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2019年4月

2019年4月30日 (火)

屋久島の音を取り込む

Title:YAKUSHIMA TREASURE
Musician:水曜日のカンパネラ&オオルタイチ

ほぼ毎年新作をリリースし、積極的な活動を続けている水曜日のカンパネラ。昨年6月にリリースされた「ガラパゴス」以来となる新作は6曲入りのEPとなっています。しかし、今回のアルバムはちょっと異色的な作品。もともとYou Tubeで配信されているドキュメンタリー番組「Re:SET」の企画において屋久島とコラボレーションを行うことになった水曜日のカンパネラのコムアイが、屋久島に何度も足を運び、現地に溶け込みながらフィールドレコーディングを行い、EPとしてまとめていった作品だそうです。また今回、水曜日のカンパネラの楽曲を手掛けているオオルタイチも屋久島に同行。全編、彼がプロデュースした作品にまとまっています。

そのため今回の作品はリズミカルなエレクトロサウンドにコムアイのユーモラスなリリックのラップがのるいつもの水カンのスタイルとはかなり異なった作風になっています。全編、屋久島の自然の音が楽曲に組み込まれ、どこか幻想的な雰囲気が漂う作品に仕上がっていました。まず1曲目「地下の祭儀」から、ドリーミーで分厚いエレクトロサウンドに呪術的なスキャットのようなボーカルが流れる作品。続く「島巡り」では三味線のような音とエレクトロなサウンドにのせて、現地の人たちの声や歌がおさめられている、まさにタイトル通り、屋久島を巡って現地の「声」を集めたような作品になっています。

続く「殯舟」はコムアイが歌う民謡のような歌を静かに聴かせる作品。かと思えば、後半は雰囲気が一転。強烈なノイズが重なる、ある種の暴力的にすら感じる作品に。「東」はトライバルなリズムとサイケなエレクトロサウンドが特徴的な作品。こちらもコムアイのトライバルな不思議な歌声が大きなインパクトに。さらに「海に消えたあなた」では静かなエレクトロサウンドにコムアイのうねるようなハミングで、非常に不思議な雰囲気の呪術的な作風に仕上がっていました。

そんな訳で全体的に屋久島の自然をエレクトロやサイケのサウンドの中に体現化させようとした、意欲作ともいえる作品になっています。水曜日のカンパネラといえばアルバムをリリースする毎にそのスタイルを大きく変えてきましたが、そんな中でも今回のアルバムはかなり異色作。正直なところポップというにはほど遠く、そういう意味では賛否が分かれる内容になっていたように感じます。

また正直なところ、屋久島の自然をエレクトロサウンドで表現するというスタイルという方向性が真新しいか、と言われると若干微妙な部分があり、パッと思いついただけで高木正勝のアルバム「かがやき」なども京都の自然を楽曲に取り入れた作品があったりして、よくあるといえばよくあるようにも感じてしまいます。ただ、コムアイのハイトーンボイスはなにげに今回のアルバムで表現しようとしている自然観にもピッタリマッチしており、幻想的なエレクトロサウンドも心地よく聴こえます。そういう意味では純粋に屋久島の自然の幻想的な雰囲気を気持ちよい音楽という形で楽しむことの出来るアルバムだったと思います。

最後に収録されている「屋久の日月節」はアルバム唯一の歌モノですが、心臓の鼓動ようなリズムをバックにコムアイが静かでやさしく歌う幻想的な歌がとても美しく、心に残ります。この曲は間違いなく水曜日のカンパネラの曲として広くお勧めできそうな1曲に仕上がっていました。

そんな訳で賛否わかれそうな作品ですし、純粋に水カンの新作としてお勧めしがたい部分もあるのですが・・・ただ、同じフィールドに留まらない彼女たちの意欲にも敬意を表して以下の評価で。この作品が次のアルバムにどのような影響を与えてくるのか・・・いろいろな意味で要注目です。

評価:★★★★★

水曜日のカンパネラ 過去の作品
私を鬼ヶ島へ連れてって
ジパング
UMA
SUPERMAN
ガラパゴス
猫は抱くもの(オリジナル・サウンドトラック)


ほかに聴いたアルバム

BLUEHARLEM/Yogee New Waves

オリジナルアルバムとしては1年10ヶ月ぶりとなるシティポップバンド、Yogee New Wavesの新作。ちょっとフォーキーな雰囲気のポップといった感じで、気だるい雰囲気が印象的。サニーデイ・サービスにも近いような感じもするのですが、どこか都会を醒めた視点から見ている感じもするのが今時といった感じでしょうか。時折エレクトロサウンドなども取り入れているサウンドもなかなかユニーク。もうちょっとインパクトがあった方がおもしろいかな、と思ったりもするのですが、以前から課題だったYogee New Wavesらしさが徐々に出てきているようにも感じた新作でした。

評価:★★★★

Yogee New Waves 過去の作品
WAVE
SPRING CAVE e.p.

RYOTA FUJIMAKI Acoustic Recordings 2000-2010/藤巻亮太

現在活動休止中のロックバンド、レミオロメンのボーカリスト、藤巻亮太のソロ最新作はレミオロメンの名曲をアコースティックアレンジで収録したセルフカバーアルバム。レミオロメンといえばもともとシンプルなサウンドで日常を描写した歌詞が魅力的なバンドでしたが、それだけにアコースティックアレンジもピッタリマッチ。レミオロメンの名曲がよみがえってきたアルバムになっていました・・・・・・と言いたいところなのですが、確かにアコースティックなアレンジの楽曲も少なかった反面、普通にバンドサウンドによるセルフカバーも多く、大味に感じられた後期レミオロメンの悪い部分も残ってしまっていた感も。アコースティックというコンセプトになぜ一本化しなかったのかかなり疑問に感じる部分も多々あり、構成的に疑問に感じてしまった部分も少なくないアルバムでした。

もっとも、比較的シンプルにまとめあげられたアレンジでレミオロメンの楽曲の良さはきちんと出ていたので、純粋に曲の良さで言えば文句なしに5つだと思うのですが・・・。構成的に疑問が残るという意味で1つマイナスで。

評価:★★★★

藤巻亮太 過去の作品
オオカミ青年
旅立ちの日
日日是好日
北極星

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2019年4月29日 (月)

伝説のグループの曲をあのミュージシャンが選曲・監修した決定的ベスト盤

Title:クレイジーキャッツスーパーデラックス平成無責任増補盤
Musician:クレイジーキャッツ

主に60年代、国民的グループとして一世を風靡したクレイジーキャッツ。お笑いタレントとして人気を博した彼らですが、メンバーそれぞれが一流のジャズミュージシャンとしての顔を持っており、音楽の質の高さにも定評があるグループです。本作はそんな彼らの代表曲を集めたベスト盤。かの大滝詠一選曲・監修によるアルバムなのですが、もともと1986年に結成30周年を記念して発売された作品。その後、2000年に結成45周年にあわせてリニューアル。さらに今回、植木等の13回忌の命日にあたる3月27日に最新リマスタリングにより再発売。平成にギリギリ間に合った「平成無責任増補盤」として再リリースされました。

クレイジーキャッツの全盛期は私が生まれる前。そのためもともとクレイジーキャッツにはさほど深い思い入れはありませんでした。そんな中、彼らに興味を持ったきっかけがクレイジーキャッツの歴史を音楽的な観点からまとめた「クレイジー音楽大全」。以前、ここでも紹介しましたが、もともとは日本のポップスの歴史を知るためにはクレイジーキャッツははずせないという思いから手に取った本なのですが、一気に気になるグループとなりました。

そんな訳で今回、ベスト盤のリマスターがリリースされるということで聴いてみた訳ですが、もっとも、クレイジーに関してはその後、植木等の曲を集めた「植木等伝説」、クレイジー名義の曲を集めた「クレイジー伝説」に、谷啓の曲を集めた「ガチョーン伝説」を聴いており、基本的にこのベスト盤に収録されている曲はその過程で聴いたことある曲ばかりでした。ただし、「クレイジー伝説」は既に廃盤になっており中古で入手できるのですが、プレミアがついているため仕方なくレンタルで聴きました。そのためCDでも所有したいという思いもあり、本作をあらためて購入してみた、という経緯があります。

さてそんなクレイジーキャッツの曲、最初のイメージとしてはさすがに50年以上前の曲なだけに、今の感覚で聴くと古臭く感じるのではないか、というのが彼らの曲を聴く前に漠然と感じていた印象でした。ただ実際に聴いてみると、音楽的な側面でも笑いのネタとしても、今の感覚で聴いても十分楽しめる・・・どころか今でも十分その魅力を感じることが出来るポップソングばかりでした。

特に音楽的な側面においては彼らもジャズ畑出身ですし、彼らの曲を主に作曲していた萩原哲晶もジャズ畑の出身。そのため楽曲は比較的ジャズ的なバタ臭い雰囲気があり、モダンさを感じます。そういう点が洋楽由来のポップソングに慣れ親しんだ耳にも比較的抵抗感なく聴ける大きな要因だったように感じます。

お笑いの側面でも、これは個人的な好みの問題もあるのですが、「勢い」ではなくきちんと「ネタ」を転がして笑いを取ろうとするスタンスはある種の落語的な時代を超えて引き継がれる普遍性を感じます。また内容的にはサラリーマンの日常のような話が多く、そういう意味でも現在社会ともまだまだ共通項の多いネタのように感じます。

さらに「ハイ それまでョ」のようなムード歌謡から途中でコミカルに一転する構成で笑いを取るスタイルは今でも十分有効ですし、「ウンジャラゲ」のような言葉の語感で笑いを取る、不条理的な笑いの要素はむしろ現代的ですらあります。むしろこの曲はアラフォー世代にとっては志村けんと田代まさしによるカバーで知られており、しっかりと後の世代にも引き継がれていたりします。(もっとも、この語感で笑いを取るスタイルは大正期に「ヂンヂロゲーとチャイナマイ」というヒット曲があったりして、むしろ歴史ある笑いのスタイルだったりするのですが)

ただ一方では今の時代では厳しいだろうなぁ、という面も彼らの曲からは感じることが出来ます。「こつこつやる奴ァ ごくろうさん」と歌う「無責任一代男」やもて自慢の「どうしてこんなにもてるんだろう」「サラリーマンは気楽な稼業ときたもんだ」と歌う「ドント節」などは今だったら「炎上」しそうだな、という印象も受けます。それだけ当時はいろいろな意味で寛容だったし、またいい時代だったんだな、ということも感じます・・・・・・・・・と言いたいところなのですが、今の時代がネットを通じて容易に「負の感情」が共有されやすいという側面があり、ひょっとしたら彼らが活躍した昭和30年代にネットがあったら、今のように「炎上」してしまったのかもしれませんが・・・。

ちなみに今回の「平成無責任増補盤」では2000年のリニューアル時に追加されたボーナスCDももちろん収録。こちらでは1986年にリリースされた「新五万節」のレコーディング風景を収録。リハーサルテイクも収録されており、曲がどのように完成していくのかがわかり興味深く感じますし、今となっては非常に貴重な録音となっています。また、厚家羅漢こと大滝詠一による楽曲解説も収録。こちらは大滝詠一のポップ史観も垣間見れる興味深い解説に。ただ、正直、ちょっとクレイジーを誉めすぎなように感じてしまうのですが(苦笑)。

ちなみにクレイジーキャッツといえば今をときめく星野源もその影響を公言しているなど、間違いなく今の時代でも音楽的にも大きな痕跡を残しています。そういう意味でも今の時代でも音楽的に聴かれるべきミュージシャンですし、その魅力は今でも十二分に味わえることが出来ます。そんな彼らを音楽的な側面から知るには最適なベスト盤。彼らのベスト盤はいろいろとリリースされていますが、廃盤になってしまったのも多く、また事実上CD1枚に収録されている本作はちょうどよいお手軽なボリューム感もあります。リアルタイムで聴いていた世代はもちろん、アラフォー世代より下の世代にも十分にお勧めできるアルバムです。

評価:★★★★★


ほかに聴いたアルバム

S8102/Sauce81&Shing02

Shing02の最新作はDJ/プロデューサーとして活躍しているSauce81とのコラボアルバム。「SFサウンドトラックアルバム」というコンセプトのようで、そのコンセプトに沿ったスペーシーな雰囲気の作品も見受けられます。ただアルバム全体としてはベタなSFイメージに陥ることなく、全体的な雰囲気としてはむしろジャズ、ソウルなどの要素を取り入れたメロウな雰囲気のトラックにShing02のラップが重なるスタイルの楽曲が目立ち、そこにほどよい「近未来感」が加わる心地よいアルバムに仕上がっています。Shing02とSauce81の良さがそれぞれ上手く重なり合ったコラボアルバムでした。

評価:★★★★★

Shing02 過去の作品
歪曲
SURDOS SESSIONS: Nike+ Training Run
1200Ways(Shing02+DJ $HIN)

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2019年4月28日 (日)

胸キュンポップで20年

Title:ALL TIME BEST~20th STORY + LOVE + SONG~
Musician:GOING UNDER GROUND

1998年にアルバム「Cello」でインディーデビュー。昨年、デビューから20周年を迎えたロックバンド、GOING UNDER GROUNDのオールタイムベストが本作。インディーズデビューアルバムに収録されている「チェロ」からスタートし、時系列順に収録。彼らの20年の歩みをたどることが出来るベストアルバムになっています。また、初のCD音源化となる「Parade」「Winding Road」も収録されており、ファンにとってもうれしいベスト盤になっています。

GOING UNDER GROUNDの最大の魅力と言えばなんといっても思春期の純愛を彷彿とさせるような、ノスタルジックな雰囲気の描写も魅力的な歌詞と胸がキュンとなるようなメロディーラインでしょう。ボーカルの松本素生は眼鏡フェイスと小太りの体系で、失礼ながらもロックバンドのボーカルらしからぬ風貌をしていますが、朴訥さを感じられる彼のそのルックスと歌声はGOING UNDER GROUNDの曲の世界観にピッタリとマッチしており、彼の存在があるからこそ、GOING UNDER GROUNDの世界が確立されているといっていいでしょう。

ただ一方、そんな歌の世界を作り上げている彼らですが、意外とロックバンドとして骨太な側面も持ち合わせているというのも大きな魅力でしょう。もともとGOING UNDER GROUNDというバンド名自体、イギリスのパンクロックバンドThe JAMの曲に由来していますし、結成当初はパワーポップバンドのWEEZERに大きな影響を受けていたとか。実際、1曲目「チェロ」はかなり分厚いギターサウンドの、確かにWEEZERも彷彿とさせるようなパワーポップチューンに仕上がっていますし、Disc1の前半に収録されている曲はノイジーなサウンドが前に出しているギターロック路線が貫かれています。

そんなGOING UNDER GROUNDを私がはじめて知ったのは2000年のメジャーデビュー直前。そしてはじめて見たライブが忘れもしない2000年の5月4日の日比谷野音。この日、あのBUMP OF CHICKENも出演し、前座にGO!GO!7188も登場したという今考えればかなり豪華なイベントライブだったのですが、このライブでなんとトリを飾った彼らのステージにすっかり魅せられてしまい、その後も何度かライブに足を運ぶなど、一時期はかなりはまっていました。

その後も一応アルバムがリリースされる毎にアルバムはチェックしているのですが、正直言って、ここ最近は一時期のようにはまることもなくライブに足を運ぶこともなくなりました。そんな私も久しぶりに彼らのベストアルバムでかつてはまっていた初期の頃の作品を聴いてみたのでですが・・・やはり良い!(笑)上にも書いたとおり、セピア色の風景を思い出させるような歌詞に胸をかきむしろようなメロディー、そしてそんな世界をほどよく盛り上げるギターサウンドが心にズシズシ響いてきます。あらためてGOING UNDER GROUNDの魅力を再認識できました。

こうやって時系列に沿って聴いてみると、彼らのひとつの完成形はおそらく2003年リリースのシングル「トライライト」ではないでしょうか。

「風と稲穂の指定席に座る 上映間近のアカネ空」
(作詞 松本素生 「トライライト」より)

というワンフレーズだけでその切なさを感じる風景がパッと目の前に浮かんでくるのは実に見事。バンドサウンドもストリングスを入れてくるなど厚みをまし、バンドとしての勢いも感じます。

ただ正直言ってしまうと、ここらへんの曲から邦楽ミュージシャンの悪い癖がはじまります。それはストリングスの多様。どうも日本のミュージシャンはスケール感を出そうと安易にストリングスを入れてくる傾向にあるようで、「STAND BY ME」「パスポート」などストリングスのアレンジがどうにも平凡で悪い意味で陳腐なイメージを楽曲に与えてしまっています。

私がGOING UNDER GROUNDの曲から冷めたのもちょうどこの時期。今聴いてもDisc1の終盤からDisc2の最初の方の曲はマンネリ気味にも感じられ、決して悪い曲ではないのですが、このベストアルバムの中ではちょっと今ひとつに感じてしまいます。

しかし、その印象が再び変わるのがDisc2の中盤あたりから。今回のアルバムではじめてCD化された「Winding Road」はダイナミックで疾走感あるバンドサウンドが魅力的なインパクトある楽曲になっていますし、特に続く「LISTEN TO THE STEREO!!」はピアノも入ったダイナミックなバンドサウンドは初期の彼らを彷彿とさせるようなバンドの初期衝動的な勢いを感じさせる反面、サウンド的には厚みを増し、彼らの新境地を感じさせる曲に。特にここ最近の作品は初期の作品のようにバンドサウンドをより前面に出した曲が復活しており、加えて「あたらしい」のようにほどよくエレクトロサウンドを取り入れた曲もあったりして、バンドとして一歩進化した姿を感じることが出来ました。

今回のベスト盤で彼らの曲を聴いて、あらためてGOING UNDER GROUNDというバンドの魅力と彼の今の進化を感じることが出来ました。なにげにここ最近の彼らは徐々に成長を遂げているんだな、といまさらながら気が付かされたアルバム。なんか久しぶりに彼らのライブにも足を運びたくなったなぁ・・・。

評価:★★★★★

GOING UNDER GROUND 過去の作品
おやすみモンスター
COMPLETE SINGLE COLLECTION 1998-2008
LUCKY STAR
稲川くん
Roots&Routes
Out Of Blue
真夏の目撃者
FILM


ほかに聴いたアルバム

はじめてのCHEMISTRY/CHEMISTRY

2001年にテレビ番組「ASAYAN」の企画によりデビュー。デビューアルバム「The Way We Are」は初動ミリオンを達成するなど、まさに一世を風靡したR&B男性デゥオ、CHEMISTRY。その後2012年に活動を休止したものの、2017年に活動を再開しています。そんな彼らの期間限定でリリースされたベストアルバム。最近はとにかくボリュームばかりが大きいベスト盤が多い中、このアルバムは1枚組で10曲に厳選(+ボーナストラックで2曲)。タイトル通り、これでCHEMISTRYの入門盤としては最適なアルバムになっています。

これを機に久しぶりにCHEMISTRYの代表曲を聴いてみたのですが・・・懐かしいなぁ。今でも普通に口ずさめるような曲の連続で、いかに彼らが多くのヒット曲を生み出してきたか再認識しました。特に本格的なR&Bを志向しつつも一方ではほどよく和風、歌謡曲的な要素も入れてきており、いい意味で聴きやすいポップスに仕上がっています。いまさらながらこのバランスの良さがあれだけの人気を確保した大きな要因なんでしょうね。久しぶりに聴いて彼らの魅力を再認識したアルバム。そろそろ久々にオリジナルアルバムを聴きたいなぁ。

評価:★★★★★

CHEMISTRY 過去の作品
Face to Face
the CHEMISTRY joint album
regeneration
CHEMISTRY 2001-2011
Trinity

