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2019年1月

2019年1月31日 (木)

ちょっと懐かしい名前

今週のHot Albums

http://www.billboard-japan.com/chart_insight/

今週1位はちょっと懐かしい名前のグループが獲得しました。

今週1位を獲得したのはBACK STREET BOYS「DNA」。1990年代後半から2000年代前半にかけて一世を風靡したアメリカの5人組男性アイドルグループ。コンスタントに活動は続けていたようですが、ここ最近はあまり名前を聞く機会が少なくなってしまいました。しかし、約5年半ぶりとなる本作ではCD販売数、ダウンロード数いずれも1位を獲得し、見事初登場1位に輝き、その人気を見せつけました。ちなみにオリコン週間アルバムランキングでは初動売上2万5千枚で2位初登場。前作「In a World Like This」の3万8千枚(4位)からダウンしています。

2位は星野源「POP VIRUS」が先週から変わらず2位をキープ。CD販売数は5位にダウンしてしまいましたが、ダウンロード数は2位、PCによるCD読取数では6週連続の1位をキープしており、まだまだその強さを感じさせる結果となっています。

さらに3位も先週から変わらず。QUEEN「ボヘミアン・ラプソディ(オリジナル・サウンドトラック)」がベスト3をキープ。ダウンロード数は1位から3位にダウンしたものの、一方、CD販売数は4位から2位にアップ。また。彼らのベスト盤「クイーン・ジュエルズ」も先週から変わらず7位をキープ。まだまだQUEEN旋風は吹き荒れそうです。

続いて4位以下の初登場盤です。まず5位に電気グルーヴ「30」が初登場でランクイン。CD販売数3位、ダウンロード数10位、PCによるCD読取数33位。ここ最近、5年毎にリリースしている「〇周年記念」のアルバムの一環で、タイトル通り、30周年記念の1枚。しかし、電気グルーヴがまさか30年も続くとは・・・。ちなみにオリコンでは初動売上8千枚で4位初登場。前作「TROPICAL LOVE」の1万枚(7位)からはダウンしています。

8位初登場は韓国の男性アイドルグループSEVENTEEN「YOU MADE MY DAWN」が初登場でランクイン。ダウンロード数4位、PCによるCD読取数35位で見事ベスト10入り。ちなみにオリコンでは初動売上4万7千枚で1位を獲得。韓国盤で日本では輸入盤のみのリリースなのですが、ビルボードではCD販売数はランク圏外。ビルボードは輸入盤はカウントしていないということでしょうか?前作の同じく韓国盤「YOU MAY DREAM」の3万5千枚(4位)からアップしています。

今週、ベスト10圏外からの返り咲きも1枚。9位にMr.Children「重力と呼吸」が先週の34位からランクアップし、11月19日付チャート以来、11週ぶりのベスト10返り咲きとなりました。これはランキング対象週にデジタルダウンロードのリリースがあった影響。ダウンロード数は6位にランクインし、一気にベスト10にランクイン。相変わらずのミスチルの強さを感じさせました。

ほかにロングヒット組では米津玄師「BOOTLEG」は先週の5位から再び4位にランクアップ。CD販売数は8位から10位、ダウンロード数は3位から5位、PCによるCD販売数は2位を変わらずキープという結果になりましたが、総合順位ではワンランクアップとなっています。

今週のHot Albumsは以上。チャート評はまた来週の水曜日に!

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2019年1月30日 (水)

ここに来て5週連続1位!

今週のHot 100

http://www.billboard-japan.com/chart_insight/

驚きの5週連続1位です。

今週、米津玄師「Lemon」が1位を獲得。なんと驚きの5週連続1位となりました。先週まで1位だったPCによるCD読取数は2位、Twitterつぶやき数は12位にダウンしてしまいましたが、ダウンロード数、You Tube再生回数、カラオケ歌唱数は先週から変わらず1位をキープ。CD販売数も先週から変わらず8位にランクインしており、見事5週連続の1位に輝きました。ちなみに「Flamingo」も7位から8位にワンランクダウンながらもベスト10ヒットを続けており、2曲同時のランクインが続いています。

2位初登場はAqours「僕らの走ってきた道は・・・」がランクイン。「ラブライブ!サンシャイン!!」から生まれたアニメキャラによるアイドルグループ。オーケストラアレンジのストリングスにホーンセッションまで加えた、これでもかというほど音を積み重ねたサウンドはいかにもJ-POP的。CD販売数及びPCによるCD読取数は1位を獲得したものの、ダウンロード数は7位、Twitterつぶやき数は90位にとどまり。総合ではこの位置に。オリコン週間シングルチャートでは初動売上7万4千枚で1位獲得。前作「Thank you,FRIENDS!!」の9万8千枚(3位)からはダウンしています。

3位には先週6位の宇多田ヒカル&スクリレックス「Face My Fears」が2ランクアップでベスト3入り。CD販売数は5位から13位にダウンしたものの、ダウンロード数は3位から2位に、ストリーミング数は33位から6位に大きくアップ。さらにラジオオンエア数では見事1位を獲得し、総合順位ではランクイン2週目にして見事ベスト3入りを果たしました。

続いて今週の初登場曲ですが、今週、初登場は1曲のみ。5位にAAAの末吉秀太ことShuta Sueyoshi feat.ISSA「Over"Quartzer"」が先週の86位からCDリリースにあわせて大きくランクアップしベスト10入りです。テレビ朝日系「仮面ライダージオウ」主題歌。ミュージシャン名通り、「U.S.A.」で再ブレイクしたDA PUMPのISSAが参加した作品になっています。CD販売数では2位を獲得したものの、ダウンロード数は9位、ストリーミング数は87位いとどまり、ほかもPCによるCD読取数9位、Twitterつぶやき数22位、You Tube再生回数54位となり総合順位はこの位置に。ちなみにオリコンでは初動売上2万8千枚で2位初登場。これがCDでは初となるシングルとなります。

そして今週もロングヒット曲が多くランクイン。まずあいみょん「マリーゴールド」は先週から変わらず4位をキープ。「今夜このまま」は先週の8位からワンランクアップの7位となっています。相変わらずストリーミング数では「マリーゴールド」1位「今夜このまま」は2位という1、2フィニッシュ状態。CD販売数では「マリーゴールド」が73位と奮いませんが、ダウンロード数は「マリーゴールド」で6位、You Tube再生回数は「マリーゴールド」3位、「今夜このまま」11位と、ネット中心でのヒットが続いています。

またDA PUMP「U.S.A.」は先週の5位から6位にダウン。ただこちらもストリーミング数は7位をキープ。You Tube再生回数、カラオケ歌唱数は2位をキープしており、まだまだ根強い人気が続いています。

今週のHot100は以上。明日はHot Albumsの紹介。

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2019年1月29日 (火)

初の武道館ワンマンを臨んで

Title:話半分
Musician:般若

最近はテレビ朝日のバラエティー番組「フリースタイルダンジョン」への出演などで一気に知名度を上げたラッパー、般若。今年1月11日になんと武道館ワンマンライブを実施。見事成功を収めました。そんな彼が約1年9ヶ月ぶりにリリースしたニューアルバムはラストに「ぶどうかんのうた」を収録しているなど、明確に武道館ワンマンを意識した内容に。その武道館に至るまでの彼の人生を振り返るという、テーマ性の強いアルバムに仕上がっていました。

まずアルバムの1曲目「ここにいる」「気が付いたらここにいた」というリリックからスタート。まさに「今の自分」について綴ったリリックが印象的で、まずアルバムのスタートとして、自分の現在位置を確認する曲からスタートしています。そして前半で印象に残るのが「素敵なTomorrow」。彼の過去を振り返るリリックなのですが、いじめられていた過去の赤裸々に告白。エロ歌詞をからめたコミカルなリリックを含ませつつ、最後は前向きなメッセージで締めくくる印象的な曲に仕上げています。

昨年発売された自伝と同じタイトルの「何者でもない」もピアノでしんみり聴かせるトラックも印象的な本作も、いままでのラッパーとしての自分を振り返る歌詞。また「家訓」も自らの子どもに対するメッセージソング。こちらも父親としての般若の姿を感じる歌詞で、同じ子どもを持つ父親としては心に来るものがあります。

さらに後半で印象的なのは「3時56分」。彼のある種の死生観と決意を感じさせるリリックが印象的で、そのラップがのる哀しげなトラックも印象に残る楽曲に。そしてラストはまさにタイトル通り、武道館ワンマンに挑む決意を歌う「ぶどうかんのうた」で締めくくり。まさに今回のアルバムはこのラストに収れんすべく構成された内容になっており、アルバム通じてこの流れも強く印象に残る作品に仕上がっていました。

武道館でのワンマンライブというのはミュージシャンとして間違いなく今でも大きな目標となっています。ただ、その武道館ライブにここまでの決意をもって臨むミュージシャンも少ないのではないでしょうか。それだけ彼の武道館ワンマンに臨む意気込みがヒシヒシと伝わってくるアルバム。また昨年はベストアルバムもリリースしたように、彼にとってもこの武道館ライブを大きな区切りと考えているようで、その中でまさにラッパーとしての彼を総括したアルバムと言えるでしょう。

トラック的には決して目新しいものはなく、あくまでもラップ自体で勝負しているのも相変わらず彼らしいところ。しっかりと日本語が耳に入ってくるラップも強く印象に残ります。ちなみに一方では「虎の話(あわよくば 隙あらば 俺だけが) 」のようなコミカルなエロネタの曲もあったりするのも楽しかったりします。とにかく、彼の決意が強く伝わってくる傑作アルバム。武道館ワンマン、残念ながら足を運べなかったのですが、行きたかったなぁ。

評価:★★★★★

般若 過去の作品
ドクタートーキョー
HANNYA
グランドスラム
THE BEST ALBUM


ほかに聴いたアルバム

ギリ平成/キュウソネコカミ

タイトルもユニークなキュウソネコカミのニューアルバム。社会現象などをユニークに切り取った歌詞と、シンセを中心に入れて疾走感あるパンクロックはいままでの彼らどおり。インパクトある楽曲も多く、いわゆるフェス向けな機能に特化したような曲もあり、フェスでは盛り上がりそうな印象も。ただ、楽しい歌詞とメロディーラインは最後まで飽きさせない魅力的な内容ではありました。

評価:★★★★

キュウソネコカミ 過去の作品
チェンジ ザ ワールド
ハッピーポンコツランド
人生はまだまだ続く
キュウソネコカミ -THE LIVE-DMCC REAL ONEMAN TOUR 2016/2017 ボロボロ バキバキ クルットゥー
にゅ~うぇいぶ

LOVE PSYCHEDELICO Live Tour 2017 LOVE YOUR LOVE at THE NAKANO SUNPLAZA/LOVE PSYCHEDELICO

タイトル通り、2017年11月24日に行われた「LOVE YOUR LOVE」を引っ提げての全国ツアー“LOVE PSYCHEDELICO Live Tour 2017 LOVE YOUR LOVE”のツアーファイナル、中野サンプラザホール公演の模様を収録したライブアルバム。ベテランらしい安定感のある演奏で、LOVE PSYCHEDELICOらしい、60年代や70年代の雰囲気をたっぷりと感じされるステージがCDを通じてでも楽しめるライブ盤になっていました。

評価:★★★★

LOVE PSYCHEDELICO 過去の作品
This Is LOVE PSYCHEDELICO~U.S.Best
ABBOT KINNEY
IN THIS BEAUTIFUL WORLD
LOVE PSYCHEDELICO THE BEST I
LOVE PSYCHEDELICO THE BEST Ⅱ

15th ANNIVERSARY TOUR-THE BEST-LIVE
LOVE YOUR LOVE

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2019年1月28日 (月)

突然の引退

昨年あった音楽関連のニュースの中で、間違いなく音楽ファンの大きな話題となったのがぼくりりことぼくのりりっくのぼうよみの活動休止のニュースでしょう。9月21日に出演した日テレ系ニュース番組「NEWS ZERO」の中で突然、活動休止を宣言。衝撃を与えました。そんな彼がラストにしたのが今回紹介するベストアルバムと最後のオリジナルアルバムです。

Title:人間
Musician:ぼくのりりっくのぼうよみ

「ぼくのりりっくのぼうよみ」、この少々奇妙な名前のミュージシャンはもともと動画サイトのニコニコ動画への動画投稿から話題となったミュージシャンでした。そんな彼は2015年にメジャーデビュー。当時、まだ17歳だった彼は、現役高校生ミュージシャンとしても大きな話題となりました。

デビュー当初からその文学的要素の強い歌詞と完成度の高いトラックから「天才」の呼び声も高かった彼。それだけにデビューからわずか3年での「引退」は大きな衝撃を持って迎えられた訳ですが、今回リリースされたベスト盤を聴くと、「天才」と呼ばれた高い評価の理由もよくわかるように思います。

一般的には「ラッパー」と呼ばれることも多く、確かに楽曲にはラップの要素も強く入っているのですが、サウンドにはHIP HOP的な要素はあまり強くなく、ジャズ、ソウルの要素を取り入れたAORの色合いの強いメロウなポップチューンがほとんど。様々な音楽的要素を取り込んだサウンドは、まだ10代とは思えない大人びた才能を感じさせます。また、どの曲もポップなメロディーが流れており、HIP HOPリスナーだけではなく、ブラックミュージックのリスナーなポップス好きにも訴求力のある楽曲が楽しむことが出来ます。

歌詞の世界も「文学的」と言われるものの決して小難しい訳ではなく、楽曲のテーマ性は比較的わかりやすく、聴きやすい内容になっています。ただし、決してJ-POP的な単純な内容にはなっておらず、しっかりと聴かせる内容に。この歌詞についても10代らしからぬ才能を感じることが出来ます。

また今回、突然の引退の理由として「できあがった他の人たちの中にある偶像に自分が支配されちゃうことにすごく耐えられない」と語っていました。今回のベスト盤の歌詞を見ると、この「本当の自分」「他人から見た自分」ということをテーマとしたような歌詞が散見されます。例えば「Be Noble」では

「肩書もなにも取っ払ったら
最後に僕に何が残る?」

(「Be Noble」より 作詞 ぼくのりりっくのぼうよみ)

という歌詞が登場してきますし、「sub/objective」でも

「いつしか物を見ている自分を見るようになった
人からどう見えてんのか それだけ気にしてる」

(「sub/objective」より 作詞 ぼくのりりっくのぼうよみ)

と歌われており、彼自身、今回の引退の理由となった「自分の在り方」ということを以前から強く考えていたことを伺わせます。さらに「after that」では

「誰かの期待に応える必要なんてないよ
やりたいことがないんだったら 寝ていればいいよ」

(「after that」より 作詞 ぼくのりりっくのぼうよみ)

なんて歌詞は、まさに彼の引退の理由を裏付けるものではないでしょうか。

評価:★★★★★

そしてオリジナルアルバムとしてラストとなる「没落」はまさに引退していく彼の心境の吐露とも言うべき内容となっていました。

Title:没落
Musician:ぼくのりりっくのぼうよみ

本作はいきなり「遺書」という曲からスタート。爽やかでアップテンポな曲調とは裏腹に

「丹精込めて育てた偶像を
今日を持って破壊することに決めました」

(「遺書」より 作詞 ぼくのりりっくのぼうよみ)

とまさに今回の引退に至る心境をテーマとした歌詞が心に響いてきます。またジャジーなサウンドが爽やかさも感じる「二度と来ない朝」もタイトル通り、サウンドとは裏腹に歌詞がかなりへヴィーになっています。さらに中盤の「断罪」「人間辞職」もタイトル通り、ひたすら自らの罪を吐露するような、かなり重い歌詞に。まさに今の彼の状況と本来ありたいと願う彼の姿にズレが生じていることを、歌詞を通じて語り掛けています。

まさに「没落」というタイトルそのものの、非常に重い歌詞が今回のアルバム全体に流れています。確かにこの歌詞から読み取れる彼の心境をもってすれば、「引退」という選択肢には納得せざるを得ません。ただ一方で、エレクトロサウンドを積極的に用い、全体的にはソウルやジャズの要素を入れてメロウにまとめあげているトラックは爽やかさを強く感じ、パッと聴いた感じではさほど重さを感じず、さらっと聴けてしまいます。ここらへん、あくまでもポップという主軸を失わずアルバムをまとめあげているのも彼の実力、そしてバランス感覚の良さと言えるかもしれません。

ただ最後を飾る「超克」は現状を破壊しようと歌いつつも、ラストは

「誰も 見たことのない 景色が見たい
まっさらな雪
身を焦がす炎のなかで
真っ青な未来を見る」

(「超克」より 作詞 ぼくのりりっくのぼうよみ)

と、次につながる未来を感じさせる、どこか明るいラストで締めくくっています。

アルバム全体としてテーマ性があり統一感がある作品。まさに今回の引退に至った心境をそのまま描いた重い内容になっていながらも、爽やかなトラックやポップなメロ、そして未来を感じさせるラストに救われる形で、いい意味で聴きやすいアルバムになっていました。

ある意味、ぼくりりの集大成的なものも感じるアルバムで、間違いなく彼のアルバムの最高傑作に仕上がっていたのではないでしょうか。あたためて彼が「天才」と称される理由のわかるアルバム。そのトラックを含めて、非常に完成度の高い作品に仕上がっていました。

評価:★★★★★

本作で「ぼくのりりっくのぼうよみ」としての活動に幕を下ろした訳ですが、ただ個人的には彼はまた「ぼくりり」とは別名義で、比較的早く音楽シーンに戻ってくるのではないでしょうか。ある意味、これだけ音楽に自分の心境を吐露している彼にとっては既に音楽は自分をさらけだすなくてはならない「表現」になっているはず。一時的に活動を停止しても、その「表現したい」という気持ちは徐々に膨らんでいくように思います。それだけに「ぼくりり」名義を投げ捨ててからの彼の新たな表現に期待したいところ。首を長くして、来るべく「その日」を、ただ待っていたいと思います。

ぼくのりりっくのぼうよみ 過去の作品
hollow world
Parrot's paranoia

Noah's Ark
Fruits Decaying


ほかに聴いたアルバム

GRRRLISM/あっこゴリラ

名前だけでインパクトがある女性ラッパーによるソロデビュー作。実は彼女、以前、「HAPPY BIRTHDAY」という女性ロックバンドでメジャーデビューを果たしており、今回、ジャンルをロックからHIP HOPに移しての再デビューとなりました。

このHAPPY BIRTHDAYというバンド。デビューの頃は「女版銀杏BOYZ」みたいに言われてちょっと話題になったバンドでした。あっこゴリラも女性の本音を切り取ったリリックが大きな特徴となっており、そういう意味ではHAPPY BIRTHDAYの延長線上と言えるかもしれません。楽曲は全体的にリズミカルで聴きやすい内容だったのですが、ただ正直、歌詞は「売り」の割にはインパクトあるフレーズがあまりなく、ちょっと物足りなさを感じてしまいました。

実はHAPPY BIRTHDAYというバンド、アルバムを聴いたことはなかったのですが、一度ライブを見たことがあります。その時も歌詞のインパクト不足を感じてしまい、悪くはないけど、と感じた覚えがあります。今回のアルバムに関しても残念ながらその傾向は悪い意味で引き継いでしまった感が。ただリズミカルで楽曲自体のインパクトはそれなりにあり、また珍しい女性ラッパーということもあって、今後に期待したいラッパーではあります。これからの期待といった感じでしょう。

評価:★★★★

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2019年1月27日 (日)

暖かいメロと歌詞が際立つ

Title:Stray Dogs
Musician:七尾旅人

今年、デビュー20周年を迎える七尾旅人の、オリジナルアルバムとしてはなんと約6年4ヶ月ぶりとなるニューアルバム。七尾旅人といえばデビュー時は「天才、現る」という呼び声も強く、高い評判となったことをよく覚えています。それから早くも20年。いやはや早いなぁ・・・という印象を受けてしまいます。もっともデビュー時の彼の作品は正直言ってポップな要素よりもアバンギャルドな要素が強すぎて、個人的には違和感が先に立ってしまったことを覚えています。

