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2018年12月

2018年12月31日 (月)

2018年ベストアルバム(暫定版)

今年も早いものであと1時間弱となりました。みなさま、いかがお過ごしでしょうか。今年も恒例のベストアルバム(暫定版)。まだ聴いていないアルバムもあるため、正式版は2月上旬を予定していますが、とりあえずはベスト盤候補です。

邦楽編

まずは上半期ベスト5を振り返ると

1位 初恋/宇多田ヒカル
2位 ガラパゴス/水曜日のカンパネラ
3位 ロックブッダ/国府達矢
4位 the CITY/サニーデイ・サービス
5位 Human/yahyel

これに続くベスト盤候補は・・・

POLY LIFE MULTI SOUL/cero
Mars Ice House II/ゆるふわギャング
球体/三浦大知
湿った夏の始まり/aiko
好きなら問わない/ゲスの極み乙女。
ソングライン/くるり
REBROADCAST/the pillows
SOLEIL is Alright/SOLEIL
ムキシ/レキシ
平成/折坂悠太

ずば抜けた傑作はなかったような感もあるのですが、良作が数多く並んだ感じもします。特に宇多田ヒカルや水カン、くるり、aiko、the pillowsなど、毎回傑作をリリースするミュージシャンが新作も安定感ある傑作をリリースし、ある種の格の違いを感じました。さて、今年の1位は?

洋楽編

今年から上半期もベスト10の公表を予定しています。まず上半期ベスト5は・・・

1位 Get With The Times/BEKON
2位 Resistance Is Futile/MANIC STREET PREACHERS
3位 EVERYTHING IS LOVE/The Carters
4位 Black Panther: The Album
5位 In Your Own Sweet Time/The Fratellis

これに続くベスト盤候補は・・・

High As Hope/Florence+The Machine
Lamp Lit Prose/Dirty Projectors
Hive Mind/The Internet
?/XXXTENTACION
Teatime Dub Encounters/Underworld&Iggy Pop
Be the Cowboy/Mitski
Kamikaze/EMINEM
Room25/Noname
Konoyo/Tim Hecker
Piano&A Microphone 1983/PRINCE
MassEducation/St.Vincent
Negro Swan/Blood Orange
boygenius/boygenius
A Brief Inquiry Into Online Relationships/The 1975

各種メディアのベスト10を見てもわかるのですが、今年は全体的に票がばらけた印象が。それなりに良作がリリースされたのですが、こちらも突出した名盤はなかったような印象を受けます。さて、こちらの1位は・・・?

来年もまた、数多くの名盤に出会えますように。ではみなさん、よいお年を!

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2018年12月30日 (日)

2018年ライブまとめ

今年も早いものであと2日。恒例のライブまとめです。

1/18(木) 結成20周年記念TOUR “That's Fantastic!” ~Hello! We are New POLYSICS!!!!~(池下CLUB UPSET)
2/15(木) Syrup16g COPY発売16周年記念ツアー 十六夜<IZAYOI>(名古屋CLUB QUATTRO)
3/20(月) サニーデイ・サービス LIVE 2018(名古屋CLUB QUATTRO)
4/3(火) PROPHETS OF RAGE(Zepp Nagoya)
5/11(金) 椎名林檎 ひょっとしてレコ発2018(名古屋国際会議場センチュリーホール)
6/1(金) 渡辺美里 ribbon power neo(Zepp Nagoya)
7/6(木) チャラン・ポ・ランタン ホールツアー2018 ”唄とアコーディオンの姉妹劇場 ~ページをめくって~”(名古屋市芸術創造センター)
8/8(木) 名古屋なんて、だいすき 夏の宴~Summer Music Live~(名古屋城 二之丸広場ステージ)
8/17(金) 盆踊りだョ!全員集合(内海海水浴場砂浜)
9/6(木) B'z LIVE-GYM Pleasure 2018-HINOTORI-(豊田スタジアム)
10/9(火) クレイジーキャッツのクレイジー・ナイト(TOKUZO)
11/6(木) PAUL McCARTNEY FRESHEN UP JAPAN TOUR 2018(ナゴヤドーム)
11/27(火) BON JOVI THIS HOUSE IS NOT FOR SALE 2018 TOUR(京セラドーム大阪)
11/29(木) レキシTOUR2018 まんま日本ムキシばなし(名古屋国際会議場センチュリーホール)
12/3(月) KAN Concerto col Quartetto da Muroia 2018(名古屋市青少年文化センター・アートピア)

今年は椎名林檎、チャラン・ポ・ランタン、B'z、BON JOVI、レキシなど、以前から一度見て見たかったミュージシャンのライブに数多く足を運ぶことが出来ました。そんな中でベスト3は・・・

3位 レキシ@まんま日本ムキシばなし

レキシはデビュー直後からのファン。イベントライブの中のステージには足を運んだことがあったものの、なにげにワンマンライブははじめて。以前からワンマンライブに関する高い評判はよく聴いていたのですが・・・まさにネタ満載。捧腹絶倒。最初から最後まで考え込まれたエンターテイメント性高いステージを楽しむことが出来ました!レキシはライブツアー毎に動員を伸ばし、ついにアリーナ公演も実施するほどの人気を確保してしまったわけですが、その理由も納得の素晴らしいステージでした。

2位 PAUL McCARTNEY@FRESHEN UP JAPAN TOUR

「以前から一度見てみたかったライブ」で、今年、なんといっても見れてうれしかったのはポールマッカートニーのライブ!実は以前、チケットまで確保していたのに、直前で中止という事態を経験していただけにようやく見れた生ポールに感激もひとしお。それもなんと名古屋公演!もう本物がビートルズの歌を歌っているという事実だけで感激感激のステージ。もっとも、年齢を感じさせない素晴らしいステージだったのは言うまでもありませんが。

1位 B'z@LIVE-GYM Pleasure 2018-HINOTORI-

正直言うと、思い出補正もかなり働いています。ただ、懐かしい曲の連続に冗談抜きにして感涙してしまったステージ。最初から最後まで興奮の連続で、リアルタイムに聴いていた時期を思い出しながら、思わず熱唱してしまいました。パフォーマンス自体は稲葉浩志の声の調子は決してよくなく、ベストライブではなかったようですが、それを差し引いてもヒット曲の連続のエンタテイメント性も高い素晴らしいステージでした。

そんな訳で数多くの素晴らしいステージを見ることが出来た2018年。特に見たいライブを数多く見ることが出来、非常に充実した1年となりました。来年もまた、たくさんの素晴らしいステージを見れますように。

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2018年12月29日 (土)

恒例のブルースカレンダー

Title:2019-Classic Blues Artwork from the 1920s Calendar

Bluescalendar2019_2

すっかり恒例となったブルースカレンダー。今年も無事、2019年版を入手しました。毎年、アメリカのブルース・イメージ社という会社がリリースしているカレンダーで、LP盤2枚分のサイズのカレンダーの上半分に昔のブルースの広告がそのまま載っているという、なかなか洒落た雰囲気のカレンダー。毎年、我が家のインテリアの一部として活用させていただいております。

そしてこのカレンダーの大きな魅力となっているのが、カレンダーについてくる付録のCD。まあ、むしろカレンダー自体よりもこちらのCDが最大の目当てという点も否定できないのですが、戦前のブルースの楽曲が収録されているCDは、有名どころの曲から知る人ぞ知る的なミュージシャンの曲まで盛りだくさん。そして毎年必ず、貴重な音源が収録されているという点が最大の魅力となっています。

今年の目玉となっているのがPapa George Lightfootの音源2曲。一部では熱狂的な支持を得ているミュージシャンらしいのですが、今回は基本的に「戦前ブルース」のコンピである本作がそのルールをあえて破り、1950年録音の「Winding Bell Mama」「Snake Hipping Daddy」の2曲を収録。この2曲、いままで彼のディスコグラフィーには記載はあったのですが、音源がリリースされることのなかった幻の曲だったそうで、今回、非常に貴重な初解禁となっています。

さらに謎のブルースマンWilliam Harrisの「I'm A Roamin' Gambler」「I Was Born In The Country-Raised In Town」も最近見つかった音源だそうで、これまた非常に貴重な音源となっています。

さて今回も基本的に戦前のブルースを収録したコンピなのですが、戦前ブルースの奥深さを感じさせるバリエーションに富んだ収録内容になっています。Blind Blake「Too Tight Blues No.2」は飛び跳ねるような軽快なリズムにスタイリッシュなボーカルが乗ったおしゃれな雰囲気の曲調になっていますし、上でも紹介したPapa George Lightfootの曲でもう1曲収録されている「Ash Tray Blues」は軽快で楽しげな曲調が耳を惹きます。Sam Butlerの「Christians Fight On,Your Time Ain't Long」「Heaven Is My View」はいずれもスカスカのギターなのですが、独特なギターの音色が妙に耳に残りますし、Lottie Kimbrough「Don't Speak To Me」も彼女の力強く伸びやかなボーカルが印象的な曲に仕上がっています。

これは毎回恒例ですが、戦前ブルースの常として録音の状況は非常に悪く、そういう意味では万人向けといった感じではないのは残念。ただ今回も魅力的なカレンダーのアートワークを含めて、ブルース好きならたまらない作品に仕上がっています。今年もまた、このカレンダーが1年通じて私の部屋の壁を飾ることになりそうです。

評価:★★★★

2013-Classic Blues Artwork from the 1920s Calendar
2014-Classic Blues Artwork from the 1920s Calendar
2015-Classic Blues Artwork from the 1920s Calendar
2016-Classic Blues Artwork from the 1920s Calendar
2017-Classic Blues Artwork from the 1920s Calendar
2018-Classic Blues Artwork from the 1920s Calendar


ほかに聴いたアルバム

El Mal Querer/Rosalia

本作が高い評価を得ている主にスペインで活躍しているフラメンコの女性シンガーRosaliaのニューアルバム。ラテンフレーバーな哀愁感あるフラメンコのメロディーにのせつつ、エレクトロサウンドを取り入れたアレンジに彼女のハイトーンボイスが加わり、幻想感ある独特なサウンドが作り上げられています。ビョークmeetsフラメンコといった感もあるそのサウンドはスペインの伝統音楽を取り入れつつも、ポップテイストも強い、挑戦的な今の音を作り上げています。独特な雰囲気がユニークな傑作アルバムでした。

評価:★★★★★

First Collection 2006-2009/FLEET FOXES

デビューアルバム「FLEET FOXES」のリリース10周年を記念してリリースされた初期音源をまとめた企画盤。全4枚組となっており、1枚目はそのデビューアルバム「FLEET FOXES」、2枚目は2008年にリリースしたEP「Sun Giant」、3枚目には2006年リリースの自主作成盤のデモ音源「Fleet Foxes」、そして4枚目はB面曲やデモ音源などを収録したレア音源集となっています。

ただ、「FLEET FOXES」と「Sun Giant」は既に聴いたことある音源だったため、感想は下のリンク先を参照のこと。3枚目の「Fleet Foxes」はデモ音源らしく、他と比べると完成度は低い感じ。バンド色が強く、彼らが当初はバンド志向だったのが、徐々にアコースティック、フォーキーな路線にシフトしたことが感じ取れます。Disc4は1枚目、2枚目と同様フォーキーで美しいサウンドを聴かせる内容。B面集といってもクオリティー自体にはまったく遜色ありません。4枚組ということでボリュームありそうな内容ですが、トータルでも1時間40分程度の内容ですので、最近、FLEET FOXESを知った方は要チェックのアルバム。また、Disc3、4だけ目当てでも十分お勧めできる内容になっています。

評価:★★★★★

FLEET FOXES 過去の作品
Fleet Foxes+Sun Giant EP
HELPLESSNESS BLUES
Crack-Up

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2018年12月28日 (金)

大物然としたステージセットだけども

Title:Voodoo Lounge Uncut
Musician:The Rolling Stones

今回紹介するのはThe Rolling Stonesのライブ映像作品+ライブ盤。1994年7月にリリースされたアルバム「Voodoo Lounge」に伴い行われたツアー「Voodoo Lounge World Tour」から1994年11月25日、アメリカ・フロリダ州マイアミのジョー・ロビー・スタジアムで行われたライブ映像を、タイトル通りMCなどを含めてフル収録した映像作品。DVD/Blu-rayに、全く同じ音源をCDに収録した2枚組のライブアルバムが付属する内容になっています。

このライブでは数多くの彼らの代表曲、あるいは当時の最新アルバム「Voodoo Lounge」からの曲も数多く披露されたのですが、その一方で比較的「知る人ぞ知る」的な曲もセットリストに織り込んだ内容になっており、1曲目にいきなり1964年のシングル曲「Not Fade Away」からスタートするという意外な展開に。ほかにもバラード曲の「Beast of Burden」や初のライブ披露となった「Monkey Man」など、ライブでは珍しい曲を含んだセットリストとなっています。

さてそんな彼らのステージは、当時デビュー30周年を迎えて押しも押されぬ大スターとなっていた彼ららしい、スタジアムライブらしい大型のセットが目立つ、いかにも大物感満載のステージになっています。

また、このステージでは数多くのゲストを迎えているのも特徴的で、オープニングではいきなりウーピー・ゴールドバーグによるオープニングのアナウンスからスタートという豪華なステージ。その後もシェリル・クロウを迎えて「Live With Me」を披露。ただ、その後に登場するのがロバート・クレイと、ボ・ディドリーというのがいかにもストーンズらしい感じ。特にボ・ディドリーは今となっては貴重な映像に。おなじみボ・ディドリー・ビートで軽快に「Who Do You Love?」を披露しているのですが、ストーンズに全く負けずとも劣らない貫録を醸し出しており、その実力のほどは今回の映像を通じてもしっかりと伝わってきます。

