酩酊感あるサウンドと歌に聴きほれる傑作
Title:When I Get Home
Musician:Solange
3月1日に突如配信でリリースされたソランジュのニューアルバム。ソランジュといえばなんといっても前作「A Seat At The Table」が大きな話題となりました。各種メディアで絶賛を受け、その年の年間ランキングでも軒並みランクインした傑作アルバム。当然、それに続くニューアルバムということで本作の突如のリリースも大きな話題となりました。
本作は全39分という長さがならも19曲入りという構成。前作同様インターリュードの曲も多く、1曲あたり2、3分という短い曲で展開していきます。基本的に曲間に隙間がなく、全19曲がまるで1つの曲のように、ひとまとまりで聴かせるような構成の作品となっていました。
サウンド的には、ここ最近、流行りといも言えそうなメロウなAOR風のアレンジが特徴的。1曲目「Things I Imagined」からフュージョンテイストの丸みを帯びたエレクトロサウンドが心地よいナンバーからスタートしますし、インターリュードを入れて3曲目も「Down With the Clique」もジャズ的なサウンドが魅力的。そこに入ってくるハイトーンボイスのソランジュのボーカルの美しいこと・・・思わず聴きほれてしまいます。
このエレクトロジャズ風なアレンジはその後の一貫して続き、特に中盤以降は「Dreams」の静かなサウンドと彼女の静かなボーカルは聴いていてほれぼれしてしまいますし、その美しい歌声は「Time(is)」や「Beltway」でも強い印象に残ります。また、「Beltway」などではどこか幻想的で酩酊感ある雰囲気となっているのも特徴的。この幻想的、酩酊感を覚えるようなフワフワ感はアルバム全体を覆っており、ほかにも「Almeda」ではトラップ風のサウンドを入れており、この酩酊感をさらに強調するリズムが強く印象に残りました。
中盤、酩酊的な気だるさを反映されるような「My Skin My Logo」のような曲もあり、HIP HOP的な要素を取り込んだりもしているのですが、この幻想的な雰囲気を持ったサウンド面でも大きな魅力を受ける反面、なによりもアルバムを通じて大きな魅力に感じたのは彼女のボーカルであり、歌。まずはごちゃごちゃ難しいこと抜きにして、素直に彼女の歌声に強く惹かれる傑作アルバムに仕上がっていたと思います。
ちなみに今回のアルバムでは数多くの豪華なゲスト参加も話題となっており、「My Skin My Logo」ではTyler,The Creatorが、「Binz」ではPanda Bearが、「Dreams」ではEarl Sweatshirtがプロデューサーとして参加して大きな話題を呼んでいます。ただ、これだけ豪華なゲストが参加してもアルバム全体として豪華なゲストの個性が前に出てくることは全くなく、ソランジュとしての個性が最後までしっかりと発揮されたアルバムとなっていました。
そんな訳で最新アルバムも前作に負けず劣らずの傑作アルバムで、間違いなく本作も年間ベストクラスの傑作だったと思います。その幻想的なサウンドに揺られつつ、ソランジュの美しいボーカルを存分に味わえる、そんな作品でした。
評価:★★★★★
Solange 過去の作品
A Seat at the Table
ほかに聴いたアルバム
HEAD ABOVE WATER/Avril Lavigne
アヴリル約5年ぶりとなるニューアルバム。セルフタイトルだった前作は元気なロックチューンからの次の一歩に迷いを感じられたアルバムになっていました。今回のアルバムは、そんな前作から引き続き、いままでのイメージを脱皮すべく、ミディアムテンポで聴かせるナンバーがメイン。そのためちょっと地味な印象も否めないものの、前作に比べると統一感も出てきて、新たな一歩を進み始めたかな、という印象も。これからのさらなる成長にも期待したいところです。
評価:★★★★
Avril Lavigne 過去の作品
Goodbye Lullaby
Avril Lavigne
Suspiria Unreleased Material/Thom Yorke
昨年リリースすた映画「サスペリア」のサントラ盤が大きな話題となった、ご存じRADIOHEADのボーカリスト、トム・ヨーク。本作はサントラ盤には未収録となった曲、7曲を配信オンリーでリリースしたもの。サントラ盤同様、不気味な雰囲気のエレクトリックサウンドが並ぶ作品になっています。どれも映画の雰囲気がよく出ているサントラになっており、なぜ前作のサントラ盤で未収録となっているのか不思議なほど。映画を見ていなくても十分に楽しめるサントラ盤でした。
評価:★★★★
Thom Yorke 過去の作品
The Eraser Rmx
Tomorrow's Modern Boxes
Suspiria(Music for the Luca Guadagnino Film)
| 固定リンク
「アルバムレビュー(洋楽)2019年」カテゴリの記事
- 圧巻のステージ(2019.12.29)
- 前作と同じレコーディングで生まれた作品(2019.12.24)
- ゴスペル色が強い新作(2019.12.23)
- バラエティー富んだエレクトロサウンド(2019.12.22)
- 待望の続編!(2019.12.20)
コメント