そんな彼の作品でしたが、前々作「billion voices」より、まずはメロディーの良さを前に押し出した曲を多くリリースしてくるようになりました。そして前作「リトルメロディ」はタイトル通り、ポップなメロを前に押し出したアルバム。いままでの七尾旅人には少々距離を感じていた私にとって文句なしにはまれる傑作のポップアルバムになっていました。

今回のアルバムに関しても、基本的には前作と同様、メロディアスで暖かさを感じるメロディーが主体となるポップなアルバムとなっていました。1曲目「Leaving Heaven」は歌詞とメロともに暖かさと切なさを感じるフォーキーなナンバーからスタート。続く「Confused baby」もちょっと80年代テイストなエレクトロナンバーながらも都会で自分を見失いそうになる女性へのエールともいえるポップで優しい視点を感じる曲に仕上げています。

郷愁感あふれるメロと歌詞が胸をうつ「スロウ・スロウ・トレイン」も耳を惹きますし(「湘南新宿ライン」が登場する歌詞を含めて、ちょっとくるりっぽい感じも(^^;;)、ピアノとアコギでジャジーに聴かせる「Almost Blue」もとてもしんみり聴かせる美しいナンバーに仕上げています。

後半もサビの連呼に力強い彼なりのエールを感じる「きみはうつくしい」も強い印象を受けますし、和風なサウンドの「蒼い魚」にラストを飾る「いつか」のアコギとピアノで聴かせる美しいサウンドとメロも心をうちます。基本的にどの曲も日本語でしっかりと聴かせる、郷愁的で美しい歌詞が載っており、その美しく聴かせるメロディーラインとあわせて、シンプルな歌が胸をうつ曲が並んでいます。

ただ一方でどの曲も微妙に曲の雰囲気を変えてきているのが、彼のその実力を感じさせます。フォーキーなナンバーからエレクトロチューン、ジャジーなナンバーなどなど、全体的にアコースティックなテイストのポップなナンバーが多いものの、同時に幅広い楽曲のバリエーションも感じさせます。特に「Across Africa」などアフリカ音楽の要素を全編的に取り込んだ曲を中盤に配しており、この構成により楽曲のバラエティーがより強調される展開に。彼らしい挑戦的な要素もしっかりとアルバムの中に感じられました。

前作「リトルメロディ」も文句なしの傑作アルバムだった彼ですが、今回のアルバムも前作に引き続き、2018年の最後にリリースされた2018年を代表するアルバムの1枚になったと思います。「天才」という呼び声の高かったデビュー当初。20年たった今でもその「呼び声」に偽りはなかったと強く感じることが出来た作品でした。

評価:★★★★★

七尾旅人 過去の作品
billion voices
リトルメロディ


ほかに聴いたアルバム

Songs Of The Living Dead/Ken Yokoyama

ここ最近、ハイスタとしての活動に自らのソロ名義での活動にと積極的な活動が続くKen Yokoyama。本作はいままでコンピレーションやオムニバスアルバムなどに収録してきた曲をまとめた「セルフ・コンピレーションアルバム」。新曲が収録されているほか、数多くのカバー曲も収録された本作は、いつもの彼らしいポップスパンクの曲も多く収録しつつ、もっとポップ寄りの曲、横ノリのナンバー、ガレージロック、などなど、よりバリエーションのある内容になっており、Ken Yokoyama名義のオリジナルアルバムとはちょっと異なった方向性を楽しむことが出来ます。Ken Yokoyamaの多彩な音楽性も知ることが出来るコンピ盤でした。

評価:★★★★★

Ken Yokoyama 過去の作品
Four
Best Wishes
SENTIMENTAL TRASH
Ken Yokoyama VS NUMBA69(Ken Yokoyama/NAMBA69)

BADHOP ALLDAY vol.2/BAD HOP

今やラップグループとしての評価、人気ともに最高潮に達しているBAD HOP。昨年11月にはなんと武道館ワンマンを成功させています。そして、その時に来場者全員に配布されたのが本作のCD。その後、配信オンリーでリリースされ、ライブに参戦していなくても聴くことが出来るようになりました。

基本的に今風なトラップ風のサウンドで、タイトル通り、BAD HOPの仲間たちとのことを綴ったリリックが特徴的。全体的にダークな作風になっており、BAD HOPのいままでの作品の延長線上のような作品となっています。それだけにファンにとっては満足度のある内容だったと思うのですが、ただ一方で耳に残るようなインパクトあるフレーズやリリックは少なかったような。武道館での無料配布というスタイルからして、よりファン向けという作品なのかもしれませんが、ちょっとインパクトの弱さを感じてしまいました。

評価:★★★★

BAD HOP 過去の作品
BAD HOP 1DAY
Mobb Life
BAD HOP HOUSE

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2019年1月26日 (土)

前作同様、豪華コラボが話題に

Title:私的旅行
Musician:DAOKO

米津玄師とコラボ作「打上花火」の大ヒット。さらにそれに続き昨年末は紅白歌合戦への出演と、2017年から2018年にかけてのDAOKOは大きな飛躍の年となりました。そしてそんなDAOKOのニューアルバムが前作「THANK YOU BLUE」からわずか11ヶ月という短いスパンで早くもリリースとなりました。

その前作「THANK YOU BLUE」は様々なミュージシャンとの豪華なコラボが大きな話題となりましたが、続く本作でも数々の大物ミュージシャンとのコラボが大きな特徴となっています。1曲目「終わらない世界で」は小林武史作曲・編曲・プロデュースによる作品。サビの部分で転調した上で、半音階を上手く使いつつ切なさを醸し出しながらも爽やかに聴かせるメロディーラインは往年のMy Little Loverを彷彿とさせ個人的に壺。コバタケらしいメロディーもDAOKOのウィスパー気味のクリアボイスにピッタリとマッチしています。(サビの部分だけちょっと浮いちゃっているのは悪い意味でのコバタケらしい感じなのですが)

さらに続く「ぼくらのネットワーク」はちょっと聴けばすぐわかる中田ヤスタカサウンド。彼女のボーカル含めてちょっときゃりーぱみゅぱみゅっぽいのはご愛嬌。これもまた、ヤスタカサウンドがDAOKOともピッタリとマッチしています。

ほかに「サニーボーイ・レイニーガール」はいきものがかりの水野良樹が作曲を手掛けていますし、和風なサウンドがユニークな「蝶々になって」は、以前紹介した「合成音声ONGAKUの世界」にも参加した注目のボカロP、羽生まゐごが作曲編曲で参加。そしてラストの「NICE TRIP」はBOOM BOOM SATELLITESの中野雅之が作曲編曲プロデュースで参加。ブンサテを思い起こすようなトランシーなエレクトロチューンを聴かせてくれています。

そんな訳で前作と同様、豪華なミュージシャンを数多く迎えて様々なタイプのポップチューンを並べたアルバム。DAOKOのボーカルは透明感のあるウイスパー気味のスタイルなのですが、良くも悪くも癖がなく、そのため様々なタイプの音楽とも容易に結びつくことが出来、それがこれだけ豪華なアルバムを生み出す最大の要因となっています。

前作からわずか11ヶ月というスパンにも関わらず、再びこれだけ豪華なミュージシャンとコラボが出来た点、今の彼女の勢いを感じることが出来ます。ただ一方で気になる点は前作と同様。コラボ相手のミュージシャンに頼りすぎており、彼女の色がいまひとつ出せていない点。DAOKOとしての色や癖が薄く、ボーカリストとして自由度が高いのが彼女の魅力ではあるのですが、一方で今後、豪華なミュージシャンとのコラボが簡単に出来なくなってくると、一気にアルバムのクオリティーが下がってしまう、そんな心配を抱いてしまいます。

本作に関しては前作同様、弱点を上回るクオリティーを持つ傑作に仕上がっていたとは思います。ただ、気になる点も。今回、米津玄師とのコラボ曲「打上花火」をわざわざソロバージョンとして再度収録している点。端的に言ってしまえばネタ切れでは?この点についてはかなり気になりました。

ポップアルバムとしては文句なく楽しめた傑作アルバム。彼女の透明感あるボーカルにも気持ちよさがありました。ただ、次回作に向けていろいろと気になる部分も多かった作品で、この勢いが今年も続けることが出来るのでしょうか?ある意味、2019年はDAOKOにとって正念場の1年になりそうです。

評価:★★★★★

DAOKO 過去の作品
DAOKO
THANK YOU BLUE


ほかに聴いたアルバム

レインボーサンダー/ザ・クロマニヨンズ

ここ最近、ちょうど1年おきにアルバムをリリースしているクロマニヨンズの、こちらもちょうど1年ぶりとなるニューアルバム。これが12枚目のアルバムとなり、既にブルーハーツやハイロウズよりも長いキャリアとなったクロマニヨンズですが、バラエティーある曲調が特徴的だった前作とは異なり、シンプルなロックンロールが並ぶアルバムになっています。ある意味、ベテランらしく、無駄な部分を一切そぎ落としたロックンロールといった印象も。このメンバーで12年間活動を続けたからこそたどりついた1枚という印象を受ける作品でした。

評価:★★★★★

ザ・クロマニヨンズ 過去の作品
CAVE PARTY
ファイヤーエイジ
MONDO ROCCIA
Oi! Um bobo
ACE ROCKER
YETI vs CROMAGNON
ザ・クロマニヨンズ ツアー2013 イエティ対クロマニヨン
13 PEBBLES~Single Collection~
20 FLAKES~Coupling Collection~
GUMBO INFERNO
JUNGLE9
BIMBOROLL
ラッキー&ヘブン

週刊少年ジャンプ50th Anniversary BEST ANIME MIX vol.3

創刊50周年を迎えた人気漫画週刊誌「週刊少年ジャンプ」のテレビアニメの主題歌や挿入歌などを集めたノンストップミックスアルバム第3弾。さすがに第1弾、第2弾に比べると万人が「アニメソング」として認識してそうな定番曲は少なくなってきて、ネタ切れ気味なのは否めないのですが、それでもPENICILLINの「ロマンス」やPSY・Sの「Angel Night~天使のいる場所~」、さらに「ストップ!!ひばりくん!」など、まだ残っていたのかぁ、と懐かしく感じられる曲もチラホラ。全体的にはあまりアニソンとイメージできないような曲がメインになってしまった感はあるのですが、それでもいい意味でアニソンらしいインパクトあるポップチューンが並んでおり、J-POPのDJミックスアルバムとしても楽しむことが出来る作品になっていました。

評価:★★★★

週刊少年ジャンプ50th Anniversary BEST ANIME MIX vol.1
週刊少年ジャンプ50th Anniversary BEST ANIME MIX vol.2

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2019年1月25日 (金)

その「名前」を聞く機会は多いのですが・・・

Title:Spectra ~30th Alltime & Collaboration Best~
Musician:高野寛

高野寛というミュージシャン、その名前を聞く機会が非常に多いミュージシャンの一人です。Nathalie Wiseやpupaといったバンドへの参加や数多くのミュージシャンへのサポートやゲストなどに多く参加しており、高野寛という名前は様々な場面でよく遭遇します。一方、肝心の彼自身の曲に関しては、どんな曲を歌っていたのか、あまり強い印象を持っていません。実は高野寛自身のアルバムについてはいままで一度も聴いたことなく、今回、タイトル通り彼のデビュー30周年を記念したオールタイムベストがリリースされ、これを機に、はじめて彼自身の曲について聴いてみました。

ちょっと悪い言い方をしてしまうと、高い知名度の割に地味という印象を否めない彼ですが、今回ベスト盤を聴いてみても、この「地味」という印象を強く受けてしまいました。彼自身の最大のヒット曲は1990年にリリースされた「虹の都へ」という曲。この曲については確かに聴いたことがあり、「この曲は高野寛の曲だったのか」と今回はじめて気が付きました。ただ正直言うと、全体としてインパクトあるキャッチーなサビを持つような曲は少なく、全体的な印象の薄さは否めません。

一方で楽曲的には幅広い音楽性を感じさせる曲が並んでおり、雑食性を感じさせます。この幅広い音楽性もまた、高野寛の音楽的なイメージをぼやけさせて「地味」という印象を強調する要素になっているようにも思われます。例えば初期の作品はAOR的な要素を強く感じるのですが、「相変わらずさ」ではボッサ風なサウンドを入れてきたり、「Moon Shadow」ではブルースロック風に仕上げてきたり、「新しいカメラ」ではラウンジ風だったり。

ほかにも「Time Drop」はギターロック的な要素に打ち込みの音を入れてきていたり、「(それは)Music」はジャジーに仕上げてきていたり、さらに「Everything is good」はフォーキーにまとめあげたりしています。「高野寛はどんなジャンルのミュージシャンか」と言われた時に、その幅広い音楽性からひとこと「ポップ」としか答えられようがなく、それもまた彼のイメージをぼやかしている要因にも感じました。

ただ、一方ではこの幅広い音楽をどれもしっかりと自らのものとして取り入れており、音楽的な素養の高さも強く感じます。確かにインパクトあるサビもあまりありませんし、「売れ線のポップ」という観点からすれば地味な印象も否めませんが、バラエティーある音楽性のためこのベスト盤も最後まで飽きることなく楽しめる内容になっており、1曲1曲クオリティーの高い作風がつまっています。

またこの高い音楽的な素養と、そしてミュージシャンとして強烈な色を持っていないという点が、彼がサポートやゲストとして様々なミュージシャンから引っ張りだこである大きな理由のように感じさせます。変に強い色がないからこそ、様々なミュージシャンとのコラボも違和感なくおさまることが出来、実際、今回のベスト盤でもDisc3にそんなコラボ作が収録されているのですが、忌野清志郎や坂本龍一、田島貴男や大貫妙子といった個性の強いミュージシャンたちとのコラボも違和感なくこなしています。もちろん、「色が薄い」だけではなく彼自身が実力あるミュージシャンだから、という点は言うまでもない事実でしょうが。

そんな訳で、確かに「地味」という印象はこのベスト盤からも強く感じてしまいましたが、ミュージシャンとしての確かな実力も同時に感じることが出来た今回のベスト盤。しっかりと聴くと、魅力がしっかりと伝わる曲ばかりで、彼が多くのミュージシャンから支持を受けているのも強く納得できます。次はオリジナルアルバムも聴いてみようかなぁ。これからも高野寛の名前を聞く機会はますます増えていきそうです。

評価:★★★★★


ほかに聴いたアルバム

Virgin Graffiti/シャムキャッツ

その高い音楽性で注目を集める4人組ロックバンドの5枚目となる新作。メロウとフォーキーさを同居させたようなその作風は、サニーデイ・サービスと大きな括りでは同じベクトルを感じるものの、彼らの方がよりバンド然とした雰囲気を出しています。全体的には地味な印象が否めず、もうちょっと核になるような作品があれば良いようにも感じられるのですが、音楽的な偏差値は非常に高いバンドで、さらなる活躍が期待できそうな良作になっていました。

評価:★★★★★

シャムキャッツ 過去の作品
Friends Again

BLOW BLOW ALL NIGHT LONG/BLOODEST SAXOPHONE feat.BIG JAY McNEELY

ジャンプブルースで最高にカッコいい演奏を聴かせてくれるブラサキことBLOODEST SAXOPHONEの今回紹介する作品は、ジャンプ・ブルースを代表するアメリカのサックスプレイヤー、ビッグ・ジェイ・マクニーリーとの共演作。ビッグ・ジェイ・マクニーリーは昨年、91歳という大往生ながらも惜しまれつつこの世を去ってしまったため、これが最初で最後の共演となってしまったのですが、これが文句なしにカッコいい!タイトル通り、ブロウしまくる10曲は、まさにサックスを吹くまくる作品の連続でその息遣いがダイレクトに耳に入ってくる迫力ある演奏ばかり。ジャケット写真そのままにプレイヤーが音楽を通じて迫力ある会話をしている姿がそのまま浮かんでくるような作品になっており、最初から最後まで耳を離せません。これが最期になってしまったのが非常に惜しまれる素晴らしいコラボ作でした。

評価:★★★★★

Bloodest Saxophone 過去の作品
ROLLER COASTER BOOGIE

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2019年1月24日 (木)

5週連続はならず!

今週のHot Albums

http://www.billboard-japan.com/chart_insight/

先週まで4週連続1位だった星野源「POP VIRUS」。ただ今週は残念ながら2位にダウン。5週連続の1位とはなりませんでした。

代わって1位を獲得したのが女性5人組のボーカルグループ、Little Glee Monster「FLAVA」。昨年の紅白に2年連続で出演し、注目度も増している彼女たちですが、CD販売数1位、ダウンロード数5位、PCによるCD読取数14位で、総合順位は見事1位獲得です。オリコン週刊アルバムランキングでも初動売上5万2千枚を獲得し、1位獲得。彼女たちの1位獲得はシングルアルバム通じて初となります。ただし、初動売上は前作「juice」(2位)から横バイ。

3位はQUEEN「ボヘミアン・ラプソディ(オリジナル・サウンドトラック)」が先週からワンランクダウンでこの位置に。ただしダウンロード数は先週の2位から1位にアップ。PCによるCD読取数も9位から8位にアップしており、まだまだ根強い人気が続いています。彼らのベスト盤「クイーン・ジュエルズ」も先週から変わらず7位をキープしています。

続いて4位以下の初登場盤です。まず4位にKing Gnu「Sympa」が初登場でランクイン。CD販売数3位、ダウンロード数4位、PCによるCD読取数20位を記録。ロックにソウルやファンクの要素を加えた独特のミクスチャーロックサウンドで今、最も注目を集める若手バンドで、2枚目となるフルアルバムでいきなり大ブレイクとなりました。オリコンでも初動売上1万7千枚で4位にランクイン。まだまだこれから人気が伸びていきそうな予感のするバンドです。

6位初登場はLIP×LIP「どっちのkissか、選べよ。」がランクイン。動画サイトなどへの投稿で注目を集めたクリエイターユニットHoneyWorks全面プロデュースによるバーチャルアイドルユニットのデビュー盤。CD販売数は2位だったものの、ダウンロード数21位、PCによるCD読取数25位で総合順位ではこの位置に。オリコンでは初動売上1万8千枚で2位初登場。

9位にはavexのダンスグループAAAのメンバーである末吉秀太がShuta Sueyoshi名義でリリースしたソロアルバム「WONDER HACK」がランクイン。PC販売数6位、ダウンロード数17位、PCによるCD読取数圏外で総合順位はこの位置に。オリコンでは初動売上7千枚で7位初登場。前作「JACK IN THE BOX」の9千枚(9位)からダウンしています。

一方ロングヒット組では米津玄師「BOOTLEG」は先週の3位から5位にダウン。CD販売数は8位となりましたが、ただダウンロード数は3位、PCによるCD読取数は2位とまだまだ上位にランクインしており、ロングヒットはまだまだ続きそうです。

今週のHot Albumsは以上。チャート評はまた来週の水曜日に!

