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2018年12月11日 (火)

波乱万丈な生涯

先日、Queenの伝記映画「ボヘミアン・ラプソディー」を見てきたばかりですが、それに続き、またも音楽映画を見てきました。ただし今度の映画は「ボヘミアン・ラプソディー」のような「事実を基にした物語」ではなく、ドキュメンタリー映画。「エリック・クラプトン~12小節の人生」を見てきました。

今回のドキュメンタリーはタイトル通り、エリック・クラプトンの人生を追いかけた映画。貴重な映像や関係者のインタビューにより映画が展開していく形での構成になっています。特に映像に関しては、例えばマディ・ウォーターズのライブ映像や、アレサ・フランクリンのレコーディング風景などかなり貴重な映像も収められており、興味深く見ることが出来ます。インタビューに関しては、今回の映画にあわせて収録されたものだけではなく、過去のインタビュー音源もピックアップされており、既に鬼籍に入った人の貴重な証言も収められています。こちらも映像の内容とあわせて興味深く聴くことが出来ました。

Clapton_2

今回の映画のサブタイトルに登場する「12小節」とは、クラプトンが大きな影響を受けたブルースで一般的な形式のこと。そのため、特に映画の前半では彼とブルースの関わりから、マディ・ウォーターズやB.B.KINGなどのブルースの巨人が次々と登場。ブルースが好きな身としてはかなりうれしい映像、証言の連続でした。また、彼の音楽経歴上、「ロックの歴史」に寄り添うような活動となっているため、特に前半は「ロック史」に関してのドキュメンタリーを見ているような感じにもなってきます。

またクラプトンといえば親友ジョージ・ハリスンの妻、パティ・ボイドに対する横恋慕に関するエピソードが非常に有名で、今回の映画でもその話にかなりの時間を割いているのですが、このエピソードに関して、クラプトンとパティ本人の証言が聴けるのがかなり貴重。少々生々しいような話すらあるし、ネタ的には「音楽」というよりもゴシップ的な話なのですが、とても興味深く、ここらへんのエピソードはまさに下世話ながらものめり込むのように聴いてしまいました。

しかしクラプトンといえば、このパティとのエピソードもそうですが、祖父母を「両親」だとして育てられた幼少期からスタートし、アルコール依存に息子の突然の事故死と、ひとつひとつのエピソードは非常に有名な話ばかりなのですが、こうやってドキュメンタリーとして物語的に並べて紹介されると、彼の人生は実に波乱万丈だったんだな、ということが実感させられます。

正直言うと、クラプトンについては個人的には好きでも嫌いでもないミュージシャンという印象。また、このドキュメンタリー映画の評価もさほど高いものではなかったため、当初はさほど期待していませんでした。ただ、実際に見てみると、その貴重な映像や証言の数々、そして彼の波乱万丈な人生の物語にすっかり見入ってしまい、予想以上に楽しめ、またクラプトンのことが好きになりました。映画の長さもあって、いろいろと省略されてしまった部分もあったようですが、それを差し引いても非常に興味深く楽しめた映画。とても満足した2時間でした。

以下、ネタバレの感想

今回の映画で興味深いのは、彼の栄光の側面だけのみならず、影の部分もきちんと取り上げられている点。そのため、例えば彼の人生の大きな汚点ともなっている人種差別的発言も取り上げられており、それに対する彼の反省の弁も述べられています。アルコール依存の話もそうですが、こういう影の部分を取り上げることにより、映画として奥行を感じることが出来たように感じます。

ただ一方、彼の女性に対するだらしなさに関しては、あえてなのか、あまり取り上げられいません(^^;;もっとも、人生の後半で、次々とあらたな恋人が登場したり、パティ・ボイドとの仲があいまいな状況となり、その肝心の結末がいまひとつ語られていなかったりするので、映画を見ていても、女性に対するだらしなさはなんとなく察することは出来るのですが・・・。

そして映画を見ていて一番つらかったのは彼の息子、コナー・クラプトンの事故死のエピソード。コナーの生前のあまりにかわいらしい映像もたくさん流れますし、ちょうど同世代の子どもを持つ親としては、かなり辛い内容で、正直なところ涙が止まらなくなりました。

しかしそんな中、クラプトンを救ったのは音楽だった・・・というエピソードは、あまりにも出来すぎた事実。ただ、それだけにラストはとても感動的ですらあったと思います。また最後はコナーの後に生まれた子どもたちと遊ぶクラプトンの姿が流れるのですが、完全に「良きパパ」になっていて、とても微笑ましく感じました。

最後、確か彼のマネージャーの証言として「彼は強い人間だ。なぜならいままで生き残ったから」という言葉が非常に印象に残りました。確かに数多くの偉大なミュージシャンが薬物依存や自殺などを要因として早世しています。その中で、確かに薬物やアルコール依存に陥り、これだけ波乱万丈な人生を送りながら、最後は生き残った彼は本当に強い人間なんだなということを感じました。上にも書いたのですが、いままで好きでも嫌いでもなかった彼のことを、一気に好きになれた、そんな映画でした。

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