まさかの第2弾
Title:Do The Blues 45s! Vol.2~The Ultimate Blues 45s Collection~
昨年リリースされたディスクユニオンの秋元伸哉氏監修・選曲によるブルースのコンピレーションアルバム「Do The Blues 45s!」。1950年代から60年代のマイナーレーベルからリリースされた音源がメインの、「知る人ぞ知る」的なかなりマニアックな音源を集めたコンピ盤。ただ、そんなアルバムながらもCDの帯に甲本ヒロトの推薦文が書かれたり、ジャケットデザインが本秀康だったりと、その豪華なメンバーが協力していることでも話題になりましたが、その影響もあってか、ブルースのコンピとしては好セールスを記録したとか。そしてなんとそのコンピレーションアルバムの第2弾がリリースされました。
今回もまた、知る人ぞ知る的なミュージシャンの曲20曲が収録された今回のアルバム。基本的に知られざる名曲を選んでいるという共通項はあるものの、一方では様々なタイプのブルースが選曲されており、ブルースという音楽の幅広さを知ることの出来るコンピにもなっていました。
例えば1曲目Little Sonnyの「STRETCHIN'OUT」は抜けのよいリズムが楽しめる、どこか陽気さを感じるインストナンバーからスタートしていますし、続くJohn Heartsman「JOHNNY'S HOUSE PARTY PT.1」に至っては、後ろの歓声もそのまま収録されているという、かなりアットホームな録音に。タイトル通り、こちらも明るい雰囲気のナンバーになっています。またJoe Scott And His Orchestraの「PICKIN' HEAVY」もビックバンド風のとにかく明るいジャンプブルースに仕上がっており、ワクワク楽しくなってきそうな楽曲に仕上がっています。
一方ではLarry Davis And His Band「I TRIED」はだみ声のボーカルと力強いバンドサウンドでかなり荒々しさを感じさせるナンバーに。T.B.Fisher「Don't Change Your Mind」はムーディーなボーカルとメロディーラインでソウルバラードのテイストの強い哀愁感漂うナンバーに。Eddie Bo「I'm So Tired」もムード歌謡ばりに歌い上げるボーカルも強い印象に残ります。
ただ、そんな様々なタイプのブルースが収録されている本作ですが、全体としては録音状態にしろバンドの演奏にしろ、あるいはボーカルも含めて全体的に荒々しさが目立つような曲が多かった印象を受けました。マイナーレーベルの曲だからこそ洗練されていないと言えるのかもしれません。ただ、その「洗練を受けていない」感じが、逆に楽曲に勢いを感じさせる結果になっていたと思います。
これ、イメージで言えば、今の時代なら「インディーロック」といったイメージになるのでしょうか。この荒々しさ、洗練のされていなさ具合こそが、ある意味、マイナーレーベルならではの魅力と言えるのかもしれません。そしてこのコンピレーションにはそんな魅力がたくさん詰まっていました。
前作が気に入った方には本作ももちろんおすすめできる1枚。内容のマイナー具合から、さすがに「ブルース入門」的なコンピではないかもしれませんが・・・ただ、決して「上級者向け」ではなく、私のようなブルース初級者を含め、ブルースが好きなら幅広く楽しめるようなそんな魅力的なコンピレーションアルバムとなっていました。
評価:★★★★★
Do The Blues 45s!-The Ultimate Blues 45s Collection
ほかに聴いたアルバム
A Legendary Christmas/John Legend
先日はEric Claptonのクリスマスアルバムを紹介しましたが、こちらはJohn Legendによるクリスマスアルバム。クリスマスソングをソウルやブルース調にカバーしつつ、しっかりとしんみり歌い上げるスタイル。さすがに実力派の彼らしく、どの曲もいい意味で安定感があり、安心して聴いていられる、これからのクリスマスシーズンにもピッタリな暖かい雰囲気のポップスが並んでいました。
評価:★★★★
John Legend 過去の作品
once again
WAKE UP!(John Legend&The Roots)
LOVE IN THE FUTURE
DARKNESS AND LIGHT
Suspiria(Music for the Luca Guadagnino Film)/Thom Yorke
ご存じRADIOHEADのボーカリスト、トム・ヨークによるソロ最新作は今年公開された映画「サスペリア」(日本公開は来年1月予定)のサントラ盤。この「サスペリア」はもともと1977年に公開された傑作映画のリメイク版だとか。日本公開はまだなので当たり前なのですが、私自身は映画を全く見ていない状態で、トム・ヨークの新作ということでサントラ盤のみ聴いてみました。
サントラ盤は2枚組。Disc1は主に歌モノがメイン。ホラー映画ということで、ピアノやストリングスなどを効果的に用いた不気味な雰囲気の作風の中に、美しいメロディーラインが入ってくるスタイルで、「歌」としてかなり聴かせる内容に。この「美しさ」と「不気味さ」のバランスが実に絶妙で、もともとトム・ヨークの、というよりもRADIOHEADの作品は内省的な曲がメインなのですが、トム・ヨークらしさがよく出ている作風に仕上がっていました。一方Disc2はおそらく映画の中で使用されるBGMなどがメイン。メタリックな作風で不気味な雰囲気の曲が多く、こちらは良くも悪くも「サントラ盤」。映画を見ていないと、ちょっと退屈さも感じされる内容になっています。
歌モノについてはソロ作としてもかなりの傑作と感じた一方、後半はちょっと退屈してしまった点も否めないため、全体的な評価は以下の通りに。ただ、Disc1は間違いなくトム・ヨークのファンだけではなくRADIOHEADのファンにとっても聴いておきたい傑作だったために、サントラ盤ということで回避するにはあまりにももったいないと思います。間違いなくトム・ヨークの「最新アルバム」です。
評価:★★★★
Thom Yorke 過去の作品
The Eraser Rmx
Tomorrow's Modern Boxes
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