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2019年1月23日 (水)

なんと4週連続で1位

今週のHot 100

http://www.billboard-japan.com/chart_insight/

これで4週連続1位獲得です。

今週1位は先週から引き続き米津玄師「Lemon」。CD売上数は3位から8位、ラジオオンエア数は11位から46位までダウンしましたが、ダウンロード数、PCによるCD読取数、Twitterつぶやき数、You Tube再生回数、カラオケ歌唱回数でいずれも1位をキープ。見事4週連続の1位となりました。まだまだロングヒットが続きそうです。一方「Flamingo」は5位から7位にダウン。こちらは下落傾向が続いていますが、それでもダウンロード数及びYou Tube再生回数4位、PCによるCD読取数2位と、まだまだ強さを感じます。

2位にはV6「Super Powers」が初登場でランクイン。フジテレビ系アニメ「ONE PIECE」オープニングテーマ。「ONE PIECE」らしい疾走感のある爽やかなサウンドが耳を惹くナンバーとなっています。CD売上枚数は1位を獲得。PCによるCD読取数は3位、Twitterつぶやき数6位を記録しましたが、ラジオオンエア数は40位、その他は圏外となり総合順位ではこの位置となりました。オリコン週間シングルランキングでは初動売上10万枚で1位を獲得。前作「Crazy Rays」の8万1千枚(2位)からアップしています。

3位はAimer「I beg you」が先週の2位からワンランクダウンでこの位置に。CD販売数は1位から6位にダウンしたもののダウンロード数は2位をキープ。総合順位でもベスト3をキープしました。

続いて4位以下の初登場曲です。まず6位には宇多田ヒカル&スクリレックス「Face My Fears」がランクイン。スクレリックスは今、最も注目されているアメリカのエレクトロミュージシャンの1人で、宇多田ヒカルにとっても挑戦的なエレクトロナンバーとなっています。ただCD販売数は5位、ダウンロード数は3位、ストリーミング数は33位に留まり、売上面では残念ながらあまり芳しくないスタートとなっています。ほか、ラジオオンエア数9位、PCによるCD読取数15位、Twitterつぶやき数は70位に留まっています。オリコンでは初動売上1万2千枚で6位初登場。彼女、配信限定のシングルはコンスタントに発売していましたが、CDでのシングルリリースは2008年の「Prisoner Of Love」以来、約10年8ヶ月ぶりとなる作品。その前作の初動3万8千枚(2位)からは大きくダウンしてしまいました。

初登場最後は10位に天月-あまつき-「恋人募集中(仮)」がランクイン。天月はニコニコ動画での歌唱動画で人気を博したシンガー。いかにもアイドルのりの曲かと思っていたのですが、軽快なピアノポップが意外と聴きやすく、個人的には実は結構好みのタイプの曲かも(笑)。CD販売数は2位を獲得しましたが、ラジオオンエア数29位、PCによるCD読取数21位、Twitterつぶやき数11位に留まり、総合順位はこの位置に。オリコンでは初動売上2万5千枚で2位初登場。前作「Mr.Fake」の1万5千枚(6位)からアップしています。

さて、初登場曲は今週は3曲のみ。一方でロングヒット曲は相変わらずがんばっています。まずあいみょん「マリーゴールド」は先週の3位からワンランクダウンの4位。スクリーミング数は1位、You Tube再生回数も3位をキープしており、まだまだ根強い人気は続いています。「今夜このまま」は先週の6位からこちらも8位にダウンしましたが、こちらもストリーミング数は2位をキープ。まだまだ強さを感じます。

DA PUMP「U.S.A.」は残念ながら4位から5位にダウン。さすがに一時期のような強さはなくなりつつありますが、それでもストリーミング数は6位、You Tube再生回数は2位をキープ。中毒性ある曲なだけに、まだまだはまってしまっている人は少なくなさそうです。

今週のHot100は以上。明日はHot Albums!

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2019年1月22日 (火)

80年代を代表する歌姫の光と闇

最近、音楽系の話題映画の公開が相次いでいるように思います。今回、そんな話題の音楽系のドキュメンタリー映画を見てきました。

80年代に一世を風靡した歌姫、ホイットニー・ヒューストン。特に92年に公開された主演映画「ボディーガード」は大ヒットを記録し、同映画の主題歌でもあった「I Will Always Love You」も大ヒットを記録。日本でも180万枚という洋楽のシングルとしては異例となる大ヒットを記録。いまでもスタンダードナンバーとして親しまれている曲となっています。

ただし、彼女はその「ボディーガード」のヒットを頂点に、その後は薬物依存に陥り、2012年にわずか48歳という若さでこの世を去りました。大スターのあまりにも早い死は強い驚きを持って迎え入れられたことを覚えています。今回のドキュメンタリー映画はそんな彼女の生涯を追った作品。ホイットニー・ヒューストン財団初公認ということでも話題となりました。

今回のドキュメンタリー映画はある意味、この手のドキュメンタリーとしてはオーソドックスなスタイル。関係者のインタビューの合間に彼女の過去の映像などを入れて、彼女の生涯を追っていく構成になっています。特に晩年、彼女が薬物中毒に陥っていく理由について、衝撃的な証言も飛び出しており、まさに彼女の「闇」の部分も斬り込まれた内容になっていました。

Whitney

実は私自身、ホイットニーについてはあまり詳しく知っている訳ではなく、アルバムも売れたアルバムを何枚か聴いた程度。今回、はじめて知った事実も多く、そういう意味では非常に興味深く映画を見ることが出来、また映画を見終わった後に、あらためてホイットニーのアルバムを聴いてみたくなりました。そういう意味ではとても楽しめた映画だったと思います。

以下ネタバレの感想

続きを読む "80年代を代表する歌姫の光と闇"

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2019年1月21日 (月)

Coldplay関連3作品

今日はColdplay関連のアルバム3作品の紹介。まずはライブ作品の2作品。

Title:Live In Buenos Aires
Musician:Coldplay

Title:Love In Tokyo
Musician:Coldplay

「Live In Buenos Aires」は2017年11月15日にアルゼンチンのブレノスアイレスで行われたライブの模様をフル収録したもの。一方、「Love In Tokyo」は日本限定リリースのライブ盤で、2017年4月の東京ドーム公演の音源も収録されているそうです。

で、私も完全に勘違いしていたのですが「Love In Tokyo」の方は東京ドーム公演の模様を収録した訳ではなく、東京ドーム公演を含む世界各地の公演のライブ音源を収録しているんですね。だから「Live In Tokyo」ではなく「Love In Tokyo」なんですね・・・。日本独自リリースなら東京ドーム公演を・・・とも思うのですが、ベストライブを収録しているという捉え方も出来るかもしれません。

さてColdplayのライブ音源を聴くと、やはりまず両者とも共通しているのですが、サウンドのスケール感が半端ないという点。決して仰々しいといった感じではないのですが、まずはバンドとしてのスケールの大きさを感じます。そして楽曲からは大きなスケールからくる包容力を感じられ、またライブ会場全体に幸福感が満ち満ちているのが音源からも感じられます。

そして彼らのライブ、会場全体の一体感もまた半端ありません。もともとポップで歌いやすい作品の多い彼らですが、ライブ音源を聴くと、ほとんどの曲で観客が一緒に歌っているのが大きな特徴。そのため、そのスケール感で観客を圧倒する、というライブではなく、観客と共に作り上げているという印象を強く受けるステージになっています。

今回の2枚のライブ盤。「Live In Buenos Aires」の方は、やはり南米のノリでしょうか、熱狂的な歓声が入っていたり、彼らがスペイン語でカウントを取っていたり、さらに「Amor Argentina」なるタンゴ調でスペイン語で歌われる新曲すら披露されています。逆に「Love In Tokyo」はベスト盤的に彼らのライブの魅力がコンパクトにまとめられている感じ。聴きやすい構成にまとまっていました。

ただどちらのアルバムもColdplayのライブの楽しさがストレートに伝わってくるような内容。これだけ楽しそうなステージなら、Coldplayのことをほとんど知らない人でも楽しめそうな感すらあります。Coldplayはまだ一度もステージを見たことはないのですが、これは一度見て見ないといけないですね。そう強く感じさせる魅力的なライブアルバムでした。

評価:どちらも★★★★★

COLDPLAY過去の作品
Viva La Vida or Death And All His Friends(美しき生命)
Prospekt's March
LeftRightLeftRightLeft
MYLO XYLOTO
Ghost Stories
A HEAD FULL OF DREAMS
Kaleidoscope EP

そしてもうひとつのColdplay関連の作品はこちら。

Title:Global Citizen-EP1

2012年より毎年開催されているチャリティー型音楽フェスティバル「Global Citizen Festival」。2015年からはColdplayのChris Martinがキュレーターとして参加しています。昨年は9月にニューヨークで開催されたのに加えて12月にネルソン・マンデラの生誕100周年を記念して「Global Citizen Festival Mandela 100」が南アフリカで開催。本作はそれに連携した4曲入りのEP盤となります。

今回、この4曲中3曲にLos Unidadesなる謎のミュージシャンが参加。ただこのバンド名がColdplayのメンバー4人により商標登録されている他、ストリーミングサービスのTidalでは収録曲の1曲「E-Lo」のソングライティングと演奏にColdplayのメンバー4名が記載。Los UnidadesがColdplayの覆面バンドであることは公然の秘密のようです。

特にこの「E-Lo」ではあのPharrell Williamsをフューチャーしたことでも話題に。ラテンやトライバルの要素を取り入れた独特の雰囲気のある楽曲なのですが、そんな中でもポップなメロがしっかりと流れているのはColdplayらしいといった感じ。4曲目の「Voodoo」でもトライバルなリズムが流れ、全体的にはアフリカ的をイメージした部分もあるのでしょうか。Coldplayらしいスケール感や多幸感はあまりなく、少々地味な印象も受けるのですが、ポップで耳なじみあるメロは彼らならでは。ファンならチェックして損のない作品といった感じでしょうか。

評価:★★★★

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リミックスもおもしろい20周年記念盤

Title:This Is My Truth Tell Me Yours - 20 Year Collectors' Edition
Musician:MANIC STREET PREACHERS

1998年にリリースされたマニックス3枚目のアルバム「This Is My Truth Tell Me Yours」。彼らにとって5枚目となるアルバムは初の全英1位を獲得。イギリス国内だけで90万枚を売り上げ、最終的には世界で500万枚を売り上げる大ヒットを記録し、名実ともに彼らの出世作となったアルバムです。そのアルバムのリリースから20年。このたびコレクターズエディションとして3枚組の大ボリュームの内容でリリースされました。

個人的にはこのアルバム、リアルタイムで聴いたアルバムで、私がはじめて聴いたマニックスのアルバム。それだけに思い入れもあり、かつあれからもう20年も経つのかぁ、と感慨深く思ったりもしました。そんな訳で今や「名盤」という誉れの高い本作を久しぶりに聴いてみることにしました。

まず肝心の本編の方ですが、今から聴くといい意味でバンドとして大物然とした姿を感じられる作風になっています。全編にストリングスを取り入れてミディアムテンポの楽曲が多い構成は、疾走感には欠ける反面、スケール感を覚えます。ただこの手のアレンジは往々として大味になってしまうところが多いのですが、本作に関してはしっかりとロックバンドとしてのダイナミズムも同居させており、決してスタジアムバンドにありがちなスケール感だけの平々凡々な大味アレンジとは異なった様相を見せています。

そして全編に流れる哀愁感あふれるメロディーラインが、特に日本人の琴線にも触れそうな感も。こちらも単なるベタなメロディーという感じではなく、しっかりと曲によって微妙に味付けの異なる絶妙なポピュラリティーを保っており、バンドとしての勢いを感じます。スケール感あるサウンドに哀愁感あるメロディーと、一歩間違えれば平凡なアルバムになりそうなところを、逆にスケール感も哀愁感もしっかりと楽曲として生かした聴かせる傑作に仕上げている点、当時の彼らの勢いを感じさせます。

さて今回のコレクターズエディションは3枚組となっており、1枚目は言わずもがな本編がそのまま収録されているのですが、2枚目はデモ音源集に。こちらはライブリハーサルやデモ音源などが収録されており、ほぼ完成形に近い音源から「I'm Not Working」などは自宅でのおそらく最初の録音ではないかと思う、かなり粗いデモ音源に。こちらは完成形の雰囲気を保ちつつ、よりエキゾチックな色合いが強かった点に興味深さを感じます。また、「S.Y.M.M.」もデモ音源ではシューゲイザーか?と思うほどノイジーなギターサウンドが前に押し出されており、ここらへん最終形では他の曲とのバランスをとったアレンジになったのかな、と想像を働かせることが出来ます。

このデモ音源集もなかなか魅力的なのですが、さらに魅力的なのはDisc3。前半はリミックスとなっており、MASSIVE ATTACKやStereolab、David Holmesにさらにはコーネリアスという面々のリミックスが収録されています。MASSIVE ATTACKリミックスによる「If You Tolerate This Your Children Will Be Next」もエレクトロサウンドでダイナミックなアレンジが彼ららしくて楽しいのですし、コーネリアスリミックスによる「Tsunami」もエレクトロとアコースティックを組み合わせた、ここ最近のコーネリアス色が強く出たアレンジが耳を惹きます。原曲のメロディーがしっかりしているだけにリミックスでも各々のミュージシャンが各々の色をしっかりと出せた、よくできたリミックスに仕上がっています。

さらに後半はB面曲を収録しているのですが、おそらく本編の色とはちょっと合わないためアルバム未収録となった点もあったのでしょう、スケール感あるポップな側面の強い本編と比べると、よりロッキンでパンキッシュな楽曲が並んでおり、これはこれでロック好きにはたまらない名曲揃い。マニックスのロックな側面が強く出ている楽曲ばかりとなっています。

そんな訳でフルボリュームの3枚組だったのですが、本編の出来の良さもあり、またデモ音源やリミックス、B面曲が秀逸だったこともあってあっという間に聴くことが出来たアルバムになっていました。しかしそれから20年。マニックスもすっかりイギリスを代表する大物となりましたが、直近のアルバム「Resistance Is Futile」も文句なしの傑作アルバムでしたし、本当にすごいバンドになりましたね。そんな彼らの代表的な名盤のひとつとして、これを機に、チェックしておきたいアルバムです。リアルタイムで聴いた方はもちろん、まだ聴いたことない方も是非一度。

評価:★★★★★

MANIC STREET PREACHERS 過去の作品
Journal For Plague Lovers
POSTCARDS FROM A YOUNG MAN
NATIONAL TREASURES-THE COMPLETE SINGLES
Rewind The Film
FUTUROLOGY
Resistance Is Futile


ほかに聴いたアルバム

WARM/Jeff Tweedy

アメリカのオルタナティブロックバンド、WILCOのフロントマンによるソロアルバム。WILCOの直近作「Schmilco」はアコースティックテイストの作風となっていましたが、本作もアコースティックなサウンドが主軸になったアルバム。フォークやブルースなどの要素を取り込んだいなたい雰囲気の楽曲で静かに聴かせるのですが、メロディーラインはポップに聴かせるものが多く、メロディーメイカーとしての実力も感じさせます。決して派手さはないアルバムなのですが、シンプルなサウンドにメロディーの良さもあり、しっかりと聴かせてくれる作品になっていました。

評価:★★★★★

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2019年1月20日 (日)

廃盤音源配布で大きな話題に

昨年、ゴールデンボンバーの鬼龍院翔が、過去にライブ会場などで販売し、現在は廃盤となっている3音源をブログ上で無料配信し大きな話題となりました。これは、これらの廃盤音源がコピーされ、ネットオークションなどで高値で売買されている状況に鬼龍院翔が嘆き、「廃盤音源の価値をなくす」ことを目的として、音源自体はもちろん、ジャケットから歌詞カードから一式ネット上に配布。これで廃盤音源のCDと同じものが作れるようになっているそうです。

ちらみにブログ記事はこちらから。いつまで公開されるかは不明ですがとりあえず現時点(2019年1月20日)ではダウンロードできる模様です。

配信と、廃盤音源流出配布キリショー☆ブログより)

廃盤音源がネット上で高値で売買されている状況はよく見受けられます。権利の問題や初期の音源のため内容が拙く、ミュージシャンにとってあまり流通させたくないという事情もあるのでしょうが、ただ、無駄に値段がつりあげられ、音源を聴きたいファンが聞けず、一部の転売屋のような人たちに必要以上に利益が入ってくるような状況は、確かに以前から悲しく感じていました。それだけに今回の鬼龍院翔の決断は実に素晴らしい!「無料配布」とは言わないまでも、ネットなどで簡単に音源をリリースできるようになった今、これに続いてくれるミュージシャンがどんどん出てくるとうれしいのですが・・・。

そんな訳で私もさっそく彼らの廃盤音源をダウンロード。聴いてみることにしました。

Title:音楽が僕らを駄目にする
Musician:ゴールデンボンバー

Gb_1

こちらは2006年にリリースした、彼らにとって初となるCD音源。こういう形でリリースしていただいてこういう感想を言うのは大変申し訳ないのですが・・・正直言うと、かなりキツイ。サウンド的にはヘヴィーメタル風のサウンドにのせて、今の彼らにも通じる、哀愁感あるメロで歌い上げるのですが、サウンドは打ち込みメインでかなりチープですし、なによりもバックのサウンドとボーカルのバランスが悪すぎる。無駄にヘヴィーなサウンドが前に出ていて(それもサウンド的にはチープで音もかなり悪い)、歌は後ろでぼそぼそ歌っている感じ。聴いていて結構厳しいものがありました。

「スッピン!」みたいに後の彼らにも通じるようなインパクトあるフレーズとユニークな視点の歌詞が既にこのアルバムでも見て取れるのですが、このアルバムの内容で後の彼らの活躍を予想できたとしたら、その眼力は相当なものだと思います。ゴールデンボンバー関連の音源ならなんでも聴きたいような熱心なファン以外は聴く必要はないかと。

評価:★★

Title:The Golden J-POPS
Musician:ゴールデンボンバー

Gb_2

こちらは2007年リリースの音源。前作からわずか1年のスパンなのですが、この1年になにが起きたのか、と思われるほど内容がよくなっています。正直言って、打ち込みはかなりチープですし、前作同様のバランスが悪い部分もチラホラ。ただ、今のゴールデンボンバーに通じるような歌謡曲テイストの強い哀愁感たっぷりのメロディーと、彼ららしいユニークな視点の歌詞の曲が並んでおり、サウンドのバランスも前作よりよくなった結果、歌詞と歌が耳に入るようになってきています。

特に「恋人は韓国人」「HEN」などは歌詞自体はさほどコミカルではないものの、題材と目のつけどころがユニークで後の彼らの活躍を彷彿とさせるような楽曲。このアルバムでは間違いなくゴールデンボンバーとしての個性を確立してきているといっていいでしょう。

出来としてはやはりまだ粗削りな部分が多く、素人に毛が生えた程度といった感は否めないのですが、こちらはファンならば聴いて損はない内容かと。今回の配信を機に、興味ある方は是非。

評価:★★★

Title:恋愛宗教論
Musician:ゴールデンボンバー

Gb_3

どこかで見たことあるようなジャケット(少女漫画「花とゆめ」コミックスの表紙のパロですね)が印象的な本作は、上記「The Golden J-POPS」と同日発売のアルバム。そのため基本的には「The Golden J-POPS」と同じ雰囲気のアルバムで、サウンドもチープですし、いろいろな面で未熟さは否めません。

ただ、オチがユニークな「まさし」や強烈な歌詞がユニークだけどどこか心境的にわかるような「元カレ殺ス」、さらにヘヴィーなサウンドの中でタイトルを連呼するだけの非常にユニークな「童貞が!」など、「The Golden J-POPS」に比べるとよりユニークな楽曲が並んでおり、ジャケットのユーモラスさも含めて、今のゴールデンボンバーにより通じる作風となっていました。

こちらもファン以外には厳しい部分はあるかもしれませんが、ファンにとってはむしろ要チェックなアルバムかも。いや、ファンでなくても楽しめる部分は間違いなくあった作品であり、彼らの魅力がきちんと出ているアルバムになっていました。

評価:★★★

そんな訳で、ファンにとっては非常にうれしい今回の廃盤音源の無料配布。以前からゴールデンボンバーはいろいろな意味でユニークな活動を次々と行うクレバーなグループだな、と思っていたのですが、今回のこの無料配布も、まさに彼らのクレバーな側面を垣間見たものでした。上にも書いたのですが、他のミュージシャンもあとに続いてくれないかなぁ・・・。

ゴールデンボンバー 過去の作品
ゴールデン・アワー~下半期ベスト2010~
ゴールデン・アルバム
NO MUSIC NO WEAPON
キラーチューンしかねえよ

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2019年1月19日 (土)

勢いは今も止まらず

Title:20 years
Musician:the band apart

2018年に結成20周年を迎えたthe band apart。本作は、そんな彼らのキャリアを振り返った初となるベストアルバムとなります。2枚組となる本作は、Disc1で1stアルバム「K.AND HIS BIKE」から5thアルバム「Scent of August」を再録して収録。Disc2はそれ以降の楽曲が収録されているほか、BKTS TOUR 2018の会場限定CDにのみ収録された「茶番」と、ベスト盤にあわせて録音された新曲「君が大人になっても」が収録されています。

