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2019年4月20日 (土)

暖かくフォーキーなメロにラテンの血が加わる

Title:This Is How You Smile
Musician:Helado Negro

今回紹介するHelado Negroは1980年にアメリカはフロリダで、エクアドル移民の子どもとして生まれ、主にインディーシーンで活動をつづけたミュージシャン。日本では正直、かなり無名に近いミュージシャン。私も完全に初耳のミュージシャンでこのアルバムがPitchforkで高評価だったのが聴くきっかけ。ただPrefuse73としての活動でも知られるスコット・ヘレンの別ユニット、Savath and Savalasに参加していた・・・と言われると、ようやくその活躍のほどがわかるかと思います。

そんな知る人ぞ知る的なミュージシャンで、かつ奏でる音楽の紹介として「サイケデリック・ポップ」という書き方をしていたりするので、それを聞いただけだとちょっとマニア向けの取っつきにくいミュージシャン、という印象を抱いてしまうかもしれません。実際、アルバムの1曲目「Please Won't Please」を聴き始めた時にスピーカーから流れてくるのはサイケ風なエレクトロサウンド・・・からスタートしたかと思えば、それに続く彼の歌声は一転、とても暖かく優しい雰囲気。歌がはじまるとフォーキーな雰囲気を感じさせるぬくもりのあるポップソングが繰り広げられており、美メロともいえるメロディーラインと優しい歌声に癒されるポップチューンとなっています。

楽曲はそんなフォーキーな雰囲気が漂う暖かくメロディアスな歌モノがメイン。続く「Imagining What to Do」もアコースティックギターを奏でつつ、優しいメロを歌い上げています。そしてそんな彼の楽曲には、エクアドルからの影響でしょうか、どこかラテン的な要素を感じる部分が多々あります。「Imagining What to Do」も後半、スティールパンの音色が流れ、どこかラテンの影響を感じさせますし、アコギでしんみり聴かせる「Pais Nublado」もラテンのフレイバーが漂うポップス。このポップソングの中にちょっと含まれるラテンの血が、アルバムの中で彼の大きな個性となっているように感じました。

またそんな暖かみのある歌とは対照的にまさにサイケデリックな側面もアルバムの随所に感じられます。例えば「Fantasma Vaga」はちょっとトライバルな雰囲気を含んだエレクトロサウンドにサイケな要素を感じますし、「November7」もローファイでサイケなエレクトロチューン。ラストも「My Name Is for My Friends」も静かでサイケな雰囲気のインストチューンで締めくくられています。

ただ、そんな彼のサイケデリックな側面を強調したような曲に関してもメロディーラインがしっかりと流れており、ほかの曲の中で決して浮いたものとはなっておらず、アルバムを通じてひとつの流れをしっかりと感じられる構成となっていました。今回、前知識が全くなく聴いたミュージシャンなのですが、思った以上に素晴らしい出来栄えに聴き入ってしまいました。上にも書いた通り、暖かくフォーキーなメロディーラインが主軸となっているため比較的幅広い層が楽しめそうなアルバム。ただ一方では音楽的にユニークな要素も随所に感じられ、奥の深さも感じられる傑作アルバムでした。

評価:★★★★★

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