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2019年1月 1日 (火)

謹賀新年

新年、あけましておめでとうございます。旧年中は当「ゆういちの音楽研究所」をご愛顧いただきありがとうございました。今年もなんとぞ当サイトをよろしくお願いします。

年初に昨年の音楽シーンのまとめというのはちょっとズレている感もあるのですが・・・2018年の音楽シーンといえば久しぶりに老若男女が親しんだ最大のヒット曲が登場しました。言わずと知れたDA PUMPの「U.S.A.」です。ただ、ここ数年、「U.S.A.」に限らず(昨年は登場しませんでしたが)RADWIMPS「前前前世」、星野源「恋」、そして2018年のもうひとつの大ヒット曲、米津玄師「Lemon」など「ヒット曲」が続々と登場してきています。

これは私の主観による意見なので間違っているのかもしれませんが、ひょっとしたらこの傾向は、当サイトでも取り上げているBillboard Japanの複合チャート、Hot100の影響も少なくないのではないでしょうか。Hot100の登場により、いままでCDの売上だけでは見えてこなかった「ヒット曲」が可視化され、さらにヒットが波及し、大ヒット曲になるという傾向があったように思われます。実際、前述のヒット曲はCDの売上ではいずれも年間ベスト10しておらず、CDの売上を見るだけでは「大ヒット」と言えるような状況ではありません。

特にここ数年、どころか90年代あたりから、CDの売れ方としては発売初週に一気に枚数を売り上げチャート上位にランクインし、その後はチャートを落ちていくという売れ方が一般的でした。しかしその結果、ヒットチャートはほぼ週替わりの状況となってしまい、「今、どんな曲が流行っているんだろう」とヒットチャートを見てみても、何がヒットしているのかさっぱりわかりませんでした。そしてそれが一部の若者以外の「音楽離れ」を促進させ、結果としてアイドルやらアニメ系のような一部の固定ファンがついているジャンル以外のCDが全く売れない、という状況につながってしまったように思います。

しかしHot100の複合チャートでは、CD売上以外の指標をチャートに取り入れているため、ヒットが長く続く傾向にあります。実際、「U.S.A.」も「Lemon」も、半年以上にわたりベスト10ヒットを続けています。そんなチャートだからこそ、あまり音楽に興味がない層にも「今、どんな曲が流行っているのか」がわかりやすく、結果として「それだけ流行っているんなら、ちょっと聴いてみよう」という動きにつながっているのではないでしょうか。そしてその結果生まれたのが、「U.S.A.」や「Lemon」のようなヒット曲ではなかったのか・・・そう思います。

そういう意味では2019年以降もまた再び数多くのヒット曲が登場してくるような予感がします。CDの売上だけを見ると絶望的な気持ちになる昨今の音楽シーンですが、音楽シーン全体という意味ではむしろシーンにどんどんと活況が生まれつつあるのではないでしょうか。2019年にどんな新しいヒット曲に出会えるのか、楽しみです。

 

ただ、一方で難しいのは、Hot100は、ダウンロードやストリーミング、You Tubeなどネット主導のヒットに強い反面、旧来型のCDが中心のヒット、例えば演歌系、などは捉えにくいという弱点もあります。典型的なのは氷川きよし。いまだに一定の人気は保っていますが、Hot100ではほとんど上位に入ってきません。また昨年の紅白に初登場して話題となった純烈もCD中心のヒット。オリコンではベスト10入りしたようですが、Hot100では上位に入ってきていません。「ヒット曲」をどのように捉えるのか、まだまだその模索は続いていくようにも感じます。

そう考えると、これはここでも何度も言っているのですが、毎年紅白歌合戦って、なんとか今のシーンを捉えようとがんばっているなぁ、とは感じます。正直、「特別枠」を使いすぎとか、米津玄師は確かにすごいミュージシャンだけど、キャリア的にあれだけ特別扱いすべきなのか?と思う点は少なくないのですが、いろいろな制約がある中で健闘しているのではないでしょうか。昨年も家庭の事情から主にラジオで紅白を聴いていたのですが、なんだかんだ言っても楽しんで聴いていました。ただ・・・個人的にもちろんサザンは大好きなバンドですし、間違いなく日本で最も実力あるバンドだとは思うのですが・・・平成最後の紅白の最後の曲が「希望の轍」と「勝手にシンドバッド」というのは正直かなり疑問を感じてしまったのですが・・・。