そろそろ中堅/打首獄門同好会

最近、急速に知名度を上げてきた打首獄門同好会。ラウドロック、ヘヴィーメタル的な要素を取り入れたヘヴィーなサウンドを奏でながらも、日常に密接したネタを取り上げるユーモラスな歌詞が魅力的。最近ではベースのjunkoが誕生日のライブで実は還暦になったという衝撃の事実が判明し、Twitter上でバズる大きな話題となりました。このアルバムでもタイトル通りの気持ちを率直に表現した「はたらきたくない」やギターボーカルの大澤敦史の出身地について歌ったそのものズバリ「HAMAMATSU」なども収録。さらにあの「おどるポンポコリン」をラウドにカバーしていたりします。ラウドなロックとギャップのあるユニークな歌詞という組み合わせで、ちょっとSEX MACHINEGUNSを彷彿とさせるところも。ただ思ったよりラウドというよりはポップ寄りなサウンドになっていて、個人的にはもっとラウドに突っ切ってしまった方がおもしろいようにも感じました。ただユニークな歌詞はやはりインパクト大で、まだまだ注目度は高まっていきそうです。

評価:★★★★

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2019年4月27日 (土)

大人の余裕

Title:UC100V
Musician:UNICORN

今年、再結成から10年を迎えたバンド、UNICORN・・・って、もう10年も経つのかよ、早いなぁ・・・。気が付けば、結成から最初の解散まで7年だった訳ですから、もうとっくにそれを超えてしまった訳ですね。これは何度か書いていると思うのですが、再結成後はライブ中心になったり、活動しているのかわからないようなバンドが少なくない中、10年間、コンスタントに作品をリリースし続けているというのも驚くべき話。本作はオリジナルアルバムとしては前作「ゅ 13-14」から約2年7ヶ月ぶりと間隔があいてしまいましたが、途中、企画盤的なアルバム「半世紀 No.5」もリリースしており、そこから2年が経過しているためちょっと久々な感もありますが、それでも積極的な活動が続いています。

前作「ゅ 13-14」はメンバー全員、自由度の高いバラバラな作風の楽曲が並んでいました。その後、メンバーのソロでの「お遊び」的な曲を寄せ集めた「半世紀 No.5」と続いたのでさすがにそこまでバラバラではない、ものの、メンバー全員が肩の力を抜いて自由にバンドを楽しもうとするスタンスを強く感じる作品になっていたように思います。

基本的にはシングルリリースされた「OH! MY RADIO」のようなシンプルなギターロックが主軸。EBIによる「大航海2020」や川西幸一による「気まぐれトラスティーNo.1」、さらに奥田民生の「55」はミディアムテンポなギターロックでダイナミックかつスケール感あるサウンドが耳を惹きます。

ただそんな中に、ハードロック調のテッシーによる「365歩のマッチョ」やEBIによるしんみりカントリー調の「GET WIND 360°」などメンバーそれぞれの個性が出たようなバリエーションある楽曲が魅力的。一番好き勝手にやっている感が強かったのが奥田民生で、横ノリでトロピカル風の「1172」やレイドバックしたようなサウンドがミディアムテンポのギターロック「うなぎ4のやきとり1」など、誰よりも肩の力を抜いたようなユニークな作風の曲が並んでいます。おそらく彼の場合はソロでもコンスタントに作品を発表しているだけにUNICORNではある意味、好き勝手に自由にやっているんでしょうね(もっともソロでもかなり好き勝手にやっている感はあるのですが・・・)。

逆にそんな中で全体のまとめ役となっている感があるのがABEDONで、ラストを締めくくる「OH! MAY RADIO」も彼の作曲による作品ですし、イントロの「10nuts」に、事実上1曲目でシンセも入ってスケール感あるギターサウンドがインパクトの「ZERO」もいかにも最初の曲のような盛り上げる感じがありますし、ちょうど真ん中に配置されている「青十紅」も自由度の高い他の作品の中でアルバム全体を引き締めるかのような聴かせるメロディアスな歌モノのポップとなっています。全体のバラバラ感がつよかった「ゅ 13-14」に比べるとアルバム全体が比較的引き締まった感があるのもABEDONの作品がアルバム全体をまとめあげているからでしょう。

バンドとしてのまとまりと、大人としての余裕を同時に感じさせるアルバムで、彼らだからこそ作れる、彼らしか作れないアルバムでしょう。もともと唯一無二のバンドだった彼らですが、その貫録も含めて「唯一無二」感がさらに強まっている感じがします。まだまだ彼らの活躍は続きそうです。

評価:★★★★★

ユニコーン 過去の作品
シャンブル
I LOVE UNICORN~FAN BEST
URMX
Z
ZII
Quarter Century Single Best
Quarter Century Live Best

イーガジャケジョロ
ゅ13-14
半世紀No.5
D3P.LIVE CD


ほかに聴いたアルバム

The Gospellers 25th Anniversary tribute「BOYS meet HARMONY」

タイトル通り、ゴスペラーズデビュー25周年を記念してリリースされたトリビュートアルバム。参加ミュージシャンの多くがアイドルテイストの強いボーカルグループだったのであまり期待していませんでしたが、その「予想通り」の内容。ボーカルとしての巧さはそれなりにあったので思ったよりは楽しめましたが、ただ淡白平坦なボーカルに面白味はゼロ。最後に登場するグループ魂、港カヲルの「ひとり」がまさかこれほどおもしろく感じられるとは思わなかった・・・。参加グループのファンならともかく、それ以外の方はあまり積極的に聴く必要はないアルバムかと。

評価:★★★

forme/YUKI

ソロデビュー17年目となるYUKIのニューアルバムは「2度目のデビューアルバム」という「売り文句」を使うように、かなりの意欲作となっています。とにかく様々な豪華ミュージシャンが楽曲を提供している点が大きな特徴となっており、細野晴臣、Chara、堀込泰行、川本真琴・・・などなど豪華なメンバーがズラリと並んでいます。ただ、結果、1曲1曲はそれなりの名曲になっているにも関わらず、全体的に統一感が薄く、アルバム全体としての印象が薄くなってしまっている印象が。逆に個々の参加ミュージシャンがそれぞれの個性を爆発させて好き勝手やっていればそれはそれで面白かったのでしょうが、こちらも逆にYUKIを意識しすぎてかいまひとつ個性を出し切れていない感も。決して悪いアルバムではないのですが、意欲だけ空回りしてしまった感が否めませんでした。思い出すとYUKIはソロデビューの頃はサブカル寄りを意識しすぎて空回り気味のだったのを思い出しますが、「2度目のデビューアルバム」ではソロデビューの頃の悪い側面も引き継いでしまった感も・・・ちょっと惜しい感のあるアルバムでした。

評価:★★★★

YUKI 過去の作品
five-star
うれしくって抱きあうよ
megaphonic
POWERS OF TEN
BETWEEN THE TEN
FLY
まばたき
YUKI RENTAL SELECTION
すてきな15才

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2019年4月26日 (金)

まさかの「第二番」

Title:岸田繁「交響曲第二番」初演
Musician:指揮 広上純一 演奏 京都市交響楽団

2016年にまさかの「交響曲第一番」を完成させたくるりのメインライターにしてボーカリストである岸田繁。ロックにクラシックの要素を取り入れたり、オーケストラをバックにロックの演奏を行うミュージシャンは少なくありませんが、「交響曲」をひとつ書き上げるというのは前代未聞。大きな驚きを持って迎え入れられました。そして昨年、まさかに「交響曲第二番」を完成。本作は「第一番」同様、広上純一指揮、京都市交響楽団演奏の元に行われた初演の模様を収録したアルバムとなっています。ちなみに会場は愛知県芸術劇場だったそうで、うーん、ノーチェックでした。行きたかったな・・・。

この「交響曲第二番」では第5楽章まであった前作から変わり、4楽章制を採用。クラシックについては詳しくわからないものの、この4楽章制は古典的な枠組みだそうで、インタビューなどでも岸田繁本人が語っていましたが、よりクラシックのマナーに沿った作品に仕上げたそうです。

そんな訳で、このアルバムの感想を書こうとしても交響曲をどのように評価すればいいのか、いまひとつわからないので、なんとも言えない部分もあるのですが・・・まず聴いた感想としては「第一番」よりも聴きやすかったように感じました。一番の理由は前作が5楽章50分に及ぶ長さだったに対して、本作は40分とシンプルにまとまった点。ポップに慣れ親しんだ耳としては短い方が聴きやすさを感じます。また、比較的わかりやすいメロディーラインが要所要所に顔だし、かつ全体的にダイナミックな展開が多かった点も聴きやすい要因でしょうか。ここらへんのメロディーラインのわかりやすさはメロディーメイカーとして定評のある岸田繁ならでは、といった感じですし、またサウンドのダイナミズムさはある意味、ロックミュージシャンである彼ならでは、と言えるのかもしれません。

ただ一方では第二楽章ではひとつのフレーズが嫌と言うほど繰り返されていて、正直ちょっとしつこく感じる部分も。全体的にはオーソドックスな交響曲といった印象も強く、ここらへん、クラシックに詳しい方にはどのように評価されるのか気になるところ。ちなみにアルバム後半は「岸田繁 管弦楽作品集『フォークロア・プレイリスト①』により抜粋」として2曲の管弦楽曲が収録されているのですが、こちらの方が6,7分程度の長さでひとつのまとまりとして完結する楽曲が収録されているため、ある意味「ポップス」に近い感じが。彼にとっても作りやすかったのかもしれませんが、個人的にもこちらの方がより聴きやすかったように思います。

評価:★★★★

Title:岸田繁「フォークロア・プレイリスト I」
Musician:指揮 広上純一 演奏 京都市交響楽団

で、こちらが配信限定で同時リリースされたアルバム。「交響曲第二番」のCDにも収録されている「岸田繁 管弦楽作品集『フォークロア・プレイリスト①』により抜粋」 の2曲に当日演奏されたバルトーク、ショスタコーヴィチ、ヴィラ=ロボスの曲も収録されています。「岸田繁の曲」という意味では上のCDにすべて収録されている訳なので、こちらまで聴く必要はないのでしょうが・・・こちらも気になって聴いてみました。

その収録された3曲ですが、哀愁感あるメロが印象的なバルトークに不協和音的な響きが独特なショスタコーヴィッチ、ダイナミックな演奏が魅力的なヴィラ=ロボスと3曲とも魅力的な曲が並びます。こちら、やはり選曲は岸田繁本人なのでしょうか?彼の音楽的興味が垣間見れるような選曲になっておりとても魅力的。サブスクリプションでも配信されているようですので、岸田繁のファンならこちらもチェックしておきたいところでしょう。

評価:★★★★

岸田繁 過去の作品
まほろ駅前多田便利軒 ORIGINAL SOUNDTRACK
岸田 繁のまほろ劇伴音楽全集
岸田繁「交響曲第一番」初演(指揮 広上純一 演奏 京都市交響楽団)


ほかに聴いたアルバム

VIVIAN KILLERS/The Birthday

今年で結成13年目を迎えるThe Birthdayの10枚目となるアルバム。The Birthdayを紹介するときに、「元ミッシェル・ガン・エレファントのチバユウスケとクハラカズユキのいる」という書き方をしているのですが、ミッシェルの活動期間が12年だったので、ついにThe Birthdayの方が長くなってしまいましたね・・・。そろそろミッシェルの紹介の方が、「あのThe Birthdayのチバユウスケとクハラカズユキがかつて在籍していた」という書き方になってしまうかもしれません。

気が付けばフジイケンジがギターとして加入してからも既に8年目となる訳で、すっかりバンドとしてもまとまってきた感のある彼ら。スタイル的にはガレージロックという方向性は相変わらずながら、「ポップでメロディアス」というスタンスがよりはっきりしてきたように思います。ただ、この手のバンドはポップに走ると、「バンドサウンド」がヘナヘナになってしまうケースがほとんどなのですが、このアルバムを聴く限りでは、ヒリヒリしたような緊張感はその中でもしっかりと維持しており、タイトで文句なしにかっこいいガレージサウンドを聴かせてくれています。ある意味、ロックバンドとしてのカッコよさとポップなメロを見事に両立させたアルバムと言えるでしょう。13年目を迎えた彼らですが、まだまだバンドとして進化を続けそうです。

評価:★★★★★

The Birthday 過去の作品
TEAR DROP
MOTEL RADIO SiXTY SiX
NIGHT ON FOOL
WATCH YOUR BLINDSIDE
I'M JUST A DOG
VISION
GOLD TRASH
BLOOD AND LOVE CIRCUS

NOMAD
LIVE AT XXXX

波形/bird

今年デビュー20周年を迎える女性シンガーソングライターによる4年ぶりのニューアルバム。約4年ぶりとなる本作は前作同様、冨田ラボがプロデュースを手掛けたエレクトロサウンドが前面に押し出されたポップチューン。今時のAOR的な要素を入れつつ、彼女ののびやかなボーカルも非常に魅力的な作品に。ただ、前作同様、トラックもボーカルも魅力的ながらも、ちょっと小さくまとまってしまった感がありパンチに欠ける印象も。聴いている間は文句なしに気持ちよく味わえるのですが、聴き終わった後に残る印象が薄い感じが・・・。

評価:★★★★

bird 過去の作品
BIRDSONG EP
MY LOVE
NEW BASIC
9
lush

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2019年4月25日 (木)

日韓アイドルが1位2位

今週のHot Albums

http://www.billboard-japan.com/chart_insight/

今週のアルバムチャートは日韓のアイドルグループが1位2位に並んでいます。

まず1位を獲得したのが乃木坂46「今が思い出になるまで」。2年ぶりになる4枚目のアルバム。CD販売数1位、ダウンロード数3位、PCによるCD読取数2位で総合順位で1位獲得となりました。オリコン週間アルバムランキングでは初動売上44万6千枚で1位獲得。直近作はシングル表題曲の選抜メンバーに選ばれなかったメンバーがシングルのカップリング曲を歌う企画盤的なアルバム「僕だけの君~Under Super Best~」で同作の初動10万1千枚(1位)からはさすがに大幅アップ。またオリジナルアルバムとしての前作「生まれてから初めて見た夢」の34万2千枚(1位)からもアップしています。

2位は韓国のアイドルグループBTS(防弾少年団)「MAP OF THE SOUL:PERSONA」が国内でのCDリリースに合わせて6位から2位にアップし2週目にしてベスト3入りを果たしています。世界的な人気を誇る彼らは本作でアメリカ、さらにはイギリスのアルバムチャートで1位を獲得したそうです。正直言って、音楽とか聴いても確かにクオリティーは良いとは思うものの「圧倒的」ではないし、飛びぬけて目新しい訳ではないし、なぜ彼らがここまで人気を獲得できたのか、いまだに良くわかりません。人気が出た理由について書かれたネットの記事も何本か読んだのですが、納得がいく説明がされているものに出会えませんでした。正直なところ、かなり不思議です。オリコンでは初動26万3千枚で2位初登場。前作「LOVE YOURSELF 結 'Answer'」の4万8千枚(2位)より大幅アップしています。

3位はTHE YELLOW MONKEY「999」が初登場。2016年に再結成を果たした彼ら。その後、ベスト盤のリリースなどはあったもののアルバムのリリースはありませんでしたが、再結成から3年、ようやくリリースされた実に19年ぶりとなるオリジナルアルバムが本作です。CD販売数は3位、CDによるPC読取数は4位でしたが、ダウンロード数は乃木坂、BTSを上回る1位を獲得しており、多くの方が待ちわびたという事実が伝わります。オリコンでは初動売上8万1千枚で3位初登場。直近作のベスト盤「THE YELLOW MONKEY IS HERE.NEW BEST」の4万5千枚(1位)から大幅アップ。

続いては4位以下の初登場盤です。4位も韓国の男性アイドルグループNCTからの派生ユニットNCT127「Awaken」がランクイン。CD販売数4位、ダウンロード数15位、PCによるCD読取数45位を記録。オリコンでは初動売上5万3千枚で4位初登場。国内盤の前作「Chain」の初動4万4千枚(2位)からアップしています。

6位にはアニメソングを中心に歌う女性シンガー藍井エイル「FRAGMENT」がランクイン。CD販売数5位、ダウンロード数8位、PCによるCD読取数34位を記録。体調不良により2016年に活動を休止していましたが、2018年に活動を再開。オリジナルとしては約3年10ヶ月ぶりの新作となりました。オリコンでは初動売上1万4千枚で5位初登場。直近作は2枚同時リリースのベスト盤「BEST-E-」「BEST-A-」で、同作の初動売上(いずれも)2万枚(3位、4位)からはダウン。またオリジナルアルバムとしての前作「D'AZUR」の2万6千枚(4位)からもダウンしています。

8位は祖堅正慶「FINAL FANTASY XIV:STORMBLOOD (Original Soundtrack)」が初登場。タイトル通り、FINAL FANTASY XIVで使用された曲を集めた配信限定のミニアルバム。ダウンロード数で2位を獲得し、配信オンリーながらも見事ベスト10入り。

9位は女性シンガー家入レオ「DUO」が初登場。CD販売数6位、ダウンロード数16位、PCによるCD読取数40位を記録。オリコンでは初動売上1万3千枚で6位初登場。前作「TIME」の1万5千枚(4位)からダウンしています。

初登場組最後は10位にスガシカオ「労働なかしないで 光合成だけで生きたい」・・・・・・なんかすごいタイトルだな。かなり同意したくなるのですが、中身的にはコミカルなアルバムではなく至って真面目でファンキーなアルバム。CD販売数8位、ダウンロード数13位、PCによるCD読取数37位で、総合10位。オリコンでは初動1万枚で9位初登場。前作「THE LAST」の1万9千枚(3位)からはダウンしてしまいました。

ロングヒット組ではあいみょん「瞬間的シックスセンス」。先週10位までダウンしてしまいましたが今週は8位にランクアップ。なんとか持ち直しました。これで10週目のベスト10入り。今週、Hot100では「ハルノヒ」が大きく順位を上げましたが、それにつれてアルバムも持ち直すのか、それとも・・・。

今週のHot Albumsは以上。チャート評はまた来週の水曜日に!

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2019年4月24日 (水)

あいみょんがベスト3に2曲!

