニのElectrical Audioで行ったとか。どちらかというとオルタナ系の印象の強いアルビニと彼らのようなメタル系のバンドが一緒に仕事をするというのはちょっと意外な印象もあるのですが、サウンドに意外と人なつっこさを感じられるのはアルビニならでは、なのかもしれません。

圧倒的な轟音を長尺の曲でゆっくり聴かせるという意味ではメタルというイメージよりノイズミュージックに近いタイプでしょう。またバンドとしてはgodspeed you black emperorやMOGWAIのようなポストロックバンド系に近い立ち位置にも感じます。そういう意味では「メタルバンド」というカテゴライズの彼らですが、普段メタルを聴かないようなリスナー層も楽しめそうなアルバムになっていました。

久々となった新譜ですが、今年はもう1枚アルバムをリリースする予定ということ。今回のアルバムとはまた違った雰囲気のアルバムになるそうで、そちらも非常に楽しみ。私も今回、Sunn O)))のアルバムを聴いたのはこれが初めてだったのですが、その音に圧倒。次のアルバムも是非聴いてみたいです。

評価:★★★★★


ほかに聴いたアルバム

HOMECOMING:THE LIVE ALBUM/Beyonce

同タイトルのNetflixオリジナル映画の公開にあわせて配信オンリーでリリースされたBeyonceのライブアルバム。コーチェラ2018のパフォーマンスがおさめられたアルバムで、全40曲というボリューム。ただし、インタリュードやメドレー的にワンコーラスのみ披露した曲も多いため、長さ的には1時間50分程度におさめられています。とにかく終始、迫力満点のBeyonceのボーカルに圧巻されるアルバムで、特に黒人の女性の権利について意識的に主張するパフォーマンスも多く、男性としては「は、はいそうですね」としか言えなくなってしまいそうな迫力も(笑)。ちなみにDestiny's Child時代の曲も披露されているのは古くからのファンにとってはうれしいところ。圧巻のパフォーマンスという表現がピッタリくるような内容でBeyonceのミュージシャンとしてのすごさをあらためて見せつけられたライブアルバムになっていました。

評価:★★★★★

BEYONCE 過去の作品
I Am...Sasha Fierce

I AM...WORLD TOUR
Beyonce
Lemonade

Fudge Beats/Prefuse73

アメリカ・アトランタのミュージシャン、スコット・ヘレンのPrefuse73名義による新作。全15曲入りながらも41分という長さのため、1曲あたり平均3分弱という短さ。そのため、曲が次々と展開していき、そういう意味では最後まで飽きさせない構成になっていました。ただ、Prefuse73といえばエッジの効いた鋭いビートが特徴的なのですが、今回のアルバムに関しては比較的ビート感は弱めでメロディアスでポップという印象が。その分、アルバム全体に聴きやすくなった反面、聴いていて刺激が薄いというか、ちょっとインパクトは薄くなってしまったような気もします。最後まで文句なしに楽しめるアルバムではあったと思うのですが・・・。

評価:★★★★

Prefuse73 過去の作品
Everything She Touched Turned Ampexian
The Only She Chapters
Every Off Key Beat

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2019年5月19日 (日)

魅力的な客演が数多く

Title:ベストバウト2 RHYMESTER Featuring Works 2006-2018
Musician:RHYMESTER

この音楽サイトで紹介しているように、個人的にいろいろなタイプの音楽を紹介しているのですが、そんな中、もっともゲストミュージシャンとして最もその名前を聴く機会が多いミュージシャンのひとつが間違いなくRHYMESTERです。以前からジャンル問わず様々なミュージシャンのゲストとして参加する彼らですが、そんな彼らの客演集を集めた企画盤がリリースされました。もともと2007年に「ベストバウト」として同じく客演集がリリースされていますが、本作はその「ベストバウト」の第2弾アルバムとなります。

ゲストミュージシャンとしての彼らが目立つのは、やはりその数も影響しているのでしょうが、彼らのプレイ自体が非常に個性的で、聴けばすぐにRHYMESTERだ!と気づくというのが大きな要因だと思います。Mummy-Dと宇多丸はどちらもラッパーとしてインパクトある声と個性を持っており、唯一無二ともいえる存在。逆にだからこそ多くのミュージシャンからゲストとして呼ばれるのでしょう。

ただ、数多くのミュージシャンとコラボを重ねる彼らですが、その面子を見ると、決して「仕事を選ばない」というスタイルではありません。その仕事ぶりは多岐に及び、今回のアルバムでもゴスペラーズのようなR&B、スキマスイッチのようなポップス、Base Ball Bearのようなギターロックや10-FEETのようなパンク、さらにはSOIL&"PIMP"SESSIONSのようなジャズから果ては加山雄三まで様々なジャンルの曲が並びます。ただ、どのミュージシャンも間違いなく一定以上の実力を持ったミュージシャンばかり。以前からRHYMESTERが参加しているミュージシャンは一定の信頼感が置けたのですが、こうやって並べると、決してジャンルに壁は設けていないものの、彼らなりにいい意味でしっかりと仕事を選んでいる様子もうかがえます。

また今回のアルバムも「客演集」とはいえ、スキマスイッチの「ゴールデンタイムラバー」やBase Ball Bearの「The Cut」のように、あくまでもそれぞれのミュージシャンの曲の中に、チラッとRHYMESTERのラップが重なるだけの、まさに文字通りの「ゲスト」として参加している曲もあれば、一方ではRHYMESTER名義の「本能」のように、RHYMESTERの曲の中で椎名林檎の「本能」をサンプリングしている曲だったり、加山雄三名義の「旅人よ」のように、同じくRHYMESTERの曲の中に加山雄三の曲がサンプリングされているというスタイルだったり、むしろ相手のミュージシャンの方が「ゲスト」扱いだったりする曲も少なくありません。そういう意味でもバラエティーのある内容のアルバムになっていました。

また、意外とRHYMESTERが参加するようなタイプの曲は比較的似たような方向性の曲が多く、具体的にはファンクやジャズなどの要素を色濃く入れた楽曲が目立ちました。そんなファンクやジャズの要素とメインのミュージシャンの音楽性が上手くマッチしている曲も多く、それこそがRHYMESTERとのコラボの醍醐味と言えるのかもしれません。そんな理想的なコラボに数多く出会えるアルバムになっていたと思います。

そしてなんといってもよかったのがラストを飾るSCOOBIE DOとのコラボ「やっぱ音楽は素晴らしい」でしょう。もともとファンクバンドであるSCOOBIE DOとRHYMESTERの相性は抜群。そして、音楽を心から愛する2つのグループによって歌われるタイトル通りのメッセージは聴いているこちらもワクワク楽しくなってくるような曲。まさに本編のラストを飾るにふさわしい名曲でした。

そんな訳でRHYMESTERの魅力がしっかりとつまった、まさに「裏ベスト」と呼ぶにふさわしい企画盤でした。RHYMESTERのファンはもちろんですが、参加ミュージシャンのファンも是非。これを機に、RHYMESTERの魅力にはまるかも・・・。

評価:★★★★★

RHYMESTER 過去の作品
マニフェスト
POP LIFE
フラッシュバック、夏。
ダーティーサイエンス
The R~The Best of RHYMESTER 2009-2014~
Bitter,Sweet&Beautiful
ダンサナブル


ほかに聴いたアルバム

panta rhei/tacica

ミニアルバムだった前作「新しい森」から約1年8ヶ月ぶり。フルアルバムとしては「HEAD ROOMS」から実に3年ぶりとなるギターロックバンドtacicaの新作。tacicaのイメージというと良くも悪くもシンプルなギターロックバンドという印象で、どうも個性が薄いという印象があります。今回のアルバムに関しても比較的シンプルなギターロックといった印象で、強烈な個性といったものはありません。ただ今回の作品、外連味の無いバンドサウンドが楽曲にうまくマッチしており、メロディーも決して派手なフックが効いているわけではないのですが、すんなり耳になじむポップチューンに。派手さはないのですが、ついつい聴き進めてしまう魅力のあるアルバムになっていました。個人的には彼らのいままでの作品の中で一番の出来だったかも。次にも期待したくなる作品でした。

評価:★★★★

tacica 過去の作品
jacaranda
jibun
HOMELAND 11 blues
LOCUS
HEAD ROOMS
新しい森

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2019年5月18日 (土)

厳しい現実と日常を描写

Title:Ride On Time
Musician:田我流

山梨県一宮町(現笛吹市)出身のメンバーを集めたHIP HOPクルー、stillichimiyaのMCとしても活躍しているラッパー、田我流。2014年にstillichimiyaとしてのアルバムを、また2015年には田我流とカイザーソゼ名義によるバンドプロジェクトでのアルバムをリリースしていますが、純粋にソロ名義でのHIP HOPアルバムとしては2012年の「B級映画のように2」以来となる、久々のニューアルバムがリリースされました。

その前作「B級映画のように2」ではリリースが福島原発事故の直後ということもあり、反原発を前に押し出した社会派な色合いが強いナンバーに。またトラックとしてもヘヴィーなトラックを聴かせてくれており、社会への不安をテーマに載せたアルバムに仕上げていました。今回のアルバムも「Broiler」というある種の監視社会となる現代社会への警告をテーマとした社会派な曲が序盤に入っており、また「Vaporwave」も現在の無機質で寂しい郊外の模様を描写するなど、社会派的なメッセージを感じさせる曲がまずは目立ちます。

ただ、一方では今回のアルバムは現実の日常を描写した歌詞が目立ったように思います。特に印象的なのは「Deep Soul」で、家族を持った父親が、いかに家族を守るかというテーマ性を持った厳しい現実を描写したリリックになっており、暗い雰囲気のトラックと相成り、非常に印象的なラップに仕上げられています。思えばstillichimiyaというHIP HOPクルーも地元一宮町の合併反対という社会派的なテーマ性を持ちながら、あくまでも「地元」という日常に立脚するスタイルを取っています。それと同様、前作では社会派なテーマ性をかかげた田我流ですが、今回のアルバムではあくまでも日々の日常に立脚したスタイルがメイン。社会派な歌詞も、そんな日常の延長線上にある、ととらえているのかもしれません。

また、サウンド的には今回、前作から大きく変化しています。ハードコアとまではいかずとも比較的ヘヴィーな作風が目立った前作に比べると、今回のアルバムは「Back In The Day 2」やタイトルチューンの「Ride On Time」などトラップからの影響を強く感じるサウンドの曲が並びます。さらには「Simple Man」「Changes」などエレクトロサウンドを入れつつメロウにまとめているトラックも目立ち、ヘヴィーというよりもダークだけども哀愁を感じるトラックが多いように感じます。トラップからの影響というのは、ある意味、今の時代にアップデートした結果といった感じなのでしょうが、全体的には歌詞のテーマ性も含めて、ヘヴィーなトラックでゴリゴリと主張する前作に比べると、サウンドからは等身大的なスタイルを感じました。

そんな日常の現状を描写しつつ、実質上のラストチューンとなる「Anywhere」はメロウな女性ボーカルによる歌を取り入れ、スチールパンを取り入れ、少々カリブ風なサウンドも含めさわやかな雰囲気に。また、歌詞には力強く前向きなメッセージ性も感じられ、最後は明るい雰囲気を感じさせます。

ただし、そんな明るい雰囲気のラストに対して気になるのが今回のアウトロ。今回、1曲目とラストはそれぞれイントロとアウトロと位置づけられているのですが、忘れ物をみつけ、約束に間に合わず、田我流が車に飛び乗って急いで出発しようとしている、ある種のあせりを感じるイントロに対して、アウトロの最後は田我流が奥さんと子供と一緒に車に乗って出発しようとする明るい家族の日常で終了。アウトロとイントロはループするような構成になっているのも印象的。これに関してはいろいろな解釈ができそうですが・・・。明るい雰囲気の終盤と暗い雰囲気の序盤をループさせ、明るい日常も突然、変わっていくということを示唆しているのかもしれません。

前作からするとアルバムの印象が少々変化した今回のアルバムですが、今回も田我流のメッセージを感じさせる、ついつい何度も聴きたくなる傑作アルバム。今回のアルバムも必聴です。

評価:★★★★★

田我流 過去の作品
B級映画のように2


ほかに聴いたアルバム

"TWO OF US"Acoutsic Session Recording at VICTOR STUDIO 302/LOVE PSYCHEDELICO

LOVE PSYCHEDELICOが、自身初となるアコースティックライブツアー「LOVE PSYCHEDELICO Premium Acoustic Live “TWO OF US” Tour 2019」に先立ち、3月6日にビクタースタジオで行ったセッションライブの模様を収録したアルバム。映像作品がリリースされるのと同時に、配信限定でアルバムもリリースされました。ライブの趣旨の通り、アコースティックなセッションとなっている本作。全編アコースティックギターの音色が効果的に用いられており、これがまたLOVE PSYCHEDELICOのロッキンな作風とピッタリマッチ。ある意味、彼女たちの楽曲のコアな部分がむき出しになったような演奏が繰り広げられており、非常にカッコいいセッションになっていました。これはこのアレンジでのアルバムリリースも期待したいほど。ゾクゾクっとするカッコよさを感じさせる作品です。

評価:★★★★★

LOVE PSYCHEDELICO 過去の作品
This Is LOVE PSYCHEDELICO~U.S.Best
ABBOT KINNEY
IN THIS BEAUTIFUL WORLD
LOVE PSYCHEDELICO THE BEST I
LOVE PSYCHEDELICO THE BEST Ⅱ

15th ANNIVERSARY TOUR-THE BEST-LIVE
LOVE YOUR LOVE
LOVE PSYCHEDELICO Live Tour 2017 LOVE YOUR LOVE at THE NAKANO SUNPLAZA

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2019年5月17日 (金)