昨年末の紅白にはワールドカップのNHKでのテーマ曲を歌って話題となったSuchmosが初出場して話題となりました。彼らに限らず、例えばNulbarichなどロックにジャズやブラックミュージックなどの要素を取り入れたバンドが大きな人気となっています。そしてそれらのミュージシャンが人気となる流れのいわば原点に位置するのが彼ら、the band apartではないでしょうか。2005年にリリースされた「quake and brook」がオリコン最高位5位を記録し、一躍ブレイクを果たした彼ら。ただそれに先立つデビューアルバム「K.AND HIS BIKE」も大きな話題となったのですが、ロックの中にジャズやブラックミュージックの要素をほどよく取り込んだ独自の音楽性に、当時はかなりの衝撃を受けたのを今でも覚えています。

今回のベストアルバムではそんな彼らの初期の作品ももちろん収録されているのですが、今聴いてもやはり独特なリズムとサウンドにカッコよさを感じる楽曲ばかり。特に今聴いて強く感じるのですが、彼らのジャズやブラックミュージック的な部分から、ちょっと聴いた感じではいわば楽曲の「温度の低さ」を感じるのですが、一方ではしっかりと鳴っているバンドサウンドにはロックバンドとしてのダイナミズムさや熱量の高さも同時に感じ、この楽曲の熱さと涼しさのちょうどよいバランスが彼らの大きな魅力に感じました。

また今回、Disc1とDisc2の収録曲の大きな違いとしてあげられるのが歌詞。Disc1の頃は彼らの楽曲の歌詞は英語オンリーでしたが、Disc2以降では日本語での歌詞が登場します。彼らのリズミカルでファンキーなサウンドにおそらく当初は日本語の歌詞を載せるのが難しいと感じていたのでしょうが、今回のベストアルバムで英語詞の曲と日本語詞の曲を続けて聴いても、日本語詞の曲に全く違和感を覚えません。今回、リズムに上手くのせられる歌詞の言葉選びの巧みさをあらためて感じました。

さらに彼らは「人気」という側面から考えると2005年にリリースされた「quake and brook」から2008年にリリースされた「Adze of penguin」まではオリコンでベスト10入りを記録しているのですが、残念ながらそれ以降の楽曲についてはベスト10から遠ざかってしまっています(もっとも10位代前半を記録しており、一定以上の人気は確保しているのですが)。しかし今回、初期の作品から最近の作品まで通して聴いてみても、最近の作品でも全くクオリティーが落ちていないことにあらためて気が付かされました。一時期に比べて人気の面ではちょっと落ち着いたものの、これだけのレベルの作品を作り続けているのですから、今後人気が再燃する可能性は十分にありそうです。

ちなみに今回のアルバムにはじめて収録された「茶番」は軽快なリズムが耳を惹くリズミカルなナンバー。また「君が大人になっても」は歌詞にもメロにも感じられる切なさが魅力的なナンバーに。どちらも選りすぐられた彼らの代表曲の中に収録されていても遜色ない名曲になっており、彼らの衰えない創作意欲を感じさせます。

このようにthe band apartというバンドの魅力を再認識し、かつ、今なお彼らの勢いが衰えていないことを再確認できたベスト盤。このベスト盤を機に新たな一歩を踏み出す彼らですが、まだまだ数多くの名作を世に生み出してきそう。これからの活躍も楽しみです。

評価:★★★★★

the band apart 過去の作品
Adze of penguin
shit
the Surface ep
SCENT OF AUGUST
街の14景
謎のオープンワールド
1(the band apart(naked))
Memories to Go
前へ(□□□ feat.the band apart)
2(the band apart(naked))

Title:tribute to the band apart

そしてそんな彼らの20周年に合わせる形でリリースされたのが、the band apartに影響を受けたミュージシャンたちが彼らの曲をカバーしたトリビュートアルバム。若手バンドからベテラン勢まで数多くのミュージシャンが参加し、the band apartがシーンに与えた影響の大きなをあらためて感じます。

序盤の若手勢に関しては原曲をなぞるようなカバーを披露しており、無難さを感じるカバーになっているのですが、さすがの実力を感じさせるのが中盤以降のベテラン勢。特に強い印象を受けたのは軽快でリズミカルなカバーに仕上げたLOW IQの「beautiful vanity」に、原曲の持つリズム感そのままに、よりロックにカバーしたストレイテナーの「Can't remember」。さらにゲスの極み乙女。は「I love you Wasted Junks&Greens」をギターサウンドにより複雑な構成を加えて彼ららしいプログレッシブなカバーに。川谷絵音の声もあり、完全にゲスの曲として生まれ変わっています。

そして坂本真綾の「明日を知らない」ではアコースティックなカバーに仕上げており、原曲のメロディーの良さを再認識させるような美しい歌声を聴かせてくれています。その他もどの曲もthe band apartへの愛情を感じさせるようなカバーばかり。原曲の良さを生かしつつも、それぞれのミュージシャンの味付けもしっかりとほどこされており、原曲からちょうどよい距離を感じるカバーがメインの理想的なトリビュートアルバムになっていたと思います。

そんな訳であらためてthe band apartが多くのミュージシャンからリスペクトを受ける存在であることが認識されたトリビュートアルバム。参加ミュージシャンの中には若手バンドも少なくなく、これからもthe band apartの音楽は多くのミュージシャンたちに影響を与えていきそうです。

評価:★★★★★


ほかに聴いたアルバム

LOOKING FOR THE MAGIC/GLIM SPANKY

もともと60年代や70年代ロックをストレートに楽曲に反映させていたGLIM SPANKY。前作「BIZARRE CARNIVAL」はよりルーツ志向にシフトした印象を受けたアルバムでしたが、今回はどちらかというともうちょっと時代を下って、レッド・ツェッペリンやCreamあたりのハードロック、あるいはサイケロックあたりの影響を強く感じさせる作風に。前作で彼女たちの完成形に近づいた印象を受けたのですが、また違う一歩に踏み出したような印象も。ただ、ジャニス直系の松尾レミのボーカルは意外とこの方向性にマッチしているようにも感じられ、今後の彼女たちの行く先が気になるところです。

評価:★★★★

GLIM SPANKY 過去の作品
ワイルド・サイドを行け
Next One
I STAND ALONE
BIZARRE CARNIVAL

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2019年1月18日 (金)

間口は広く、奥行は深く

Title:DANCE TO THE MUSIC
Musician:Shiggy Jr.

とにかくポップでキュートな楽曲が楽しいShiggy Jr.。今回のアルバムに収録された「ピュアなソルジャー」はフジテレビ系火9ドラマのオープニングテーマにも起用されています。また本作の「DANCE TO THE MUSIC」というタイトルもある意味非常にベタなのですが、そのタイトルの通り、軽快で楽しいダンサナブルなポップチューンが多く、このベタさも含めてShiggy Jr.らしさを感じるところではあります。

ただ今回のアルバム、特に前編に関してはいかにもJ-POPテイストな曲が続き、最初はちょっと物足りなさを覚えました。1曲目の「ピュアなソルジャー」は前述の通りタイアップ曲らしいメロのインパクトはある、わかりやすいポップチューン。続く「TUNE IN!!」も軽快なエレクトロダンスチューンなのですが、キャッチーさがいかにもJ-POP的ですし、「シャンパンになりきれない私を」もちょっと90年代のJ-POPを彷彿とさせる軽快なポップチューン。軽くストリングスが入るアレンジも、いかにもヒットチャート王道系といった感があります。

そういった90年代を彷彿とさせるJ-POPナンバーはキャッチーで聴きやすくインパクトはあるものの、ある意味昔から「よくあるタイプ」という印象を受けてしまい、若干平凡さも感じてしまいます。Shiggy Jr.のひとつの魅力である間口の広さは感じるものの、一方ではこれだけだとちょっと奥行が浅いかな、と前半では感じてしまいました。

ただその印象が一気に変わったのが後半戦。軽快でスペーシーなサウンドに心地よさを感じる「DANCE DANCE DANCE」に、「we are the future」は80年代風のディスコサウンドにファンクの要素が入ったダンサナブルなナンバー。J-POPよりも洋楽テイストも強く感じるエレクトロチューンに、前半で踏み入れたShiggy Jr.の世界は、思ったよりも奥行があることに気が付かされます。

さらに原田茂幸がボーカルをつとめた「you are my girl」はメロウに聴かせるソウルテイストのナンバーに仕上げていますし、「どうかしちゃってんだ」もエレクトロダンスチューンにファンクの要素も入ったアゲアゲで楽しいパーティーチューンに仕上げています。

バラードナンバーの「looking for you」を挟み、ラストの「誘惑のパーティー」はボーカル池田智子のかわいらしさを前面に押し出した序盤同様にキュートでキャッチーな曲で締めくくられていますが、この展開で聴かせると、ベタなJ-POPという印象はあまり受けず、Shiggy Jr.の魅力であるキュートさが聴いた後に印象として残る展開となっていました。

そんな訳で、前半、ポップでキャッチーな曲で思いっきり広く間口をあけつつ、後半に彼女たちのコアな部分を聴かせ、音楽性の広さと奥の深さを感じさせるアルバムになっていました。そういう意味では実によく出来た構成のアルバムになっていたと思いますし、またShiggy Jr.というバンドの魅力もしっかりと伝わってくる傑作に仕上がっていたと思います。

ただ一方でちょっと気になったのは、これだけキュートでキャッチーな曲を書いていながらなかなかブレイクできない点。もっとも今、フェスで人気を集められるようなロック系や一種のブーム的になっているHIP HOP系と異なり、タイアップ効果がなかなか利かなくなってしまった中で彼女たちのようなポップ系はなかなかブレイクが厳しくなっているんですよね。ただそんな中、正直彼女たちの曲は十分ヒットポテンシャルのあるインパクトは持っているものの、誰もの耳を一気に惹きつけるような、ほかを圧倒するようなインパクトがあるかと言われると微妙。おそらく一度聴いたら思わず口ずさんでしまうようなキラーフレーズがないと、彼女たちのようなポップバンドはなかなかブレイクできないんですよね。彼女たちにはがんばってほしいのですが・・・そろそろ「これは!」というようなキラーチューンが欲しいところです。

評価:★★★★★

Shiggy Jr. 過去の作品
ALL ABOUT POP

SHUFFLE!!E.P.
KICK UP!! E.P.


ほかに聴いたアルバム

正しい偽りからの起床/ずっと真夜中でいいのに。

昨年6月にYou Tubeにアップされた「秒針を噛む」のMVが大きな話題となったミュージシャンのデビューアルバム。ACAねという女性ボーカリストを中心としたユニットらしく、ボカロPとして著名なぬゆりや、アニメーターとして活躍しているWabokuも参加していることでも大きな話題になり、本作もデビュー作ながらベスト10ヒットとなりました。

参加しているメンバーの名前といいミュージシャン名といい、いかにも「今時」な感じ。楽曲的には「自意識高い系女子」といった感じでしょうか。ハイトーンボーカルに疾走感あるギターにシンセを加えた宅録的なサウンドも正直言うと、どこかで聴いたような印象。YUIとか家入レオとかそのあたりを彷彿とさせられる部分も。悪くはないけど目新しさも薄い感じ。良くも悪くも売り出し方を含め、今時のネット志向が強い印象を受けるユニットでした。

評価:★★★

¿WHO?/木村カエラ

木村カエラ約2年ぶりの新譜は5曲入りのミニアルバム。今年、デビュー15周年を迎える彼女ですが、今年リリース予定のフルアルバムを前に、タイアップなどですでに発表されている曲をまとめたそうで、5曲中4曲はタイアップ。あと1曲はミュージカル「アニー」の主題歌「Tomorrow」のカバーとなっています。基本的にどの曲も木村カエラらしい明るいポップソングが多く、目新しさはありませんが、彼女らしさを感じられる楽しい5曲となっています。2年ぶりの新作が5曲入りのミニアルバムというのはちょっと物足りない感もあるのですが、今年リリースされるであろうフルアルバムが楽しみになってくるアルバムでした。

評価:★★★★

木村カエラ 過去の作品
+1
HOCUS POCUS
5years
8EIGHT8
Sync
ROCK
10years
MIETA
PUNKY

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2019年1月17日 (木)

こちらは4週連続1位の快挙

今週のHot Albums

http://www.billboard-japan.com/chart_insight/

これで4週連続の1位獲得となりました。

Hot Albumsで1位を獲得したのは星野源「Pop Virus」。これで4週連続の1位。CD販売数は2位にダウンしたもののダウンロード数、PCによるCD読取数で1位をキープし、総合順位では見事1位を獲得です。ちなみにオリコン週間アルバムランキングでも今週、1万6千枚を売り上げて1位をキープ。こちらでも強さを見せつけています。

続く2位にランクインしてきたのがQUEEN「ボヘミアン・ラプソディ(オリジナル・サウンドトラック)」。先週の2位からワンランクアップで自己最高位タイを記録。CD販売数は4位、PCによるCD読取数は9位に留まったものの、ダウンロード数の2位を獲得し、総合順位ではこの位置となりました。ちなみにベストアルバム「クイーン・ジュエルズ」も先週と同じく7位をキープ。2枚同ベスト10入りを続けています。映画もロングヒットを続けていますが、音楽チャートの方でも快進撃が続いています。

3位は米津玄師「BOOTLEG」が先週の2位からワンランクダウンながらもベスト3をキープ。CD販売数でも6位、ダウンロード数で3位、PCによるCD販売数2位とダウンロード主体で根強い人気を続けています。Hot100の「Lemon」「Flamingo」ともども、ロングヒットは続きそう。

続いて4位以下の初登場盤。今週、初登場盤は3枚のみでしたが、それが4位から6位に並んでいます。

まず5位には韓国の女性アイドルグループOH MY GIRL「OH MY GIRL JAPAN DEBUT ALBUM」がランクイン。あまりにそのままなタイトルですが、フルアルバムとしてはこれが日本デビュー作。CD販売数は1位を獲得していますが、ダウンロード数及びPCによるCD読取数は圏外となっておりこの位置に。オリコンでは初動売上1万5千枚で初登場2位を獲得。ちなみに以前、OH MY GIRL BANHANA名義でミニアルバムをリリースしており、その「バナナが食べれないサル」の初動7千枚(13位)からはアップしています。

5位には男性シンガーソングライター岡崎体育「SAITAMA」が初登場でランクイン。CD販売数5位、ダウンロード数8位、PCによるCD読取数27位を記録。オリコンでは初動売上9千枚で5位にランクイン。直近作は企業や番組とのタイアップのために書き下ろした楽曲をまとめたコンピレーションアルバム「OT WORKS」で同作の初動4千枚(18位)からアップ。ただし、オリジナルアルバムの前作「XXL」の1万3千枚(2位)からはダウンしてしまいました。

6位にはBiSなどが所属する音楽事務所WACKの女性アイドルグループGANG PARADE「LAST GANG PARADE」がランクイン。CD販売数は3位を獲得しましたが、ダウンロード数45位、PCによるCD販売数は圏外となり、総合順位ではこの位置に。オリコンでは初動1万2千枚で4位初登場。前作「GANG PARADE takes themselves higher!!」の6千枚(14位)からランクアップし、初のベスト10ヒットとなりました。

今週、初登場は上位3枚のみでしたが、ベスト10返り咲き組も2枚ありました。まずは9位にRADWIMPS「ANTI ANTI GENERATION」が先週の11位からランクアップし3週ぶりにベスト10返り咲き。CD販売数は15位から22位にダウンしてしまいましたが、PCによるCD読取数は先週から変わらず3位をキープ。ダウンロード数が17位から15位にランクアップし、見事ベスト10に返り咲きです。

もう1枚。西野カナのベストアルバム「Love Collection 2~pink~」が先週の21位からランクアップし10位にランクイン。こちらは4週ぶりのベスト10返り咲き。先日、活動休止を宣言した彼女ですが、今回のランクアップはおそらくその影響でしょう。オリコンチャートでも同作が先週の24位から10位にランクアップし、ベスト10返り咲きを果たしています。ちなみに同時に発売されたもう1枚のベストアルバム「Love Collection 2~mint~」も今週24位から13位にランクアップしています。

今週のHot Albumsは以上。チャート評はまた来週の水曜日に!

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2019年1月16日 (水)

ここに来て3週連続1位の快挙

今週のHot 100

http://www.billboard-japan.com/chart_insight/

なんとここに来て3週連続の1位獲得です。

今週1位は米津玄師「Lemon」。言うまでもなく昨年3月にリリースされたシングルなのですが、紅白出演も大きな話題となり、ここに来て、まさかの3週連続1位獲得です。CD販売数でも3位を獲得しているほか、ダウンロード数、PCによるCD読取数、Twitterつぶやき数、You Tube再生回数、カラオケ歌唱数と5部門で1位を獲得。文句なしの1位獲得となりました。

ちないに米津玄師は「Flamingo」も今週、先週から変わらず5位をキープし11週目のベスト10ヒットに。こちらもロングヒットを続けています。

一方、2018年を代表するもう1曲のヒット曲、DA PUMP「U.S.A.」は残念ながら今週4位にダウン。CD販売数は21位にダウンした他、ストリーミング数も6位に。ただYou Tube再生回数及びカラオケ歌唱数では2位を獲得しており、まだまだロングヒットは続きそうです。

2位は女性シンガーAimer「I beg you」が初登場でランクイン。映画「Fate/stay night[Heaven's Feel]」第二章の主題歌。アニソンを中心に数多くの音楽を手掛けるプロデューサー、梶浦由記が楽曲提供を行ったファンタジックで不思議な雰囲気のナンバー。CD販売数で1位、ダウンロード数2位、PCによるCD読取数3位、Twitterつぶやき数2位と上位にランクインしましたが、残念ながら米津玄師には及ばず2位に留まりました。ちなみにオリコン週間シングルランキングでは初動売上3万枚を獲得し、初の1位を獲得。前作「Black Bird」の1万6千枚(5位)から大幅にアップしています。

3位はあいみょん「マリーゴールド」が先週から変わらず3位をキープ。ストリーミング数では1位をキープしたほか、Twitterつぶやき数が8位に、You Tube再生回数が3位にランクアップしており、根強い人気を見せています。あいみょんは「今夜このまま」も先週の7位からワンランクアップで6位にランクイン。これで10週連続のベスト10ヒットとなりました。

続いて4位以下の初登場曲ですが、まず7位にMrs.GREEN APPLE「僕のこと」が先週の36位からCDリリースにあわせてランクアップし、ベスト10入りを果たしました。「第97回全国高校サッカー選手権大会」応援歌。彼ららしいポップで伸びやかに歌い上げる多幸感のあるナンバーになっています。CD販売数5位、ダウンロード数19位、ストリーミング数13位、ラジオオンエア数1位、PCによるCD読取数11位、Twitterつぶやき数73位を獲得。特にラジオでの強さが目立ちます。オリコンでは初動売上1万1千枚で4位初登場。前作「青と夏」の9千枚(14位)からアップ。2016年の「サママ・フェスティバル!」以来6作ぶりのベスト10ヒットになっています。

初登場組もう1曲は7位初登場AAA「笑顔のループ」。NHK「みんなのうた」オンエア曲。CD販売数で2位、ラジオオンエア数7位を獲得しましたが、ダウンロード数37位、ストリーミング数49位、PCによるCD読取数12位、Twitterつぶやき数35位にとどまり、総合ではこの順位に。オリコンでは初動1万9千枚で2位初登場。前作「LIFE」の3万5千枚からダウンしています。

初登場組は以上でしたが、ロングヒット組ではMISIA「アイノカタチ feat.HIDE(GReeeeN)」が先週の4位からランクダウンしたものの8位をキープ。通算13週目のベスト10ヒットとなりました。特にダウンロード数6位、ストリーミング数4位と配信系で上位にランクインしており、ロングヒットの主な要因となっています。

今週のHot100は以上。明日はアルバムチャート。

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2019年1月15日 (火)

「ポップ」な傾向がより強く

Title:ホームタウン
Musician:ASIAN KUNG-FU GENERATION

オリジナルアルバムとしては約3年半ぶりとなるアジカンのニューアルバム。途中、ベスト盤や「ソルファ」のリメイクアルバムのリリースがあったのですが、新譜としてはちょっと久しぶりのアルバムとなりました。

