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2019年3月

2019年3月31日 (日)

そして続く

Title:Yeketelale
Musician:UKANDANZ

フランス人ギタリストのダミアン・クルュゼルのバンドに、エチオピア人のボーカリスト、アスナケ・ゲブレイエスが加わり、エチオピアの音楽を取り入れ大きな話題となったUKANDANZの3枚目のアルバムが到着しました。
「You can dance」から来るバンド名そのままに、身体が思わず動き出してしまう強度の強いダンスビートが特徴的な彼ら。以前実施した来日公演も大きな話題となりました。

2枚目となる前作「AWO」はダイナミックなプログレッシブロックの要素が強いアルバムとなりました。その結果、アルバムとしてはそのミュージシャン名とは異なり、若干踊りにくいアルバムになっていました。それだけに今後はそういった路線に進んでいくのかな・・・と思ったのですが、ここに来て、バンド名への原点回帰とでも言うのでしょうか、再びダンサナブルなアルバムに戻ってきました。

それも今回のアルバムの大きな特徴となるのは、80年代を彷彿とさせるエレクトロビート。今となってはちょっと安っぽさすら感じさせるのですが、それゆえに非常に荒々しさを感じさせるビートがさく裂。アルバムは「Gesse」でいきなり強いエレクトロビートが飛び出すダンサナブルな楽曲からスタート。続く「Gedawo」もこぶしの効いたボーカルが、80年代的なエレクトロビートにのって歌われています。「Weyene Ajire」なども、一番最初の出だしのスペーシーなリズムやハンドクラップの音など、まさに80年代テイスト。全体的には哀愁漂うホーンとメロディーが流れるナンバーなのですが、ビート感あるエレクトロサウンドが流れることにより、おそらくライブではみんな踊りだしそうなナンバーに仕上がっています。

このある種のチープさを感じさせるサウンドがなんとも言えない大きな魅力を醸し出しているのが今回のアルバムの大きな特徴といえるでしょう。もともとUKANDANZの歌は、とライバルなムンムンと伝わってくるエチオピア音楽。こぶしを効かせて歌い上げるそのボーカルは日本の演歌にもちょっと通じる部分もあるのですが、この土着感のあるメロディーが、エレクトロサウンドとはいえどこか人間的なぬくもりを感じさせる80年代サウンドと非常に相性良くマッチしています。今回のこのアレンジの方向性は大正解と言えるのではないでしょうか。

一方、ダンサナブルなビートの曲が続く前半と比較すると、後半は「Yene Hassab」などをはじめ、メロディーを聴かせる歌モノのナンバーが目立ちます。また、「Beyet New Mengedu」などはダイナミックなバンドサウンドが前に押し出されたナンバーで、前作で示されたプログレ路線の延長線上にあるようなナンバー。ここらへんは彼らの音楽性の幅広さを感じさせます。そしてラスト「Ashkaru」は前半のような80年代的なエレクトロサウンドを前に出すのではなく、ノイジーなバンドサウンドでリズミカルに盛り上がる大団円的なナンバー。こちらは1枚目の彼らの路線を継承するようなナンバーになっていました。

そんな訳で3枚目にしてまた新たな路線を提示した彼らですが、根本に流れるエチオピア音楽の方向性は変わらず、そういう意味ではスタイルを徐々に変えつつも、一本筋を通しているアルバムが続いているという印象を受けます。ちなみに今回のアルバムタイトル「Yeketelale」は「そして続く」という意味らしく、ある意味、彼らの音楽的な変化が続いていくという意味にも思われます。もちろんバンドとしてもこれからも続いていくということを強く示したアルバムとも言えるでしょう。しかし今回のアルバム、ライブで聴いたら気持ちよいだろうなぁ。次のアルバム、そして来日公演にも期待したいところです!

評価:★★★★★

UKANDANZ 過去の作品
Yetchalal
AWO


ほかに聴いたアルバム

Agenda/PET SHOP BOYS

前作「Super」から約2年10ヶ月ぶりとなる新作は4曲入りのミニアルバム。フルアルバムでないのはちょっと残念ですが、ただ、4曲のみといえいずれもPET SHOP BOYSの魅力が満載されたキュートなエレクトロポップチューンが並んでいます。特に1曲目の「Give stupidity a chance」はちょっと切ない雰囲気が魅力的な美メロチューン。来るべきニューアルバムが楽しみになってくる傑作でした。

評価:★★★★★

PET SHOP BOYS 過去の作品
Yes
ULTIMATE PET SHOP BOYS(邦題:究極のペットショップボーイズ)
The Most Incredible Thing
Elysium(邦題 エリシオン~理想郷~)
ELECTRIC
SUPER

Buoys/Panda Bear

Animal Collectiveのメンバーによる約4年ぶりとなるソロアルバム。基本的にはアコギベースのフォーキーな雰囲気のポップチューンなのですが、そこに様々な音がサンプリングされたり、エレクトロサウンドを入れてきたりと、単純なフォークとは異なるユニークなサウンドメイキングが耳を惹く作品。もちろんベースとなるメロディーラインもしっかりと聴かせるインパクトもあり、ユニークなサウンドとあわせて最後まで飽きさせないアルバムでした。

評価:★★★★★

Panda Bear 過去の作品
2014-05-18:Warsaw,Brooklyn,New York

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2019年3月30日 (土)

バンドとしての限界を露呈

Title:Eye of the Storm
Musician:ONE OK ROCK

約2年ぶりとなるONE OK ROCKのニューアルバム。ここ最近、すっかりと人気バンドの仲間入りを果たした彼ら。このアルバムも当然のようにチャート1位を獲得し、その高い人気を見せつけました。ただ、残念ながらこのニューアルバム、作品としての評価は決して高くはないようです。Amazonのレビューなどを見る限りだと「洋楽っぽい」という評価をしている方が多いようで、これが大きなマイナス要素となっているようです。

確かにこのアルバム、おそらく一般的なイメージで言うところの「洋楽っぽさ」を強く感じるアルバムではあります。英語詞を中心に持ってきている点やエフェクトをふんだんにかけてスケール感を出している点、また、J-POPのようにわかりやすいサビを持ってきていない点も「洋楽っぽい」とイメージされる要因なのかもしれません。実際、このアルバムと前後して、アヴィリル・ラヴィーンのニューアルバムを聴いたのですが、正直言って、このアルバム、アヴィリルのニューアルバムにかなり似ている曲が少なくありません。

ただ、正直言って「洋楽っぽい」からマイナスというのはかなり違和感があります。というのは、このアルバムの内容がいまひとつなのは決して「洋楽っぽい」からではありません。このアルバムが凡作になっているのは一言で言うと、似たような曲ばかりが並んでいるからというのが大きな要因となっているように感じます。例えばさきほど比較に出したアヴィリル・ラヴィーンのニューアルバム「Head Above Water」。確かに何曲か、このアルバムの収録曲に似ている曲もあります。ただ一方でアヴィリルはこのアルバムで「Tell Me It's Over」というソウルな楽曲を披露しています。しかし、残念ながらONE OK ROCKのアルバムには、こういうバリエーションはありませんし、それは逆に言えば、そういうバリエーションある音楽が出来ないという、彼らの音楽的偏差値の低さを露呈してしまったように感じてしまいます。

また、アヴィリルのアルバムに似たような曲があったという点もまた、彼らの楽曲がよくありがちなタイプの曲が並んでいるということを裏付けてしまったように感じます。正直言って、彼らのサウンドは決して目新しくもありませんし、最近の洋楽の潮流でもありません。そういう意味でも非常に平々凡々に感じてしまいます。

サウンドの面でも、シンセなどの音を入れてスケール感を出すという非常に安直な方向性の楽曲が並びます。これもまた、スケール感という形でバンドの体力のなさをごまかしているようにすら感じました。正直言って、楽曲のワンパターンさという欠点は以前の彼らの楽曲からも感じられたのですが、その一方、そのワンパターンさをダイナミックなバンドサウンドでカバーしているようなアルバムが少なくありませんでした。今回のアルバムに関しては、そのバンドサウンドのカッコよさすら放棄してしまったように感じます。

かなり厳しいことを言ってしまうと、今回のアルバム、完全にONE OK ROCKのバンドとしての限界を露呈してしまったアルバムのように感じます。もともとTakaの書くメロディーラインは哀愁感もあり、良くも悪くも日本的な部分も多く、それと迫力あるバンドサウンドのマッチが彼らの良さと思っていたのですが、そのスタイルを無理に変えようとした結果、いまひとつメロディーに合わないようなスケール感だけあるワンパターンの楽曲という彼らの悪い部分だけが前に出てしまったアルバムになっていました。これは率直に厳しいなぁ・・・。

評価:★★★

ONE OK ROCK 過去の作品
Nicheシンドローム
残響リファレンス
人生×僕=
35xxxv
Ambitions
AMBITIONS INTERNATIONAL VERSION


ほかに聴いたアルバム

bless You!/ORIGINAL LOVE

ちょっと久しぶり、約4年ぶりになるオリジナル・ラヴのニューアルバム。ソウルやR&Bのみならずファンクやジャズ、ロックなど様々な音楽を取り込んだ幅広い音楽性が特徴的で、特に最近流行りとなっているAOR、シティポップ的なサウンドも取り込んでいます。さらに、最近注目を集めるラッパーPUNPEEをフューチャーした楽曲もあったりして、いまなお音楽に対する貪欲な挑戦心を伺える楽曲。ただ一方ではそれだけバリエーションがありながらもアルバム全体としての統一感もあるのは、オリジナル・ラヴが確固たる個性を確立しているからでしょう。ベテランらしいいい意味での安定感もある傑作でした。

評価:★★★★★

ORIGINAL LOVE 過去の作品
白熱
エレクトリックセクシー
ラヴァーマン
プラチナムベスト ORIGINAL LOVE~CANYON YEARS SINGLES&MORE

壊れたピアノとリビングデッド/MUCC

MUCCの最新作はタイトル通り、「ピアノ」と「ホラー」をテーマとしたコンセプチュアルなアルバム。全編にピアノを取り入れた楽曲が並んでいます。構成としては前半にヘヴィーな楽曲が並び、後半はメロを聴かせるナンバーが並ぶスタイルに。前半のヘヴィーな楽曲では正直ピアノはあまり目立たず、隠し味的な感じにとどまっていますが、後半は哀愁感あるメロにもマッチ。ヘヴィーなMUCCとポップなMUCCがほどよくバランスされた作品になっていました。

評価:★★★★

MUCC 過去の作品
志恩
球体
カルマ
シャングリラ
THE END OF THE WORLD
T.R.E.N.D.Y.-Paradise from 1997-
脈拍
BEST OF MUCC II
カップリング・ベストII

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2019年3月29日 (金)

傑作だった前作を易々上回る傑作アルバム

Title:PUNK
Musician:CHAI

フルアルバムの前作「PINK」が大きな評判を集めた4人組ガールズバンドCHAI。「NEOかわいい」を標ぼうし、とかく「かわいさ」が重視されるような昨今の状況にあえてアンチのスタンスで挑んだ彼女たち。そのスタイルもパンクなのですが、足腰の強いバンドサウンドが繰り出すパンキッシュなサウンドも大きな評判を呼び、
イギリスでインディーデビューしたほか、イギリスで注目のバンド、Superorganismのワールドツアーに同行し、積極的に海外に攻めていこうとしています。

私もそんな彼女の作品を前作「PINK」ではじめて聴いたのですが、歌詞もさることながらサウンドにも大きく惹かれ、すっかりはまってしまったのはここのサイトでも紹介したとおり。私的ベストアルバム1位にも選ぶなど、その魅力に大きく惹かれました。ただ、それに続くミニアルバム「わがまマニア」はこちらも傑作だったものの、さすがに前作「PINK」を上回ることはできなかっただけに本作は期待半分、不安半分といった感じだったのですが・・・しかし、結論としては、前作「PINK」を易々と上回る傑作アルバムを聴くことができました。

まず前作以上にバンドの演奏の強度が増したように感じます。アルバムのスタート「CHOOSE GO!」から、まずヘヴィーながらもしっかりとリズムを刻むベースラインが惹くタイトな演奏を聴かせてくれますし、続く「GREAT JOB」もエレクトロサウンドを入れつつ、迫力あるダイナミックな演奏を聴かせてくれます。全体的にはほどよくエレクトロのサウンドを入れつつ、エッジの効いたバンドサウンドを聴かせるスタイルで、バンドとしての体力はおそらく数多くのライブを経たからでしょう、さらに強くなっているように感じました。

歌詞の方も、家事仕事を称える「GREAT JOB」をはじめ、なによりCHAIらしさを感じるのが「アイム・ミー」「わたしが わたしを かわいくするの」というフレーズ。このまま何かのCMのキャッチフレーズに出来そうですが(^^;;「かわいい」の基準は自分で決めるという、自分を持っている女性の力強いスタンスを感じます。ラストを締めくくる「フューチャー」「思ってるよりすっと わたしの世界は広い」というフレーズも、多くの女の子たち・・・に限らず野郎どもも含めて、CHAIからの大きなエールといったところでしょうか。

またメロディーラインもポップで十分なインパクトも。ただ、カラッとしたサウンドはいわゆる邦楽的な要素はほとんどゼロ。海外への積極的な活動が目立つ彼女ですが、彼女たちのようなタイプのバンドは、狭い日本よりも海外の方が向いているのかもしれません。正直言うと、メジャーシーンのど真ん中でスタジアムライブを実施、というイメージではなく、どちらかというとインディーシーンで話題となるバンドといったイメージにピッタリくるのですが、それでもこれからさらに海外で注目を集める可能性は十分すぎるほどあるバンドだと思います。

また、どう考えてもジャケ買いを一切拒否するようなジャケット写真も「見た目で判断するな」という彼女たちの主張を感じます。もっとも、もう彼女たちの場合は、このサブスクリプションの時代において「CDを売る」なんてことに一切こだわっていないのかもしれませんが。

そんな訳で、前作に続く、どころか前作を上回る傑作アルバムとなった本作。前作同様、年間ベストクラスの傑作アルバム。いや、はっきりいってこのアルバムを評価せずに、どのアルバムを評価するの??と強く問いたくなるアルバムでした。まだまだ彼女たちの快進撃は続きそうです。

評価:★★★★★

CHAI 過去の作品
PINK
わがまマニア


ほかに聴いたアルバム

The Naked Blues/LAMP IN TERREN

4人組ギターロックバンドによる約1年8ヶ月ぶりのニューアルバム。デビュー当初は注目を集めた彼らですが、人気の面ではいまひとつ伸び悩んでいる印象も受けます。ただ、今回のアルバム、いつもの彼ら同様の王道的なオルタナ系ギターロックなのですが、サウンドの迫力もまし、ちょっと切なさもあるメロディーラインもインパクトがあります。特に前半はシンプルながらもかなり魅力的な楽曲が続き、アルバムに惹きこまれました。ただ後半になるとサウンド的にもメロディー的にもインパクトが薄れ、単純に楽曲のスケール感に頼ったような曲が続き、残念ながらちょっとダレてしまいました。前半に勢いが最後まで続けば、かなりの傑作アルバムだったと思うのですが・・・。ただ、バンドとしての実力は感じられたアルバム。メジャーデビューから4年、そろそろここらへんでブレイクか?

評価:★★★★

LAMP IN TERREN 過去の作品
silver lining
LIFE PROBE
fantasia

ベストヒット清志郎/忌野清志郎

RCサクセションのボーカリストとして活躍。その後も数々のバンドやソロとしても活動し、ソウルミュージックをベースとするロックンロールサウンドや、諧謔的な要素を含んだ反抗心ある歌詞が多くの人たちを魅了し、いまなお多くのミュージシャンへの影響を与え続ける忌野清志郎。2009年にわずか58歳という若さでこの世を去ってから今年で早くも10年となります。そんな中でリリースされたのが、この企画盤。RCサクセションやその後、彼が組んだ様々なバンドの楽曲を含む、彼の楽曲の中からタイアップ曲を中心に収録したベスト盤で、「ベストヒット」というタイトル通り、彼のポップな側面に焦点をあてたアルバムになっています。

どうせバンドやソロを通じてのベスト盤を出すのならばオールタイムベストにしてくれればいいのに・・・(もっとも過去に「入門編」や「青山ロックンロールショー」などのオールタイムベスト的なアルバムはリリースされていますが)とも思うのですが、ただ実際はRCの代表曲「雨上がりの夜空に」「たとえばこんなラヴ・ソング」や、リリース当時はこの曲が使われるCMを含めて話題になったソロ曲「パパの歌」、いまなおCMで流れ続けているTHE TIMERSの「デイ・ドリーム・ビリーバー」など代表曲は網羅。そういう意味では十分オールタイムベスト的な内容になっており入門編としてもピッタリ。またキヨシローのポップな側面を再認識できるという意味でもちょうどよい好企画になっていたと思います。あらためてメロディーメイカーとしてのキヨシローの魅力を強く実感できた作品でした。

評価:★★★★★

忌野清志郎 過去の作品
入門編
忌野清志郎 青山ロックン・ロール・ショー2009.5.9 オリジナルサウンドトラック
Baby#1
sings soul ballads

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2019年3月28日 (木)

1位返り咲き

今週のHot Albums

http://www.billboard-japan.com/chart_insight/

先々週の1位獲得作が見事1位返り咲きです。

今週1位はTWICE「#TWICE2」が先週より1位にランクアップ。2週ぶりに1位に返り咲いています。CD販売数が4位から2位にアップ。PCによるCD読取数も15位から7位にアップしており根強い人気を伺わせます。現在、史上最悪の状況となっている日韓関係ですが、音楽的な側面に関しては全く無関係な模様です。

2位はモーニング娘。'19「ベスト!モーニング娘。20th Anniversary」が初登場でランクイン。CD販売数は1位とTWICEを上回りましたが、ダウンロード数16位、PCによるCD読取数18位とTWICEと大きく下回り結果2位に。誕生20周年を記念したベストアルバムなのですが、オールタイムベストではなく収録曲は2007年にリリースされた「モーニング娘。ALL SINGLES COMPLETE~10th ANNIVERSARY~」以降の曲のみ。また、彼女たちの結成は1997年で20周年はおととしなのですが、なぜ2年も遅れたのか謎・・・。オリコンでは初動売上3万4千枚で1位獲得。直近作のオリジナルアルバム「⑮Thank you,too」の2万9千枚(4位)からアップしています。

3位もK-POP勢。こちらは男性アイドルグループSF9「ILLUMINATE」が初登場でランクイン。ただこちらはCD販売数で3位を獲得しているほかはすべて圏外という結果となっています。オリコンでは初動売上2万6千枚で3位初登場。日本デビュー作となった前作「Sensational Feeling Nine」の1万8千枚(7位)よりアップしています。

続いて4位以下の初登場盤です。まず5位には大滝詠一「NIAGARA CONCERT '83」が入ってきています。CD販売数で4位、PCによるCD読取数で34位を獲得。本作は大滝詠一名義としては結果としてラストライブとなってしまった1983年7月24日に西武球場で行われた「ALL NIGHT NIPPON SUPER FES '83/ASAHI BEER LIVE JAM」の模様を完全収録した貴重な音源となっています。2013年に65歳という若さで突然この世を去った彼ですが、逝去後も根強い人気が続いていることをうかがわせる結果となりました。オリコンでは初動売上1万6千枚で4位初登場。直近作はオリジナルアルバムとしてリリースされた「DEBUT AGAIN」で、同作の初動売上2万枚(3位)からはダウンしています。

6位はロックバンドThe Birthday「VIVIAN KILLERS」が初登場で獲得。元ミッシェル・ガン・エレファントのチバユウスケ、クハラカズユキらが結成したバンドですが、気が付けば今年で結成13年目。ミッシェルよりも長くなってしまいました・・・。CD販売数6位、ダウンロード数29位、PCによるCD読取数36位。オリコンでは初動売上1万枚で6位初登場。初動売上は前作「NOMAD」(6位)から横ばい。

9位には男性2人組デュオC&K「TEN」が初登場。CD販売数9位、ダウンロード数5位、PCによるCD読取数57位を獲得。オリコンでは初動売上1万4千枚で5位初登場。前作「55」の1万2千枚(7位)よりアップしています。

最後10位にはTHE BEAT GARDEN「メッセージ」がランクイン。男性ボーカル3人+DJによる4人組グループ。CD販売数は5位だったものの、他は圏外だったため総合順位ではこの位置に。オリコンでは初動売上9千枚で7位初登場。前作「I'm」の3千枚(10位)よりアップしています。

今週のHot Albumsは以上。チャート評はまた来週の水曜日に!