ただ、そんな大物然とした舞台設定である一方、ライブパフォーマンス自体のストーンズらしさはいつも通りといった感じ。演奏自体はもちろんシンプルなロックンロールをしっかりと奏でていますし、今となっては20年も前の映像となってしまいましたが、当時はおそらく50歳を超えた彼らが、いまだにロックンロールを変わらず奏で続けている姿にある種の驚きを感じた方も多かったのではないでしょうか。ステージパフォーマンスは躍動感があふれる一方、ベテランらしい安定感も同時に感じられたパフォーマンスになっていました。

ただ、オーバーフィフティーという年齢を全く感じさせないパフォーマンスも要所要所で感じられ、特に「Brown Sugar」ではミック・ジャガーがステージ狭しと走りまくっており、歳をとっても変わらない「若さ」を感じさせるステージに。言うまでもないことですが、ライブ全般を通じて、ミックは実にいろっぽい、見る者を惹きつけるパフォーマンスを繰り広げており、ストーンズのライブの魅力が映像を通じてしっかりと伝わってきました。

言うまでもないかもしれませんが、ファンならばとりあえずは見ておきたいライブ映像。ノーカット版ということでライブの魅力がより伝わってくる傑作になっていました。

評価:★★★★★

The Rolling Stones 過去の作品
Shine a Light: Original Soundtrack
Some Girls LIVE IN TEXAS '78
CHECKERBOAD LOUNGE LIVE CHICAGO 1981(邦題 ライヴ・アット・ザ・チェッカーボード・ラウンジ・シカゴ1981)
(MUDDY WATERS&THE ROLLING STONES
GRRR!
HYDE PARK LIVE
Sweet Summer Sun-Hyde Park Live
Sticky Fingers Live
Blue&Lonesome
Ladies & Gentlemen
ON AIR


ほかに聴いたアルバム

SIMULATION THEORY/MUSE

どこかの映画を彷彿とさせるようなジャケットもインパクトの強いMUSEの最新作。なぜか登場する「三难困境」という漢字も日本人にとっては目を惹きます。そんな彼らの新作はいつも以上にこってり風味。彼ららしい、これでもかというようなダイナミックなバンドサウンドの曲が並んでおり、実に「MUSE」らしいアルバムになっています。MUSEが好きな人はかなりはまりそうなアルバム。個人的にはこってりすぎて一度聴いただけでお腹いっぱいになってしまうのですが・・・。

評価:★★★★

MUSE 過去の作品
The Resistance
The 2nd Law(邦題 ザ・セカンド・ロウ~熱力学第二法則)
Live at the Rome Olympic Stadium
Drones

Origins/Imagine Dragons

アメリカで人気のロックバンドの新作。彼らのアルバムを聴くのはこれが2作目なのですが、基本的な印象としては前作と変わらず。全体的に打ち込みを取り入れたダイナミックなサウンドなのですが、同時にいなたさも強く感じられるのがアメリカのロックバンドならではといった感じ。サウンド的にはちょっと大味な印象が否めず、最後の方は聴いていて飽きが来てしまいました。

評価:★★★

Imagine Dragons 過去の作品
Night Visions

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2018年12月27日 (木)

星野源旋風吹き荒れる

今週のアルバムチャート

http://www.oricon.co.jp/rank/ja/

今、おそらく最も勢いのあるミュージシャンのひとりである星野源。今週、その彼の待望となるニューアルバムがリリースされました。

今週、2位以下を圧倒して1位を獲得したのは星野源「POP VIRUS」。大ヒットしたシングル「恋」も収録されている今回のアルバム。初動売上はなんと27万8千枚というセールスを記録。前作「YELLOW DANCER」の13万1千枚の2倍以上という初動売上を記録し、見事1位獲得となりました。ちなみに前作「YELLOW DANCER」も前々作「Stranger」の4万2千枚から倍増以上という初動売上を記録。ここ数枚で初動売上が1万枚→4万2千枚→13万1千枚→27万8千枚と倍々ゲームで推移しており、その驚異的な人気のほどを感じます。まあ、さすがに次回作で初動54万枚以上というのは難しいでしょうが・・・。

2位は名古屋を拠点に活動する男性アイドルグループBOYS AND MENのベストアルバム「ボイメン・ザ・ベスト」が獲得。初動売上7万2千枚は前作「友ありて・・・」の7万7千枚(1位)からダウン。ベスト盤の売上がオリジナルを下回るのは固定層のファンがほとんどで浮動層のファンがついていないアイドル系ならではといった感じ。

3位はベスト10圏外からの返り咲き。TWICE「Yes Or Yes:6th Mini Album」が先週の11位からランクアップしてベスト3入りです。ここに来てのランクアップの理由がいまひとつ不明なのですが・・・。

続いて4位以下の初登場盤です。まず4位には人気男性声優斉藤壮馬「quantum stranger」がランクイン。 いままでシングル3枚をリリースし、オリコンチャートではいずれもベスト10入りしていますが、本作はそんな彼のデビューアルバム。初動売上2万4千枚でベスト10入りを果たしました。

6位初登場は人気のパンクロックバンド、ヤバイTシャツ屋さん「Tank-top Festival in JAPAN」。今年1月にアルバムをリリースしており、わずか11か月のインターバルでの新作となっています。ただ初動売上は1万9千枚で前作「Galaxy of the Tank-top」の2万3千枚(4位)からダウン。右肩あがりの勢いが続いていましたが、とりあえずはひと段落といった感じでしょうか。

初登場の最後9位と10位はいずれもK-POP。まず9位にはNICHKHUN(From 2PM)「ME」が初登場でランクイン。ミュージシャンの名義通り、韓国の男性アイドルグループ2PMのメンバーによるソロミニアルバム。本作がデビューアルバムで初動売上1万2千枚でベスト10入り。ちなみに本人はアメリカ出身で父親がタイ人、母親が中国系アメリカ人だそうで、K-POPながらも出自が韓国とは関係ない点がユニーク。

そして10位は韓国の男性アイドルグループU-KISS「Glory」がランクイン。初動売上は1万2千枚。前作「LINK」の8千枚(4位)からアップしています。

今週の初登場組は以上。さらに今週はロングヒット勢も。今週5位にQUEEN「ボヘミアン・ラプソディ(オリジナル・サウンドトラック)」がランクイン。これでついに7週目のベスト10ヒットとなりました。今年下半期で間違いなく最も話題の映画となった本作。さすがに一時期に比べると若干落ち着いてきており、今週の売上枚数2万2千枚も先週の2万5千枚からダウンしているものの、また映画の興行成績では上位にランクイン。まだまだこのサントラ盤もヒットが続きそうです。

今週のアルバムチャートは以上。今回が今年最後のチャートとなります。来年も数多くのヒット曲、ヒットアルバムが生まれるのでしょうか。そして来年も「U.S.A.」のような国民レベルで話題になるヒット曲は生まれるのか??

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2018年12月26日 (水)

男性陣が上位を占める

今週のHot 100

http://www.billboard-japan.com/chart_insight/

今週は1位から5位まで男性陣が上位を占めるチャートとなっています。

まず今週1位を獲得したのがKinki Kids「会いたい、会いたい、会えない。」。久保田利伸書下ろしによるバラードナンバーですが、メロディーライン的にはちょっと地味で印象薄かも。CD販売数、PCによるCD読取数、Twitterつぶやき数で1位を獲得。ラジオオンエア数で21位を獲得しています。オリコンでは初動売上18万枚で1位初登場。前作「Topaz Love」の19万8千枚(1位)より若干のダウンとなっています。

2位には三浦大知「Blizzard」が先週の11位からCDリリースにあわせてベスト10入り。映画「ドラゴンボール超 ブロリー」主題歌。CD販売数5位、ダウンロード数8位、ストリーミング数14位、ラジオオンエア数2位、PCによるCD読取数8位、Twitterつぶやき数3位、You Tube再生回数5位といずれのチャートも万遍なく上位に入ってきています。オリコンでは初動売上2万2千枚で5位初登場。前作「Be Myself」の1万2千枚(11位)から大きくアップしています。

そして3位にはDA PUMP「U.S.A.」が2位から3位にワンランクダウンながらもベスト3をキープ。ストリーミング数3位、You Tube再生回数1位、カラオケ歌唱数2位などいずれも上位をキープしており、まだまだロングヒットは続きそう。

さらに4位5位は紅白出場決定が大きな話題となった米津玄師「Lemon」「Flamingo」が並んでランクイン。「Lemon」は先週から同順位をキープ、「Flamingo」は先週の3位からダウンとなっていますが、紅白出場が話題となっただけに、これから年末にかけて注目度がさらに増していきそうです。

さて、1位から5位まで男性陣が並びましたが、6位以下の唯一の初登場も男性ミュージシャン。8位に星野源「Pop Virus」が先週の17位からランクアップしベスト10入りです。こちらは今週のアルバムチャートにランクインしてきたアルバムの表題曲。ラジオオンエア数1位、Twitterつぶやき数2位がランクインの大きな要因に。そのほか、ダウンロード数でも11位、You Tube再生回数でも25位にランクインしています。

また今週はベスト10返り咲きも。10位に欅坂46「アンビバレント」が先週の23位からランクアップ。10月15日付チャートから11週ぶりのベスト10返り咲きとなります。12月22日に大阪で握手会が行われたようなので、そこでの販売の影響でしょうか。

ロングヒット組ではあいみょん「今夜このまま」が先週の6位から7位にワンランクダウンしたものの8週目のベスト10入り。ストリーミング数では1位をキープしており、まだまだ根強い人気が続きそう。

今週のHot100は以上。明日はアルバムチャート。

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2018年12月25日 (火)

オリジナルメンバー3人が顔をそろえる

Title:SHINY AND OH SO BRIGHT,VOL.1/LP:NO PAST.NO FUTURE.NO SUN.
Musician:The Smashing Pumpkins

スマパン約4年ぶりとなるニューアルバム。2005年の活動再開後は散発的な活動が続き、アルバムをリリースする毎にメンバーが異なるという不安定な状況が続いていました。正直なところ、一度解散したバンドが活動を再開した場合にこのような状況はよく起こりがち。やはり解散したバンドというのは解散するだけの理由があるだけに、その後活動を再開してもなかなか上手くいかない、というケースが少なくないのでしょう。

そんなスマパンですが、今回のアルバムのメンバーはちょっと違います。2009年に脱退したジミー・チェンバレンが再びバンドに復帰。さらにジェームス・イハも今回、バンドに復帰。残念ながらダーシー・レッキーはバンドに復帰しなかったものの、オリジナルメンバー3人が顔をそろえることになり、ファンにとってはかなりうれしいスマパンの形に戻ってきています。

そんなこともあってか最新作は、復帰後のアルバムの中ではもっともスマパンの魅力が形になっているアルバムと言えるのではないでしょうか。「Silevery Sometimes(Ghosts)」はストリングスも加わった分厚いバンドサウンドに、ちょっと切なさも感じるメロディアスなフレーズが魅力的なギターロックナンバーに仕上がっていますし、「Travels」もノイジーなギターサウンドがいい意味でいかにも「らしい」アルバムに仕上がっています。さらに「Solara」もヘヴィーでダイナミックなバンドサウンドがいかにもロック然として気持ちよいナンバーに仕上がっています。

さらに今回のアルバムで特に魅力的だったのが後半。「Marchin' On」は疾走感あるリズムにへヴィーなギターサウンドが気持ちよいロックナンバー。ダイナミックなドラミングにほどよいストリングスも入り、スマパンらしいダイナミズムを感じさせる楽曲に仕上がっていました。さらにそんな楽曲から一転、続く「With Sympathy」はメランコリックさを感じるメロディアスなポップチューンになっており、この「動」から「静」への楽曲の対比が実にユニーク。スマパンの魅力をよくあらわしている展開のように感じました。

全8曲31分というミニアルバム的な長さがちょっと物足りなさを感じた部分もあったものの、復帰後のスマパンのアルバムの中ではもっともアルバムとしてまとまりがあり、良くできた作品だったように思います。オリジナルメンバーのうち3人が復帰し、昔からの気心の知れたメンバーによりバンド活動が行えたという点が一番大きな要素でしょうか。やはり今回のアルバムの出来が良かったのも、このメンバーが集まったから、だと思います。聴いていてとても心地よさを感じたアルバム。次のアルバムも是非、このメンバーで。できればダーシー・レッキーも復帰してほしいところですが・・・それは難しいのかなぁ。

評価:★★★★★

The Smashing Pumpkins 過去の作品
Teargarden by Kaleidyscope
OCEANIA
(邦題 オセアニア~海洋の彼方)
Monuments to an Elegy


ほかに聴いたアルバム

Out of the Blue/Willie Hightower

御年77歳。特に日本のディープ・ソウルファンに人気の高いアメリカのシンガー、Willie Hightowerのニューアルバム。基本的にはホーンセッションなどを取り入れつつ、ミディアムテンポで力強く歌い上げる、ある意味、「王道」とも言えるようなソウルミュージック。ある意味、時代の流れなど関係なく、とことん昔ながらのスタイルにこだわったようなスタイルとも言える感じ。そういう意味での「目新しさ」はないかもしれませんが、ソウル好きにはたまらないグルーヴ感、空気感を感じさせてくれる1枚でした。

評価:★★★★

NO TOURISTS/THE PRODIGY

THE PRODIGYの最新作は、一言で言えば、「これぞTHE PRODIGY!」といった印象のアルバム。ビックビートという懐かしい言葉を彷彿とさせるような、これでもかといった強いビートとトランシーな音感のサウンドを次々と繰り広げるダイナミックなサウンドが特徴的。とにかく押し一辺倒で37分を乗り切っているとも言える感じのアルバム。もちろん、これはこれで非常に気持ちいいアルバムだったのは間違いないのですが、一方で言えば目新しさはゼロ。パワー不足を感じた前作と比べると、パワーの面では戻って来た印象もあるのですが、さすがにマンネリ気味といった印象も否めない感じ。まあ、これはこれで「大いなるマンネリ路線」に進むのもあるかもしれませんが・・・。