今週のHot100

http://www.billboard-japan.com/chart_insight/

Hot100でロングヒットを続けるあいみょん。昨年の米津玄師並となってきましたが、今週はなんとベスト3に2曲同時にランクインさせました。まず2位に「ハルノヒ」。こちらは先週の7位からランクアップ。こちらは今週CDがリリースされた影響ですが、CDランキング9位に対してダウンロード数、ラジオオンエア数、PCによるCD読取数1位、ストリーミング数は3位を記録。Twitterつぶやき数は26位、You Tube再生回数は30位と特にYou Tube再生回数は「マリーゴールド」などに比べて伸び悩んでいますが、今後の動向に注目されます。

ちなみにオリコン週間シングルランキングでも初動売上1万枚で6位初登場。前作「今夜このまま」の6千枚(18位)からもアップ。シングルでは初となるベスト10ヒットとなりました。一方、「マリーゴールド」は先週から変わらず3位をキープ。ストリーミング数は今週でついに16週連続1位。You Tube再生回数3位、カラオケ歌唱回数2位も先週から変わらず。まだまだロングヒットは続きそうです。

で、米津玄師並と書きましたが、米津玄師の方もまだまだロングヒットを続けています。今週の「Lemon」は先週の4位からワンランクダウンの5位。先週1位を獲得したダウンロード数は3位にダウンしましたが、You Tube再生回数は2位をキープしており、まだまだヒットは続きそうです。

さて今週1位を獲得したのはテレビ朝日系の同名のオーディション番組から誕生した女性アイドルグループラストアイドル「大人サバイバー」。作詞秋元康で楽曲的に完全にAKB系に使いまわしできそうな曲。ただ、CD販売数が1位のほかはPCによるCD読取数28位、Twitterつぶやき数18位、そのほかは圏外という結果で、まだ広い層の支持には至ってない感じ。オリコンでは初動売上7万3千枚で初となる1位獲得。前作「愛しか武器がない」の2万3千枚からアップしています。

続いては4位以下の初登場曲です。まず4位に元NMB48のメンバー、山本彩「イチリンソウ」が先週の36位からランクアップしCDリリースにあわせてベスト10初登場。シンガーソングライター志望のようで本作も本人が作詞作曲を手掛けており、よくありがちなタイプなのですが、シンプルなギターポップのナンバーに仕上がっています。CD販売数3位、ラジオオンエア数2位、Twitterつぶやき数1位、PCによるCD読取数5位、ダウンロード数11位と比較的万遍なく上位にランクインしている印象。オリコンでは初動売上3万枚で3位初登場。

6位初登場も女性アイドルグループ。BiSなどが所属するプロダクション、WACK所属のGANG PARADE「ブランニューパレード」がランクインです。CD販売数2位、Twitterつぶやき数14位、PCによるCD読取数57位でそのほかは圏外という結果に。オリコンでは初動売上4万2千枚で2位初登場。前作「CAN'T STOP」の2万5千枚よりアップしています。

7位は今週、アルバムチャートに新作がランクインしてきた韓国のアイドルグループBTS(防弾少年団)「Boy With Luv(feat.Halsey)」が先週の13位からランクアップしベスト10入り。新作アルバム「MAP OF THE SOUL:PERSONA」収録の1曲で、配信のみでのベスト10入りとなりました。ダウンロード数及びラジオオンエア数27位に対して、Twitterつぶやき数4位、ストリーミング数2位、You Tube再生回数は1位を記録しています。

また今週、ベスト10返り咲き組も1曲。10位にKing Gnu「白日」が先週の15位からランクアップ。3週ぶりのベスト10返り咲きとなりました。3月4日付チャートで9位を獲得して以降、ベスト15以内でしぶとくヒットを続けています。特にストリーミング数では3月11日付チャートから4月15日付チャートまで6週連続2位を記録。今週は6位までダウンしているものの、今後のロングヒットの予感もあります。今後の動向に要注目でしょう。

今週のHot100は以上。明日はHot Albums。

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2019年4月23日 (火)

2018年、話題のバンドの次の一手、だが。

Title:THE ANYMAL
Musician:Suchmos

2018年という年は間違いなくSuchmosにとって節目となる1年となりました。彼らの楽曲「VOLT-AGE」がNHKのサッカーワールドカップ中継のテーマソングに起用。さらに年末には紅白歌合戦にも初出場を果たし、その知名度を大きくアップさせる1年となりました。

昨年はその話題の楽曲「VOLT-AGE」を含む、ある種のシングル的なミニアルバムをリリースしましたが、本作はそれに続く待望のニューアルバム。前作「THE KIDS」も傑作アルバムでしたし、その後、あれだけ話題を振りまいた後にリリースされたアルバムということで否応なく注目の集まる1枚となる訳ですが・・・まずは聴き終わった後、「なるほどそう来るか・・・」とうなってしまいました。

当然、あれだけヒットして注目を集めた「THE KIDS」の後のアルバムで、なおかつ一般的な知名度も上がった今、次のアルバムも「THE KIDS」の延長線上で、なおかつポップスさを増したアルバムが来る、そう予想していました。しかし結果としては今回のアルバム、「THE KIDS」のSuchmosの方向性からは大きく離れ、なおかつ大衆受けという方向性に完全に背を向けたような作品に仕上がっていました。

まず冒頭の「WATER」。確かにジャジーでメロウというSuchmosのパブリックイメージに沿ったようなスタートとなっています。しかし、わかりやすいポップな楽曲といった感じではなく、歌もどこかフリーキーさを感じさせます。どこか飲み込みにくい感を抱きつつ、アルバムを進めると続く「ROLL CALL」はいきなりノイジーなバンドサウンドが飛び込んでくる、ガレージ風なサウンドがインパクトを持つ楽曲に。後半はサイケロック的な印象すら感じるナンバーに仕上がっていました。

実はこのサイケデリックな感じが今回のアルバムの最大の特徴。3曲目の「In The Zoo」ではゆっくりとダウナーなスタイルで途中からどんどんサイケな雰囲気に陥っていきますし、特にアルバムの大きなハイライトとなるのが6曲目の「Indigo Blue」。11分にも及ぶ長尺のナンバーになっているのですが、ダイナミックなバンドサウンドを前に押し出したスケール感あるサイケチューンに彼らの意欲を感じます。

もちろん後半にはメロウなAORナンバー「WHY」など彼らの「歌」を聴きたいという方にも満足できそうなポップチューンがしっかりと収録されています。ただそんな中でも「Hit Me,Thunder」のようなブルースな楽曲にも挑戦しており、彼らの挑戦心を感じることが出来ますし、終盤を締めくくるメロウチューンの「HERE COMES THE SIX-POINTER」「BUBBLE」にもドリーミーなサウンドにはサイケロックからの影響も感じさる部分があります。

そんな訳で、「THE KIDS」のようなアルバムを期待されていた方にとっては期待外れのアルバムと言えるかもしれません。ただ、一風変化した作風でもジャズやソウルなどの要素をロックなサウンドの取り入れているSuchmosらしさは変化いていませんし、アルバムもしっかりSuchmosらしいと感じる出来に仕上がっていました。ただ決してわかりやすいポップなアルバムではありませんし、そういう意味では最初とまどうアルバムになっているかもしれません。ただ、お茶の間レベルで話題になったからといって安易にポップな方向に進まず、あくなき挑戦心を持ち続けている彼らのスタイルに驚かされると同時に強く感心させられた作品になっていました。私も最初、このアルバムに戸惑ったのですが、何度か聴くうちに徐々にその世界に強く惹かれていきました。挑戦心あふれるとんでもないアルバム、と言えるかもしれません。2019年も彼らの勢いは止まりそうにありません。

評価:★★★★★

Suchmos 過去の作品
THE KIDS
THE ASHTRAY


ほかに聴いたアルバム

THE ANTHEM/AK-69

約2年半ぶりとなるAK-69のニューアルバム。もともと本格派「風」なヘヴィーでダークなトラックながらも、意外な聴きやすさゆえに広い支持を得ていた彼。今回のアルバムもヘヴィーでダイナミックなサウンドをトラックとして流しつつも、哀愁感あるメロディーが流れる曲が多く、ある種のポピュラリティーあるアルバムになっています。「THE ANTHEM」というタイトル通り、力の入った曲も多く、父親との今生の別れを描いた「Stronger」には思わず涙する人も多いかと。ラストの「BRAVE」ではなんとX-JAPANのToshiがボーカルで参加。独特のハイトーンボイスが嫌でもインパクトを持ったナンバーに。一方では「One More Time」では今風なトラップの音を取り入れたりもしており、そういう意味では本格派としての方向性とポピュラリティーを上手くバランスさせたアルバムにも感じます。いい意味でAK-69を聴いた、という満足感を覚えるアルバムでした。

評価:★★★★

AK-69 過去の作品
THE CARTEL FROM STREETS
THE RED MAGIC
The Independent King
Road to The Independent King
THE THRONE
DAWN
無双Collaborations -The undefeated-

PIT VIPER BLUES/T字路s

女性ギターボーカルの伊東妙子とベース篠田智仁によるブルースデゥオT字路s。実は以前、ライブを見たことがあり、そのステージの素晴らしさに一気に気になるミュージシャンとなっていたのですが、ようやく音源を聴くことが出来ました。ブルースデゥオというイメージなのですが、楽曲的にはむしろカントリーやフォーク的な要素も強め。ただ、とにかくインパクトがあるのが伊東妙子のボーカル。迫力満点のだみ声は楽曲のくすんだ雰囲気にもピッタリマッチ。彼女にしか出せない独特の色を出しています。

ただゆっくりと噛みしめるように歌われる歌はインパクト十分・・・のはずなのですが、歌詞がしっかりと耳に入ってくる割には聴き終わった後、いまひとつ印象に残らないのが非常に気になりました。要するに、歌詞にインパクトあるフレーズや展開がいまひとつなく、引っ掛かりがほとんどない、ということ。せっかく素晴らしい歌声の持ち主で、歌い方もしっかりと歌詞を伝えるような歌い方にも関わらず、非常にもったいなく感じました。

評価:★★★★

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2019年4月22日 (月)

がんばれ!メロディー

Title:がんばれ!メロディー
Musician:柴田聡子

柴田聡子のニューアルバムについて、まずそのタイトルの良さが目につきます。「がんばれ!メロディー」。ポップソングのアルバムタイトルとしてとてもかわいらしさを感じますし、また「メロディー」というポップソングの本質のような部分へのエールをタイトルにするあたり、ポップミュージシャンとしてのある種の意気込みを感じさせます。

個人的に柴田聡子のアルバムを聴くのはこれが3枚目となるのですが、いままでの彼女の曲はポップソングではあるものの、いまひとつポピュラリティーに欠けている内向きな雰囲気があり、その話題性とは反していまひとつピンと来ませんでした。しかし、今回の作品はそんないままでの作風から一変、非常にポップでキュートなメロディーラインが続く、誰が聴いても楽しめるようなポピュラリティーあるアルバムに仕上がっていました。

1曲目からしてタイトルからして明るく多幸感のある「結婚しました」から、明るい雰囲気のサマーポップに仕上がっていますし、続く「ラッキーカラー」もどこか切ないキュートなメロディーが強い印象に残るフォーキーな美メロが印象的。その後もギターアルペジオでフォーキーに聴かせる切ない「いい人」や暖かい雰囲気のサウンドにメロディーラインが心に残る「心の中の猫」などシンプルで、しっかりとメロディーラインを聴かせるポップチューンが並びます。まさに「がんばれ!メロディー」というタイトル通り、アルバムの中でなによりもメロディーががんばっているポップな歌モノのアルバムに仕上がっています。

一方、歌詞についても日常風景を描写した身近な題材がテーマの曲が多く、そういう観点からもポピュラリティーを感じさせるアルバムになっています。「結婚しました」などはまさにタイトル通り、「結婚」をテーマとした歌詞ですし、「ジョイフル・コメリ・ホーマック」とホームセンターの名前を並べたような、まさに日常をテーマとした曲もあります。

もっともそんな中でも楽曲にはバラエティーがあり、ピコピコポップチューンの「ワンコロメーター」なんていうユニークな曲が登場。こちらも犬が迷子になったという歌詞のネタもユニーク。また「セパタクローの奥義」というこれまたユニークなタイトルの曲はエキゾチックな雰囲気のサウンドが大きな魅力となっていますし、ラストの「捧げます」は爽やかながらもメロディーラインがどこかひねくれており、彼女の音楽的な奥行を感じさせるポップスとなっています。

歌詞にしても日常をテーマとする一方で「いい人」などは内省的な歌詞の中にどこか影を感じさせる作品。ここらへんもJ-POP的な単純な明るさとは一線を画しているように感じられました。

ただ間違いなく言えるのは今回のアルバムでポップスとしての強度が格段に増し、シンガーソングライターとして階段を一歩昇った、大きな成長を感じさせる傑作アルバムだったということでしょう。気持ちよい間口の広いポップアルバムですが、奥行の深さも感じます。シンガーとしてこれからがますます楽しみになってくる1枚でした。

評価:★★★★★

柴田聡子 過去の作品
柴田聡子
愛の休日


ほかに聴いたアルバム

坂本龍一 選 耳の記憶 前編 Ryuichi Sakamoto Selections / Recollections of the Ear

坂本龍一 選 耳の記憶 後編 Ryuichi Sakamoto Selections / Recollections of the Ear

坂本龍一が2011年から2015年にかけて「婦人画報」誌で掲載していたコラム「耳の記憶(12の調べが奏でる音楽の贈りもの)」で紹介した曲をまとめたオムニバスアルバム。彼が各回1曲ずつ紹介し、それにまつわる幼少期の思い出を綴ったコラムで、要するに音楽家坂本龍一の原点とも言える楽曲をまとめたアルバム。そういう意味ではファンにはたまらなそうですし、そうでなくても坂本龍一がどのような音楽体験を経てきていたのかを知れるというのは、興味深く感じます。収録されている曲は基本的にクラシック。比較的ピアノ曲が多いのは、やはり彼の音楽的原点はピアノからスタートしているということなのでしょうか。ただ、クラシックを聴く耳で聴き進めると、いきなりビル・エヴァンスのジャズの名曲「マイ・フーリッシュ・ハート」が登場してくるあたりはちょっと驚いてしまいます。

全体的には有名な作曲家の曲が多いのですが、必ずしも「よく知られているフレーズの登場する曲」が選ばれている訳でもなく、純粋にクラシックのオムニバスとして楽しめるのですが、クラシックの入門的な感覚で聴くとちょっと違うかもしれません。ただ、坂本龍一とは関係なく、手軽に聴けるクラシックのオムニバスとしても楽しめる1枚でした。

評価:どちらも★★★★

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2019年4月21日 (日)

結成10年目の最高傑作

Title:ドロン・ド・ロンド
Musician:チャラン・ポ・ランタン

今年、結成10年目を迎えた「歌とアコーディオンの姉妹ユニット」チャラン・ポ・ランタンの約1年4ヶ月ぶりとなるニューアルバム。10周年というのはかな~り意外な感がありますが・・・ただインディーズでの活動が長かったそうですね。そんな彼女たちも本作に収録されている「ガリレオ」が小学館の図鑑のCMソングに起用されたり、「ページをめくって」が映画「キスできる餃子」の主題歌に起用されたり、チャラン・ポ・ランタンの小春が楽曲提供した「ゾクゾクうんどうかい」がNHK「おかあさんといっしょ」で流れたりと、着実に活躍する場を広げていっています。

前作「ミラージュ・コラージュ」との間にインディーズ時代の楽曲をまとめたベスト盤「過去レクション」がリリースされました。そのアルバムがリリースされた後のアルバムなのでより強く思うのですが、ミュージシャンとしてどんどん成長しているな、ということを本作では強く感じられました。基本的にアコーディオンにホーンセッションを入れて、バルカン音楽やスカ、あるいはジンタなどといった音楽性を取り入れたスタンスはインディーズ時代からは大きく変わりませんし、その方向性は本作でも健在でした。

ただ、楽曲のバリエーションは本作では以前に増して広がっているように感じます。例えば「春のあお」ではダブの要素を入れてきていますし、「猛獣使いのマリー」はストリングスも入って優雅さを感じさせるアレンジになっていますし、「日が昇るまで」もアラビア風の妖艶な雰囲気が大きなインパクトとなっています。

さらにいままでの楽曲の方向性を引き継いだタイプの曲に関しても、楽曲の歌詞や方向性に応じて一本調子にならず雰囲気を変えています。例えば映画主題歌にもなった「ページをめくって」は全体的に明るい作風でバンドサウンドも前に押し出しJ-POPシーンの中でも聴きやすいようなアレンジに仕上げていますし、1曲目の「脱走」は逆にホーンセッションやアコーディオンが賑やかに鳴り響く、ある意味チャラン・ポ・ランタンらしさを前に押し出したナンバー。「100人のダディ」などは軽快なリズムのビートを前に押し出していますし、「マッドネス」はタイトルの元ネタとなったイギリスのスカバンドの作風に合わせたのでしょうか、裏打ちのビートをより強調したアレンジに仕上げています。

そこらへんの音楽性のバリエーションを一番上手く取り入れたのが「お惚気アベック」で、タイトル通り、イチャイチャしているカップルと、それを見てイライラしている人の心境が交互に語られるユニークな歌詞が特徴的なのですが、その2人の心境にあわせてアレンジもうまくチェンジ。歌詞はもちろんサウンドによって上手く1人2役の芝居を楽曲の中で成り立たせています。

そんな「お惚気アベック」のようなユニークな歌詞も登場するように、ユーモラスあふれる歌詞は本作も健在。ほかにも「麻イイ雀」ではタイトル通りに麻雀の役を歌に組み込まさせているユニークなナンバー。ちなみにサウンド的にもファンキーなサウンドを前に押し出した、いままでの彼女たちとはちょっと違った雰囲気の作品に仕上げてきています。

ほかにもサーカスの猛獣使いの女の子が主人公の「猛獣使いのマリー」などはチャラン・ポ・ランタンだからこそ使える歌詞の設定といったイメージですし、逆に少年時代のほのかな恋心をテーマとした「マッドネス」はある種、普遍的なノスタルジーあふれる歌詞の世界を作り上げており、歌詞の面でも胸に響かせる曲が並んでいます。

前作「ミラージュ・コラージュ」ではバンドとしての安定感を感じさせたのですが、今回のアルバムはそこからのさらなる成長を感じさせる傑作アルバム。バンドとしての最高傑作ですし、これはひとつの完成形のように感じます。また結成10年目にしてバンドのステージがさらに1つあがったように感じました。残念ながらいろいろな場所での活躍とは反してバンドとしてはいまひとつブレイクし切れていないのは残念ですが、これだけの傑作をリリースできれば、さらに彼女たちの活躍の場は広がりそう。これからの活躍も楽しみです。

評価:★★★★★

チャラン・ポ・ランタン 過去の作品
テアトル・テアトル
女の46分
女たちの残像
借り物協奏
トリトメモナシ
ミラージュ・コラージュ
過去レクション


ほかに聴いたアルバム

有頂天/ポルカドットスティングレイ

今年7月には初となる武道館ライブも予定されている人気上昇中のロックバンド、ポルカドットスティングレイの新作。彼女たちらしいエッジの効いたギターを聴かせる疾走感あるロックチューンを中心に、シティポップ風なナンバーやジャジーなアレンジを加えた曲なども収録されており、いままでのアルバムに比べて楽曲のバリエーションが一気に増した作品に。個人的にはメロディーラインにもうちょっとインパクトが欲しい印象もあり、惜しさも感じてしまうのですが、いままでのアルバムに比べればグッとよくなった印象も。バンドとしての大きな成長を感じるアルバムでした。

評価:★★★★

ポルカドットスティングレイ 過去の作品
大正義
全知全能
一大事

未来/NONA REEVES

今年、メジャーデビュー20周年を迎える彼らの約1年5ヶ月ぶりとなる新譜。ここ最近、彼らが奏でる80年代風のシティポップの見直しの気運が高まり、それに伴い彼らのアルバムもここ数作、いつも以上に勢いが増してきたように感じます。今回もRHYMESTERがゲストとして参加した「今夜はローリング・ストーン」をはじめ、ダンサナブルなリズムとメロウなサウンドというノーナらしい楽曲が並びます。そういう意味で純粋に楽しめたアルバムだったのは間違いありません。ただ、ここ数作に比べるとちょっと勢いは落ちてしまった感が否めず、良くも悪くも同じようなパターンの多い彼らの「マンネリ」さが少々気になってしまいました。じゃあ新機軸が必要か、と言われるとそれはそれで微妙な感じもするのですが・・・。デビュー20周年を迎えてひとつの岐路に立っている、と言えるかもしれません。これからの活動に注目したいところです。

評価:★★★★

NONA REEVES 過去の作品
GO
Choice
ChoiceII
BLACKBERRY JAM
POP'N SOUL 20~The Very Best of NONA REEVES
MISSION

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2019年4月20日 (土)