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2019年3月27日 (水)

ロングヒット曲が上位に

今週のHot100

http://www.billboard-japan.com/chart_insight/

今週は強力な新譜がなかった影響か、ロングヒット組が上位に並んでいます。まず2位にはあいみょん「マリーゴールド」。先週の3位からワンランクアップ。ストリーミング数及びYou Tube再生回数では1位をキープ。カラオケ歌唱数でも2位となっており、まだまだロングヒットは続きそう。ちなみに先週10位だった「今夜このまま」は今週14位にダウン。ベスト10復帰は1週にとどまりました。

3位back number「HAPPY BIRTHDAY」はまだ5週目のベスト10ヒットながらもダウンロード数及びPCによるCD読取数は1位をキープ。またラジオオンエア数は先週の17位から2位にランクアップしたり、圏外だったYou Tube再生回数が31位にあがってきたり、ここにきて盛り上がりを見せています。このままロングヒットを続ける可能性が高い1曲です。

そして4位にはすっかりおなじみ米津玄師「Lemon」が先週と変わらず4位をキープ。ダウンロード数及びPCによるCD読取数3位、You Tube再生回数2位、カラオケ歌唱数1位と相変わらず高順位をキープ。はじめてのベスト10入りから1年以上、ベスト10をキープしていますが、まだまだこの記録は伸びていきそうです。

さて初登場組は、まず1位に祭nine.「有超天シューター」が初登場でランクイン。名古屋を中心に活動する男性アイドルグループBOYS AND MENの弟分的なアイドルグループ。楽曲的にはお祭りっぽいリズムに載せたEDMチューン。歌詞の内容とあわせて今どきの特撮モノのオープニングになりそうな感じも。CD販売数は1位を獲得していますが、PCによるCD読取数62位、Twitterつぶやき数78位でほか圏外と、一定の固定ファン以外には波及していない印象。オリコン週間シングルチャートでは初動売上7万5千枚で1位初登場。前作「がってんShake!」の12万6千枚(2位)からは大きくダウンしています。

4位以下での初登場曲はまず8位に女性アイドルグループBiS「Are you ready?」が初登場。ピアノ弾き語りにのせて、いきなり「パパ~♪」からはじまる楽曲はQueenの「ボヘミアンラプソディー」のオマージュだそうですが、時期的にもあまりにもわかりやすいベタな狙いで、さらに「Mother」を「パパ」に変えるベタベタのつまんなさ。こういうところがすごくセンスが悪いなぁと感じてしまいます。CD販売数2位に対してラジオオンエア数71位、PCによるCD読取数81位、Twitterつぶやき数45位と、こちらも固定ファンが中心のヒットに。オリコンでは初動売上3万5千枚で2位初登場。前作「アゲインストザペイン」はBiS1st、BiS2ndにわかれてのシングルで、上位(5位)にランクインされたBiS2ndによる初動売上2万6千枚よりもあっぷしています。

初登場組もう1曲は9位に女性アイドルグループ、まねきケチャ「いつかどこかで」。アニメ「おこしやす、ちとせちゃん」エンディングテーマ。CD販売数3位のほかはすべて圏外と、こちらも典型的に固定ファン層以外に楽曲人気が波及していない悪い意味でのアイドルらしいヒット形態になっています。オリコンは初動売上2万2千枚で6位初登場。前作「鏡の中から」の2万4千枚(5位)からダウンしています。

今週のHot100は以上。明日はHot Albums。

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2019年3月26日 (火)

デビュー30周年でのライブツアー

the pillows REBROADCAST TOUR

会場 名古屋ダイアモンドホール 日時 2019年3月8日(金) 19:00~

Rebroadcast

久しぶりにthe pillowsワンマンライブに足を運んできました。彼らのワンマンライブは2011年の「HORN AGAIN TOUR」以来、約8年ぶり。最近、彼らのライブに足を運んでいないなぁ、というのと、最新アルバムの出来がなかなか良かったのもあって、久々のワンマンに出かけてきました。

会場はダイアモンドホール。以前のZeppよりは小さめの会場だったので売り切れるかな・・・と思いきや、残念ながら最後までソールドアウトにならず。会場も9割弱程度の入りといった感じ。ちょっと気になったのはthe pillowsって、今年30周年を迎えるベテランバンドなのですが、以前はベテランにも関わらずライブに来るファン層が20代、と若々しかったのですが、今回のライブはおそらく平均の年齢層が30代後半から40代くらいに・・・まあバンドの活動歴なりの年齢層なのですが、いろいろな意味で人気の面では一時期のような勢いは止まってしまった感も・・・ただ、もっとも会場には若い20代のファンも目立っていましたが。

そして、19時5分頃にライブはスタート。いろいろ考えつつもやはりライブがスタートすると気分は一気に盛り上がります。1曲目は最新アルバムでも1曲目だった「Rebroadcast」からスタート。そして彼らの代表曲のひとつである「I think I can」へ。アップテンポなナンバーの連続でまずは会場の空気が暖まります。

その後「Freebee Honey」を挟んで最初のMCへ。ここでは「みんな50代のバンドになってしまいました」というちょっと自虐的(?)な自己紹介が。デビュー30周年のベテランバンドなだけによくよく考えれば当然なのですが、それにも関わらず、いまだに若々しさを感じるロックミュージックをやり続けているというのが驚き。この日のライブも下手な若手バンドに負けない、若々しさと勢いを感じるステージになっていました。

続く「spiky seeds」の途中で、なんと山中さわおの耳のイヤホンが外れるというトラブルが。回線も途切れてしまったようで、いきなりしばらくのブレイクに。その間、ギターの真鍋吉明がギターのアルペジオでベートーベンの「悲愴」と「No Woman No Cry」を弾いて間を持たせるというちょっとうれしいサプライズも。カッコいいギタープレイに山中さわおも「ギタリストはこういうことが出来るから女にもてるんだよな」と嫉妬まじり(笑)の発言をしていました。

その後は最新アルバムから「Binary Star」に「Skim heaven」「王様になれ」と続き、続くMCでは空港でのトラブルの話が。飛行機が15分程度遅れるトラブルがあったそうですが、それに対して航空会社のカウンター担当者に怒鳴り散らす中年男性がいたそうで、ただその中年男性の名前がいつの間にか真鍋さんになっていて、真鍋さんに「俺はそんなことやってない」と突っ込まれるオチに・・・で、このエピソードに微妙にちなんでそうな「ニンゲンドモ」へと続きました。

そこからは「ぼくのともだち」「箱庭のアクト」「Starry fandango」「眩しい闇のメロディー」と最新アルバムからのナンバーが続きます。比較的聴かせるタイプのナンバーも並んだのですが、続く「MARCH OF THE GOD」で会場のテンションはまた一気にあがり、「WALKIN' ON THE SPIRAL」「プライベート・キングダム」と後半に向けて会場のテンションはどんどんと上がっていきました。

メンバー全員の紹介+それぞれの簡単なトークを挟み、「About A Rock'n'Roll Band」、最新アルバムから「BOON BOON ROCK」、そしておなじみ「No Surrender」と会場のテンションは最高潮に。そして本編ラストは最新アルバムのラストでもある「Before going to bed」へ。最後は山中さわおがステージの一番前でファンを煽り、大盛り上がりの中、ライブは一度幕を下ろします。

その後はもちろんアンコールへ。アンコールでは最新アルバムの中で、本編で唯一演っていなかった「Bye Bye Me」、そして「Star overhead」で締めくくり。メンバーがステージ上から去ると、山中さわお一人だけがステージに残り、マイクの前で自分の思いを語ります。曰く、この日は相当、声が出ていたそうで、調子のよいステージだったとか。また最新アルバムは反応もよく、ファンがthe pillowsに求めることと一致したためだろうと思うものの、今後は(も)自分の好き勝手に音楽を作っていくという話。また、ライブの最中、みんなの心が開き、日常では味わえない濃密なコミュニケーションが出来る瞬間がある、という話から、最後は自分たち以上にthe pillowsの曲を愛してくれてありがとう、という話で締めくくりました。

山中さわおが去った後、会場では「Rebroadcast」の曲が流れます。そして、その曲が終わった後は再びアンコールが。やがてメンバーが登場し、ダブルアンコールに突入します。

ダブルアンコールではまずはMC。メンバー全員ビールを飲みながらの登場となりました。今年30周年を迎える彼らですが、30周年の企画として予定されている横浜アリーナでのライブや制作中の映画の話。また、今度リリースが予定されているライブDVDの特典映像として、ファンからのアンケートに基づく人気投票の上位11位から20位までを当てる企画をやらなくてはいけない、なんて話が繰り広げられました。

そしてオーラスは「Locomotion, more! more!」で締めくくり。これまたアップテンポで最高に盛り上がるナンバーで、会場のテンションは最高潮の中、ライブは終了。約2時間10分程度。大盛り上がりのライブでした。

久しぶりとなった彼らのライブですが、ただ8年前と彼らの演奏は全く変わりありません。全員が50代と自虐的に語っていましたが、そんなことを全く感じさせない迫力ある、かつ若々しいステージで、おそらく20代のロックバンドと対バンしても違和感を全く感じさせなさそう。彼らのその若々しさには驚きすら感じます。

そして一方でセットリストについては8年前からガラリと変わっていました。この日のライブは最新アルバムからはもちろん、比較的最近の曲が多く演奏されていました。普通、デビュー30年のベテランバンドのライブだと、昔の懐メロがメインになってしまうケースがほとんど。しかし彼らは、いまなお懐メロメインにならず最近の曲を演奏し、かつファンも十分すぎるほど盛り上がるという「現役感」も驚くべき事実でした。その分、「ハイブリッドレインボウ」みたいなおなじみのナンバーが聴けなかったのはちょっと残念だったのですが・・・ただ、ライブとしては文句なしに楽しめました。やはりthe pillowsのライブは最高ですね!!次はもっと短いスパンで、また足を運びたいです。

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2019年3月25日 (月)

デビュー時を彷彿させる再結成後初のアルバム

Title:underground
Musician:SPARTA LOCALS

今年に入り音楽ファンにとって大きな話題となったNUMBER GIRL再結成のニュース。数多くのバンドに影響を与えたこのバンドはご存知の通り、福岡から出てきたバンドですが、そんな福岡から出てきて、一時期、ポストNUMBER GIRL的に大きな注目を集めたバンドがありました。それが2004年にインディーズからアルバム「悲しい耳鳴り」でデビューしたSPARTA LOCALS。ライブではくるりや向井秀徳とも対バン。高い評価を得ましたが、残念ながらインディーズ、メジャー含めて7枚のアルバムをリリースしたあと、2009年に解散してしまいました。

しかし、そんな彼らが2016年に再結成。2017年には8年ぶりとなるワンマンライブを行いました。その後はライブを中心とした活動が続いていましたが、今年に入り、ついに約10年半ぶりとなるニューアルバムをリリース。その活動を本格化させています。

彼らは2006年にドラムスの中山昭仁が脱退しメンバーチェンジを行ったのですが、今回の再結成ではオリジナルメンバーが集結。そのこと自体もファンにとってはうれしいニュースなのですが、やはり長いこと一緒に活動を行い息のあったメンバーだからでしょうか、久々となったニューアルバムはそのブランクを全く感じさせない・・・どころかデビュー時の頃の勢いを復活させたような傑作に仕上がっていました。

彼らのサウンドは4人組バンドのシンプルながらもエッジの利いたバンドサウンドが特徴的。鋭利な刃物で空間を切り裂いていくようなサウンドが大きな魅力であり、耳を惹きます。また一方でメロディーラインはマイナーコード主体ながらもJ-POP的な哀愁感とはちょっと異なるカラッとしたメロが特徴的で、エッジの効いたサウンドとも相まって、独特な雰囲気を醸し出しています。

再結成後初となる今回のアルバムは、そんなSPARTA LOCALSの魅力が120%つまった傑作アルバムとなりました。まず1曲めとなる「夢くれ」のイントロのギターサウンドとリズミカルなドラムから、良い意味でいかにもなSPARTA LOCALSといった感じで、思わずガッツポーズをしたくなるほど。「jumpin」の切り裂くようなギターにテンポよいリズムの疾走感あるサウンドも大きな魅力。タイトルとなっている「アンダーグラウンド」もファンキーさを感じるリズムで身体が思わず動き出すような傑作。

一方でアルバムの中では意外な要素として「battle」では非常にヘヴィーなギターサウンドが入っており、いままでになかったようなバンドのダイナミズムを感じさせます。またファンキーなリズムが魅力となっている「GOD」では軽くラップの要素が入ってくるなど、アルバムにバリエーションを加えています。

そして最後の「noRmaL」はノイジーでちょっとサイケ気味なギターサウンドが流れる中、ちょっと切ない伸びやかなメロディーが印象に残る歌を聴かせるナンバー。孤独を歌いながらも「産まれて良かったな」と歌う優しい歌詞も心に響き、聴いたあとにほどよい満足感を残しアルバムは幕を閉じます。

デビュー時の勢いを取り戻したようなある種の瑞々しさすら感じる傑作アルバムで、バンドとしての状況の良さを強く感じさせます。バンドのキャリアを通しても最高傑作に近い出来とすら言えるのではないでしょうか。個人的には年間ベスト候補とも言えるレベルの傑作だったと思います。NUMBER GIRL復活に湧く日本のロックシーンですが、SPARTA LOCALS完全復活もシーンに大きな足跡を残しそうです。

評価:★★★★★

SPARTA LOCALS 過去の作品
メロディ泥棒&ビート刑事
Leecher


ほかに聴いたアルバム

THUNDERBIRD/大橋トリオ

約1年1ヶ月ぶりとなる大橋トリオのニューアルバム。いつも通り、アコースティックベースでジャジーな雰囲気を加えた暖かいポップチューンが並びます。楽曲の完成度については文句なく、いい意味で安心して聴けるし、広い層にお勧めできるアルバムなのは間違いありません。ただ、あまりにもいつも通りすぎて、目新しさはほとんどなし。そういう意味で、これが大橋トリオをはじめて聴く方にとっては文句なしの傑作といえるかもしれませんが、いままでのアルバムを聴いてきた方にとっては良くも悪くも「いつも通り」といった印象を受けてしまうアルバムでした。

評価:★★★★

大橋トリオ 過去の作品
A BIRD
I Got Rhythm?
NEWOLD
FACEBOOKII
L
R

FAKE BOOK III
White
plugged
MAGIC
大橋トリオ
PARODY
10(TEN)
Blue
STEREO
植物男子ベランダー ENDING SONGS
植物男子ベランダーSEASON2 ENDING SONGS

LOVE&JETT/ギターウルフ

約2年半ぶりとなるギターウルフのニューアルバム。この2年半の間にベーシストが2人変わるなど、バンドとしてはちょっと混乱しているのか?という印象を受けてしまうのですが、このニューアルバムを聴くと、バンドとしてはむしろパワーアップしているように感じます。もちろんサウンド的にはゴリゴリの荒々しいガレージロックといつも通り。コミカルさもあるシンプルな歌詞もそのまま。良い意味での彼ららしいマンネリ感を維持しつつ、ただバンドとしての勢いはここにきて増している感もあります。タイトルチューンの「LOVE&JETT」も歌詞は片思いをテーマにしつつメロディーラインも意外とメロディアスと、荒々しいバンドサウンドを取り除いても十分耐えられるポピュラリティーを持っていることも垣間見せてくれます。とりあえず今のメンバーの相性はかなり良さそう。大いなるマンネリ路線の彼らですが、まだまだ勢いは止まらなさそうです。

評価:★★★★★

ギターウルフ 過去の作品
宇宙戦艦ラヴ
野獣バイブレーター
チラノザウスル四畳半

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2019年3月24日 (日)

珠玉のポップアルバム

Title:My oldest numbers vol.4
Musician:石田ショーキチ

Spiral Lifeのメンバーとしてデビュー。Spiral Life活動休止後は自身のバンド、Scudelia Electroとしての活動やスピッツやCoccoへのプロデュース活動でも積極的な音楽活動を続けてきた石田ショーキチ。2018年は彼がSpiral Lifeとしてデビューしてからちょうど25年の記念すべき年となったそうですが、そんな中リリースされたのが本作。いままでの彼の代表作をリアレンジしたセルフカバーアルバムで、タイトル通り本作が第4弾。そしてシリーズ最終作となるそうです。

全9曲入りのアルバムなのですが、9曲中2曲がScudelia Electro時代のナンバー。そして残り7曲がSpiral Lifeの曲となっています。特にアルバムはいきなり「The Answer」「20th Century Flight」とSpiral Lifeの代表曲からスタート。ちょっとうれしい選曲に、まずは否応なく気持ちは盛り上がってしまいます。

そしてこの石田ショーキチの書くナンバーは、個人的にはとにかく音楽的な壺を突きまくりのギターロック。フィードバックノイズをほどよく効かせたノイジーなギターサウンドに非常にキュートなメロディーライン。バンドサウンドのヘヴィネスさとポップスのキュートさのバランスがたまりません。ある意味、彼の書くギターロックは個人的な好みの最もど真ん中を貫いてくる楽曲かもしれません。

ノイジーなギターサウンドが流れつつ、基本的にキュートな序盤から一転、「Dance to god」はゴリゴリのギターサウンドを聴かせるヘヴィーなロックナンバーに。かと思えば続く「星のクロニクル」はシンプルでアコースティックなアレンジのポップチューンと幅広いアレンジの曲が続きます。ただどの曲も石田ショーキチの書くポップでキュートなメロディーが流れており、このフックの効いたメロディーラインが聴いていてとても心地よさを感じさせてくれます。

今回のアルバムはリアレンジアルバムということですが、基本的には原曲から大きくイメージを変えた楽曲はありません。ただ、あえて言えば全体的によりバンドサウンドを押し出しヘヴィネスさは増したように思います。特に「20th Century Flight」はドリーミーでポップな雰囲気が強かった原曲に対してバンドサウンドを前に押し出したアレンジに変化しています。もっとも、元々ギターの音はしっかり鳴っている楽曲でしたし、なによりもメロディーの美しさが楽曲の主軸となっているだけに、曲を聴いた時の印象に大きな変化はありませんでしたが。