アジカンといえば、分厚く疾走感あるギターサウンドが心地よく、「ロック」を聴いたという満足感を高く覚えるのが最大の魅力となっています。特に前作「Wonder Future」ではこの「ロック」という側面に焦点をあてたアルバムになっており、特にロックを聴いた満足感を強く覚える作品になっていました。

一方今回のアルバムに関しても分厚いサウンドがまずは心地よく感じます。1曲目「クロックワーク」からギターノイズにへヴィーなバスドラが心地よく響いてきますし、続くタイトルチューンである「ホームタウン」も分厚いバンドサウンドが気持ちよいパワーポップの作品に仕上がっています。

ただ今回の大きな特色はそこではありません。確かにアジカンらしい分厚いバンドサウンドも大きな魅力のひとつではあったものの、アルバム全体としてはミディアムテンポでポップなメロディーラインを聴かせる楽曲がメイン。「ロック」に主軸を置いていた前作とはある意味対照的な、「ポップ」に主眼を置いたアルバムになっていました。

例えば「レインボーフラッグ」などもミディアムテンポでかみしめるように歌う歌詞が前面に押し出されている、歌が主体となっているポップチューンになっていますし、「ダンシングガール」も力強いバンドサウンドが気持ちのいいパワーポップチューンになっているものの、哀愁感も覚えるようなメロディーラインがまずは耳に残るナンバーになっています。同じく「さよならソルジャー」も日本語の歌詞がしっかりと耳に届いてくる歌中心のナンバーに仕上がっていました。

もちろん、先行シングルとなった「荒野を歩け」のような疾走感あるサウンドのロック色の強いナンバーも収録されていますし、どの曲も力強いバンドサウンドからアジカンのロックの側面も強く感じることが出来ます。ただ全体的にはメロディーを前に押し出した「歌」を中心軸に据えたポップな楽曲がメインとなっているアルバムに仕上がっていました。

ただ今回のアルバムではアジカンの、バンドとしてのある種の貫録のようなものも感じました。まずロックバンドとして耳障りのよいアップテンポな曲に頼らず、ミディアムテンポの「歌」で勝負するというあたりに、バンドとしての自信を感じますし、そんな楽曲はどれもアジカンとしての魅力をしっかり伝えている、いい意味での安定感を覚えるような楽曲が並んでいます。こういうアルバムを作ってこれるというあたりに、デビューから15年、そろそろ「ベテランバンド」の域に入って来た彼らの、若手バンドとのある種の格の違いを感じさせる内容になっていたと思います。

なおちょっとユニークなのは今回のアルバムのうち「クロックワーク」ではWeezerのリヴァース・クオモとアメリカのシンガーソングライター、ブッチ・ウォーカーと、「ダンシングガール」ではリヴァース・クオモとの共作となっていますが、必要以上に「洋楽テイスト」を前に押し出す訳ではなく、日本語詞のポップナンバーになっていたという点。ただ、確かにWeezerに通じるようなメロディーラインの良さはしっかりと感じられる楽曲に仕上がっていました。

ちなみに今回、初回限定盤には「Can't Sleep EP」というEP盤がついてきています。こちらは配信では「ホームタウン」とは別枠で配信されているため、初回盤を購入していなくても簡単に聴くことが出来るのはうれしいところ。こちらにはFEEDERのグラント・ニコラスとの共作曲「スリープ」、ストレイテナーのホリエアツシが作曲を手掛けた「廃墟の記憶」、ベースの山田貴洋がボーカルをとった「イエロー」、THE CHARM PARKが作曲を手掛ける「はじまりの季節」が収録。「企画盤」的な色合いの強いバラエティーあふれる楽曲が並んでいますが、ポップという方向性については「ホームタウン」よりもより強く感じられる内容になっています。今のバンドとしての嗜好が「ポップ」であるということをより鮮明に感じられました。

ロック色が薄めということで賛否はある作品ではあるようですが、個人的にはアジカンとしての実力をしっかりと感じさせる傑作であることは間違いないと思っています。メロディーラインももちろん魅力的ですし、分厚いバンドサウンドで満足感の高いアルバムに仕上がっていました。このポップス志向がこれからまだ続くのかは不明なのですが・・・次回作も楽しみです。

評価:★★★★★

ASIAN KUNG-FU GENERATION 過去の作品
ワールドワールドワールド
未だ見ぬ明日に
サーフ ブンガク カマクラ
マジックディスク
BEST HIT AKG
ランドマーク
THE RECORDING at NHK CR-509 STUDIO
フィードバックファイル2
Wonder Future
ソルファ(2016)
BEST HIT AKG 2(2012~2018)
BEST HIT AKG Official Bootleg "HONE"
BEST HIT AKG Official Bootleg "IMO"


ほかに聴いたアルバム

アッコがおまかせ ~和田アキ子50周年記念トリビュート・アルバム~

デビュー50周年を記念したトリビュートアルバム。MISIAやMAN WITH A MISSION、クレイジーケンバンド、サンボマスター、氣志團などポップスフィールドのミュージシャンたちが和田アキ子の楽曲をカバーしています。シンガーとしての実力は折り紙付きの彼女ですが、若干今回の顔ぶれ的には「芸能界的にやらされている」感は無きにしも非ずなのですが、突き抜けた名カバーこそないものの、全体的にほどよくまとめられた聴かせるカバーが並んでいます。

秀逸な出来だったのがやはりクレイジーケンバンド「笑って許して」。和田アキ子らしさと横山剣の魅力を同居させたカバーに仕上げており、相性の良さをうかがわせます。またサンボマスター「どしゃぶりの雨の中で」もエレピの音でレトロな雰囲気を醸し出した力強いカバーに。また、横山健「抱擁」はパンクロッカーである彼としてはちょっと意外な選曲となっており、彼の意外な一面を垣間見れるカバーになっているほか、大原櫻子「さあ冒険だ」は今風のガールズポップになっており、和田アキ子にこんな曲があったんだ、という意外性も感じました。

最初に書いたとおり、突出したものはなく、トリビュートとしては若干「やらさせている」感も感じてしまったものの、はずれもなく、全体的にはよく出来たカバーアルバムになっていました。参加ミュージシャンのファンなら聴いて損のない1枚かと思います。

評価:★★★★

氣志團万博2018

毎年9月に開催され、最近ではすっかりおなじみとなった氣志團主催の夏フェス、氣志團万博。昨年、同イベント参加ミュージシャンによるコンピがリリースされましたが、昨年に続き今年も出演ミュージシャンによるコンピがリリース。ベテランのロックバンドから若手勢、ヴィジュアル系にアイドル、ポップス系からお笑いまで、本当の意味でのジャンルレスなミュージシャンたちが並んでいるのが楽しい感じ。普段から絶対聴かないようなミュージシャンの曲が聴けるのもおもしろいところ。1度くらい行きたいなぁ・・・と思っているのですが・・・。来年も期待。

評価:★★★★

氣志團万博2017

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2019年1月14日 (月)

全15曲にして24分という短さ

Title:Some Rap Songs
Musician:Earl Sweatshirt

ご存じTyler, The CreatorやFrank Oceanなどもメンバーの一員であるオルタナティブ・ヒップホップ集団Odd Future。今回紹介するEarl Sweatshirt(アール・スウェットシャツ)はその中心メンバーの一人。その彼の3年ぶりとなるニューアルバムがリリースされました。

今回のアルバムの最大の特徴は、全15曲入りながらもアルバムの長さがわずか24分という点。要するに1曲あたり2分未満という短いラップが続いていくような内容になっています。そのため聴いているとめまぐるしく次から次へと楽曲が展開していく構成になっており、次々とサウンドが変わるため、最後まで耳を離せない、飽きさせない作品になっていました。

楽曲的にはアブストラクト的な色合いの強い淡々とした雰囲気のラップが続くイメージ。ループするサウンドが明確で、楽曲毎がつながっており、かつ似たような雰囲気の曲が続くため全24分が1曲という感覚でも聴けてしまうようなアルバムにもなっていました。またサウンドの雰囲気としても決して明るさが前に立ったような作風ではなく、むしろ淡々とした楽曲が続くイメージ。1曲あたり2分弱で様々なサウンドが続いていく構成のため、淡々とした作風でもリスナーに最後まで飽きさせない仕上がりとなっています。

ちなみにアルバムタイトルも「Some Rap Songs」と非常にそっけなさを感じさせますが、今回のアルバム、昨年他界した父親に捧げられたもの。特に「Playing Possum」ではその父親と母親の声がサンプリングされており、アルバムの中のひとつの山場となっています。ただこの曲を含めてアルバム全体としてパーソナル的な要素の強いリリックになっているそうで、「Some Rap Songs」というタイトルは、そんなリリックだからこその謙遜的な意味合いがあるのでしょうか。

もっともそんな個人的な内容でありつつも楽曲の中には様々なアイディアも感じられます。ムーディーさを感じる「Loosie」だったり、静かなノイズとピアノで聴かせる「Peanut」だったり、最後の「Riot!」もちょっとレトロな雰囲気が耳を惹きます。個人的な内容といっても、1曲あたりの短さを含め、しっかりとポピュラリティーを保ったアルバムになっていたと思います。

そんな訳で、アルバムの「短さ」を含めて、ラップを普段聴かないような層でも気軽に楽しめそうな作品となっていたと思います。最後まで耳を離せない飽きの来ない展開で楽しめた傑作アルバムでした。

評価:★★★★★


ほかに聴いたアルバム

Hence/OREN AMBARCHI,JIM O'ROURKE AND U-ZHAAN

オーストラリアのマルチ楽器奏者、オレン・アンバーチの新作は、ジム・オルークとさらに日本のタブラ奏者U-Zhaanを迎えての新作。オレン・アンバーチについては今回、完全に初耳だったのですが、U-Zhaanが参加しているということで聴いてみた本作。アルバム・・・といっても全2曲入り。いずれも20分近いインスト曲が収録されている全40分弱のアルバム。ミニマルテイストなサウンドにタブラの音が入っており、どこかエキゾチックで幽玄的なサウンドが魅力的。決してわかりやすいポップなメロディーが入っている曲ではないのですが、その不思議な魅力あるサウンドについつい惹き込まれる作品でした。

評価:★★★★

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2019年1月13日 (日)

ポップスバンドとしてさらなる成長を遂げた傑作

Title:A Brief Inquiry Into Online Relationships
(邦題 ネット上の人間関係についての簡単な調査)
Musician:The 1975

イギリスのギターロックバンドThe 1975の3枚目のニューアルバム。アルバム毎に高い評価を受けている彼ら。前作「I like it when you sleep, for you are so beautiful yet so unaware of it」はついにアメリカビルボードチャートでも1位を獲得するなど、世界的に高い注目を集めています。そして3枚目となる本作は前作に引き続き長いアルバムタイトルになり、最近の邦楽としては珍しく邦題がつきました。そういう意味で前作の延長線上のようなアルバムなのですが、高い評価を得た前作以上の傑作アルバムに仕上がっていました。

ロックよりもポップス寄りにシフトした前作同様、本作もポップス寄りにシフト。またどこか感じる80年代的な雰囲気も前作と同様といった感じでしょうか。エレクトロなポップチューンも目立ち、最初聴いた時はちょっと軽すぎるかな、といった印象も受けてしまいました。

実際アルバムは、バンド名を冠したインスト曲から軽快なエレクトロポップの「Give Yourself A Try」「TOOTIMETOOTIMETOOTIME」へと続いていきます。ちょっと幻想的な雰囲気の「How To Draw/Petrichor」に続く「Love It If We Made It」もエレクトロアレンジのポップチューンなのですが、アレンジ、メロディー共に80年代のAORを感じさせるようなポップナンバーになっており、どこか懐かしさすら覚えるポップチューンに仕上がっています。

特にこの中盤以降のバリエーションある展開がこのアルバムの一番の魅力。続く「Be My Mistake」はアコギで聴かせるフォーキーなナンバーになっていたかと思えば、「Sincerity Is Scary」はピアノとホーンの音色も印象的なジャジーなナンバーに。ピアノとストリングスにギターの音色も入り、美しく歌い上げる「Inside Your Mind」を聴かせたかと思えば、「It's Not Living(If It's Not With You)」は再び80年代のような軽快な空気感のつまったエレクトロポップへと続き、リスナーを飽きさせません。

終盤もアコギで聴かせる「Surrounded By Heads And Bodies」から、ピアノでムードたっぷりに聴かせるジャジーな「Mine」、そして80年代のAORそのままな「I Couldn't Be More In Love」へと続き、最後は美しいメロディーラインとファルセットボイスでしんみり聴かせる、ミディアムチューンの「I Always Wanna Die(Sometimes)」でアルバムを締めくくります。

そんなバリエーションあるポップナンバーが続いているのですが、どの曲も美しくインパクトあるポップなメロディーラインが流れているため、アルバム全体として統一感がありますし、洋楽リスナーに限らず、幅広い音楽ファンを楽しませる訴求力を感じました。前作に続いて最近の洋楽としては珍しい邦題がついているのですが、それはそれだけ洋楽リスナー層に留まらないリスナー層へアピールできると考えているからではないでしょうか。確かにレコード会社側がそう感じるのも納得のポピュラリティーあるアルバムに仕上がっています。

そして単なるポップなアルバムではなく、その向こうにはジャズやAORからの影響を強く感じる幅広い音楽性が大きな魅力に。ファンキーなリズムが特徴的だった前作に比べると、わかりやすくファンクな楽曲は今回はあまりなかったのですが、前作同様にブラックミュージックからの影響は顕著に感じられる作風に仕上がっていました。

前作も傑作アルバムだったのですが、本作は間違いなく前作の水準を軽々と超えてしまった年間ベストクラスの傑作アルバムだったと思います。その人気のほども含めて、間違いなくミュージックシーンを代表するバンドへの成長しつつある彼ら。その実力と勢いをしっかりと感じることが出来るアルバムでした。ちなみに本作に続き今年5月にも早くも新作のリリースが予定されており、本作と並んで2部作となる予定だとか。これは5月のアルバムにもかなり期待が持てそうです。

評価:★★★★★

The 1975 過去の作品
The 1975
I like it when you sleep, for you are so beautiful yet so unaware of it(君が寝てる姿が好きなんだ。なぜなら君はとても美しいのにそれに全く気がついていないから。)


ほかに聴いたアルバム

Merrie Land/The Good, The Bad&The Queen

突然、といった感じで少々ビックリしていまいました。ご存知blurのデーモン・アルバーンを中心に、The Clashのポール・シムノン、the verveのサイモン・トング、さらにトニー・アレンがバンドを組み、2007年にアルバム「The Good,The Bad&The Queen」をリリースした彼ら。なんと11年ぶりに活動を再開しニューアルバムをリリースしてきました。

アルバムはメロディーラインを前面に押し出しつつ、どこか幻想的でファンタジックな雰囲気が印象的。サイケな音を入れたり、東洋的な音を入れたり、不気味な雰囲気を醸し出したりと、かなり自由度の高い音を入れ込んでいます。結果として、アルバム全体として少々つかみどころのない感じも否めない印象も。良くも悪くも自由度の高い、デーモンがやりたいことをやった、という印象の強いアルバムに仕上がっていました。

評価:★★★★

Brainfeeder X

フライングロータス主催のレーベル「Brainfeeder」。設立10周年を記念してリリースされたコンピレーションアルバム。
Flying Lotusはもちろん、Thundercatなどの楽曲も収録。全体的にはジャズやエレクトロなどを取り入れた実験的な作風の楽曲が多く、今のシーンの先端を行くサウンドを知ることが出来るうってつけのコンピ盤でした。

評価:★★★★★

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2019年1月12日 (土)

有村竜太朗の魅力がよりはっきりと

Title:個人作品集1992-2017「デも/demo #2」
Musician:有村竜太朗

ヴィジュアル系ロックバンドPlastic Treeのボーカリストによるソロアルバム第2弾。Plastic Treeというと、デビューが1997年というから、既にデビュー後20年以上が経過しているベテランバンド。残念ながら大ヒット作というのはなく、アルバムシングル共にオリコン9位が最高位というバンドなのですが、その高い音楽性から高い支持を集めており、根強い人気を確保しています。

このPlastic Treeというバンドがユニークなのは、一般的にハードロックやへヴィーメタルからの影響が強いヴィジュアル系ロックバンドの中では珍しく、オルタナティブ系のロックバンドに強い影響を受けているという点。そのため、ヴィジュアル系バンドをあまり聴かないようなリスナー層にも高い支持を受けていました。

そして今回の有村竜太朗のソロアルバムには、そんな彼の音楽的志向が、Plastic Treeのアルバム以上に強く出ていたように感じます。特に今回のアルバムではサウンドプロデューサーに凛として時雨などを手掛ける釆原史明、そしてCOALTAR OF THE DEEPERSのNARASAKIを迎えています。COALTAR OF THE DEEPERSといえば、知る人ぞ知る、日本を代表するシューゲイザーバンド。このアルバムでも、シューゲイザー色の強い、心地よいホワイトノイズの楽曲を数多く聴くことが出来ます。

イントロ的な「幻形フィルム/genkeifuirumu」に続く「くるおし花/kuruoshibana」は分厚いギターサウンドとメランコリックなメロディーラインが印象的なナンバー。このメランコリックなメロディーといいノイジーなギターサウンドといい、有村竜太朗が影響を公言しているThe Smashing Punpkinsからの影響を強く感じます。

またシューゲイザー色といえば中盤で聴かせる「ザジ待ち/zajimachi」でしょう。物悲しいメロディーラインをゆっくりと聴かせる楽曲ですが、アウトロでは心地よいホワイトノイズで埋め尽くされて楽曲は終了します。哀愁感あるメロが流れる中、少々サイケ気味の幻想的なギターサウンドが印象的な「日没地区/nichibotsuchiku」もシューゲイザー好きには心地よさを感じさせるナンバー。ラストの「19罪/jukyusai」も泣きメロも印象に残るナンバーなのですが、楽曲を埋め尽くすホワイトノイズに気持ちよさを感じさせるナンバーになっています。

さらにメランコリックに泣かせるメロディーラインも大きなインパクトを持っており、強く印象に残ります。ノイジーなサウンドが強い印象に残る楽曲ながらも一方では歌の部分もしっかりと前に押し出されているようなサウンド構成になっており、プロダクション的にもバランス感覚の良さを感じます。結果としてメロディーメイカーとしての有村竜太朗の魅力がより表に出ているアルバムになっていたように感じます。

正直、彼の歌い方についてはヴィジュアル系特有の鼻にかかったような耽美的な歌い方が特徴的なので好き嫌いはわかれる部分かもしれません。私もPlastic Treeの楽曲についてはアルバムを基本的にすべて聴いているのですが、そのため大はまりは出来ない、という状況でした。しかし前作もそうだったのですが、彼のソロアルバムに関しては、メロディーラインの良さ、サウンドの心地よさがより前に出ていた結果、彼の歌い方の癖を差し引いてもはまってしまう傑作アルバムに仕上がっていたように感じます。それだけ有村竜太朗というミュージシャンの魅力をしっかりと捉えていたアルバムだったように感じました。次はPlastic Treeのアルバムリリースになるのでしょうか。そちらも楽しみなのですが、是非ソロでの活動も今後も継続してほしいなぁ、と感じる作品でした。

評価:★★★★★

有村竜太朗 過去の作品
デも/demo


ほかに聴いたアルバム

植物男子ベランダーSEASON2 ENDING SONGS/大橋トリオ

以前も紹介したNHKドラマのエンディング曲をまとめたコンピレーションアルバム「植物男子ベランダー」の、こちらはSEASON2として2018年9月から12月に放送された放送分に使用されたエンディング曲を集めた配信オンリーでのアルバム。既発表曲のみをまとめたコンピなので目新しさみたいなものはありませんが、ただこうやってあらためて聴くと、いい意味で安心して聴ける大人のポップの名曲が並んでいる印象。大橋トリオの魅力をあらためて強く感じることが出来るコンピになっていました。

評価:★★★★★

大橋トリオ 過去の作品
A BIRD
I Got Rhythm?
NEWOLD
FACEBOOKII
L
R

FAKE BOOK III
White
plugged
MAGIC
大橋トリオ
PARODY
10(TEN)
Blue
STEREO
植物男子ベランダー ENDING SONGS