暖かくフォーキーなメロにラテンの血が加わる

Title:This Is How You Smile
Musician:Helado Negro

今回紹介するHelado Negroは1980年にアメリカはフロリダで、エクアドル移民の子どもとして生まれ、主にインディーシーンで活動をつづけたミュージシャン。日本では正直、かなり無名に近いミュージシャン。私も完全に初耳のミュージシャンでこのアルバムがPitchforkで高評価だったのが聴くきっかけ。ただPrefuse73としての活動でも知られるスコット・ヘレンの別ユニット、Savath and Savalasに参加していた・・・と言われると、ようやくその活躍のほどがわかるかと思います。

そんな知る人ぞ知る的なミュージシャンで、かつ奏でる音楽の紹介として「サイケデリック・ポップ」という書き方をしていたりするので、それを聞いただけだとちょっとマニア向けの取っつきにくいミュージシャン、という印象を抱いてしまうかもしれません。実際、アルバムの1曲目「Please Won't Please」を聴き始めた時にスピーカーから流れてくるのはサイケ風なエレクトロサウンド・・・からスタートしたかと思えば、それに続く彼の歌声は一転、とても暖かく優しい雰囲気。歌がはじまるとフォーキーな雰囲気を感じさせるぬくもりのあるポップソングが繰り広げられており、美メロともいえるメロディーラインと優しい歌声に癒されるポップチューンとなっています。

楽曲はそんなフォーキーな雰囲気が漂う暖かくメロディアスな歌モノがメイン。続く「Imagining What to Do」もアコースティックギターを奏でつつ、優しいメロを歌い上げています。そしてそんな彼の楽曲には、エクアドルからの影響でしょうか、どこかラテン的な要素を感じる部分が多々あります。「Imagining What to Do」も後半、スティールパンの音色が流れ、どこかラテンの影響を感じさせますし、アコギでしんみり聴かせる「Pais Nublado」もラテンのフレイバーが漂うポップス。このポップソングの中にちょっと含まれるラテンの血が、アルバムの中で彼の大きな個性となっているように感じました。

またそんな暖かみのある歌とは対照的にまさにサイケデリックな側面もアルバムの随所に感じられます。例えば「Fantasma Vaga」はちょっとトライバルな雰囲気を含んだエレクトロサウンドにサイケな要素を感じますし、「November7」もローファイでサイケなエレクトロチューン。ラストも「My Name Is for My Friends」も静かでサイケな雰囲気のインストチューンで締めくくられています。

ただ、そんな彼のサイケデリックな側面を強調したような曲に関してもメロディーラインがしっかりと流れており、ほかの曲の中で決して浮いたものとはなっておらず、アルバムを通じてひとつの流れをしっかりと感じられる構成となっていました。今回、前知識が全くなく聴いたミュージシャンなのですが、思った以上に素晴らしい出来栄えに聴き入ってしまいました。上にも書いた通り、暖かくフォーキーなメロディーラインが主軸となっているため比較的幅広い層が楽しめそうなアルバム。ただ一方では音楽的にユニークな要素も随所に感じられ、奥の深さも感じられる傑作アルバムでした。

評価:★★★★★

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2019年4月19日 (金)

60年の歴史を網羅

Title:MOTOWN60

アメリカを代表するブラックミュージックのレーベル、モータウン。ブラックミュージックとポップミュージックをクロスオーバーした数々のヒット曲で特に60年代にはアメリカのポップスシーンを席捲。その特徴的なサウンドは「モータウンサウンド」と呼ばれ、世界中のポップスシーンに大きな影響を与えました。その音楽はいまなお絶大な影響を与えており、日本でもこのモータウンサウンドの影響を受けたポップスは、今でも少なくありません。

そんなアメリカを、いや世界のポップスシーンを代表するレーベル、モータウンは1959年にベリー・ゴーディ・ジュニアによりタムラ・レコードとして設立されたのがそもそものスタート。今年はこの偉大なレーベルが生まれてからちょうど60年目という記念すべき年であり、様々な企画が計画されているようです。そんな中でリリースされたのがこのコンピレーションアルバム。モータウンの60年に及ぶ歴史を網羅するコンピレーションアルバムで、全3枚組60曲に及ぶモータウンを代表するポップチューンがリリース順に収録されています。

一般的に「モータウンサウンド」といってイメージするのは60年代あたりのヒット曲なのではないでしょうか。The Supremesや初期のThe Temptations、あるいはJackson5あたりまでがモータウンとして一般的にイメージされる曲ではないでしょうか。ブラックミュージックの要素を色濃くいれつつもサザンソウルのような癖のあるボーカルやこぶしなどはなく、すんなりと耳になじむポップなメロディーラインがモータウンサウンドの特徴。もちろん今回のコンピレーションアルバムでもモータウンの第1弾シングルとなったBarrett Strongの「Money」からスタートし、ビートルズやカーペンターズのカバーでも知られるThe Marvelettesの「Please,Mr.Postman」、ご存じThe Supremesの「Baby Love」にThe Temptationsの「My Girl」、Jackson5の「I Want You Back」など一般的にモータウンサウンドとして知られるような曲がズラリと並んでいます。

しかし、いかにもなモータウンサウンドが並んでいるのはDisc1まで。このDisc1のラストがMarvin Gayeがモータウンの反対を押し切ってリリースし大ヒットを記録した社会派な歌詞が特徴的の「What's Going On」という点にある種の区切りを感じさせます。モータウン自体は1988年にMCAに買収されてから、数多くの会社の手をわたり、今日はキャピタル・ミュージックの傘下となっており、紆余曲折をたどりました。しかしモータウンとしてはその後もコンスタントにヒット曲をリリース。今回のコンピでは80年代以降も直近の作品までしっかりと網羅しているのですが、そのサウンドが時代時代を経て変化していく様がこのコンピでよくわかります。モータウンが決して自ら作り上げた「モータウンサウンド」に固執することなく、時代時代に応じたサウンドを作り上げていったのが、いろいろな企業に買収されたとはいえ、レーベルとして60年という長さ続いてきた大きな秘訣なのでしょう。

これもモータウンだったのか、とちょっと意外性に感じる曲も少なくなく、Boyz II Men「End Of The Road」あたりはモータウンだったよな、と認識していたのですが、Shanice「I Love Your Smile」などはリアルタイムでも知っていたヒット曲なのですが、これがモータウンだったのは意外。そんな中でも一番以外だったのが最近話題のHIP HOPミュージシャンMigosの「Stir Fly」。モータウンというレーベルはHIP HOPというイメージがなかっただけに、Migosがモータウンだった、というのはかなり意外に感じました。

そんな意外なメンツにレーベルとしての柔軟性を感じたのですが、ただこのコンピに収録されている曲に共通して感じたのはどの曲も至ってメロディアスでポップな曲ばかりという点でした。上にも書いた通り、もともとモータウンの大きな功績としてブラックミュージックを白人を含む幅広いリスナー層に広げた点があげられます。そして時代を経てサウンドの雰囲気こそ変化したのですが、このコンセプトは時代を変わらず共通しているんだな、ということを今回のコンピレーションでは強く感じました。

まさにモータウンの歴史が網羅的にわかるコンピレーション。数多くのヒット曲が収録されているアルバムとしても楽しめる内容ですし、なによりもどの曲も幅広い方が楽しめるポップチューンが並んでいる点が大きな魅力。サブスクリプション全盛の時代、ここに収録されている曲はともすれば簡単に聴けてしまうのですが、こうやってコンピとして並べられ、その歴史を感じられるという点で大きな意義を感じます。いろいろな意味で楽しめたコンピレーションアルバムでした。

評価:★★★★★


ほかに聴いたアルバム

ALLiSTER 20th ANNIVERSARY BEST ALBUM 「BEST OF… 20 YEARS & COUNTING」/ALLiSTER

アメリカのポップパンクバンド、ALLiSTERの世界デビュー20周年を記念してリリースされたベスト盤。スピッツや森山直太朗の曲をカバーしたり、ELLEGARDENとツアーを回ったり、またボーカルのスコット・マーフィーはWEEZERのリヴァース・クオモとJ-POPユニット「スコット&リバース」を結成。さらには細美武士を中心としたバンドMONOEYESに参加するなど、どちらかというと日本での活躍が目立ちます。そんなALLiSTERの楽曲をこのベスト盤ではまとめて聴ける訳ですが、確かにメロディーラインがわかりやすい、日本人受けしそうな軽快なポップスパンクのナンバーが並びます。ただ一方、底抜けに明るいメロディーラインは邦楽にはない洋楽的な要素も強く感じ、このわかりやすいメロという邦楽的な要素と底抜けに明るいメロという洋楽的要素のほどよいバランスが日本でうけた大きな要素のように感じます。全20曲入りのボリューム感ある内容ですが、ポップで楽しい楽曲ばかりなので一気に楽しめる反面、比較的似たタイプの曲も多く、少々平凡気味だな、ということも感じてしまったベスト盤。良くも悪くも昨今よくありがちなフェス向けのギターロックバンドに通じる雰囲気も・・・。

評価:★★★★

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2019年4月18日 (木)

2枚同時にランクイン

今週のHot Albums

http://www.billboard-japan.com/chart_insight/

今週は人気女性シンガーによるアルバムが2作同時にランクインしています。

それがAimer「Sun Dance」「Penny Rain」で前作が1位、後作が3位と2作同時ベスト3入りとなりました。「Sun Dance」はCD販売数3位、ダウンロード数2位、PCによるCD読取数8位を獲得。一方、「Penny Rain」はCD販売数2位、ダウンロード数4位、PCによるCD読取数6位を獲得。CD販売数では「Penny Rain」が上回りましたが、ダウンロード数の差で「Sun Dance」が見事1位を獲得です。一方、オリコン週間アルバムランキングでは「Penny Rain」が初動売上3万7千枚で2位、「Sun Dance」が3万6千枚で3位とHot100の順位とは逆となっています。ちなみに直近作は「BEST SELECTION"blanc"」「BEST SELECTION"noir"」で、こちらの3万4千枚(3位、4位)からは若干のアップ。ただしオリジナルアルバムの前作「daydream」の4万枚(2位)からはダウンしています。

そんな2枚のアルバムに割って入ったのが元東方神起のメンバーで、現在はJYJとしても活動しているジェジュンのソロアルバム「Flawless Love」が獲得。国内版では初のアルバムとなります。CD販売数は1位を獲得しましたが、ダウンロード数は6位、PCによるCD読取数が16位にとどまり、総合順位ではAimerに1位を譲る形となりました。オリコンでは初動売上4万2千枚で1位初登場。韓国版の直近作「NO.X」の1万7千枚(8位)からはアップしています。

続いては4位以下の初登場盤です。5位初登場はヨルシカ「だから僕は音楽を辞めた」。ボカロPとして活動していたn-bunaがsuisと共に結成したバンド。ネット発らしくダウンロード数は3位とベスト3入りしていますが、CD販売数は5位、PCによるCD読取数は10位にとどまり、総合順位では5位となりました。

6位は韓国のアイドルグループBTS(防弾少年団)「MAP OF THE SOUL:PERSONA」が初登場。こちらは4月20日リリース予定のミニアルバムですが、韓国では4月12日にリリースされており、それにあわせてCDリリースに先行する形でのダウンロードでの販売となり、ダウンロード数で1位を獲得し、ベスト10入りしています。

7位には女性声優水瀬いのり「Catch the Rainbow!」がランクイン。CD販売数6位、ダウンロード数8位、PCによるCD読取数15位を獲得。オリコンでは初動売上1万8千枚で6位初登場。前作「BLUE COMPASS」(7位)から横バイとなっています。

8位にも韓国のアイドルグループ、GOT7のメンバーJBとユギョムによるユニットJus2「FOCUS」が初登場で入ってきています。本作が日本ではデビュー作となるミニアルバム。CD販売数は7位でそのほかは圏外という結果に。オリコンでは初動売上1万3千枚で7位初登場。

初登場組最後は9位にランクインしてきた男性シンガーソングライターみやかわくん「REBECCA」。CD販売数8位、ダウンロード数7位を獲得。もともとTwitterなどへのペン回しや歌の動画が話題となってデビューしたシンガーだそうです。オリコンでは初動売上1万2千枚で8位初登場。前作「STAR LAND」の1万7千枚(8位)からはダウンしています。

ロングヒット組ではあいみょん「瞬間的シックスセンス」が先週の4位から10位にダウン。PCによるCD読取数は2位を獲得しているものの、CD販売数13位、ダウンロード数9位と後がなくなってきています。Hot100では「マリーゴールド」が相変わらずロングヒットを続ける彼女ですが、アルバムチャートは少々厳しい状況になってきています。

今週のHot Albumsは以上。チャート評はまた来週の水曜日に!

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2019年4月17日 (水)

女性アイドル系が目立つチャートに

今週のHot100

http://www.billboard-japan.com/chart_insight/

今週はHot100としては珍しく女性アイドルグループが目立つチャートとなりました。

まず1位は博多を拠点として活動するAKB系の女性アイドルグループHKT48「意志」がランクインしています。CD販売数1位、PCによるCD読取数8位、Twitterつぶやき数11位を獲得。一方、ダウンロード数は61位、ラジオオンエア数50位と伸び悩みました。オリコン週刊シングルランキングでは初動売上19万7千枚で1位を獲得。前作「早送りカレンダー」の16万5千枚(1位)からアップ。

2位もハロプロ系の女性アイドルグループ、アンジュルム「恋はアッチャアッチャ」が入ってきています。インド音楽風の妖艶なナンバー。CD販売数2位、ラジオオンエア数12位、PCによるCD読取数28位、Twitterつぶやき数24位を獲得。オリコンでは初動売上4万8千枚で2位初登場。前作「タデ食う虫もLike it!」の4万枚(5位)よりアップしています。

女性アイドル系は4位以下にも韓国の女性アイドルグループBLACKPINK「Kill This Love」が先週の14位から6位にアップし、ベスト10入り。先週のHot Albumsで9位にランクインしたEP盤から表題曲がHot100でもランクイン。ダウンロード数6位、ストリーミング数2位、You Tube再生回数ではなんと1位を獲得しています。ほかにラジオオンエア数68位、Twitterつぶやき数は33位にランクイン。

もう1曲、10位にときめき宣伝部「ときめき宣伝部のVICTORY STORY」が初登場でランクイン。スターダストプロモーション所属の女性アイドルグループ。CD販売数が3位のほか、すべて圏外というCDをアイテム的に購入する固定ファン層以外に楽曲として一切波及していないヒットとなっています。オリコンでは初動売上3万8千枚で3位初登場。前作「DEADHEAT」の1万9千枚(5位)からアップしています。

さてベスト3に戻ります。今週3位はあいみょん「マリーゴールド」。先週から変わらず。ストリーミング数は15週連続の1位を獲得。You Tubeは3位にダウンしましたが、カラオケ歌唱回数は2位をキープ。ロングヒットはまだまだ続きそうです。また「ハルノヒ」も今週、8位から7位にアップし、2週連続2曲同時ランクインという結果となりました。

続いて4位以下の初登場曲ですが、アイドル系を除くと1曲のみ。三代目J SOUL BROTHERSの登坂広臣ことHIROOMI TOSAKA「SUPERMOON」が5位初登場となっています。CD販売数4位、ダウンロード数12位、ストリーミング数89位、PCによるCD読取数5位、Twitterつぶやき数4位という結果に。配信シングルやアルバムのリリースはありましたがCDでのシングルリリースは本作が初。オリコンでは初動売上3万3千枚で4位にランクインしています。

ロングヒットではまずおなじみ、米津玄師「Lemon」が4位をキープ。ダウンロード数はなんと2月25日付チャート以来、8週ぶりに1位返り咲き。You Tube再生回数も3位から2位にアップしています。You Tubeやストリーミングで「聴いている」のではなく、いまだにダウンロードで「購入」する人が多いというのは驚きです。back number「HAPPY BIRTHDAY」は残念ながら7位から9位にダウン。ただ、You Tube再生回数が先週の18位から7位にアップしており、ロングヒットとしてのよい傾向が見受けられます。

今週のHot100は以上。明日はHot Albums!

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2019年4月16日 (火)

ヒリヒリ感や危うさも感じさせるステージをそのまま収録

Title:2018 Tour「SKANKING JAPAN」"スカフェス in 城ホール" 2018.12.24
Musician:東京スカパラダイスオーケストラ

昨年、12月24日に大阪は大阪城ホールで行われた東京スカパラダイスオーケストラワンマンライブの模様を収録したライブアルバム。この日のライブは、昨年4月から行われてきたツアーのファイナル公演となったステージ。ツアーは全会場ソールドアウト。この大阪城ホールでも12,000人収容の会場をソールドアウトさせるなど、変わらぬ人気のほどを伺わせます。この日はゲストにエレカシの宮本浩次、BRAHMANのTOSHI-LOW、銀杏BOYZの峯田和伸、UNISON SQUARE GARDENの斎藤宏介が参加するなど、超豪華なラインナップでのライブとなっています。

ちなみに今回紹介するのはCD2枚組によるライブアルバムの紹介。DVDもしくはBlu-rayによる映像付のアイテムもリリースされていますが、こちらは残念ながら見れていません。

今回のライブアルバム、まず一言でいうと、とにかくカッコいい!特に序盤の展開が素晴らしく、「The Battle of Tokyo」からスタートし「ペドラーズ」「DOWN BEAT STOMP」と彼らの代表曲が続くのですが、ハイテンポのリズムにサックスやらトロンボーンやらトランペットやらと次々と畳みかける迫力あるサウンド、とにかく賑やかに展開されます。これらの曲に関してはアップテンポなリズムで会場にいれば思わず踊りだしそうになるのですが、それと同時にエッジの効いた勢いあるサウンドにどこか危うさやヒリヒリ感を覚えます。スカパラというと、正直ここ最近の彼らの方向性については「ポップになった」といって初期からのファンが否定的にとらえるケースも少なくないのですが、確かにこのライブの序盤で感じられる「危うさ」や「ヒリヒリ感」が彼らの魅力だとすると、最近の彼らの曲からはこういう感じは覚えないよな(・・・とはいいつつ「The Battle of Tokyo」は最近のナンバーなのですが)と思ってしまいます。

この勢いはその後も続いていき、6曲目以降に展開される彼らの代表曲や懐かしのナンバー、レア曲など6曲で構成された「トーキョースカメドレーSKANKING JAPAN 2018」まで一気に流れ込んでいきます。本当にこの前半、Disc1の勢いはとても魅力的でライブの雰囲気がそのまま伝わってくるよう。途中、ちょっと脱力感ある「恋するCha Cha Cha」などもちょうどよいスパイスとなりつつ、CDを通じても彼らのライブについつい引き込まれてしまいます。

Disc2については前半に比べると彼らの「ポップ」な側面をより前に出したような曲が並びます。特にゲストが参加した歌モノの曲も多く、ポップという印象がより強く。ポップなスカパラも決して悪くないのですが、ただ前半の危うさを感じる演奏からすると、物足りなさも感じてしまうのも事実。とはいえ、会場の盛り上がりを感じるナンバーの連続で、ライブの魅力はしっかりと伝わってきます。

そんな中でもアンコールではギムラがかつて歌っていた「ジャングルブギ」をBRAHMANのTOSHi-LOWがボーカルをとって披露。ギムラのボーカルで感じられるオリジナルほどの「大人の色気」や「危うさ」は残念ながら感じられなかったのですが、それでもその雰囲気は伝えており、TOSHI-LOWも十分検討した魅力的なステージが伝わってきます。

実はスカパラってイベント系のステージやフェスなども含めて1度もステージを見たことがありません。一度見てみたいとは思っていたのですが、このライブ盤を聴く限りだと、自分が想像している以上に迫力ある魅力的なステージが楽しめそう。これは一度見てみなくてはいけなさそうです!残念ながらこのライブ盤、当日のMCなどを含めてフル収録ではありませんが、ただ終盤、メンバーの谷中敦がバンドへの思い、特に「脱退したわけでもないのにいっちゃったメンバーも一緒に立っている気がする」というMCはそのまま収録。このメッセージには胸が熱くなりました。