最初で最後のベスト盤

Title:NEGOTO BEST
Musician:ねごと

2010年にミニアルバム「Hello "Z"」でメジャーデビュー。2011年にリリースした「ex Negoto」がチャートで6位にランクインするなど一躍ブレイクを果たしました。その後もアルバムを計5枚、ミニアルバムをデビュー作含めて2枚リリースし積極的な活動を続けていたものの昨年末に2019年のツアーを最後に解散することを発表。そんな中リリースされたのが彼女たち最初でおそらくラストとなるベストアルバムでした。

ねごとの前身となるバンドが結成したのが2006年。2006年といえばちょうどチャットモンチーが「シャングリラ」でデビューした年。その後デビューした彼女たちはイメージとしてはチャットモンチーに続いて出てきたガールズバンドの走りというイメージ。事実、彼女たちもチャットモンチーのトリビュートアルバムに参加するなど、チャットモンチーを受けたバンドの一組であることは間違いなさそう。本作に収録されている作品でも、特に初期の作品、「ワンダーワールド」などは露骨にチャットモンチーの影響を感じる作品になっていたりします。

ただ、そんな初期のギターロック作品は結局のところ、チャットモンチーのフォロワーというイメージを払拭しきれずにいたのでしょう。彼女たちの方向性として徐々にエレクトロサウンドを取り入れて、バンドとしてのスタイルを確立しようとしました。そしてそんなエレクトロサウンドを大胆に取り入れてリスナーを驚かせたのが2016年にリリースされた「アシンメトリー」。この曲ではギターバンドというよりはエレクトロのミュージシャンとしての彼女たちのベクトルをはっきりと見せた作品になっています。

もっとも、今からこのベスト盤を聴くと、彼女たちは比較的初期の作品からエレクトロサウンドを取り入れていたことい気が付かされます。例えばデビューシングルでもある「カロン」などは楽曲的にはチャットモンチーからの影響を感じる作品ながらもシンセのサウンドを取り入れていますし、2012年にリリースしたシングル「Lightdentity」もエレクトロロックの作品に。こうやってあらためて彼女たちの過去の代表作を聴くと、「アシンメトリー」は突然変異の楽曲ではなく、ある意味、彼女たちの活動の中では必然だったのかな、とも感じてしまいます。

ただし、今回のベストアルバムで彼女たちの過去の代表作を聴いてあらためて感じたのは、残念ながら全体的にどうも中途半端だったかな、という印象でした。初期の作品についてはシンセのサウンドを入れてそれなりに個性を出しつつも、やはり全体的にはチャットモンチーのフォロワー的なイメージはぬぐえませんでしたし、エレクトロサウンドに大々的にシフトした後期の作品についても、正直言って果敢に挑戦するそのスタイルは絶賛に値するものの、サウンド的には決して目新しいものではなく、ロックバンドがエレクトロにシフトという方向性もよくあるパターンという印象を受けてしまいます。

彼女たちは2011年にリリースした「ex Negoto」でベスト10ヒットを記録。翌年リリースしたシングル「sharp #」も「機動戦士ガンダムAGE」オープニングテーマというタイアップの良さもありベスト10ヒットを記録しましたが、その後は売上的には伸び悩み、残念ながら売上的には下降傾向が最後まで続いてしまいました。ただ残念ながら今回のベスト盤で彼女たちの歩みを聴くと、リスナーの耳は正直だな、という印象を受けてしまいます。それなりにインパクトあるポップなメロディーはヒットポテンシャルはあるものの、確かに、これでその人気を持続させるのは厳しいだろうなぁ・・・と思ってしまいました。

メンバーはねごと解散後、おそらくそれぞれソロとして音楽活動をスタートさせるでしょう。いろいろと大変とは思いますが、これからの彼女たちの活躍を期待しつつ、是非、このねごとを超えるような曲を期待したいところ。彼女たちのこれからの活動にも注目していきたいです。

評価:★★★★

ねごと 過去の作品
Hello!"Z"
ex Negoto

"Z"OOM
VISION
アシンメトリe.p
ETERNALBEAT
SOAK


ほかに聴いたアルバム

Transducer/VOLA&THE ORIENTAL MACHINE

今年、突如発表されたNUMBER GIRL再結成のニュース。久しぶりにスポットを浴びるようになったナンバガですが、そのベーシスト、アヒト・イナザワがギターボーカルとして率いるバンド、VOLA&THE ORIENTAL MACHINEも久々の新譜がリリースされました。もともとナンバガとは異なるエレクトロサウンドを積極的に取り入れていた彼らでしたが、本作はエッジの効いたギターサウンドを前面に押し出したロックな色合いの濃いナンバーに、一方後半はいままでの彼らと同じくエレクトロサウンドを前に出したポップな色合いが濃いナンバーが並び、VOLAの幅広い音楽性を感じさせるアルバムになっています。

今回のアルバムも約4年半ぶりだったり、その前も4年のスパンが空いていたりと、正直、バンドとしては散発的な活動となってしまっている彼ら。このタイミングでアルバムというのもこれを逃すとナンバガ再結成があるためまとまった時間が取れないということなのでしょうか。そんな散発的だからこそ、バンドとしての個性やまとまりがちょっと弱い感じがしてしまうのは残念なのですが・・・次回はもっと短いスパンでアルバムがリリースされるとうれしいのですが。

ちなみにアヒト・イナザワといえば2010年にリリースしたアルバム「PRINCIPLE」収録の「Flag」という曲が非常に右翼的ということで一部左派のバッシングにあったことで話題となりました。確かにこの曲を歌詞を読むと、典型的な保守派の主張といった感じで、個人的には相いれません。ただ、正直主張内容については保守系のオーソドックスな主張であって、「特ア」という表現は若干差別的ニュアンスはあるものの、全体として許容されるべき意見の範囲内であって、これを「レイシスト」などと排除するのは、左翼的な主張を一方的に「政治的」と断じて排除しようとする右派のやっていることと大差ないように感じます。反対意見を述べるのはともかく、こういう歌詞を書くこと自体を叩くことはちょっと残念な気がします。

評価:★★★★

VOLA&THE ORIENTAL MACHINE 過去の作品
Halan'na-ca Darkside
SA-KA-NA ELECTRIC DEVICE

SUPER MUSIC/集団行動

元相対性理論の真部脩一と西浦謙助が組んだ新バンドの3枚目となるアルバム。かつての相対性理論を彷彿とさせるような独特な言葉の言い回しやシンプルながらもエッジの効いたリズムが非常に魅力的な1枚。そんな中、へヴィーなギターリフが入ったり、ニューオリンズ風に仕上げたりとバラエティーもグッと増しています。特にラストの「チグリス・リバー」はトライバルなリズムを入れつつ幻想感を覚えるサウンドが魅力的な独特の個性を感じさせる楽曲に。ただ一方、いまひとつボーカルの弱さを感じさせてしまう部分が残念な点。そこらへん気になる部分はあるものの、そろそろ大傑作が聴けそうな予感のする、そんな「何かがはじまる前」を感じるアルバムでした。

評価:★★★★

集団行動 過去の作品
充分未来

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2019年5月16日 (木)

70年代以降の楽曲のみ収録したベスト盤

Title:Honk
Musician:The Rolling Stones

デビューから50年以上の年月が経過しながら、いまだに世界を代表するロックンロールバンドとして活躍を続けるローリング・ストーンズ。最近ではミック・ジャガーの心臓手術なんていうニュースが飛び込み、ファンを心配させましたが、手術は無事成功したようで、ファンを安心させました。ただ、2016年に久々となるアルバム「Blue&Lonesome」がリリースされたものの純粋たる新譜はちょっとご無沙汰。一方ではライブ音源などのリリースが相次いでおり、ファンを喜ばせながらも、ファンの多くが高齢化し、金銭的な余裕があるファンが増えたからでしょうか、ファンに大金を費やさせるような高価なアイテムのリリースが続いています。

そして今回リリースされたアイテムも、彼らのベストアルバム。え?ベスト盤って、オールタイムベストの「GRRR!」をリリースしたばかり(・・・といってももう6年半前の話なのですが)じゃない?と思ってしまいます。ただし、今回のアルバムは「GRRR!」のようなオールタイムベストではなく、71年のアルバム「Sticky Fingers」以降の楽曲のみを集めたベスト盤になります。

なので、彼らの初期の代表作である「Satisfaction」も「Paint It,Black」も「Jumpin' Jack Flash」も「Street Fighting Man」も入っていません。なんでそんなベストを?という感じもしてしまうのですが、そこらへんの事情は「Rockin'On」のサイトのレビューに記載がしていました。

異常に盛り上がってくるこの内容に間違いはない

ただ、あきらかにプロモーションのためのレビュー記事であり、記載内容には若干の疑問があります。初期の作品については、「Beggars Banquet」や「Let It Bleed」などの名盤を聴けばそれで足る、と記載されていますが、初期の彼らはアルバムよりもシングル曲が活動の中心になっており、特にイギリス盤ではシングル曲がアルバムに収録されていない場合も多く、むしろ初期の作品の方がコンピレーションで聴くという形が向いています。また、初期の彼らの作品は、ブルースの純粋なカバーバンドとしてのスタート地点から彼らのオリジナルティーを徐々に確立し、「Their Satanic Majesties Request」という問題作を経つつも、ロックバンドとしてのスタイルを確立する過程を知ることができる重要な時期。さすがに「Sticky Fingers」以降の曲を聴けば足る、というのはちょっと言いすぎじゃない?と思ってしまいます。

もっとも彼らのオリジナリティーが確立されて圧倒的なクオリティーの作品がこの時代の続いているというのは間違いない事実。実際、「Tumbling Dice」「Wild Horses」「Angie」などおなじみの彼らの代表曲がこのアルバムにも多く収録されています。ただ一方でこの時期の彼らは「Beggars Banquet」「Let It Bleed」の時期に確立したスタイルを再生産していく、ある種の「大いなるマンネリ」気味であるのも事実。昔、タナソーがロック系の入門書の中で、「Beggars Banquet」「Let It Bleed」の彼らは新しいことを何もやっていない、というった趣旨のことを書いていて、それが個人的に妙に印象に残っているのですが、確かにブルースを基調としたロックンロールというスタイルに大きな変化はこの時期にありません。

もちろん例えば彼らがディスコを取り入れたということで話題となった「Miss You」みたいな曲もありますし(ただ、今聴くと、やはりブルースの要素は色濃く入っているのですが)、「One More Shot」ではファンクを取り入れていたり、「Undercover (Of The Night)」では80年代のハードロックの影響を感じさせたりと、決して旧態依然とした70年代のサウンドに彼らが縛られていたわけではありません。ただ、それらの曲に関しても基本的には彼らにとってはちょっとした寄り道であり、次の曲ではまたいつも通りのブルース・ロックが流れ出す、という展開になっています。

ただし、この「同じスタイルを続けている」というのは彼らにとって決して貶し文句ではありません。前述のタナソーの指摘も、だからその後のストーンズはダメだ、という話ではなかったと記憶しています。むしろ、彼らのスタイルをこの時期に徐々に磨き上げていき、彼らしか奏でえない唯一無二のスタイルに仕立て上げており、楽曲がつまらないという印象は全くありません。特に上のように所々で新たなスタイルにも挑戦しているだけに最近の曲に関しても決して古臭さは感じませんし、また一方ではストレートなブルースナンバーも所々に挟んでおり、新たな挑戦をしつつもしっかりと原点を忘れないとする彼らの愚直なまでのブルースに対する愛情も感じることが出来ました。

正直言うと、彼らの入門盤としてはさすがにちょっとおすすめしがたい部分はある作品。ただ一方、「Sticky Fingers」以降の楽曲のみを収録されているため、各種のコンピレーションでは比較的取り上げられにくい楽曲も収録されており、そういう意味ではベスト盤を聴いて、過去の名盤を聴いて、その次に最近のアルバムに手をつける前に聴くにはちょうどよいコンピレーションと言えるかもしれません。もちろん、名曲ぞろいなだけに一番最初にこれを聴いても、ストーンズにはまるのは間違いないかと。ともかく、若干お金持ちのファンからお金をまきあげる企画なんじゃない?と穿つことも出来るコンピではあるのですが、ストーンズの魅力が存分につまった作品であることは間違いなし。非常に魅力的なコンピレーションでした。

評価:★★★★★

The Rolling Stones 過去の作品
Shine a Light: Original Soundtrack
Some Girls LIVE IN TEXAS '78
CHECKERBOAD LOUNGE LIVE CHICAGO 1981(邦題 ライヴ・アット・ザ・チェッカーボード・ラウンジ・シカゴ1981)
(MUDDY WATERS&THE ROLLING STONES
GRRR!
HYDE PARK LIVE
Sweet Summer Sun-Hyde Park Live
Sticky Fingers Live
Blue&Lonesome
Ladies & Gentlemen
ON AIR
Voodoo Lounge Uncut


ほかに聴いたアルバム

Every Off Key Beat/Prefuse73

先日リリースされた彼のニューアルバム「Fudge Beats」からの先行配信的なリリースとなる4曲入りのミニアルバム。4曲でわずか7分程度の長さという短い曲がピックアップされており、どちらかというと「Fudge Beats」のプロモーション的な感のあるアルバムですが、ダークな雰囲気のサウンドに強烈なビート感の心地よい作品になっています。さすがにこの長さは短すぎる感はあるのですが、それだけにアルバムが楽しみになってしまうような内容でした。