ちょっとおもしろいのはSpiral Life時代はどちらかというとヘヴィネスさは相方の車谷浩司が担い、石田ショーキチはポップやエレクトロサウンドを取り入れている、という印象もありましたが、スパイラル活動休止から20年以上が経てスパイラルの曲をよりヘヴィーな方向でリアレンジしているのが石田ショーキチというのは、時代の流れを感じてしまいます。

そんな訳で珠玉のポップソングが並ぶ最高のポップアルバム。最初から最後まで心からその胸をうつようなサウンドとメロディーを楽しむことが出来ました。正直、最近、以前ほどは音楽活動が活発ではなくなってきてしまいましたが、これだけのポップスを作り上げられるポップ職人の彼。是非ともまた数多くの名曲を世に送り出してほしいところ。このアルバムでカバーアルバムは一区切りということですので、次は待望のオリジナルアルバムリリースでしょうか。楽しみです。

評価:★★★★★


ほかに聴いたアルバム

UNTITLED/KOHH

今、音楽シーンの中で最も活況を呈している日本のHIP HOPシーン。その中でも最も注目を集めているラッパーの一人が彼、KOHH。宇多田ヒカルのアルバム「Fantome」にも参加して話題となりました。そんな彼の約2年8ヶ月ぶりのニューアルバム。サウンド的には最近の流行であるトラップを大胆に取り入れて、哀愁感のあるサウンドを構成。このちょっとウェットな雰囲気も持つサウンドが日本人の心境ともマッチしているように感じます。また一方で、ONE OK ROCKのTakaが参加した「I Want a Billion」などダイナミックなロックサウンドを入れてきている曲などもあり、楽曲のバリエーションも感じます。

ただ一方・・・これは個人的な好みによる部分もあるのかもしれませんが・・・彼は比較的しっかりと日本語を語るようにラップするタイプのラッパーなのですが、どうもこのラップがトラップのサウンドといまひとつアンマッチな感じを受けて、いまひとつしっくりと来ません。そもそもトラップの細かいリズムが彼のラップのスタイルとマッチしないのかもしれませんが、どうもこの違和感が最後までぬぐうことができず。他の点は文句なしの内容だと思うのですが・・・。

評価:★★★★

過去レクション/チャラン・ポ・ランタン

結成10周年を迎える姉妹ユニット、チャラン・ポ・ランタンのインディーズ時代の曲を収録した初期ベスト。 基本的に軽快なバルカンミュージックで、コミカルさを含んだ物語性ある歌詞というスタイルは初期から変わらず。ある意味、早い段階で完成されていたことを伺わせます。一方、もものボーカルに関しては、さすがに初期作品に関しては拙い印象も。また今回4枚組のアルバムを聴いたのですが、さすがに似たような曲も多く、ちょっと最後は聴いていてダレてしまった感も。ただ、今なお変わらない魅力はこの時期からしっかりと感じられました。

評価:★★★★

チャラン・ポ・ランタン 過去の作品
テアトル・テアトル
女の46分
女たちの残像
借り物協奏
トリトメモナシ
ミラージュ・コラージュ

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2019年3月23日 (土)

今、最も話題の女性SSW

Title:瞬間的シックスセンス
Musician:あいみょん

昨年は数多くのヒット曲が誕生した1年でした。いまでもヒットを続ける米津玄師の「Lemon」、 老若男女がはまったまさに国民的ヒットDA PUMPの「U.S.A.」、そしてこれらに続いて昨年後半からヒットを続け、今でもロングヒットを続けているのがあいみょん「マリーゴールド」です。そんなまさに今、最も注目を集める女性シンガーソングライターあいみょんの待望のニューアルバムがリリースされました。

正直言うと、あいみょんのヒットについては個人的にかなり「意外」という印象を受けました。彼女の曲に関しては、はっきりいって派手さはありません。「マリーゴールド」にしてもサビのメロディーは決してフックが効いてインパクトが強い、といった感じもありませんし、歌詞についてもわかりやすいキーとなるようなフレーズが登場する訳ではありません。

例えばこの「マリーゴールド」の魅力としては楽曲としてはある意味耳なじみがあるような、シンプルなフレーズと歌詞でしょう。歌詞にしても恋人をマリーゴールドに例えるフレーズは正直言ってありふれた手法。メロディーに関してもシンプルでありそれだけで大きな売りとなるようなインパクトはありません。しかし、そんなシンプルながらも恋人との日常を描いた目に浮かぶような風景描写の歌詞は見事ですし、メロディーもシンプルだからこそ、どこか懐かしさを感じ、かつ何度か聴くうちに耳に残ります。

しかしこれらの魅力は何度かしっかりと曲を聴くうちに気が付くようなものであり、楽曲自体のインパクトは薄い感じすらします。ある意味、インパクト重視の「ヒット曲」とは程遠い曲という印象。それにも関わらずこの曲が大ヒットを続けているというのは、それだけ「歌」を求めるリスナー層が増えているということでしょう。実際、米津玄師にしても最近流行りの星野源にしてもしっかりと「歌」を聴かせるミュージシャン。今後もこういうシンプルな歌を求めるようなヒット曲が続くかもしれません。

そして「マリーゴールド」が大ヒットしている中リリースされた今回のアルバムも基本的には「マリーゴールド」と同じ方向性のシンプルに「歌」を聴かせる曲が並んでいます。切ない片思いの妄想的な歌詞ながらも多くの人の共感を呼びそうな「ら、のはなし」や、アコギでフォーキーに切ない恋を歌い上げる「恋をしたから」など、シンプルながらもしっかりとまずは歌を聴かせる曲が目立ちます。

一方、シンプルなポップチューンが多い中で、ギターサウンドに載せて満たされない現状をうたう「夢追いベンガル」のような、典型的なロックチューンがあったり、「GOOD NIGHT BABY」「from 四階の角部屋」など思ったよりロック寄りの曲が目立つのも特徴的。ポップミュージシャンというイメージが強い彼女ですが、そのロックからの影響も強い点を意外にも感じました。そういえば、本作には収録されていませんが、「君はロックを聴かない」という曲もロングヒットを続けていますしね。もっともロックな曲に関してもあくまでも主役は歌。バンドサウンドを聴かせるというよりも歌詞とメロをしっかりと聴かせる曲が並んでいました。

そんな訳で、あくまでもシンプルに歌詞やメロを聴かせる曲が並ぶ今回のアルバム。それだけに聴いていてちょっと地味という印象を受けるかもしれませんが、「マリーゴールド」同様、聴けば聴くほど味が出てくるようなアルバムに感じます。ただ、彼女のようなしっかりと歌を聴かせる女性SSWは昨今少なくありません。そんな中で、なぜ彼女があれだけ売れたのか、アルバムを聴いてもやはり私の疑問が完全に解消された訳ではありませんが・・・。これからあいみょん人気が続いていくのか、それとも「一発屋」的に終わるのかわかりませんが、このアルバムを聴く限りではまだまだこれからもヒットを飛ばしそう。とりあえずはまだヒット曲の「マリーゴールド」がこれからどれだけヒットを続けるのか、注目です。

評価:★★★★★


ほかに聴いたアルバム

おとぎ/Eve

もともとニコニコ動画で「歌い手」として人気を博し、その後、初音ミクを使用した楽曲も発表。ボカロPとしても注目を集めたいわゆるネット初のシンガーソングライター。アルバムはこれが5枚目となりますが、各種メディアでも大々的にプッシュ。見事ベスト10ヒットを果たしブレイクとなりました。

作風はマイナーコードメインの疾走感あるギターロック。テンポが早く早口気味のボーカルはPVで歌詞が映像として映し出せるネット動画出身ならではといった感じ。ちょっとファンタジックな雰囲気を感じる歌詞もまたボカロPらしい印象。インパクトもあるし、比較的ネットにとどまらず広く訴求していきそうな一般性もある感じで、今後より注目は高まっていくかも。ただ、ちょっと過剰とも思えるメディアのプッシュに、正直、どこか「第二の米津玄師」的なものを期待する空気を強く感じてしまいます。ただその結果、「ボカロPといえばこういう音楽」というイメージが流布してしまいそうな危険性も感じるのですが。

評価:★★★★

ふたりぼっちで行こう/矢野顕子

矢野顕子のニューアルバムはタイトル通り、ゲストとのコラボ楽曲で、2人で(一部例外も)作り上げた楽曲が収録されたアルバム。奥田民生や大貫妙子など、さもありなん的なメンバーから、前川清のような意外性あるベテランや逆に細美武士のような若手(・・・って感じではもうないかな?)、さらには津軽三味線奏者の上妻宏光といった異色のコラボも。楽曲は矢野顕子の楽曲もあれば相手のカバーもあり、特に吉井和哉とのコラボとの「パール」はご存知THE YELLOW MONKEYのヒット曲なのですが雰囲気がかなり変わった、それでも楽曲の魅力がしっかりと伝わる名カバーに仕上がっています。

矢野顕子も非常に個性的で癖のあるボーカルですが、コラボ相手も一癖も二癖もある実力派揃い。そのため、2人ともしっかりと個性を出して楽曲をつくりあげているカバーに仕上がっていました。矢野顕子と相手のそれぞれの才能をうまく引き上げ傑作を作り上げている名コラボ作を並べた傑作です。

評価:★★★★★

矢野顕子 過去の作品
akiko
音楽堂
荒野の呼び声-東京録音-
Get Together~LIVE IN TOKYO~(矢野顕子×上原ひろみ)
矢野顕子、忌野清志郎を歌う
飛ばしていくよ
JAPANESE GIRL - Piano Solo Live 2008 -
さとがえるコンサート(矢野顕子+ TIN PAN)
Welcome to Jupiter
矢野顕子+TIN PAN PARTⅡ さとがえるコンサート
(矢野顕子+ TIN PAN)
矢野山脈
Soft Landing
ラーメンな女たち(矢野顕子×上原ひろみ)

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2019年3月22日 (金)

女性SSWの過去作をリメイク

Title:Bobbie Gentry's The Delta Sweete Revisited
Musician:Mercury Rev

アメリカのサイケデリック・ポップバンド、Mercury Revの約4年ぶりとなるニューアルバム。今回のアルバムは60年代後半に活躍した女性シンガーソングライター、ボビー・ジェントリーのアルバム「The Delta Sweete」をMercury Revがリメイクしたアルバム。まあタイトルからしてそのまんまなのですが(^^;; 各曲に女性ボーカルをフューチャー。これが日本人にもおなじみノラ・ジョーンズにはじまり、Slowdiveのレイチェル・ゴスウェル、ステレオラブのレティシア・サディエールなどなど、かなり豪華なメンバーが名前を連ねています。

実は私、このボビー・ジェントリーという女性シンガーの曲についてはいままで全く聴いたことがありません(ひょっとしてコンピの中の1曲として聴いている可能性もありますが)。それだけに原曲は全く知らず、ある意味、Mercury Revのオリジナルアルバム的な感覚で聴くことが出来ました。

そんな状態で聴いた今回のアルバムなのですが、結果としては非常に素晴らしいポップスアルバムに仕上がっていました。まずアルバム冒頭はご存知ノラ・ジョーンズをフューチャーした「Okolona River Bottom Band」からスタート。ピアノの音色にストリングスを取り込み、分厚くドリーミーにまとめたサウンドも耳を惹きますが、そんな中、ちょっとスモーキーな雰囲気で力強く歌い上げるノラ・ジョーンズの歌声もパワフルで、それでいて優しさを感じられます。続く「Big Boss Man」はジャジーな雰囲気なアレンジに。この曲を歌うホープ・サンドヴァルの静かに優しく歌うその声にも強く惹かれます。

その後もまずアルバムを聴いて惹かれるのはその女性の歌声。どのボーカリストも個性的な実力派揃い。「Parchman Farm」は静かなサウンドの中で、軽くエフェクトをかけたカリス・ファン・ハウテンのボーカルがなんとも言えずセクシーな雰囲気で魅力的。「Penduli Pendulum」で聴かせてくれるバッシュティ・バンヤンの包容力あるボーカルも惹かれます。御年74歳の彼女。伝説的なフォークシンガーとして活躍していたそうですが、本作もそんなフィーキーなメロディーが美しいナンバー。声色には年齢なりの部分もありますが、それを上回る表現力をそのボーカルからは感じることが出来ます。

メロディーラインも全体的にフォーキーなメロで、優しく心に染み入ってくるようなフレーズが並んでおり、大きなインパクトに。それを味付けしているのは言うまでもなくMercury Revなのですが、基本的にはピアノやアコースティックギター、ストリングスなどアコースティックなサウンドがメイン。アコースティックなサウンドながらも比較的分厚い音作りも目立ち、ドリーミーな雰囲気を醸し出しているのですが、ただサウンドはフォーキーなメロや女性ボーカルにもピッタリとマッチ。目立ちすぎず、かといって音はそれなりの主張をもって楽曲の雰囲気づくりに貢献している、そのバランスの良さにMercury Revの素晴らしい仕事ぶりがうかがえます。

元々の楽曲自体が優れていたのでしょうし、また参加した女性ボーカルの実力もあるのですが、そんな女性ボーカルを集めて上手く曲に配置し、さらに素晴らしいアレンジを施したのはやはりMercury Revの実力があってからこそ。完全なオリジナルではなくカバーアルバムなのですが、しっかりとMercury Revの新作として評価されるべき傑作アルバムだったと思います。次にリリースされるオリジナルアルバムもとても楽しみです。

評価:★★★★★

Mercury Rev 過去の作品
The Essential Of Marcury Rev
Snowflake Midnight
Strange Attractor
The Light In You


ほかに聴いたアルバム

thank u,next/Ariana Grande

本作にも収録されている「7 rings」にかけた日本語のタトゥーが悪い意味で話題となってしまったアメリカのシンガーソングライター、アリアナ・グランデの最新作。音数を少なくしてシンプルにまとめたサウンドはトラップミュージックなど今どきの要素を取り入れ、かつメロディーラインはしっかりとポップにまとめ上げています。広い層にアピールできるポップチューンながらもきちんと今のサウンドへのアップデートしている作品でした。

評価:★★★★

Ariana Grande 過去の作品
My Everything
The Best
Sweetener

THE LOVE TRAIN/Meghan Trainor

こちらもアメリカの女性シンガーソングライター、メーガン・トレイナーの新作。6曲入りのミニアルバムとなります。彼女のブレイク作となったシングル「All About That Bass」はちょっと懐かしさを感じるレトロポップになっていたのですが、前作「Thank you」はいかにもアメリカの女性ポップシンガーが歌いそうな平凡な作風になってしまっていました。残念ながら続くこのミニアルバムも特にこれといった特徴の薄い、シンプルなポップソングがメイン。それなりにインパクトもありしっかりと聴かせる部分もあることは間違いないのですが、これ、メーガン・トレイナーの曲である必要はないような・・・。今後もこの方向で行ってしまうのかなぁ・・・。

評価:★★★

Meghan Trainor 過去の作品
Title
Thank you

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お知らせ

日頃は当「ゆういちの音楽研究所」をご愛顧いただきありがとうございました。


先日発生したココログの仕様リニューアルに伴うシステムの不具合により3月19日以降、ブログがアップできない状況が続いておりました。現在、ようやく解消されたようで、そのため3月19日から21日の記事につきましては、3月22日にまとめてアップしております。なにとぞご了承ください。


引き続き、当サイトをよろしくお願いいたします。

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2019年3月21日 (木)

こちらはジャニーズ系が1位

今週のHot Albums

こちらはジャニーズ系が1位獲得。

まず1位はジャニーズ系男性アイドルグループSexy Zone「PAGES」が1位を獲得。CD販売数1位、PCによるCD読取数3位で総合1位。メンバーの松島聡が突発性パニック障害で療養中。そのため、彼の参加はシングルのみに留まるそうですが、しっかり療養して元気な姿を見せてほしいです。オリコン週間アルバムチャートでは初動売上12万1千枚で1位獲得。前作「XYZ=repainting」の13万4千枚(1位)からダウンしています。

2位にはポップな曲調が持ち味の4人組ロックバンドsumikaの2枚目のフルアルバム「Chime」が初登場でランクイン。CD販売数は5位、PCによるCD読取数は7位に留まりましたが、ダウンロード数で1位を獲得し、総合順位で見事ベスト3入りです。オリコンでは初動売上3万3千枚で5位に留まっているため、配信中心でのヒットとなった模様。ただしCD販売枚数も、初動売上で前作「Familia」の1万8千枚(5位)から大幅にアップしています。

3位にはスターダストプロモーション系の女性アイドルグループ私立恵比寿中学「MUSiC」が初登場でランクイン。CD販売数は2位を獲得したものの、ダウンロード数18位、PCによるCD読取数は24位に留まり総合順位ではこの位置に。オリコンでは初動売上4万7千枚で2位初登場。前作「エビクラシー」の4万8千枚(1位)からほぼ横ばい。

続けて4位以下の初登場盤です。まず5位に「CONNECTED TO DISNEY」がランクイン。こちらはまふまふ、そらる、天月-あまつき-など、いわゆる「歌い手」としてネット上で活躍するミュージシャンたちによるディズニーの公式カバーアルバム。CD販売数で3位を獲得した一方、ダウンロード数は27位、PCによるCD読取数は12位に留まり、総合順位はこの位置となりました。オリコンでは初動売上3万7千枚で3位に初登場しています。

6位初登場は「バンドリ!ガールズバンドパーティ!カバーコレクションVol.2」。スマートフォン向けゲーム「バンドリ!ガールズバンドパーティ!」よりJ-POPやアニメソングをゲームのキャラクターがカバーしたアルバム。CD販売数で6位、PCによるCD読取数で10位を獲得し、総合順位では6位にランクイン。オリコンでは初動売上2万3千枚で6位初登場。同シリーズの前作「バンドリ!ガールズバンドパーティ!カバーコレクションVol.1」(6位)から横ばいです。

初登場最後は9位に読者モデルを中心として結成されたガールズバンドSilent Siren「31313」がランクインです。CD販売数7位、ダウンロード数16位、PCによるCD読取数60位。オリコンでは初動売上1万1千枚で7位初登場。前作「GIRLS POWER」の1万6千枚(6位)からダウンしています。

今週のHot Albumsは以上。チャート評はまた来週の水曜日に!

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2019年3月20日 (水)

AKBとLDHのデッドヒート

今週のHot100

http://www.billboard-japan.com/chart_insight/

今週はAKB系とEXILE系でデッドヒートを繰り広げました。

1位を獲得したのがAKB48「ジワるDAYS」。先週の94位からCD販売によって一気にランクアップし1位を獲得しています。CD販売数1位、PCによるCD読取数3位、Twitterつぶやき数6位を獲得。一方、ダウンロード数は25位、ラジオオンエア数は29位に留まっています。オリコン週間シングルチャートでは初動売上126万2千枚で1位獲得。前作「NO WAY MAN」の120万5千枚よりアップしています。

一方、EXILE系は三代目J Soul Brothers「Yes we are」が2位に初登場。こちらはCD販売数2位、ダウンロード数3位、ストリーミング数5位、ラジオオンエア数10位、PCによるCD読取数5位、Twitterつぶやき数2位、You Tube再生回数9位と満遍なくヒットを飛ばしている感はありますが、CD販売数の差で2位に。K-POPっぽいエレクトロダンスチューン。オリコンでは初動売上6万6千枚で2位初登場。前作「J.S.B. HAPPINESS」の14万2千枚(1位)よりダウンしています。

3位はあいみょん「マリーゴールド」が先週から変わらずベスト3をキープ。ストリーミング数及びYou Tube再生回数では1位が続いており、まだまだヒットは続きそう。ちなみに今週10位に「今夜このまま」が先週の12位よりアップし、2週ぶりにベスト10返り咲き。ただ先週に比べて特にランクを上げた個別チャートはありませんでしたので、相対的に他の売上が落ちた影響でしょう。

続いて4位以下の初登場曲です。まず5位にBUMP OF CHICKENの配信限定シングル「Aurora」が5位初登場。TBS系ドラマ「グッドワイフ」主題歌。タイトルからしていかにもバンプっぽいのですが、楽曲自体もバンプらしいキラキラ感ある疾走感あるサウンドが楽しめるギターロックに仕上がっています。ダウンロード数で1位獲得。ほか、ラジオオンエア数は35位、Twitterつぶやき数は28位に留まっています。

今週の初登場曲は以上3曲のみ。ロングヒット曲としては米津玄師「Lemon」が先週から変わらず4位をキープ。ダウンロード数は3位から4位にダウンしてしまいましたが、You Tube再生回数は3位から2位にアップ。カラオケ歌唱回数も1位をキープしており、ロングヒットはまだまだ続きそうです。

今週のHot100は以上。明日はHot Albums!