そんな訳でスカパラの魅力をうまくパッケージしたライブ盤。選曲はベスト的ですし、スカパラの魅力を知るには最適なライブ盤だったと思います。スカパラ、一度ライブを見てみないといけないなぁ、ということを強く感じた作品でした。

評価:★★★★★

東京スカパラダイスオーケストラ 過去の作品
Perfect Future
PARADISE BLUE
WILD SKA SYMPHONY
Goldfingers
HEROES
Sunny Side of the Street
on the remix
Walkin'
欲望
Diamond In Your Heart
SKA ME FOREVER
The Last
TOKYO SKA Plays Disney
The Last~Live~
TOKYO SKA PARADISE ORCHESTRA~Selecao Brasileira~
Paradise Has NO BORDER
GLORIOUS


ほかに聴いたアルバム

THE OIO DAY/AA=

THE MAD CAPSULE MARKETSでの活躍で知られる上田剛士のソロプロジェクトAA=。昨年の10月20日はAA=の活動開始となった配信シングル「PEACE!!」のリリースからちょうど10年目となる記念すべき日だったのですが、その10周年を記念して東京・TSUTAYA O-EASTで開催されたスペシャルワンマンライブTHE OIO DAYの模様を収録した配信限定のライブアルバムがリリースされました。

疾走感あるヘヴィーでロッキンなバンドサウンドと音圧あるデジタルサウンドに心地よさを感じるステージ。その迫力はこのライブアルバムを通じても伝わってきます。ただ、AA=のオリジナルアルバムでも感じる、THE MAD CAPSULE MARKETSと似た方向性なのに、なぜか感じる物足りなさが今回のライブ盤でも感じてしまいます。ボーカルの弱さと、いまひとつ吹っ切り切れていないデジタルビートとへヴィーなバンドサウンドが物足りなさを感じる要因なのかなぁ。

評価:★★★★

AA= 過去の作品
#1
#2
#
4

#5
(re:Rec)

4REAL/ACE OF SPADES

GLAYのHISASHIやEXILEのTAKAHIROが参加して話題のACE OF SPADESの1stアルバム。もともとは2005年のGLAYとEXILEのコラボレーションがきっかけとした誕生したバンドで、当初は期間限定のバンドとしてデビューしたものの、その後、不定期に活動を継続。当初の結成から7年目にしてはじめてリリースされたアルバムが本作です。

ギターでリーダーのHISASI、ボーカルのTAKAHIROのほかはベースにRIZEなどで活動していたTOKIE、ドラムスは元THE MAD CAPSULE MARKETSのMOTOKATSU MIYAGAMIという本格的なメンバー。そのため特にアルバムの前半についてはメロディーラインはベタベタのJ-POPながらもバックの演奏は、正直ちょっとオールドスタイルなハードロックではあるものの、本格的かつヘヴィーなサウンドを響かせています。ある意味、若干今更感もあるハードロックなサウンドと、J-POPらしいわかりやすいメロディーラインから来るベタベタな感じが逆に気持ちよく、前半に関しては間違いなく楽しく聴ける内容になっていました。

ただ後半になるとバンドサウンドが後ろに下がり、歌謡曲的なメロディーが前に出てきた平凡なJ-POPナンバーになってしまい、せっかくのバンドスタイルが生かされていませんでした。そのため後半は聴いていて、かなりダレてしまいました・・・。もうちょっとロックな感じを前に押し出したほうがカッコいいと思うのですが。かなり惜しい感じのするアルバムでした。

評価:★★★

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2019年4月15日 (月)

注目の新プロジェクト

オリジナルアルバムは2016年の「Barbara Barbara,We Face A Shining Future」以降少々ご無沙汰なのですが、昨年はIggy PopとのコラボEPをリリースしたUnderworld。なにげに積極的な活動を続けている彼らが昨年11月に「Drift」というプロジェクトをスタートされました。これは自らも所属するデザイン集団TOMATOのほか、脚本家からジャズDJ、テクノDJ、画家、詩人など様々なジャンルの友人たちと立ち上げた、音楽のみならず映像や物語などで新たな創作を継続していくプロジェクト。Episode1では毎週木曜日に新曲とMVをアップ。まずは昨年12月に「Drift」で発表した曲をEPとしてまとめてリリースしています。

Title:DRIFT Episode "DUST"
Musician:Underworld

いまさらながらこのアルバムを紹介するのは、実はリアルタイムに彼らのプロジェクトを追いかけてなくて、先日リリースされたEpisode2のEPリリース時にようやくこのプロジェクトのことを知ったためです(^^;;そんな訳で後追い的にこのEPを聴いてみた訳ですが、これが非常に気持ちの良いUnderworldらしいミニマルテクノが収録された傑作に仕上がっていました。

今回のプロジェクトは1つのアルバムとしてまとめる必要もなく、かつ気心知れた仲間たちとのプロジェクトだからかもしれませんが、とてもシンプルでUnderworldらしさをきちんと体現化させたような、肩の力が抜けたかのようなエレクトロチューンが並んでいました。「Universe Of Can When Back」も軽快なミニマルテクノが心地よいナンバーなのですが、続く「Dexters Chalk」はトランシーなサウンドに聴いていてまさしくアゲアゲな気分となっていきますし、さらに今回のプロジェクトの第1弾となった「Another Silent Way」は心地よいビートを奏でるエレクトロサウンドに気分があがってくるダンスチューンに仕上がっています。まずは第1弾ということで飛び切りのキラーチューンからスタート、といった感じなのでしょうか。

ラストはチルアウト的な「A Very Silent Way」で締めくくられ良い意味で落ちがついているアルバムとなっています。ちなみに今回のEP盤はプロジェクトの発表順とは異なりアルバムとしての流れも考えられた構成になっています。そのため中盤にアゲアゲのナンバーが並び、最後はチルアウトチューンで締めくくりという心地よい展開に。ある意味目新しい曲はありませんが、Underworldらしさをしっかりと感じるリスナーの期待にしっかりと応えた傑作アルバムになっていたと思います。

評価:★★★★★

Title:DRIFT Episode2 "ATOM"
Musician:Underworld

そしてこちらが続くプロジェクト第2弾。こちらも今年1月から毎週木曜日に新曲を発表。それをまとめてEPとしてリリースしています。

アゲアゲで気持ち良いミニマルテクノナンバーが中心だったEpisode1と比べると、1曲目「Appleshine」からいきなりアンビエント的なナンバーからスタートしたEpisode2。続く2曲目の「Molehill」もストリングスとピアノに美しいハーモニーが加わる幻想的なナンバーに仕上がっています。一方でそれに続く「Threat Of Rain」「Brussels」はテンポよい四つ打ちがリズムを刻むミニマルテクノなナンバーに。ただこれらのナンバーもアゲアゲというよりもサウンドは抑え気味。淡々とリズムが続くようなナンバーとなっています。

そんな訳でEpisode1とはまた様相の異なる曲が収録さているアルバムとなったEpisode2。ちなみに今回のアルバムはプロジェクトの発表順そのままとなっており、プロジェクト自体、最初からEPを意識したリリースになっていたようです。この淡々と進むエレクトロチューンもなかなかよかったのですが・・・ただアルバムラストに収録されている「Appleshine Continuum」はなんと47分にも及ぶナンバー。そのためEP盤なのですが、全90分近くに及ぶ長いナンバーになってます。そしてラストの「Appleshine Continuum」は淡々と進むアンビエント的なナンバーで・・・正直言って、最後は完全にダレてしまいました。アルバムとして聴いた場合は少々バランスの悪さも感じますし、ちょっと蛇足だったような印象も。Episode1とは異なるUnderworldの音楽性を聴けるのは楽しいのですが、最後まで聴くとちょっと飽きてしまったアルバムでした。

ちなみに3月からはEpisode3をスタート。すでに発表されているEpisode3の1曲目「Dune」はちょっとメロウでダウナーな雰囲気が心地よいナンバーで、これまたEpisode1とも2とも違う雰囲気に。こちらはどんな感じの展開を見せるのでしょうか。Episode3も楽しみです。

評価:★★★★

UNDERWORLD 過去の作品
Oblivion with Bells
The Bells!The Bells!
Barking
LIVE FROM THE ROUNDHOUSE
1992-2012 The Anthology
A Collection
Barbara Barbara, we face a shining future
Teatime Dub Encounters(Underworld&Iggy Pop)

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2019年4月14日 (日)

豪華なゲストも話題の12年ぶりの新作

Title:To Believe
Musician:The Cinematic Orchestra

今年、結成20周年を迎えるイギリスのバンドによる約12年ぶりの新譜。もっとも12年前のアルバムは聴いたことがなく今回のアルバムの評判がよかったようなので、本作ではじめて彼らの音に触れてみました。ジャンル的にはトリップポップやニュージャズという紹介をされる彼ら。どちらかというとインディーシーンで知る人ぞ知るといったイメージでしょうか。

本作はかなり豪華なゲスト陣も大きな話題に。ボーカルには注目の新人SSW、モーゼス・サムニーやイギリスのHIP HOPシーンで活躍を続けるルーツ・マヌーヴァといったメンバーが参加。「A Caged Bird/Imitations of Life」ではオランダの交響楽団メトロポール・オーケストラが参加しているほか、ミックスエンジニアにはアデルやU2などといったミュージシャンも手掛け、グラミー賞も受賞しているトム・エルムハーストを起用。豪華なゲストがズラリと参加した作品になっています。

と、ここまで書くと、どうも「音楽通」向けの小難しい音楽・・・・なんてことをイメージしてしまうかもしれません。しかし実際にアルバムは決して初心者お断りといったタイプの小難しいポップスではありません。まずアルバムはタイトルチューン「To Believe」からスタートするのですが、この曲はピアノやアコギ、ストリングスなどの静かなサウンドをバックにモーゼス・サムニーのファルセットボイスで優しく静かに聴かせるメロディアスなナンバー。そのモーゼス・サムニーの狂おしいまでに美しい歌声とメロディーが心に響いてくるナンバーにまずは強く惹かれます。

その後も「Wait for Now/Leave The World」もロンドンで注目を集めるSSWのTawaiahが伸びやかなボーカルを聴かせるソウル風のバラードナンバー。こちらもいい意味で聴きやすいポップな唄モノ。「Zero One/This Fantasy」も優しい雰囲気の男性ボーカルによるメロディアスなポップチューンに仕上がっていますし、ラストを飾る「A Promise」もThe Cinematic Orchestraのライブではおなじみ(らしい)のハイディ・ヴォーゲルによる伸びやかで透き通る歌声が心地よいバラードナンバーで締めくくられています。

そんな訳で全体的にはまずはポップなメロディーや心に響いてくるボーカルがまずは印象に残るアルバムで、そういう意味では聴きやすさのあるポップなアルバムに仕上がっています。しかしもちろんそんなボーカルトラックが乗るサウンドも彼らの大きな魅力であることは間違いありません。ミュージシャン名通り、エレクトロサウンドをふんだんに取り入れて、映画音楽のようなスケール感を覚えるサウンドが彼らの大きな魅力。今回のアルバムでも唄モノの間にはインストチューンが組み込まれており、しっかりと彼らのサウンドも聴くことが出来ます。

ただし、これらのインストチューンに関しても「The Workes of Art」ではエレクトロサウンドにストリングスを組み込んだ壮大なサウンドを作り上げつつ、切ない哀愁感漂うメロディーがしっかりと流れてるナンバーになっていますし、「The King's Magician」もサックスを前に出したムーディーでジャジーな作風で、こちらも物悲しげなメロディーがしっかり流れているナンバーになっています。

そういう意味ではこれらのインストナンバーを含めてバンドとしての歌心を感じさせるアルバムに仕上がっている、といってもいいかもしれません。そんな訳で、知る人ぞ知る的なミュージシャンかもしれませんが、比較的広い層が楽しめそうなポップアルバムに仕上がっていました。どこかAOR的な色合いも感じさせるサウンドもいい意味で今風な印象も。サウンド面でもメロディーの側面でもまたボーカルもどこをとっても非常に魅力的な1枚でした。

評価:★★★★★

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2019年4月13日 (土)

歌詞が強く印象に残る

Title:阿部真央ベスト
Musician:阿部真央

今年メジャーデビュー10周年を迎える女性シンガーソングライター阿部真央。10周年を迎えた彼女がひとつの区切りとしてリリースしたのが今回のベストアルバムです。全2枚組となる今回のベストアルバムはデビューアルバムの1曲目に収録された「ふりぃ」からスタート。純粋な発表順ではないようですが、ほぼ彼女の活動に沿った形での曲順になっており、彼女のミュージシャンとしての歩みがわかる構成となっています。

さて彼女はいまから10年前、まだ19歳という若さでデビューを果たしました。この頃の彼女の書く歌詞は19歳という彼女の年齢をそのまま反映した「大人と子どもの狭間で悩む10代の本音」を描くスタイル。本作に収録されている「17歳の唄」がまさに典型的なのですが、まさにそんな微妙な年ごろのティーンエイジャーの心境を描く歌詞が大きな特徴となっています。

この微妙な年ごろのティーンエイジャーの本音を描く、と言うと一人思い出されるミュージシャンがいます。それは渡辺美里。彼女のデビュー当初の歌詞のテーマも、まさに大人と子どもの狭間で悩む10代の本音。ポップ寄りのロックという音楽のスタイルも似ていますし、デビュー当初の阿部真央のスタイルは何気に渡辺美里と被る部分が多いことにいまさらながら気が付かされました。

ただ、その後比較的すんなりポップス路線にシフトした渡辺美里と比べると阿部真央の場合はその後、その方向性に悩んだように感じます。特にデビュー2枚目のアルバムとなる「ポっぷ」はこのベスト盤に収録されている「モンロー」のようないきなりきゃりーぱみゅぱみゅか?と思うようなアイドル風のエレクトロポップが登場するなど、あきらかに方向性の迷いが見えます。私はこの「ポっぷ」というアルバムではじめて彼女のアルバムを聴いたのですが、あまりにもバラバラな方向性を当時酷評しました。ただいまから考えると、10代から20代になって大人になった彼女の音楽性の迷いが反映されていたアルバムだったんだな、ということにこのベスト盤で気が付きました。

しかしその後の彼女については、ギター主体のシンプルなポップスロックというスタイルを軸に女の子の本音をわかりやすい言葉で歌うというスタイルをしっかりと確立したように感じます。異性のおもわせぶりな行動に勘違いして恋してしまった人の切ない心境を描く「じゃあ、何故」は女性ならずとも男性にも歌詞が胸に迫ってきますし、恋人を思う気持ちを歌う「天使はいたんだ」は恋が成就した歌詞なのですが、彼女の思う気持ちに切なさを感じてしまう表現が見事。また、「Believe in youself」など力強い前向きのメッセージソングも目立ちます。

一方では「ストーカーの唄~3丁目、貴方の家~」のようなストーカーじみた行動を描くちょっと怖い曲もあったり、「クソメンクソガールの唄」のような言葉は悪くても自分に自信がなく自分なんてと思っているような人たちに対して力強く応援するような優しさを感じさせる曲もあったりとテーマ性を含めてインパクトのある楽曲も少なくありません。

楽曲面では比較的シンプルなギターロックがメインなのですが、シンプルなだけに歌と歌詞がしっかりと心に届いてくるような曲が多いのが魅力的。デビュー直後はいろいろと方向性に悩んでいたような彼女でしたが、今はしっかりと阿部真央のスタイルを確立したように感じます。

ただちょっと気になるのは、来年30歳になる彼女。さらに大人な女性となっていくわけですが、そんな中、彼女の歌詞のスタイルがどのように変化していくのか気になります。渡辺美里の場合、20代は見事な大成功をおさめましたが、30代以降、「大人の女性」へのシフトに完全に失敗し、人気的にも音楽的にも失速してしまいました。彼女の場合は本作でも「母である為に」のような子どもに対する母としてのメッセージソングがあったりと、それなりに大人の女性へのシフトを果たしていますが、ただ全体的には20代らしい若々しさを感じる歌詞がメイン。30代となり上手く年齢なりのスタイルにシフトできるのか・・・これから10年は彼女にとってさらなる勝負が待ち構えていると言えるかもしれません。

そんな訳で、いままで10年を振り返ると同時に、来年30歳を迎える彼女にとっては間違いなくひとつの区切りの時期である今だからこそリリースされたベスト盤と言えるかもしれません。これからの彼女がどのように進んでいくのか不安もありますが楽しみでもあります。これからも彼女の活動には要注目と言えるでしょう。

評価:★★★★★

阿部真央 過去の作品
ポっぷ
シングルコレクション19-24
おっぱじめ
Babe.
YOU


ほかに聴いたアルバム

誰もが勇気を忘れちゃいけない~大事なことはすべて阿久悠が教えてくれた~

名実ともに日本歌謡界を代表する作詞家として知られる阿久悠。本作は彼の膨大な仕事の中からアニメソング、特撮ソング、キッズソングなどを収録したオムニバスアルバム。「ウルトラマンタロウ」「宇宙戦艦ヤマト」などリアルタイムで聴いていない世代でも知っているような有名曲も収録されていますが、大半はリアルタイム世代以外にはなじみのない曲が並びます。ただ、アニソンにしろ特撮ソングにしろ、番組を見ていなければわからないような固有名詞や番組の内容に沿った歌詞が並ぶ曲が多く、最近のアニソンとの違うは感じます。表現にしても今となっては微妙な表現も少なくなく、「昭和」という時代を感じる内容に。そんな中にこのオムニバスアルバムのタイトルのような子どもたちへのメッセージも巧みに織り込まれており、作詞家としての力量を感じさせます。ジャケットは最近話題の漫画「王様ランキング」から取られているようで、若い世代が惹きつけられそうですが、内容的にはむしろ50代、60代あたりが懐かしく感じる内容かも。

評価:★★★★

CENTER OF THE EARTH/a flood of circle

ギターにアオキテツが正式メンバーとして加わった後に制作された初となるアルバム。いままでのアルバムに比べてかなりポップス色が強いアルバムで、「Youth」などは歌詞も含めて一時期流行った青春パンクか?と思うような内容に。ボーカルの佐々木亮介は声が端整なため、ポップ色に走ると途端に悪い意味での平凡なJ-POP的な作風に陥ってしまう危険性が大きいのですが、ガレージ色が薄くなってしまった本作は残念ながらその傾向が強くなってしまった印象も。疾走感ある「ハイテンションソング」などカッコいいナンバーもあるのですが・・・。

評価:★★★

a flood of circle 過去の作品
泥水のメロディー
BUFFALO SOUL
PARADOX PARADE
ZOOMANITY
LOVE IS LIKE A ROCK'N'ROLL
FUCK FOREVER
I'M FREE
GOLDEN TIME
ベストライド
"THE BLUE"-AFOC 2006-2015-
NEW TRIBE
a flood of circle

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2019年4月12日 (金)

天狗を忘れるな

Title:Glory
Musician:SEAMO

ご存知名古屋出身のラッパー、SEAMOのニューアルバム。SEAMOといえば2006年にシングル「マタアイマショウ」が大ヒットし一躍人気ラッパーの仲間入り。その年の紅白歌合戦にも出場し、その名を広く知らしめました。ただ、残念ながらその後の人気は徐々に下降気味。一時期ほどのヒットも飛ばせなくなり、また女性ボーカルと組んだあきらかに売り目当てのようなベタなラブソングも目立ってきました。