評価:★★★★

Prefuse73 過去の作品
Everything She Touched Turned Ampexian
The Only She Chapters

Begin Again/Norah Jones

約2年半ぶりとなるNorah Jonesのニューアルバム。WILCOのジェフ・トゥイーディーとの制作も話題となったわずか7曲入りの短さなのですが、ただ一方でいままでの彼女のイメージにとらわれない意欲作に。タイトルチューンである「Begin Again」はジャズというよりもスモーキーなソウルのテイストを感じますし、アコギでしんみり聴かせる「A Song With No Name」もフォーキーな作風の曲調となっています。いままでのノラのイメージからすると新たな挑戦も感じますし、おそらくタイトルもそんな彼女の意気込みをあらわしたのでしょう。それだけにいままでのノラを期待すると少々肩すかしに合うかもしれませんが・・・新たな一歩として今後が楽しみになるアルバムです。

評価:★★★★★

NORAH JONES 過去の作品
THE FALL

...FEATURING NORAH JONES(ノラ・ジョーンズの自由時間)
LITTLE BROKEN HEARTS
COVERS(カヴァーズ~私のお気に入り)
foreverly(BILLIE JOE+NORAH)
DAY BREAKS
First Sessions

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2019年5月15日 (水)

今週も初登場は少な目

先週に引き続きHot100、Hot Albumsともに初登場が少な目だったため、同時更新となります。

今週のHot100

http://www.billboard-japan.com/chart_insight/

まず1位は初登場曲。

まず1位を獲得したのはONE N'ONLY「Dark Knight」が獲得。スターダストプロモーション所属の男性アイドルグループEBiSSHとさとり少年団が合体したグループ。楽曲はビックリするほどK-POPを意識したような・・・というよりもそのまんまなナンバー。CD販売数1位を獲得したものの、ほかはラジオオンエア数66位、PCによるCD読取数38位、Twitterつぶやき数71位でそのほかは圏外という結果になっています。ちなみにオリコンでは初動売上4万6千枚で1位を獲得しています。

2位は先週1位のあいみょん「マリーゴールド」がワンランクダウン。ストリーミング数は今週で19週連続の1位。ダウンロード数7位、You Tube再生回数3位も先週と変わらず。ちなみに彼女は「ハルノヒ」も今週4位にランクインさせており、2曲同時ランクインが続いています。3位も米津玄師「Lemon」がワンランクダウンながらもベスト3をキープ。ダウンロード数は2位から4位にダウンしたものの、PCによるCD読取数及びYou Tube再生回数は先週と変わらず2位をキープしています。

ほかにもロングヒット曲はKing Gnu「白日」が先週と変わらず5位をキープ。ダウンロード数は5位から8位にダウンしましたが、ストリーミング数は先週と変わらず2位をキープ。You Tube再生回数は5位から4位にアップし、これで通算10週目のベスト10ヒットとなりました。

そんな中、数少ない初登場曲はまず7位に狼の姿でおなじみのロックバンドMAN WITH A MISSIONの配信限定シングル「Remember Me」がランクイン。ダウンロード数で1位、ストリーミング数35位、Twitterつぶやき数100位を獲得。フジテレビ系ドラマ「ラジエーションハウス~放射線科の診断レポート~」主題歌。ミディアムテンポでスケール感もあり、歌を聴かせる良くも悪くもヒットチャート王道系の作りのナンバーになっています。

また8位にはOfficial髭男ism「Pretender」が先週の20位からランクアップしベスト10入り。ブレイク候補の最右翼と言われる4人組バンドで、本作は映画「コンフィデンスマンJP」主題歌で、5月15日リリース予定のCDからの先行配信。良い意味で垢抜けてきており、このベスト10入りで本格的なブレイクとなった・・・のでしょうか。ダウンロード数は13位だったもののストリーミング数8位、ラジオオンエア数2位の効果で見事ベスト10入り。ほか、Twitterつぶやき数42位、You Tube再生回数82位を記録しています。


今週のHot Albums

http://www.billboard-japan.com/chart_insight/

今週も見事1位をキープ。

Hot Albumsはback number「MAGIC」が先週と変わらず1位をキープ。CD販売数は5位だったものの、ダウンロード数及びPCによるCD読取数で1位を獲得し、総合順位では見事1位に輝きました。

2位初登場は「歌物語2-<物語>シリーズ主題歌集-」。西尾維新による小説「<物語>シリーズ」のテレビアニメコンピレーションアルバムがランクイン。CD販売数は1位でしたが、ダウンロード数10位、PCによるCD読取数は26位に留まり、総合順位はこの位置となりました。ちなみにオリコン週間アルバムランキングでは同作が初動売上1万6千枚で1位を獲得しています。

3位はあいみょん「瞬間的シックスセンス」が6位から3位にランクアップ。3月18日付チャート以来、実に9週ぶりのベスト3返り咲き。これで13週連続のベスト10ヒットとなっています。また、同作と同じ週にランクインしたONE OK ROCK「Eye of the Storm」も8位から5位にアップ。こちらは通算9週目のベスト10ヒットを記録しています。

初登場組はまず7位に藤川千愛「ライカ」がランクイン。アイドルグループまねきケチャの元メンバーによるソロデビュー作。先週の68位からCDリリースに合わせてランクアップ。CD販売数6位、ダウンロード数11位で総合順位はこの位置に。オリコンでは初動売上5千枚で10位にランクインしています。

また10位には女性声優4人組によるグループ、スフィア「10s」が初登場でランクイン。CD販売数7位、ダウンロード数42位、PCによるCD読取数68位。ちなみにオリコンでは初動売上5千枚で9位初登場。前作「ISM」の8千枚(11位)からダウンしています。

さて今週はベスト10返り咲き組も。米津玄師「BOOTLEG」が先週の11位から8位にランクアップ。2月25日付チャート以来、13週ぶりのベスト10返り咲きとなりました。「Lemon」も驚異的なロングヒットを続けていますが、本作も2017年11月13日付チャートで1位に輝いてから、今週で81週目。ずっとベスト20圏内に入っており、驚異的なヒットを続けています。

今週のHot100及びHot Albumsは以上。チャート評はまた来週の水曜日に!

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2019年5月14日 (火)

バブル期の空気を伝えつつ、彼女たちのこだわりも感じるカバーアルバム

Title:Endless Bubble~Cover Songs vol.1~
Musician:ベッド・イン

以前、当サイトでも紹介したこともある地下セクシーアイドルユニットを自称するベッド・イン。80年代~90年代のバブルの空気を今に、をテーマにアラフォー世代以上にとっては懐かしさを感じられるバブル期のスタイルを表に出した楽曲が大きな特徴となっています。そんな彼女たちの最新作は、バブル期のヒット曲を取り上げたカバーアルバム。昨年、荻野目洋子の「ダンシング・ヒーロー」のリバイバルヒットが話題になりましたが、バブル期にはその時代を反映させたヒット曲が数多く登場しました(まあ、ヒット曲がその時代を反映するのはバブル期に限った話ではないのですが)。まさに今回のアルバムは、そんなバブル期を彷彿とさせるヒット曲を取り上げることであの時代を懐かしむ、そんなアルバムになっています。

・・・と言いたいのですが、選曲を見ると、おそらくは単純にバブル期のヒット曲を取り上げただけ、というカバーアルバムとはちょっと異なる、彼女たちのこだわりを感じます。確かに「CHA-CHA-CHA」のような、バブルを代表するようなヒット曲もカバーされています。ただ、全体的には女性の強さを歌ったような曲が多かったように感じました。「嵐の素顔」も歌詞として女性の素顔をテーマとしていますし、「目を閉じておいでよ」も男女間のインモラルな恋愛の駆け引きを歌っています。

その典型的なのは久宝留理子の「『男』」のカバーでしょう。実はこの曲自体は1993年のヒット曲でバブル期というよりもむしろバブル崩壊まっただ中での楽曲。バブルの時代の女性といえば、「アッシーくん」だとか「ミツグくん」だとか、男性をあごで使うような態度を取りながらも、その実、そのアイデンティティーはあくまでも男性あってのものだったのに対して、久宝留理子の「『男』」はあきらかに男性に頼らない女性の自立を歌っており、楽曲としてはむしろアンチ・バブルの色合いが濃い楽曲になっています。この曲をあえて選んでいるあたりに、単純にバブルを後追いするだけではない彼女たちの一種のこだわりを感じさせます。

また彼女たちのこだわりはそのサウンドにも感じさせます。まず全体的にロックなナンバーが多い点が特徴的。「あゝ無情」も「嵐の素顔」もかなりハードロックなテイストの強いアレンジになっていますし、ラストを飾る「限界LOVERS」はまさにバリバリのメタルチューン。へヴィーなバンドサウンドをこれでもかというほど聴かせてくれます。そしてそれ以上にこだわりを感じさせるのが、どの曲もバブル時代の空気を感じさせるような、いかにも80年代後半から90年代前半あたりに流行ったような音が使われているという点。ここらへんはあの時代の空気感をサウンドを通じて伝えようとする彼女たちのこだわりを感じさせます。

これもあきらかに「嵐の素顔」ではいかにも90年代的なハードロックのアレンジがほどこされていますし、こちらも典型的だったのが「『男』」のカバーで、原曲はどちらかというと今につながるいかにも90年代J-POPなアレンジなのですが、本作のカバーでは出だしのシンセの音といい、むしろ80年代後半あたりのアレンジがほどこされています。基本的に原曲に忠実なアレンジが多い中でさりげなくバブル時代の雰囲気を強調するようなアレンジになっており、ここらへんにも彼女たちのこだわりを感じました。

そんなこだわりを感じさせる楽曲はいずれもアラフォー以上の世代にとってはとても懐かしさを感じる楽曲ばかり。ほどよくロッキンで、あの頃を思い起こさせるサウンドもとても心地よく、素直にはまれるカバーアルバムだったと思います。そういう意味ではベッド・インというバンドのテーマに合わせつつ、彼女たちの主張も感じされ、かつポップのアルバムとして素直に楽しめる、実によく出来たカバーアルバムだったと思います。タイトル通り、第2弾以降も予定されているのでしょうか。これは次回作も期待したいところ。楽しみです。

評価:★★★★★

ベッド・イン 過去の作品
TOKYO


ほかに聴いたアルバム

続 B面画報/Plastic Tree

タイトル通り、シングルのカップリングだけを集めたいわゆるカップリング集。2007年に前作「B面画報」をリリースしていますので、その後にリリースされた作品だけを収録した2枚組のアルバムとなります。

Plastic Treeといえばヴィジュアル系バンドとしては珍しく、メタル、ハードロック方面ではなく、オルタナ系からの影響が強いバンドなのですが、カップリング曲ではその趣味性がよりはっきりとあらわれる形になっています。さらにエレクトロサウンドを取り入れたり、ハードコア色が強い曲があったりと、全体的にオリジナルアルバムよりも自由度の高い内容に。個人的にはオリジナルアルバムよりも楽しめたかも。

評価:★★★★

Plastic Tree 過去の作品
B面画報
ウツセミ
ゲシュタルト崩壊
ドナドナ
ALL TIME THE BEST
アンモナイト
インク
echo
剥離
doorAdore

フレデリズム2/フレデリック

オリジナルフルアルバムとしては約2年4ヶ月ぶりとなるフレデリックの新作。歌謡曲の要素すら感じられる哀愁感あるメロディーラインにダンサナブルなエレクトロサウンドをバンドサウンドと組み合わせるというスタイルは以前から大きな変化はありません。それなりにインパクトもあってライブは楽しそうだな、という印象は受けますし、昨今、フェス仕様のバンドが増える中では彼らなりの個性は感じさせます。個人的には楽曲にもうちょっとバラエティーがあった方がより面白いとは思うのですが・・・。

評価:★★★★

フレデリック 過去の作品
フレデリズム
TOGENKYO

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2019年5月13日 (月)

アラフォー世代感涙のアニメ映画サントラ盤

2月に公開され話題となった映画、「劇場版シティーハンター 新宿プライベイト・アイズ」。私もアラフォー世代として中学生の頃、「シティーハンター」には夢中になったたちでしたので、ちょっと前、3月くらいの話になるのですが、この映画を見に行きました。その感想も簡単に後で書くとして・・・その映画に関連して2枚、アルバムがリリースされていますので今回はそのアルバムの紹介です。

Title:劇場版シティーハンター <新宿プライベート・アイズ> -VOCAL COLLECTION-

まずは映画の中で使われたボーカル曲をまとめたコンピレーションアルバム。映画ではかつてのテレビアニメで使われたオープニングテーマ、エンディングテーマがそのまま使われており、評判となりました。このコンピレーションアルバムはそんな懐かしいテレビアニメのOP/EDテーマをまとめたアルバムなのですが・・・シティーハンターのアニメOP/EDといえば名曲揃いでアニメをかつて見ていた私にとっても懐かしいセレクション。まさに感涙モノのセレクションアルバムとなっています。

「シティーハンター」のエンディングテーマとしてなんといっても忘れてはいけないのが「Get Wild」でしょう。TM NETWORKのブレイク曲にもなった曲なのですが、アニメの中での使い方も実に秀逸。アニメのラストシーンに重なるように「Get Wild」の最初のピアノの音がスタート。そしてそのままエンディングに突入するというスタイルは今聴いても鳥肌モノ。アニメの世界観と楽曲がピッタリとマッチしており、おそらく、アニメのエンディングとしては強いインパクトを受けたアラフォー世代は少なくないでしょう。

また、「シティーハンター」のエンディングテーマとして使われたのは主にエピックソニー(当時)からCDをリリースしていた新進気鋭のミュージシャンたち。当時のエピックソニーといえば、若者世代に圧倒的な支持を得ていた時代の先端を行くようなミュージシャンを多く抱えていたレーベル。さらに今と違い、当時はアニメ主題歌といえば一般的にはアニメ向けにカスタマイズされたキッズソングが流れるというイメージが強かった時代。そんな時代にポップスシーンの先端を行くミュージシャンたちの曲がアニメのOP/EDとして流れるというのは非常に衝撃的でした。いまはアニメの主題歌にJ-POPのミュージシャンたちが使われるのは普通になりましたが、そんな走りとも言えるのが「シティーハンター」でした。