評価:★★★★

THE PRODIGY 過去の作品
INVADERS MUST DIE
THE DAY IS MY ENEMY

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2018年12月24日 (月)

「ラスボス」による初のベスト盤

Title:THE BEST ALBUM
Musician:般若

最近ではテレビ番組「フリースタイルダンジョン」で、「ラスボス」として降臨。知名度を一気に高めただけではなく、そのラッパーとしての実力を世に知らしめた般若。そんな彼がキャリア初となるベストアルバムをリリースしました。デビューアルバム「おはよう日本」から、2016年にリリースされた「グランドスラム」までに収録された曲の中から発表順に並べたアルバム。ちなみに全20曲入りのCD版のほか、サブスプ版は全33曲収録。ボリューム満点の内容になっています。

さて、そんな般若の楽曲の大きな特徴と言えば、間違いなく具体的な表現に終始した、しっかりと内容を聴かせるラップを主軸に据えている点でしょう。また、彼のラップのスタイル自体も、リリックの内容をしっかり聴かせるべく、言葉をしっかりと綴るラップのスタイルとなっています。そして、そんな彼のラップが描き出す世界は非常に多岐にわたっており、それが般若のラップの大きな魅力となっています。

具体的に言えば「ちょっと待って」のようなコミカルなラップに、反戦をテーマとした「オレ達の大和」や下流社会の現実を描いた「路上の唄」のようなハードな社会派のラップ。「ゼロ」のように死をテーマとした内省的なラップもあるかと思えば、HIP HOPでは恒例とも言える「MY HOME」のような地元をテーマとした曲や「最ッ低のMC」のようなラップ界について綴った曲もあります。

そんな中でも印象に残るのが父親への複雑な思いを綴った「家族」から、産まれてくる自分の子どもに対する思いを綴った「#バースデー」への流れ。「#バースデー」では実際に妻であるシンガーのSAYも参加しており、父親への思いと自らが父親になる思いを並べたこの構成に、聴いていてグッと感じ入るものがあります。

ただ、彼の魅力はこのリリックの内容だけではありません。こういう具体的なテーマのリリックがしっかりとリズムに乗ってラップされている点も大きな魅力。わかりやすく語尾を合わせるというよくありがちなライムがあるわけではないのに、しっかりとリズム感よくラップが出来る言葉をセレクトそている彼の実力を強く感じますし、また、そんなリリックを卒なく、かつテンポよくラップする彼のラッパーとしての実力も強く感じることが出来ます。ここらへん、さすが「ラスボス」。そのスキルは伊達ではありません。

一方でトラックについては「無難」という印象を受けます。正直言って、これといって特筆するようなトラックはありません。もちろん、かといって聴いていて厳しくなるようなチープなトラックはありませんし、「#バースデー」などのような今風なトラックもしっかりと取り入れています。

もっともこれはおそらく、彼の「売り」はあくまでもラップ自体であるため、トラックはラップを邪魔しないように作り込まれているのではないか、という印象を受けます。実際、楽曲を聴いていてもラップがすんなり耳に入り、いい意味でトラックはBGM的に機能しているように感じます。そういう意味ではラップとトラックがちょうどよいバランスの上に成り立っているように感じました。

来年1月には初となる武道館ワンマンも控えている彼。知名度もあがってきて勢いにのってきている感もあります。そんな彼の入門盤としても最適な1枚ですし、また、彼のキャリアを振り返るという意味でも最適なベストアルバム。これからの活躍も楽しみです。

評価:★★★★★

般若 過去の作品
ドクタートーキョー
HANNYA
グランドスラム


ほかに聴いたアルバム

RUN/tofubeats

メジャーデビュー以降、勢いある傑作アルバムが続いたtofubeatsですが、4作目となる本作は正直言ってしまうと、うーん、悪い作品ではないけど、いままでのアルバムと比べるといまひとつ。前半と終盤が歌モノ、中盤がインストチューンという構成になっていて、どちらもそれなりに楽しく聴かせます。ただ、80年代ポップスを狙った曲があったり、いままでの彼のお得意だった90年代J-POP風の曲があったり、細野晴臣やcorneliusあたりからの影響を感じる曲があったりと意欲的な音楽性を感じつつも、全体的には中途半端。おとなしすぎるような感も強く、いまひとつ印象薄の作品でした。

評価:★★★

tofubeats 過去の作品
Don't Stop The Music
ディスコの神様
First Album
STAKEHOLDER
POSITIVE
POSITIVE instrumental

POSITIVE REMIXS
FANTASY CLUB

ROCK SHOW/ZIGGY

昨年、メジャーデビュー30周年を迎えてベスト盤をリリースしたZIGGY。さらにその後、10年ぶりのオリジナルアルバムがリリースされましたが、そこからわずか1年。ニューアルバムが早くもリリースとなりました。今回のアルバムは、タイトルやジャケット写真の通り、まさに「ロックショー」といった感じの80年代のハードロックをゴリゴリと入れてきて、かなり仰々しい雰囲気に仕上げたスタジアムロック風の作品。まさにロックが華々しかった80年代あたりを彷彿とさせるダイナミックなサウンドが並んでいて、あの頃のロックという音楽が持っていたきらびやかさを、ちょっとのいかがわしさも加味して再現したアルバムに。アラフィフあたりの世代なら懐かしさを感じさせる感もある反面、少々仰々しすぎて胸焼けした感も否めず。

評価:★★★★

ZIGGY 過去の作品
SINGLE COLLECTION
2017

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2018年12月23日 (日)

民謡歌手としての原点回帰

Title:元唄(はじめうた)~元ちとせ 奄美シマ唄集~
Musician:元ちとせ

約3年4ヶ月ぶりとなる元ちとせの新作は全7曲入りのミニアルバム。前作「平和元年」は、戦後70周年の年にリリースされた「平和」をテーマとしたコンセプチャルな内容となっていました。そして続く本作は、彼女の生まれ故郷、奄美大島の「シマ唄」を彼女が歌った作品となっています。

ここで単純に「元ちとせ、奄美の民謡に挑戦」という書き方をしたいところなのですが、まあご存じの方も多いかとは思いますが、もともと彼女はシマ唄の歌い手として注目を集め、中学から高校にかけて、数多くの奄美民謡の大会で受賞し大きな話題になり、オフィスオーガスタからデビューする前に、既に奄美民謡を吹き込んだCDをリリースしていた過去もあります。

そういう意味では今回のアルバム、彼女にとってはまさに原点回帰のアルバムと表現がピッタリ来る内容となっています。また、全7曲のうち4曲はおなじ奄美大島出身のシンガー、中孝介とのデゥオとなっています。彼もまた、もともとシマ唄の歌い手として活動をはじめており、そういう意味ではお互い、今はポップスシーンで活動をしながらも原点に奄美大島のシマ唄がある、という点で共通しているミュージシャン同士となっています。

さらに今回のアルバムは、奄美大島のシマ唄をポップス風にアレンジしたアルバム・・・といった感じではありません。本当にシマ唄のオリジナルなアルバムを聴いたことがないので、正確なことはわからないのですが、三味線の音色のみをバックに、元ちとせと中孝介がこぶしの聴いた歌声のみで歌い上げるスタイルの本格的なシマ唄のアルバムとなっています。

そのためポップス的な耳で聴くと、少々戸惑ってしまう感もあるかもしれません。ただ、三味線+こぶしを効かせた哀愁感あるフレーズというスタイルは本土の民謡とも共通する部分も感じられ、私たちにとっても比較的なじみやすい歌ではないでしょうか。

そしてそんなシマ唄を、元ちとせは(中孝介もですが)まさに水を得た魚のように、非常に生き生きと歌い上げています。彼女のボーカルもいつも以上に表現力が増した歌声を聴かせてくれており、聴いていてゾクゾクするような感覚すら覚える部分も。基本的には聴かせるタイプの曲が多く、若干「似たようなタイプの曲が並んでいる」という印象を受ける部分もあるのですが、その点を差し引いても、元ちとせの歌手としての実力がいかんなく発揮されたアルバムに仕上がっていたと思います。

また今回、アルバムの最後には民謡クルセイダーズがゲスト参加。「豊年節」を元ちとせと作り上げているのですが、今回、彼らは「豊年節」にクンビアのリズムを取り入れて、独特なリズムの楽曲にリアレンジしています。原曲は聴いたことがないのですが、ただこの作品を聴く限りだと楽曲自体にもマッチ。また元ちとせのボーカルとの相性も抜群で、ほかの曲とはまた違った味わいを醸し出す名曲に仕上がっていました。

そんな訳で民謡歌手としての元ちとせの魅力を存分に味わえるアルバム。確かに彼女、もともと歌い方からして、シマ唄の歌い方をそのままポップスに取り入れているのですが、それだけにシマ唄を歌うと、よりそのボーカルが映えるように思います。次はまたおそらくポップの作品を作ってくるのでしょうが、時々はシマ唄のアルバムも聴きたいな、そう感じさせてくれる1枚でした。

評価:★★★★★

元ちとせ 過去の作品
カッシーニ
平和元年


ほかに聴いたアルバム

YOAKE/KYONO

THE MAD CAPSULE MARKETSのボーカリスト、KYONOの初となるソロ名義でのアルバム。基本的にはマドカプの延長線上のようなエレクトロビートの入ったハードコアな作品が並んでいます。マドカプといえば上田剛士がAA=として活動していますが、AA=を聴くとどうしても感じる「何かが物足りない」の「何か」がここにありました。どう考えてもAA=に足りないのはこの力強いボーカル。ただ一方、KYONOソロはソロでサウンド的にマドカプをなぞっているだけ、という印象も否めず、それなりに満足感はあるのですが、マドカプと比べると新たな一歩を感じられないんだよなぁ。そういう意味ではTHE MAD CAPSULE MARKETSの活動再開を強く希望したいのですが。

評価:★★★★

KYONO(WAGDUG FUTURISTIC UNITY) 過去の作品
HAKAI
DESTROY THE DESTRUCTION-mash up&remixes-
R.A.M.
ЯAW

qp/青葉市子

2年ぶりとなるニューアルバム。いままでの彼女の作品同様、アコースティックギター一本でのアレンジにより、その美しい歌声を聴かせてくれています。歌詞もファンタジックな雰囲気を醸し出したものが多く、それにあわせてファンタジックな作風の曲も目立ちます。そんなこともあり基本的には前作「マホロボシヤ」の延長線上のようなアルバムなのですが、そのボーカルの表現力、シンプルなアコギの奏でながらもしっかりと聴かせるフレーズから、聴いていて全く飽きが来ることがありません。ただただその静かなサウンドとボーカルに圧倒されるアルバムです。

評価:★★★★★

青葉市子 過去の作品
うたびこ
ラヂヲ(青葉市子と妖精たち)
0
マホロボシヤ

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2018年12月22日 (土)

相変わらずの暑さ

Title:STARTING OVER
Musician:高橋優

その具体的で世の中のリアルを突いた歌詞が大きなインパクトを持つシンガーソングライター、高橋優の2年ぶりとなるニューアルバム。
相変わらず自身の顔のドアップがそのままジャケット写真になっている訳ですが、この「生真面目」そうなジャケット写真が示すように、彼の歌詞はある意味世の中を真正面から「真面目」に取り上げているという印象を受けます。

ただ、その結果として、いままでのアルバムにも共通するのですが、世の中について真正面から取り組みすぎて、「押し一辺倒」にある種の暑苦しさを感じてしまうのが気になってしまいます。今回のアルバムにしても1曲目「美しい鳥」がまさに彼が今の時代に感じることを一気に吐露するような歌詞になっており、聴いていてちょっとひるんでしまいます。

また、歌詞に若干唐突感があるのも良くも悪くも彼の特徴になっており、例えば「いいひと」なんかは

「いい人ですねって言うのは 大抵都合のいい人って意味だから本当であればいい人なんかならなくたっていいんだよ」
(「いいひと」より 作詞 高橋優)

なんていう歌詞はかなり納得感を覚えるものの、歌詞の登場人物がなぜかいきなり「サイコパス」な側面を持っていたりして違和感バリバリですし、上に紹介した「美しい鳥」にしろ、日本語歌詞を立て板に水のごとく歌った後、いきなり「How do you feel?」なんて英語が登場してくるあたり、正直、中2病的な言葉の選択のようにも感じられ、失笑してしまいました。

ただ、歌詞についても決して悪くはないんですよね。上にも書いた「いいひと」の歌詞のように、心に残るような歌詞にもしっかり出会えますし、「非凡の花束」のような、日常の中での妻に対するラブソングのような素敵な曲も収録されています。

また今回のアルバムでユニークかつ秀逸だったのが「Harazie!!」で、彼の出身地、秋田県の方言をそのまま歌詞にして、それをファンクなリズムに乗せて歌い上げるナンバー。ファンクの持つ泥臭さが秋田弁の雰囲気にピッタリとマッチし、まさに彼しか歌えない和製ファンクの傑作ナンバーになっています。

そのほかにも「若気の至り」ものすたるいっくな切ない歌詞がアコースティックなサウンドの載せて歌われる印象的なナンバー。学生時代のなつかしさを感じさせる風景描写も秀逸で、彼の歌詞の魅力を存分に感じることができる作品となっています。

そんな訳で、しっかりと高橋優の実力と魅力を感じられ、歌詞にしろメロディーにしろしっかりとインパクトを感じられるアルバムなのは間違いありません。ただ、やっぱり、これでもかというほどに畳みかけられる歌詞には、正直もうちょっと力を抜いた部分があった方がよりおもしろくなると思うんですよね・・・。もっとも彼もまた34歳と若いだけに(・・・といえるほど「若い」かは微妙ですが(^^;;)これからもっと年を重ねるごとに、力の抜き方を覚えると思うのですが・・・。この歌詞の暑苦しさは魅力であると同時に、彼の弱点でもあるように感じます。そろそろもうちょっと肩の力を抜いたほうがおもしろくなると思うんだけどなぁ。