ま、いろいろありましたが、今年ものんびりとお正月を過ごそうと思います。それでは、今年もよい曲にたくさん出会えますように。

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コメント

明けましておめでとうございます。今年もレビュー楽しみにしております。
つい最近ですがオリコンが配信、ストリーミングを加えた総合チャートを開始したみたいですね。これでBillboardに傾いてた信用が戻ってくるかわかりませんがとりあえず期待です。

昨年の紅白ですがかなり見ごたえがあって久々に全編通して面白いなと感じた内容でした。特にヒットを出した面々をかなり網羅できてましたしその点はNHK奮闘したなと思います。米津玄師は初出場の割にMVにインスパイアされたような演出もかなり大掛かりでかつてここまで優遇された初出場あったかな?という印象でした。それだけNHKも懇意にしたいってことなのかな…と色々考えてしまいました笑
サザンの選曲が昭和寄りだったのや、ユーミンやサブちゃんとの絡みで最後に大盛り上がりだったのを見てると平成締めくくりとはいいつつ昭和勢の現役感を見せつけられたようでした。まあMISIAの圧倒的なパフォーマンス、aikoやゆず、椎名林檎&宮本浩次の安定感など平成勢も負けてなかったですけども。
視聴率的にも成功したようでこれで来年へのハードルが一層上がってしまうなぁ…。その前にUSAのようなヒット曲が出てくるかどうかですが…。

投稿: 亮 | 2019年1月 2日 (水) 13時12分

新年明けましておめでとうございます。今年も面白いレビューを期待しております。


今年で2010年代は終わりになりますが、2010年代は先の2000年代と比べても音楽の流行のシーンが大きく変わったように思う所があります。音楽の視聴スタイルが昔とは大きく変わった事はここ数年でも感じられますが、ゆういち様が挙げられたDA PUMPの「U.S.A.」と米津玄師の「Lemon」の2018年を代表するナンバーもCDという今までのメディアを通してよりも動画や配信を通しての人気の方が圧倒的に感じられたくらいでした。

先のコメントにも挙げられているオリコンに関してですが、これはデジタルシングル、デジタルアルバム、ストリーミングの各チャートについての事と思いますが、遅ればせながら取り上げるようになった観もあるものの、時代の潮流を見るようになったと考えるべきでしょうか?CDに関しては、ゆういち様もおっしゃられているように演歌系はもとより、昨年の紅白出演者でいえば『ラブライブ!サンシャイン』のAquorsや『刀剣乱舞』の刀剣男士のようなアニメ・ゲーム系はCD売上以外のチャートではあまり見かけなかったりします。最もアニメ・ゲーム系に関しては、CDもファングッズの一種のような感すらありますが。
私自身はYouTubeやSpotifyを通して面白い楽曲に興味を持つというのが習慣化しており、CDを買わなくなって久しくなり図書館でCDを借りてそれをパソコンにダウンロードすればそれで良しという感じになっています。アルバムはCDはもとよりもパッケージや歌詞カードも含めて一つの作品と言われていますが、最近はモノというものを所有したいという気分が20代の頃(もう10年以上前の事です)よりも弱くなってきているように感じられます。紙の本に関しても毎年のように買い続けていたら部屋のスペースを圧迫するばかりなのでそろそろ電子書籍に移行しようかと考えている所だったりします。