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2019年3月19日 (火)

凄みを感じるステージ

Title:Live In London
Musician:Mavis Staples

60年代から70年代にかけてゴスペル、ソウルグループのThe Staple Singersのメンバーとして数多くのヒット曲を生み出してきた、まさにソウル界のレジェンドと呼ぶにふさわしい女性シンガー、メイヴィル・ステイプルス。本作はその彼女が昨年7月、タイトル通りロンドンのユニオン・チャペルで2日間行われたライブの模様を収録したライブアルバム。彼女にとっては2008年にリリースした「HOPE AT THE HIDEOUT」以来、10年ぶりとなるライブアルバムとなります。

そんなレジェンドによるライブアルバムなのですが、これが度肝を抜かれるほどカッコいい!!もう1曲目「Who Told You That」の歌いだしから、その迫力あるボーカルにガツンと来ます。かと思えば、迫力あるボーカルで歌い上げるだけではなく、例えば「What You Gonna Do」ではゆっくりと感情たっぷりに静かな歌声を聴かせてくれています。単に声量が大きい、というだけではなく、表現力ある感情たっぷりのボーカルに強く惹きつけられます。

そんな彼女ですが、なんとこの時、御年79歳(!!)。80歳間近にして、ボーカルの衰えを全く感じさせないのは驚くばかり。さらにこの年齢ながらも若手に負けないような声の艶さえしっかりと残っています。加えて、哀愁を帯びた表現力あるボーカルは年齢を重ねたからこそ出せるものでしょう。通常、音楽のジャンル、特にボーカルはどうしても年を取ると声量がなくなったり安定感がなくなったりして年を取れば取るほど味が出る・・・という感じではないのですが、彼女に関してはむしろ年を重ねるほどボーカリストとしての凄みが増しているような印象すら受けます。

さらにそんなミュージシャンとしての凄みを感じるのは、彼女ほどの大ベテランでありながらも今回のライブではトーキング・ヘッズの「Slippery People」やファンカデリックの「Let's Do It Again」といったジャンルの少々異なるタイプのミュージシャンのカバーにも挑戦しているという点。よくよく考えれば彼女の現時点での最新作「If All I Was Was Black」は排外主義のはびこる現在にノーをつきつけた力強いメッセージ性を込めた作品となっているなど、80歳間近にしてしっかりと「今」を生きる現役感ある作品になっていました。この年齢になると昔のヒット曲を歌い継ぐだけの懐メロシンガーになる中が多い中、いまだに挑戦を続ける彼女には驚かされるばかりです。

ちなみに今回のアルバムではアンコールでは会場全体で「Happy Birthday」を歌うほほえましいシーンもそのまま収録。ちなみに日本人にもおなじみのこの曲、彼女が歌えばパワフルなソウルの曲に早変わりしてしまいます(笑)。

80歳近い年齢でありながら、ここまで迫力あって、なおかつ安定感のあるボーカルを聴かせてくれるというのは驚き。また、いまだに新たな挑戦を感じさせるのも驚くばかりです。一方では年齢ならではの感情の機微を見事に歌いこんだ味のあるボーカルも魅力的。彼女でしかできないような素晴らしいステージに鳥肌が立ちました。ライブ盤ですが、個人的には間違いなく今年のベスト盤候補の1枚。一度生で見てみたいけど・・・さすがに難しいだろうなぁ・・・。

評価:★★★★★

Mavis Staples 過去の作品
One True Vine
If All I Was Was Black


ほかに聴いたアルバム

Galipoli/Beirut

アメリカのロックバンド、Beirutの約3年ぶりとなるニューアルバム。ワールドミュージックとインディーロックを結び付けたバンド、という紹介のされ方をするのですが、ホーンやピアノなどを取り込みアコースティックにまとめたフォーキーなポップスというイメージ。いかにもワールドミュージック的な雰囲気は強くないのですが、どこかスパイス的に入っているエキゾチックな雰囲気が魅力的なアルバムでした。

評価:★★★★★

Beirut 過去の作品
Beirut In Concert

MIRI/BASSEKOU KOUYATE & NGONI BA

アフリカの伝統的な弦楽器、ンゴーニの奏者として知られるバセク・クヤーテ。彼の約4年ぶり5作目のアルバムとなるのが本作です。ンゴーニの音色をバックに、様々なゲストボーカルが参加し、メロディアスに歌い上げるアルバム。ンゴーニの音色はどこか哀愁感あふれるサウンドで、それに伴い歌も基本的に哀愁感あふれるメロディアスなもの。アフリカ的なトライバルの雰囲気はたっぷり加えつつ、日本人にとってもどこか懐かしさを感じる音色とメロディーが印象に残る1枚でした。

評価:★★★★★

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2019年3月18日 (月)

安定感ある傑作

Title:ALL THE LIGHT
Musician:GRAPEVINE

デビュー以来、コンスタントなアルバムリリースが続くGRAPEVINE。本作が16枚目のオリジナルアルバムとなりますが、途中、ベスト盤のリリースを挟んだ「真昼のストレンジランド」と「愚かな者の語ること」の間が2年超離れてしまった以外は、すべてオリジナルアルバムのリリーススパンが1年から1年半程度という積極的な活動スタイルには驚きすら感じます。

そしてこれだけ積極的にアルバムをリリースしていながらもどのアルバムも一定以上のクオリティーを保ち、駄作がない、というのも驚くべき事実。さらにここ最近、いい意味での安定感が増してきたように感じます。特に以前はヘヴィーな雰囲気の作品と爽やかな雰囲気の作品を交互にリリースしてきたように感じますが、今回のニューアルバムはGRAPEVINEのこの2つの特徴をうまく融合したアルバムに仕上げていたように感じます。

特に今回のアルバムはいきなりアカペラの楽曲「開花」でスタート。続く「Alright」はシンプルでストレートなギターロックチューン。ホーンセッションも加わり、ストーンズばりのロックンロールチューンを軽快に聴かせます。さらに続く「雪解け」はアコースティック風のナンバーと、比較的爽やかなナンバーが続いていきます。

かと思えば「Asteroids」はちょっと重い、ダウナーな雰囲気のナンバーですし、「God Only Knows」はツェッペリンばりのヘヴィーなギターリフが耳に残るダイナミックなナンバーと彼らのヘヴィーな側面を楽しむことが出来ます。

また全体的にもバラエティーに富んだ作風が特徴的で、「ミチバシリ」ではタブラのリズムが入り、ちょっと不思議な空気感を醸し出していますし、「こぼれる」ではしんみり静かなギターでジャジーな雰囲気に。さらにブルージーなギターを聴かせる「Era」など、全体的にはR&BをベースとしたロックというGRAPEVINEのスタイルから大きくは逸脱せず、統一感はあるものの、様々なタイプの曲が最後まで展開されており、最後まで飽きずに楽しめます。

歌詞についてもここ最近の田中和将の特徴となっているのですが、以前にような深読みが可能な文学的な匂い漂う言葉選びそのままに、以前に比べると主題が比較的わかりやすくなった歌詞が目立ちます。

例えば「雪解け」では

「独りかい
怖がらないでいい
あともう少し
冬が終わるまでは」

(「雪解け」より 作詞 田中和将)

という、比較的わかりやすいメッセージ性を感じる歌詞を聴くことが出来ます。

そんな訳で今回のアルバムもGRAPEVINEらしい安定感のある傑作アルバムに仕上がっていました。これだけコンスタントにアルバムをリリースしながらも、これだけ外れがないというのはすごいなぁ・・・。彼らの活躍はまだまだ続きそうです。

評価:★★★★★

GRAPEVINE 過去の作品
TWANGS
MALPASO(長田進withGRAPEVINE)
真昼のストレンジランド
MISOGI EP
Best of GRAPEVINE
愚かな者の語ること
Burning Tree
BABEL,BABEL
ROADSIDE PROPHET


ほかに聴いたアルバム

Blank Envelope/Nulbarich

初のベスト10ヒットとなった前作「H.O.T」に続き本作もチャートでベスト10入り。AOR、シティーポップのミュージシャンが数多くブレイクを果たしている中、その中心的なバンドのひとつともいえる彼らの最新作。全体的にはミディアムテンポの曲が多く、楽曲のスケール感もいままでに増して広がっているように感じます。ただ一方で前作同様、メロディーラインのフックの弱さが気になり、アルバム全体として印象が薄くなってしまっている点が気にかかります。もうひとつ、壁を乗り越えてほしい印象を受けるバンドですが・・・。

評価:★★★★

Nulbarich 過去の作品
Who We Are
Long Long Time Ago
H.O.T
The Remixies

Hell like Heaven/the peggies

女の子3人組ロックバンドのメジャーでは初となるフルアルバム。疾走感あるシンプルなギターロックがメインで、ポップなメロディーラインに女の子の「かわいらしさ」を前に押し出しつつ、バンドとしてはなかなかヘヴィーなサウンドを聴かせてくれており、そのギャップがかつてのチャットモンチーを彷彿とさせる部分も。そういう意味では「ポップでかわいらしいメロにヘヴィーなバンドサウンド」という点ではポストチャットモンチーの最右翼といった印象もある反面、そのためには、もうちょっと音楽的にはバリエーションも欲しい感じも。メロディーラインのインパクトはいままでのアルバムに加えて増してきた印象もあり、次のアルバムあたり、おもしろくなりそう、かも。

評価:★★★★

the peggies 過去の作品
super boy! super girl!!
なつめきサマーEP

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2019年3月17日 (日)

ヘナヘナな雰囲気ながらも

Title:Ripples
Musician:Ian Brown

1980年代後半から90年代にかけて活躍し、当時のマンチェスター・ムーブメントの中心的存在だったイギリスのロックバンド、THE STONE ROSES。アルバムをわずか2枚リリースした後に解散してしまったのですが、その後の音楽シーンに絶大な影響を与えました。

その後2011年、2016年と再結成。日本でもライブを行い、2016年の再結成時には久々となる新曲もリリースしたのですが、残念ながらアルバムのリリースはなく、現在はまたバンドは解散状態となります。多くの音楽ファンが待ちわびるTHE STONE ROSESの3枚目のアルバムはいつになるのか不明なのですが、バンドのボーカリストであるイアン・ブラウンがこのたび約10年ぶりとなるソロアルバムをリリースし、話題となっています。

ただ、かく言う私は特にリアルタイムでTHE STONE ROSESを聴いていた訳でもなく、バンドに大きな思い入れもありません。そのためソロアルバムも興味はあったもののさほど高い期待の下で聴き始めたという訳ではありませんでした。実際、1曲目「First World Problems」も最初、シンプルでちょっとチープさすら感じるシンセの音と、決して上手いわけではないイアンのボーカルでヘナヘナな感じでの楽曲となっており、最初聴き始めた時はいまひとつか、と感じたのが素直な感想でした。

しかしアルバムを聴き進めていくうちにその印象が徐々に変わっていきました。1曲目「First World Problems」にしても、最初はヘナヘナと感じたのですが、淡々と続くシンセのサウンドとリズムがある種の独特なグルーヴ感を奏でていることに気が付き、さらに2曲目「Black Roses」も、ノイジーなギターサウンドのうねるようなサウンドが独特のリズム感がグルーヴィーでとても気持ちよくなってきます。

続く「Breathe And Breathe Easy(The Eerness Of Now)」はアコギのみで聴かせるナンバーなのですが、さらに「The Dream And The Dreamer」はパーカッションとギター、さらにシンプルながらも重いリズムを刻むベースラインが非常にファンキーで一種のトリップ感を覚えるようなグルーヴを奏でています。そしてこの独特なリズムに、実はヘナヘナと思われたイアンブラウンのボーカルが実にマッチ。比較的平坦で、抑揚をつけないような歌い方なだけに、サウンドが刻むグルーヴを奏でるミニマル的なリズムにピッタリとマッチしているゆに感じました。

後半もタイトルチューンである「Ripples」も淡々とした感じのバックに流れるベースとドラムの重いグルーヴを奏でるリズムがとても心地よく、それに幾分サイケ気味なギターサウンドがのっているサウンドの組み合わせがユニーク。「Blue Sky Day」もミディアムチューンのナンバーでボーカルを前に押し出した楽曲ながらも後半から入ってくるドラムの重いリズムが耳を惹きます。そしてラストの「Break Down The Walls(Warm Up Jam)」は比較的シンプルなサウンドで淡々と進む楽曲。最後もまたヘナヘナとした雰囲気の楽曲となっているのですが、もうここまでアルバムを聴き進むと、このヘナヘナ感が逆に気持ちよくなっているから不思議(笑)。最後は心地よいリズムを楽しみつつアルバムを聴き終えることが出来ました。

そんな訳で最初はヘナヘナなサウンドとボーカルに違和感を覚えたアルバムでしたが、その独特のグルーヴ感が非常に気持ちよく、アルバムを最後まで聴き進むと、そのヘナヘナ感がたまらない魅力に感じた作品に仕上がっていました。THE STONE ROSESの最新アルバムはいつになるかわかりませんが、とりあえずはこのアルバムでファンの方はしばらくは楽しめるのではないでしょうか。聴いていて心地よさを感じる傑作アルバムでした。

評価:★★★★★


ほかに聴いたアルバム

Remind Me Tomorrow/Sharon Van Etten

ニューヨークはブルックリンを拠点に活動する女性シンガーソングライターのニューアルバム。ミディアムテンポでダウナーな雰囲気を醸し出しているメロディアスなポップチューンが並ぶ作品。ピアノやエレクトロサウンドなどを取り入れつつ、全体的には分厚いサウンドが特徴的で、聴いていて心地よさを感じるポップアルバムに仕上がっていました。

評価:★★★★★

2018 Grammy Nominees

おなじみアメリカのグラミー賞ノミネート作品を集めたオムニバスアルバム。毎年、その出来栄えによって音楽業界全体の「勢い」を占うことが出来ます。ここ数年来、名曲が多く、業界全体に勢いを感じられたのですが、2017年版はその勢いが一気に収まり、そして2018年版は・・・と聴いてみると、正直言って2018年も小粒揃いの不作気味。全体的にはメロディアスなポップチューン、それもカントリー風の泥臭い雰囲気の曲が目立ち、平凡で面白味はありません。2年連続の不作で、ちょっと音楽業界の動向が心配になってしまう内容でした。

評価:★★★

Grammy Nominees 過去の作品
2011 GRAMMY NOMINEES
2012 GRAMMY NOMINEES
2013 GRAMMY NOMINEES
2014 GRAMMY NOMINEES
2015 GRAMMY NOMINEES
2016 GRAMMY NOMINEES
2017 GRAMMY NOMINEES

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2019年3月16日 (土)

切れっ切れのネタが復活

Title:IRON SOUL
Musician:SEX MACHINEGUNS

昨年、メジャーデビュー20周年を迎えたメタルバンド、SEX MACHINEGUNSのニューアルバム。マシンガンズといえば、ギターボーカルの出身地Anchangの出身地、愛媛の名産品、みかんをヘヴィーメタルのサウンドにのせてただただ讃える「みかんのうた」が大きな話題に。非常にユーモラスな歌詞を本格的なヘヴィーメタルのサウンドに載せて歌うというギャップが大きな個性となり人気を博しました。

ただ、そういう歌詞の「ネタ」が大きな武器だっただけに、徐々にマンネリ気味に。最近の曲に関しても、それなりにユーモラスなネタを取り入れてながらも、デビュー当初のような強いインパクトを持った切れっ切れのネタはほとんど出会えなくなりました。

途中ベスト盤のリリースを挟みつつ、約3年ぶりとなる本作に関しても、正直言えば当初、ほとんど期待はしていませんでした。10曲入りのアルバムながらもそのうち2曲が「みかんのうた」「German Power」という昔の曲のリメイク。それらの曲に関してもベテランバンドらしい安定感ある演奏を聴かせてくれた一方で、昔のような勢いは楽曲から感じられませんでした。

しかし、そんなことを感じつつアルバムを聴き進めていくと、そんなネガティブなイメージは徐々に覆ってきました。今回のアルバム、ユーモラスな歌詞の切れがデビュー当初に戻ったかのようなインパクトがあります。「バイキンの逆襲」はズバリ、アンパンマンネタ。アンパンマンのキャラクターが続々と登場する歌詞はかなりユニーク。「コインランドリーサンドマン」ではコインランドリーの洗濯物から持ち主を妄想する歌詞はオチに思わずクスリとさせられますし、巨人の星で星飛雄馬がクリスマス会を開いたものの、誰もやってこなかった、という少々マニアックな回を題材とした「CRUSHクリスマス」も題材のマニアックさを含めてそのユニークさが耳を惹きます。

「うなぎの骨 うなぎの皮 うなぎのヌメヌメ」という歌詞が強いインパクトを持つ「うなぎの王様」のように、メタリックなサウンドに対する歌詞の載せ方のユニークさもデビュー当初の切れ味が戻って来たように感じます。もちろん、本格的なヘヴィーメタルのサウンドは本作も健在。こちらはある種のマンネリ気味ではあるのですが、デビュー当初同様、ある意味「よくありがちな王道のヘヴィーメタルサウンド」なだけにネタとのギャップが大きなユーモアを生み出しています。

デビュー20年を超えた今になって、まるでデビュー当初を彷彿とさせるような傑作アルバムになった本作。ベストアルバムをリリースして心機一新といった感じなのでしょうか。それでいまさらここまでのネタを詰め込んだアルバムをリリースしてくるというのは驚き。これからの活躍がまだまだ楽しみになってくるような作品でした。

評価:★★★★★

SEX MACHINEGUNS 過去の作品
キャメロン
SMG
LOVE GAMES

METAL MONSTER
マシンガンズにしやがれ!!