そしてそんな時代の先端を行っていた曲の数々は、(思い出補正も入っているかもしれませんが)今聴いても全く遜色ありません。疾走感あるニューウェイブのサウンドにCHAKAのハイトーンのボーカルも心地よいPSY・S「ANGEL NIGHT~天使がいる場所~」に、ファンキーなポップスが今聴いても文句なしにカッコいい岡村靖幸の「SUPER GIRL」、個人的にはTMの曲の中で「Get Wild」より好きな「STILL LOVE HER」はキネメロと小室サウンドが上手く融合された切ないメロがたまりませんし、小比類巻かほるの「City Hunter~愛よ消えないで~」も彼女の力強い歌声が印象に残るAORナンバーに仕上がっています。

一方、今回のコンピレーションには当時の挿入歌もおさめられているのですが、こちらはその当時の時代性をそのまま反映されたニューウェーヴ風のポップスで、チープなサウンドも含めて今聴くとちょっと辛い感じも。良くも悪くも80年代をそのままパッケージしてきたような内容になっています。そういう意味ではOP/EDテーマ曲との差がちょっと激しかったような感じがします。

「シティーハンター」を知らない世代にまでお勧めできるかどうかは微妙なのですが・・・アラフォー世代なら間違いなくはまる感涙モノの1枚。映画でもこれらの曲が上手く使われていましたが、このアルバムを聴いて、また懐かしさがこみあげてきました。

評価:★★★★★

で、こちらは映画のバックミュージックが収録されたサントラ盤。

Title:劇場版シティーハンター <新宿プライベート・アイズ> -ORIGINAL SOUNDTRACK-

映画でも印象的だった、カッコイイラップからスタートしつつ、ラストは「シティーハンター」でおなじみの「モッコリ」をカッコよく言って終わるというコミカルな「Mr.Cool」や、今回、ゲスト的に出演したCAT'S EYEの登場シーンで流れた「CAT'S EYE」なども収録されています。

内容的には映画のワンシーンを彷彿させる曲が多いのですが、ただ全体的には印象が薄い感じ。というか、どちらかというと必要以上にインパクトを持たせないで、映画の中にうまく溶け込ませているといった印象を受ける楽曲ばかりで、サントラ盤としてアルバムで聴くとどうしても物足りなさを感じてしまうのですが、映画の中で使われる分にはむしろ非常によく出来た楽曲ばかりだったとも思います。

そんな訳で、こちらは映画を見た方、それもかなり熱心なファン向けの1枚といった感じ。良くも悪くもサントラらしいサントラ盤といった印象を受けた1枚でした。

評価:★★★

で、せっかくなので以下、映画についての感想も・・・

続きを読む "アラフォー世代感涙のアニメ映画サントラ盤"

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2019年5月12日 (日)

これ・・・アルバムタイトル?

Title:労働なんかしないで 光合成だけで生きたい
Musician:スガシカオ

ある意味そのタイトルだけでいままでにないインパクトを与えるスガシカオのニューアルバム。タイトル自体にはかなり個人的にも共感できる部分はあるのですが、なぜアルバムタイトルとしてこれを持ってくる??(笑)ちなみにタイトルチューンである「労働なんかしないで 光合成だけで生きたい」は1曲目に収録。ただ歌詞は「働いたら負け」的なニートの思想を体現化したものではなく、都会の中で孤独をかかえた人の描写。ただ、軽快なギターリフとファンキーなホーンセッションが入ったリズミカルなファンクチューンとなっており、暗さよりもどこかユニークさを感じる曲になっています。

ちなみに今回のアルバム、ほかにも「あんなこと、男の人みんなしたりするの?」だったり「おれだってギター1本抱えて 田舎から上京したかった」だったり、なぜか妙に長いタイトルの曲が並ぶアルバムになっています。ただ、どの曲も必ずしもコミカルなナンバーではなく、都会に生きる人の心境をしっかりと描写した真面目な楽曲になっています。

さてオフィスオーガスタを離れ、SPEEDSTAR RECORDSと契約してリリースされた第1弾アルバムである前作「THE LAST」は初期のスガシカオを彷彿とさせるようなファンク色の強いアルバムに仕上がっており、スガシカオがより自由に楽曲を制作したんだな、ということを感じさせる傑作アルバムに仕上がっていました。そして前作から約3年3ヶ月ぶりとなる本作も、前作から引き続き、彼がやりたいことをやったような自由度の高いアルバムに仕上がっていました。

とにかくファンクの要素の強い作風で、前述のタイトルチューン「労働なんかしないで 光合成だけで生きたい」も「あんなこと、男の人みんなしたりするの?」も非常に黒いファンクチューン。後半の「マッシュポテト&ハッシュポテト」もアップテンポでダンサナブルな正統派ファンクチューンに仕上がっており、ワクワク踊りだしたくなるようなリズムを聴かせてくれています。

さらに「おれだってギター1本抱えて 田舎から上京したかった」もグルーヴィーなギターサウンドが心地よいチューンですし、ラップでRHYMESTERが参加した「ドキュメント2019」はスガシカオ流のファンキーディスコチューンに。前作から続いてファンクなスガシカオという側面をより強く押し出されたアルバムになっています。ひょっとしたら妙に長い楽曲タイトルも彼の本来の趣味で、レコード会社を移籍してより自由に活動できるようになったからこそ、楽曲に長いタイトルがつけられるようになった・・・・・・・のかも?

ちなみにそんなファンクチューンの混じるように収録されている聴かせるポップチューンも非常に良質。中盤の「スターマイン」もしっかりと聴かせるナンバーになっていますし、ラストを締めくくる「深夜、国道沿いにて」も、途中ちょっとどぎつい描写も出てくるのですが、郷愁感あるメロと歌詞が胸をうつナンバーになっています。

そんな訳でファンキーで黒いスガシカオをきちんと聴かせつつ、しっかりとメロディアスでポップに聴かせるスガシカオもしっかりと収録されている、前作に続く傑作アルバムになっていました。全編書下ろしのアルバムでシングル曲がなく、インパクトがちょっと薄い面もあるのですが、それを差し引いてもスガシカオの良さがしっかりと発揮されたアルバムになっていました。新たなレコード会社となって、いままで以上に勢いが出てきた感のある彼。これからの活動も楽しみです。

評価:★★★★★

スガシカオ 過去の作品
ALL LIVE BEST
FUNKAHOLiC
FUNKASTiC
SugarlessII
BEST HIT!! SUGA SHIKAO-1997~2002-
BEST HIT!! SUGA SHIKAO-2003~2011-

THE LAST
THE BEST-1997~2011-

フリー・ソウル・スガシカオ


ほかに聴いたアルバム

TETSUYA KOMURO ARCHIVES EX

昨年、週刊誌の不倫報道をきっかけに音楽活動を引退した小室哲哉。昨年はそんな彼の作品を網羅したベスト盤「TETSUYA KOMURO ARCHIVES」がリリースされましたが、本作は配信限定でリリースされた、「ARCHIVES」シリーズでは収録できなかった曲を収録したアルバム。ミリオンセールスを記録したH Jungle with tの「GOING GOING HOME」のような曲もあるのですが、trfのブレイク前のデビュー曲「GOING 2 DANCE」やglobeの非売品シングル「winter comes around again」、さらにはあの大魔神佐々木主浩が歌った珍曲(?)「break new ground」など知る人ぞ知る的な曲がメイン。もちろんどの曲も小室哲哉らしい曲が並んでいるのですが、彼がいろいろなミュージシャンに幅広く楽曲を提供していたことをうかがわせる選曲になっています。ただ一方で小室系がブレイクする前にも多くのミュージシャンに曲を提供していた彼。今回の作品では2000年代以降の曲がメインになっており、80年代や90年代前半の曲も正直、もっと収録してほしかったなぁ、という不満も感じてしまったアルバムでした。

評価:★★★★

TETSUYA KOMURO ARCHIVES "T"
TETSUYA KOMURO ARCHIVES "K"

SUKIMASWITCH 15th Anniversary Special at YOKOHAMA ARENA ~Reversible~/スキマスイッチ

すっかり恒例のライブツアー毎にリリースされるスキマスイッチのライブアルバム。今回は昨年11月10日、11日に行われた横浜アリーナでのライブを収録したアルバム。~Reversible~というタイトル通り、2日目のステージは1日目の曲順を全く逆にして披露したという構成になっていたそうです。このライブ盤では2日目の模様を収録。そのため「~Reversible~」の効果は味わえませんが、ほぼ「ベスト盤」とも言える選曲になっており、またアリーナでのライブにあわせてよりスケール感あるアレンジで楽しめるライブ盤に。そういう意味ではいままでのライブ盤に比べると、よりライブらしいアレンジを楽しみつつ、ベストな選曲のため聴きやすい選曲のアルバムになっていました。

評価:★★★★

スキマスイッチ 過去の作品
ARENA TOUR'07 "W-ARENA"
ナユタとフカシギ
TOUR2010 "LAGRANGIAN POINT"
musium
DOUBLES BEST
TOUR 2012 "musium"

POP MAN'S WORLD~All Time Best 2003-2013~
スキマスイッチ TOUR 2012-2013"DOUBLES ALL JAPAN"
スキマスイッチ 10th Anniversary Arena Tour 2013“POPMAN'S WORLD"
スキマスイッチ 10th Anniversary“Symphonic Sound of SukimaSwitch"
スキマスイッチ
TOUR 2015 "SUKIMASWITCH" SPECIAL
POPMAN'S ANOTHER WORLD
スキマスイッチTOUR2016"POPMAN'S CARNIVAL"
re:Action
新空間アルゴリズム
スキマノハナタバ~Love Song Selection~
SUKIMASWITCH TOUR 2018"ALGOrhythm"

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2019年5月11日 (土)

バンドとしての貫禄を感じる19年ぶりの新作

Title:9999
Musician:THE YELLOW MONKEY

1996年に大ヒットしたシングル「JAM」をはじめ1990年代後半に一世を風靡したロックバンド、THE YELLOW MONEY。しかしその後、2001年の活動休止を経て2004年に解散を発表します。その後、メンバーそれぞれソロとして活動を続けていたのですが、徐々に再結成の機運も高まり2016年についに再結成。その年の紅白に初出場を果たしました。

その後、セルフカバーによるベスト盤などもリリースされたものの、この手の再結成でありがちなのですが、シングルはリリースされるもののアルバムはなかなか発売されず、ファンをやきもきさせていたものの、今年、ついに待望となるニューアルバムがリリース。約19年ぶりのニューアルバムとなる本作はファンにとってもまさに待ちに待った1作といった感じではないでしょうか。

さて、そんな久々となるTHE YELLOW MONKEYの新作なのですが、アルバムを通じてまずは感じた感想としては、THE YELLOW MONKEYのバンドとしてのある種の貫録を感じさせる傑作になっていた、という点でした。アルバム自体は、実にイエモンらしい楽曲が並ぶアルバムになっていたと思います。1曲目の「この恋のかけら」は、ウォール・オブ・サウンドか??とすら思うような分厚いサウンドからスタートし、少々ビックリしたのですが、やがてイエモンらしいメロディーがあらわれてきます。続く先行シングル「天道虫」はヘビーなギターリフが主導されるバンドサウンドを前に出した、よりロック色が強いナンバー。さらに「Love Homme」「Stars」とバンドサウンドでロックな側面を強調した曲が並び、まずはロックなイエモンを前に押し出したスタートとなっていました。

ただ中盤以降は「Breaking The Hide」では妖艶な雰囲気が楽曲の中で醸し出しており、ここらへんからいわばイエモンのコアな部分が表に出てきた感じ。さらに真骨頂とも言えるのは8曲目に収録されている再結成後初となるシングル「砂の塔」で歌謡曲テイストの強いメロディーラインにストリングスを入れた哀愁感あるサウンドは、まさに歌謡曲とロックを融合させたイエモンらしいナンバー。続く「Balloon Balloon」も疾走感あるサウンドの歌謡ロックとして仕上がっており、ある種のバンドとしての円熟味も感じられる楽曲が並んでいました。

後半も「Titta Titta」など軽快なロックンロールチューンを挟みつつ、ラストを締めくくる「I don't know」も切なさを感じるメロディーラインが歌謡曲テイストを含みつつインパクト大のナンバーで、ほどよい余韻を残しつつアルバムが締めくくられていました。

THE YELLOW MONKEYといえば歌謡曲からの影響を色濃く受けたメロディーラインと洋楽テイストも強いロックなサウンドのバランスが実に絶妙なバンドなのですが、久々となるアルバムはそんな彼らの方向性をさらに推し進め、さらにバンドとして円熟された感を覚えるようないい意味での安定感を覚える傑作に仕上がっていたと思います。

思えばTHE YELLOW MONKEYが以前活躍していた90年代後半は彼らのような歌謡ロックに対する評価が非常に低かったように思います。まだ80年代以前の歌謡曲の記憶が色濃く残っていた時代ですし、クレイジーケンバンドのような「昭和歌謡」を前に出したようなバンドもまだいませんでした。実際デビュー当初からしばらく彼らはヒットに恵まれませんでしたし、ブレイク後も第1回目となるフジロックフェスティバルに出演した際も、客層のメインだった洋楽ファン層からの反応は芳しくなく、ほかのバンドのライブの時も最前列で場所取りをする一部のイエモンファンの悪評ばかりが音楽シーンに残ってしまう散々たる結果となりました。

しかしそれから20年以上の月日が経過してシーンの様子は大きく変わりました。特に歌謡曲に対するイメージも大きく変わり、いまや歌謡曲からの影響を公言するミュージシャンやロックバンドも少なくありません。そんな中、吉井和哉も歌謡曲のカバーアルバムをリリースするなど、ソロ活動を通じて自らの原点を見つめ直してきました。