しかし、約4年3か月ぶり、久々のニューアルバムとなった前作「Moshi Moseamo?」は初期の彼を彷彿とさせるようなアゲアゲなナンバー連発のアルバム。ヒットこそ飛ばせませんでしたが、かつての彼の勢いが戻ってきたかのような良作に仕上がっていました。そしてそれに続く本作は、まさに前作からの勢いが続いている勢いのあるナンバーの連発。また、彼自身、原点に立ち返ったような歌詞も目立ちました。

そんな今回のアルバムを象徴するのは1曲目「天狗を忘れるな」でしょう。彼はライブで天狗のお面を股間につけた形で登場するのがお決まりなのですが、ここで言う「天狗」とはまさにそんなSEAMOのミュージシャンとしてのコアな部分を指した言葉。まさに彼のミュージシャンとしてのコアな部分を忘れるな、という決意表明の歌となっています。

ほかにもこぶしを振りかざし、何にも屈するなと歌う「KOBUSHI」や思いを強く持てと歌う「思い込みが激しい男」など、まさに自らを鼓舞するかのような前向きに進んでいこうとする楽曲が並びます。こう簡単に一文にするとまるでよくありがちな前向きJ-POPのようにも感じられますが(まあ、そういう部分もある点は否定できませんが)、ただ彼らしいユーモラスあふれる表現で綴られた歌詞のため、変な説教臭さや優等生っぽさは全く感じられません。

また、前作も目立ったのが地元名古屋ネタ。名古屋という街も彼にとっては原点と言えるでしょうが、本作でも名古屋をネタとした曲が目立ちました。特にタイトルチューンである「Glory」では名古屋を舞台に誇りをもって前に進もうとする姿を歌詞にしており、他の曲と同様に彼の決意を感じさせるナンバー。

「オールナイトロングから「おはよう」中日ビルにはグッドモーニング
若宮まで ちょっとウォーキング 朝日とホットコーヒー
俺らの100メートルあるアビーロード 急ぎ足 未来へ走ろうよ」
(「Glory」より 作詞 SEAMO・Crystal Boy・KURO・SOCKS・MsOOJA)

というフレーズでは「中日ビル」「若宮」のような名古屋人にしかわからないような固有名詞が出てきて、思わずニヤリとしてしまいます。(「中日ビル」=栄の中心にある商業ビル、「若宮」=若宮大通。名古屋を東西に走る100m道路のひとつ ちなみに「100メートルあるアビーロード」の100メートルとは言うまでもなく100m道路のこと)

さらに「AquariumRAP」はそのままズバリ、名古屋を代表する水族館、名古屋港水族館をテーマとした歌詞。水族館にいる魚を歌詞に入れているほか、名古屋港水族館への行き方までラップしています(笑)。

ラストには最近のアルバムではおなじみ、シーモネーター名義での楽曲「熱中SHOW」も収録。本作でラブソングは「テノヒラ」1曲のみという構成になっており、まさに1曲目のタイトルに象徴されるような、「天狗を忘れるな」とSEAMOが自らに鼓舞するようなアルバムに仕上がっていました。

サウンドの方も基本的にアップテンポなエレクトロナンバーが並ぶEDM風のサウンドとなっています。まさにアゲアゲなパーティーチューンの連続で、SEAMOらしい楽しいダンスチューンの連続で心が躍るナンバーが続きます。サウンド的には決して「今風」ではありませんし、目新しい挑戦をしているものでもないのですが、SEAMOらしさがはっきりと出ているような楽曲になっており、サウンドの面でも原点回帰、彼なりの「天狗を忘れない」スタイルを貫いた形になっていました。

ここに来て息を吹き返したように傑作をリリースし続ける彼。まさに原点回帰が大成功をおさめ、再び勢いを取り戻してきたように感じます。これからの活動が楽しみになってくる新作。また、名古屋人としてはやはり名古屋ネタに思わずうれしくなってくる1枚でした。

評価:★★★★★

SEAMO 過去の作品
Round About
Stock Delivery
SCRAP&BUILD
Best of SEAMO
5WOMEN
MESSENGER
ONE LIFE
コラボ伝説

REVOLUTION
TO THE FUTURE
LOVE SONG COLLECTION

THE SAME AS YOU(SEAMO&AZU)
ON&恩&音
続・ON&恩&音

Moshi Moseamo?


ほかに聴いたアルバム

誰より好きなのに~25th anniversary BEST~/古内東子

タイトル通り、デビュー25周年を迎えた彼女による、レコード会社の枠組みを超えて代表曲を収録したオールタイムベスト。発売順に3枚のCDに収録されており、彼女のミュージシャンとしての歩みを網羅的に把握できるベスト盤になっています。基本的にメロウなAORに載せて歌うのは、失恋または片想いの歌がメイン。ただそんな恋愛を歌いつつも同時に女性への応援歌となっているのが彼女の曲の大きな魅力に感じます。ただ、最近の曲を収録したDisc3についてはさすがにマンネリ路線になりつつあるような印象も・・・良くも悪くも大いなるマンネリと言えないことはないのですが・・・。

評価:★★★★★

古内東子 過去の作品
IN LOVE AGAIN
The Singles Sony Music Years 1993~2002
Purple

透明
夢の続き
and then...~20th anniversary BEST~
Toko Furuuchi with 10 legends
After The Rain

FRESH/高田漣

主にマルチ楽器奏者として活躍している高田漣のニューアルバム。ロックンロール、フォーク、ジャズからハワイアンや民謡、ファンクなど幅広い音楽性を取り入れた楽曲が特徴的。全体的にははっぴいえんどや細野晴臣、あるいは大滝詠一サウンドからの影響を色濃く感じさせ、大人のポップというイメージがピッタリくるような落ち着いた作品に。古き良き日本のポップスの正統な後継者という印象を受ける反面、良くも悪くも器用貧乏な印象も。もうちょっと高田漣の色を出した方がおもしろいような印象も受けるのですが。

評価:★★★★

高田漣 過去の作品
コーヒーブルース~高田渡を歌う~
ナイトライダーズ・ブルース

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2019年4月11日 (木)

こちらもロングヒットなるか?

今週のHot Albums

http://www.billboard-japan.com/chart_insight/

Hot100同様、こちらもロングヒットになるでしょうか?

今週1位はback number「MAGIC」が2週連続1位獲得。CD販売数及びダウンロード数で1位、PCによるCD読取数2位を記録。オリコン週間アルバムランキングでも4万1千枚を売り上げ、2週連続の1位を獲得しています。シングル「HAPPY BIRTHDAY」がロングヒットを続けていますが、Hot100同様、こちらもロングヒットとなるでしょうか。

2位はスターダストプロモーション所属の男性アイドルグループDISH//「Junkfood Junction」が初登場でランクイン。CD販売数は2位でしたが、ダウンロード数77位、PCによるCD読取数84位と奮わず。オリコンでは初動売上3万3千枚で2位を獲得。前作「召し上がれのガトリング」の初動2万4千枚(2位)からアップしています。

3位はASTRO「Venus」がランクイン。こちらは韓国の男性アイドルグループで本作が日本デビュー作となります。CD販売数3位、ダウンロード数89位、PCによるCD読取数は圏外となっています。オリコンでは初動売上2万5千枚で3位初登場。

続いて4位以下の初登場盤です。5位初登場はIZ*ONE「HEART*IZ」がランクイン。日韓合同オーディション番組「PRODUCE48」を通じて選ばれた韓国の芸能事務所に所属するメンバーと日本のAKBグループに所属していたメンバーによる合同ユニット。本作は韓国での2枚目のアルバム。Hot Albumsでは輸入盤が集計対象外となっているようですが、ダウンロード数2位、PCによるCD読取数55位でベスト10入りを果たしました。オリコンでは輸入盤がランクインしており、初動売上1万4千枚で4位初登場。前作「COLOR*IZ」の1万1千枚(1位)からアップしています。

7位も女性アイドルグループPassCode「CLARITY」がランクイン。CD販売数、ダウンロード数いずれも8位にランクイン。オリコンでは初動売上6千枚で10位初登場。前作「ZENITH」の3千枚(20位)からアップし、シングルアルバム通じて初のベスト10ヒットとなりました。

8位には「機動戦士ガンダム 40th Anniversary BEST ANIME MIX」がランクイン。機動戦士ガンダムの40周年を記念していままでの主題歌40曲をノンストップミックスで並べたアルバム。CD販売数4位、PCによるCD読取数52位で総合順位はこの位置に。オリコンでは初動売上9千枚で5位にランクインしています。

9位も韓国の女性アイドルグループ。BLACKPINK「Kill This Love」がランクイン。ダウンロード数で3位を記録。こちら5曲入りの配信限定のEPとなっており、配信のみで見事ベスト10入りを獲得しています。

最後10位には「GRANBLUE FANTASY ORIGINAL SOUNDTRACKS Chaos」が初登場。ソーシャルゲーム「グランブルーファンタジー」の5月1日リリース予定のサントラ盤から一部が先行配信されたそうで、ダウンロード数4位でこちらも配信オンリーでのベスト10入りとなりました。5月にリリースされるCDから一部を抜粋した形でのEP盤のようですが、5月リリース予定のフル収録のCDと同じアルバム扱いされるのでしょうか?完全な別物のような気がするのですが。

今週の初登場盤は以上。ロングヒットではあいみょん「瞬間的シックスセンス」が先週の8位から4位にランクアップ。PCによるCD読取数が2位から1位にランクアップし2週ぶりに1位返り咲きです。これで8週目のベスト10入り。ちなみに先週までベスト10ヒットを続けてきたONE OK ROCK「Eye of the Storm」は9位から12位にランクダウン。この2枚、同時にリリースされ同じようにロングヒットを続けてきましたが、今週のチャートでは明暗わかれる結果となりました。

今週のHot Albumsは以上。ランキング評はまた来週の水曜日に!

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2019年4月10日 (水)

新年号一番乗り!

今週のHot100

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先週4月1日についに公表された新年号「令和」。新しい年号の発表がある種のお祭りのようになっていますが、そんな中、新年号の発表からわずか1時間で新年号をタイトルにした曲を発表したミュージシャンがいました。その名はゴールデンボンバー。事前に新年号部分以外の歌とPVをとっておき、そこに新年号をあてはめるというやり方で、新年号発表からわずか1時間でその新たな年号を題した曲「令和」を発表し大きな話題となりました。

そんな「令和」が今週、6位にランクイン。ダウンロード数5位、Twitterつぶやき数2位、You Tube再生回数では見事1位を獲得。ストリーミング数は56位、ラジオオンエア数は31位に留まりましたが、総合順位で配信オンリーながらも見事ベスト10入りです。完全にアイディアの勝利といった感じで、その後も新年号を題材とした曲やらアルバムやらの発表が続いていますが、どうしても彼らのアイディアと比べると見劣りしてしまいます。エンタテイナーとしての彼らの才能をあらためて感じた新曲となりました。

そんな今週のチャートですが、1位を獲得したのはジャニーズ系。King&Prince「君を待ってる」が1位獲得です。CD販売数、PCによるCD読取数、Twitterつぶやき数で1位、ラジオオンエア数で4位を獲得。UHA味覚糖「ぷっちょ」CMソング。ちなみに作詞はシンガーソングライターの高橋優が手掛けています。オリコン週間シングルランキングでは初動39万1千枚で1位獲得。前作「Memorial」の40万1千枚からはダウンしています。

2位は先週1位だった日向坂46「キュン」がワンランクダウンでベスト3をキープ。3位はあいみょん「マリーゴールド」が先週の4位からワンランクアップで2週ぶりにベスト3返り咲き。ストリーミング数は14週連続の1位。You Tube再生回数及びカラオケ歌唱回数は2位をキープし、まだまだ強さを見せつけています。ちなみにあいみょんは今週8位に「ハルノヒ」が先週の91位からランクアップしてベスト10入り。2曲同時ランクインとなりました。「映画クレヨンしんちゃん 新婚旅行ハリケーン~失われたひろし~」主題歌。ダウンロード数2位、ストリーミング数7位、ラジオオンエア数3位、Twitterつぶやき数64位。あいみょんとクレヨンしんちゃんの組み合わせはかなり意外な感じもしますが、楽曲の方はしっかりと歌と歌詞を聴かせるあいみょんらしいナンバー。派手なフレーズは出てきませんが、思わず聴き入ってしまう曲になっています。

続いて4位以下の初登場曲です。まず4位にFANTASTICS from EXILE TRIBE「Flying Fish」がランクイン。LDH所属のEXILEの弟分的なユニット。ただ曲調は爽やかなジャニーズ系ばりのアイドルポップスで、アイドル色が強いグループといったイメージでしょうか。CD販売数4位、Twitterつぶやき数で9位を獲得した一方、ダウンロード数は54位、ラジオオンエア数26位、PCによるCD読取数21位と奮わず。オリコンでは初動売上6万3千枚で2位初登場。前作「OVER DRIVE」の9万3千枚(3位)よりダウン。

9位初登場はHi☆Five「We are Hi☆Five」がランクイン。東海地方を拠点に活動する渡辺プロダクション所属の男性アイドルグループで、MAG!C☆PRINCEの弟分的グループだそうです。CD販売数2位のほかはTwitterつぶやき数82位でそのほかはランク圏外という典型的な固定ファン層以外に波及していないタイプのヒットパターン。オリコンでは初動売上3万4千枚で5位初登場となっています。

今週の初登場は以上。今週はベスト10返り咲きが1曲。10位にSKE48「Stand by you」が先週の53位からランクアップ。昨年12月24日付チャートから17週ぶりのベスト10返り咲きとなりました。CD販売数が10位から3位にランクアップしていますが、ほかはランク圏外となっています。

ロングヒット組はまだまだ強い米津玄師「Lemon」。今週は5位から再び4位にランクアップ。ダウンロード数は2位から3位、You Tube再生回数も1位から3位にダウンしているものの、まだまだ落ちる要素が見当たりません。どこまでヒットを続けるのでしょうか・・・。また今週、back number「HAPPY BIRTHDAY」が7週目のベスト10ヒットを記録。ダウンロード数は3週連続の1位を記録するなど強さを見せつけています。ただ総合順位は先週の3位から7位にダウン。ロングヒット曲が上位をキープすることが多いYou Tube再生回数では18位と奮っておらず、どこまでロングヒットが続けられるのか気になるところです。

今週のHot100は以上。明日はHot Albums!

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2019年4月 9日 (火)

ニューウェーブ風サウンドを軸にバラエティー富んだ構成が魅力的

Title:Everything Not Saved Will Be Lost Pt.1
Musician:Foals

イングランド出身の5人組ギターロックバンドFoalsの約4年ぶりとなるニューアルバム。毎作、アルバムは高い評価を得ているほか、人気の面でもイギリスのナショナルチャートの上位の常連となっている彼ら。いい意味で質と人気両方バランスよく確保しているバンドといった印象を受けます。日本では残念ながら本国ほどの人気はありませんが、フジロックにも何度か参加しグリーン・ステージに立った経験もあるなど、日本でも音楽ファンを中心に注目を集めるバンドです。

音楽の方向性はエレクトロサウンドをふんだんに取り入れた80年代ニューウェーブからの影響も感じさせる作風がメイン。今回のアルバムでも「Exits」「White Onions」、さらには「On The Luna」などエレクトロの軽快なサウンドとリズムにギターサウンドを重ねポップなメロでまとめあげた作品が目立ちます。ほどよく軽快なエレクトロビートと、ほどよくロックなバンドサウンドのバランスが絶妙でポップなメロと合わせて聴いていてとても楽しくなるようなナンバーが並びます。

特にこのエレクトロという方向性でアルバムのひとつの核となっているのが4曲目の「In Degree」。ディスコ風のリズムが軽快なエレクトロダンスチューンとなっており、サウンド的なインパクトは十分。思わず身体が動き出しそうな楽しいポップチューンに仕上がっています。

ただ、そんなニューウェーブ風なエレクトロサウンドを主軸にしつつ、様々なサウンドメイキングを繰り広げているのが今回のアルバムのひとつの大きなポイント。そもそもアルバムのスタート「Moonlight」は静かで荘厳な雰囲気からのスタート。不思議な森の中に迷い込んだかのような幻想的、でもどこか近未来的な雰囲気のある独特なサウンドが印象に残るミディアムテンポの聴かせるナンバーになっています。

サウンドメイキングで言えば中盤の「Syrups」も秀逸。ダビーな雰囲気で不気味にスタートする序盤に強いインパクトを持たせつつ、後半は疾走感あるサウンドでロック的なダイナミズムさを聴かせる楽曲に仕上げています。「Sunday」も前半はメロディアスな歌を聴かせるポップソングとなっていながらも後半はトランシーなミニマルテクノチューンに早変わり。この構成も非常にユニークさを感じます。

そんなサウンドメイキングが強い印象を残す一方、なにげにメロディーの美しさも光るのが今回のアルバムの特徴。前述の「Syrups」も力強い「歌」を聴かせてくれる曲になっていますし、「Sunday」のメロディーもインパクト十分。さらにラストの「I'm Done With The World(&It's Done With Me)」もシンセとピアノの音色をバックに美しい歌を聴かせてくれる歌モノのポップソングに仕上げています。いままで聴いた彼らの作品はファンクやソウルなどの要素も加えたポップが魅力的だったのですが、今回はそのようなブラックミュージックの要素は薄め。ただ純粋にメロディーラインの美しさとポピュラリティーはいままでのアルバムで一番の出来だったかもしれません。

そんな訳でいままでの彼らの作品同様、期待どおり、いや期待以上の傑作アルバムだった本作。ちなみにタイトル通り、今年中にはPt.2のリリースが予定されているとか。今回のアルバムを聴く限りでは否応なく期待は高まります。次回作、非常に楽しみです。

評価:★★★★★

FOALS 過去の作品
TOTAL LIFE FOREVER
Holy Fire


ほかに聴いたアルバム

Signs/Tedeschi Trucks Band

日本でも高い支持を誇るアメリカのルーツ志向のブルースロックバンドによる約3年ぶりのニューアルバム。いつもながらシンプルに、泥臭く聴かせてくれるブルースロックが心地よく、ただその中にはソウル色が強い楽曲やよりムーディーに仕上げた楽曲もありバラエティーも感じられます。いい意味で安定感のあり、「ブルースロックを聴いた」という充実感も感じられるアルバムでした。

評価:★★★★

TEDESCHI TRUCKS BAND 過去の作品
Revelator
MADE UP MIND
Let Me Get By

Brain Invaders/Zebrahead

サマソニに数多く出演し、本国アメリカ以上に日本で高い人気を誇るロックバンドZebrahead。3年5ヶ月ぶりとなるニューアルバムには日本盤のボーナストラックとしてE-girlsの「Follow Me」を日本語でカバーした曲を収録するなど、その親日ぶりがうかがえます。本作はメロコアやミクスチャーロックなどの要素を取り入れ、ほどよくへヴィーにまとめつつも、基本的にはポップなパンク路線でメロディーはしっかりとキャッチーに仕上げています。そこそこへヴィーにまとめつつも基本的にわかりやすいポップなメロディーラインが流れているあたり、日本で高い人気を誇る大きな要因でしょうか。良くも悪くも期待通り、素直に楽しめるポップなロックアルバムでした。

評価:★★★★

Zebrahead 過去の作品
Phoenix
Out of Control(MAN WITH A MISSIONxZebrahead)

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2019年4月 8日 (月)

小説とリンクしたコンセプチャルなアルバム

Title:流星コーリング
Musician:WEAVER

本作は、同バンドのドラマーで、ほぼすべての曲の作詞を手掛けている河邉徹の小説「流星コーリング」のサントラ的な作品としてリリースされたアルバム。実はこのアルバムのレビューを書こうと思い、いろいろ調べている最中にはじめて知ったのですが、河邉徹は作家としてデビューしており、「流星コーリング」が第2弾となるんですね。古くは町田康や辻仁成、最近ではクリープハイプの尾崎世界観やSEKAI NO OWARIの藤崎彩織などミュージシャンが作家デビューをするケースは少なくありません。また、個人的には音楽アルバムと小説を結び付けた形でのリリースといえば、なんといっても木根尚登の小説にリンクされる形でリリースされたTM NETWORKの「Carol」を思い出してしまいます。