評価:★★★★

高橋優 過去の作品
リアルタイム・シンガーソングライター
この声
僕らの平成ロックンロール(2)
BREAK MY SILENCE
今、そこにある明滅と群生
高橋優 BEST 2009-2015 『笑う約束』
来し方行く末


ほかに聴いたアルバム

うたいろ/吉岡聖恵

今年年末の紅白での復活が予定されているいきものがかりのボーカリストによるソロアルバム。そんな彼女のソロデビュー作は全曲カバーアルバムで、米津玄師の「アイネクライネ」のような作品の曲もありますが、笠木しず子「ヘイヘイブギー」、ピーター、ポール&マリー「500マイル」(作詞は忌野清志郎)など、結構昔の楽曲が目立つ、ちょっと渋い選曲になっています。

正直彼女自身、ボーカリストとして安定感はありますが、表現力に乏しく、決して上手い歌手ではありません。実際、中島みゆきの「糸」など原曲と比べるとかなり辛い内容になっており、「カラオケレベル」という部分も否めません。ただ、メロディーをしっかり聴かせる懐かしい選曲はなかなか惹かれるものがありますし、また「ヘイヘイブギー」のようなハイトーンボイスを生かしたアップテンポなナンバーはそれなりに健闘しているような印象もあります。歌唱力、特に表現力に厳しい部分はありましたが、選曲含めて曲は素直に楽しませてもらったので下記のような評価に。次は・・・カバーアルバムにしないほうが無難かと思いますが・・・。

評価:★★★★

地球 東京 僕の部屋/和田唱

TRICERATOPSのボーカリスト、和田唱による初のソロアルバム。ジャケット写真のかわいらしい写真は彼の5歳の時の写真だとか。かわいいね(笑)。ちなみにこれ書いていてはじめて気が付いたのですが、手に持っているのって、確か透明な部分にフィルムが入っていて、スコープを覗いて手元もボタンを押すとフィルムがくるくる回って、アニメが見れるようになるおもちゃだよね。懐かしい!私も確か持っていました!さすが同年代(笑)。

ちなみにソロアルバムはすべての楽器の演奏を一人でこなしたとか。歌詞の内容も内省的で自分のことをうたった歌詞が多く、いかにもソロアルバムらしい作品になっています。音楽的にもファンキーな曲調のナンバーやAOR調の曲などあって、トライセラではあまり出来ないようなタイプの曲も並びます。ただメロディーメイカーの彼としてはメロディーラインはちょっと地味だったのはトライセラに遠慮したのでしょうか?ラストを飾る「Home」はピアノとストリングスで聴かせるバラードナンバーになっており、彼のメロディーセンスがしっかりと反映された聴かせるナンバーに仕上がってはいるのですが。

ただトライセラに留まらない広い音楽への興味を感じますし、今後もちょくちょくソロでのリリースは続きそうな感じはします。もっとも、そろそろトライセラの新作も聴きたいところなので、そちらにも期待!

評価:★★★★

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2018年12月21日 (金)

まさかの第2弾

Title:Do The Blues 45s! Vol.2~The Ultimate Blues 45s Collection~

昨年リリースされたディスクユニオンの秋元伸哉氏監修・選曲によるブルースのコンピレーションアルバム「Do The Blues 45s!」。1950年代から60年代のマイナーレーベルからリリースされた音源がメインの、「知る人ぞ知る」的なかなりマニアックな音源を集めたコンピ盤。ただ、そんなアルバムながらもCDの帯に甲本ヒロトの推薦文が書かれたり、ジャケットデザインが本秀康だったりと、その豪華なメンバーが協力していることでも話題になりましたが、その影響もあってか、ブルースのコンピとしては好セールスを記録したとか。そしてなんとそのコンピレーションアルバムの第2弾がリリースされました。

今回もまた、知る人ぞ知る的なミュージシャンの曲20曲が収録された今回のアルバム。基本的に知られざる名曲を選んでいるという共通項はあるものの、一方では様々なタイプのブルースが選曲されており、ブルースという音楽の幅広さを知ることの出来るコンピにもなっていました。

例えば1曲目Little Sonnyの「STRETCHIN'OUT」は抜けのよいリズムが楽しめる、どこか陽気さを感じるインストナンバーからスタートしていますし、続くJohn Heartsman「JOHNNY'S HOUSE PARTY PT.1」に至っては、後ろの歓声もそのまま収録されているという、かなりアットホームな録音に。タイトル通り、こちらも明るい雰囲気のナンバーになっています。またJoe Scott And His Orchestraの「PICKIN' HEAVY」もビックバンド風のとにかく明るいジャンプブルースに仕上がっており、ワクワク楽しくなってきそうな楽曲に仕上がっています。

一方ではLarry Davis And His Band「I TRIED」はだみ声のボーカルと力強いバンドサウンドでかなり荒々しさを感じさせるナンバーに。T.B.Fisher「Don't Change Your Mind」はムーディーなボーカルとメロディーラインでソウルバラードのテイストの強い哀愁感漂うナンバーに。Eddie Bo「I'm So Tired」もムード歌謡ばりに歌い上げるボーカルも強い印象に残ります。

ただ、そんな様々なタイプのブルースが収録されている本作ですが、全体としては録音状態にしろバンドの演奏にしろ、あるいはボーカルも含めて全体的に荒々しさが目立つような曲が多かった印象を受けました。マイナーレーベルの曲だからこそ洗練されていないと言えるのかもしれません。ただ、その「洗練を受けていない」感じが、逆に楽曲に勢いを感じさせる結果になっていたと思います。

これ、イメージで言えば、今の時代なら「インディーロック」といったイメージになるのでしょうか。この荒々しさ、洗練のされていなさ具合こそが、ある意味、マイナーレーベルならではの魅力と言えるのかもしれません。そしてこのコンピレーションにはそんな魅力がたくさん詰まっていました。

前作が気に入った方には本作ももちろんおすすめできる1枚。内容のマイナー具合から、さすがに「ブルース入門」的なコンピではないかもしれませんが・・・ただ、決して「上級者向け」ではなく、私のようなブルース初級者を含め、ブルースが好きなら幅広く楽しめるようなそんな魅力的なコンピレーションアルバムとなっていました。

評価:★★★★★

Do The Blues 45s!-The Ultimate Blues 45s Collection


ほかに聴いたアルバム

A Legendary Christmas/John Legend

先日はEric Claptonのクリスマスアルバムを紹介しましたが、こちらはJohn Legendによるクリスマスアルバム。クリスマスソングをソウルやブルース調にカバーしつつ、しっかりとしんみり歌い上げるスタイル。さすがに実力派の彼らしく、どの曲もいい意味で安定感があり、安心して聴いていられる、これからのクリスマスシーズンにもピッタリな暖かい雰囲気のポップスが並んでいました。

評価:★★★★

John Legend 過去の作品
once again
WAKE UP!(John Legend&The Roots)
LOVE IN THE FUTURE
DARKNESS AND LIGHT

Suspiria(Music for the Luca Guadagnino Film)/Thom Yorke

ご存じRADIOHEADのボーカリスト、トム・ヨークによるソロ最新作は今年公開された映画「サスペリア」(日本公開は来年1月予定)のサントラ盤。この「サスペリア」はもともと1977年に公開された傑作映画のリメイク版だとか。日本公開はまだなので当たり前なのですが、私自身は映画を全く見ていない状態で、トム・ヨークの新作ということでサントラ盤のみ聴いてみました。

サントラ盤は2枚組。Disc1は主に歌モノがメイン。ホラー映画ということで、ピアノやストリングスなどを効果的に用いた不気味な雰囲気の作風の中に、美しいメロディーラインが入ってくるスタイルで、「歌」としてかなり聴かせる内容に。この「美しさ」と「不気味さ」のバランスが実に絶妙で、もともとトム・ヨークの、というよりもRADIOHEADの作品は内省的な曲がメインなのですが、トム・ヨークらしさがよく出ている作風に仕上がっていました。一方Disc2はおそらく映画の中で使用されるBGMなどがメイン。メタリックな作風で不気味な雰囲気の曲が多く、こちらは良くも悪くも「サントラ盤」。映画を見ていないと、ちょっと退屈さも感じされる内容になっています。

歌モノについてはソロ作としてもかなりの傑作と感じた一方、後半はちょっと退屈してしまった点も否めないため、全体的な評価は以下の通りに。ただ、Disc1は間違いなくトム・ヨークのファンだけではなくRADIOHEADのファンにとっても聴いておきたい傑作だったために、サントラ盤ということで回避するにはあまりにももったいないと思います。間違いなくトム・ヨークの「最新アルバム」です。

評価:★★★★

Thom Yorke 過去の作品
The Eraser Rmx
Tomorrow's Modern Boxes

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2018年12月20日 (木)

「U.S.A.」効果がアルバムにも?

今週のアルバムチャート

http://www.oricon.co.jp/rank/ja/

Hot100では驚異的なロングヒットを続けているDA PUMPの「U.S.A.」。その効果が今週はアルバムチャートに波及しています。それが2位に初登場したDA PUMPのベストアルバム「THANX!!!!!!!Neo Best of DA PUMP」。タイトル通りのベストアルバムで、言うまでもなく今回の「U.S.A.」人気から企画・リリースされたベスト盤。初動売上は4万9千枚。前作が12年前にリリースされたベストアルバム「Da Best of Da Pump 2 plus 4」で、同作が初動売上5千枚(50位)という結果だったことを考えると、今回のアルバムはその10倍近い売り上げを見せており、いかに「U.S.A.」のインパクトが大きかったことがわかるでしょう。

一方、1位を獲得したのはRADWIMPS「ANTI ANTI GENERATION」。「君の名は。」への楽曲提供で一気に注目を集めたかと思えば、今年は「HINOMARU」を巡る騒動でも話題となってしまった彼らですが、約2年ぶりとなるニューアルバムは前作「人間開花」に続き、見事1位獲得となりました。ただし、初動売上7万7千枚は前作「人間開花」の20万3千枚(1位)から大きくダウンという結果に。もっとも前々作「×と○と罪と」は初動7万6千枚だったので、「君の名は。」ブームで買ってみたというような人たちが去って行って、前々作と同水準に戻ったといった感じでしょうか。

3位には韓国のアイドルグループWanna One「1¹¹=1 (Power of Destiny)」がベスト10圏外からランクアップし、4万9千枚を売り上げてベスト3入り。これは握手会、サイン会参加のための通販販売分が今回のチャート対象週に到着したためによるものだそうです。ちなみに彼ら、今年一杯での解散が予定されており、その点も売上増の大きな要素となったかもしれません。

続いて4位以下の初登場盤です。6位にナオト・インティライミ「『7』」がランクイン。タイトル通り、7枚目となるオリジナルアルバム。初動売上は1万5千枚。直近作はコンセプトアルバム「旅歌ダイアリー2」で、同作の初動8千枚(10位)からはアップ。ただし、オリジナルアルバムとしては前作の「Sixth Sense」の2万9千枚(3位)からは大幅ダウンしています。

7位にはラッパーとして高い評価を受けているSKY-HIことavexのダンスグループAAAのメンバー日高光啓によるソロアルバム「JAPRISON」がランクイン。初動売上は1万枚。直近作はコラボレーション曲を集めた企画盤「ベストカタリスト -Collaboration Best Album-」で、同作の5千枚(11位)から大幅アップ。ただし、前作「OLIVE」の1万7千枚(6位)からはダウンしています。

8位には・・・かなり奇妙なアルバムがランクインしてきました。桜井識子「神仏をいつも身近に感じるために~心澄ませ、気運を高める~」。桜井識子はスピリチュアルで人気のブロガーらしいのですが、初動売上9位でいきなりこの手のヒーリング系アルバムがランクインというのは驚きました。ただ、この手のスピリチュアルなブームが無批判に取り上げられるのは一歩間違えれば大問題になるのは、かつてのオウム真理教事件で日本人は嫌というほど味わったはずなのですが・・・彼女がどうこう言うには彼女についての知識がなさすぎるので何とも言えないのですが、ちょっと気になってしまうヒットです。

9位には女性アイドルグループ虹のコンキスタドール「THE BEST OF RAINBOW」がランクイン。SNSのpixvを運営する会社が企画したアイドルグループ。タイトル通り、彼女たち初となるベストアルバム。初動売上8千枚は前作「レインボウフェノメノン」の1万枚(7位)からダウン。

最後10位には女性向け恋愛アドベンチャーゲーム「うたの☆プリンスさまっ♪」から派生した映画「劇場盤うたの☆プリンスさまっ♪ マジLOVEキングダム」に登場するキャラクターによるアルバム一十木音也(寺島拓篤),美風藍(蒼井翔太),桐生院ヴァン(高橋英則) 「劇場版 うたの☆プリンスさまっ♪ マジLOVEキングダム スペシャルユニットドラマCD 音也・藍・ヴァン」がランクイン。初動売上は8千枚。「うたの☆プリンスさまっ♪」関連では直近作では嶺二(森久保祥太郎),美風藍(蒼井翔太) 「うたの☆プリンスさまっ♪デュエットドラマCD『Fiction』 嶺二&藍」、黒崎蘭丸(鈴木達央),カミュ(前野智昭)「うたの☆プリンスさまっ♪デュエットドラマCD『Non-Fiction』蘭丸&カミュ」が、それぞれ初動売上1万6千枚(2位)、1万5千枚(3位)で同時ランクインしており、同作よりは初動売上は減少しています。

今週のアルバムチャートは以上。チャート評はまた来週の水曜日に!