紅白に関しては、平成最後の大晦日のお祭りはもとよりも近年のトレンドが反映された内容にもなっていて全般的に楽しめたと思います。昨年11月の出演者発表時に、昨年デビュー40周年のサザンを呼ぶべきじゃないかと当ブログにてコメントしましたがきちんと特別枠にて出場と相成りましたね、というか近年は紅白出場者については大晦日まで油断出来ないというような演出だったりするのでしょうか?「特別枠」については民放の年末大型音楽番組の2次・3次出演者発表のようにも思えなくもなかったりしますが。とはいってもサザンやユーミンのようなベテラン勢はもとより、MISIAやYOSHIKI氏とのコラボで登場したサラ・ブライトマンのパフォーマンスは圧巻でしたし(ちなみにMISIAは前日のレコ大のパフォーマンスも圧巻で両日でお腹いっぱいという感じでした)、米津玄師の「Lemon」における演出もかなり見応えのあるものだったと思います。私も米津玄師が生で歌っている姿はテレビ越しとはいえ初めて観ました。ラストのサザンにおけるユーミンとの絡みについては、両名も出演していた1980年代後半に放送された伝説の音楽特番『メリー・クリスマス・ショー』を彷彿としていたというツィートをかなり見かけましたが、前世紀というか昭和末期の空気だったなとも思えたくらいでした(ちなみに個人的には『メリー・クリスマス・ショー』に関しては当時小学生だった事もあってかリアルタイムで観た記憶が無く、21世紀に入ってからネット動画にて観ました)。

昨年末の音楽特番に関しては、紅白を別とすればFNS歌謡祭が一番楽しめたと思っていますが(昨年「クソアニメ」として話題になった『ポプテピピック』の主題歌を担当した声優の上坂すみれさんはもとより、人気男性声優の宮野真守君の出演やらミュージカル関連等々で)、昨今はこの手の音楽特番もアニメ・ゲーム系はもとよりもカリスマYoutuberも出すようになって、今の音楽シーンを割としっかりとおさえているなぁと思う所だったりもします。そう思うと紅白も頑張っているというのも頷けました。

となれば新元号初の紅白となる2019年紅白については、おそらく最も早い予想とはなりますが、宮野真守君(昨年末の紅白の企画コーナーであった『おげんさんといっしょ』に登場した雅マモルは彼に似ているとの設定とか)にLiSA、藍井エイル、SawanoHiroyuki[nZk]、今年デビュー30周年のドリカムやX JAPAN、そしてデビュー35周年となるTM NETWORKあたりに出演して貰いたい所だったりします。TMに関しては昭和最後の年の1988年が現在の所最初で最後の紅白出演(楽曲は当時リリースされた「COME ON EVERYBODY」のスペシャルミックス)なので、それこそ今年は紅白にて「Get Wild 2019」を披露して頂きたいと思っています(実はこれが一番書きたかった事ですが、小室先生が音楽活動をお辞めになるのはまだまだ早いとの事で)。今年は『シティーハンター』の劇場版新作のテーマ曲が「Get Wild」との事なので可能性はあるとは考えられますが・・・・・。


いささか長くなってしまいましたが、どうぞよろしくお願いします。

投稿: MoTo | 2019年1月 7日 (月) 01時05分

>亮さん
遅くなりましたがあけましておめでとうございます。紅白は確かに平成勢のがんばりもありつつ、昭和なミュージシャンが目立ち、かつ締めくくった点は非常に気になりました。いまだに秋元康みたいに「昭和」に一世を風靡した人物がトップに立っていたりして、エンタテイメント界の新陳代謝のなさが気にかかります。それだけにようやくここ数年、あらわれてきた「国民的ヒット」に2019年も期待したいところ。星野源とか米津玄師らにも大いに期待したいところです。

>MoToさん
遅くなりましたがあけましておめでとうございます。MoToさんに限らず、最近ではすっかりYou TubeやSpotifyなどを通じて「CD」以外の媒体を通じて音楽に触れる方が増えてきましたね。私はやはりアラフォー世代としては音楽を「物」として所有したい気持ちがまだまだ強いのですが、もっと下の世代は、もう音楽を「物」として所有したいという気持ち自体起きてこない方が多くなってきたかもしれません。ただ、それはそれで新しい音楽の聴き方として仕方ないのかもしれませんね。

投稿: ゆういち | 2019年1月26日 (土) 23時01分

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