ほかに聴いたアルバム

中島みゆき ライブ リクエスト -歌旅・縁会・一会-/中島みゆき

中島みゆきがリリースしたライブアルバム「歌旅」「縁会」「一会」に収録されなかった曲を集めたライブアルバム。吉田拓郎の「唇をかみしめて」のカバーも収録されており、アルバムに収録された初となるカバー曲ということでも注目されています。内容自体は「これ、本当にライブ音源なの?」と思うほど安定感があり、歌手中島みゆきの実力を存分に味わうことが出来ます。それなので、ライブならではの臨場感はちょっと薄い感はありますが。

評価:★★★★

中島みゆき 過去の作品
DRAMA!
真夜中の動物園
荒野より
常夜灯
十二単~Singles4~
問題集
組曲(Suite)

中島みゆき・21世紀ベストセレクション『前途』
中島みゆきConcert「一会」(いちえ)2015~2016-LIVE SELECTION-

相聞

Potluck Songs/BEGIN

約3年ぶりとなるBEGINのニューアルバム。本作は全11曲すべてにタイアップがついているというアルバムになっており、既にデビューから25年以上が経った彼らですが、まだまだ根強い人気を伺わせます。今回もアコースティックなサウンドをバックに暖かく聴かせるポップソングがメイン。ただ本作では沖縄民謡の要素は薄く、タイアップ曲ということもあってか、全体的には無難な楽曲に収まっているような印象も受けてしまいました。

評価:★★★★

BEGIN 過去の作品
3LDK
ビギンの島唄 オモトタケオ3
ビギンの島唄 オモトタケオのがベスト
トロピカルフーズ

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2019年3月15日 (金)

完全に暴走

Title:あいつロングシュート決めてあの娘が歓声をあげてそのとき俺は家にいた
Musician:忘れらんねえよ

デビュー当初からもてない暗い男のストレートな本音をパンクロックにのせて歌い上げ、一部で絶大な支持を得ていたロックバンド、忘れらんねえよ。もともと3人組としてスタートしたバンドでしたが、2015年と昨年に相次いでメンバーが脱退。ついにボーカルでバンドのメインライターである柴田隆浩のソロバンドとなってしまいました。

そんな「ソロ」になってはじめてとなるアルバムが本作なのですが、やはりソロになったからでしょうか。柴田隆浩が暴走しまくっています(笑)。もともと聴き手によっては完全にひいてしまいそうな歌詞を書いていた彼でしたが、その方向性が今回は突き抜けてしまっており、比較的、そのような歌詞に共感を抱いていた私でさえ「え、さすがにこれは・・・(^^;;」と思ってしまう歌詞すらありました。しかし、だからこそ柴田隆浩のもっともコアな部分が表に出ており、聴いていて(共感するかどうかはともかくとして)非常に強い彼の叫びが胸に響いてくる作品になっていました。

まずアルバムで大きなインパクトとなっているのはタイトルから。岡村靖幸の名曲「あの娘ぼくがロングシュート決めたらどんな顔するだろう」をパロっているタイトルからして笑えてくるのですが、歌詞もタイトルそのまんま。青春の一風景を切り取った歌詞が途中から一転。「そのとき俺は家にいた」と情景がひっくり返る歌詞の構成も見事。いわゆる「リア充」になれない、クラスの隅っこにいるような男性の悲哀がストレートに伝わってきます。

そしてアルバムの中でもなんといっても彼のメッセージがストレートに伝わってくるのが「踊れ引きこもり」でしょう。タイトル通り、引きこもりに対してエールをおくる楽曲になっているのですが、

「ダセーなんて言わせねえよ個性!
妖怪ウオッチもエヴァも君の名は。も
俺らみたいなやつが作ってる!作ってる!」

(「踊れ引きこもり」より 作詞 柴田隆浩)

という歌詞は、まさに彼の引きこもりたちに対する強い愛情が伝わってくるようです。

「君は乾杯のとき俺とだけグラスを合わせなかった」も、もう歌詞から暗い男性の被害妄想が伝わってくるようで共感してしまいます(笑)。個人的にはどちらかというと気になった女の子に一生懸命話かけようとしすぎて逆に引かれてしまうタイプなので(^^;;歌詞で歌われる好きな子に思いを知られないとして好きでもない子と一生懸命話しているというスタンスにはあまり共感できないのですが、それでも彼の思いがビシビシ伝わってくるような曲になっています。

さすがに「君は電話に一切出ない」「もう30回かけてる」という歌詞はもうさすがに犯罪レベルのストーカーなんじゃないか?と引いてしまいましたが、それを含めて全編、彼のちょっと危なく、そして暗い思いが全速力で暴走して伝わってくるようなアルバム。まさにソロだからこそ出来たアルバムと言えるのではないでしょうか。

ちなみにソロらしいという意味ではユーモアという側面でも自由度が増しています。このアルバムタイトルやジャケット写真もそうですし、「踊れひきこもり」の中では「飲み屋の有線からはこんな歌が聴こえる」という部分からいきなり曲調が変わり、一昔前に流行った女性ボーカルのR&B系の歌+男性ラップの組み合わせのベタなヒット曲風のフレーズが流れ出すというユーモラスな展開に。「君は乾杯のとき俺とだけグラスを合わせなかった」のPVも登場人物全てが柴田隆浩というとんでもなくユニークな映像になっていますし、こういう部分でもいい意味で好き勝手な作品作りが目立ちます。

サウンド的にもいままで以上にパンキッシュで疾走感あるサウンドが目立ち、サウンドの面からも彼の暴走気味な歌詞をバックアップしている感も(笑)。この柴田隆浩の暴走については、ついていけないような部分もありますし、そのため賛否わかれているようですが、個人的には彼がやりたいことが音楽にしっかりと反映された結果、よりインパクトが増し、さらに彼の心の叫びがよりリスナーに突き刺さるような傑作に仕上がっていたように感じました。彼のこの暴走がこれからどこまで続いていくのか・・・楽しみです。

評価:★★★★★

忘れらんねえよ 過去の作品
忘れらんねえよ
空を見上げても空しかねえよ
あの娘のメルアド予想する
犬にしてくれ
忘れらんねえよのこれまでと、これから。
俺よ届け
僕にできることはないかな


ほかに聴いたアルバム

Kazuyoshi Saito LIVE TOUR 2018 Toys Blood Music Live at 山梨コラニー文化ホール2018.06.02/斉藤和義

恒例の斉藤和義ライブアルバム。今回は、アルバム「Toys Blood Music」に伴って実施されたライブツアーより、昨年6月に彼が学生時代を過ごしたゆかりの地、山梨公演の模様を収めたライブ盤。基本的にはいつも通りのステージといった感じ。彼ゆかりの地ということで、山梨県民の壺をつかんだような盛り上がり方をする部分があったりしてユニークさを感じるのですが・・・。ライブの楽しさは十分伝わってくるライブ盤であることは間違いありません。

評価:★★★★

斉藤和義 過去の作品
I (LOVE) ME
歌うたい15 SINGLES BEST 1993~2007
Collection "B" 1993~2007
月が昇れば
斉藤“弾き語り”和義 ライブツアー2009≫2010 十二月 in 大阪城ホール ~月が昇れば 弾き語る~
ARE YOU READY?
45 STONES
ONE NIGHT ACOUSTIC RECORDING SESSION at NHK CR-509 Studio
斉藤
和義

Kazuyoshi Saito 20th Anniversary Live 1993-2013 “20<21" ~これからもヨロチクビ~ at 神戸ワールド記念ホール2013.8.25
KAZUYOSHI SAITO LIVE TOUR 2014"RUMBLE HORSES"Live at ZEPP TOKYO 2014.12.12
風の果てまで
KAZUYOSHI SAITO LIVE TOUR 2015-2016“風の果てまで” Live at 日本武道館 2016.5.22
斉藤和義 弾き語りツアー2017 雨に歌えば Live at 中野サンプラザ 2017.06.21
Toys Blood Music
歌うたい25 SINGLES BEST 2008~2017

ALL TIME BEST 1998-2018/コブクロ

CD4枚組のフルボリュームとなるコブクロのオールタイムベスト。具体的で比較的シンプルな表現に終始するラブソングに、同じくシンプルなバンドサウンドをバックに流れるシンプルなメロディーラインが主体。至ってシンプルに歌を聴かせるスタイルが特徴的で、歌だけで勝負しようとする姿勢には誠実性を感じます。ただその結果として、似たような曲が多くなってしまい、さすがに4枚組のアルバムを聴きとおすのはファンではないと体力がいりました。

評価:★★★★

コブクロ 過去の作品
5296
CALLING
ALL COVERS BEST
ALL SINGLES BEST2
One Song From Two Hearts
TIMELESS WORLD

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2019年3月14日 (木)

K-POPの人気女性アイドルグループが1位

今週のHot Albums

http://www.billboard-japan.com/chart_insight/

今週は、K-POPの人気女性アイドルグループが1位を獲得しています。

今週1位はTWICE「#TWICE2」が獲得。2017年にリリースした「#TWICE」に続くベスト盤という位置づけ。CD販売数及びダウンロード数で1位、PCによるCD読取数で4位を獲得しています。さすがにオリジナルアルバム1枚のみリリースでベスト盤が2枚目って、正直どうよ?と思うのですが、まあ基本的にオリジナルアルバムをわざわざ作って売る気はゼロなんでしょうね。オリコンでも初動売上20万枚で1位を獲得。日本盤の前作「BDZ」の18万1千枚(1位)からアップしています。

2位はあいみょん「瞬間的シックスセンス」が先週の6位から、3位にはONE OK ROCK「Eye of the Storm」が先週の5位からそれぞれランクアップ。いずれも2週ぶりにベスト10に返り咲いています。

続いて4位以下の初登場盤ですが、まず4位にSawanoHiroyuki[nZk]「Rヨ/MEMBER」がランクインしています。「機動戦士ガンダムNT」や「進撃の巨人」など数多くのヒットアニメの音楽を手掛ける澤野弘之のボーカルプロジェクトによる3rdアルバム。CD販売数5位、ダウンロード数2位、PCによるCD読取数29位で、総合順位は4位を獲得。オリコンでは初動売上1万枚で6位初登場。前作「2V-ALK」の1万1千枚(3位)から若干のダウンとなっています。

6位には西川貴教「SINGularity」が初登場。CD販売数3位、ダウンロード数17位、PCによるCD読取数42位を記録。いままでT.M.Revolutionとして活動してきた彼が、本名名義でリリースする初のアルバムとなります。オリコンでは初動売上1万4千枚で2位初登場。T.M.Revolutionとしての直近作はベスト盤「2020-T.M.Revolution ALL TIME BEST-」で同作の初動4万4千枚からダウン。またオリジナルアルバムとしての前作「天」の3万3千枚(2位)よりもダウンしています。

8位初登場は大原櫻子「CAM ON!~5th Anniversary Best~」。タイトル通り、デビュー5周年を迎える彼女のベストアルバム。CD販売数は2位にランクインしましたが、ダウンロード数は45位、PCによるCD読取数は65位に留まり、総合順位では8位となりました。オリコンでは初動売上1万7千枚で4位初登場。前作「Enjoy」の1万9千枚(7位)よりダウンしています。

最後9位に細野晴臣「HOCHONO HOUSE」がランクイン。CD販売数7位、ダウンロード数18位、PCによるCD読取数53位を記録。彼のソロデビュー作であり、日本ポップス史に燦然と輝く傑作として名高い、1973年にリリースされたアルバム「HOSONO HOUSE」をそのまま新録したアルバム。今年デビュー50周年を迎えた彼が、その記念企画第1弾としてリリースしたアイテムだそうです。オリコンでは初動売上9千枚で10位初登場。前作「Vu Ja De」の5千枚(18位)よりアップ。

今週のHot Albumsは以上。チャート評はまた来週の水曜日に!

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2019年3月13日 (水)

「国民的ヒット」の次は?

今週のHot 100

http://www.billboard-japan.com/chart_insight/

昨年、まさに「国民的ヒット」となったDA PUMPの「U.S.A.」。一時期、完全に「過去のグループ」となってしまったDA PUMPですが、この曲で再び大きな注目を集めました。そしてそれに続くニューシングルが今週、CDリリース。ベスト10にランクインしてきました。新曲のタイトルは「桜」・・・うーん、今時むしろ誰もつけたがらないベタなタイトルですが、楽曲は和風な雰囲気たっぷりのミディアムチューンで、「U.S.A.」のイメージからかなり変えてきました。それが今週7位にランクイン。CD販売数8位、ダウンロード数4位、ラジオオンエア数6位、PCによるCD読取数8位、Twitterつぶやき数19位を記録。ただし、固定ファンを超えて広く支持されているかを見る大きな基準となるストリーミング数は59位、You Tube再生回数は13位に留まり、さすがに「U.S.A.」に続くような「国民的ヒット」からは程遠そうな結果となりました。

ちなみにオリコン週間シングルランキングでは初動売上2万7千枚で5位初登場。前作「U.S.A.」の初動売上は1万2千枚(9位)でしたので、そこからは大きく初動売上を伸ばす結果となっています。さすがに2作続けてのロングヒットは厳しそうな感じですが、DA PUMPの新規のファンはそれなりに獲得できたという結果となりました。この支持をどれだけ維持できるか、次回作以降が勝負といった感じでしょう。

さて上位に戻ります。まず今週の1位は関ジャニ∞「crystal」が獲得。フジテレビ系月9ドラマ「トレース~科捜研の男~」主題歌。CD販売数1位、ラジオオンエア数48位、PCによるCD読取数3位、Twitterつぶやき数22位を獲得。オリコンでは初動売上21万4千枚で1位初登場。前作「ここに」の24万2千枚(1位)からはダウンしています。

2位は先週1位の欅坂46「黒い羊」がワンランクダウン。3位はあいみょん「マリーゴールド」が先週から変わらず。ストリーミング数及びYou Tube再生回数は1位をキープしており、まだまだ強さを見せつけています。ただ一方、先週までベスト10ヒットを続けてきた「今夜このまま」は今週、ついに12位にダウン。ベスト10ヒットは17週連続、累計18週目にして一度ストップです。ただし、ストリーミング数は3位、You Tube再生回数は8位とまだまだ根強い人気を見せており、来週以降、再びベスト10返り咲きの可能性も十分ありそうです。

続いて4位以下の初登場曲です。まず6位にパンクバンドWANIMA「アゲイン」が先週の84位からCDリリースにあわせて大きくランクアップしています。TBS系ドラマ「メゾン・ド・ポリス」主題歌。CD販売数4位、ダウンロード数及びPCによるCD読取数5位、Twitterつぶやき数26位、そしてラジオオンエア数は見事1位を獲得。彼ららしい、ひと昔前に流行った青春パンクを思い出させるような前向きなパンクチューンになっています。オリコンでは本作を収録した「Good Job!!」が初動3万2千枚で4位初登場。前作「Gotta Go!!」の初動売上4万5千枚(3位)からはダウンしてしまいました。

初登場はもう1曲。9位にそらる「ユーリカ」がランクイン。TBS系ドラマ「ゆうべはお楽しみでしたね」主題歌。そらるは動画配信サイトで「歌い手」として人気を博したミュージシャン。本作はCD販売数3位、Twitterつぶやき数9位だったものの、You Tube配信数やストリーミング数では圏外となっており、ネット発の割にはネット系のチャートでは苦戦した結果となっています。オリコンでは初動売上3万4千枚で3位初登場。前作「銀の祈誓」の5万7千枚(2位)よりダウンしています。

さてロングヒット組では米津玄師「Lemon」。今週は5位から4位へと再びランクアップ。ダウンロード数3位、PCによるCD読取数4位、You Tube再生回数3位のほか、Twitterつぶやき数及びカラオケ歌唱数で1位にランクイン。まだまだ快進撃を続けています。

今週のHot100は以上。明日はHot Albums!

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2019年3月12日 (火)

「ふるさと」を離れて・・・

 

Bonuta

 

今日は先日見てきた音楽ドキュメンタリー映画の紹介です。「ナヴィの恋」などで知られる映画監督の中江裕司が3年かけて撮影したドキュメンタリー映画「盆唄」。福島第一原発の事故により、現在、町内ほぼ全域が帰還困難区域となっている福島県双葉町。そこに伝わる「双葉盆唄」について取り上げたドキュメンタリーになっています。もともと、ここ最近、盆踊りなど日本の昔からの音楽文化について興味を持つようになりましたが、そんな中で盆踊りを取り上げたドキュメンタリー映画ということで興味を持ち、映画館に足を運びました。

 

本作は、双葉町の「双葉盆唄」の太鼓奏者である横山久勝さんを中心として物語は進んでいきます。原発事故によりふるさとを追われた横山さん。ふるさとに伝わる双葉盆唄も消滅の危機に瀕する中、写真家の岩瀬愛さんの紹介によりハワイの日系移民の間に日本の盆踊りが受け継がれていることを知ります。そんな中で消滅の危機にある双葉盆唄をハワイの人たちに引き継いでもらおうとハワイを訪れる・・・というところからドキュメンタリーはスタートしていきます。

で、以下ネタバレありの感想。

続きを読む "「ふるさと」を離れて・・・"

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2019年3月11日 (月)

今、最も勢いのあるラッパーの2作品

最近はテレビバラエティー「フリースタイルダンジョン」への出演で知名度を上げ、さらに今年は初となる武道館ワンマンを成功させたラッパー、般若。今回紹介するのは、そんな今最も勢いのあるラッパーの一人である彼に関するアルバム2作品です。

Title:般若万歳II
Musician:般若

まずはこちら、般若の客演曲を集めたMIX盤。
2013年に第1弾がリリースされているため、それから5年のインターバルを置いての第2弾となります。ただ、客演集といっても彼がゲストで参加している曲だけではなく、「LA$T BO$$」「震エテ眠レ Remix」など、般若名義の曲も収録されているほか、ラストは「七股の言い訳」という新曲まで収録されています。

また客演集といっても基本的には般若のヴァースを切り取った形での収録となっています。そのため、般若のアルバムのような感覚でも聴ける作品になっているほか、「Z DUB」(卍LINE / 般若 / SHINGO★西成 )のようなレゲエチューンやTHE BOSS名義のため般若の曲とは大きく異なる雰囲気のトラックが印象的な「NEW YEAR'S DAY feat. 般若」など、般若名義のアルバムでは聴かれないようなバラエティー富んだ展開になっているのもユニーク。多くのミュージシャンが般若を慕っていることがわかります。

もちろんゲストで参加しても般若らしさは健在で、「JAPAN feat. 般若, MARIA, 紅桜 & pukkey」 (DJ KEN KANEKO)では社会派のラップを聴かせ、「傷 feat. 般若」(SHINGO★西成)では自叙伝的なラップを披露しています。また客演ではなく本人名義ですが、「震エテ眠レ」はめちゃくちゃカッコよさげなタイトルだけど、何に震えているかというと、風俗のお姉ちゃんを呼んだ結果、性病に感染しているかどうかという不安という(笑)、ユニークなエロラップになっています。

そんな訳でバラエティー富んだ客演でしっかりと般若の魅力が伝わってくる客演集。全30曲63分というボリュームがありますが、MIX盤らしくテンポよく曲が切り替わりますので、まったくダレることなく最後まで楽しめるアルバムになっていました。

評価:★★★★★

で、そんな般若のニューアルバムもリリースされています。

Title:IRON SPIRIT
Musician:般若

筋トレが日課という般若が、筋トレに関する数々の著作物で知られるTestosterone氏とコラボ。筋トレをしながら聴く音楽というテーマでのアルバムがリリースされました。ちなみに筋トレに関する本も同時にリリースされています。↓

そんな訳でこのアルバム。「黙ってやれ」「覚悟」とまさに筋トレをやろうとする人をやる気にさせるような曲からスタート。その後も基本的に筋トレをテーマとした曲がズラリと並んでいます。