そして今、まさにミュージックシーンがようやくイエモンに追いついたかのような状況になっている中での再結成と、実に19年ぶりとなる新作は、バンドとしてのその音楽性に対するゆるぎない自信と、ベテランとしてのある種の余裕を感じさせる内容になっていました。だからこそ最初に書いたようなバンドとしての貫禄を感じさせる新譜になっていたのでしょう。作品としてはまさにTHE YELLOW MONKEYらしい作品が並んだアルバムになっているのですが、楽曲の内容は19年前と比べて一段も二段も高みに到達したような傑作アルバムになっていたと思います。

待ちに待ったファンにとっては満足いく傑作だったでしょうし、シーンの中においてもイエモン、ここにありを強調できた作品だったと思います。ただ、ちょっと気になるのは今後もコンスタントに活動を続けていくのかどうか、という点。本作をリリースするまで再結成後3年も経ってしまいましたし、出来れば今後も活動をフェイドアウトさせずにコンスタントに続けて行ってほしいのですが・・・。

評価:★★★★★

THE YELLOW MONKEY 過去の作品
COMPLETE SICKS
イエモン-FAN'S BEST SELECTION-
砂の塔
THE YELLOW MONKEY IS HERE.NEW BEST


ほかに聴いたアルバム

世界でいちばんいけない男~近田春夫ベスト/近田春夫

最近はすっかり音楽評論家としての活動が目立つ近田春夫。ただもともとは日本のポピュラーミュージック史に名前を残すミュージシャンであり、特にHIP HOPのシーンにおいて日本で最も早い段階でラップを取り入れた一人としても知られています。本作はそんな彼のベストアルバム。ただ、縦横無尽に活躍した彼の曲の中で本作はポップやロックな曲に焦点をあてたアルバム。これがニューウェーブからロック、歌謡曲、ロカビリー、ラテン、フュージョンなど様々な作風を取り入れており、まさに彼の音楽的な素養と興味の広さを感じます。正直、ちょっと時代を感じさせる曲もあるのですが、それだけ彼の曲が時代に寄り添った、その時代時代の新しい音を取り入れてきたという証拠。肝心のHIP HOP系の曲は収録されていないのですが、近田春夫というミュージシャンを知る最初の一歩としては最適な1枚でしょう。

評価:★★★★

リラックマとカオルさん オリジナル・サウンドトラック/岸田繁

先日、「交響曲第二番・初演」のCDをリリースしたばかりのくるりの岸田繁ですが、そんな彼の最新作は動画サイト「Netflix」で配信されているオリジナル・ストップモーションアニメ「リラックマとカオルさん」のサントラ盤。いままで何作かサントラ盤を手掛けてきた岸田繁ですが、正直、いままでのサントラ盤はアイディアの断片といった感じで対象となる映像作品を見ていないと楽しめない作品でした。しかし、今回のサントラに関しては、まさに「リラックマ」というイメージがピッタリ来るような、ほっこりとした暖かみを感じる作品が並んでおり、音楽だけで「リラックマとカオルさん」のアニメの魅力が伝わってくるよう。後半は比較的アイディアの断片的な楽曲が並んでしまっているのですが、それでもくるりの新作「SAMPO」を聴くだけでもファン必聴のアルバムだったと思います。リラックマのイメージ通り、だらりんと楽しめるアルバムでした。

評価:★★★★

岸田繁 過去の作品
まほろ駅前多田便利軒 ORIGINAL SOUNDTRACK
岸田 繁のまほろ劇伴音楽全集
岸田繁「交響曲第一番」初演(指揮 広上純一 演奏 京都市交響楽団)
岸田繁「交響曲第二番」初演(指揮 広上純一 演奏 京都市交響楽団)
岸田繁「フォークロア・プレイリスト I」(指揮 広上純一 演奏 京都市交響楽団)

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2019年5月10日 (金)

クラシックとポップスの橋渡し的な存在として

今日は最近読んだ音楽関連の書籍の紹介。今回読んだのは、「Studio Voice」の元編集長で音楽評論家の松村正人による現代音楽の歩みを網羅的に紹介した「前衛音楽入門」です。

私が現代音楽、あるいは前衛音楽というものにちょっと興味を持ったきっかけが、一時期、クラシック音楽に手を伸ばしかけた時に勉強のために読んでみた「もう一度学びたいクラシック」というクラシック音楽の歴史を概観的に紹介した本。グレゴリオ聖歌からはじまり最後は前衛音楽まで網羅的に紹介した一冊なのですが、この中で前衛音楽の触りが紹介されていました。その中では録音した音源をつなぎあわせて新しい音楽を作るという、サンプリングに通じる「ミュージック・コンクレート」という作曲手法や、テクノなどのジャンルではおなじみのミニマル・ミュージックという作曲手法などが紹介。ポピュラーミュージックのジャンルでそのような手法が取り入れられる以前の1960年代や70年代あたりに前衛音楽としてそのような音楽が誕生していたことを知り、驚き、前衛音楽というジャンルに興味を持ちました。ただ、その後はいろいろなジャンルの音楽を聴くのに忙しく、前衛音楽のジャンルまではなかなか手が伸びず、今に至っています。

そんな状況の中で出会ったのが今回のこの一冊。「入門」というタイトル通り、まさに前衛音楽の歩みを概観的に紹介した一冊なのですが、イラストや写真などを用いてわかりやすく紹介したいわゆるノウハウ本的な本ではなく、学術書とまではいきませんが、前衛音楽の歴史をその思想的な側面まで踏み込んで丁寧に解説したしっかりと読ませる一冊となっています。正直言って、次々と人物が登場し、専門用語も特に注釈なく登場してくるため音楽的に全くの初心者だとちょっとわかりにくい感じもするのですが、ただ非常に読み応えのある作品ではありました。

特に今回この本を読んでみようと思ったのが、上にも書いた通り、前衛音楽がポピュラーミュージックと、クラシック音楽などのいわゆる「芸術音楽」との間をむすびつける橋渡し的な要素を感じていたのですが、この本がそんな前衛音楽の一環としてポップスのジャンルもきちんと取り上げていたからで、この本は最初、エリック・サティからスタートするのですが、フリージャズやHIP HOPのサンプリングまで触れ、最後はソニック・ユースで締めくくっています。また、序章ではRADIOHEADの名盤「KID A」の前衛音楽からの影響についても書かれています。

さて今回、この本を読んであらためて知ることが出来たのは前衛音楽というジャンルは非常に思想性の強いジャンルであるという点でした。音楽というジャンルに意識的もしくは無意識的に存在するある種の規範をあえて逸脱することにより、その向こうに広がる新しい音楽を模索する作業、それが前衛音楽であるということがこの本を読むことにより知ることが出来ました。そのため、前衛音楽には音楽家のある種の哲学が反映されており、本書でもその哲学的な部分についても簡単に記載されており、正直、読んでいて難解な部分も少なくなかったのですが、興味深く読むことが出来ました。

もっとも、前衛音楽を理解するためには、おそらく音楽に限らず前衛芸術全般に言えることだとは思うのですが、そういった思想的な背景を知る必要があり、それがこの手の前衛芸術を「難解なもの」と一般的に認識される大きな要因なのでしょう。ただ一方でそんな前衛音楽の中からも、例えばミニマルミュージックなどはポピュラーミュージックの手法として一般的なものとなっていますし、無調の音楽もポップスの中でも多く取り入れられているようで、音楽の規範を逸脱した向こうに、新たに魅力的な音楽の世界が広がっていたという事実におもしろさも感じます。今回、この本を読むことでそんな前衛音楽の魅力を強く感じることが出来ました。

ただ一方、ちょっと残念に感じる部分があり、まず一点目は本書に索引がなかった点。この本では前衛音楽の作曲家が多く登場しますし、また新たな音楽のジャンルも多く登場します。そのため固有名詞も多く、初心者にとっては読み進みにくい要因になっているのですが、それを手助けするための索引がなかったのは非常に残念。また読み終わった後に後日であった前衛音楽について調べるためにもこの手の本には索引が必須だと思うのですが・・・その点は非常に残念に感じます。

また、文章の中に前衛音楽の歴史の中の転機になったアルバムが多く紹介されているのですが、そういったアルバムに関してのディスクガイドがなかったのは残念。最後に何枚かディスクガイド的にアルバムが紹介されているのですが、本書の中で登場するアルバムとは異なっているアルバムも多く、現在の視点から見て、本書の中に登場するアルバムの立ち位置がいまひとつわからない部分もあり、そういう意味ではもうちょっと充実したディスクガイドが欲しかったようにも思います。もっとも、ともすれば膨大にひろがりかねない前衛音楽のジャンルで入門的に聴くべきアルバムを絞ったという見方も出来る訳で、最後に紹介されているアルバムについては是非聴いてみたいと思うのですが。

そんな訳でちょっと残念な部分はありつつも、全体的にはとても魅力的に前衛音楽について知ることが出来た良書でした。これを機に、いままで知らなった世界の音楽にも手を広げられるかも。まずは本書の最後に紹介されているアルバムを1枚ずつ聴いてみたいと思います!

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2019年5月 9日 (木)

原点回帰

Title:No Geography
Musician:The Chemical Brothers

聴いていてとにかく気持ちいい!!ケミカルブラザーズの4年ぶりとなるニューアルバムは、まず聴いていてそんな感触を覚える傑作アルバムに仕上がっていました。今回のアルバムは彼らにとって原点に立ち返えり、かつ、固定概念を壊すような自由をテーマとしたアルバムになっているとか。「固定概念を壊す」といいつつこんなことを言うのはなんなのですが、ファンにとってはこれぞケミブラ!と喝采をあげたくなるような傑作アルバムに仕上がっていました。

まずアルバムの1曲目を飾る「Eve of Destruciton」のスタートから、徐々に盛り上がっていくエレクトロサウンドから一気にスタートするあたりに非常に心躍らされます。この曲で驚かされるのは途中、いきなり日本語のラップが入るところ。ここでも何回か紹介しているゆるふわギャングのNENEがラップで参加しており、彼女がラップする「ぶっ壊したい何もかも」というのはまさにアルバムのテーマに沿ったリリック。このラップの歌詞の意味がしっかりとわかるという点は今回のアルバムに関する日本人の特権ということで(笑)。

さらにタイトルチューンである「No Geography」などもトランシーなサウンドが軽快に響きつつ、途中、スペーシーなサウンドでスケール感を出すという、ある意味ベタな展開。ただわかりやすい壺を抑えたようなエレクトロサウンドにとにかく心が躍ります。後半の「Free Yourself」も淡々と「ダンス」とコールする女性ボーカルがカッコいいダンスチューンで、こちらも心躍らされるナンバーに。そこから同じくトランシーでよりビート感を強くした「MAH」への展開などは非常にかっこいいものがあり、ライブで聴いても気持ちいいんだろうなぁ、と想像させられます。

今回のアルバムでは全面的にノルウェーのシンガーソングライター、オーロラがゲストボーカルとしてフューチャーされているらしく、メタリックなリズムがインパクトの「We've Got To Try」ではソウルフルなボーカルを披露。ラストのチルアウト的な「Catch me I'm Falling」でも伸びやかな歌声を魅力的に聴かせてくれています。

そんな訳で良い意味でのベタさ、ケミブラらしさを感じたアルバム。ただ一方では決して今の時代の古さを感じさせない心地よいエレクトロチューンを聴かせてくれた作風にも仕上がっていました。原点に回帰しつつも、単純な回顧趣味に走るだけではなくしっかりと軸足を今につけていたといったところでしょうか。しっかりと彼らの現役感も感じられるアルバムだったと思います。

思えば前作「Born In The Echoes」リリース時はEDMブーム真っただ中。そんな中で単純なEDMのアルバムと思われないように、あえてEDMとは距離を置こうとしたアルバムをリリースしてきました。しかし、EDMブームも落ち着いた今、本作ではEDMとの距離を意識しないで彼らなりに自由に作ったアルバムのように感じます。そういう意味では今回のアルバムには非常に自由な雰囲気を感じられ、いい意味で彼らの肩の力が抜けているように感じました。まさに今年を代表する傑作とも言える1枚。心の底から気持ちよさを感じる作品でした。

評価:★★★★★

The Chemical Brothers 過去の作品
Brotherhood
Further(邦題:時空の彼方へ)
HANNA
Born In The Echoes


ほかに聴いたアルバム

This Life/Unbearably White /Vampire Weekend

Thislife

5月15日にリリースが予定されているVampire Weekend待望のニューアルバム「Father Of The Bride」から先行配信的な形でリリースされた6曲入りのEP盤。アルバムの方向性を占い上で要注目のEP。基本的にはいままでの彼らの作品と同様、シンプルなサウンドとトライバル気味なリズムが印象的な曲が並ぶのですが、以前に比べるとポップになり、リズムよりもメロディーを前に出した楽曲になっています。結果として前作よりも若干エッジが鈍くなってサウンドに勢いがなくなった印象を抱いてしまいました。どれも悪い曲ではないのですが、若干アルバムの出来が気にかかってしまうようなEPでした。

評価:★★★★

VAMPIRE WEEKEND 過去の作品
VAMPIRE WEEKEND
CONTRA
Modern Vampire Of The City

3D 12345678/Kraftwerk

ご存知エレクトロポップス界の雄、クラフトワーク。先日、東京大阪で来日公演が行われたのですが、その来日公演に先立ってリリースされたのが本作。2017年にリリースされた8枚組のライブアルバム「3-D The Catalogue」を1枚のCDに集約した抜粋版で、彼らの過去の代表曲が今の音にアップデート。今でも全く衰えていない彼らのエレクトロサウンドの魅力を感じることができます。ちなみに「放射脳」の中では「原発反対」という日本語がサンプリングされていたりもして。今現在のクラフトワークとして楽しめる軽快なエレクトロポップのアルバムでした。

