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2018年12月17日 (月)

ディスコブームそのままに

Title:It's About Time
Musician:Nile Rodgers&CHIC

70年代後半から80年代にかけて一世を風靡したディスコブーム。そのブームを牽引した代表的なバンドのひとつが今回紹介するナイル・ロジャーズ率いるCHICでした。70年代から80年代にかけてヒットを飛ばしたものの、メンバーのバーナード・エドワーズが96年に急死。また90年代以降、ディスコブームがすっかり影を潜めてしまった影響もあり、事実上、解散状態にあったようです。

しかし90年代から2000年代あたりにかけては「ダサい」とみなされていたディスコの評価が2010年代あたりから再上昇。特に2013年にダフトパンクがリリースしたアルバム「ランダム・アクセス・メモリーズ」にナイル・ロジャーズが参加したことも大きなきっかけとなり一気に注目が集まるようになりました。

そして今年、「CHIC」名義では実に26年ぶりとなるニューアルバムがリリースされて大きな話題となっています。まずこのジャケット写真からして、いかにも80年代的。「CHIC」のロゴと共に、ちょっと前ならばおそらく「ダサい」とされていそうな雰囲気がありますが、今なら一回り廻って「ダサカッコいい」といった感じになるのでしょうか。ちなみにこのジャケット、CHICのデビューアルバムのオマージュ的なデザインともなっています。

さらに内容的にも80年代のディスコブームそのものの、いかにもなダンスチューンの連続となっています。1曲目「Till The World Falls」から軽快なリズムからハイトーンの女性ボーカルでスタートするあたりから、「これこれ!」と思ってしまうような気持ちよさがありますし、「Do You Wanna Party」なんかもタイトル通りのいかにもなダンスチューン。「I Dance My Dance」もほどよくソウルに歌い上げる女性ボーカルも含めて、いかにも80年代的な香りが漂っています。

楽曲的には正直言ってどれも似たようなパターンのディスコチューンのみなので、若干単調で、ボーカルをいろいろと変えることによりバリエーションをつけているようにも感じます。ただ、後半にはチルアウト的なミディアムチューンがあらわれるのですが、その中のインストチューン「State Of Mine(It's About Time)」などもアーバンな雰囲気が実に80年代的。日本でいえばバブルの雰囲気がプンプン匂ってくるようなナンバーに、ある種の懐かしさを感じてしまいます。

そんな訳で、少々悪い表現を使ってしまうと「軽薄」という印象すら受けてしまうアルバム。確かに、こういう曲ばかりがブームになったとしたら、少々うんざりしてしまうだろうなぁ、という感じもするのですが、ただ、このアルバムだけ取り上げれば、何も考えずに楽しめる、文句なしに楽しい作品だったと思います。似たようなタイプの曲も多いのですが、全39分という短さもあり、飽きることなく一気に楽しむことが出来ました。

評価:★★★★★


ほかに聴いたアルバム

MASTERS OF THE SUN VOL.1/THE BLACK EYED PEAS

2011年に活動を休止したものの2015年に再結成したアメリカのHIP HOPグループBLACK EYED PEAS。その彼らが約8年ぶりとなる待望のニューアルバムをリリースしました。久々のアルバムなのですが、ジャズやエレクトロのテイストなどを取り入れ、軽快にまとめあげて楽しいHIP HOPチューン。ポップテイストが強くかなり聴きやすいアルバムに仕上がっています。活動休止前のアルバムに比べると実験的テイストは薄いような印象も受けるのですが、ただただ最初から最後までその音楽を楽しめるポップスアルバムになっていました。

評価:★★★★★

THE BLACK EYED PEAS 過去の作品
THE E.N.D.
THE BEGINNING

OLYMPUS SLEEPING/RAZORLIGHT

イギリスのギターロックバンドによる、実に約10年ぶりとなる久々のニューアルバム。本作は4作目となるアルバムで、前3作はいずれもイギリスのアルバムチャートでベスト10の上位にランクインしたのですが、本作は残念ながら最高位27位に留まる厳しい結果となりました。ただ内容的には非常にシンプルで軽快なギターロックの楽曲が並んでおり、いい意味でインディーロックバンドらしい若々しさと勢いをいまだに感じさせます。メロディーラインもポップでそれなりにインパクトもあり、わずか36分という短さもあって、一気にダレルことなく楽しめる傑作アルバムに仕上がっていました。

評価:★★★★★

RAZORLIGHT 過去の作品
SLIPWAY FIRES

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