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2019年4月 6日 (土)

ちょうど1年ぶりのミニアルバム

Title:わすれものグルーヴィ
Muician:東京カランコロン

2012年にメジャーデビューし、その後、その心地よいポップチューンが話題となったものの、残念ながら大ブレイクには至らず、2017年からインディーズに戻って活動を開始したポップバンド、東京カランコロン。インディーズからリリースされた前作「東京カランコロン01」は突き抜けたような爽快なポップアルバムの傑作となっていました。そしてそんなアルバムからちょうど1年後にリリースされたのがこの全6曲(+シークレットトラックが1曲)のミニアルバムでした。

そして傑作の後にリリースされたアルバムでしたが、今回もとても心地よいポップアルバムになっていました。どんどん盛り上がるような疾走感あるサウンドとポップなメロが心地よい「ユートピア」にバンドサウンドがちょっとひねくれた感じもありつつ、ポップにまとめあげている構成が彼ららしい「ないないない」。軽快なリズムが楽しいポップチューン「Do you?」に打ち込みでリズミカルな「MUUDY」と、とにかく楽しいポップチューンが続いていきます。

続く「スカート」はミディアムチューンで聴かせるナンバーなのですが、ちょっと切なさのあるメロディーラインが胸にキュンとくるような素敵なポップスに。そして本編ラストの「ロケッティア」はこれまたアルバム全体を統括するかのような、軽快なリズムの楽しいポップチューンで締めくくられています。

そんな訳で今回のアルバムも全編ポップチューンが並ぶ楽しいアルバムに仕上がっており、最初から最後まで難しいこと抜きに楽しめる、まさにポップスアルバムらしいポップスアルバムに仕上がっていました。ただ、今回のアルバムも特に序盤の「ユートピア」や「ないないない」など突き抜けたポップチューンやちょっとひねくれたサウンドが楽しめたり、「スカート」のような彼らのメロディーセンスを存分に感じることが出来る曲もあったりするのですが、実質わずか6曲ということもあり、前作に比べるとバリエーションも乏しく、彼らの実力をフルには発揮できていないかな、という印象もうけました。

また、ラストシークレットトラックがタイトルチューンの「わすれものグルーヴィ」となっており、このアルバムはサブスクリプションへ配信されているのですが、この曲はCDのみの特典・・・なのですが、アコギのみの演奏でホームレコーディングの楽曲となっており、まるでデモ音源のような感じ。特典をつけてCDを買ってほしい、というのはわかるのですが、そのボーナストラックがこれ、というのはあまりにもちょっと・・・。そんな訳で、この曲目当てにだけにCDを、と思っている方がいれば、正直なところ、ダウンロードやサブスクで十分かと思います。

そんな不満点はありつつも、ただ全体としてはやはり彼らの魅力を存分に味わえる楽しいポップアルバムの傑作だったと思います。これだけポップで気持ちいい曲が書けるのならば、また是非メジャーシーンに戻って今度こそは大ブレイクを、と思ってしまうのですが・・・。とりあえず、彼らの活躍からはまだまだ目を離せなさそうです。

評価:★★★★★

東京カランコロン 過去の作品
We are 東京カランコロン
5人のエンターテイナー
UTUTU
カランコロンのレンタルベスト
noon/moon
東京カランコロン01


ほかに聴いたアルバム

What I think about the World/照井利幸

元Blankey Jet Cityのベーシスト、照井利幸が2014年にリリースし、その後入手困難となっていたアルバムをリミックスし、再リリースしたアルバム。全編インストのナンバーで、前半はメロディアスなギターを聴かせる比較的ポップ色の強い楽曲。対して後半はギターをミニマル的に聴かせる、テクノ、あるいはポストロック的なアプローチが印象に残る挑戦的なナンバーになっています。どちらも元ブランキーの、というイメージからするとちょっと意外性も感じるような作風に。若干聴き手を選びそうな部分もありますが、彼のミュージシャンとしての挑戦心も感じられるアルバムでした。

評価:★★★★

COLLABORATED/Monkey Majik

仙台を拠点に活動する在日外国人+日本人4人組のロックバンド、Monkey Majik。本作はそんな彼らが他のミュージシャンとコラボレーションした曲を集めた企画盤。サンドウィッチマンとのコラボで話題となった「ウマーベラス」や岡崎体育とのコラボ「留学生」なども収録。ディスコチューンからエレクトロナンバー、ロックチューンやポップスなど多彩な楽曲が収録されており、そのコラボの幅広さを伺わせます。それだけ引っ張りだこの彼らですが、ちょっといじわるな見方をしてしまうと、英語ネイティブの発音で「洋楽」っぽさを出すことができる反面、日本語がわかりJ-POPの事情も知っていて、かつギャラも邦楽ミュージシャン並という「お手軽さ」が受けているのでしょう。もっとも、そんなコラボもしっかりと受けられるだけのバンドとしての実力があればこそなのでしょうが。

評価:★★★★

MONKEY MAJIK 過去の作品
TIME
MONKEY MAJIK BEST~10years&Forever~
westview
SOMEWHERE OUT THERE
DNA
Colour By Number
southview
enigma

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