評価:★★★★★

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2019年5月 8日 (水)

ついに1位獲得

今週はチャート対象週がゴールデンウィークということで初登場がほとんどないチャートとなりました。そのため、Hot100、Hot Albums同時更新です。

今週のHot100

http://www.billboard-japan.com/chart_insight/

チャートイン43週目にしてついに1位獲得です。

今週、あいみょん「マリーゴールド」がついに1位を獲得。初のチャートインから43週、ベスト10入り通算21週目にして初の1位獲得となりました。ストリーミング数は今週も1位をキープ。ダウンロード数7位、You Tube再生回数3位など、主にネット系の指標がキーとなっています。ちなみに「ハルノヒ」も今週3位をキープ。ベスト10に2曲同時ランクインとなっています。

さて、冒頭に記載した通り、今週のチャートは初登場がほとんどないチャートとなっています。その影響で目立ったのがロングヒット系。2位には米津玄師「Lemon」が6位からランクアップしベスト3返り咲き。2月25日付チャート以来11週ぶりのベスト10返り咲き。ダウンロード数、PCによるCD読取数、You Tube再生回数2位、カラオケ歌唱数1位と相変わらず強さを見せつけています。

さらに先週9位だったKing Gnu「白日」は今週一気に6位にランクアップ。ダウンロード数は4位から5位にダウンしたもののストリーミング数は4位から2位にアップ。You Tube再生回数も16位から5位にアップしており、さらなるロングヒットも期待できそうです。さらにはベスト10返り咲き組も。9位にONE OK ROCK「Wasted Nights」が先週の12位からランクアップ。10週ぶりのベスト10返り咲きを果たしています。

そんな中で数少ない初登場曲がまず6位にランクインしてきたアメリカの女性シンガーソングライター、Taylor Swift「ME! featuring Brendon Urie of PANIC!AT THE DISCO」。アメリカのロックバンド、PANIC!AT THE DISCOのBrendon Urieをフューチャーした約1年半ぶりの新作。配信オンリーのリリースで先週の30位からランクアップしてのベスト10入り。ダウンロード数4位、ストリーミング数10位、ラジオオンエア数では見事1位を獲得し、2週目にしてベスト10入りです。

さらに8位にはFoorin「パプリカ」がランクイン。こちらNHKの東京オリンピック・パラリンピック応援プロジェクト、「<NHK>2020応援ソングプロジェクト」のテーマソング。Foorinはこの曲のために結成された小学校5年生の4人組ユニットで、以前から「NHKみんなのうた」などで大量にオンエアされていました。もともとベスト20圏内でロングヒットを続けていましたが、ランクイン19週目にしてついにベスト10入りを果たしています。ちなみに本作、作詞作曲プロデュースは米津玄師。メロディーも歌詞もいかにも米津玄師らしい楽曲になっており、曲を聴いていると頭の中で米津玄師のボーカルが流れてきそうな曲になっています。

ちなみに今週、ベスト10圏内でオリコン週間シングルチャートと重なったのが10位の日向坂46「キュン」のみ(オリコンでは1位)。実にビルボードらしいランキングになりましたし、ある意味、本当の意味でゴールデンウィーク中に聴かせた曲が並んだ、といった感じなのでしょうね。これからの令和の時代は、ビルボードのような形態のヒットチャートが主流になりそうです。


今週のHot Albums

http://www.billboard-japan.com/chart_insight/

こちらも初登場は少なめ。

そんな中で1位を獲得したのがback number「MAGIC」。先週の4位からランクアップし、4週ぶりの1位返り咲き。CD販売数は6位でしたが、ダウンロード数2位、PCによるCD読取数1位を獲得し、総合順位で見事1位を獲得しています。

2位はヒプノシスマイク-Division Rap Battle-「ヒプノシスマイク-Division Rap Battle- 1st FULL ALBUM『Enter the Hypnosis Microphone』」が先週から同順位をキープ。3位にはようやく初登場組。EXILEのメンバーATSUSHIによるベストアルバムEXILE ATSUSHI「TRADITIONAL BEST」が初登場でランクイン。CD販売数では1位を獲得しましたがダウンロード数は29位に留まり、総合順位ではこの位置に。いままでも「日本の心」をテーマに活動をつづけた彼ですが、過去のアルバムにも収録されていた「ふるさと」「赤とんぼ」のような日本の古くからの童謡や美空ひばりの「愛燦燦」やオフコース「言葉にできない」のカバーも収録。「日本の心」をテーマにして歌うならば横文字のミュージシャン名やアルバムタイトルを変えるべきでは?と思わなくもないのですが・・・。ちなみにオリコン週間アルバムチャートでは4月30日リリースですがフライング販売の関係で先週、8位に初登場。今週は9千枚を売り上げて6位にアップしています。

5位には「平成仮面ライダー20作品記念ベスト」が初登場でランクイン。CD販売数3位、ダウンロード数9位、PCによるCD読取数30位。タイトル通り、平成に放送された仮面ライダーの主題歌、挿入歌などを収録したベストアルバム。令和初日の5月1日にリリースされた、まさに平成仮面ライダーを総括するアルバムになっています。オリコンではこちらもフライング販売の影響で先週15位に初登場。今週8千枚を売り上げ、8位にランクアップしています。

初登場組ラストは9位にL'Arc~en~CielのボーカリストHYDEのソロアルバム「ANTI」がランクイン。6月19日にCDリリース予定のアルバムですが、5月3日に配信オンリーで先行リリース。ダウンロード数で1位を獲得し、配信オンリーながらもベスト10入りを果たしました。

今週の初登場組は以上。アルバムもロングヒット組が目立ち、まずあいみょん「瞬間的シックスセンス」が先週の8位から6位にアップ。さらに先週12位だったONE OK ROCK「Eye of the Storm」も8位にランクアップ。こちらは4月8日付チャート以来、5週ぶりのベスト10返り咲きとなっています。

今週のチャート評は以上。次は来週の水曜日にまたHot100で!

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2019年5月 7日 (火)

新世代のポップスター誕生・・・・・・か?

Title:When We All Fall Asleep, Where Do We Go?
Musician:Billie Eilish

おそらく、今、世界的には2019年、もっとも注目を集めているミュージシャンが彼女でしょう。本作がデビュー作となる若干17歳のアメリカ出身の女性シンガーソングライター、ビリー・アイリッシュ。もともと、彼女と兄、フィニアスが一緒に書いた曲「Ocean Eyes」をサウンドクラウドにアップしたところ大ヒットを記録。デビューアルバムである本作も同じく、フィニアスと共に自宅のベッドルームで作り上げたという、そのDIYのスタイルも大きな評判を呼びました。

そしてこのデビュー作はいきなり全米及びイギリスでもチャート1位を記録。ほかも全世界的に数多くの国で1位を獲得するなど全世界的にブレイクし、まさに最も注目を集めるミュージシャンとなっています。特にアメリカの1位は2000年代生まれでは初、イギリスでは女性ソロミュージシャンでは最年少となる1位獲得となっており、その人気のほどがわかります。

彼女が大きな注目を集める要因として、ネット発であくまでも自分たちだけで楽曲を作り上げていくスタイルや、独特のファッションスタイル、トゥレット症候群を患っていることを公表するなど、自分をさらけ出す姿勢など社会的な規範にとらわれないスタイルも共感を呼んでいるようです。ただそんな中でももちろん注目を集めているのは彼女の楽曲自体でしょう。

彼女の楽曲は同世代の若者の叫びを体現化しているという点でも特に彼女と同じ世代の若者に絶大な支持を得ているようです。ただ、若者の叫びというと、「叫び」という言葉通り、思いっきりシャウトするパンクだったりメタルだったりのスタイルを彷彿とさせます。ところが彼女の場合は全く逆。むしろシンプルなサウンドをバックとしたメロディアスな楽曲を淡々と歌うというスタイル。作風はかなり暗く、曲によってはホラー地味てさえいるため「ダーク・ポップ」なる呼称も付けられ、今後のあらたなムーブメントと目されてすらいます。

この暗い作風に内省的な歌詞が、昨今の鬱屈した若者の心境とピッタリマッチ。彼女の支持を集める大きな要因となっているようです。日本でも同じように先行きが不透明な社会の中、若者が鬱屈した心境を抱えるという現状は欧米と同じ。ただ残念ながら彼女のデビューまで、またデビュー直後の言動は日本にはなかなか伝わってこない状況ですし、また楽曲にしても歌詞がストレートに伝わってこないだけに日本では欧米ほどのブームにはなっていません。ただ、純粋に彼女の曲だけを取り上げて聴いたとしても本作は実によくできた傑作に仕上がっていたと思います。

イントロを挟んで1曲目の「bad guy」はシンプルなエレクトロサウンドにウィスパーボイスでラップ気味のボーカルを聴かせるスタイルなのですが、ダークなサウンドながらもテンポよくリズムカル。ポップなメロディーが流れておりいい意味で聴きやすいポップチューンになっています。続く「xanny」はまさにしんみりと切ないメロディーを聴かせるポップチューンで、そのシンプルに聴かせるメロディーは純粋にポップソングとして優れた作品となっています。

「all the good girls go to hell」も哀愁感あるメロディーラインは日本人にも受けそうですし、「wish you were gay」も切ないメロディーラインが胸に響くナンバー。「あなたがゲイだったらよかったのに」というタイトルとフレーズはいかにも今風な感じがします。さらにピアノとハーモニーで重厚さを醸し出しつつしんみり聴かせる「when the party's over」やトライバル気味なリズムにラップを取り入れた「my strange addiction」、エレクトロ色が強くリズミカルな「ilomilo」など楽曲的にもバラエティー豊富。HIP HOPやポップス、ロックなどを等距離で取り入れているスタイルもいかにも今どきな印象を受けます。

静かに聴かせる楽曲で若者の鬱屈した心境を内省的に聴かせるというスタイルは個人的にはどこか日本のミュージシャンの森田童子に似ているような印象すら感じました。ただ全く自分自身を表に出すことのなかった森田童子に対して、ファッション的にもアイコンとして注目をあつめ、積極的に自分を発信しているビリーは大きな違いがあります。この点もSNSなどにより自分を発信するのが当たり前となった今の時代ならでは、といったところなのでしょうか。

ただ彼女に関してはちょっと違和感がある部分があって、まず妙に上の世代の受けが良いということ。確かに彼女の楽曲自体はシンプルなポップスですし、「若者世代の鬱屈した感情を吐露」というスタイルもわかりやすい構図なのでしょう。ただ、「この世界はクソだ」のような発言をしている彼女を、その「世界」を作り上げた大人が称賛している構図には違和感を覚えます。またそれの延長線上の話ではあるのですが、メディア的なプッシュが大きく、いかにも「新世代のスター」を作り上げようとしているような雰囲気を感じてしまい違和感が。取り上げられ方的にはハイプ的ではないか、と思わないこともなく、今後の動向も気にかかります。

もっともそこらへんを差し引いてもアルバムとして純粋によくできたポップソングである事実には間違いありません。彼女のスタイル自体はなかなか伝わってこないのですが、純粋にポップソングとして日本でも十分受け入れられそう。上に書いた違和感の部分も含めて、いろいろな意味で今後の動向にも注目したいミュージシャンでしょう。

評価:★★★★★


ほかに聴いたアルバム

Agora/Fennesz

Fennesz名義で活動しているオーストリアのギタリスト、クリスチャン・フェネスの新作。日本では坂本龍一とのコラボでも知られていたりします。全編ノイズで埋め尽くされるメタリックな雰囲気の作品となっていますが、そんな中に静かなピアノの音が入っていたり、ファンタジックな雰囲気を感じたり、どこか優しさを感じさせる点が特徴的。ミニマルなサウンド構成にも心地よさを感じつつ、ジャンル的には「ノイズ」にカテゴライズされそうな雰囲気ながらもある種のポピュラリティーを感じさせる作風が魅力的でした。

評価:★★★★★

Fennesz 過去の作品
flumina(fennesz+sakamoto)

This Land/Gary Clark Jr.

