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2019年1月 6日 (日)

CD+漫画本の異色の新作

Title:これからの麺カタコッテリの話をしよう
Musician:マキシマム ザ ホルモン

ここ最近、アイテムをリリースする毎にその内容で(音楽的な側面に限らず)ファンを驚かさせてきたマキシマム ザ ホルモン。今回、純然たる新曲としては「予襲復讐」以来約5年はぶり、アイテムとしてはDVD作品「Deka Vs Deka ~デカ対デカ~」以来約3年ぶりとなるニューアイテムが、これまたファンを驚かせています。今回はなんとCDに漫画の単行本をつけ、書籍扱いで流通させるという仕様。さらに飲食店で使えるクーポン券やら絶対に売り切れないオンラインショップの入場IDやら豪華な特典がついているフルボリュームな内容に。とにかくアイテムを買わせたいという彼らの、というよりもマキシマムザ亮君の執念のようなものを感じます。

さて、肝心のCDの方ですが、全5曲入り・・・ですが、最後の曲は収録曲を「アニメの予告編的」にアレンジしたおあそびなので実質上4曲入り。そしてこの中で個人的に一番注目したいのが先行でYou Tubeにも公開された「拝啓VAP殿」。いままでの彼らのスタイルから大きく変わったポップパンクの楽曲。今回、ダイスケはんが「極度のヘルニア」ということで、デス声なしヘドバンなしという名目の上でリリースされた曲なのですが、いままでの彼らのスタイルとは全く異なる曲をサラリと書いてしまうあたり、マキシマムザ亮君の才能を感じられます。彼らはもともとインパクトあるメロディーを書いてくるバンドではありましたが、全面的にポップなメロディーが流れる曲であってもインパクトを失わず、かつ平凡な構成になるわけではなく、ほかの曲と比べても遜色ないレベルに仕上げてきています。ちなみに歌詞は「惑星亮君語」という言葉で歌われているのは、ポップな曲を歌う亮君の「照れ」のようなものを感じます。

ちなみに残り3曲のうち1曲は「ロッキンポ殺し」収録の「ハイヤニ・スペイン」のリメイク。1曲目「maximum the hormone Ⅱ~これからの麺カタコッテリの話をしよう~」は彼ららしいデス声とシャウト満載のナンバー。やせた亮君に言及する歌詞にもニヤリとさせられます。そしてもう1曲の新曲「G'old~en~Guy」はこちらも彼ららしいファンキーなリズムと、さらにその後展開されるアニソン的なちょっとベタとも言える疾走感あるメロにゾクゾクさせられる楽曲に仕上げられいます。5年半ぶりの新作で事実上、新作が3曲のみというのはちょっと物足りなさも感じる部分もあるのは否定できませんが、その3曲(また「ハイヤニ・スペイン」のリメイクも)はいずれも彼らの魅力を存分に感じるボリューム満点な、まさに「麺カタコッテリ」な曲ばかり。次のアルバムも断然楽しみになってくる内容になっていました。

さて、一方この「書籍」のもうひとつのメインアイテムは、「コロコロコミック」の大人版として発売された「コロコロアニキ」に収録されたマキシマムザ亮君原作の漫画「マキシマムザ亮君の 必殺!! アウトサイダー広告代理人」が最終話を含めて収録されたもの。えっと、こちらはぶっちゃけて言ってしまうとつまんない(^^;;まあ、内容的には「コロコロコミック」を彷彿とさせるようなB級的なノリ。「大人向け」ということで下ネタもエロネタになっていたりするのですが、展開的にも突拍子もない感じで、「広告代理人」というネタも置いてけぼり。「尿酸値バトラー」というネタがあったり、広告の究極目標として「男に生理用品を買わせる」というネタを出してきたり、ここらへんの発想は凡人にはない亮君の発想力を感じるのですが、ストーリーメイキングには残念ながら特筆すべきような点はありまえんでした。

ま、もっとも音楽自体の素晴らしさを考えれば漫画の方のちょっと出来の悪さはおまけみたいなもの。とにかくファンならば間違いなく「買い」の内容だと思います。次はついに待望のニューアルバムリリースとなるのでしょうか?とにかくまずはダイスケはんのヘルニア完治が先だとは思いますが、次のアルバムリリースまで、本作を楽しみながら気長に待っていたいと思います。

評価:★★★★★

マキシマム ザ ホルモン過去の作品
予襲復讐
耳噛じる真打


ほかに聴いたアルバム

メカクシティリロード/じん

小説、音楽、漫画などをリンクさせた一連の作品集「カゲロウプロジェクト」が大きな人気を博したボカロP。2013年にリリースした「メカクシティレコーズ」がオリコン1位を獲得するなど大ヒットを記録しましたが、CDリリースは「メカクシティレコーズ」以来、一段落。そしてこのたびようやく約5年ぶりとなる「カゲロウプロジェクト」の新作CDがリリースされました。

「カゲロウプロジェクト」自体は逐一追いかけている訳ではなく、CDを聴くのみですが、楽曲自体はギターロックの作品を中心としてアコースティックな作品やピアノのアレンジにより幽玄な雰囲気で聴かせるような作品もあり、バリエーションあるポップスを聴かせてくれます。いい意味で聴きやすいシンプルなポップソングという印象。「カゲロウプロジェクト」は物語としては一区切りついたそうですので、次はまた違った形でのアルバムリリースとなるのでしょうか。これからの活動も楽しみです。

評価:★★★★

じん 過去の作品
メカクシティデイズ
メカクシティレコーズ

FALLING Ultimade Edition/sads

今年一杯での活動休止を宣言した清春率いるバンドsadsのラストアルバム。もともとライブツアーで販売していたアルバムを一部ミックスなどを代えて一般発売用にリリースしたアルバムだそうです。途中セルフカバーのリリースなどもありつつ、オリジナルとしては約8年ぶりの久々のリリースに。分厚いバンドサウンドをバックにメロディアスな曲が多かったのが特徴的で、へヴィーロック志向だったオリジナルとしては前作「The 7 Deadly Sins」からもちょっと雰囲気が変わったアルバムに。最後まで挑戦を続ける姿に感嘆する一方、ただおそらく重厚感を加えるために入れられたシンセの音がちょっとしつこすぎるような印象も。

評価:★★★★

SADS 過去の作品
THE 7 DEADLY SINS
LESSON2

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コメント

年齢的な問題等で様々な方向転換を余儀なくされつつあるマキシマムザホルモンの苦闘が滲み出ているサウンドでした。それでもホルモンらしさはあるのでそこからどう変えていくのかが気になりますね。

投稿: ひかりびっと | 2019年3月 4日 (月) 13時38分

>ひかりびっとさん
ご感想ありがとうございました。

投稿: ゆういち | 2019年3月 9日 (土) 23時27分

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