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2019年2月26日 (火)

ただただ美しい・・・。

Title:Assume From
Musician:James Blake

ジャケット写真をパッと見た時に、「あれ?ジェイムス・ブレイクってこんな老けてたっけ?」とちょっと思いました。髪をあげて額を見せているだけですね(^^;ジェイムス・ブレイクの約3年ぶり、ちょっと久しぶりとなるニューアルバムです。

ジェイムス・ブレイクというと、その胸をかきむしりたくなるような切ないメロディーラインが大きな魅力なのですが、今回のアルバムは何よりもその美しいメロディーが耳を惹くアルバムになっていました。今回のアルバムはまずタイトルチューンの「Assume From」からスタートするのですが、まずは静かにスタートする美しいピアノのフレーズが何よりも耳を惹きます。そしてやがてはじまる彼の透き通った歌声の美しいこと・・・。そしてその後に流れてくる静かなエレクトロサウンドとのバランスも絶妙。これぞジェイムス・ブレイクと言いたくなるような美しく切ない楽曲にまずは強く惹かれます。

その後もコーラスをサンプリングした幻想的なサウンドをバックに美しく歌い上げる「Can't Believe The Way We Flow」や哀愁感たっぷりのエレクトロサウンドを聴かせる「Where's The Catch?」、ストリングスを入れてドリーミーに聴かせる「I'll Come Too」に、ピアノをバックに美しく歌い上げるバラード「Don't Miss It」と、その美しいサウンドと歌の連続に耳を離せません。ラストを締めくくる「Lullaby For My Insomniac」は彼の歌声のみを軸として、バックの音は最小限に抑えたアカペラ的な楽曲。静かな空間で歌い上げる緊迫感ある美しい歌声に強く心を惹きつけられます。

今回のアルバムは加えてゲストミュージシャンが多く参加しているのですが、そのゲストミュージシャンの特徴を上手くアルバムの中に組み込んでいるのもアルバムの大きな魅力となっています。例えば「Mile High」ではトラップミュージックの第一人者であるあのTravis Scottがゲストで参加。ジェイムス・ブレイクのエレクトロサウンドの中にトラップミュージックを上手く取り込んだ楽曲となっています。また、「Barefoot In The Park」ではフラメンコポップ界の歌姫、Rosaliaが参加。こちらもジェイムス・ブレイクのサウンドの中にほどよくラテンの要素が加わり、ユニークな楽曲に仕上がっています。

今回のアルバムは、その当時、最先端だったダブステップを取り込んでシーンに衝撃を与えたデビューアルバムのような目新しさ、みたいなものはなかったものの、幻想的に静かに聴かせるそのサウンドの美しさはデビューアルバムに匹敵する出来だったように思います。また、歌モノという意味では前作「The Colour In Anything」も傑作だったのですが、ただ、前作は全76分という長さにちょっとダレてしまった部分が否めませんでした。しかし本作に関しては全48分。アルバム1枚聴く長さとしてもちょうどよい長さだったように思います。個人的には今回のアルバム、デビューアルバムに続く傑作アルバムだったように感じます。また2作目以降続いていた「歌モノ」という方向性のひとつの到達点だとも言えるのではないでしょうか。その美しい歌声とメロディー、そしてサウンドにただただ聴きほれた傑作でした。

評価:★★★★★

JAMES BLAKE 過去の作品
JAMES BLAKE
ENOUGH THUNDER
OVERGROWN
The Colour In Anything


ほかに聴いたアルバム

Pesto Gia Mena/George Dalaras

こちらも2018年のベストアルバムの後追いで聴いた作品。Music Magainze誌ワールドミュージック部門9位。御年68歳、ギリシャの大ベテラン男性シンガーによる新作。アコースティックギターやピアノの音色をバックに、ラテンやアラブ音楽の要素を取り入れつつ、哀愁感たっぷりの大人の音楽を聴かせてくれます。曲によっては2ドラの主題歌になりそうに思えるほどの泣きのメロが続くアルバムで、歌謡曲とも相性がよさそう。そういう意味では日本人にとっても琴線に触れそうな泣きのアルバムでした。

評価:★★★★

DAYTONA/Pusha T

こちらも同じく2018年ベストアルバムの後追いで聴いたアルバム。音楽情報サイトamssが集計した各種メディアの2018年ベストアルバム集計で3位に入ったアルバム。アメリカ・バージニア出身のラッパーで、本作はアメリカビルボードチャートで3位に入るなどヒットを記録しています。最近の傾向に沿ったような全7曲21分という短くおさめられたアルバムで、リック・ロスやカニエ・ウエストなど豪華なメンバーの参加も話題となっています。トラップ風の楽曲からちょっとレトロな雰囲気の曲、ソウルなボーカルがサンプリングされた曲などわずか7曲ながらもバラエティー豊富な内容に。力強いラップが強く印象に残るアルバムで、アルバムの短さもあっていい意味で聴きやすいアルバムになっていました。

評価:★★★★★

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