デビュー時は新進気鋭のブルースギタリストとして話題となった彼もこれが3枚目。ブルースというジャンルに留まらず、ラップを取り入れたり、ロックやファンク、レゲエやソウルなど幅広いジャンルを取り入れています。中には「これ、本当に彼の曲?」と思ってしまうようなパンクロックナンバーなんかもあったりして、かなりバリエーションがあるのですが、その結果、あまりにもバラバラで彼としての主軸の部分が見えなくなってしまっている印象が。全体的には正直なところ「迷走している」という感の否めないアルバムになっていました。

評価:★★★

Gary Clark Jr. 過去の作品
Black&Blue
The Story of Sonny Boy Slim(サニー・ボーイ・スリムの物語)

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2019年5月 6日 (月)

麻里ちゃんは今もヘビーメタル

Title:Light For The Ages -35th Anniversary Best~Fan's Selection-
Musician:浜田麻里

昨年、デビュー35周年を迎えた女性ロックボーカリスト浜田麻里。そんな彼女のレコード会社を超えたオールタイムベストがリリースされました。タイトル通り、ファンによる人気投票で選ばれた40曲が収録されたベスト盤。ただ、ファンによる人気投票による選曲とはいえ比較的オーソドックスな定番曲が収録されており、その点はしっかり入門盤としても問題ない内容となっています。ちなみに特設サイトでは人気投票の結果が載っているのですが、1位が2位以下に差をつけてデビューシングル「Blue Revolution」というのはファンではない立場から見るとちょっと意外な感じが。個人的には浜田麻里の曲の中では「Paradox」がリアルタイムで聴いていて、結構好きだったりするのですが、ファン投票でも3位と上位に入っており、やはりこの曲が好きな方は多かったんだ、とちょっと安心しました。

ちなみに浜田麻里といえばデビュー時はまだ若干21歳の大学生。デビューアルバムには糸井重里により「麻里ちゃんはヘビーメタル」というキャッチコピーがつけられたそうです。今でも50代後半という年齢を感じさせない美貌を保っている彼女ですが、デビュー当初の写真を見ると、やはりアイドル的ルックスで、そんな彼女がヘビーメタルというジャンルを歌うというギャップが大きな売りだったのでしょう。そういう意味では最近話題のBABYMETALと同じような売り方の構図のような印象を受けます。

そんな彼女のデビューアルバム「Lunatic Doll〜暗殺警告」はLOUDNESSの樋口宗孝がサウンドプロデューサーとして参加したアルバムとなっていましたが、今回のアルバムでもデビュー当初の作品は彼女もハイトーンボイスでシャウトを繰り広げるなどメタル色が強い作風になっており、確かに「麻里ちゃんはヘビーメタル」というキャッチコピーも伊達じゃないような内容に仕上がっています。

ただ、その後の作品、特にブレイクした「Heart and Soul」あたりの曲からヘビーメタル色は一気に薄れてポップ色の強い作品が並びだします。特に大ヒットを記録し、彼女の代表作としても知られる「Return to Myself~しない、しない、ナツ。~」は完全にJ-POPな作品。彼女については最新アルバム「Gracia」は聴いてみたのですが、アルバム単位では追ってきていなかったためアルバム自体の雰囲気はよくわからないのですが、少なくともDisc2の時期の曲に関してはヘビーメタルという印象はあまり受けません。

しかしこれがおもしろいことにDisc3の頃の曲、つまり比較的最近の曲に関してはヘビーメタルの色合いが再び強くなってきている印象を受けます。ブレイク後、広い層にアピールする必要があったのですが、人気的に落ち着いてしっかりとした固定ファン層がついた2000年代あたりから必ずしも広い層にアピールする必要がなくなったため、最初期のヘビーメタルに回帰したといった感じなのでしょうか。実際、ファン投票で1位となっている「Blue Revolution」は非常にメタル色の強い作品であり、彼女の根強いファンにとってはやはりヘビーメタル寄りの作品の方が人気が高い傾向にあるのかもしれません。

個人的にも、確かに「Paradox」のようなポップ色の強い曲が好きだったりするのですが、彼女の個性はやはりヘビーメタル色の強い曲の方が発揮されているように感じます。特にこれでもかというほどのハイトーンボイスで非常に伸びるボーカルで繰り広げられるシャウトはボーカリスト浜田麻里の真骨頂のようにも感じます。そういう意味では一般的に一番売れていた時期よりも、まだブレイク前の最初期やここ最近の作品の方がより浜田麻里らしさが楽曲に表れているような印象すら受けました。

ちなみに最新アルバム「Gracia」は彼女にとって22年ぶりのベスト10ヒットを記録するのなどここ最近、人気が戻りつつある・・・と言いたいところですが、どちらかというとずっと応援し続けてくれる根強いファンに支えられ、かつ、サブスプやダウンロードではなくきちんとCDで買う傾向にある彼女と同年代のファン層が多いため、CDの売上が凋落していく中で相対的にチャート上位に食い込むようになった、という傾向が強いのかもしれません。もっとも、それも昔からのファンをしっかりつなぎとめ続けられた彼女の実力あってこそ、とも言える訳で、そういう意味ではデビュー35年が経過して、いまなお人気を保ち続ける彼女のすごさも感じることが出来ました。正直、彼女の楽曲は昔ながらのヘビーメタルといった感じもするので、さほど目新しさは感じないのですが、ただデビュー当初以来、一定水準以上のクオリティーを保ち続けている安心感があります。だからこそ、多くのファンが長く彼女の応援を続けているのでしょう。そんな浜田麻里の実力を感じた今回のベストアルバム。彼女はまだまだこれからもヘビーメタルを歌い続けそうです。

評価:★★★★

浜田麻里 過去の作品
Gracia


ほかに聴いたアルバム

MTRY LIVE AT BUDOKAN/奥田民生

ひとり股旅スペシャル@日本武道館/奥田民生

昨年の10月12日13日の2日間にわたって日本武道館で行われた奥田民生のライブ。それぞれ異なる形態で行われたライブだったそうで、1日目はバンド形式でのスタイル、2日目は「ひとり股旅スペシャル」と題して彼一人だけがステージに立ち、弾き語りスタイルでライブを行うステージとなりました。どちらもベスト的な選曲になっており聴きごたえ十分のステージに。ただ、「MTRY」の方は録音の方法の影響か、観客の声が全く入っておらず、途中のメロを客に歌わせた曲もあったのですが、客の歌声の部分が完全に無音になっていたりして、ちょっと残念な部分もありました。

ライブとしてはどちらも魅力的だったのですが、そんな中でも特によかったのは「ひとり股旅」の方。かなり脱力感のあってリラックスした雰囲気のステージがとてもよく、途中、間違えたりもしながら進んでいくステージに会場のいい意味でゆるい雰囲気も伝わってきます。このステージ、見たかったなぁ。こちらは客席の声も入っており、ライブ会場の雰囲気も十分に感じられる録音に。そういう点からも「ひとり股旅」の方がより楽しめる内容になっていました。

評価:
MTRY ★★★★
ひとり股旅 ★★★★★

奥田民生 過去の作品
Fantastic OT9
BETTER SONGS OF THE YEAR
OTRL
Gray Ray&The Chain Gang Tour Live in Tokyo 2012
O.T.Come Home
秋コレ~MTR&Y Tour 2015~
奥田民生 生誕50周年伝説“となりのベートーベン"
奥田民生になりたいボーイに贈るプレイリスト
サボテンミュージアム

カンタンカンタビレ

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2019年5月 5日 (日)

メロディーセンスの良さが光る2枚組

途中もコンスタントにライブを実施したり、毎年紅白に出演したり、新曲を発表していたりしていたのでちょっと意外にも感じられるのですが、SEKAI NO OWARIのニューアルバム、なんと約4年ぶりのリリースとなりました。そしてアルバムリリース間隔が空いたためストックが様々とたまった影響でしょうか、なんと2枚同時のリリースとなりました。それが「Lip」「Eye」。それぞれ13曲入りのフルアルバムとなっています。

Title:Lip
Musician:SEKAI NO OWARI

Title:Eye
Musician:SEKAI NO OWARI

ただ、初動売上24万7千枚を記録した前作「Tree」から比べると、新作の初動売上は「Lip」が7万7千枚、「Eye」が7万5千枚と大きくダウン。かなり厳しい結果になっています。もともとSEKAI NO OWARIというと小中学生のファンが多いバンドで歌詞の内容も正直、若干低年齢層に受けそうなファンタジックな内容が多かっただけに4年の間に「卒業」してしまったファンが多かったようです。

そんな状況の中で今回、2枚同時にリリースされたアルバムですが、その2枚の方向性には明確な違いがあり「Lip」はポップな曲調でいわばSEKAI NO OWARIらしい楽曲が多く収録されているのに対して、「Eye」の方は彼らにとって音楽的にあらたな方向性を模索するような挑戦的な曲が収録されています。

もっともバンドにとってもこの4年で環境がガラリと変わり、特にメンバー4人のうち3人までが結婚。Saoriは1児の母になるなど特にプライベートにおいて彼らをめぐる環境も大きく変わったようです。その影響はアルバムの中でも顕著に感じられ、いままでのような中2病的な歌詞は大幅に減ったように感じます。「Lip」の1曲目などはいきなり「YOKOHAMA blues」などタイトルからして大人びた雰囲気を感じさせるようなムーディーなナンバーからスタートしていますし、ちょっと大人になった彼らの姿を感じることが出来ます(・・・って、メンバー全員30歳をとっくに超えているいい大人なんですけどね(苦笑))。

ただ、セカオワらしい曲を集めた「Lip」の方はやはり彼ららしいファンタジックなナンバーが多く、「千夜一夜物語」「Error」などはまさにSEKAI NO OWARIらしいファンタジックな世界観をベースとした作品に仕上がっており、ここらへんは以前からのファンにとっては期待通りといった感じでしょうし、そうでないのならちょっと苦笑いしてしまうような雰囲気の曲になっています。もっとも彼らの問題点はこのような中2病的な世界観ではなく、歌詞の中で心境をほとんど説明してしまう情報過多で行間を読ませることをしない、という点であって、残念ながら今回のアルバムにもそんな曲はチラホラ。例えば「サザンカ」の歌詞は「いつだって物語の主人公は笑われる方だ 人を笑う方じゃないと僕は思うんだよ」という歌詞が登場しますが、「人を笑う方~」以降の歌詞が完全に蛇足。「~笑われる方だ」で終わった方が余韻が残っていいように思います。

しかし、彼らの大きな利点であるメロディーの良さは今回のアルバムで遺憾なく発揮されていたと思います。特に「Lip」の前半は哀愁感あるメロがインパクトの「YOKOHAMA blues」からスタートし、切ない雰囲気が胸に迫るようなナンバーが並び、グッとくるものがあります。後半は正直いかにも彼ららしいファンタジックなメロや「Error」のようなちょっとチープに思えるような世界観に鼻白んでしまったのですが、彼らの魅力が十二分に発揮されていたように思います。

また今回の2枚組のうち、興味深く聴くことが出来たのが「Eye」の方で、ちょっとジャジーな「ANTI-HERO」や和風なサウンドに挑戦した「夜桜」、スウィングのリズムを取り入れた「Monsoon Night」など様々な作風の曲が並び、彼らの音楽的な強い意欲を感じさせます。さらに「Food」「Re:set」「Witch」などエレクトロサウンドを取り入れた楽曲も並び、最後はビックビート風の「スターゲイザー」はちょっとサウンド的にベタさも感じるもののロックとエレクトロサウンドを融合させたダイナミックな作風は個人的にも壺。サウンド的な面でかなり楽しむことが出来ました。

またいろいろな作風に挑戦しつつアルバム全体としてきちんとセカオワの作品として仕上がっているのはやはり彼ららしいしっかりと聴かせるメロディーラインがどの曲にも入っている点が大きいと思います。メロディーという土台がしっかりしているからこそ、その上で好きなことをやれるのでしょうし、そして今回の「Eye」はまさに美しいメロディーの上で好き勝手に曲を仕上げてきたアルバムになっていました。

まさに彼らの書く美しいメロディーラインがしっかりと作品を支えた2枚のアルバム。また曲の世界観もいままでに比べてちょっと大人の階段を上ったようにも感じました。正直、彼らの環境も変わり、作る音楽にも今後さらに変化が生まれてきそうな予感もします。大人になったセカオワがどのような音楽を作っていくのか、心配な部分もありますが、今後の彼らにも注目です。

評価:
Lip ★★★★
Eye ★★★★★

SEKAI NO OWARI 過去の作品
EARTH
ENTERTAINMENT
Tree

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2019年5月 4日 (土)

アコースティックなサウンドと美しいメロが魅力的

Title:Titanic Rising
Musician:Weyes Blood

カリフォルニア州サンタモニカ出身のシンガーソングライター、ナタリー・メーリングのソロプロジェクト、ワイズ・ブラッド。ナタリーはもともとアメリカのエクスペリメンタル・ロックバンド、Jackie-O Motherfuckerのメンバーとして参加しており、さらにここでも何度か取り上げたことのあるAriel Pinkの作品にも参加したことがあるミュージシャンだそうです。

アルバムは最初、荘厳な雰囲気のあるエレクトロサウンドからスタートします。お、なるほどエレクトロ系のポップチューンなのか、と思いつつ曲を聴き進めると、途中から一転、ピアノとストリングスが流れ出し、その中で優しく包容力ある彼女のボーカルが美しく響いてきます。メロディーはしんみり美しく聴かせるメロディアスでフォーキーな楽曲。まずはそのメロディーラインの美しさに惹かれるポップチューンとなっています。

このシンプルでフォーキー、美しいメロディーを聴かせるというスタイルはその後も一貫して続いていきます。2曲目の「Andromeda」も同様のナンバーですし、続く「Everyday」なども軽快ながらもアコースティックなサウンドで楽しいナンバー。例えれば、爽やかな日差しの下、きれいな芝生の公園で流れ出してくるような、そんな爽快さを感じるポップチューンでした。

ただ、ちょっと雰囲気が変わってくるのがインターリュードのタイトルチューン「Titanic Rising」を挟んで後半から。続く「Movies」はエレクトロサウンドをバックに重厚さを感じるゴシック風なナンバー。続く「Mirror Forever」もエレクトロサウンドをバックに重厚にドリーミーに響いてくる楽曲。アルバムの中では前半からガラッと雰囲気が変わり、彼女の音楽性の幅広さを感じるナンバーになっています。もっとも、この2曲に関しても美しいメロディーラインと歌がしっかりと流れてくる作品になっており、本質的な部分では彼女の魅力は前半の作品と変わりません。

さらに後半は再び序盤と同様、アコースティックなサウンドをバックにフォーキーで美しいメロディーが特徴的なナンバーが続きます。特に事実上のラストナンバーとなる「Picture Me Better」のアコギをつま弾きながら聴かせるメロディーの美しいこと美しいこと・・・。その歌声に思わず聴きほれてしまう名曲に仕上がっています。

今回のアルバム、本人曰く「ボブ・シーガーmeetsエンヤ」らしいです。確かに「Movies」や「Mirror Forever」あたりの雰囲気はまさにエンヤといった感じでしょうか。また他の曲に関してもどこかドリーミーな雰囲気が漂っているのも、まさに「meetsエンヤ」といったイメージかもしれません。ただ、日本人にとっては、このアルバムを聴くとボブ・シーガーよりもむしろカーペンターズを思い起こす方が多いように思います。特に中盤の「Something to Believe」は、その歌い方を含めて、カーペンターズをまさに彷彿とさせるようなポップス。カーペンターズが好きな方なら間違いなく気に入るのではないでしょうか。