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2018年12月19日 (水)

「U.S.A.」が大きく躍進するも・・・

今週のHot 100

http://www.billboard-japan.com/chart_insight/

超ロングヒットを続けるDA PUMP「U.S.A.」。今週はなんと先週の6位から2位にランクアップ。2週ぶりにベスト3に返り咲きました。特にいままで低迷気味だったラジオオンエア数が31位から6位に上昇しており、ランクアップの大きな要因となっています。またおそらく、今週、DA PUMPのベストアルバムがランクインしてきていますが、それもランクアップの大きな要因でしょう。

ただ、残念ながら今週も1位獲得ならず。初登場1位を獲得したのはAKB48の姉妹グループで名古屋を拠点とするSKE48「Stand by you」が獲得。CD販売数が1位だったものの、ほか、ラジオオンエア数63位、PCによるCD読取数15位、Twitterつぶやき数26位とさほど奮いませんでした。オリコンでは初動23万4千枚で1位獲得。前作「いきなりパンチライン」の24万枚(1位)からダウン。

3位には米津玄師「Flamingo」が先週の7位からランクアップし5週ぶりのベスト3返り咲き。さらにベスト10入りもこれで7週目となり、ロングヒットを続けています。各種チャートでもCD販売数は28位に留まっているものの、ダウンロード数及びPCによるCD読取数1位、You Tube再生回数で3位を記録。まだまだロングヒットを記録しそうです。さらに「Lemon」も今週5位から4位にアップ。さすがにダウンロード数は4位まで徐々にダウンしてきていますが、今週、ラジオオンエア数が37位から8位に大幅アップし、ランクアップの要因となっています。

続いて4位以下の初登場曲です。まず7位にRoselia「BRAVE JEWEL」が初登場でランクイン。漫画「BanG Dream!」から派生したプロジェクトにより登場したアニメキャラによるロックバンド。CD販売数3位、ダウンロード数15位、PCによるCD読取数6位、Twitterつぶやき数5位を記録。オリコンでは初動売上3万4千枚で3位初登場。前作「R」の3万2千枚(3位)よりアップしています。

8位には新しい地図 join ミュージック「#SINGING」が初登場でランクイン。Amazon Music TV CMソング。言うまでもなく元SMAPの香取慎吾、草彅剛、稲垣吾郎の3人によるユニット。ダウンロード数で2位、ラジオオンエア数40位、Twitterつぶやき数3位を記録し、配信オンリーでのリリースながらもベスト10入りを記録しました。ちなみに本作、爽快なポップチューンなのですが、作詞作曲を若干15歳の現役中学生のトラックメイカーSASUKEが手掛けていることでも話題になっています。

今週の初登場曲は以上ですが、ほかにも今週はベスト10返り咲き曲も。まずLiSA「ADAMS」が先週の72位から4位に大きくランクアップ。10月22日付チャート以来、9週ぶりのベスト10返り咲きとなっています。これは主に本作を収録したCDシングルがリリースされた影響。今週、同作も収録したシングル「赤い罠(who loves it?)」が初動3万5千枚でオリコンチャート2位にランクイン。前作「ASH」の1万9千枚(5位)からアップしています。

またback number「オールドファッション」が先週の12位から9位にアップ。こちらは2週ぶりのベスト10返り咲きとなりました。主にダウンロード数が3位、PCによるCD読取数が2位を記録するなど、上位に食い込んできており、ロングヒットとなりそうな予感もします。

さらにロングヒット組ではあいみょん「今夜このまま」が先週の9位から6位にアップ。これで通算7週目のベスト10ヒットとなりました。主にラジオオンエア数9位、PCによるCD読取数3位を記録していますが、なんといってもストリーミング数が今週で7週連続の1位を記録。紅白出場などでも話題となっている彼女ですが、それだけ今、幅広い層から注目を集めているということでしょう。こちらもまだまだロングヒットが続きそうです。

今週のHot100は以上。明日はアルバムチャート!

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2018年12月18日 (火)

懐かしさあふれるコンピ盤

Title:宮川泰 テレビテーマ・ワールド
Musician:宮川泰

和製ポップスの第一人者として数多くのヒット曲を生み出し、かのザ・ピーナッツの育ての親としても知られる作曲家、宮川泰(「やすし」ではなく「ひろし」と読みます)。おそらく当サイトを見てくださっているような方にとっては、「宇宙戦艦ヤマト」の作曲者、と言われれば一番ピンと来るかもしれません。そんな彼はテレビ番組の挿入歌、テーマ曲も数多く手掛けているのですが、今回紹介するのは、そんなテレビに使われた彼の楽曲をまとめたコンピレーションアルバムとなります。

その収録音源は、アルバム冒頭を飾る「シャボン玉ホリデー」のような60年代、70年代の頃の曲もあり、さすがになじみのない曲も少なくありませんが、一方ではおそらく私のようなアラフォー世代にとっても非常になじみのある懐かしいテレビのテーマ曲も数多く収録されています。そしてこれらの曲が使われていた80年代や90年代はネットがなくまだまだテレビが家庭の中心にあった時代。おそらく家にいれば、まずはテレビを見ていたという方も多いでしょう。そういう世代にとっては、宮川泰の名前を知らなくても、知らず知らずのうちに彼の曲に出会っていたことに気が付かされます。そして、彼の曲を聴くと、そのテレビを見ていた頃のことを懐かしく思い出してしまうことでしょう。

私にとっては例えば「ひるのプレゼントのテーマ」「午後は○○おもいッきりテレビテーマ」などを聴くと、番組自体よりも、風邪だったり何かの理由で学校を休んだ平日の昼間の、普段だったら学校にいるはずなのになぜか家でゴロゴロしている、あのなんともいえない解放感を思い出します。また土曜日の午後にやっていた(というか、まだ「やっている」なのですが)番組のテーマ「バラエティー生活笑百科テーマ」を聴くと、この番組を見ていた当時はまだ土曜日の午前中に学校の授業があった頃。これから休みになる、というワクワク感を思い出させてくれます。また「ズームイン!朝」「ズームイン!!SUPERオープニングテーマ」なども聴いているだけで眠たい朝を思い出す人も多いのではないでしょうか。

そして個人的に一番懐かしく感じたのが(これはテレビの曲ではないのでボーナストラック扱いなのですが)「歌謡ベスト10 オープニングテーマ」。FM東京系で土曜日の午後1時から放送されていた「コーセー歌謡ベスト10」のテーマ曲。実は私にとって、いわゆるポップス、歌謡曲、ヒット曲との出会いがこの番組を中学生の頃に聴き始めたから。中学生の頃はこの番組をむさぼるように聴いていて、ランクインしている曲を片っ端から聴いていました。いわば私の音楽趣味の原点とも言える番組で、正確には私が聴いていたころ使われていたテーマ曲は、今回のコンピに入っている曲を若干アレンジした曲だったのですが、あの中学生の頃を思い出してしまい、とても懐かしくなってしまいました。

そんな感じで、まさにおそらく多くの方にとって聴いているだけで懐かしくなってくるような曲が数多く収録されているコンピレーション。私と同じアラフォー世代やもっと上の世代、さらにおそらく30代あたりの方でも同じような思いを抱くのではないでしょうか。ちなみに冒頭で紹介した「宇宙戦艦ヤマト」も収録されています。またこのコンピ盤を聴いていくと、いかにも一昔前のテレビ番組の曲といった印象を受ける曲に多く出会うかもしれません。それは彼がいかにもな曲を書いていた、というよりも、宮川泰が書くサウンドのことを、私たちが「一昔前のテレビ番組の曲」とイメージしていた、という理解の方が正確かもしれません。

そして彼の書く曲を聴いていると、ソウルやジャズなどの要素を取り入れた曲が多く、今の私たちの耳から聴いても洋楽テイストが強くあか抜けた作風という印象を強く受けます。「お笑いオンステージの歌」はソウル風なリズムがカッコよさすら感じますし、「わんさかワンサくん」もニューオリンズ風の軽快でコミカルな楽曲が楽しめます。そういう点からも、懐かしさに浸るだけではなく音楽的な面でももちろん楽しめるコンピでしたし、また、洋楽テイストを強く押し出した和製ポップスという意味では、同じく洋楽的な要素を強く押し出しているJ-POPの原点という見方も出来るかもしれません。実際、彼の曲は数多くのヒット曲や、あるいはテレビのテーマ曲などを通じて、知らず知らずのうちに私たちやさらに下の世代の耳にも届いている訳で、そういう意味ではJ-POPシンガーも意識的に、あるいは知らず知らずのうちに彼の曲の影響を受けているという見方も出来るかもしれません。

そんな訳で、アラフォー世代以上にとっては、いやもっと下の世代にとっても懐かしさに浸れるコンピ盤。またもちろん音楽的にも楽しめる1枚となっていました。とりあえず、おそらく多くの方にとって1度は聴いたことあるような曲が必ず収録されているコンピなので、興味ある方は是非。テレビが家庭の中心にあった時代に流れていた音楽たちが、今の時代に復活してくる、そんな懐かしさあふれるコンピレーションアルバムでした。

評価:★★★★★


ほかに聴いたアルバム

ALL INDIES THE BACK HORN/THE BACK HORN

結成20周年を迎える彼らが、20周年企画の第3弾としてリリースする本作は、現在、廃盤となっているインディーズ時代の楽曲を再録した企画盤。彼らのインディーズ時代の曲は今回はじめて聴いたのですが、叙情感あふれるメロディーとダイナミックなサウンドはメジャーデビュー後の作風と変わらず、初期の段階からその作風が既に完成していたことを伺わせます。ただ一方、似たような作風の曲が多く、1曲1曲はカッコよく耳を惹くのですが、アルバム全体としては後半、少々飽きが来てしまいました。

評価:★★★★

THE BACK HORN 過去の作品
BEST
パルス
アサイラム
リヴスコール
暁のファンファーレ
運命開花
BEST OF BACK HORN II
情景泥棒

ケツノポリス11/ケツメイシ

ケツメイシ11枚目のアルバムは、ここ最近、英語表記の「KETSUNOPOLIS」だったタイトルが「ケツノポリス」に戻り、ジャケットの色もデビューアルバム「ケツノポリス」と同じ白に。さらに写真の構図も同作と同じという、ある意味「原点回帰」的なジャケットとなっています。

ただ内容的にはいい意味で、そのデビューアルバムから遠くに来たなと感じさせるような内容。レゲエはもちろん、HIP HOP、エレクトロ、トランス、ポップなどの音楽的な要素を広く入れてほどよくポップにまとれ、歌詞も大人になった彼らの等身大のスタイルを時にはユーモラスをまじえて歌い上げています。特に今はやりのラップバトルの要素をコミカルに織り込んだ曲などは彼らならでは。ここ最近、安定感の増した彼らですが、ベテランミュージシャンとして、さらに一歩上のレベルに到達した感のある、ある種の貫禄すら感じさせるアルバムでした。

評価:★★★★★

ケツメイシ 過去の作品
ケツノポリス5
ケツノポリス6
ケツノポリス7
ケツの嵐~春BEST~
ケツの嵐~夏BEST~
ケツの嵐~秋BEST~
ケツの嵐~冬BEST~

KETSUNOPOLIS 8
KETSUNOPOLIS 9
KTMusic(KTMusic)
KETSUNOPOLIS 10

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2018年12月17日 (月)

ディスコブームそのままに

Title:It's About Time
Musician:Nile Rodgers&CHIC

70年代後半から80年代にかけて一世を風靡したディスコブーム。そのブームを牽引した代表的なバンドのひとつが今回紹介するナイル・ロジャーズ率いるCHICでした。70年代から80年代にかけてヒットを飛ばしたものの、メンバーのバーナード・エドワーズが96年に急死。また90年代以降、ディスコブームがすっかり影を潜めてしまった影響もあり、事実上、解散状態にあったようです。

しかし90年代から2000年代あたりにかけては「ダサい」とみなされていたディスコの評価が2010年代あたりから再上昇。特に2013年にダフトパンクがリリースしたアルバム「ランダム・アクセス・メモリーズ」にナイル・ロジャーズが参加したことも大きなきっかけとなり一気に注目が集まるようになりました。

そして今年、「CHIC」名義では実に26年ぶりとなるニューアルバムがリリースされて大きな話題となっています。まずこのジャケット写真からして、いかにも80年代的。「CHIC」のロゴと共に、ちょっと前ならばおそらく「ダサい」とされていそうな雰囲気がありますが、今なら一回り廻って「ダサカッコいい」といった感じになるのでしょうか。ちなみにこのジャケット、CHICのデビューアルバムのオマージュ的なデザインともなっています。

さらに内容的にも80年代のディスコブームそのものの、いかにもなダンスチューンの連続となっています。1曲目「Till The World Falls」から軽快なリズムからハイトーンの女性ボーカルでスタートするあたりから、「これこれ!」と思ってしまうような気持ちよさがありますし、「Do You Wanna Party」なんかもタイトル通りのいかにもなダンスチューン。「I Dance My Dance」もほどよくソウルに歌い上げる女性ボーカルも含めて、いかにも80年代的な香りが漂っています。

楽曲的には正直言ってどれも似たようなパターンのディスコチューンのみなので、若干単調で、ボーカルをいろいろと変えることによりバリエーションをつけているようにも感じます。ただ、後半にはチルアウト的なミディアムチューンがあらわれるのですが、その中のインストチューン「State Of Mine(It's About Time)」などもアーバンな雰囲気が実に80年代的。日本でいえばバブルの雰囲気がプンプン匂ってくるようなナンバーに、ある種の懐かしさを感じてしまいます。

そんな訳で、少々悪い表現を使ってしまうと「軽薄」という印象すら受けてしまうアルバム。確かに、こういう曲ばかりがブームになったとしたら、少々うんざりしてしまうだろうなぁ、という感じもするのですが、ただ、このアルバムだけ取り上げれば、何も考えずに楽しめる、文句なしに楽しい作品だったと思います。似たようなタイプの曲も多いのですが、全39分という短さもあり、飽きることなく一気に楽しむことが出来ました。