Little Christmas/佐藤竹善

2018年はEric ClaptonやJohn Legendがクリスマスアルバムをリリースし、さすがアメリカではクリスマスだけで著名なミュージシャンが1枚のアルバムを作ってしまうほどクリスマスに対する思い入れが深いのか・・・と思っていたのですが、日本でもクリスマスをテーマにアルバムをリリースしてきたミュージシャンがいました!SING LIKE TALINGのボーカリスト、佐藤竹善。いままでも「Your Christmas Day」のタイトルで3枚のクリスマスアルバムをリリースしてきましたが、今年は「Little Christmas」のタイトルで新たなクリスマス企画アルバムをリリース。ライブ音源のカバーが中心なのですが、ジャジーな演奏をバックにしんみりと歌い上げる彼の歌声は絶品。大人のクリスマスアルバムといった感じで、寒い季節にはピッタリのアルバムとなっていました。

評価:★★★★

佐藤竹善 過去の作品
ウタジカラ~CORNER STONE 4~
静夜~オムニバス・ラブソングス~
3 STEPS&MORE~THE SELECTION OF SOLO ORIGINAL&COLLABORATION~
Your Christmas Day III
The Best of Cornerstones 1 to 5 ~The 20th Anniversary~
My Symphonic Visions~CORNERSTONES 6~feat.新日本フィルハーモニー交響楽団

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2019年1月11日 (金)

クラプトンのオールタイムベスト

Title:Eric Clapton:Life In 12 Bars(Original Motion Picture Soundtrack)

以前、当サイトでも紹介したエリック・クラプトンの生涯を描いたドキュメンタリー映画「エリック・クラプトン~12小節の人生」。彼の波乱万丈な生涯が描かれた、強い印象に残る映画だったのですが、その映画公開に先立ちリリースされたのがこのサントラ盤。映画を見た後に遅ればせながらサントラ盤も聴いてみました。

さてこのアルバム、映画のサントラ盤なのですが、その収録曲がなかなかすごいものがあります。ご存じの通りクラプトンといえば、生涯にわたり様々なバンドに参加してきました。彼のキャリアの最初の活動であるヤードバーズからはじまり、ブルースブレイカーズ、クリーム、ブラインドフェイス、デレク・アンド・ザ・ドミノス。そしてこのサントラ盤には、彼が参加してきたこれらのバンドの曲を網羅的に収録。さらにはソロ時代の作品が収録されているほか、序盤に彼の影響を受けたブルースの楽曲を収録。そして彼がギターで参加したことでも知られるThe Beatlesの「While My Guitar Gently Weeps」まで収録されています。権利上の関係か、あまりビートルズの作品がこの手のコンピに収録されるケースは少ないだけに、本作に収録されたという事実には驚かされます。

まさにクラプトンのオールタイムベストとも言える内容。まあ、彼の波乱万丈の生涯をわずかCD2枚に収録しているわけで、それだけに省略されている曲も多く、例えば彼の代表曲のひとつとしても知られる「Change The World」などは収録されていないのですが、そういう点を差し引いても、エリック・クラプトンの入門盤としても最適な内容になっていると思います。

そしてその彼の過去の楽曲を聴いてあらためて強く感じた点があります。それは彼が本当に幅広い音楽に挑戦しているということ。今回の映画の副題「12小節の人生」の「12小節」とはブルース形式と呼ばれるブルースの基本的な構成が12小節で成り立っていることからつけられたものです。実際、クラプトンとブルースといえば切っても切れない関係であるのですが、彼の音楽は単純なブルースの模倣・・・ではありません。クリームはサイケロックやハードロックの傾向が強いですし、デレク・アンド・ザ・ドミノスはサザンロックの傾向が強くなります。さらにソロになってからは本作にも収録されている「I Shot The Sheriff」はレゲエミュージシャンのボブ・マーリーの曲のカバーですし、92年にリリースした大ヒット作「アンプラグド」の影響か、最近のクラプトンにはむしろAOR的なイメージすらついてまわります。

逆にそれだけ積極的に様々な音楽に挑戦しているからこそ、ひとつのバンドに留まることなく、様々なバンドを結成・参加して今に至っているのでしょう。本作はそんなクラプトンの活動を、彼が強い影響を受けたブルースの楽曲を含めて網羅的に把握できるアルバムになっていました。映画を見てクラプトンの生涯に感銘を受けた方はもちろん、映画を見ていなくてもクラプトンの入門盤としても最適なアルバムです。

評価:★★★★★


ほかに聴いたアルバム

Delta/Mumford&Sons

前作「Wilder Mind」は悪い意味でスタジアムバンド的な、スケール感ばかりを前面に出した大味な作品になっていました彼ら。今回も同じようにスケール感がある分厚いサウンドの曲が多い一方、ミディアムテンポ主体のメロディーラインをしっかりと聴かせる曲も多く、決して大味にならない魅力的なメロディーがグッと多くなったように思います。デビューアルバムの時のフォーキーな感じはさらに薄くなった感はあるのですが、バンドとしてより「大物」へと成長を感じされる1枚でした。

評価:★★★★

Mumford&Sons 過去の作品
Sigh No More
Babel
Wilder Mind

The Hansa Session/Chvrches

Chvchesの新作は5曲入りのEP盤。最新アルバム「Love Is Dead」の曲をアコースティックとストリングスのアレンジで収録した企画盤で、タイトルの「Hansa」とはデヴィッド・ボウイやイギー・ポップなど数多くのミュージシャンが作品を収録したベルリンのハンサ・スタジオのこと。エレクトロポップスバンドの彼女たちですが、アコースティックなアレンジをほどこすと、その美しいメロディーラインが際立ち、メロディーメイカーとしての才が目立つ作品になっています。ちなみに本作はLP盤と配信のみのリリースだとか。こういう形態、日本でも取り入れるミュージシャンが増えてきていますが、全世界的な流れになってきているようですね・・・。

評価:★★★★★

Chvrches 過去の作品
The Bones Of What You Believe
Every Open Eye
Love Is Dead

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2019年1月10日 (木)

2018年の代表曲が続々と

一昨日、昨日もヒットチャートでしたが、Billboard Japanでは早くも次の週のチャートが更新となったため、チャート評もそれにあわせて3日連続で更新となります。なお、今週は集計対象週がお正月期間中ということで初登場が極端に少ないため、Hot100、Hot Albums同時更新となります。

(参考サイト)
http://www.billboard-japan.com/chart_insight/

今週のHot 100

予想通りでしたが、2週連続の1位となりました。

紅白でも大きな話題となった米津玄師「Lemon」が先週に引き続き1位を獲得。なんとダウンロード数、PCによるCD読取数、Twitterつぶやき数、You Tube再生回数、カラオケ歌唱数で1位を獲得。CD販売数も2位につけており、紅白出演の反響の大きさがわかります。ここに来てこれだけのヒットは驚くべき結果。ちなみにオリコンでも今週の週刊シングルチャートで2万3千枚を売り上げて2位にランクアップしてきています。

そしてその米津玄師に負けて1位獲得ならなかったのが2位DA PUMP「U.S.A.」。こちらも2018年の話題曲。こちらもTwitterつぶやき数、You Tube再生回数、カラオケ歌唱数で2位、ストリーミング数で3位を獲得。ただ、こちらもCD販売数で8位にランクイン。オリコンでも4千枚を売り上げて7位にランクインしてきています。

当サイトを見ていればお気づきかと思いますが、いままでこの2曲、ダウンロードやストリーミングもしくはYou Tube中心のヒットでありCDの売上は今ひとつでした。ただ今回、CDの売上を大きく上げてきたというのは、主に年末の紅白やレコ大の影響でお茶の間レベルに知名度を上げた結果、ダウンロードやストリーミングではなくCDで音楽を主に音楽を聴いているような、おそらく中年層や年配層に支持が広がってたということを意味するのではないでしょうか。「U.S.A.」もそうですが、「Lemon」も本格的に「国民的ヒット」になりつつあるようです。

ちなみに米津玄師は「Flamingo」も4位からワンランクダウンながらも5位にランクイン。こちらも「Lemon」ほどではないものの11週連続のベスト10ヒットとなっており、ロングヒットを記録しています。

そして3位はあいみょん「マリーゴールド」が7位からランクアップ。初となるベスト3ヒットとなりました。あいみょんは「今夜このまま」も7位にランクイン。こちらは5位からのランクダウンとなりましたが、これで9週連続通算10週目のベスト10入りとなりました。

さらに4位にはMISIA「アイノカタチ feat.HIDE(GReeeeN)」が先週の19位からランクアップし、11月5日付チャート以来10週ぶりのベスト10ヒットを記録。特にダウンロード数が12位から2位、ストリーミング数が13位から4位と跳ね上がっており、ランクアップの主要因となっています。彼女も昨年の紅白でその圧倒的な歌唱力が評判となりましたが、まさに紅白の影響によるランクアップと言えるでしょう。

今週唯一の初登場が6位桑田佳祐&The Pin Boys「レッツゴーボウリング」。彼が主催するボウリング大会「KUWATA CUP」の公式ソングとしてリリースされた、タイトル通りのボウリング愛あふれる作品。ボウリングという題材もそうなのですが、平成最後の年に、どこか昭和の空気を感じる懐かしい雰囲気の曲となっています。CD販売数及びラジオオンエア数で1位を獲得したものの、ダウンロード数42位、PCによるCD読取数13位、Twitterつぶやき数58位にとどまっておりこの順位に。桑田佳祐も紅白でサザンとしてのパフォーマンスが大きな話題となりましたが、ソロシングルへの波及はなかったようです。オリコンでは初動3万8千枚で1位を獲得。ただし前作「君への手紙」の7万枚(2位)からダウンしています。

返り咲き組はもう1曲。9位に星野源「アイデア」が先週の40位から大きく順位をあげて昨年10月8日付チャート以来、14週ぶりにベスト10返り咲きとなりました。こちらも昨年の紅白で歌った楽曲であり、紅白効果が大きく出た模様。特にダウンロード数が5位、Twitterつぶやき数が9位と上位にランクインしており、ベスト10返り咲きの大きな要因となっています。


今週のHot Albums

アルバムチャートでも紅白効果が出ています。

まず1位は星野源「POP VIRUS」。これで3週連続1位獲得。CD販売数、ダウンロード数、PCによるCD読取数いずれも1位を獲得しており、その強さを見せつけています。オリコンでも今週も2万7千枚を売り上げて1位をキープ。

そして2位には米津玄師「BOOTLEG」が先週8位からランクアップし、11月12日付チャート以来、9週ぶりにベスト3に返り咲き。CD販売数5位、ダウンロード数及びPCによるCD読取数では2位を獲得。こちらはオリコンでも先週の21位から4位に大きくランクアップしており、紅白効果はアルバムにも大きな影響を与えています。

さらにこちらは紅白ではないのですが3位にQUEEN「ボヘミアン・ラプソディ(オリジナル・サウンドトラック)」が先週の4位からランクアップし、こちらは2週ぶりのベスト3返り咲きとなっています。QUEENはベストアルバム「クイーン・ジュエルズ」も先週の9位から7位にランクアップしており、2枚同時ランクインとなっています。

続いて4位以下の初登場盤ですが、今週初登場は1枚のみ。4位にアイドルグループでんぱ組.inc「ワレワレハデンパグミインクダ」が初登場でランクイン。CD販売数4位、ダウンロード数13位、PCによるCD読取数62位となっています。オリコンではフライング販売の影響で先週付チャートで10位にランクイン。今週は13位にランクダウンしています。

またベスト10返り咲きとしてDA PUMPのベストアルバム「THANX!!!!!!! Neo Best of DA PUMP」が先週の12位から5位にランクアップし、2週ぶりのベスト10返り咲きとなっています。こちらもやはり年末の紅白やレコード大賞出演の効果が大きいのでしょうか。

そんな訳で同時更新となったHot100、Hot Albumsは以上。チャート評は今度は来週の水曜日に!

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2019年1月 9日 (水)

今週からアルバムチャートもBillboard基準となります。

タイトル通りです。いままでチャート評は、シングルはHot100、アルバムはオリコンと使い分けてきましたが、今週からアルバムもBillboardのHot Albumsを基準として紹介します。

ご存じのようにオリコンでは昨年12月よりダウンロード、スクリーミングを含めた「合算チャート」を公表。位置づけ的に従来の「週刊アルバムランキング」より上位に位置づけようとしています。一方、Billboardは従来よりCDリリースにダウンロード、PCによるCD読取数を加えたチャートを「Hot Albums」としています。

シングルチャートではオリコンの合算チャートはCD、ダウンロード、スクリーミングの単純な合算であって、You Tubeやラジオなどを加えた総合チャートであるBillboardと比べると、正直、従来のフィジカルな売上をいまだに重視しており、今のヒットシーンを捉えきれているとは思えません。ただアルバムチャートについては一長一短という印象。Billboardはスクリーミングをチャートに加えていませんし(スクリーミングではアルバム単位の集計が困難であるからと思われます)、オリコンではPCによるCD読取数という基準はありません。

オリコンは売上枚数が明記されていますし、従来のようにアルバムチャートはオリコンを基準し続けてもよかったのですが、シングルがBillboard基準なのでアルバムに関しても統一する意味もありBillboardのHot Albumsを基準として今年から使用させていただくことにしました。またシングルと同様、オリコンの週間アルバムランキングを参考に、初動売上比較は続けていこうと思っています。

そんな訳で、今週のHot Albumsです。

http://www.billboard-japan.com/chart_insight/

今年も彼の人気はまだまだ持続していきそうです。

Hot Albumsで1位を獲得したのは星野源「Pop Virus」。CD販売数は2位ですが、ダウンロード、PCによるCD読取数ともに1位を獲得し、総合順位では見事1位を獲得しました。ちなみにオリコンの週間アルバムチャートでも、4万4千枚を売り上げ、2週連続の1位を記録しています。

2位は韓国の女性アイドルグループTWICE「BDZ」が先週の52位から大きくランクをあげて10月29日付チャート以来、10週ぶりにベスト10返り咲き。こちらは既存のアルバムに新曲「STAY BY MY SIDE」を加えてリニューアルしたリパッケージアルバムがリリースされた影響。相変わらずアコギな商売です。

3位はようやく初登場。タッキー&翼「Thanks Two You」がランクインです。滝沢秀明の芸能界引退に伴い引退を発表した彼らの最後となるベストアルバム。ただし通常盤でも全5枚組というかなりボリューミーな内容になっています。CD販売数は1位でしたが、ダウンロードでのリリースはなく、PCによるCD読取数は47位に留まり総合チャートでは3位止まり。オリコンでも初動売上4万2千枚で2位に留まっており、有終の美は飾れませんでした。ただし、前作「TRIP&TREASURE TWO」の1万9千枚(4位)からは大幅にアップしています。

4位はQUEEN「ボヘミアン・ラプソディ(オリジナル・サウンドトラック)」がランクイン。先週、オリコンでは7週目のベスト10ヒットとなりましたが、Hot Albumsでも今週、8週目のベスト10ヒットとなっています。さらにHot Albumsではフジテレビ系ドラマ「プライド」でQUEENの「BORN TO LOVE YOU」が起用されたことに伴い、2004年にリリースされ大ヒットした日本独自企画のベストアルバム「クイーン・ジュエルズ」が9位にランクインしており、QUEENのアルバムが2枚同時にランクイン。その強さを見せつける結果となっています。

5位にはKEY「Hologram AS USUAL」がベスト10初登場。韓国の男性アイドルグループSHINeeのメンバーによるソロデビュー作となります。CD販売数は4位でしたが、ダウンロード数は26位、PCによるCD読取数は61位に留まっており、総合では5位に。オリコンでは初動売上2万6千枚で4位にランクインしています。

7位にはMISIA「Life is going on and on」が初登場でランクイン。デビュー20周年を迎えた彼女の3年ぶりとなるオリジナルアルバム。CD販売数6位、ダウンロード数10位、PCによるCD読取数37位で総合順位はこの位置に。オリコンでは初動1万6千枚で6位初登場。直近作はジャズアルバム「MISIA SOUL JAZZ SESSION」で同作の7千枚(11位)よりはアップ。オリジナルアルバムとしての前作「LOVE BEBOP」の1万3千枚(5位)よりアップしています。MISIAはここ数作、7万→5万4千枚→1万9千枚→1万3千枚と凋落傾向が続いてきましたが、ここでようやく下げ止まりました。本作に収録されたTBS系ドラマ「義母と娘のブルース」の主題歌「アイノカタチ」のロングヒットが大きかったようです。

8位には米津玄師「BOOTLEG」が先週の12位からランクアップし、2週ぶりのベスト10ヒットに。CD販売数は13位に留まっていますが、ダウンロード数は5位、PCによるCD読取数は3位を記録しており、Hot100同様、米津玄師人気を反映したチャートとなっています。

10位には韓国のアイドルグループ東方神起「New Chapter #2:The Truth of Love」がランクイン。ダウンロード数で3位を獲得。ほかはチャート圏外ながらもベスト10入りです。同作は韓国でリリースされたアルバム。オリコンでは輸入盤が初動売上9千枚で12位にランクインしています。

今週のHot Albumsは以上。これからはHot Albumsを基準にヒットチャートを紹介していきたいと思いますので、引き続き、よろしくお願いします。

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2019年1月 8日 (火)

2018年を象徴するようなチャート

今週のHot 100

http://www.billboard-japan.com/chart_insight/

Billboardは本日、チャート更新となりましたので、チャート評は本日、更新させていただきます。

12月最終週が集計対象となった今週のチャート。年末で新譜もほとんどなかった影響もあり、ロングヒット組が軒並みランクアップ。2018年を代表する曲が並んだチャートとなりました。

まず1位を獲得したのは、Hot100で年間1位も獲得した米津玄師「Lemon」。先週の4位からランクアップ。4月9日付チャート以来、39週ぶりの1位返り咲きとなりました。昨年の紅白歌合戦でも大きな話題となった彼。文句なしに2018年の大ヒット曲なのですが、紅白出演でその知名度はお茶の間レベルまで広がりました。ダウンロード数、Twitterつぶやき数、カラオケ歌唱数で1位を獲得。なんとCD販売数でも8位にランクアップ。オリコンの週間シングルランキングでも6千枚を売り上げて9位にランクイン。ダウンロードやYou Tubeなどネットでの人気が中心の彼でしたが、フィジカルでもセールスを伸ばしました。

ちなみに「Flamingo」も先週の5位から4位にランクアップ。2曲同時ランクインとなりましたが、どちらもまだまだロングヒットが期待できそうです。

そして米津玄師に敗れて残念ながら2位に終わったのがDA PUMP「U.S.A.」。おそらく「お茶の間での知名度」という意味では「Lemon」を上回るでしょう。You Tube再生回数では1位を記録しており、その人気のほどを伺わせます。ただ、以前から書いているように彼らは最高位が2位。今週も「Lemon」に1位獲得を阻まれてしまいました。紅白出演もあり「Lemon」が大きな話題となったため、正直、1位獲得は今後も厳しくなりそう。一度くらいは1位を取らせてあげたいのですが・・・。

3位はようやく初登場曲。D/Zeal「ハーモニクス」がランクイン。アイドル育成ゲーム「アイドルマスター ミリオンライブ!」のキャラクターによるキャラソン。「THE IDOLM@STER MILLION THE@TER GENERATION」シリーズの第12弾となります。CD販売数1位、PCによるCD読取数25位以外はすべて圏外という、典型的な固定ファンオンリーのヒット傾向に。オリコンでは本作を収録した「THE IDOLM@STER MILLION THE@TER GENERATION 12 D/Zeal」が初動売上5万7千枚で1位を獲得。同シリーズの前作、765 MILLION ALLSTARS名義の「THE IDOLM@STER MILLION THE@TER GENERATION 11 UNION!!」の1万5千枚(6位)からアップしています。

続いて4位以下ですが、今週は初登場は3位のD/Zealのみ。他にはロングヒット曲の目立つチャートとなっています。

まずは紅白にも出演したあいみょん。今週、「今夜このまま」が先週の7位からランクアップし5位にランクインしたほか、「マリーゴールド」が13位から7位にランクアップ。8月27日付チャートから19週ぶりのベスト10返り咲きとなりました。このあいみょんの売上の最大の特徴がCDがほとんど売れず、ダウンロードやサブスクリプション中心のヒットであるという点。「今夜このまま」も「マリーゴールド」もCD販売数では82位、90位とほとんど売れていないにも関わらず、ストリーミング数では1位及び2位を記録しています。「U.S.A.」も「Lemon」もネットの売上がCDに先行していますが、ここまで極端ではありません。中心となる支持層が女子高生ということですが、もうこの世代はCDを買わないんでしょうね。ただ純粋に「歌」が支持されているとも言えそうですが。

そして8位にはUru「プロローグ」が先週の6位からダウンしたとはいえ初登場から9週目。ベスト10は通算5週目のランクインとなっています。いろいろと話題となったTBS系ドラマ「中学聖日記」主題歌。ドラマが終わってもヒットは続いています。

9位には乃木坂46「帰り道は遠回りしたくなる」が先週の17位から9位にランクアップ。「シンクロニシティー」でレコード大賞を受賞し、良くも悪くも話題となった彼女たち。ただ本作はCD売上で4位にランクアップしたのが主要因。握手会の絡みでしょうか。

最後10位にback number「クリスマスソング」が先週の11位からランクアップ。2017年1月2日付チャート以来、約2年ぶりのベスト10返り咲きとなりました。この曲は2015年にリリースしたシングル。その後、毎年、クリスマスシーズンにランクアップしており、クリスマスソングの新定番になりつつあります。昨年は残念ながら最高位14位に留まったのですが、今週は見事ベスト10入りを果たしました。

そんな訳で米津玄師、DA PUMP、あいみょんと2018年を代表するミュージシャンが目立った今週のヒットチャート。集計期間は2018年の最後の週となったのですが、まさに2018年を象徴するようなチャートとなりました。そして明日はアルバムチャート!