そんな訳で、アコースティックベースのサウンドに美しいメロディーラインに終始聴きほれる傑作アルバム。中盤のドリーミーで重厚な雰囲気もアルバムの中でほどよい味付けとなっており楽しむことが出来ました。シンプルなメロディーを主体としたアルバムなので、広い層が楽しめそうなアルバムかと思います。美しいメロディーラインのポップスのアルバムを聴きたい、という方には間違いなく薦められる1枚です。

評価:★★★★★


ほかに聴いたアルバム

Miss Universe/Nilüfer Yanya

2018年の期待の新人を選ぶ「BBC Sound Of 2018」にも選ばれたUKソウル界期待の女性ミュージシャンのデビューアルバム。ちなみに名前は読みにくいのですが、「ニルファー・ヤンヤ」と読むそうです。ジャンル的にはソウルにカテゴライズされるのですが、ギターサウンドをバックにメロディアスに歌い上げるスタイルの曲が多く、タイプ的にはロックとも親和性が強そうな印象も。哀愁感あるメロも魅力的で、これからに期待したいシンガーです。

評価:★★★★

Molo/Africa Express

blurのデーモン・アルバーンのサイドプロジェクト、Africa Expressの4曲入りのミニアルバム。もともとデーモン・アルバーンのアフリカ音楽への強い興味は有名な話ですが、まさに本作はそんな彼の趣味が前面に出たアルバム。スーパー・ファーリー・アニマルズのグリフ・リース、ヤー・ヤー・ヤーズのニック・ジナーらも参加したこの曲は全編トライバルなサウンドが前に押し出された、一般的にイメージされるアフリカ音楽をまさに体現化したような楽曲が並びます。ちょっとベタすぎるんじゃないか、と思いつつも、アフロビートあたりが好きなら文句なしにはまれそうな作品に。ちなみに夏にはフルアルバムもリリースも予定されているとかで、こちらも楽しみです。

評価:★★★★★

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2019年5月 3日 (金)

次世代を担うラッパーたち

Title:GereratioNxxx

最近、すっかり日本のヒットシーンにも定着したHIP HOP。ただそんな中でもいまだに多くの実力あるミュージシャンたちが登場しており、音楽シーンの中でももっとも活況を呈しているジャンルといって間違いないでしょう。今回紹介するのは、ご存じキングギドラのメンバーとして日本のHIP HOP黎明期から活躍するK Dub Shineが監修するコンピレーションアルバム「GeneratioNxxx」。配信限定リリースとなるコンピレーションなのですが、今後の日本のシーンを担うラッパーたちが参加しているアルバムとなっています。

参加しているのは「フリースタイルダンジョン」への参加でも話題の掌幻やAbemaTV「ラップスタア誕生!」で優勝したDaiaなど、まさに期待のラッパーたちがズラリ。とはいっても個人的には正直言ってほとんど知らない方々ばかりでしたので、配信で聴けるし、とりあえずはどんなものか試し聴きのつもりで聴いてみました。

そしてこれが思った以上に聴きこたえのあるコンピレーションになっていました。シーンへの入門的な位置づけとなっているコンピのため、比較的「自己紹介」的な楽曲が多いのですが、そのためメンバーそれぞれのメッセージが強く込められた曲が並んでおり、大きなインパクトとなっていました。

例えば掌幻の「名刺代わり」はまさにタイトル通り自己紹介の曲なのですが、シーンの未来を担おうという決意の中に、HIP HOP特有の文化である「ディス」を否定する主張をしていたりするのは新鮮。楽曲全体としてもシーンに対する思いを語っており、聴きごたえのある内容に。 D.G.G.B.の「ブラザー」もどすのきいたしゃがれ声のラップが強いインパクトを残すのですが、HIP HOPシーンの中で生き残ってきた自分の強い決意をつづるラップが強い印象を与えます。

個人的にそんな中でもっとも強い印象を受けたのがちよこ「Hands Up!!」でした。彼女は「ラップする主婦」だそうで、トラップ風のトラックも印象に残るそうですが、特に印象に残るのは歌詞。まさに女性としてのリアルと本音をつづったリリックが男性として胸につきささってきます。特に子育てをめぐる男性とのやり取りがかなりリアル。この子育てにかかる女性の苦労についてはニュースで取り上げられることも多いものの、あまり歌詞の題材としては取り上げられる機会がないネタなのですが、それをしっかりと自らの曲に組み込んでくる彼女の思いを感じられる1曲となっています。

また、都会の影をコミカルに描いたG-ROD「うまい話」もユニークですし耳を惹きます。こういう身近なネタをしっかりと取り上げるあたりにHIP HOPのフットワークの軽さと自由さを感じますし、また、だからこそ今、HIP HOPが一番活況あるシーンになりえたのでしょう。

正直言って、トラック的にはDaiaの「Freeway」のようなちょっとのどかな雰囲気を感じるトラックや、ちよこ「Hands Up!!」のようなトラップの要素を加えた作品などもあるのですが、全体的にはダークなサウンドは多いもののあまり目新しさは感じません。そういう意味では全体的にまだまだな部分も感じられる楽曲になっているのは事実だと思います。

ただ一方でどのラッパーもしっかりと自分たちの主張をラップの中で伝えている点に頼もしさも感じますし、それをしっかりとインパクトを持たせてつたえている点にもその実力を感じます。もちろんラップのスキルも光るものがあり、今後、間違いなくシーンを担っていきそうなラッパーばかり。何年かしたらこのうち何人かはブレイクしてそう。そういう意味でも要注目のコンピレーションアルバム。逆にロックシーンからも、こういう自分たちの主張をしっかりと伝えるミュージシャンがもうちょっと出てきてほしいとも思ってしまうのですが・・・。

評価:★★★★★


ほかに聴いたアルバム

PSYCHO-PASS Sinners of the System Theme songs + Dedicated by Masayuki Nakano/中野雅之(BOOM BOOM SATELLITES)

アニメ「PSYCHO-PASS 」のオープニング、エンディングや映画シリーズで使用された曲をBOOM BOOM SATELLITES中野雅之がリミックスしたアルバム。良くも悪くもアニメソングらしい叙情的な楽曲が並んでいます。それだけに中野雅之が行うエレクトロサウンドのダイナミックなサウンドがピッタリとマッチ。ちょっとベタな感じもしないでもないのですが、そのベタさ感も含めて気持ち良く楽しめるアルバムに仕上がっていました。

評価:★★★★

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2019年5月 2日 (木)

令和最初のアルバムチャート

今週のHot Albums

http://www.billboard-japan.com/chart_insight/

そんな訳で、こちらも令和になってから最初のアルバムチャートとなります。

そんな今週のアルバムチャートで1位を獲得したのは、Hot100同様にジャニーズ系。Kis-My-Ft2「FREE HUGS!」が獲得しています。タイトルは海外で見られる、「フリーハグ」とプラカードをかかげて見ず知らずの人と抱擁する活動。今回、通常盤ではDisc2でKis-My-Pt2のメンバーがそれぞれ、CHEMISTRYの川畑要や大沢伸一、Diggy-MO'、さらには林原めぐみなどと音楽でハグ(=コラボ)した曲が収録されています。CD販売数及びPCによるCD読取数で1位獲得。オリコン週間アルバムチャートでは初動売上20万4千枚で1位獲得。前作「Yummy!!」の21万7千枚(1位)からはダウンしています。

2位初登場はヒプノシスマイク-Division Rap Battle-「ヒプノシスマイク-Division Rap Battle- 1st FULL ALBUM『Enter the Hypnosis Microphone』」。声優によるキャラクターラップバトル企画、ヒプノシスマイクの初となるフルアルバム。CD販売数2位、ダウンロード数1位、PCによるCD読取数3位を獲得し、総合順位ではこの位置に。オリコンでは初動売上14万6千枚で2位初登場。同プロジェクトでのアルバムとしては麻天狼「The Champion」の7万2千枚(1位)から大きくアップしています。

3位は乃木坂46「今が思い出になるまで」が2ランクダウンでこの位置に。

続いて4位以下の初登場盤です。まずは5位、6位にゲームアプリ「あんさんぶるスターズ!」からキャラソンのアルバムがランクイン。Trickstar「あんさんぶるスターズ! アルバムシリーズ Present -Trickstar-」がCD販売数4位、ダウンロード数11位、PCによるCD読取数Ⅰ7位で総合4位、Eden「あんさんぶるスターズ! アルバムシリーズ Present -Eden-」がCD販売数5位、ダウンロード数18位、PCによるCD読取数22位で総合5位にランクイン。オリコンではTricstarが初動2万4千枚、Edenが初動1万5千枚で5位及び7位にランクイン。同シリーズの前作2wink「あんさんぶるスターズ! アルバムシリーズ 2wink」の1万1千枚(11位)からは大きくアップしています。

9位にはYuNi「clear/CoLoR」がランクイン。YuNiはヴァーチャル・You Tuber、いわゆるVTuberシンガーの元祖的存在だそうで、CD販売数10位、ダウンロード数4位、PCによるCD読取数83位を記録。CD販売数よりダウンロード数が先行しているあたり、ネット発のVTuberらしい感じがします。オリコンでは初動売上5千枚で14位にランクイン。

最後10位には「『MANKAI STAGE『A3!』~AUTUMN&WINTER 2019~』MUSIC Collection」がランクイン。イケメン役者養成ゲーム「A3!」が舞台化され、同舞台で使用された曲をまとめたアルバム。CD販売数9位、ダウンロード数6位、PCによるCD読取数49位を記録。オリコンでは初動売上6千枚で12位に初登場しています。

今週の初登場盤は以上の通り。ロングヒット盤ではご存じあいみょん「瞬間的シックスセンス」。今週は先週と変わらず8位をキープ。これで11週連続のベスト10入りとなりました。

今週のHot Albumsは以上。チャート評はまた来週の水曜日に!

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2019年5月 1日 (水)

「令和」最初のヒットチャート

今週のHot100

http://www.billboard-japan.com/chart_insight/

ただし集計対象期間は「平成」なので、そういう意味では「平成最後のヒットチャート」と言えるかもしれません。

そんな平成最後?令和最初?のHot100で1位を獲得したのはジャニーズ系。ジャニーズWEST「アメノチハレ」が獲得。日テレ系ドラマ「白衣の戦士!」主題歌。正統派歌謡曲といった様相のポップチューンになっています。CD販売数、PCによるCD読取数、Twitterつぶやき数で1位、ラジオオンエア数で11位で総合1位。オリコン週間シングルランキングでは初動売上15万9千枚で1位。前作「ホメチギリスト」の13万7千枚(1位)からアップしています。

2位は元AKB48の指原莉乃がプロデュースを手掛けたとされる声優アイドルグループ=LOVE「探せ ダイヤモンドリリー」が初登場でランクイン。CD販売数2位を獲得した一方、ラジオオンエア数は74位、PCによるCD読取数19位、Twitterつぶやき数13位にとどまっており、固定ファン層向けのヒットにとどまっている感じ。楽曲的には典型的な90年代J-POPといった感じ。「令和」になると、こういうタイプのJ-POPが「昭和歌謡」ならぬ「平成歌謡」と言われるようになるのでしょうか。オリコンでは初動売上9万9千枚で2位初登場。前作「Want you!Want you!」の8万枚(2位)からアップ。

そして3位4位にはロングヒットを続けるあいみょんの曲が並んでいます。3位に「ハルノヒ」、4位「マリーゴールド」がランクイン。CD販売数は「ハルノヒ」24位、「マリーゴールド」は圏外なのですが、ダウンロードは「ハルノヒ」2位、「マリーゴールド」6位、さらにストリーミング数では「マリーゴールド」が今週も1位をキープ。「ハルノヒ」も3位に。You Tube再生回数は「ハルノヒ」7位、「マリーゴールド」2位とまさにしっかりと曲を聴かれている形でのヒットとなっています。

続いて4位以下の初登場です。5位初登場はLiSA「紅蓮華」。テレビアニメ「鬼滅の刃」オープニングテーマ。ハードロック調でダイナミックなアニソンらしいナンバー。7月3日リリース予定のシングルからの先行配信。ダウンロード数で1位を獲得し、配信のみでベスト10入りしてきました。

7位には韓国の女性アイドルグループTWICE「FANCY」がランクイン。22日に韓国でリリースされたミニアルバム「FANCY YOU」からの曲で、配信のみでのリリース。ダウンロード数8位、ストリーミング数2位、Twitterつぶやき数及びYou Tube再生回数4位と上位にランクインし、総合順位でもベスト10入りしています。

8位には、こちらは日本の男性アイドルグループDa-iCE「FAKE ME FAKE ME OUT」がランクイン。CD販売数は3位でしたが、ダウンロード数15位、ラジオオンエア数9位、Twitterつぶやき数は33位にとどまり総合順位はこの位置に。オリコンでは初動売上3万8千枚で3位初登場。前作「雲を抜けた青空」の初動3万9千枚(5位)から微減。

一方、ロングヒット組では米津玄師「Lemon」は今週、ワンランクダウンして6位に。下落傾向となっていますが、You Tube再生回数では4週ぶりの1位に返り咲いており、まだまだ根強い人気を感じさせます。また話題のロックバンド、King Gnu「白日」が先週の10位から9位にランクアップ。トータル8週目のベスト10ヒットとなり、ロングヒットを続けています。特にダウンロード数及びストリーミング数4位と強さを見せつけており、今後、どれだけヒットが伸びるのか期待できそうです。

今週のHot100は以上。明日はHot Albums!

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