評価:★★★★★


ほかに聴いたアルバム

MASTERS OF THE SUN VOL.1/THE BLACK EYED PEAS

2011年に活動を休止したものの2015年に再結成したアメリカのHIP HOPグループBLACK EYED PEAS。その彼らが約8年ぶりとなる待望のニューアルバムをリリースしました。久々のアルバムなのですが、ジャズやエレクトロのテイストなどを取り入れ、軽快にまとめあげて楽しいHIP HOPチューン。ポップテイストが強くかなり聴きやすいアルバムに仕上がっています。活動休止前のアルバムに比べると実験的テイストは薄いような印象も受けるのですが、ただただ最初から最後までその音楽を楽しめるポップスアルバムになっていました。

評価:★★★★★

THE BLACK EYED PEAS 過去の作品
THE E.N.D.
THE BEGINNING

OLYMPUS SLEEPING/RAZORLIGHT

イギリスのギターロックバンドによる、実に約10年ぶりとなる久々のニューアルバム。本作は4作目となるアルバムで、前3作はいずれもイギリスのアルバムチャートでベスト10の上位にランクインしたのですが、本作は残念ながら最高位27位に留まる厳しい結果となりました。ただ内容的には非常にシンプルで軽快なギターロックの楽曲が並んでおり、いい意味でインディーロックバンドらしい若々しさと勢いをいまだに感じさせます。メロディーラインもポップでそれなりにインパクトもあり、わずか36分という短さもあって、一気にダレルことなく楽しめる傑作アルバムに仕上がっていました。

評価:★★★★★

RAZORLIGHT 過去の作品
SLIPWAY FIRES

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2018年12月16日 (日)

ライブ音源が魅力的

Title:野宮真貴 渋谷系ソングブック
Musician:野宮真貴

ご存じ元ピチカート・ファイブのボーカリストであり、90年代に起きた「渋谷系」と呼ばれる音楽のムーブメントの中心にいた野宮真貴。彼女が、その原点を振り返るべくここ数年の行っている企画が「野宮真貴、渋谷系を歌う」。いわゆる渋谷系と呼ばれるルーツと思われる曲を彼女がカバーする企画で、最初はライブの企画からスタート。その後、アルバムを5枚リリースし今日に至っています。

今回のアルバムはその「渋谷系を歌う」の企画を総括するベストアルバム。いままで彼女がリリースしたアルバムの中から、ライブ盤だった1枚目と、(なぜか)最新アルバム「ホリディ、渋谷系を歌う」を除く3枚のアルバムからセレクト。さらに渡辺満里奈のアルバム「MY FAVOURITE POP」に収録されていた「大好きなシャツ(1990旅行大作戦)- Marina's 30th Anniversary Mix-」も収録されています。

さらに今回のベスト盤の大きな目玉のひとつが本編ラストに収録されている「中央フリーウェイ」。2015年11月に行われたライブ音源なのですが、この日、ライブを見に来ていたムッシュかまやつが飛び入り出演。今となっては貴重な音源となってしまった2人によるデゥエットも収録されています。

そして肝心の内容自体は、アルバムをいままでもここで紹介していますし、いまさら言うまでもないかもしれません。しんみりとその歌声を聴かせつつも、感情過多にならないそのボーカルのバランスの良さはさすが経験豊富な大人のボーカリストといった印象。また彼女の歌声はそのしっとりとした歌声には強いインパクトがありつつも、一方では歌い方にも声色にも比較的「癖」が薄く、そのためいろいろな曲のカバーにもマッチするという意味では、この「渋谷系を歌う」の企画がピッタリということも言えるでしょう。

ただ、今回のこのアルバムの一番の肝となるのはDisc2の方になるかもしれません。今年2月に行われた「モーション・ブルー・ヨコハマ」でのステージをMC含めてフル収録したライブ盤。もともとこの企画はライブイベントからスタートしていますので、ライブこそが「渋谷系を歌う」の本領と言えるかもしれません。

渋谷系の大定番「ぼくらが旅に出る理由」のカバーなども素晴らしいのですが、途中にはチョコレートのCMソングを歌うコーナーがあったり、MCではカバーする曲の詳しい説明があったり、そういった部分も楽しいですし、よくよく聴くと、バックにおそらく観客が食事をしていると思われる食器の音なども聞こえたりするのもライブの臨場感が増す大きな要素となっていたりします。

さらにこのライブではゲストも参加しています。高野寛を迎えたコーナーでは懐かしいヒット曲「Winter's tale」が聴けたりするのがなかなかうれしいのですが、特に素晴らしいのが横山剣とのデゥオ。二人とも本当に渋い大人のボーカリスト同士といった感じで、その相性も抜群。絶妙なデゥエットを聴かせてくれます。なにでにこの2人で組んで、アルバムをリリースしてくれないかなぁ・・・そんなことくらい考えてしまう相性の良さでした。

さらにうれしいのは・・・これはライブでは毎回の定番のようですが、アンコールのピチカート・ファイヴメドレーもしっかりと収録されている点でしょう。なんだかんだ言っても、やはり野宮真貴=ピチカート・ファイヴのイメージでしょうし、懐かしいヒット曲の連続で聴いていてうれしくなってきますし、ワクワクもしてきます。このピチカート・ファイヴメドレーが収録されている点はライブ盤ならでは、といった感じでしょうか。

ともかく、いろいろな点から彼女のライブの魅力がしっかりとつまった臨場感あるライブ盤。本編の方に含まれたレア音源も含めて、いままでの彼女の「渋谷系を歌う」シリーズを全て聴いていたとしても、あらためて聴いてみたいベスト盤になっていました。ただ・・・そろそろこの企画も「ネタ切れ」状態。このベスト盤がひとつの区切りとなるのでしょうか。次はどんな企画になるのか・・・そろそろ彼女の「純粋なソロオリジナルアルバム」も聴いてみたいのですが。

評価:★★★★★

野宮真貴 過去の作品
実況録音盤!「野宮真貴、渋谷系を歌う。~Miss Maki Nomiya Sings Shibuya-kei Standards~」
世界は愛を求めてる。-野宮真貴、渋谷系を歌う。-
男と女~野宮真貴、フレンチ渋谷系を歌う。
野宮真貴、ヴァカンス渋谷系を歌う。~Wonderful Summer~
野宮真貴、ホリディ渋谷系を歌う。


ほかに聴いたアルバム

After The Rain/古内東子

今年、デビュー25年を迎えた古内東子の、なんとオリジナルアルバムとしては約6年半ぶりとなるニューアルバム。この6年半の間、結婚・出産という大きなイベントを経た彼女。しかし、ここでよくありがちな「母としての作品」にはならなかったのはある意味彼女らしい感じ。久々のニューアルバムは、むしろ原点回帰的な、いかにも彼女らしい王道を行く切なくメロウなナンバーが並ぶアルバムに仕上がっています。正直なところそのため目新しさみたいなものはなかったのですが、結婚・出産を経てもこれからもこのスタイルで行くという彼女の決意のようなものを感じました。

評価:★★★★

古内東子 過去の作品
IN LOVE AGAIN
The Singles Sony Music Years 1993~2002
Purple

透明
夢の続き
and then...~20th anniversary BEST~
Toko Furuuchi with 10 legends

NEUE TANZ/YELLOW MAGIC ORCHESTRA

YMO結成40周年を記念してリリースされたコンピレーションアルバムはメンバーのソロ作を含めて選曲をテイ・トウワが行い、さらに砂原良徳によるリマスタリングが行われたコンピレーションアルバム。選曲のテーマとして「今響かせたいYMO」をテーマにしたそうで、それだけに音楽的な進歩が早いエレクトロミュージックでありながらも、まりんのリマスタリングと合わせて、今の耳で聴いても古さを感じさせないどころか新鮮味すら感じさせる曲が並んでいます。また、基本的にポップな作風にどこかコミカルさも感じられ、最初から最後まで全く飽きることなく一気に聴けるコンピレーションに。「正統派」ではないかもしれませんが、今のリスナーにとってはYMO入門としてピッタリの1枚と言えるでしょう。

評価:★★★★★

Yellow Magic Orchestra 過去の作品
LONDONYMO-YELLOW MAGIC ORCHESTRA LIVE IN LONDON 15/6 08-
GIJONYMO-YELLOW MAGIC ORCHESTRA LIVE IN GIJON 19/6 08-

YMO
NO NUKES 2012

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2018年12月15日 (土)

弦楽四重奏で聴かせるコンサート

KAN Concerto col Quartetto da Muroia 2018

会場 名古屋市青少年文化センター・アートピア 日時 2018年12月3日(月)18:30~

Kan_live2018

ここ2作品、自身の作品の弦楽四重奏によるカバーアルバムが続いたKAN。それに伴い弦楽四重奏によるコンサートツアーが行われているのですが、その名古屋公演に行ってきました。場所はアートピア。ナディアパークの中の会場ですね。今回、はじめて足を運びました。

ライブがスタートすると、まずは4人の弦楽器奏者のみ登場。会場バックの星空のような照明をバックに、まずは弦楽四重奏で「ホワイトクリスマス」を演奏。するとKANちゃんが登場。バックに天使の羽根を背負ったコスチュームが軽く笑いを誘い、まずは1曲目「KANのChristmas Song」からスタート。この曲の弦楽四重奏アレンジはCDに収録されておらず、ライブのみでの披露となりました。続いては「50年後も」と続き、まずは弦楽四重奏でのステージらしい、聴かせるナンバーからのスタートとなりました。

MCを挟み、カバーアルバムからの曲「Happy Time Happy Song」「世界でいちばん好きな人」「キリギリス」、さらにはカバーアルバムにも収録されていたBilly Joelの「Lullaby」のカバーと続きます。

次のコーナーでは弦楽奏者4人のうち男性陣2人がステージを去り、女性陣2人(2ndバイオリンとビオラ)のみが残ります。まずは女性陣のメンバー紹介。さらには「名古屋の好きな食べ物」の話となり、あんかけスパの話へ。KANちゃんはあんかけスパについて「歩いていて予期しないガラスの扉にぶつかるような衝撃」と、わかるようなわからないような例えを披露していました(笑)。

この女性陣2人のみと「カレーライス」を披露した後は、今度は女性陣がステージを去り、男性陣2人(1stバイオリン、チェロ)がステージ上へ。ただ、メンバー紹介もほどほどにMCを終わろうとするKANちゃんに、メンバーから「もうちょっと話をしましょう・・・」という突っ込みが。そこで出てきたネタがなぜか「最近行ったライブ」という話だったのですが、その話もそこそこにKANちゃんが最近行ったライブ、きゃりーぱみゅぱみゅのライブの話をしはじめました。その話をしたかっただけなんですね(^^;;

さらにその話の中でおもむろに「次の曲は『初見』で弾いてもらいます」という話に。「初見」とは、はじめて見た楽譜をその場で弾くこと。プロなら当然に求められる能力であることを滔々と説明した後、「それでは男らしい曲を」ということではじまった曲が・・・QUEENの「We Will Rock You」。「初見」ということでメンバーに渡された楽譜には、足音の「ドンドン」と、手拍子の「パン」しか書かれていませんでした・・・というオチでした。

そんな「コント」に続いてようやく真面目なナンバー。ポール・マッカートニーの「Blackbird」のカバーを聴かせます。そしてその後は今回のカバーアルバムにちなんで編曲の話。KANちゃんがいかに弦楽四重奏によるアレンジを工夫していったか、「サンクト・ペテルブルグ」「君はうるさい」を例にあげて説明してくれました。

このコーナー、かなり長くて30分くらい延々と説明が続いたのですが、かなり興味深い内容でした。KANちゃんがアレンジでどのような点を重視したかったか、コンセプトを披露しつつ、実際に制作過程で試したアレンジパターンも弦楽器を使い披露。どのようにして曲が完成していくのか、またKANちゃんのこだわりも知ることが出来て、とても興味深いひと時でした。

その後は弦楽器のみのインストナンバー「Menuett für Frau Triendl」「l’Addestramento dell’Arrangiamento」へ。KANちゃんはピアノの椅子に座って聴いていただけなのですが、ちょっと雰囲気の異なる弦楽四重奏のコンサートを楽しむことが出来ました。

続いては弦楽四重奏曲のカバーアルバムのジャケットの話を。特に最新作「la RiSCOPERTA」は、ダウンロードやストリーミング主体となりつつある今だからこそ、CDを手に取った人のために凝ったイラストにしたこと、また本当は絵の中にいろいろとネタを入れたかったけど、ツアーなどで忙しかったため出来なかったこと、などの話がありました。

ライブは一気に終盤に。さきほどアレンジについての説明があった「サンクト・ペテルブルグ」「君はうるさい」、そしておなじみ「愛は勝つ」へ。この曲、最初は静かな弦楽四重奏によるイントロが流れた後、おなじみのピアノのイントロへと流れ込むあたり、かなりダイナミックな展開になっており、おもわずゾクゾクと来るカッコいいアレンジになっていました。そしてThe Beatlesのカバー「Back In The U.S.S.R.」、そして「CLOSE TO ME」へと続いていきます。そして本編はあっという間に終了。本編最後は「永遠」。しんみり聴かせつつ、ライブは一度幕を下ろします。

まずKANちゃんがステージから去ると、ほかの弦楽器のメンバーはステージから去るのですが、その去り方は不自然にゆっくり・・・と思ったら、メンバーが去った瞬間、アンコールもそこそこにステージ逆側からKANちゃんがいきなり再登場となりました。

やがて弦楽器のメンバーも再度ステージへ。そこでなぜかKANちゃんが1stバイオリンをじっと見つめると・・・おもむろにさわらせてほしいという話に。そしてなんとKANちゃんのバイオリンで「アヴェ・マリア」に。しかし、これがグダグタのピッチがはずれまくっている酷い演奏に(^^;;弦楽器のメンバーが最後は耳を塞ぎつつ、演奏が終わるとわざとらしい拍手を送るという・・・ネタですね(笑)。

で、本当のラストは「今年もこうして二人でクリスマスを祝う」をしっかりと聴かせて終了。最後はメンバー全員がステージ上に並んで挨拶。アンコール含めて約2時間半のボリュームたっぷりの内容でした。

