廃盤音源配布で大きな話題に
昨年、ゴールデンボンバーの鬼龍院翔が、過去にライブ会場などで販売し、現在は廃盤となっている3音源をブログ上で無料配信し大きな話題となりました。これは、これらの廃盤音源がコピーされ、ネットオークションなどで高値で売買されている状況に鬼龍院翔が嘆き、「廃盤音源の価値をなくす」ことを目的として、音源自体はもちろん、ジャケットから歌詞カードから一式ネット上に配布。これで廃盤音源のCDと同じものが作れるようになっているそうです。
ちらみにブログ記事はこちらから。いつまで公開されるかは不明ですがとりあえず現時点(2019年1月20日)ではダウンロードできる模様です。
廃盤音源がネット上で高値で売買されている状況はよく見受けられます。権利の問題や初期の音源のため内容が拙く、ミュージシャンにとってあまり流通させたくないという事情もあるのでしょうが、ただ、無駄に値段がつりあげられ、音源を聴きたいファンが聞けず、一部の転売屋のような人たちに必要以上に利益が入ってくるような状況は、確かに以前から悲しく感じていました。それだけに今回の鬼龍院翔の決断は実に素晴らしい!「無料配布」とは言わないまでも、ネットなどで簡単に音源をリリースできるようになった今、これに続いてくれるミュージシャンがどんどん出てくるとうれしいのですが・・・。
そんな訳で私もさっそく彼らの廃盤音源をダウンロード。聴いてみることにしました。
Title:音楽が僕らを駄目にする
Musician:ゴールデンボンバー
こちらは2006年にリリースした、彼らにとって初となるCD音源。こういう形でリリースしていただいてこういう感想を言うのは大変申し訳ないのですが・・・正直言うと、かなりキツイ。サウンド的にはヘヴィーメタル風のサウンドにのせて、今の彼らにも通じる、哀愁感あるメロで歌い上げるのですが、サウンドは打ち込みメインでかなりチープですし、なによりもバックのサウンドとボーカルのバランスが悪すぎる。無駄にヘヴィーなサウンドが前に出ていて(それもサウンド的にはチープで音もかなり悪い)、歌は後ろでぼそぼそ歌っている感じ。聴いていて結構厳しいものがありました。
「スッピン!」みたいに後の彼らにも通じるようなインパクトあるフレーズとユニークな視点の歌詞が既にこのアルバムでも見て取れるのですが、このアルバムの内容で後の彼らの活躍を予想できたとしたら、その眼力は相当なものだと思います。ゴールデンボンバー関連の音源ならなんでも聴きたいような熱心なファン以外は聴く必要はないかと。
評価:★★
Title:The Golden J-POPS
Musician:ゴールデンボンバー
こちらは2007年リリースの音源。前作からわずか1年のスパンなのですが、この1年になにが起きたのか、と思われるほど内容がよくなっています。正直言って、打ち込みはかなりチープですし、前作同様のバランスが悪い部分もチラホラ。ただ、今のゴールデンボンバーに通じるような歌謡曲テイストの強い哀愁感たっぷりのメロディーと、彼ららしいユニークな視点の歌詞の曲が並んでおり、サウンドのバランスも前作よりよくなった結果、歌詞と歌が耳に入るようになってきています。
特に「恋人は韓国人」や「HEN」などは歌詞自体はさほどコミカルではないものの、題材と目のつけどころがユニークで後の彼らの活躍を彷彿とさせるような楽曲。このアルバムでは間違いなくゴールデンボンバーとしての個性を確立してきているといっていいでしょう。
出来としてはやはりまだ粗削りな部分が多く、素人に毛が生えた程度といった感は否めないのですが、こちらはファンならば聴いて損はない内容かと。今回の配信を機に、興味ある方は是非。
評価:★★★
Title:恋愛宗教論
Musician:ゴールデンボンバー
どこかで見たことあるようなジャケット(少女漫画「花とゆめ」コミックスの表紙のパロですね)が印象的な本作は、上記「The Golden J-POPS」と同日発売のアルバム。そのため基本的には「The Golden J-POPS」と同じ雰囲気のアルバムで、サウンドもチープですし、いろいろな面で未熟さは否めません。
ただ、オチがユニークな「まさし」や強烈な歌詞がユニークだけどどこか心境的にわかるような「元カレ殺ス」、さらにヘヴィーなサウンドの中でタイトルを連呼するだけの非常にユニークな「童貞が!」など、「The Golden J-POPS」に比べるとよりユニークな楽曲が並んでおり、ジャケットのユーモラスさも含めて、今のゴールデンボンバーにより通じる作風となっていました。
こちらもファン以外には厳しい部分はあるかもしれませんが、ファンにとってはむしろ要チェックなアルバムかも。いや、ファンでなくても楽しめる部分は間違いなくあった作品であり、彼らの魅力がきちんと出ているアルバムになっていました。
評価:★★★
そんな訳で、ファンにとっては非常にうれしい今回の廃盤音源の無料配布。以前からゴールデンボンバーはいろいろな意味でユニークな活動を次々と行うクレバーなグループだな、と思っていたのですが、今回のこの無料配布も、まさに彼らのクレバーな側面を垣間見たものでした。上にも書いたのですが、他のミュージシャンもあとに続いてくれないかなぁ・・・。
ゴールデンボンバー 過去の作品
ゴールデン・アワー~下半期ベスト2010~
ゴールデン・アルバム
NO MUSIC NO WEAPON
キラーチューンしかねえよ
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