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2019年1月 7日 (月)

ポップな面と硬派な面がバランス良く

Title:ドリーム銀座
Musician:サイプレス上野とロベルト吉野

毎回、楽しいポップなHIP HOPチューンを楽しませてくれるサイプレス上野とロベルト吉野、通称「サ上とロ吉」。
昨年7月にメジャーデビュー作となるミニアルバムをリリースしましたが、それに続き、待望のフルアルバムがリリースされました。いままでの幅広い人気と活躍があったため、これがフルアルバムとしてはメジャーデビューというのがちょっと意外な印象を受けてしまいます。

さて、そんなメジャーデビューアルバムの特徴は、彼らのメジャーデビューを祝うかのように数多くのミュージシャンが彼らの曲のプロデュースを手掛けているということ。mabanua、LIBRO、STUTSなど、新進気鋭のミュージシャン、トラックメイカーが今回、彼らのアルバムを手掛けています。さらには「メリゴ」ではSKY-HIが客演として参加しており、彼らの音楽の世界をさらに広げる役目を担っています。

そんな「サ上とロ吉」の曲の大きな特徴といえば、HIP HOPリスナーでなくても楽しめるようポップで楽しいナンバー。今回のアルバムでも、「メリゴ」のようなSKY-HIを迎えて爽やかなポップなメロディーが入ってくる曲や、ライブでも盛り上がりそうな「上サイン」「ヒップホップ体操第三」など、特に前半にポップで楽しいナンバーが並びます。さらに中盤ではあの石野卓球がプロデュースを手掛けた「ホラガイHOOK」でダンサナブルでエレクトロなトラックの楽曲を聴かせてくれており、ここらへんはテクノ好きでも楽しめるナンバーになっています。

また、彼らのもうひとつの大きな特徴といえば、彼らのふるさと横浜をテーマとしていること。本作でもイントロに続いて事実上1曲目で「Yokohama La La La」といきなり横浜をテーマとした曲で開始していますし、さらに「PRINCE OF YOKOHAMA 2222」では、2222年の横浜にタイムスリップするというユニークなリリックを聴かせる楽曲に仕上げてきています。

ただ今回のアルバム、そんなポップな彼らの側面にしっかりとスポットをあてている反面、特に後半では、より硬派な彼ら、音楽性を重視したサ上とロ吉により焦点をあてたような楽曲が並んでいました。mabanuaプロデュースによる「ムーンライト」ではメロウなトラックを楽しむことが出来ますし、韻シストのBASI、GAGLEのHUNGERをゲストに迎えた「RUN AND GUN pt.2」は多くのラッパーが参加したマイクリレーも楽しめる硬派なナンバーに。ラストの「NO LIMIT」もテンポよいラップにループするトラックが印象的。ラッパーとしてのスキルを発揮した、しっかりと聴かせるナンバーに仕上げています。

そんな訳で、彼らの魅力であるポップな側面をしっかりと押し出している一方で、「ポップ」なだけではない彼らの実力もしっかりと聴かせてくれるアルバムになっていました。彼らのポップな側面と硬派な側面がほどよくバランスされた作品で、メジャーデビュー作らしく、彼らの実力がしっかりと反映された傑作に。彼らの魅力がしっかりと伝わってくる1枚でした。

評価:★★★★★

サイプレス上野とロベルト吉野 過去の作品
WONDER WHEEL
YOKOHAMA LAUGHTER
サ上とロ吉のINMIX~non stop rental~
MUSIC EXPRES$
TIC TAC
ザ、ベストテン 10th Anniversary Best(紅)
ザ、ベストテン 10th Anniversary Best(白)

コンドル
大海賊


ほかに聴いたアルバム

もともとは堀込兄弟2人組としてスタートしたキリンジ(現KIRINJI)。今年はメジャーデビュー20周年の年となるのですが、彼らの「キリンジ」時代の曲を集めたコンピ盤がリリースされました。

Melancholy Mellow-甘い憂鬱-19982002/キリンジ

メランコリック&メロウをテーマとして選曲されたアルバムで、こちらはタイトル通り、1998年から2002年、彼らのワーナー時代の作品を収録しています。

Melancholy Mellow II -甘い憂鬱- 20032013/キリンジ

で、こちらは2003年から2013年のEMI/コロムビア時代の作品を収録したアルバム。

ある意味、どちらもまさにこれぞキリンジといった感じの曲が並んでいるアルバム。「エイリアンズ」「Drifter」など彼らの代表曲から知る人ぞ知る曲まで並んでいるのですが、どれも暖かい雰囲気でリスナーを包み込むようなメランコリックな作品となっています。ただ、ある意味、メランコリックな曲がこれだけ並ぶと、さすがにやりつくした感も否めないような。そういう意味では、兄弟2人のユニットから、堀込泰行が脱退し、バンドKIRINJIと、堀込泰行ソロにわかれたという流れはある意味必然だったのかな。そんなことも感じてしまったコンピ盤でした。

評価:どちらも★★★★★

キリンジ(KIRINJI) 過去の作品
KIRINJI 19982008 10th Anniversary Celebration
7-seven-
BUOYANCY
SONGBOOK
SUPERVIEW
Ten
フリーソウル・キリンジ
11
EXTRA11
ネオ
愛をあるだけ、すべて

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2019年1月 6日 (日)

CD+漫画本の異色の新作

Title:これからの麺カタコッテリの話をしよう
Musician:マキシマム ザ ホルモン

ここ最近、アイテムをリリースする毎にその内容で(音楽的な側面に限らず)ファンを驚かさせてきたマキシマム ザ ホルモン。今回、純然たる新曲としては「予襲復讐」以来約5年はぶり、アイテムとしてはDVD作品「Deka Vs Deka ~デカ対デカ~」以来約3年ぶりとなるニューアイテムが、これまたファンを驚かせています。今回はなんとCDに漫画の単行本をつけ、書籍扱いで流通させるという仕様。さらに飲食店で使えるクーポン券やら絶対に売り切れないオンラインショップの入場IDやら豪華な特典がついているフルボリュームな内容に。とにかくアイテムを買わせたいという彼らの、というよりもマキシマムザ亮君の執念のようなものを感じます。

さて、肝心のCDの方ですが、全5曲入り・・・ですが、最後の曲は収録曲を「アニメの予告編的」にアレンジしたおあそびなので実質上4曲入り。そしてこの中で個人的に一番注目したいのが先行でYou Tubeにも公開された「拝啓VAP殿」。いままでの彼らのスタイルから大きく変わったポップパンクの楽曲。今回、ダイスケはんが「極度のヘルニア」ということで、デス声なしヘドバンなしという名目の上でリリースされた曲なのですが、いままでの彼らのスタイルとは全く異なる曲をサラリと書いてしまうあたり、マキシマムザ亮君の才能を感じられます。彼らはもともとインパクトあるメロディーを書いてくるバンドではありましたが、全面的にポップなメロディーが流れる曲であってもインパクトを失わず、かつ平凡な構成になるわけではなく、ほかの曲と比べても遜色ないレベルに仕上げてきています。ちなみに歌詞は「惑星亮君語」という言葉で歌われているのは、ポップな曲を歌う亮君の「照れ」のようなものを感じます。

ちなみに残り3曲のうち1曲は「ロッキンポ殺し」収録の「ハイヤニ・スペイン」のリメイク。1曲目「maximum the hormone Ⅱ~これからの麺カタコッテリの話をしよう~」は彼ららしいデス声とシャウト満載のナンバー。やせた亮君に言及する歌詞にもニヤリとさせられます。そしてもう1曲の新曲「G'old~en~Guy」はこちらも彼ららしいファンキーなリズムと、さらにその後展開されるアニソン的なちょっとベタとも言える疾走感あるメロにゾクゾクさせられる楽曲に仕上げられいます。5年半ぶりの新作で事実上、新作が3曲のみというのはちょっと物足りなさも感じる部分もあるのは否定できませんが、その3曲(また「ハイヤニ・スペイン」のリメイクも)はいずれも彼らの魅力を存分に感じるボリューム満点な、まさに「麺カタコッテリ」な曲ばかり。次のアルバムも断然楽しみになってくる内容になっていました。

さて、一方この「書籍」のもうひとつのメインアイテムは、「コロコロコミック」の大人版として発売された「コロコロアニキ」に収録されたマキシマムザ亮君原作の漫画「マキシマムザ亮君の 必殺!! アウトサイダー広告代理人」が最終話を含めて収録されたもの。えっと、こちらはぶっちゃけて言ってしまうとつまんない(^^;;まあ、内容的には「コロコロコミック」を彷彿とさせるようなB級的なノリ。「大人向け」ということで下ネタもエロネタになっていたりするのですが、展開的にも突拍子もない感じで、「広告代理人」というネタも置いてけぼり。「尿酸値バトラー」というネタがあったり、広告の究極目標として「男に生理用品を買わせる」というネタを出してきたり、ここらへんの発想は凡人にはない亮君の発想力を感じるのですが、ストーリーメイキングには残念ながら特筆すべきような点はありまえんでした。

ま、もっとも音楽自体の素晴らしさを考えれば漫画の方のちょっと出来の悪さはおまけみたいなもの。とにかくファンならば間違いなく「買い」の内容だと思います。次はついに待望のニューアルバムリリースとなるのでしょうか?とにかくまずはダイスケはんのヘルニア完治が先だとは思いますが、次のアルバムリリースまで、本作を楽しみながら気長に待っていたいと思います。

評価:★★★★★

マキシマム ザ ホルモン過去の作品
予襲復讐
耳噛じる真打


ほかに聴いたアルバム

メカクシティリロード/じん

小説、音楽、漫画などをリンクさせた一連の作品集「カゲロウプロジェクト」が大きな人気を博したボカロP。2013年にリリースした「メカクシティレコーズ」がオリコン1位を獲得するなど大ヒットを記録しましたが、CDリリースは「メカクシティレコーズ」以来、一段落。そしてこのたびようやく約5年ぶりとなる「カゲロウプロジェクト」の新作CDがリリースされました。

「カゲロウプロジェクト」自体は逐一追いかけている訳ではなく、CDを聴くのみですが、楽曲自体はギターロックの作品を中心としてアコースティックな作品やピアノのアレンジにより幽玄な雰囲気で聴かせるような作品もあり、バリエーションあるポップスを聴かせてくれます。いい意味で聴きやすいシンプルなポップソングという印象。「カゲロウプロジェクト」は物語としては一区切りついたそうですので、次はまた違った形でのアルバムリリースとなるのでしょうか。これからの活動も楽しみです。

評価:★★★★

じん 過去の作品
メカクシティデイズ
メカクシティレコーズ

FALLING Ultimade Edition/sads

今年一杯での活動休止を宣言した清春率いるバンドsadsのラストアルバム。もともとライブツアーで販売していたアルバムを一部ミックスなどを代えて一般発売用にリリースしたアルバムだそうです。途中セルフカバーのリリースなどもありつつ、オリジナルとしては約8年ぶりの久々のリリースに。分厚いバンドサウンドをバックにメロディアスな曲が多かったのが特徴的で、へヴィーロック志向だったオリジナルとしては前作「The 7 Deadly Sins」からもちょっと雰囲気が変わったアルバムに。最後まで挑戦を続ける姿に感嘆する一方、ただおそらく重厚感を加えるために入れられたシンセの音がちょっとしつこすぎるような印象も。

評価:★★★★

SADS 過去の作品
THE 7 DEADLY SINS
LESSON2

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2019年1月 5日 (土)

名盤に対するアフリカからの回答

Title:Remain in Light
Musician:Angelique Kidjo

ニューヨークのロックバンド、トーキング・ヘッズが1980年にリリースしたアルバム「Remain in Light」。アフリカ音楽の要素を取り入れた独特のサウンドが注目を集め、今なおロックの名盤としての誉れ高い作品になっています。今回、紹介するのはその名盤をそのままカバーしたアフリカのミュージシャンの作品。アンジェリーク・キジョーはアフリカ・ベナン共和国出身の女性シンガーソングライターで、いままでグラミー賞に4度ノミネートするなど、世界的にも評価の高いミュージシャン。その彼女が「Remain in Light」をまるごとカバーし、一部で話題となっています。

もともとアフリカ音楽の要素の強い同作に対してのカバーは、ある意味、「Remain in Light」に対するアフリカからの回答と言ってもいいかもしれません。基本的に原曲に沿ったようなカバーとなっているのですが、そんな中でもよりトライバルな部分が強調されたスリリングなカバーになっていたように感じます。

例えば「Crosseyed and Painless」はもともとポリリズムの要素を強く取り入れた楽曲でしたが、彼女のカバーでは原曲に入っていたギターサウンドを取り除き、代わりにホーンセッションを取り入れたアレンジに。またその結果、ポリリズムの要素がより強調されたアレンジに仕上がっており、トライバルな要素をより強く感じるカバーになっています。

また今回のカバー、アンジェリーク・キジョーのボーカルがより生かされたカバーになっていた点も大きな特徴でしょう。もともとトーキング・ヘッズによる楽曲自体は、さほどボーカルが前に出ているような曲ではありません。今回、アンジェリークの力強いボーカルが前に押し出され、また彼女のボーカルが楽曲の雰囲気に見事マッチしており、楽曲のトライバルな要素をより押し出している形となっていました。

例えば「The Great Curve」も同じくパーカッションのリズムがより前面に押し出されて、ポリリズムの要素が強調されたカバーになっているのですが、さらに本作ではアンジェリークの力強いシャウト気味なボーカルによるカバーになり、原曲にはなかった力強い迫力あるカバーに仕上がっています。

また「Seen and Not Seen」は原曲ではトーカティブなボーカルが淡々と続いています。原曲の持つ無機質な雰囲気も魅力的ですが、今回のカバーではアンジェリークのパワフルなボーカルが乗り、楽曲がより躍動的に生き生きとした雰囲気を持っているカバーに仕上がっています。

原曲の持っている魅力はそのままに、アンジェリークらしい解釈を、特にアフリカからの回答としてのアレンジを加えている非常に優れたカバーになっていた傑作アルバムとなっていました。原作が好きな方は是非ともチェックしてほしいカバーアルバムです。

評価:★★★★★


ほかに聴いたアルバム

ELASTIC DAYS/J Mascis

Dinosaur Jr.のギターボーカルとしても活躍しているJ Mascisのソロアルバム。基本的にアコギをメインとしたシンプルなギターサウンドがメイン。ピアノなども取り入れてポップなメロディーラインを美しく聴かせるスタイル。いつもの彼と同様、インディーらしい雰囲気の作風でしたが、特に今回はフォーキーな作風が目立つ作品に。その分、地味さが強くなってしまった印象もありますが、一方ではメロディーの良さも光る作品になっていました。

評価:★★★★

J Mascis 過去の作品
Several Shades Of Why

Caution/Mariah Carey

約4年ぶりとなるマライア・キャリーの最新作。一時期は世界を席巻し、日本でも絶大な人気を誇った彼女。残念ながらさすがに本作は日本ではチャート最高位30位と一時期ほどの人気はなくなりました(とはいえ本国アメリカでもビルボードで5位にランクインしており、まだまだその人気は健在ですが)。ただ、本作を聴くと、彼女の魅力であるハイトーンボイスは今なお健在。ミディアムテンポのバラードナンバーが多いものの、爽やかなポップチューンが並び、さすがに全盛期には及ばないものの、十分な魅力を感じることが出来ます。なお、日本盤のボーナストラックにはゲストラッパーにKOHHが参加。なんと日本語のラップが入っており、リスナーを驚かせます。ここらへん、日本人にとってはちょっとうれしいところです。

評価:★★★★

Mariah Carey 過去の作品
Memories Of An Imperfect Angel
Merry Christmas II You
Me.I Am Mariah...