そんな訳で今回はじめて見たKANちゃんの弦楽四重奏でのコンサート。いつも通り、ネタ満載で一方、聴かせる部分はしっかりと聴かせる、本当に楽しいステージでした。ライブの構成としては正直、普段のバンド形式でのライブツアーや弾き語りツアーに比べるとこなれていない部分もありましたが、それを差し引いても、コミカルなネタと、しっかりと聴かせる演奏でとても楽しい2時間半でした。やはりKANちゃんのライブは楽しい!!次はそろそろオリジナルアルバム・・・という話をしていたので来年あたり、オリジナルアルバム、そしてそれに続くライブツアーを期待しています。また、彼のライブには足を運ばなくては・・・。

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2018年12月14日 (金)

男性アイドル勢が目立つチャート

今週のアルバムチャート

http://www.oricon.co.jp/rank/ja/

今週のアルバムチャートは男性アイドル勢が目立つチャートとなりました。

そんな中で見事1位を獲得したのはコブクロのベストアルバム「ALL TIME BEST 1998-2018」。結成20周年を迎える彼らのベストアルバム。いままで2枚のベストアルバムをリリースしている彼らですが、本作はそれらを網羅したオールタイムベストとなります。初動売上は16万1千枚。直近のオリジナルアルバム「TIMELESS WORLD」の11万3千枚(2位)よりアップ。ただしベストアルバムとしての直近作「ALL SINGLES BEST 2」の39万5千枚(1位)からは大幅ダウンとなっています。

そして2位以下に男性アイドル勢が。2位にジャニーズWEST「WESTV!」、3位に東海地方を拠点とする男性アイドルグループMAG!C☆PRINCE「Bel!ever」がそれぞれランクインしています。シングルチャートでもジャニーズ系と名古屋拠点の男性アイドルグループの直接対決となりましたが、奇しくもアルバムチャートも同じ構図に。ただ、ジャニーズWESTが初動9万6千枚に対してMAG!C☆PRINCEが初動2万7千枚とこちらは少々差がついています。ジャニーズWESTは前作「WESTival」の10万4千枚(1位)からダウン。一方MAG!C☆PRINCEは前作「111」の1万2千枚(8位)からアップしています。

4位以下にも男性アイドル勢が目立ち、今週はあと2人、K-POPの男性アイドルがランクイン。6位にJUNHO(from 2PM)「JUNHO THE BEST」が、10位にイ・ホンギ(from FTISLAND)「Cheers」がそれぞれランクイン。JUNHOはタイトル通り、アイドルグループ2PMのメンバーで、本作は初となるベストアルバム。初動2万4千枚は直近のオリジナルアルバム「想像」の4万枚(1位)からダウン。イ・ホンギはFTISLANDのボーカル。初動売上は1万3千枚。前作「AM302」は2週目に2万3千枚を売り上げ、最高位6位を記録していますが、その時の売上枚数からはダウンしています。

4位初登場もある意味男性アイドル的な括りかも。女性向けアイドル育成ゲーム「アイドリッシュセブン」に登場するグループRe:valeのデビューアルバム「Re:al Axis」がランクイン。初動売上は2万7千枚。「アイドリッシュセブン」関連では直近作「IDOLiSH7 Collection Album vol.1」の2万2千枚(3位)よりアップしています。

そんな男性アイドル勢に挟まれるように7位に初登場してきたのがASIAN KUNG-FU GENERATION「ホームタウン」。途中、「ソルファ」のリメイク盤やベスト盤のリリースなどはあったものの、オリジナルアルバムとしては実に3年半ぶり、久々の新作となりました。初動売上は1万6千枚。直近のベストアルバム「BEST HIT AKG2(2012-2018)」の9千枚(9位)からは大きくアップ。オリジナルアルバムとしては前作の「Wonder Future」の2万8千枚(4位)からはダウンしています。

初登場はあと1枚。9位に韓国の女性アイドルグループBLACKPINK「BLACKPINK IN YOUR AREA」がランクイン。フルアルバムとしては初となる作品。初動売上は1万3千枚。直近作は韓国からの輸入盤「Square Up:1st Mini Album」で、こちらの3千枚(11位)からはアップ。ただし、国内盤では初のアルバムとなった「BLACKPINK」の3万9千枚(1位)からはダウンしています。

今週のアルバムチャートは以上。チャート評はまた来週の水曜日に!

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2018年12月13日 (木)

男性アイドルグループ対決

今週のHot 100

http://www.billboard-japan.com/chart_insight/

今週は男性アイドルグループが1位2位に並びました。

1位はジャニーズ系。Sexy Zone「カラクリだらけのテンダネス」。日テレ系ドラマ「ドロ刑-警視庁捜査三課-」主題歌。CD販売数、PCによるCD読取数及びTwitterつぶやき数で1位を獲得。ラジオオンエア数も32位にランクインしています。一方、2位に初登場してきたのが祭nine.「がってんShake!」。こちらは名古屋を拠点にする男性アイドルグループ、BOYS AND MENの弟分、BOYS AND MEN研究生の選抜メンバーにより結成されたグループ。CD販売数2位でしたが、PCによるCD読取数39位、Twitterつぶやき数61位という結果になっています。

結果、ジャニーズ系が1位を制したわけですが、オリコンチャートによるCDの初動売上はオリコン1位のSexy Zone16万5千枚に対してオリコン2位の祭nine.は12万6千枚とさほど差はありません。昔はジャニーズ系以外の男性アイドルグループは遅かれ早かれジャニーズ系によって潰されるといわれたものですが、その時代からすると隔世の感があります。ただし、Hot100のCD販売数以外の順位を見る限りは、まだ両者の人気に差はありそうですが。

ちなみにSexy Zoneは前作「イノセントデイズ」の初動14万8千枚(1位)からダウン。祭nine.は前作「HARE晴れカーニバル」の初動10万2千枚(1位)からアップしています。

3位はEXILEの弟分的ユニットFANTASTICS from EXILE TRIBE「OVER DRIVE」が初登場でランクイン。本作がデビュー作ですが、軽快でポップなEDMチューンとなっており、EXILE系の中ではアイドルテイストが強い印象のグループ。CD販売数3位、ダウンロード数32位、ストリーミング数20位、ラジオオンエア数5位、PCによるCD読取数14位、Twitterつぶやき数31位を記録しています。オリコンでは初動9万3千枚で3位初登場。

続いて4位以下の初登場曲です。まず4位に女性アイドルグループBiSH「stereo future」がランクイン。CD販売数4位、ダウンロード数84位、ラジオオンエア数2位、PCによるCD読取数16位、Twitterつぶやき数40位を記録。オリコンでは初動売上5万7千枚で4位初登場。前作「NON TiE-UP」の7千枚(12位)からアップしています。

今週の初登場組はもう1曲。10位にさユり×MY FIRST STORY「レイメイ」が初登場。テレビアニメ「ゴールデンカムイ」オープニングテーマ。「2.5次元パラレルシンガーソングライター"酸欠少女"」と名乗る中2病全開の女性シンガーと男性ロックバンドによるコラボシングル。楽曲的には比較的シンプルでJ-POP色の強いギターロックといった印象で、両者の「J-POP」っぽい部分を抽出したようなイメージ。CD販売数7位に対してダウンロード数5位と上回っており、比較的幅広い層からの人気を伺わせます。ほかにPCによるCD読取数10位、Twitterつぶやき数37位を獲得。オリコンでは初動1万2千枚で7位初登場。さユりとしては前作「月と花束」の1万3千枚(10位)から若干のダウン。一方、MY FIRST STORYは前作「ACCIDENT」の6千枚(15位)から大幅に売上を伸ばし、シングルでは初のベスト10ヒットとなりました。

また今週は返り咲き組も1曲。Uru「プロローグ」が先週の11位から8位にランクアップ。5週ぶりにベスト10に返り咲いています。いろいろな意味で話題となったTBS系ドラマ「中学聖日記」主題歌。11月12日付チャートで10位に初登場した後、14位→14位→13位→11位と推移しており、ロングヒットの傾向にあります。CD販売数は12位に留まっているものの、ダウンロード数では2位を記録。このダウンロード数がロングヒットの大きな要因となっているようです。

ほかにロングヒット曲では米津玄師「Lemon」が2位から5位にダウン。ただし、ダウンロード数3位、PCによるCD読取数7位、You Tube再生回数2位、カラオケ歌唱数1位とまだまだ高い順位をキープしています。ちなみに米津玄師は「Flamingo」も今週7位にランクインしており、6週目のベスト10入りを記録しておりロングヒットの傾向に。特にダウンロード数が1位を記録しているほか、PCによるCD読取数も2位、You Tube再生回数3位と上位にランクインしており、まだまだヒットは続きそう。

一方DA PUMP「U.S.A.」も今週は3位から6位にダウン。ただYou Tube再生回数は1位をキープ。カラオケ歌唱数及びストリーミング数は2位、ダウンロード数は6位をキープしており、こちらもまだまだロングヒットは続きそうです。

今週のHot100は以上。アルバムチャートはまた明日更新予定!

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2018年12月12日 (水)

ネタ満載の濃ゆい3時間

レキシTOUR2018 まんま日本ムキシばなし

会場 名古屋国際会議場センチュリーホール 日時 2018年11月29日(木)18:30~

その高いエンタテイメント性が評判となり、ライブツアーを行う毎にどんどん人気が増し、会場も大きくなってきた、池田貴史のソロプロジェクト、レキシ。ついに彼のワンマンライブにはじめて足を運ぶことが出来ました。会場はセンチュリーホールという大箱。そしてもちろんソールドアウトでした。

Rekisi_2

ライブは定時、18時半ちょうどに会場が暗くなります。するとステージ後ろのモニターに、いきなり往年の名アニメ「まんが日本昔ばなし」のタイトルで「稲穂の神様」の文字が。さらに池ちゃん本人が主演の「昔ばなし」風のコメディーがスタートします。

物語は池ちゃん扮する農民の吾作が日照りに苦しむシーンからスタート。裏山の祠にお参りをすると、なんと稲穂の神様が登場。この神様が扮するのはなんとロバート秋山という豪華キャスト(笑)。神様曰く、「おもしろいものが見たい」ということで、「じゃあライブを見せましょう」という流れでライブがスタート。さらにここで「まんが日本昔ばなし」のオープニングのパロディー映像が流れ、そしてメンバー登場となりました。

1曲目はいきなり最新アルバム「ムキシ」の先行シングルでもあった「SEGODON」からスタート。まんま産業ロック調のダイナミックなナンバーで序盤からアゲアゲでスタートです。途中のサビではいきなり観客とのコールアンドレスポンズも。しかしここでなぜか「SEGODON」のサビに混じり、HOUND DOGの「ff」の「愛がすべてさ いまこそ歌うよ~♪」と歌わせ、なぜか会場は大盛り上がりでした。

このいきなりラストのような盛り上がりで、この曲が終わると「それではみなさんさようなら~!」とまるでライブが終わるかのような振りを・・・もちろんそれは「ネタ」でその後もライブは続行。そのまま「なごん」へと続き、序盤から一気に盛り上がっていきます。

そんな訳で序盤からいきなり大盛り上がりの中でスタートしたレキシのライブ。対バン形式でのライブは以前見たことあったのですがワンマンは今回初体験。評判は聴いていたのですが、一言で言うと非常に濃いライブでした。とにかく1曲毎に「ネタ」が満載のステージ。さらっと原曲通り歌ってお終いという曲はほとんどなく、バンドメンバーと共にこれでもかというほどの様々なネタを繰り広げていく、まさに捧腹絶倒のステージになっていました。

続く「年貢for you」ではなぜか途中から懐かしのJ-POPを池ちゃんみずから歌い始めます。名古屋ということで名古屋出身のミュージシャンを会場に募ったところ、なぜかまずマツケンの声が・・・(出身は豊橋ですが・・・)。さらにスキマスイッチも。スキマスイッチについては常田真太郎について「勝手にアフロをやめやがって。アフロ界の裏切り者です」とコメントしていました(笑)。

さらに懐かしいアルバムからの曲ということで1stアルバム「レキシ」から「Let's忍者」、そして2ndアルバム「レキツ」から「ペリーダンシング」へ。この「ペリーダンシング」では最後は懐かしい武富士のCMソングへと突入。最後は池ちゃんがCMのようなエビぞりのポーズをかなり無理目に決めて終了、というオチになりました。

この曲の最後ではステージ上に突然イルカの浮き輪が登場し、「KMTR645」へ。この曲、毎回、観客席の上を大きなイルカの浮き輪が舞うことがライブの定番らしく、この日もイルカの浮き輪が1階席で舞っていました。ちなみにこの曲、大化の改新をネタとした曲で、最初なんでイルカの浮き輪?と思ったのですが・・・ああ、蘇我入鹿ね(^^;;

さらに「墾田永年私財法」「SHIKIBU」さらに「GET A NOTE」と続き、まずは前半戦が終了。メンバーが一度ステージから去ると、また映像が流れます。今度も「まんが日本昔ばなし」のパロディーで「鶴の恩返し」。最後は池ちゃんが扮する「鶴」が大空へ去っていくと、まるで紅白の小林幸子を彷彿とさせるような、大きな鶴の羽根を背負ったようなド派手な衣装の池ちゃんが登場。「SAKOKU」へと突入します。ちなみにこの曲、原曲では後半、オシャレオキシこと上原ひろみのピアノソロのシーンがあり、この日のバンドメンバー、ピアノの元気出せ!遣唐使こと渡和久が立ち上がったり、後ろ手にピアノを弾いたりするパフォーマンスを披露し、会場を盛り上げた・・・かと思えばいきなりピアノが鳴っているにも関わらずピアノを離れ踊り出すという「弾いてなかったんかい!」というオチへ。ただ池ちゃんから突っ込みが入った後は、オシャレキシのパートも実際にピアノを弾いて見せていましたが(笑)。