ちなみにお尻を鍛えると美しくなるよ、とラップする「OSHIRI」なんていうそのままストレートなユニークな曲もあったりして、ここらへんのユーモアセンスは健在。ただ一方終盤は直接的には筋トレにからまないような内容のラップもチラホラ。裏切られてもそんな奴はほっといて前を向こうとラップする「裏切り」や、ラストは彼の生い立ちを綴りながらも、そんな中でも大丈夫と前向きに背中を押す「大丈夫」など、かなり前向きな彼なりの応援歌的な曲が並びます。そういう意味では筋トレをしなくても心に響いてくるような曲も少なくありません。ただ、もちろん直接は綴られていませんが、これらの曲に関しても筋トレをやっている人たちに対する応援歌でもある訳ですが。

一方サウンド的には全体的にはダークな雰囲気の曲がメイン。曲によっては「覚悟」のような今時らしいトラップ風の曲などがあったり、「ワンモアレップ」のような軽快なエレクトロチューンもあったりします。

ただ、ここは気になるのですが、基本的にダークな雰囲気の楽曲はどう考えても筋トレ中の曲としてはちょっと合っていないような印象を受けてしまいます。すいません、そんなこと言う私は全く筋トレを行っておらず、筋トレをしながらこのアルバムを聴いた訳ではありませんが(^^;;ただ、筋トレをするのならば、もうちょっと一定のテンポを保ったような、明るい曲の方が合っているようにも思ってしまうのですが・・・。

そんな訳で筋トレのアルバムということで明確なテーマ性があるので万人受けのアルバムではないかもしれません。ただそんな中でも般若らしいユーモアさやそのリリックが心をうつような楽曲も収められており、オリジナルアルバムとしても十分楽しめるアルバムだと思います。そんな私は筋トレを全くやっていないのですが・・・このアルバムを聴きながら、一度、ジムに行ってみようかなぁ・・・。

評価:★★★★

般若 過去の作品
ドクタートーキョー
HANNYA
グランドスラム
THE BEST ALBUM
話半分


ほかに聴いたアルバム

F/フジファブリック

今年、メジャーデビュー15周年を迎える彼らのフルアルバムとしては約2年1か月ぶりとなるニューアルバム。各種メディアでは「最高傑作」という紹介をされている本作ですが、確かに今回のアルバムにかけるバンドの意気込みは強く感じます。シンセやストリングスも取り入れ楽曲のバラエティーとスケール感を広げ、わずか9曲入りながらも様々なタイプの曲が顔をのぞかせます。バンドとしての力の入れ具合はよくわかりますし、実際、それなりに力作に仕上がっているのは間違いないのですが・・・ちょっと最高傑作にしようと意識しすぎだったように感じてしまいました。

評価:★★★★

フジファブリック 過去の作品
TEENAGER
CHRONICLE
MUSIC
SINGLES 2004-2009

STAR
VOYAGER
LIFE
BOYS
GIRLS
STAND!!
FAB LIVE

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2019年3月10日 (日)

バンドの成長を感じる傑作・・・だが・・・。

Title:ANTI ANTI GENERATION
Musician:RADWIMPS

「前前前世」をはじめ、映画「君の名は。」に使用された楽曲の大ヒットにより一躍、国民的バンドとなったRADWIMPS。
ただ、そんな中リリースされたアルバム「人間開花」は歌詞的にも彼ららしいユニークな視点の曲が少なく、サウンド的にも挑戦的なサウンドを取り入れようとしつつも、全体的にアンバランスになってしまう、正直言って彼らとしては「凡作」となっていました。

そんな前作から約2年。「君の名は。」旋風も落ち着いた中リリースされた新作が本作。正直、前作の出来が今一つだったので、あまり大きな期待をしないで聴いてみたのですが、今回のアルバムは前作の懸念が払しょくされた傑作アルバムに仕上がっていたと思います。

特に今回、良くできていたのがサウンド面でのバランス。「IKIJIBIKI」「HOCUSPOCUS」「サイハテアイニ」のような疾走感あるギターロックをしっかりと聴かせる一方、「そっけない」やあいみょんが参加した「泣き出しそうだよ」のようなピアノで歌を聴かせるナンバー、さらに「カタルシスト」ではエレクトロビートでHIP HOP風という挑戦的で、かつ野田洋次郎のソロプロジェクトillionからの流れを感じる曲もありますが、今回のアルバムに関しては全体の中にうまく溶け込んでいます。

このサウンドのバリエーションの多さかつバランスの良さはいままでの作品の中でも一番であり、その点、バランスが悪かった前作と比べるとバンドとして一皮むけた傑作に仕上がっていたと感じました。一方、歌詞については今回に関しても、「そっけない」のような彼ららしいラブソングは顔をのぞかせるものの、前々作までの彼らに比べるとちょっとインパクトは薄めだったかな、と感じます。ただ、それなりに彼ららしさは出ていたと思いますが。

ただ今回のアルバム、1曲、「問題作」と言える楽曲がありました。それが9曲目に収録されている「PAPARAZZI~*この物語はフィクションです~」という曲。この曲はタイトル通り、パパラッチをテーマにした曲なのですが、子供がパパラッチである父親に対して、職業の内容を問うというストーリーからパパラッチに対して強烈な批判を加える楽曲になっています。

いわば強烈なマスコミ批判に賛否わかれる「問題作」となっているのですが、私ははっきりいえば歌詞の面からこの曲は駄作だと思います。歌詞としてはパパラッチ批判を一方的かつ感情的に繰り出すだけでその批判内容も定型的かつ表面的。何ら深みも独特の視点も面白みもありません。それを子供の視点を通して語ろうとするスタイルも、純粋無垢な「公正的な視点」を作り出したいのでしょうが、その方法自体が完全に逃げですし、かつ卑怯に感じます。同様にして、タイトルに「この物語はフィクションです」という一文を入れているあたり、逃げの姿勢を感じ、かつ無責任さすら感じます。

マスコミ批判という、ある意味感情的になりがちな題材を取り扱っているにも関わらず、その扱い方があまりにも雑。かつ表現者として無責任。RADWIMPSといえば昨年、シングル「カタルシスト」のカップリングとしてリリースした「HINOMARU」が、愛国心をテーマにした内容に賛否両論の大炎上を引き起こしました。ただ、構造としては今回の「PAPARAZZI」に非常に似ています。「愛国心」という感情論的になりがちで、かつ人によって様々な考えを持っている題材を取り扱っているにも関わらず、その扱いが非常に雑。また「HINOMARU」に関しても批判の多さにあっさりと謝罪を表明する(にも関わらず、次のライブでは「国を愛して何が悪い」とこの曲を歌ったらしい・・・)姿勢も表現者としての無責任さを感じます。そういう意味では今回の「PAPARAZZI」には、「HINOMARU」に似ている部分を強く感じます。

マスコミ批判といえばかの川谷絵音率いるゲスの極み乙女。も似たテーマで曲を書いています。彼の場合は自業自得なのでしょうが、ただ彼の場合、「僕は芸能人じゃない」ではマスコミ批判だけではなくその向こうにいる視聴者にもスポットをあてていますし、さらに「あなたには負けない」では川谷絵音をめぐるゴシップネタに対してシニカルかつユーモラスに反撃するという、きちんとエンタテイメントとして仕上げています。こういうやり方がミュージシャンとしてあるべきスタイルだと思うし、正直、マスコミ批判というテーマ性に関しては、ミュージシャンとして川谷絵音の方が野田洋次郎に比べて1枚も2枚も上手に感じてしまいました。そもそも今回、マスコミ批判のきっかけとなった週刊誌ネタって、野田洋次郎の親に突撃インタビューを行ったことらしいんですが、それってはっきりいって有名税の範囲内では??

そんな訳で「HINOMARU」と合わせて野田洋次郎のミュージシャンとしての問題点と限界も感じてしまった今回のアルバム。そういう意味では1つ下げようか迷ったのですが・・・ただ、この曲を除けばアルバムの出来としては非常に良いアルバムではあるのは間違いないので、下記の評価で。ただ、今後も同じような歌詞の曲が続いたら厳しいなぁ・・・。誰か、周りももうちょっとアドバイスできるような人材はいないのでしょうか。野田洋次郎もすでに30歳を超えたよい大人なのですが、それにしては感情にまかせて書く歌詞があまりにも幼い・・・。

評価:★★★★★

RADWIMPS 過去の作品
アルトコロニーの定理
絶対絶命
×と○と罰と
ME SO SHE LOOSE(味噌汁's)
君の名は。
人間開花
Human Bloom Tour 2017


ほかに聴いたアルバム

FLAVA/Little Glee Monster

昨年末は2年連続紅白出演を果たし、本作では初となるチャート1位を獲得するなど勢いが続く女性ボーカルグループLittle Glee Monster。爽快なJ-POP路線ながらも、あくまでも「歌」を聴かせるスタイルのため伸びやかに声量を聴かせる曲も多く、微妙にモータウンなどブラックミュージックの要素も加え、アイドルグループとは一線を画する、ボーカリストとしての実力と誇りも感じます。ただ、通常盤のDisc2ではモータウンのカバーメドレーが収録されているのですが、なぜか日本語カバー。彼女たちを聴くような層は英語の歌詞だと受け入れないのでしょうか?かなり残念。正直、アルバムの1曲2曲くらい、もっと洋楽寄りに振り切ってしまった曲を入れてもおもしろいと思うのですが・・・。

評価:★★★★

Little Glee Monster 過去の作品
Joyful Monster
juice

フリー・ソウル・スガシカオ/スガシカオ

ご存知おしゃれなブラックミュージックをあつめたコンピレーションアルバム「フリーソウル」シリーズ。今回取り上げるミュージシャンはあのスガシカオ。比較的「知る人ぞ知る」的な曲を集めるコンピですが、今回のアルバムでは「黄金の月」「愛について」など代表曲も収録。さらにkokua名義でリリースした「Progress」やご存知、SMAPに提供して大ヒットを記録した「夜空ノムコウ」のセルフカバーバージョンも収録。オールタイムベスト的にも楽しめる魅力的なコンピになっていました。

評価:★★★★★

スガシカオ 過去の作品
ALL LIVE BEST
FUNKAHOLiC
FUNKASTiC
SugarlessII
BEST HIT!! SUGA SHIKAO-1997~2002-
BEST HIT!! SUGA SHIKAO-2003~2011-

THE LAST
THE BEST-1997~2011-

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2019年3月 9日 (土)

30年目の彼ら

Title:30
Musician:電気グルーヴ

今年、結成30周年を迎えた電気グルーヴ。ちょうど10年前に20周年記念のアルバム「20」をリリースして以降、5年毎に結成からの年数を冠した「記念アルバム」をリリースしています。「20」「25」と来て3作目となるのが本作。
この5年毎にリリースしている記念アルバム、どちらかというとファンズアイテムの企画盤的な要素が強く、通常のオリジナルアルバムと比べると、いい意味で肩の力が抜けた、良くも悪くもファンの期待に応えたような作品に仕上がっていました。

記念アルバム3作目となる本作も、既発表曲のリメイクも多く、良くも悪くも企画盤的なアルバムと思い、とはいえ彼らだからこそ傑作アルバムを期待しつつ、ただ一方でオリジナルアルバムに比べると期待度はさほど高くありませんでした。しかし、これがそんな予想をはるかに超えるオリジナルアルバムに負けずとも劣らずの傑作アルバムに仕上がっていていました。

まずアルバムの1曲目は「電気グルーヴ10周年の歌 2019」という新曲(!)からスタート。ここらへんの人を食ったようなユニークさが電気らしいのですが、石野卓球とピエール瀧改めウルトラの瀧(今年1年限定で、彼の名前はこのように改名されたそうです・・・)の淡々としたユニゾンのボーカルがユーモラスを演出する中、リズミカルなミニマルテクノが心地よいビートを刻む、ユーモラスさだけではない名曲に仕上げてきています。

さらにこれに続くのが1997年にリリースされ、彼ら最大のヒット曲となった「Shangri-La」のリメイク。ベルリンのユニット、2raumwohnungの女性ボーカリスト、インガ・フンペが参加しているのですが、彼女のボーカルが加わることにより楽曲のメロウさが増し、楽曲の印象も変わります。

その後も「電気グルーヴ30周年の唄」や、テンポを速くしてトランス感が増した、ライブではおなじみ「富士山」のリミックスなど彼らのシュールなコミカルさを前面に出した曲がありつつ、ライブ盤の収録はあったものの、オリジナル音源は初収録となる「いちご娘はひとりっ子」「Slow Motion」など前半は電気グルーヴのポップな側面が前に出した構成になっています。

一方中盤以降はミニマルテクノチューンの「Flight to Shang-Hai(It's a such a super flight)」、ディスコチューンの「Flashback Disco(is Back!)」など彼らのテクノミュージシャンとしての側面により強いスポットをあてたインストチューンが並びます。彼らのミュージシャンとしてのコアな部分がより前に出た構成といってもいいかもしれません。

そういった意味で今回のアルバム、電気グルーヴの多面性にスポットがあたったような構成となっており、そういう意味でも非常に優れた構成のアルバムになっていたと思います。また同時に今回のアルバム、30周年を迎えた彼らが彼らのいままでの活動を、2019年という今の視点から振り返った作品のようにも感じました。

実際今回のアルバム、彼らの活動にとってキーとなるような曲が多く収録されています。「Shangri-La」やライブの定番曲「富士山」は言うまでもありませんし、「Flashback Disco(is Back!)」の元曲となる「Flashback Disco」はまりん脱退後、2人組となった電気グルーヴの初の作品。「Flight to Shang-Hai(It's a such a super flight)」は石野卓球ソロ曲をわざわざ収録していますし、また「wire,wireless」をリメイクした「WIRE WIRED,WIRELESS」は、彼らが主催していたレイヴイベント「WIRE」を完全に完結させるという意味合いを持たせたそうで、彼らの活動の中でもひとつの大きな区切りの作品ともいえるかもしれません。

基本的にそれらの過去の彼らの活動の中でキーとなるような曲を、原曲の雰囲気を維持しつつも今の視点からリメイクしている今回のアルバム。電気グルーヴの集大成的な要素も強く、ある意味ベスト盤的な傑作アルバムに仕上がっていました。そういう意味ではリメイクが多いということでもし敬遠している方がいたら非常にもったいないアルバムで、間違いなく今回のアルバムは電気グルーヴのオリジナルアルバムといえるだけの内容に仕上がっていたと思います。そして個人的には2019年を代表する傑作の1枚だったとすら思いました。おそらく今後も彼らは活動を続け、さらに「35」「40」とリリースしていくのでしょうが、これから先の彼らの活動が待ち遠しくなる作品でした。

評価:★★★★★

電気グルーヴ 過去の作品
J-POP
YELLOW
20
ゴールデンヒッツ~Due To Contract
人間と動物
25
DENKI GROOVE THE MOVIE?-THE MUSIC SELECTION-
TROPICAL LOVE
DENKI GROOVE DECADE 2008~2017
TROPICAL LOVE LIGHTS

TROPICAL LOVE TOUR 2017
クラーケン鷹2018

クラーケン鷹


ほかに聴いたアルバム

ジャガーさんがベスト!/ジャガー

千葉のローカルタレント、ジャガーさん。最近はマツコ・デラックスの番組に出演したり、サザンのMVに登場したりと知名度も全国的になってきたようで、今回のベストアルバムにちょっと興味を抱き聴いてみました。楽曲はヘヴィーメタル然としたスタイルとは裏腹なフォークロックやムード歌謡な楽曲が並びます。バックの打ち込みのサウンドがかなりチープでB級感があるのですが、楽曲自体は意外としっかりした内容になっています。ただ、エフェクトかけまくりのボーカルは正直ちょっと聞き取りにくく癖があり、ジャガーさんというキャラに思い入れがなければさほど楽しめないかも。ジャガーさんというキャラクターのファンならば、是非。

評価:★★★

Sympa/King Gnu

おそらく、今、最も注目されているロックバンド、King Gnuのニューアルバム。本作もいきなりチャートでベスト10入りしてきて大きな話題となりました。ロックを軸にソウルやジャズ、ファンクなどを取り込んだ音楽・・・ということでタイプ的には先にブレイクしたSuchmosやNulbarichと同系列といったイメージがあります。ただ、先のバンドと比べると、メロディーラインはより歌謡曲、というよりもJ-POP色が強く、良くも悪くも「ベタさ」を感じさせる部分も。個人的には今の時点ではそこまで大絶賛するほどは、という印象も否めず、彼らに対する評価はこのアルバムを聴く限りにおいては絶賛もマイナス評価も出来ない「保留」といったもの。ハイプか評判通りの実力派か、次のアルバムをまずは聴いてみたいところです。

評価:★★★★

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2019年3月 8日 (金)

実力派ガールズバンドのラストライブ

ZUKUNASI LAST ONEMAN SHOW!!!~ズクナシ出し尽くし大感謝祭~

会場 渋谷CLUB QUATTRO 日時 2019年2月21日(木)19:30~

Zukunashi1力強いボーカルと演奏で本格的なソウルミュージックを聴かせ、ブラックミュージックリスナーから根強い支持を得ている3人組女性バンド、ズクナシ。2002年のバンド結成後、今年活動17年目を迎えた彼女たちですが、残念ながらバンド解散を表明。そのラストライブに足を運んできました。場所は渋谷CLUB QUATTRO。といっても実はこの日、東京出張の予定があり、夜時間が空いたので、なにかよいライブはないか・・・と探していたら、ちょうどこのズクナシラストライブを知った、という運びになるのですが・・・。以前、「トヨタロックフェスティバル」で彼女たちのステージを見て、その力強いパフォーマンスに一気に惹かれ、一度またライブを見てみたい、と思っていただけに、このラストライブに足を運ぶことにしました。

渋谷CLUB QUATTROは、以前、東京にいたころは何度も足を運んでいたライブハウス。今回、ここへ足を運ぶのはおそらく10年以上ぶり。かなり久しぶりだったのですが、クワトロが入っていたビルはちょうど工事中で、クワトロ以外は休業中。最初、センター街を直進した方の側から入ろうとしたのですが、工事中でビルに入れず、ちょっと焦りました。Zukunashi2

この日はラストライブということもあり、4階のエントランスではいままでの彼女たちのライブの写真がパネルとなって展示されていました。ちなみにこのパネル、ライブが終わった後、販売もされていました。さすがに買って帰れませんでしたが・・・(^^;;

さて、この日のライブは最後ということもあり、残念ながら売り切れはしなかったようですが、会場はほぼ満員。全国からファンが集まって来たようで、会場は最初から熱気むんむんな状態。スタートはちょっと遅れて19時50分頃、ようやくメンバー登場となりました。

ライブはおそらくオープニングの定番曲でもある「kirakira」からスタート。さらに2曲目に「ソウルトレイン」へ。この曲は途中、ボーカルの衣美が客席に降りるのがお約束になっているようですが、この日もほぼ満員の客席に降り立ち、後ろまで歌いながら進んでいきます。ファンは手でトンネルをつくって彼女を迎え入れていたので、ファンも慣れたもの。序盤からいきなりテンションはあがっていきます。

Zukunashi3さらに序盤から「Miracles」や、みんなで小麦粉をこねるようなダンスを踊る「こむぎここねる」などライブではおなじみなナンバーの連続でラストライブらしい出し惜しみなしの展開に会場は序盤から大盛り上がり。さらに「おどりたいけどおどれないの」で会場を沸かせた後はちょっと長めのMC。この日はラストライブなだけに、ボーカルの衣美がいままでの活動を支えてくれたことに関する感謝の念を語っていました。