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2019年1月 4日 (金)

3人組としての集大成

Title:サニーデイ・サービスBEST 1995-2018
Musician:サニーデイ・サービス

サニーデイ・サービスのベスト盤が配信オンリーという形ですが、突如リリースされました。このアルバムリリースと同時に、MIDI時代の音源のサブスクリプション配信が解禁となっており、それに伴いプレイリスト的にリリースされた、という見方も出来るアルバムですが、一方で昨年5月にメンバーの丸山晴茂が47歳という若さで逝去。若い頃の3人が並んだ写真をジャケットにしていることからも推測できるように、3人組でのサニーデイ・サービスにひとつの区切りをつける、ということでも今回のリリースにつながったのかもしれません。

今回のベスト盤は2013年にリリースされた「サニーデイ・サービスBEST 1995-2000」からわずか5年というスパンでリリースされたベスト。ただ、前回のベストアルバムは2008年の再結成後の音源は含まれていません。特にサニーデイはここ最近、「DANCE TO YOU」「Popcorn Ballads」「the CITY」と傑作アルバムを次々とリリースしており、これらのアルバムを含む、再結成後のアルバムを加えてのオールタイムベストのリリースは存在意義も大きいかと思われます。

ただ、ちょっと残念なのは全32曲というフルボリュームの中、再結成後の音源は9曲のみと、ちょっと少な目だった点。内訳的には「本日は晴天なり」から1曲、「Sunny」から3曲、「DANCE TO YOU」から3曲、「Popcorn Ballads」から1曲、「the CITY」から1曲となっています。個人的には「Popcorn Ballads」や「the CITY」からもうちょっと選ばれてもよかったように思うのですが・・・。

ただ今回、デビューアルバムの「若者たち」の1曲目「いつもだれかに」からスタートし、リリース順に並べられた彼らの曲を聴いていると、基本的にその心に染み入ってくるくるような聴かせるメロディーラインに思ったより大きな変化はないんだな、という印象を受けます。特にここ最近のアルバムに関してはHIP HOPやソウル、ファンクやエレクトロなど多彩な音楽性を取り入れているだけに、デビュー時からのサニーデイとしての一本のコアな部分が最新アルバムまでしっかりとつながっているという点が今回のベスト盤で再確認できたように思います。

もっとも、上にも書いた通り、「Popcorn Ballads」や「the CITY」からの選曲が少なかったというのは、ここ最近の、HIP HOPやらエレクトロやら初期サニーデイとは大きく異なるようなタイプの曲を選ばなかったから、ということなのかもしれません。ベスト盤として統一感を覚えたアルバムでしたが、最近の新たな音楽性を取り入れたような挑戦的な曲も取りあげて欲しかったかも、とは思いました。

また、一本のコアな部分でつながっている、とは書いたのですが、実は初期サニーデイから今の彼らに至るまでに変化した部分もあります。それは初期の彼らが、どちらかというと60年代フォークやはっぴいえんどあたりの影響を強く受けた作風であったのに対して、途中からソウル、R&Bなどの要素を取り入れ、楽曲に「メロウさ」が出てきたという点。このベスト盤ではその転換点が「夢見るようなくちびるに」あたり。アルバムで言うと「MUGEN」のあたりでしょうか。この方向性は今の彼らにもしっかりとつながっています。

そんな訳で選曲に関しては思う部分もありつつも、網羅的に彼らの歴史を知ることが出来る、入門盤的にも最適なベストアルバムだと思います。全32曲、2時間19分とかなりボリューミーな内容ですが、「DANCE TO YOU」「Popcorn Ballads」「the CITY」が発売された今、最初に彼らのベスト盤を聴くのであれば、まずはこのアルバムから、で間違いないでしょう。2人きりとなってしまったサニーデイですが、今後の彼らの活動にも注目したいところです。

評価:★★★★★

サニーデイ・サービス 過去の作品
本日は晴天なり
サニーディ・サービス BEST 1995-2000
Sunny
DANCE TO YOU
桜 super love

Popcorn Ballads
Popcorn Ballads(完全版)
the CITY
DANCE TO THE POPCORN CITY
the SEA


ほかに聴いたアルバム

The Insulated World/DIR EN GREY

オリジナルアルバムとしては実に4年ぶりとなるDIR EN GREYの新作。ただその間にベスト盤をリリースしており、ある意味、活動に一区切りをつけた形となったベスト盤を挟んでの、あらたな一歩を踏み出したアルバムともいえる本作。ただ、印象としてはいままでの作品以上にヘヴィネスさを増した印象が強く、ベスト盤で感じたDIR EN GREYとしての完成形をさらに推し進めた印象を受けるアルバム。サウンドに終始圧倒される内容になっており、これぞDIR EN GREYという楽曲に終始魅せられたアルバムでした。

評価:★★★★★

DIR EN GREY 過去の作品
UROBOROS
DUM SPIRO SPERO
THE UNRAVELING
ARCHE
VESTIGE OF SCRATCHES

BTTB-20th Anniiversary Edition-/坂本龍一

坂本龍一が1998年にリリースした初のピアノアルバム「BTTB」。そのリリース20周年を記念してアニバーサリーエディションがリリースされました。98年にリリースされた初回盤の内容に加え、翌年リリースされた通常盤に加えられた「snake eyes」「tong poo」、さらにインターナショナル盤に収録された「reversing」に、翌年リリースされ大ヒットを記録した「ウラBTTB」より「energy flow」を収録した内容になっています。

翌年99年にリリースして大ヒットを記録した「ウラBTTB」といえば、当時「癒し系」と呼ばれ、一種のブームとなりました。このアルバムもピアノ曲ということでその流れ・・・と思いきや、内容的にはかなり実験的な作風の曲も含まれており、決して「癒し系」なる陳腐な表現で語られるアルバムではありません。もちろん、「enegry flow」のようなメロディアスな曲も収録されていますが、ピアノ一本で様々な音を表現しており、まさに坂本龍一の才能を強く感じさせられるアルバム。20年たった今でも全く色あせない傑作です。

評価:★★★★★

坂本龍一 過去の作品
out of noise
UTAU(大貫妙子&坂本龍一)
flumina(fennesz+sakamoto)
playing the piano usa 2010/korea 2011-ustream viewers selection-
THREE
Playing The Orchestra 2013
Year Book 2005-2014
The Best of 'Playing the Orchestra 2014'
Year Book 1971-1979
async
Year Book 1980-1984

ASYNC-REMODELS
Year Book 1985-1989
「天命の城」オリジナル・サウンドトラック

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2019年1月 3日 (木)

爽快なメロディーがとにかく魅力的

Title:wizard
Musician:ビッケブランカ

ファルセットボイスと心地よいピアノに分厚いサウンド、キュートでポップなメロディーがとにかく心地よい男性シンガーソングライター、ビッケブランカ。
前作「FEARLESS」ですっかりはまってしまったのですが、それに続く約1年4ヶ月のメジャー2枚目となるフルアルバム。今回も非常に気持ち良いポップチューンが並ぶ、個人的には壺にはまりまくりの傑作アルバムに仕上がっていました。

本作はいきなりタイトルチューン「wizard」からスタートするのですが、「猫」の語りと、それをバックに小曲が流れるイントロ的な曲。とぼけた感じの棒読みで音楽用語を並べてビッケブランカの魅力を語るのですが、この語り口がなかなかユニーク。ここらへん、ちょっとm-floっぽいなぁ、とも感じたのですが、お遊び心の強い出だしからスタートします。

そして続く「Winter Beat」もピアノとストリングスで彩られたポップチューンがとにかく心地よい。サビのファルセットボイスも魅力的ですが、爽やかさと切なさが同居したメロディーがとにかく心にキュンキュンと響いてきます。続く「まっしろ」はドラマの挿入歌にも起用された曲なのですが、切ないメロディーが印象的なピアノバラードで雰囲気がガラッと変わります。序盤は「冬」らしいナンバーを並べた、今の季節にピッタリの構成となっています。

その後も「ウララ」「キロン」などピアノをメインとした分厚いサウンドにファルセットボイスという疾走感あって心地よいポップチューンや「Smash」「WALK」など、ファルセットボイスを美しく聴かせるピアノバラードナンバーなど、彼らしい楽曲をしっかりと聴かせます。

また一方では前作同様、ハイトーンボイスを聴かせるポップなメロディーという軸の部分はぶれずに、バリエーションを持った曲調も特徴的。今回でいえば「Black Rover」などはアップテンポなオルタナ系ギターロックのナンバーになっていますし、さらに「Buntine Special」ではヘヴィーなギターリフを聴かせるパンキッシュなナンバーに仕上げています。さらには「夏の夢」のようなちょっとジャジーなAORナンバーがあったり、「Lights Out」のような打ち込みを使ったエレクトロ色の強いミディアムテンポのナンバーもあったりします。

ただ、そんなバリエーションを持たせつつも、アルバム全体としては上にも書いた通り、ピアノをバックに爽快なサウンドで聴かせるポップチューンという方向性は一貫しているためアルバム全体としてはしっかりと統一感を持っており、ビッケブランカの魅力をしっかりと伝えている作品になっていると思います。

この手のポップミュージシャンはいわゆる夏フェス受けするわけでもないし、1曲、シングル的な曲のヒットがないとなかなかブレイクしきれないのですが、ただ、これだけインパクトあって魅力的な曲を作っているだけに、今後、もっともっと注目されそうな予感もあります。とにかく、前作に続いて今回のアルバムも個人的には壺にはまりまくった作品に。素直にポップの魅力を楽しめる、音楽ファンに幅広くお勧めしたい傑作アルバムでした。

評価:★★★★★

ビッケブランカ 過去の作品
FEARLESS


ほかに聴いたアルバム

-11℃/BIGMAMA

BIGMAMAというとメンバーにヴァイオリニストを入れ、ヴァイオリンの音色をロックの曲の中に重ねてくるのが大きな特徴。ただその結果、ヴァイオリンを前に押し出すことによって少々仰々しい大味な仕上がりになるか、ロックな面を前に出すことによりヴァイオリンの音が浮いてしまうという問題点がありました。ただ今回のアルバムは全体的にノイジーなギターサウンドを前に押し出しつつ、ヴァイオリンをほどよく絡ませることにより、いい意味で両者のバランスが取れたアルバムになっていたと思います。いままでのアルバムで一番良くできたアルバムかと。

評価:★★★★

BIGMAMA 過去の作品
Dowsing For The Future
君がまたブラウスのボタンを留めるまで
君想う、故に我在り
Synchronicity(HY+BIGMAMA)
Fabula Fibula
BESTMAMA

還暦少年/スターダストレビュー

約4年ぶりとなるスタレビの最新作。メンバーのうち根本要、柿沼清史が還暦を迎えた彼ら。本作は還暦を迎えても心はいつもロック少年という意味合いのタイトルだそうで、あえて「年齢」を意識させるような歌詞の曲が多く収録されています。もちろん楽曲の方は、彼ららしく、ロックンロール、ファンク、フォーク、さらにはボッサ的な要素を感じさせる曲など幅広い音楽性を取り入れた完成度の高いポップソングが並んでいます。ただ、「恋するTシャツ」など、一方では還暦という年齢を押し出しつつ、ラブソングに関していくらなんでも心持ちが若すぎないか?(というよりも幼すぎないか?)と思うような歌詞も目立ち、正直言うと、違和感が・・・いや、あえて厳しい言い方をさせてもらうと、例えば会社の中で、いい歳した50代60代のおっさんが20代の若手女性社員に色目を使っているような、セクハラにもなりそうな気持ち悪さすら感じてしまいました。ラストの「静かな愛で」のような歌詞ならば何も違和感はなく自然体に感じられたと思うのですが・・・。その点さえなければ、ここ最近の作品の中でもかなり出来のよい作品だったと思うのですが・・・。

評価:★★★★

スターダストレビュー 過去の作品
31
ALWAYS
BLUE STARDUST
RED STARDUST

太陽のめぐみ
B.O.N.D
Stage Bright~A Cappella & Acoustic Live~
SHOUT
スタ☆レビ-LIVE&STUDIO-

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2019年1月 2日 (水)

彼らの「自信」をうかがわせる傑作

Title:Sleepless in Brooklyn
Musician:[Alexandros]

約2年ぶりとなる[Alexandros]のニューアルバム。売上的には1位を獲得した前作「EXIST!」に比べて初登場3位とダウン。初動売上枚数も下回るなど、右肩上がりの勢いがあった前作までと比べると、若干ひと段落した感のある本作ですが、8月には千葉マリンスタジアムで初となるスタジアムワンマンライブを実施するなど、まだまだ勢いを感じられます。

そんな彼らの前作「EXIST!」は脂ののりきったバンドだけがリリースできるような奇跡的な傑作アルバムに仕上がっていました。それだけに次のアルバムがどのような出来になるのか注目していたのですが・・・結果としては前作「EXIST!」が彼らにとって決して奇跡的に誕生した偶然の傑作ではないことを証明する作品に仕上がっていました。

まず今回のアルバムで彼らにとってある種の「自信」を感じさせるのが序盤。アルバムというと通常は序盤にインパクトのある作品からスタートするのが一般的。前作「EXIST!」でも1曲目「ムーンソング」はさわやかなメロディーを聴かせる曲からスタートしたものの、2曲目「Kaiju」ではガツンとくるハードロックなナンバーを入れて、一気にリスナーの耳を惹きつける構成になっていました。

今回のアルバムでは1曲目「LAST MINUTE」はエレクトロテイストの強いミディアムテンポのポップチューンになっており、メロディーの良さは感じるものの、決してガツンと強いインパクトを持ったナンバーではありません。続く「アルペジオ」も切なさを感じるメロディーが主軸となったナンバー。サビではそれなりに分厚いバンドサウンドが入ってくるものの、ロックテイストは弱めになっており、どちらもロックなサウンドというよりはメロディーラインを聴かせる曲からスタートしています。

そういう意味ではこの序盤の展開にはリスナーの耳を惹きつけやすいダイナミックなバンドサウンドではなく、メロディーラインでもしっかりとリスナーを惹きつけることができるという、彼らの自信を感じることが出来ます。そして、そんな聴かせるナンバーが並んだあとの3曲目「Mosquito Blue」ではいきなりヘヴィーなギターのリフのイントロからスタートするロックなナンバー。ここでロックバンドとしての彼らを前面に押し出してくるのですが、この展開にはゾクゾクとすらさせられます。続く「I Don't Believe In You」もシンセのサウンドを効果的に使った疾走感あるナンバーで、ファンキーなリズムも入ったカッコいいロッキンなナンバー。ここでロックな彼らを求めるリスナーの耳もグッと惹きつけます。

ただ今回のアルバム、全体的にはポップなメロディーラインを押し出したような曲が多かった印象を受けます。続く「ハナウタ」も和風な郷愁感も覚えるミディアムチューンですし、「PARTY IS OVER」も打ち込みの力強いリズムとシンセのサウンドが印象的なエレクトロテイストの強いナンバーながらもミディアムテンポのメロディーラインを前に押し出した聴かせるナンバーに。終盤の「Your Song」もフォーキーな雰囲気でしんみり聴かせるナンバーに仕上がっています。

[Alexandros]というと以前は、サウンドはそれなりに洋楽的なのに、悪い意味でJ-POP的なベタなメロディーが特徴的という印象を受けていました。その点、前作「EXIST!」は洋楽的な部分がグッと前面に押し出された結果、傑作のアルバムとなったのですが、今回のアルバムに関しても、彼らの持つ洋楽的な要素とJ-POP的な要素がほどよくバランスされており、その結果としていままでベタなJ-POP的と感じたポップテイストの強いミディアムチューンでもグッとメロディーラインのクオリティーが上がったように感じます。

特に「FISH TACOS PARTY」などでは哀愁感あるメロディーラインやサビでの転調などいかにもJ-POP的なのですが、インパクトあるフレーズが英語詞にもうまくマッチしており、洋楽的な側面とJ-POP的な側面がほどよくブレンドされた聴かせるナンバーに仕上がっていました。

もちろんロックな側面でもカッコいいナンバーも少なくなく、HIP HOPの要素も取り入れ、ヘヴィーなギターリフがカッコいい「MILK」や疾走感ある「KABUTO」など、ロックバンドとしての強度もいままで以上に上がったように感じます。

前作「EXIST!」は「奇跡の傑作」という表現をしていたのですが、今回のアルバムを聴く限り、前作が決して「奇跡」ではなく、彼らが一つの壁を乗り越えた結果のアルバムだったんだ、ということを強く感じました。そして、今回のアルバムはそんな壁を乗り越えた彼らが作り上げた、バンドとしての「自信」をうかがわせる傑作アルバム。いや、文句なしにいいバンドになってきました。これからの活動も楽しみです。

評価:★★★★★

[Alexandros] 過去の作品
Schwarzenegger([Champagne])
ALXD
EXIST!


ほかに聴いたアルバム

Happy Days/岡本真夜

岡本真夜の最新作は7曲入りのミニアルバム。基本的にはいつもの彼女らしいポップソングが並んでいるのですが、タイトル通り、とにかく明るい曲の連続。大いなるマンネリ的な曲といえばその通りなのですが、素直にワクワクするような楽しいポップチューンが並んでおり、純粋に楽しむことが出来る1枚でした。

評価:★★★★

岡本真夜 過去の作品
seasons
Crystal Scenery II
My Favorites
Close To You
Tomorrow
岡本真夜 20th Anniversary ALL TIME BEST~みんなの頑張るを応援する~
Love Story

ザ・シサ/筋肉少女帯

メジャーデビュー30周年を記念してリリースされた約1年ぶりのニューアルバム。タイトルの「視差」とは同じ物でも見る角度によって見え方が違ってくるという、ある意味筋少らしいタイトル。「オカルト」とか「なぜ人を殺しちゃいけないのだろうか?」とか、いかにも彼ららしい曲も収録。そんな感じでそれなりに楽しめるアルバムではあるものの、全体的にはちょっとマンネリ気味なのは否めないかな。曲もこれといったインパクトあるフレーズも少なかったですし。

評価:★★★★

筋肉少女帯 過去の作品
新人
大公式2
シーズン2
蔦からまるQの惑星
公式セルフカバー4半世紀
THE SHOW MUST GO ON
おまけのいちにち(闘いの日々)
再結成10周年パーフェストベスト+2
Future!

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2019年1月 1日 (火)

謹賀新年

新年、あけましておめでとうございます。旧年中は当「ゆういちの音楽研究所」をご愛顧いただきありがとうございました。今年もなんとぞ当サイトをよろしくお願いします。

年初に昨年の音楽シーンのまとめというのはちょっとズレている感もあるのですが・・・2018年の音楽シーンといえば久しぶりに老若男女が親しんだ最大のヒット曲が登場しました。言わずと知れたDA PUMPの「U.S.A.」です。ただ、ここ数年、「U.S.A.」に限らず(昨年は登場しませんでしたが)RADWIMPS「前前前世」、星野源「恋」、そして2018年のもうひとつの大ヒット曲、米津玄師「Lemon」など「ヒット曲」が続々と登場してきています。

これは私の主観による意見なので間違っているのかもしれませんが、ひょっとしたらこの傾向は、当サイトでも取り上げているBillboard Japanの複合チャート、Hot100の影響も少なくないのではないでしょうか。Hot100の登場により、いままでCDの売上だけでは見えてこなかった「ヒット曲」が可視化され、さらにヒットが波及し、大ヒット曲になるという傾向があったように思われます。実際、前述のヒット曲はCDの売上ではいずれも年間ベスト10しておらず、CDの売上を見るだけでは「大ヒット」と言えるような状況ではありません。

特にここ数年、どころか90年代あたりから、CDの売れ方としては発売初週に一気に枚数を売り上げチャート上位にランクインし、その後はチャートを落ちていくという売れ方が一般的でした。しかしその結果、ヒットチャートはほぼ週替わりの状況となってしまい、「今、どんな曲が流行っているんだろう」とヒットチャートを見てみても、何がヒットしているのかさっぱりわかりませんでした。そしてそれが一部の若者以外の「音楽離れ」を促進させ、結果としてアイドルやらアニメ系のような一部の固定ファンがついているジャンル以外のCDが全く売れない、という状況につながってしまったように思います。

しかしHot100の複合チャートでは、CD売上以外の指標をチャートに取り入れているため、ヒットが長く続く傾向にあります。実際、「U.S.A.」も「Lemon」も、半年以上にわたりベスト10ヒットを続けています。そんなチャートだからこそ、あまり音楽に興味がない層にも「今、どんな曲が流行っているのか」がわかりやすく、結果として「それだけ流行っているんなら、ちょっと聴いてみよう」という動きにつながっているのではないでしょうか。そしてその結果生まれたのが、「U.S.A.」や「Lemon」のようなヒット曲ではなかったのか・・・そう思います。

そういう意味では2019年以降もまた再び数多くのヒット曲が登場してくるような予感がします。CDの売上だけを見ると絶望的な気持ちになる昨今の音楽シーンですが、音楽シーン全体という意味ではむしろシーンにどんどんと活況が生まれつつあるのではないでしょうか。2019年にどんな新しいヒット曲に出会えるのか、楽しみです。

 

ただ、一方で難しいのは、Hot100は、ダウンロードやストリーミング、You Tubeなどネット主導のヒットに強い反面、旧来型のCDが中心のヒット、例えば演歌系、などは捉えにくいという弱点もあります。典型的なのは氷川きよし。いまだに一定の人気は保っていますが、Hot100ではほとんど上位に入ってきません。また昨年の紅白に初登場して話題となった純烈もCD中心のヒット。オリコンではベスト10入りしたようですが、Hot100では上位に入ってきていません。「ヒット曲」をどのように捉えるのか、まだまだその模索は続いていくようにも感じます。

そう考えると、これはここでも何度も言っているのですが、毎年紅白歌合戦って、なんとか今のシーンを捉えようとがんばっているなぁ、とは感じます。正直、「特別枠」を使いすぎとか、米津玄師は確かにすごいミュージシャンだけど、キャリア的にあれだけ特別扱いすべきなのか?と思う点は少なくないのですが、いろいろな制約がある中で健闘しているのではないでしょうか。昨年も家庭の事情から主にラジオで紅白を聴いていたのですが、なんだかんだ言っても楽しんで聴いていました。ただ・・・個人的にもちろんサザンは大好きなバンドですし、間違いなく日本で最も実力あるバンドだとは思うのですが・・・平成最後の紅白の最後の曲が「希望の轍」と「勝手にシンドバッド」というのは正直かなり疑問を感じてしまったのですが・・・。

ま、いろいろありましたが、今年ものんびりとお正月を過ごそうと思います。それでは、今年もよい曲にたくさん出会えますように。

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