ちなみに小説の方は紹介文を抜粋すると・・・

「2020年に現実に流されるという人工流星をテーマに、その舞台となる広島で繰り広げられる青春SFストーリー。広島県廿日市中央高校の天文部に所属するりょう。人工流星の話を聞き、当日見に行くのだが…。その日を境に、りょうは、“明日”に進むことができなくなる。これは、“人工流星”という自然に逆らった事柄のせいなのか。なぜ時空がずれたのか、何度も訪れる同じ日の中で、りょうは、その理由を探し続ける。そして、物語は衝撃のラストへと進む…。」

と、ジュブナイルテイストのSF小説。今回のアルバムは基本的にこの小説の世界観に沿った歌詞の内容となっており、そのため全体的にはかなり統一感のあるコンセプチャルなアルバムに仕上がっていました。

まあただ上の紹介文を読んだだけなのですが、それでも感じてしまうのは小説の内容としてはかなりベタさを感じる内容。いや、正直この「ベタ」さは個人的には嫌いではないのですが、さすがにお金を払ってまで読みたいと思うほどの食指は動かされません・・・。そして、この小説の世界観に沿った本作の歌詞もかなりベタという印象を受けてしまいます。「星」をテーマとした一貫性のある歌詞になっているのですが、ラブソングも未来に向けたような前向きな歌詞も、目新しい展開や表現も見当たらず、良く言えばわかりやすい、悪く言えばありふれた内容に終始しています。

メロやサウンドに関しても、これは本作に限らずいつものWEAVERの路線と同じなのですが、ピアノをベースとしたサウンドに爽やかなメロディーラインが載ったスタイル。メロディーもボーカルのスタイルも一言で言えば端整で、いかにもJ-POP的。HYの仲宗根泉をゲストに迎えたピアノバラードの「栞」やトランシーなサウンドにちょっと悲しげなメロが印象に残る「Loop the night」のようなそれなりにバリエーションを持たせインパクトのある曲もあるのですが、楽曲自体に関しても良くも悪くもベタという印象を受ける楽曲が多くなってしまっています。

小説家デビューできるほどの文才がある割りには、歌詞に関してはひねりもなく、これといったフックの効いたフレーズもない、というのは気にかかるところですし、またちょっと残念。いままでのWEAVERの曲からも感じる点ではあるのですが、まとまりすぎで優等生すぎ。個人的にはピアノをメインとしたサウンドが好きで、アルバムは一通りチェックしているのですが、もう一歩、乗り越えてほしい壁を感じてしまうアルバムでした。

評価:★★★

で、そんな彼らが本作と同時にリリースしたベストアルバムがこちら。

Title:ID2
Musician:WEAVER

2014年にリリースされたベストアルバム「ID」以降にリリースされた曲から抜粋した彼らのベストアルバム第2弾・・・・・・ってさすがにベスト盤をリリースするタイミングが短すぎるだろう(苦笑)。ただ、このベストアルバムの間にEP2枚がリリースされており、同EPに収録されているオリジナル曲をすべて収録している形になっているため、この2枚のEPをあらためてアルバムの形にまとめる、という点が主目的になっているように感じます。

こちらも上の「流星コーリング」の感想と同じく、基本的にWEAVERのスタイルであるピアノを中心とした爽快なポップチューンがメイン。端整なボーカルとメロディーラインは良くも悪くもいかにもJ-POP的な感じが印象的で、あまりにもうまくまとまりすぎているため、聴いている最中は楽しめるものの、後に残る印象の弱さを感じてしまいます。一時期、それなりにブレイクしたものの、その後の人気は下落傾向にあるのは、この後味の弱さが大きな要因のようにも感じます。

もっとも、ベストアルバムであるだけにそれなりにインパクトある曲も多く、最後まで楽しめるアルバムであることは間違いないかと思います。難しいこと抜きにして素直なポップソングの楽しめるアルバム、と言えるでしょう。

評価:★★★★

WEAVER 過去の作品
Tapestry

新世界創造記・前編
新世界創造記・後編

ジュビレーション
Handmade
ID
Night Rainbow


ほかに聴いたアルバム

moonriders Final Banquet 2016 ~最後の饗宴~/ムーンライダーズ

1975年に結成し、その後長く活動を続け、名実ともに日本を代表するバンドのひとつだったムーンライダーズ。2011年に無期限の活動休止を宣言するものの、40周年となる2016年に「活動休止の休止」を宣言し、一時的に活動を再開。その中で行われた12月15日に中野サンプラザで行われたライブの模様を収録したライブ盤が本作です。バンドとして久々の活動でありつつもメンバーの息はピッタリ。いい意味で肩の力の抜けた余裕のあるライブパフォーマンスが特徴的で、正直、なんでここまで息があっていてバンド活動を休止するんだ?と不思議になるほど。まあ、ひょっとしたらだからこそバンドとしての刺激に欠け、これ以上の進歩がないように感じたのかもしれませんが・・・。

評価:★★★★

ムーンライダーズ 過去の作品
Ciao!

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2019年4月 7日 (日)

あの名盤が大幅リメイク

Title:HOCHONO HOUSE
Musician:細野晴臣

ご存じ、はっぴいえんどやYMOとしての活動で知られ、日本のポップスシーンに燦然とその名を残す細野晴臣。今年は彼が1969年にエイプリル・フールのベーシストとしてデビューしてからちょうど50年をいう記念の年。そんな記念すべき年の「キックオフアイテム」となるのが本作。彼が1973年にリリースし、彼のソロデビュー作でもあり、日本ポップス史に残る名盤として名高い「HOSONO HOUSE」。このアルバムを今回大幅に再構築し、新たに生まれ変わらせました。

そんな訳で単純なリメイクとは異なる今回のアルバム、その再構築の方法がかなりユニーク。まずアルバムの順番がオリジナルとは全く逆。「ろっかまいべいびい」からスタートし「相合傘」で終わるオリジナルから曲順を逆転させ、1曲目は「相合傘」、ラストは「ろっかまいべいびい」と曲順を完全に入れ替えています。

また今回の曲ではアレンジも大きく変えてきています。特に2曲目の「薔薇と野獣」、3曲目の「恋は桃色」ではメロウでAOR風なエレクトロトラックがまさにここ最近の流行にのったイメージ。ここらへんのアレンジは、さすが現在も現役として、時流に沿った音楽をどんどん生み出してくる彼ならでは、といった印象を受けます。

ただし、全体的には原曲を46年を経た今の彼によって再解釈したアレンジといった感じで、基本的には原曲が向いているベクトルと同じベクトルをむいたアレンジが基本といったイメージを受けます。例えば「福は内 鬼は外」は原曲同様のカリプソ風アレンジながら、音の選び方やエッジの利いたサウンドは時代を経た大きな進化を感じます。

さらに注目したいのがアルバム後半。「僕は一寸・夏編」は原曲と同様のフォーキーな楽曲なのですが、若さゆえに平坦さも感じた原曲のボーカルと比べると、本作でのボーカルは年齢を経たことから生まれる深い感情を味わえるようなアレンジに。さらにラストの「ろっかまいべいびい」も原曲同様のアコースティックなアレンジになっているのですが、こちらも味わい深いボーカルが実に魅力的な楽曲に仕上がっています。

ちなみに今回、アルバムの曲順を入れ替えることにより全体的なイメージも変わっています。もともとの「HOSONO HOUSE」は前半に聴かせる曲が多く、後半にかけて盛り上がっていくため、勢いを感じさせる一方、アルバムとしては唐突に終わる感あり、次へと続いていくような感じを受けましたが、「HOCHONO HOUSE」ではその流れを逆にすることにより、むしろアルバムとしてはまとまりなる終わり方をしています。もっとも、アルバムの構成のセオリー的には「HOCHONO HOUSE」の流れが一般的。ひょっとしたら「HOCHONO HOUSE」のアルバムの曲順が当初意図していた曲順であり、それをあえてアルバムとしての勢いを出すために「HOSONO HOUSE」では逆転させていたのでは?そんなことすら考えてしまいました。

ミュージシャンとして今なお、今風のサウンドを志向する現役感を見せる一方、現在71歳という年齢を重ねた彼の深みを感じさせるようなボーカル、さらにはベテランならではのキャリアを積み重ねた実力を感じさせる、まさに細野晴臣にしか作りえないリメイクアルバムに仕上がっていました。あらためて彼のすごみを感じた作品。「HOSONO HOUSE」がいまなおもつ普遍的な魅力を残しつつ、今の時代の甦らせた傑作アルバムでした。

評価:★★★★★

細野晴臣 過去の作品
細野晴臣アーカイヴスvol.1
HoSoNoVa
Heavenly Music
Vu Ja De


ほかに聴いたアルバム

ポラリス/Base Ball Bear

前作「光源」から約1年8ヶ月ぶり、ちょっと久々となるBall Base Bearの新作は4曲入りのEP盤。1曲目「試される」は出だしのギターから完全にBase Ball Bearの色が強く出た作品っており、マイナーコード主体でリズミカルなギターロックというあたり、典型的なベボベサウンド。タイトルチューンの「ポラリス」も彼ららしい軽快なギターロックに仕上げており、実に彼ららしい曲が並んでいます。そういう意味では新鮮味はないもののファンなら安心して聴ける作品だったと思います。ちなみにDisc2にはライブ音源が収録。いきなりRHYMESTERが参加する「The Cut」からスタートし、ピークからスタートする構成なのですが、彼らの代表曲が多く収録されているライブ盤になっており、こちらはファンならずとも広い層がBase Ball Bearの魅力に触れることの出来るライブ盤になっていました。

評価:★★★★

Base Ball Bear 過去の作品
十七歳
完全版「バンドBについて」
(WHAT IS THE)LOVE&POP?
1235
CYPRESS GIRLS
DETECTIVE BOYS

新呼吸
初恋
バンドBのベスト
THE CUT
二十九歳
C2
増補改訂完全版「バンドBのベスト」
光源

Sessions/YOUR SONG IS GOOD

今年、なんと結成20周年を迎えたインストバンドYOUR SONG IS GOOD。そんな記念すべき今年にリリースされた最新アルバムは、いままでの彼らの楽曲のライブセッションをスタジオで一発録りしたリメイクアルバム。そのため全体的にオリジナルアルバムよりも躍動感あるサウンドが楽しめる内容になっています。ライブバンドとしての実力と魅力を強く感じさせる20周年にふさわしい企画盤でした。

評価:★★★★★

YOUR SONG IS GOOD 過去の作品
THE ACTION
B.A.N.D.
OUT
Extended

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2019年4月 6日 (土)

ちょうど1年ぶりのミニアルバム

Title:わすれものグルーヴィ
Muician:東京カランコロン

2012年にメジャーデビューし、その後、その心地よいポップチューンが話題となったものの、残念ながら大ブレイクには至らず、2017年からインディーズに戻って活動を開始したポップバンド、東京カランコロン。インディーズからリリースされた前作「東京カランコロン01」は突き抜けたような爽快なポップアルバムの傑作となっていました。そしてそんなアルバムからちょうど1年後にリリースされたのがこの全6曲(+シークレットトラックが1曲)のミニアルバムでした。

そして傑作の後にリリースされたアルバムでしたが、今回もとても心地よいポップアルバムになっていました。どんどん盛り上がるような疾走感あるサウンドとポップなメロが心地よい「ユートピア」にバンドサウンドがちょっとひねくれた感じもありつつ、ポップにまとめあげている構成が彼ららしい「ないないない」。軽快なリズムが楽しいポップチューン「Do you?」に打ち込みでリズミカルな「MUUDY」と、とにかく楽しいポップチューンが続いていきます。

続く「スカート」はミディアムチューンで聴かせるナンバーなのですが、ちょっと切なさのあるメロディーラインが胸にキュンとくるような素敵なポップスに。そして本編ラストの「ロケッティア」はこれまたアルバム全体を統括するかのような、軽快なリズムの楽しいポップチューンで締めくくられています。

そんな訳で今回のアルバムも全編ポップチューンが並ぶ楽しいアルバムに仕上がっており、最初から最後まで難しいこと抜きに楽しめる、まさにポップスアルバムらしいポップスアルバムに仕上がっていました。ただ、今回のアルバムも特に序盤の「ユートピア」や「ないないない」など突き抜けたポップチューンやちょっとひねくれたサウンドが楽しめたり、「スカート」のような彼らのメロディーセンスを存分に感じることが出来る曲もあったりするのですが、実質わずか6曲ということもあり、前作に比べるとバリエーションも乏しく、彼らの実力をフルには発揮できていないかな、という印象もうけました。

また、ラストシークレットトラックがタイトルチューンの「わすれものグルーヴィ」となっており、このアルバムはサブスクリプションへ配信されているのですが、この曲はCDのみの特典・・・なのですが、アコギのみの演奏でホームレコーディングの楽曲となっており、まるでデモ音源のような感じ。特典をつけてCDを買ってほしい、というのはわかるのですが、そのボーナストラックがこれ、というのはあまりにもちょっと・・・。そんな訳で、この曲目当てにだけにCDを、と思っている方がいれば、正直なところ、ダウンロードやサブスクで十分かと思います。

そんな不満点はありつつも、ただ全体としてはやはり彼らの魅力を存分に味わえる楽しいポップアルバムの傑作だったと思います。これだけポップで気持ちいい曲が書けるのならば、また是非メジャーシーンに戻って今度こそは大ブレイクを、と思ってしまうのですが・・・。とりあえず、彼らの活躍からはまだまだ目を離せなさそうです。

評価:★★★★★

東京カランコロン 過去の作品
We are 東京カランコロン
5人のエンターテイナー
UTUTU
カランコロンのレンタルベスト
noon/moon
東京カランコロン01


ほかに聴いたアルバム

What I think about the World/照井利幸

元Blankey Jet Cityのベーシスト、照井利幸が2014年にリリースし、その後入手困難となっていたアルバムをリミックスし、再リリースしたアルバム。全編インストのナンバーで、前半はメロディアスなギターを聴かせる比較的ポップ色の強い楽曲。対して後半はギターをミニマル的に聴かせる、テクノ、あるいはポストロック的なアプローチが印象に残る挑戦的なナンバーになっています。どちらも元ブランキーの、というイメージからするとちょっと意外性も感じるような作風に。若干聴き手を選びそうな部分もありますが、彼のミュージシャンとしての挑戦心も感じられるアルバムでした。

評価:★★★★

COLLABORATED/Monkey Majik

仙台を拠点に活動する在日外国人+日本人4人組のロックバンド、Monkey Majik。本作はそんな彼らが他のミュージシャンとコラボレーションした曲を集めた企画盤。サンドウィッチマンとのコラボで話題となった「ウマーベラス」や岡崎体育とのコラボ「留学生」なども収録。ディスコチューンからエレクトロナンバー、ロックチューンやポップスなど多彩な楽曲が収録されており、そのコラボの幅広さを伺わせます。それだけ引っ張りだこの彼らですが、ちょっといじわるな見方をしてしまうと、英語ネイティブの発音で「洋楽」っぽさを出すことができる反面、日本語がわかりJ-POPの事情も知っていて、かつギャラも邦楽ミュージシャン並という「お手軽さ」が受けているのでしょう。もっとも、そんなコラボもしっかりと受けられるだけのバンドとしての実力があればこそなのでしょうが。

評価:★★★★

MONKEY MAJIK 過去の作品
TIME
MONKEY MAJIK BEST~10years&Forever~
westview
SOMEWHERE OUT THERE
DNA
Colour By Number
southview

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2019年4月 5日 (金)

酩酊感あるサウンドと歌に聴きほれる傑作

Title:When I Get Home
Musician:Solange

3月1日に突如配信でリリースされたソランジュのニューアルバム。ソランジュといえばなんといっても前作「A Seat At The Table」が大きな話題となりました。各種メディアで絶賛を受け、その年の年間ランキングでも軒並みランクインした傑作アルバム。当然、それに続くニューアルバムということで本作の突如のリリースも大きな話題となりました。

本作は全39分という長さがならも19曲入りという構成。前作同様インターリュードの曲も多く、1曲あたり2、3分という短い曲で展開していきます。基本的に曲間に隙間がなく、全19曲がまるで1つの曲のように、ひとまとまりで聴かせるような構成の作品となっていました。

サウンド的には、ここ最近、流行りといも言えそうなメロウなAOR風のアレンジが特徴的。1曲目「Things I Imagined」からフュージョンテイストの丸みを帯びたエレクトロサウンドが心地よいナンバーからスタートしますし、インターリュードを入れて3曲目も「Down With the Clique」もジャズ的なサウンドが魅力的。そこに入ってくるハイトーンボイスのソランジュのボーカルの美しいこと・・・思わず聴きほれてしまいます。

このエレクトロジャズ風なアレンジはその後の一貫して続き、特に中盤以降は「Dreams」の静かなサウンドと彼女の静かなボーカルは聴いていてほれぼれしてしまいますし、その美しい歌声は「Time(is)」「Beltway」でも強い印象に残ります。また、「Beltway」などではどこか幻想的で酩酊感ある雰囲気となっているのも特徴的。この幻想的、酩酊感を覚えるようなフワフワ感はアルバム全体を覆っており、ほかにも「Almeda」ではトラップ風のサウンドを入れており、この酩酊感をさらに強調するリズムが強く印象に残りました。

中盤、酩酊的な気だるさを反映されるような「My Skin My Logo」のような曲もあり、HIP HOP的な要素を取り込んだりもしているのですが、この幻想的な雰囲気を持ったサウンド面でも大きな魅力を受ける反面、なによりもアルバムを通じて大きな魅力に感じたのは彼女のボーカルであり、歌。まずはごちゃごちゃ難しいこと抜きにして、素直に彼女の歌声に強く惹かれる傑作アルバムに仕上がっていたと思います。

ちなみに今回のアルバムでは数多くの豪華なゲスト参加も話題となっており、「My Skin My Logo」ではTyler,The Creatorが、「Binz」ではPanda Bearが、「Dreams」ではEarl Sweatshirtがプロデューサーとして参加して大きな話題を呼んでいます。ただ、これだけ豪華なゲストが参加してもアルバム全体として豪華なゲストの個性が前に出てくることは全くなく、ソランジュとしての個性が最後までしっかりと発揮されたアルバムとなっていました。

そんな訳で最新アルバムも前作に負けず劣らずの傑作アルバムで、間違いなく本作も年間ベストクラスの傑作だったと思います。その幻想的なサウンドに揺られつつ、ソランジュの美しいボーカルを存分に味わえる、そんな作品でした。

評価:★★★★★

Solange 過去の作品
A Seat at the Table


ほかに聴いたアルバム

HEAD ABOVE WATER/Avril Lavigne

アヴリル約5年ぶりとなるニューアルバム。セルフタイトルだった前作は元気なロックチューンからの次の一歩に迷いを感じられたアルバムになっていました。今回のアルバムは、そんな前作から引き続き、いままでのイメージを脱皮すべく、ミディアムテンポで聴かせるナンバーがメイン。そのためちょっと地味な印象も否めないものの、前作に比べると統一感も出てきて、新たな一歩を進み始めたかな、という印象も。これからのさらなる成長にも期待したいところです。