会場がちょっとしんみりなった後は、スケール感ある「はじまりの旅」で聴かせた後にカバー曲「People Get Ready」へ。ドラムスのマリコ、ベースの茜がそれぞれボーカルを取った後、衣美へバトンを渡す形の3人揃ってボーカルを取るスタイル。カーティス・メイフィールドによる名曲を日本語によりカバーした曲を感情たっぷりに見事に歌い上げていました。

その後は「ほろよい橋」や「愛すべき生活」などを聴かせた後、MCでは初期メンバーであるbusanpaの話に。この日は会場にも見に来ていたそうで、ひょっとしたらラストなだけにステージに・・・と思ったら残念ながらそれはなく、彼女がいたころの初期ナンバーということで「ざくろ恋唄」に。こちらはかなりダイナミックなロックチューンで、バンドとしての実力を感じる力強い演奏を聴かせてくれました。

さらにみんながハサミのポーズで盛り上がる「チョキチョキマンのテーマ」、そして彼女たちの曲の中でもっともファンキーともいえる「左折右折」へ。この曲は衣美の家の最寄り駅から自宅への帰り方を歌っただけのナンバー。実はこの最寄り駅、私が学生から卒業後、9年間住んでいた個人的に非常に思い入れの深い駅・・・だったのですが、この日、衝撃の告白が。なんと彼女、引っ越したとか(^^;;で、新しい最寄り駅から引っ越し先の自宅への行き方へ変更になっていたのですが、駅から出て、某工場のところを左折すれば着くらしく、ただただ「左折、左折」と繰り返す曲になっていました。

さて、この曲でライブは大盛り上がりとなったのですが、ここから一転、MCでは三宅伸治との出会いについて語った後、三宅伸治とのナンバーということで「Keep on movin'」や「おめでとう」へ。さらに続くMCでは衣美の子どもの話が飛び出し、そのままダンスチューン「ミラーボール・ベイビー」で再び会場は盛り上がります。

後半は「ただいまおかえり」「ありがとう」などバラード系のナンバーが続きます。フェスやイベントライブではアップテンポ系やファンキー系など盛り上がる曲がメインの彼女たちですが、バラード系のナンバーも実に魅力的。その力強いボーカルで感情たっぷりに聴かせてくれます。そして終盤はファンクナンバー「I need your soul」で再び会場を沸かせ、ラストは「Shine」で本編は締めくくられました。

Zukunashi4

もちろんその後は盛大なアンコールへ。メンバー3人が再び登場すると、ここでラストのMCへ。メンバー3人がそれぞれ最後の挨拶。スグナシでの思い出なども語り、これが最後と思うとかなりしんみりしてしまいました。メンバーはそれぞれ、その後も音楽活動を続けるそうで、その後の予定も告知されていましたが、これからも積極的な活動が続くみたいで、メンバーそれぞれの活躍が期待されます。そしてラストを締めくくるのは、こでもライブの最後の定番らしい「WE SING ONE VOICE」。タイトル通り、サビはみんなで歌える、会場全体がひとつとなって盛り上げられるナンバー。会場全体が一体となってこの日のライブは幕を下ろしました。

全28曲、3時間にも及ぶ超長丁場のステージ。ただ、ラストとは思えぬようなメンバー3人息のあった迫力あるステージで、立ちっぱなしはちょっと疲れたけど、あっという間の3時間でした。衣美がMCで「一度もメジャーデビューしたことないけど・・・」と語っていたのですが、正直、一部の音楽ファンには高い評価を得ていたものの、ブレイクには結びつかなかった彼女たち。ただ、最後の最後までこれだけのステージと曲をみせてくれるバンドがなぜ売れなかったのか、不思議に感じる非常に魅力的なステージでした。まあ、偉そうに言っていながらも、そういう私もこの日が彼女たちの初ワンマン。もうちょっと早くワンマンライブにも一度足を運んでおけばよかったなぁ・・・そう残念に感じた素晴らしいステージでした。

とはいえ、メンバーは今度も活動を続けるそうで、特にボーカルの衣美はドラムスのマリコを加えたメンバーで新バンドを結成したようで、そちらの活動も期待できそう。新バンドのライブにも是非足を運びたいなぁ。ライブが終わったのは11時頃。ホテルに帰ったのは12時を過ぎていたのですが、そんな長丁場の疲労感を感じさせないほど満足度の高い、ラストライブでした。

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2019年3月 7日 (木)

声優によるラッププロジェクトがセカオワを下す

今週のHot Albums

http://www.billboard-japan.com/chart_insight/

今週はSEKAI NO OWARIが2枚同時にアルバムをリリース。一方、男性声優によるラッププロジェクト「ヒプノシスマイク」からのアルバムとデッドヒートを繰り広げました。

結果、Hot Albumsで1位を獲得したのは「ヒブノシスマイク」から麻天狼「The Champion」でした。一方SEKAI NO OWARIの2枚同時リリースとなったアルバム「LIP」「EYE」はそれぞれ2位3位にランクイン。CD販売数はセカオカの「LIP」が1位、「EYE」が2位に対して麻天狼が3位、PCによるCD読取数も「LIP」4位、「EYE」5位に対して麻天狼が6位に留まりましたが、ダウンロード数では麻天狼が1位を獲得。「LIP」は2位、「EYE」は5位に留まり、総合順位では麻天狼が1位、「LIP」2位、「EYE」3位となっています。

ちなみにオリコン週間アルバムランキングでは「LIP」が1位、「EYE」2位、麻天狼が3位でしたので、かなり僅差のデッドヒートだったことがうかがえます。ちなみに麻天狼は初動売上6万3千枚。「ヒプノシスマイク」関連では前作MAD TRIGGER CREW・麻天狼「MAD TRIGGER CREW VS 麻天狼」の7万2千枚からダウン。一方SEKAI NO OWARIは初動売上がそれぞれ「LIP」7万7千枚、「EYE」が7万5千枚で前作「Tree」の24万7千枚から大きくダウン。かなり厳しい結果となりました。前作から4年1ヶ月ぶりとかなり長いスパンのあいてしまったセカオワ。ファンの中心層が小中学生なだけに、年齢的に「卒業」してしまったファンも多いということなのでしょうか。これからが正念場でしょう。

4位にはSUPER★DRAGON「2nd Emotion」が初登場でランクイン。CD販売数4位、PCによるCD読取数87位。K-POPの・・・と思いきや、こちらはスターダストプロモーション所属の男性アイドルグループ。オリコンでは初動売上3万6千枚で4位初登場。前作「1st Impact」の1万枚(11位)よりアップして、初のベスト10入り。

7位初登場はiKON「NEW KIDS」。こちらは紛うことなくK-POPの男性アイドルグループ。CD販売数は5位ながらダウンロード数79位、PCによるCD販売数は圏外で、総合順位はこの位置に。オリコンでは初動売上2万7千枚で5位初登場。前作「RETURN」の6万5千枚(1位)からダウン。

8位には関西出身の男性アイドルグループDREAM MAKER「WE ARE DREAM MAKER」がランクイン。CD販売数6位、そのほかはランク圏外で総合順位はこの位置に。ちなみにオリコンでは初動売上1万4千枚で7位初登場です。

9位初登場はTrySail「TryAgain」。女性声優3人によるユニットのこれが3枚目のアルバムとなります。CD販売数10位、ダウンロード数16位、PCによるCD読取数で25位を記録。オリコンでは初動売上1万3千枚で8位初登場。前作「TAILWIND」の1万4千枚(3位)からは若干のダウンとなりました。

今週の初登場盤は以上。さらに今週はベスト10返り咲きが。それが星野源「POP VIRUS」。先週の11位からワンランクアップし10位に。2週ぶりのベスト10返り咲きとなりました。ただCD販売数は22位から33位、ダウンロード数は4位から9位にダウン。PCによるCD読取数は先週から変わらず3位をキープしていますが、どちらかというと他に強いアルバムが少なかったため、相対的に10位に上がってきたといったところでしょう。

今週のHot Albumsは以上。チャート評はまた来週の水曜日に。

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2019年3月 6日 (水)

3週連続AKB系が1位

今週のHot 100

http://www.billboard-japan.com/chart_insight/

今週もAKB系の女性アイドルグループが1位を獲得しました。

まず1位は欅坂46「黒い羊」が先週の40位からCDリリースにあわせてランクアップして獲得。CD販売数、PCによるCD読取数、Twitterつぶやき数で1位、ダウンロード数2位、ストリーミング数5位、ラジオオンエア数10位、You Tube再生回数18位を獲得。オリコン週間シングルランキングでは初動売上75万枚で1位初登場。前作「アンビバレント」の81万1千枚(1位)よりダウンしています。

そして2位3位は先週から変わらず。2位はback number「HAPPY BIRTHDAY」が、3位はあいみょん「マリーゴールド」が先週と同順位をキープしています。

このうちback number「HAPPY BIRTHDAY」はダウンロード数は先週と変わらず1位をキープ。またCDリリースによりCD販売数が4位に、PCによるCD読取数が2位にランクインされたほか、ラジオオンエア数も7位から1位にアップしています。なおオリコンでは初動売上3万1千枚で7位初登場。前作「オールドファッション」の5万1千枚(4位)からはダウンしています。

あいみょん「マリーゴールド」はストリーミング数、You Tube再生回数共に今週も1位をキープ。まだまだ高い人気を誇っています。ちなみに「今夜このまま」は6位から9位にダウン。長い間、「マリーゴールド」と並んで1、2フィニッシュを続けてきたストリーミング数ですが、今週、ついに3位にダウン。1、2フィニッシュは10週連続で幕を下ろしています。

続いて4位以下の初登場曲です。まず4位にUVERworld「Touch off」が初登場でランクイン。フジテレビ系アニメ「約束のネバーランド」オープニングテーマ。エレクトロサウンドを大胆に取り入れつつ、歌謡曲的なメロはいつもの彼ららしい感じ。CD販売数3位、ダウンロード数4位の一方、ストリーミング数は25位にとどまっており、まだ幅広いリスナー層には広がっていない模様。ほか、ラジオオンエア数23位、Twitterつぶやき数は11位にとどまり、総合順位では4位という結果に。オリコンでは初動売上3万2千枚で3位初登場。前作「GOOD and EVIL」の3万枚(2位)から若干のアップとなっています。

6位にはハロプロ系女性アイドルグループつばきファクトリー「三回目のデート神話」が初登場でランクイン。ベタな昭和歌謡路線がハロプロ系らしい感じ。CD販売数は2位ながらもダウンロード数92位、ラジオオンエア数18位、PCによるCD読取数38位、Twitterつぶやき数71位と固定ファン層以外に波及せず、総合順位ではこの位置に。オリコンは初動売上6万2千枚で2位初登場。前作「デートの日は二度くらいシャワーして出かけたい」の5万8千枚(2位)からアップ。

初登場はもう1曲。10位に平井大「THE GIFT」が先週の96位から大きく順位をあげてベスト10初登場。この曲は映画「ドラえもん のび太の月面探査記」の主題歌に抜擢。CD販売数は30位、ストリーミング数は45位に留まっていますが、ダウンロード数は10位とベスト10入り。ラジオオンエア数も2位にランクインし、見事ベスト10入りしています。もともとサーフミュージック系のシンガーソングライターというイメージの強い彼ですが、この曲も聴かせるバラードナンバーながらもどこかサーフ系らしい爽やかな雰囲気を感じるポップ。今後の動向も気になります。

初登場は以上。また今週はベスト10返り咲き曲も1曲。乃木坂46「帰り道は遠回りしたくなる」が先週の16位からアップして8位にランクイン。1月14日付チャート以来、8週ぶりのベスト10返り咲きとなりました。

最後、ロングヒット組ですが、米津玄師「Lemon」は今週4位から5位にダウン。ダウンロード数は2位から3位にダウン。ただYou Tube再生回数は2位、カラオケ歌唱数は1位と先週からの順位をキープしており、PCによるCD読取数も7位から4位にアップ。まだまだ根強い人気をうかがわせます。

今週のHot100は以上。明日はHot Albums。

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2019年3月 5日 (火)

国民的スター待望の新作

Title:POP VIRUS
Musician:星野源

おそらく今、最も人気を集め、かつ注目を集めているミュージシャンといえば間違いなく星野源でしょう。特に2016年にリリースした「恋」はドラマの話題性も相まって国民的ヒットとも言えるほど大ブレイク。星野源自体も「アイドル的」な人気を博しており、押しも押されぬ大スターとなっています。

そんな大ブレイクの最中、約3年ぶりにリリースされたのが今回のアルバム。もちろん大ヒットした「恋」も収録されているほか、2017年にリリースし、これまた大ヒットとなった「Family Song」も収録。ただ、昨年リリースされた「ドラえもん」は残念ながら未収録。やはりタイアップ色が強すぎたためアルバムに入れるとバランスが悪いと判断されたのでしょうか・・・。

言わば世間の注目が集まる中でリリースされたのが今回のアルバム。前作「YELLOW DANCER」も大傑作だっただけにかなり高い期待の下にリリースされましたが、その結果を一言でいえば、きちんとその期待に見合った傑作をリリースしてきたな、という印象を受けます。

前作「YELLOW DANCER」では、それまでのアコースティックメインでカントリー色が強かった作風から一転、ブラックミュージックの要素が強い作風になりましたが、今回のアルバムも基本的にその方向性が続く作風となっています。特に1曲目でタイトルチューンでもある「Pop Virus」はソウル風のグルーヴィーなサウンドがまずは耳に残るポップソング。ちょっとダウナーな雰囲気からスタートしつつ、おなじみの大ヒットチューン「恋」へ切り替わる序盤の展開はちょっとした鳥肌モノです。

続く「Get a Feel」もジャクソン5あたりを彷彿とさせるモータウン風の軽快なポップチューン。こちらもポップなメロの一方、後ろでなっている軽快なギターと重いリズムを刻むベースラインが非常に黒く、気持ちよさを感じます。

その後も「Dead Leaf」ではソウル風のバラードナンバー(コーラスにはあの山下達郎も参加(!))を聴かせてくれたり、ご存じ大ヒット曲「Family Song」ではゴスペルの要素を入れてきたり、「Nothing」ではメロウなメロディーラインを聴かせてくれたりと終始ブラックミュージックからの要素を強く感じます。ポップなメロの中に感じられるブラックミュージックらしいグルーヴ感がとても心地よい作品に仕上がっていました。

また一方では「Pair Dancer」では静かなメロのバックに流れるエレクトロサウンドにポストロック的な要素を感じたり、「Nothing」で聴ける細かいスネアのリズムが最近のHIP HOPからの影響を感じたりと、今時の音をしっかりと取り入れた挑戦的な側面も垣間見れたりして、ミュージシャンとしての志の高さもうかがえます。

今回もそんな星野源のミュージシャンとしての実力の高さを見せつけた完成度の高い傑作アルバムとなっているのですが、ただ一方で気になった部分もありました。それはいままでのアルバムで感じた自由度や遊び的な要素が薄かったという点。もともと星野源のアルバムはどこか遊びの要素を感じた肩の力の抜けた作品が多かったように感じます。例えばソロデビュー作からして「ばかのうた」なんてタイトルがついていますし、前作「Yellow Dancer」でも敬愛するクレイジーキャッツに捧げる「Crazy Crazy」のような遊び心のあるポップチューンがありました。

ただ今回のアルバムではそういった肩の力が抜けたような部分はありません。むしろアルバム全体として世間の期待に応えなくては、というプレッシャーのような部分が垣間見れてしまいました。実際「Family Song」はどこか「恋」に続くようなタイプの曲になってしまっていますし、基本的には「恋」の路線を引き継いだような曲も少なくありません。今回のアルバム、ひとつの特徴としてどこかダウナーな感のある曲が多く、突き抜けて明るいポップというタイプの曲がほとんどありませんでした。ひょっとしたらそれは彼自身の心を反映したのかもしれません。

サザンやユーミンあたりのレベルになれば、売れる期待がありつつも自分の自由に曲作りができるのかもしれませんが、残念ながら星野源はまだそのクラスには至っておらず、どうしても周りのプレッシャーが今回のアルバムに関しては強かったのかもしれません。それにも関わらずこれだけの傑作をリリースしてきたのはさすがですが、ただ一方ではその結果、期待を超えるだけの傑作には至らなかったように思います。国民的スターとなった彼なだけに、これからもさらにプレッシャーは高まりそう。それをここで乗り越えられるかどうか・・・ある意味正念場なのかもしれません。でも彼ならきっと・・・次回作、要注目です。

評価:★★★★★

星野源 過去の作品
ばかのうた
エピソード
Stranger
YELLOW DANCER


ほかに聴いたアルバム

Naked/MANNISH BOYS

斉藤和義と中村達也によるユニット、MANNISH BOYSの2年3が月ぶりとなるEP盤。原点回帰が大きな特徴となっており、ゴリゴリのガレージロックのサウンドを前面に押し出した構成になっています。インストチューンも多く、そういう点でも「歌」ではなく「バンドサウンド」を主軸に押し出した作品に。さらにタイトルからして年齢がわかる「硝子の50代」では同世代だとかなり笑えそうなコミカルなナンバーに。ただサウンドはバリバリのエルモア・ジェイムスばりのギターを押し出したブルースロックとなっており、おやじのカッコよさを押し出した曲になっています。前作「麗しのフラスカ」ではバンドとしての一体感を感じさせたアルバムですが、本作でもMANNISH BOYSとしての一体感を強く感じるかっこいいロックアルバムになっていました。

評価:★★★★★

MANNISH BOYS 過去の作品
Ma!Ma!Ma!MANNISH BOYS!!!
Mu? Mu? Mu? MANNISH BOYS!!!
麗しのフラスカ

Dreams Never End/Spangle call Lilli line

約3年2ヶ月ぶりとなるSpangle call Lilli lineの久々のニューアルバム。基本的にいつもと同様、透き通ったようなボーカルに静かでドリーミーなエレクトロサウンド、それに薄くギターのノイズも加わる幻想的なエレクトロロックを聴かせてくれます。全体的にインパクトが薄くかった前作に比べると、比較的サウンドの美しさを楽しむことが出来るアルバムに仕上がっていたように思います。ただ、良くも悪くもスタイルは以前から変わらないという印象が強いのですが。

評価:★★★★

Spangle Call Lilli Line 過去の作品
VIEW
forest at the head of a river

New Season
Piano Lesson
SINCE2
ghost is dead

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2019年3月 4日 (月)

大正時代の庶民の本音

Title:大正滑稽はやり唄 -書生節と小唄による風刺・モダン・生活-

戦前のSP盤をCDに復刻し、多くの興味深いオムニバス盤をリリースし続けるレーベル、ぐらもくらぶ。このサイトでも何度も同レーベルのアルバムを紹介していますが、今回紹介するアルバムはタイトル通り、大正期のノベルティーソングを集めたオムニバスアルバムです。

大正時代といえば、わずか15年という短命もさることながら、文明開化の明治と激動の昭和に挟まれて、どうしても「影が薄い」という印象を受けてしまう時代。ただ一方で、「大正デモクラシー」という言葉に代表されるように、徐々に近代文明や民主主義といった西洋先進国の価値観が日本にも定着しはじめ、なおかつ後の戦争の影はまだ少々先というこの時代は、庶民が力をつけてきて明るい時代というイメージもあります。

