バンドとしての成長も感じられる新作
Title:Tank-top Festival in JAPAN
Musician;ヤバイTシャツ屋さん
おそらく今、最も注目を集めているロックバンドの一組であるヤバイTシャツ屋さん。2018年は1月にアルバムをリリースしましたが、そこからわずか11ヶ月。早くもニューアルバムが発売されました。1年の間に2枚ものアルバムものアルバムをリリースするあたり、彼らの勢いを感じさせます。
そんな彼らの新作ですが、基本的なスタイルは前作までと同様、今時の若者らしい醒めた視点を感じるユーモラスな歌詞をポップなメロコアやポップパンクにのせて勢いよく歌い上げるスタイル。京都出身のメンバーがいる彼ららしい「どすえ~おこしやす京都~」のような曲やら、はたまたローラーシューズを履いた子どもとぶつかった、ということだけをネタにした「かかとローラー」、タイトル通り、雑に動物を紹介するだけの「ざつにどうぶつしょうかい」など、脱力感満載の、下らない(決して悪い意味ではなく)ネタを歌詞に織り込むユニークな曲が展開していきます。さらに「本当は6曲目に収録する予定だった曲が、使用している企業名の許可が下りずボツになった」という本当か嘘かわからないネタをそのままフォークソング調のメロにのせた「大人の事情」なんて曲もあったりします。これ、本当だったらライブで本来、6曲目に収録する予定だった曲を聴けたりするのでしょうか(笑)。
ただ今回のアルバムは以前からの作品と比べると微妙にその作風に変化が見受けられました。まず1点目はいままでの楽曲に織り込まれていたハードコアやメタルの要素が薄くなり、よりポップス路線にシフトした点。「リセットマラソン」のようなデス声を聴かせるヘヴィーな曲もあるのですが、そのような曲はグッと減ってしまいました。個人的にはこのハードコアな要素をポップなメロに織り込む点も彼らの魅力だと思っていたので、ポップ路線へのシフトはちょっと残念でもあるのですが・・・。もっとも一方ではメロコア、ポップパンクに加え、スカ、フォーク、ギターロックなど曲の幅は以前より広がった印象も。そういう意味ではポップ路線へのシフトと同時に彼らなりの成長も感じられました。
もう1点は歌詞。いままでの作品は良くも悪くも学生ノリの内輪ノリ的な曲が多かったのですが、今回のアルバムに関しては少なくとも内輪ノリ的な曲はなくなりました。もちろん、基本的に良くも悪くも軽いノリというスタイルは変わらないのですが、ネタ的にはもうちょっと普遍性のある、幅広いリスナー層が楽しめるような題材に変わったように思います。これに関しては個人的に以前の内輪ネタ的な歌詞は好きではなかっただけに、この方向性は大歓迎です。
そんな訳で、基本的にいつものスタイルを維持しつつ、バンドとしての成長も感じられたアルバム。前作同様、また彼らのポップな楽曲を存分に楽しむことが出来ました。まだまだバンドとしての勢いの止まらない彼ら。2019年も彼らの活動から目を離せなさそうです。
評価:★★★★★
ヤバイTシャツ屋さん 過去の作品
We love Tank-top
Galaxy of the Tank-top
ほかに聴いたアルバム
SOIL/04 Limited Sazabys
本作ではオリコンチャートで初のベスト3入りを記録するなど、いまだに人気上昇中の4人組ロックバンドによる約2年ぶりの新作。ハイトーンボイスのボーカルに疾走感あるポップなメロのギターロックが心地よい作品で、以前に比べるとバンドの勢いもまし、キュートとも言えるメロディーラインもインパクトを増しています。これで彼らのアルバムを聴くのは3作目なのですが、徐々に勢いを増している感もあり、次回作が楽しみになってくる新作でした。
評価:★★★★
04 Limited Sazabys 過去の作品
CAVU
eureka
SUKIMASWITCH TOUR 2018"ALGOrhythm"/スキマスイッチ
ツアー毎にライブアルバムをリリースしているスキマスイッチの最新ライブアルバム。昨年、ニューアルバム「新空間アルゴリズム」を引っ提げた行った全国ツアー「SUKIMASWITCH TOUR 2018"ALGOrhythm"」の模様を収録したライブアルバム。ライブの雰囲気をそのまま収録しており、ファンならそれなりに楽しめるライブアルバムにはなっています。さらに今回、Disc2に収録されている「ゴールデンタイムラバー」「君の話」「スモーキンレイニーブルー」は原曲以上にファンキーなアレンジに仕上げており、ライブならではのアレンジの曲を聴ける楽しさもありました。
評価:★★★★
スキマスイッチ 過去の作品
ARENA TOUR'07 "W-ARENA"
ナユタとフカシギ
TOUR2010 "LAGRANGIAN POINT"
musium
DOUBLES BEST
TOUR 2012 "musium"
POP MAN'S WORLD~All Time Best 2003-2013~
スキマスイッチ TOUR 2012-2013"DOUBLES ALL JAPAN"
スキマスイッチ 10th Anniversary Arena Tour 2013“POPMAN'S WORLD"
スキマスイッチ 10th Anniversary“Symphonic Sound of SukimaSwitch"
スキマスイッチ
TOUR 2015 "SUKIMASWITCH" SPECIAL
POPMAN'S ANOTHER WORLD
スキマスイッチTOUR2016"POPMAN'S CARNIVAL"
re:Action
新空間アルゴリズム
スキマノハナタバ~Love Song Selection~
| 固定リンク
「アルバムレビュー(邦楽)2019年」カテゴリの記事
- 彼女の幅広い音楽性を感じる(2019.12.26)
- 80年代に一世を風靡した女性ロックシンガー(2019.12.28)
- 2つの異なるスタイルで(2019.12.14)
- ミュージシャンとしての矜持を感じる(2019.12.17)
- 2019年最大の注目盤(2019.12.13)
コメント