評価:★★★★

Avril Lavigne 過去の作品
Goodbye Lullaby
Avril Lavigne

Suspiria Unreleased Material/Thom Yorke

昨年リリースすた映画「サスペリア」のサントラ盤が大きな話題となった、ご存じRADIOHEADのボーカリスト、トム・ヨーク。本作はサントラ盤には未収録となった曲、7曲を配信オンリーでリリースしたもの。サントラ盤同様、不気味な雰囲気のエレクトリックサウンドが並ぶ作品になっています。どれも映画の雰囲気がよく出ているサントラになっており、なぜ前作のサントラ盤で未収録となっているのか不思議なほど。映画を見ていなくても十分に楽しめるサントラ盤でした。

評価:★★★★

Thom Yorke 過去の作品
The Eraser Rmx
Tomorrow's Modern Boxes
Suspiria(Music for the Luca Guadagnino Film)

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2019年4月 4日 (木)

注目のバンドが1位2位

今週のHot Albums

http://www.billboard-japan.com/chart_insight/

今週はいろいろと注目を集めるバンドが1位2位に並びました。

まず1位はback number「MAGIC」がランクイン。途中、ベストアルバムのリリースはあったもののオリジナルアルバムとしては「シャンデリア」から約3年3ヶ月ぶりとなるニューアルバム。現在、シングル「HAPPY BIRTHDAY」がロングヒット中ですが、その曲も収録されている本作は、CD販売数、ダウンロード数、PCによるCD読取数のいずれの順位でも1位を獲得し、見事総合順位でも1位を獲得しています。オリコン週間アルバムランキングでは初動売上16万5千枚で1位獲得。残念ながら直近のベストアルバム「アンコール」の27万4千枚(2位)からもオリジナルアルバムとしては前作となる「シャンデリア」の17万3千枚(1位)からもダウンしてしまいましたが、初動売上15万枚超えは十分立派な数値。まだまだその人気ぶりを見せつけました。

そして2位も注目のバンド、Suchmos「THE ANYMAL」が初登場で獲得。CD販売数は3位、PCによるCD読取数は21位にとどまりましたが、ダウンロード数が2位を獲得。総合順位でも見事2位となりました。昨年は彼らの曲「VOLT-AGE」がNHKのサッカーワールドカップ中継のテーマソングに起用され、いろいろな意味で話題となり、さらには紅白出演を果たすなど、一気に「お茶の間レベル」の知名度をあげてきた彼ら。ただ、オリコンでは初動売上1万9千枚で直近のミニアルバム「THE ASHTRAY」の3万2千枚(2位)からも、オリジナルアルバムとしては前作となる「THE KIDS」の7万4千枚(2位)からも大きくダウン。お茶の間レベルの知名度アップを売上増に結びつけられませんでした・・・って、確かに、「お茶の間」で流れてくるような音楽ではないからなぁ・・・。

3位には韓国の4人組バンドFTISLAND「EVERLASTING」がランクイン。CD販売数は2位とSuchmosを上回ったものの、ダウンロード数23位、PCによるCD読取数40位とそれ以外が伸び悩み、総合ではこの位置に。メンバーの兵役入隊前の最後のアルバムだそうで、タイトルには兵役を乗り越えて今後も続いていくという意味が含まれているとか。ある意味、韓国ならではの区切りといった感じです。オリコンでは初動売上2万2千枚で3位初登場。前作「PLANET BONDS」の1万7千枚(4位)からアップしています。

続いて4位以下の初登場盤です。まずは4位。ユニコーン「UC100V」がランクイン。CD販売数4位、ダウンロード数18位、PCによるCD読取数24位を記録。2009年の再結成から今年は10周年を迎えた彼らの記念すべき年にリリースされたアルバム。ってか、再結成からもう10年も経つんですね・・・。90年代に活躍したバンドの再結成は少なくないのですが、再結成後はライブを思い出した時にやる程度で音源をほとんど出さなかったり、活動しているのかどうなのかわからないバンドが多い中、コンスタントにアルバムをリリースし、以前と変わらないペースで活動を続けているのはおそらく彼らだけのような気がします。一方では奥田民生は奥田民生でソロ活動も普通に継続しており、メンバー全員50歳を超えているにも関わらず、そのアグレッシブさには驚かされます。オリコンでは初動売上1万8千枚で5位初登場。前作「半世紀No.5」の8千枚(9位)よりアップ。ただし、前作は企画盤的なアルバムでしたので、純粋なベストアルバムとしては前作「ゅ 13-14」の2万4千枚(1位)からはダウンしています。

初登場はもう1枚。5位にE-girlsとしても活動しているLDHの女性アイドルグループFlowerの4年ぶりとなるアルバム「F」がランクイン。CD販売数5位、ダウンロード数6位、PCによるCD読取数35位を獲得。オリコンでは初動売上1万5千枚で6位初登場。直近作はベスト盤「THIS IS Flower THIS IS BEST」で初動売上8万7千枚より大幅ダウン。オリジナルアルバムとしては前作「花時計」の5万7千枚(2位)から大幅に落ち込む厳しい結果となっています。

さて、今週はベスト10返り咲きが。星野源「YELLOW DANCER」が先週の圏外からランクアップし、いきなり10位にランクアップ。2017年1月16日付チャート以来、118週ぶりのベスト10返り咲きを果たしています。これは3月27日付でアナログ盤がリリースされた影響。同じく同時にアナログ盤がリリースされた「POP VIRUS」も先週の16位から6位にランクアップ。こちらは4週ぶりのベスト10返り咲きとなっていました。それにしてもアナログ盤でベスト10入りしてくるとは・・・星野源人気のすごさを感じます。

一方、今週はロングヒット盤も。2月25日付チャートで1位2位を獲得したONE OK ROCK「Eye of the Storm」あいみょん「瞬間的シックスセンス」がいずれも今週、7週連続のベスト10入りとなりました。今週はあいみょんが8位、ONE OK ROCKが9位にランクイン。あいみょんはここ3週で7位→4位→8位、ONE OK ROCKは8位→6位→9位と上下を繰り返しています。来週以降の動向はまだ不明ですが、どちらも根強い人気を誇るミュージシャンなだけに、さらなるロングヒットを期待したいところです。

今週のHot Albumsは以上。チャート評はまた来週の水曜日に!

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2019年4月 3日 (水)

AKB系の新グループが1位獲得

今週のHot100

http://www.billboard-japan.com/chart_insight/

今週はまずAKB48系の新グループが1位獲得です。

まず今週1位は日向坂46「キュン」が先週の60位よりCDリリースにあわせて大幅ランクアップし、1位を獲得しています。CD販売数及びPCによるCD読取数1位、ダウンロード数3位、ストリーミング数11位、ラジオオンエア数3位、Twitterつぶやき数2位、You Tube再生回数30位を記録。またAKB系の・・・と正直うんざりなのですが、ただこちら、正式には新グループではなくもともと欅坂46の下部グループ、けやき坂として活動していたグループが改名したもの。オリコン週間シングルランキングでは初動売上47万6千枚を獲得し、初登場1位。

2位初登場は韓国の男性アイドルグループMONSTA X「Shoot Out」がランクイン。CD販売数は2位にランクインしましたが、その他はPCによるCD読取数52位、Twitterつぶやき数44位のみにランクインという典型的な固定ファン層のみに波及した形でのヒットとなっています。オリコンでは初動売上8万7千枚で2位初登場。前作「LIVIN' IT UP」の6万4千枚(3位)よりアップしています。

3位にはback humber「HAPPY BIRTHDAY」が先週から変わらず3位をキープ。ダウンロード数では先週と変わらず1位をキープ。さらにラジオオンエア数でも4週ぶりに1位に返り咲いたほか、You Tube再生回数が31位から4位に大幅にランクアップしています。特に最近のロングヒット曲はYou Tube再生回数がカギとなるケースが多いだけにこの曲もロングヒットが期待できそうです。

続いて4位以下の初登場曲です。といっても初登場曲は1曲のみ。6位にジャニーズ系の男性アイドルグループA.B.C.-Z「Black Sugar」がランクインしています。CD販売数3位、PCによるCD読取数4位、Twitterつぶやき数1位で、総合6位。基本的にジャニーズ系はネット配信を行わないため、その分がランクに加算されず、若干不利な結果になったような印象もあります。オリコンでは初動売上4万7千枚で3位初登場。前作「JOYしたいキモチ」の4万4千枚(1位)から若干のアップとなっています。

今週は初登場は以上でしたが、1曲返り咲き曲が。9位に乃木坂46「帰り道は遠回りしたくなる」が先週の12位からランクアップし、3週ぶりにベスト10に返り咲きました。

またロングヒット系ではまずあいみょん「マリーゴールド」は今週残念ながら4位にランクダウン。ベスト3ヒットは5週連続で終わりました。またYou Tube再生回数も2位にダウン。ただ、ストリーミング数は1位をキープしており、これで13週連続の1位獲得。まだまだその人気をキープしています。

米津玄師「Lemon」は先週の4位から5位にランクダウン。ただここにきてYou Tube再生回数が1位を獲得したほか、ダウンロード数も3位から2位にランクアップ。リリースから1年以上が経過しているにも関わらず、驚異的な人気ぶりを見せています。特にストリーミングやYou Tubeはファンが何度も繰り返し見ている/聴いている形でのヒットなのでしょうが、ダウンロード数の場合、いままでずっとダウンロードを行っておらず、1年以上たってはじめて彼の曲をダウンロードしてみた人の数なわけで、今なお人気を伸ばし続けている状況が見て取れます。一体、いつまでヒットが続くのでしょうか・・・。

今週のHot100以上。明日はHot Albums!

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2019年4月 2日 (火)

アルバムのテーマも強いインパクトに

Title:Design&Reason
Musician:槇原敬之

例のピエール瀧の一件で、変な形で名前を聞く機会が増えてしまったマッキー(笑)。まあ、こればかりは「自業自得」なんで仕方ないんですが、いい意味で彼にとっては逮捕という事件は完全に過去の話になりましたね。相変わらず順調な音楽活動を続ける彼の、約2年2ヶ月ぶりとなる新作です。

ここ最近、メロディーラインに関してはいい意味で安定感ある作品が連続しているのですが、今回のアルバムに関してもメロディーについては文句なしの出来栄えとなっていました。アコーティックなサウンドにのってミディアムテンポの美しいメロディーが耳を惹く「朝が来るよ」やファンキーなリズムとマイナーコード主体のメロがインパクトのある「だらん」、シンセを入れてエレクトロ調のサウンドに爽やかなメロディーラインがピッタリの「記憶」など、いい意味で安心して聴いていられるポップ職人の実力が発揮された珠玉のチューンが並んでいます。

歌詞についても「どーもありがとう」のような説教臭い曲もあったりもするのですが、前作のようなちょっと微妙な感のある社会派ソングは今回はなし。「In The Snowy Site」「ただただ」のような往年の彼を彷彿とさせるようなラブソングが聴けるあたりは、昔からのファンとしてはやはりうれしくなってしまいます。一方、「微妙なお年頃」のような歌謡曲風なメロにのせて歌うコミカルなナンバーも。彼のコミカル路線の曲はあまり笑えない微妙なナンバーもあったりするのですが、この曲に関しては、この歌の対象とする同じくらいの年代に突入しようとする私にとっても共感できてしまう、思わずクスリと笑えるポップチューンに仕上がっていました。

さて、そんな今回のアルバムですが、本作はひとつのテーマ性のあるアルバムになっていました。それはラストのタイトルチューンである「Design&Reason」の中の

「この顔で体で心で
あそこに生まれますと
ぼんやり遠くに浮かんだ
青い星を指さして
心配そうに見つめている
神様の方を向いて
行ってきます!と飛び出した
自分を想像してみる」

(「Design&Reason」より 作詞 槇原敬之)

と歌われている考え方。要するに「自分の体や心は産まれる前から自分たちで決めたことなんだよ」という考え方であり、まさにタイトル通り、自分自身のデザインにはリーズン(理由)がある、ということがこのアルバムにひとつ流れるテーマとなっています。

実はこの考え方、マッキーの以前の曲にも見受けられる思想で、正直言って個人的には決して賛同する考え方ではなく、彼の歌詞に対して最近感じている違和感の理由のひとつだったりします。ただ今回のアルバムについては、彼がこの考え方に沿って書かれた歌詞に、彼の強い意思を感じる部分があり、強く印象に残りました。それは「2 Crows On The Rooftop」という曲。パッと聴いただけだとフォーキーな美メロの彼らしいラブソング、にも思えるのですが、この曲の中に、こういうフレーズがあります。

「こんな自分で生まれてくると
自分で決めたと思いたい
何か訳があると」

(「2 Crows On The Rooftop」より 作詞 槇原敬之)

この曲の歌詞の内容自体は、明け方に恋人と2人で屋根に上って町を眺めているという歌詞です。ただ、そんな恋人との日常を描いた歌の中にこの歌詞が入ってくるあたり、この曲は彼が事実上公言している同性愛について歌った歌ではないか、と思われます。実際、恋人2人を「遠くから見たら2羽のカラスが止まっていると思うだろう」と歌っているのですが(それが歌詞のタイトルの意味なのですが)、背丈が違うはずに男女のカップルを2羽のカラスと例えるのも少々不自然。それを含めて、ここに登場する2人のカップルは男性同士ではないだろうか、と思われます。

そんな中でマッキーがその自分のあるがままを受け入れる姿勢について、強い感銘を覚えましたし、その結果としてアルバムの中のテーマ性としても彼にとって強い意味のあるものであるということを感じました。

そんな訳で今回のアルバム、メロディーと歌詞の良さもさることながら、歌詞のテーマ性にも強いインパクトを受けた作品となっていました。そのテーマ性を含めて、全体としてもここ数年の中でも出来のよい良作だったと思います。メロディーの充実度もまだまだ高いままですので、そろそろ久々のヒット曲も出そうな、そんな予感すらするアルバムでした。

評価:★★★★★

槇原敬之 過去の作品
悲しみなんて何の役に立たないと思っていた
Personal Soundtracks
Best LOVE
Best LIFE

不安の中に手を突っ込んで
NORIYUKI MAKIHARA SYMPHONY ORCHESTRA CONCERT CELEBRATION 2010~SING OUT GLEEFULLY!~
Heart to Heart
秋うた、冬うた。
Dawn Over the Clover Field

春うた、夏うた。
Lovable People
Believer


ほかに聴いたアルバム

HOWLS/ヒトリエ

いわゆるボカロPとしても活躍するwowaka率いるロックバンドのフルアルバムとしては約2年3ヶ月ぶりとなるニューアルバム。「ウィンドミル」のような爽快感あるナンバーもありつつ、全体的にはマイナーコードのメロディーラインが中心となる楽曲。王道路線のギターロックがメインで、もうちょっと楽曲のバリエーションが欲しいような印象もあるのですが、ある意味、方向性としてはかなり愚直なものを感じ、またバンドとしての体力も以前より増した感じも。ロックバンドとしての成長も感じた作品でした。

評価:★★★★

ヒトリエ 過去の作品
イマジナリー・モノフィクション
モノクロノ・エントランス
DEEPER
IKI
ai/SOlate

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2019年4月 1日 (月)

メロディーメイカーとしてのセンスが光る

Title:Weezer(Black Album)
Musician:Weezer

「青」を基調したデビューアルバム以降、あるひとつの色を基調としたジャケット写真のアルバムをリリースし続けたアメリカのパワーポップバンドWeezer。で、今回のテーマは「黒」なのですが・・・・・・いや、これは完全にギャグということでいいですよね(笑)。
全身黒のジャケットがかなりインパクトのあるWeezerのニューアルバムです。

今回のアルバムは正直言うと、かなり賛否両論が分かれそうな「問題作」といっていい内容だったのではないでしょうか。今回のアルバムを一言で言うと、最初から最後までポップ曲調のナンバーが並ぶアルバムになっていました。ちょっとラテン風のメロで軽快に聴かせる「Can't Knock The Hustle」からはじまり、ピアノが入り、ビートルズを彷彿とさせるような美メロが耳を惹く「High As A Kite」、ダンサナブルでディスコ風のポップチューン「Living In L.A.」、切ないメロが耳を惹くピアノポップ「Piece Of Cake」など、まずはそのメロディーラインが耳を惹くナンバーが続いていき、最後は軽快なサマーポップチューン「Byzantine」からスペーシーなシンセでダイナミックにまとめた「California Snow」で締めくくり。全編、ポップなメロがまず全面に押し出された作品となっています。

そのため今回のアルバムは彼らのパワーポップという側面がほとんど前に出てきていません。あえて言えば「I'm Just Being Honest」あたりはギターサウンドが前に出ているロックな楽曲に仕上がっていますが、「パワーポップ」といえそうな作品はこの曲くらい。そのため、かなり賛否の分かれるアルバムになっていたように感じます。

Weezerは今年、このアルバムのほか、カバーアルバム「Weezer(Teal Album)」をリリースしています。このアルバムもまた、非常にポップなナンバーをカバーした作品になっていましたが、今から考えるとこのカバーアルバムは本作の前哨戦という意味合いもあったのでしょう。

また、前作「Pacific Daydream」もサイケポップなアルバムに仕上げられており、賛否がわかれるようなアルバムでしたが、そう考えると、今、Weezerのベクトルはよりポップという方向性を指し示しているということになるのでしょうか。ただ、幻想的にまとめられており、ポップという方向性がぼやけていた前作と比べると、本作はその方向性が明確に示されており、すっきりとまとまったアルバムにも感じました。

Weezerといえばパワーポップバンドの代表格的バンド。そういうイメージがあっため、正直言うと今回のアルバムのポップスさに関しては私もはじめは拍子抜けしてしまいました。ただ、聴き進めていくうちに、徐々にそのメロディーの美しさに惹かれていきました。特にこのメロディーの良さに関しては、彼らのアルバムの中でも屈指の作品と言えるのではないでしょうか。メロディーメイカーという側面においては今、彼らは脂が乗っている状況と言えるかもしれません。

確かに賛否がわかれるということは非常によくわかるのですが、個人的にはこのアルバムは傑作アルバムだったように感じます。突き抜けてポップなメロディーラインは実に絶品。Weezerのポップという側面での魅力を余すことなくアルバムの中に入れてきています。ただ・・・もっとも次のアルバムはやはりガツンとロックなアルバムを聴きたい、とも思ってしまうのも否定はできないのですが・・・。

評価:★★★★★

WEEZER 過去の作品
WEEZER(Red Album)
RADITUDE
HURLEY
DEATH TO FALSE METAL
Everything Will Be Alright in the End
WEEZER(White Album)
Pacific Daydream
Weezer(Teal Album)


ほかに聴いたアルバム

Quiet Signs/Jessica Pratt

アメリカの女性シンガーソングライターによる約4年ぶりとなるニューアルバム。基本的にアコースティックギター一本でしんみり歌うスタイル。ちょっと70年代のテイストも感じる、どこか懐かしさもあるフォーキーなメロディーラインが大きな魅力。彼女の静かな歌声も優しく響きます。派手さはないですが、心の奥に響いてくるような魅力的なアルバムでした。

評価:★★★★★

After its own death/Walking in a spiral towards the house/Nivhek

Grouperというソロプロジェクトでも活動を行うアメリカの女性ミュージシャン、Liz Harrisの新プロジェクト、Nivhekのニューアルバム。といっても、実質的には「After its own death」という曲と「Walking in a spiral towards the house」という2曲が入っているのみが入っている全60分弱のアルバムで、「After its own death」は幻想的なサウンドに美しい女性ボーカルが入りつつ、途中からいきなり不気味なノイズが鳴り響く緊迫感ある展開が耳を惹くナンバー。続く「Walking in a spiral towards the house」は静かでメタリックなサウンドがミニマル的に淡々と続いていく楽曲になっており、こちらも不気味ながらも緊迫感あるサウンドが耳を惹きます。全編、不気味な雰囲気ながらも、どこか幻想的なサウンドが魅力的なアルバムでした。

評価:★★★★★

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