さらに「ぐらもくらぶ」のアルバムの紹介でも何度か言及しているのですが、ノベルティーソングというのは、普通の流行歌ではなかなか歌われないような庶民の「本音」が顔を覗かせ、むしろ当時のヒット曲以上にその時代時代の世相風俗を直接的に反映した曲が少なくありません。そういう意味でも、この大正期のノベルティーソングを集めた今回のアルバム、大正時代に生きた人々の本音が垣間見れる曲の数々に興味深く最後まで聴くことが出来るアルバムになっていました。

例えば今回収録されている曲の中でも「ハイカラ節」「学生節」、またそのものズバリ「当時東京の流行物」などは当時の流行物がそのまま登場しており、歌詞も興味深く楽しむことが出来ます。固有名詞も多いため、固有名詞の解説なんかもあるとうれしかったのですが・・・そうすると歌詞カードのページ数がとんでもないことになるのかな?また、当時の庶民の本音としては「のんき節」「のんきな父さん」あたりがそうでしょうか。どちらも貧乏ながらもたくましく生きる庶民の本音が垣間見れる歌詞になっています。

さらには「デモクラシー節」はタイトル通りの社会派な歌詞が印象的ですし、関東大震災の後に歌われた「復興節」は震災から立ち直ろうとしている庶民の強さを感じます。さらに「金恋し」は戦前の大ヒット曲「君恋し」のパロディー。あまりにそのまんまのパロディーなのですが、この手のパロディーは時代を越えて今でも通用しそう。また、このオムニバスの中で特に珍曲と言えるのが「ヂンヂロゲーとチャイナマイ」。全編意味不明な言葉が続く楽曲で、言葉の響きだけで楽しませようとする楽曲。後に昭和30年代に森山加代子がカバーしてヒットを記録しているそうですが、純粋に言葉の響きだけで笑いを取ろうとする内容だなけに、時代を越えたある種の普遍性のあるコミックソングになっています。

また興味深いといえば「平和節 ジョーヂャソング(東京節)」で、こちらでは全国各地の名所名産品などが歌われているのですが、今でもおなじみの名物もあれば、逆に完全に忘れ去られているようなものもあったりして興味深く歌詞を楽しむことが出来ます。ここでは我らが名古屋も題材にあがっていて

「名古屋は日本の中京で、熱田まで電車が敷いてある、
自転車にシャチホコ、糸絞り、大根漬、味噌漬、八丁味噌、
三味三味は腕くらべ、お能の狂言元祖にて
別嬪さんの多いのが日本一」

なんて歌われています。八丁味噌やシャチホコはいまでもおなじみ。糸絞りは有松・鳴海絞でしょうか?自転車が有名だったというのは意外ですが、著名な自転車メーカーだったツノダは名古屋の会社ですね。大根漬というのは全国的な知名度は高くないかもしれませんが、守口漬という大根漬の名古屋名産はいまでも健在です。一番意外だったのは「別嬪さんが多いのが日本一」というフレーズ。ともすれば「ブスの産地」など馬鹿にされることが少なくないのですが、戦前は逆に美人の産地として有名だったことが伺われ、名古屋に対する見方が180度変化していることが非常に興味深く感じます。

そんな訳で時代を反映した歌詞を読み解くだけでもとても楽しめるコンピレーションアルバム。全体的にはまだ戦争が本格化していないこともあり、暗さがあまり感じなく、全体を通じて明るさを感じる点も大きな特徴となっています。歴史的な観点からも価値あるコンピ盤。今の視点からでも十分楽しめる1枚でした。

評価:★★★★★


ほかに聴いたアルバム

プライニクル/柴田淳

前作から1年1ヶ月というスパンでリリースされた柴田淳のニューアルバム。もともと悲しい失恋の歌がメインだった彼女ですが、本作ではその傾向がさらに純化。全編、心が締め付けられそうな悲しい恋の歌が並んでいます。もともとコミカルな内容だった「拝啓、王子様」シリーズは前作で終わりかと思いきや、本作でも登場。ただ内容は良くも悪くも他の曲と同じような悲しい恋の歌になっています。前作同様、目新しさはありませんが、ファンなら安心して聴けるようなアルバムになっていました。

評価:★★★★

柴田淳 過去の作品
親愛なる君へ
ゴーストライター
僕たちの未来
COVER 70's
あなたと見た夢 君のいない朝
Billborda Live 2013
The Early Days Selection
バビルサの牙
All Time Request BEST~しばづくし~
私は幸せ

BOY/OKAMOTO'S

今年、デビューから10周年を迎えるOKAMOTO'Sのニューアルバム。「BOY」というタイトルの通り、OKAMOTO'Sとしての「少年時代」に戻ったかのようなルーツ志向のロックンロールナンバーが楽しめるアルバムに。打ち込みやホーンセッションの入る曲もありますが、基本的にはギターリフを聴かせるシンプルなバンドサウンドで構成された、いい意味でちょっとオールドスタイルなロックナンバーが並ぶアルバムになっています。バラエティー富んだ作風が特徴的だった前作「NO MORE MUSIC」と対照的ながらも、これはこれで非常にOKAMOTO'Sらしい1枚に仕上がっていました。

評価:★★★★★

OKAMOTO'S 過去の作品
10'S
オカモトズに夢中
欲望
OKAMOTO'S
Let It V
VXV
OPERA
BL-EP
NO MORE MUSIC

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2019年3月 3日 (日)

悲しい歌モノが強いインパクトに

Title:SKINS
Musician:XXXTENTACION

昨年6月、強盗に襲われわずか20歳という若さでこの世を去った悲劇のラッパー、XXXTENTACION。昨年リリースされた「?」も大きな話題となりましたが、なんとこのたび、彼が生前に録音した音源をまとめたニューアルバムがリリースされました。

前作「?」もわずか18分という短いアルバムで、メロディアスな歌モノのテイストが強い、ラップリスナー以外にも聴きやすさを感じさせるアルバムでしたが、今回のアルバムに関しても基本的にその前作の方向性を踏襲しています。全10曲入りの「フルアルバム」なのですが、1曲あたり1、2分という短い曲が並んでおり、全部あわせても20分弱という短さ。さらに全体的にメロディアスな「歌」の要素が強い曲が並んでいます。

イントロに続く「Guardian angel」はHIP HOP的なループするエレクトロトラックが流れる中、悲しげなメロディーの流れるエモーショナルなナンバー。続く「Train food」も街の音がサンプリングされる中、静かなピアノとラップが悲しく鳴り響く楽曲に。さらに「whoa(mind in awe)」ではメロディアスながらも悲しいマリンバのようなエレクトロサウンドが印象的なナンバーになっています。

さらに今回のアルバムで大きな特徴となっていたのは中盤、ロック的な曲が並んでいるという点。「STARING AT THE SKY」などは最初、静かでアコースティックなサウンドからスタートするのですが、後半はデス声からダイナミックなバンドサウンドが入ってきており、完全に「ロック」なナンバー。さらに続く「One Minute」はKanye Westが参加していることで大きな話題となったのですが、カニエのラップはヘヴィーなギターリフを奏でるバンドサウンドをバックとしており、完全なミクスチャーロックのナンバーになっています。

そんなロック的なダイナミズムを心地よく感じていると今度は後半、一転して悲しく聴かせるポップチューンに。ただ、同じ悲しげなメロでもエモーショナルだった前半と比べると、静かに歌声を聴かせる楽曲に。特にラストの「what are you so afraid of」はアコースティックテイストのサウンドをバックに静かで悲しい歌声が心に響いてくる歌モノ。最後のナンバーということもあり、とても悲しい後味を抱えつつ、アルバムは幕を下ろします。

このようにわずか20分弱の内容ながらもバラエティー富んだ展開が楽しめる今回のアルバム。特にメロディアスな歌モノやダイナミックなロックチューンも多く、HIP HOPリスナー以外も楽しめるアルバムになっていました。基本的にはおそらく前作と同時期に作っていた楽曲なだけに前作の延長線上にある作風なのでしょう。そういう意味では正直、目新しさみたいなものはありませんでしたが、メロディーセンスの良さと楽曲のバラエティーの豊かさ、そしてなんといってもアルバムの短さもあり、最初から最後までダレることなく楽しめる傑作アルバムだったと思います。

ミュージシャンの死後、第三者によって勝手にアルバムという形でまとめられるのは少々賛否はありそうですが(よくありがちな話ではありますが)ただ、この出来の良さを考えると、きっと天国のXXXTENTACIONも納得してくれる・・・はず(?)。前作に負けず劣らずの傑作アルバムでした。

評価:★★★★★

XXXTENTACION 過去の作品


ほかに聴いたアルバム

DIMENSIONAL PEOPLE/Mouse On Mars

今回も2018年各種メディアのベストアルバムの後追いで聴いたアルバム。こちらはMusic Magazine誌ロック(ヨーロッパ)部門で1位を獲得した作品で、ドイツ出身のエレクトロドゥオによる約6年ぶりのニューアルバム。3パートからなる表題曲からスタート。細かいビートに薄くムーディーなサックスが入るユニークなインストナンバーにまずは惹かれます。その後もトライバルなサウンドを入れてきたり、ノイズの要素が入ったり、かといえばアコギで聴かせるメロディアスなナンバーがあったりと最後までバラエティー豊富で耳が離せないナンバー。最初から最後まで飽きさせない展開のおもしろい傑作アルバムになっていました。

評価:★★★★★

A Matter of Time/Protoje

こちらもベストアルバムの後追いで聴いたアルバム。こちらもMusic Magazine誌で、こちらはレゲエ(海外)部門で1位を獲得したアルバム。基本的に哀愁感たっぷりの歌を聴かせるレゲエのアルバム。あくまでも「歌」が主眼のアルバムとなっているため、目新しさみたいなものや、ダイナミックなビートみたいなものはないのですが、レゲエリスナー層以外にも波及しそうなメロディアスな歌が魅力的なアルバムになっていました。

評価:★★★★

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2019年3月 2日 (土)

ロックバンド演じるポップなカバー

Title:Weezer(Teal Album)
Musician:Weezer

日本でもおなじみ、ロックバンドWeezerが、今年1月に突如配信限定でリリースされたニューアルバムはなんと彼ら初となるカバーアルバム。昨年、TOTOの「Africa」のカバーを先行リリースしてちょっとした話題となったのですが、それに続く形でのカバーアルバムとなりました。

Weezerといえば、そのポップなメロディーラインと分厚いバンドサウンドで日本でも大人気のバンドなのですが、今回のカバーアルバム、まずはその選曲がすごいことになっています。一言で言えばド定番の連続(笑)。前述のTOTO「Africa」をはじめ、A-ha「Take On Me」やマイケル・ジャクソンの「Billie Jean」、そして最後を締めくくるのはBen E Kingの「Stand By Me」と、いまどきわざわざこの辺りの曲をカバーするバンドなんてないんじゃないか、というくらいの定番ナンバーの連続に、逆に潔さを感じます。

もうひとつ大きな特徴としてはカバーしている曲はポップチューンの連続という点。いうまでもなくロックバンドの彼らですが、いかにもなロックナンバーのカバーはほとんどなく、ほとんどがポップという枠組みでの楽曲ばかり。数少ないロック系のカバーはBlack Sabbathの「Paranoid」というのもまた、非常にユニークな選択に感じます。

またさらにこのカバーの選曲として、非常に日本人好みなメロディーラインのポップチューンが多いように感じました。Weezerといえばボーカリストであり作詞作曲を手掛けるリヴァース・クオモは大の親日家として知られ、奥さんが日本人であるほか、スコット&リバースなるJ-POPユニットを結成し活動をしていたりもします。今回カバーされている曲はいずれもメロディーがわかりやすい曲が多く、サビに該当するフレーズがわかりやすい形であらわれてくるような曲がほとんど。ここらへん、おそらくリヴァースの好みと関係しているのでしょう。これで、日本人がカバーしまくっている「Can't Take My Eyes Off You」がカバーされていれば完璧だったのですが(笑)。

そして肝心なカバーの内容ですが、これがアレンジが実に絶妙。基本的には原曲に準拠して大きくイメージを変えない形でのカバーとなっているのですが、ほどよくポップなメロディーラインを前に押し出しつつ、また、ロックバンドの彼ららしいバンドサウンドの味付けをしっかりと加えたカバーに仕上げています。例えば前述の「Paranoid」ですが、原曲のもつへヴィネスさは残しつつ、全体的にメロを前に押し出したハードロックテイストのナンバーに仕上げていますし、「Stand By Me」にしても原曲の持つポップで切なさを感じるメロを生かしつつ、ギターサウンドを入れた軽快なカバーに仕上げています。

ポップスをポップなままにロックバンドが演じた今回のカバー。実にWeezerらしさを感じるスタイルでのカバーと言えるかもしれません。最初から最後までポップなメロが楽しめるアルバムで、その中にほどよく入ってくるロックバンドらしいダイナミズムも絶妙。わかりやすいメロは日本人にとっても耳馴染みやすく、配信限定のためちょっと目立っていないかもしれませんが、Weezer好きなら間違いなくチェックすべきアルバムだと思います。またバンドとしても非常にいい状態なのでしょうね。3月にリリースされた新作、まだ聴いていないのですが、こちらもとても楽しみになってくる傑作でした。

評価:★★★★★

WEEZER 過去の作品
WEEZER(Red Album)
RADITUDE
HURLEY
DEATH TO FALSE METAL
Everything Will Be Alright in the End
WEEZER(White Album)
Pacific Daydream


ほかに聴いたアルバム

Best of Netsanet Melesse's Old Collection: Doju/Netsanet Melesse

今日紹介するのも各種メディアのベストアルバムの後追いで聴いた1枚。こちらはMusic Magazine誌ワールドミュージック部門第3位を獲得したエチオピアのベテラン女性シンガーのタイトル通りベストアルバム。聴いてみてすぐにわかるのですが、楽曲としては力強いボーカルにこぶしも効いていて、日本の演歌そのものといった感じ。そういう意味では日本人にとって耳なじみある楽曲に。一方ではホーンセッションを入れていたり、演歌に比べると明るいさわやかさを感じさせたり、演歌とは異なる魅力も随所に感じさせてくれます。なにより力強い彼女のボーカルに強い魅力を感じたアルバムでした。

評価:★★★★

Full Circle/Eddie Palmieri

こちらもベストアルバムの後追いで聴いた作品。同じくMusic Magazine誌でこちらはラテン部門で1位を獲得したアルバム。ニューヨーク出身のラテンジャズ・サルサミュージシャンの第一人者、エディ・パルミエリの最新アルバム。楽曲は哀愁感たっぷりの歌からスタートしつつ、後半はピアノやパーカッション、サックスなどが加わるジャムセッション的でジャズの要素も強いインストパートとなる構成。歌のパートも非常に聴かせるものがありますし、また複雑なリズムの要素を取り入れたジャムセッションも大きな魅力的な傑作でした。

評価:★★★★★

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2019年3月 1日 (金)

メロディーラインにまずは惹かれつつ

Title:Why Hasn't Everything Already Disappeared?
Musician:Deerhunter

毎回、独特の音楽性と絶妙なポップスセンスで音楽ファンを魅了するアメリカのインディーロックバンド、Deerhunter。 毎作、アルバムは高い評価を受けているのですが、 約3年ぶりとなる今回のアルバムも非常に魅力的な傑作アルバムとなっていました。

今回のアルバムもまずは1曲目「Death In Midsummer」は、チェンバロとピアノの音色が耳を惹くメロディアスなナンバーに。その心地よいメロディーラインにまずは強く引き付けられます。さらに「No One's Sleeping」も暖かみもあるそのメロディーラインに耳に残ります。

前作「Fading Frontier」もポップなメロが全面に押し出されたアルバムになっていましたが、今回もまずはメロディーラインが強いインパクトを持ったアルバムとなっていました。その後も「What Happens to People?」ではピアノをバックに聴かせるちょっと切なさを感じるメロが大きな魅力となっていますし、「Futurism」もギターサウンドをバックにテンポよいメロディーラインが印象に残ります。

ただ、そのようなメロディーに大きな魅力を持ちつつも、要所要所に「おやっ?」と思わせるような部分を入れてきているのが彼らの大きな魅力。例えば「No One's Sleeping」ではポップなメロディーラインに幻想的なアレンジを加えてきていますし、インストチューンの「Greenpoint Gothic」もスペーシーなエレクトロサウンドが耳に残るナンバー。「Tarnung」もマリンバを入れつつ、ドリーミーなサウンドの幻想的なサイケポップに仕上げています。ほかにも「Plans」やラストを飾る「Nocture」など今回のアルバムではエレクトロサウンドを比較的多く取り入れており、暖かさを感じるメロディーラインとの対比もとてもユニークに感じました。

またサウンド的にはスカスカなサウンドメイキングだった前々作「MONOMANIA」と、その反面、ドリーミーな音に埋め尽くされていた前作と比べると、エレクトロサウンドを多く取り入れつつ、サウンドについてはほどよくバランスが取れていた印象。インディーバンド然としてた雰囲気も薄くなり、そろそろベテランの域に入る彼らですが、いい意味でベテランバンドらしい安定感も覚えるようなアルバムになっていたように感じます。

美しいメロディーラインに惹かれつつ、しかしその一方、奥深いそのサウンドの世界に徐々にはまり込んでいく、そんな傑作アルバムに仕上がっていました。彼らの実力と魅力をあらためて強く感じた作品でした。

評価:★★★★★

DEERHUNTER 過去の作品
HALCYON DIGEST
MONOMANIA
Fading Frontier


ほかに聴いたアルバム

Golden Hour/Kacey Musgraves

こちらも2018年ベストアルバムの後追いで聴いた1枚。音楽情報サイトamssが集計した各種メディアの2018年ベストアルバム集計で4位に入ったアルバム。Kacey Musgravesはアメリカのカントリーミュージシャン。これが3枚目のアルバムとなるのですが、いままで3枚のアルバムはいずれもビルボードチャートのベスト10に入ってくるなど人気を博しています。さらにこのアルバムはグラミー賞の最優秀アルバム賞を受賞。日本でも今後、その名前を聞く機会が増えそうです。

さてそんな本作は基本的にはアコースティックテイストのサウンドでシンプルなメロディーラインを美しく聴かせる楽曲が並ぶアルバム。カントリーのミュージシャンということで日本での知名度は低いのですが、ベタベタなカントリーというよりもフォーキーなポップを奏でるミュージシャンという感じで、日本人にとっても違和感なく楽しめるポップスになっています。ただシンプルなポップアルバムといった感じだったので、ベストアルバムとして上位に食い込めるほどの目新しさや圧倒的なポップスセンスは感じなかったのですが・・・。

評価:★★★★

Honey/Robyn

上記Kacey Musgravesで紹介したサイトで、こちらは6位にランクインしていたアルバム。20年以上のキャリアを持つスウェーデンの女性シンガーの新作。これが8枚目のアルバムなのですが、本国スウェーデンでは本作を含めて4作がチャート1位、3作が2位を獲得する人気ミュージシャンのようです。

楽曲はどこか80年代の雰囲気を感じるエレクトロポップ。彼女は御年39歳というベテランシンガーなのですが、そんな年齢を感じさせない(失礼!)美しいボーカルが大きな魅力となっています。テンポよい楽曲がインパクトとなっている楽曲。年間ベストでそこまで絶賛されるほどか・・・と思わない訳ではないのですが、シンプルに楽しめるポップチューンが並ぶアルバムとなっていました。

評価:★★★★

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