ライブは終盤に「KATOKU」そしてライブでは定番の「きらきら武士」に。会場ではミラーボールがまわり、即席のダンスホールに早変わり。会場全体で大盛り上がりの中、とりあえずは本編が終了です。

ただ本編が終了すると同時に映像がスタート。また最初の「稲穂の神様」の続きが。「かなり楽しいんだけど、もうちょっと」という神様のリクエストに応じてアンコールが(アンコールの拍手は起こっていないんですが(^^;;)スタートしました。

アンコール第1弾は池ちゃんが石川五右衛門の格好に扮して「GOEMON」からスタート。そしてラストはライブの定番曲「狩りから稲作へ」へと流れ込みます。ライブグッズとして「稲穂」が売られているのですが、会場のファンの多くがこの「稲穂」を取り出して歌に合わせてゆらすというなかなかシュールな光景に。最後も「たかゆかしき~♪」というフレーズで盛り上がると、途中からいきなり「劇団四季~♪」に変わり、最後は「劇団四季~キャッツ!」というライブの定番(らしい)ネタへと続きます。

ちなみにこの曲の途中では「名古屋のみなさんは一生懸命盛り上がっていますね。飛ばされまいと必死なんでしょう!」というまさかの名古屋飛ばしのネタが(笑)(名古屋飛ばし・・・ライブツアーで東京大阪のみ、あるいは東京大阪福岡など名古屋がはずされること。国内ミュージシャンではさすがに少ないのですが、外タレではよくあるケースでそのたびに名古屋人としては悔しい思いをします・・・)まさかローカルネタの名古屋飛ばしを知っているとは(笑)。ただその後、「レキシは名古屋を飛ばしません!」といううれしい話に会場は盛り上がり、最後は「縄文式、弥生式、どっちも好き~♪」のフレーズで「名古屋が好き~♪」と歌い、会場は大盛り上がりの中、アンコールは一度終了となります。

しかしその後は再び映像が流れます。これはある程度予想していたのですが、「まんが日本昔ばなし」のエンディング「人間っていいな」のパロディー。ただ、最後、「いいないいな、人間っていいな~♪」からいきなり「稲、INA、I.N.A.」と続き、まさかのDA PUMP「U.S.A.」ならぬ「I.N.A.」でPVのパロディー映像へ!この予想外の展開には腹を抱えて笑いました。

そして、この「I.N.A.」が流れる中、メンバーが再登場。全員、「U.S.A.」のダサカッコいいコスチューンで登場。1人1人メンバー紹介がされ、最後はステージ上みんなで「U.S.A.」の「カモンベイビーアメリカ」を踊りました。この、この日一番受けたネタから最後はバラード曲「マイ会津」へ。最後はしんみりとバラードナンバーで締めくくりライブは終了。全員がステージ前であいさつし、ピッタリ3時間、長丁場のライブが幕を閉じました。

そんな訳で3時間にも及ぶライブだったのですが、曲数はわずか15曲。要するに1曲1曲ネタ満載のため長くなるんですよね。ただそれだけ非常に濃い内容のステージで、長丁場にも関わらず、あっという間のステージでした。

そしてこのネタが、バンドメンバーも巻き込んで笑える、そしてよく考えられているネタの連続で最初から最後まで笑いの絶えないステージ。もう文句なしに楽しかったです。最初にも書いた通り彼のステージはそのネタの楽しさから、どんどんと観客動員が増えているのですが、その理由も納得。確かにこれは一度見たら2度3度みたくなるし、曲を全く知らなくても楽しめるわ。上で書いたネタ以外にもたくさん笑えるネタを見せてくれましたし、私のつたない文章ではなかなか伝わらないでしょうが、本当にエンタテイメント性あふれる楽しいステージを見せてくれました。これは次回のライブも絶対に足を運ばなくてはいけませんね!心から満足して会場を後にすることが出来た、素晴らしいステージでした。

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2018年12月11日 (火)

波乱万丈な生涯

先日、Queenの伝記映画「ボヘミアン・ラプソディー」を見てきたばかりですが、それに続き、またも音楽映画を見てきました。ただし今度の映画は「ボヘミアン・ラプソディー」のような「事実を基にした物語」ではなく、ドキュメンタリー映画。「エリック・クラプトン~12小節の人生」を見てきました。

今回のドキュメンタリーはタイトル通り、エリック・クラプトンの人生を追いかけた映画。貴重な映像や関係者のインタビューにより映画が展開していく形での構成になっています。特に映像に関しては、例えばマディ・ウォーターズのライブ映像や、アレサ・フランクリンのレコーディング風景などかなり貴重な映像も収められており、興味深く見ることが出来ます。インタビューに関しては、今回の映画にあわせて収録されたものだけではなく、過去のインタビュー音源もピックアップされており、既に鬼籍に入った人の貴重な証言も収められています。こちらも映像の内容とあわせて興味深く聴くことが出来ました。

Clapton_2

今回の映画のサブタイトルに登場する「12小節」とは、クラプトンが大きな影響を受けたブルースで一般的な形式のこと。そのため、特に映画の前半では彼とブルースの関わりから、マディ・ウォーターズやB.B.KINGなどのブルースの巨人が次々と登場。ブルースが好きな身としてはかなりうれしい映像、証言の連続でした。また、彼の音楽経歴上、「ロックの歴史」に寄り添うような活動となっているため、特に前半は「ロック史」に関してのドキュメンタリーを見ているような感じにもなってきます。

またクラプトンといえば親友ジョージ・ハリスンの妻、パティ・ボイドに対する横恋慕に関するエピソードが非常に有名で、今回の映画でもその話にかなりの時間を割いているのですが、このエピソードに関して、クラプトンとパティ本人の証言が聴けるのがかなり貴重。少々生々しいような話すらあるし、ネタ的には「音楽」というよりもゴシップ的な話なのですが、とても興味深く、ここらへんのエピソードはまさに下世話ながらものめり込むのように聴いてしまいました。

しかしクラプトンといえば、このパティとのエピソードもそうですが、祖父母を「両親」だとして育てられた幼少期からスタートし、アルコール依存に息子の突然の事故死と、ひとつひとつのエピソードは非常に有名な話ばかりなのですが、こうやってドキュメンタリーとして物語的に並べて紹介されると、彼の人生は実に波乱万丈だったんだな、ということが実感させられます。

正直言うと、クラプトンについては個人的には好きでも嫌いでもないミュージシャンという印象。また、このドキュメンタリー映画の評価もさほど高いものではなかったため、当初はさほど期待していませんでした。ただ、実際に見てみると、その貴重な映像や証言の数々、そして彼の波乱万丈な人生の物語にすっかり見入ってしまい、予想以上に楽しめ、またクラプトンのことが好きになりました。映画の長さもあって、いろいろと省略されてしまった部分もあったようですが、それを差し引いても非常に興味深く楽しめた映画。とても満足した2時間でした。

以下、ネタバレの感想

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2018年12月10日 (月)

J-POP史に残るバンド

Title:BEST MONCHY1-Listening-
Musician:チャットモンチー

今年7月、惜しまれつつその活動を「完結」させたロックバンド、チャットモンチー。その突然の解散に多くのファンが衝撃を受けたと思います。本作はそんな彼女たちが解散後リリースしたオールタイムベスト。彼女たちの代表曲が発表順に収録されているほか、Disc3ではレア音源も収録されている、彼女たちの活動を総括するようなベスト盤となっています。

さてこのチャットモンチーというバンド、個人的には間違いなくJ-POP史に名前を残すレジェンド的なバンドだと思っています。その理由はトリビュートアルバムの感想でも書いたのですが、彼女たちが、数多くのガールズバンドを生み出す先駆け的存在であったため。もちろんチャットモンチーの前にも多くの女性オンリーのバンドはありました。ただ、同じくガールズバンドの代表格であるプリンセスプリンセスなどはあまりにポップス色が強すぎてフォロワー的なバンドはほとんど現れませんでしたし、逆に少年ナイフやZELDA、メスカリンドライブなどはある意味サブカル色が強すぎて、ガールズバンド登場の大きな契機とはなりませんでした。

しかし彼女たちの場合はロックバンドとしてのカッコよさを持ちつつ、同時にヒットチャートで戦えるポピュラリティーも持っており、結果として多くの女性たちに「女の子だけでバンドが出来るんだ」ということを知らしめるきっかけになったと思います。そして、彼女たちのブレイク以降、ねごと、SHISHAMO、yonige、赤い公園、the peggies、CHAI(CHAIはどちらかというと少年ナイフやZELDAからの流れかもしれませんが)などのガールズバンドが登場しました。そういう意味でチャットモンチーというバンドはJ-POP史に大きな痕跡を残したバンドだったと思っています。

そして今回のベスト盤を聴くと、あらためてチャットモンチーというバンドはいろいろな意味でバランスの取れたバンドだな、ということに気が付かされました。楽曲的にロックバンドとしてのカッコよさとポップミュージックとしてのポピュラリティーのバランスの良さはもちろんですし、例えば歌詞の世界にしても男性陣にとっては「かわいらしい」と感じさせるような女の子像を描きつつも、女の子としての等身大の本音をきちんと描いており、この「かわいらしさ」には男性陣に媚びたようないやらしさは感じられません。ここらへんの歌詞の世界観もチャットモンチーというミュージシャンが幅広く支持を集める大きな要因ではないでしょうか。また、ちょっといやらしい話かもしれませんが、彼女たちルックスも、嫌味のない程度にほどよくかわいく、そういう点でも男女ともに広く支持を広げる要因のように思います。

もっともそんな彼女たちも今回のベスト盤を聴く限り、解散の理由として出来ることをやりつくしたという理由が非常に強く納得できる内容になっていました。特に高橋久美子脱退後、2人組になってからは、2人だけでアルバムを作ったり、逆にサポートメンバーを入れてきたり、さらにラストアルバムでは打ち込みを入れてきたりと、様々な作風に挑戦してきました。そしてその結果、この2人だけで出来ることはほぼやりつくした、と感じたのではないでしょうか。今回の解散という話は非常に残念ではありますが、一方でこのベスト盤を聴くと、解散という結論を出したことになんとなく納得がいく感もありました。

そんな訳で、チャットモンチー解散は非常に残念ではあるものの、一方ではどこか「仕方なかったかな」という感想も抱くベストアルバム。おそらくこれからも2人は音楽活動を続けるでしょうが、これからの活躍も楽しみ。これからさらなる飛躍を遂げるであろう彼女たちの今後を心から応援したいと思います。

評価:★★★★★

チャットモンチー 過去の作品
生命力
告白
表情
Awa Come
YOU MORE
チャットモンチーBEST~2005-2011~
変身
共鳴
誕生


ほかに聴いたアルバム

What A Wonderful World/堀込泰行

フルアルバムでは2枚目となる元キリンジ、堀込泰行のニューアルバム。基本的にはキリンジ時代からほとんど変わらないスタイルのシティポップ。「泥棒役者」のような、彼らしいユニークな言葉の使い方をしている楽曲もあり、ファンなら満足できそうな楽曲が並びます。前作「One」ではヘナヘナしたボーカルが気にかかり、今回のアルバムでも正直、キリンジ時代と比べると声が出ていないような印象は受けましたが、前作ほどは気にならず、そういう意味では改善傾向といった感じでしょうか。アルバム全体としては目新しさは感じませんが、彼らしいポップソングで卒なくまとめられている印象が。聴いていて心地よさを感じる良質なポップアルバムでした。

評価:★★★★★

堀込泰行 過去の作品
River(馬の骨)
"CHOICE" BY 堀込泰行
One
GOOD VIBRATIONS

THE PENDULUM/降谷建志

Dragon Ashのボーカリスト降谷建志の2枚目となるソロアルバム。ピアノやストリングスを入れて叙情感を増したサウンドが前作よりも前面に出ているものの、基本的には物悲し気な歌がメインとなるアルバム。彼のメロディーセンスをこれでもかというほど生かしたような美しいナンバーがメインとなっており、前作同様、繊細さと力強さを同居させた、彼らしいソロアルバムになっていました。

評価:★★★★

降谷建志 過去の作品
Everything Becomes The Music

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2018年12月 9日 (日)

スターの孤独を描いた話題作

話題の映画「ボヘミアンラプソディー」を見てきました。

ご存知80年代から90年代にかけて一世を風靡し、日本でも絶大な人気を誇るロックバンドQUEENの軌跡を追った映画。この手の音楽映画としては珍しく大ヒットを記録。日本でも興行収入で週間1位を獲得するなど、異例の大ヒットとなっています。

実は私自身、QUEENについては名盤の誉れ高い「オペラ座の夜」やベスト盤を聴いている程度であり、正直言ってさほど思い入れの深いミュージシャンではありません。ただ、映画は前評判から非常に高かったため、これは見てみなくては、と映画館に足を運びました。

そんな訳でQUEEN自体に対しては比較的ニュートラルな立場から映画を見てみたのですが・・・まず一言で言ってしまえば非常におもしろい映画でした。一応、宣伝文句的には「QUEENの伝記映画」的なプロモーションをされています。事実、QUEENの結成からその後の活躍、さらには数々のQUEENの名曲の誕生秘話的なエピソードも多く紹介しています。さらに一番のクライマックスは終盤21分に及ぶ1985年に行われたチャリティーイベント「LIVE AID」でのQUEENのステージの完全再現。かなり細かい部分までこだわったというその映像は、まるで本当にQUEENのステージを体験しているかのよう。特に映画館の大スクリーンと音響で見ると、迫力ある演奏でグイグイと迫ってきて、21分にも及ぶシーンはひと時も目が離せません。

ただ、この映画で描かれている本題はおそらく「QUEENの伝記」ではありません。映画の中心となるのはボーカル、フレディー・マーキュリーの孤独と苦悩、そしてその後の仲間や家族たちとの和解がメイン。そのため、事実とは異なるような展開があり、その点、熱心なファンからはマイナス評価されているようですが、しかし、映画で何を描きたかったのか、を考えると、そんな異なった事実の描写も十分納得感のあるものでした。

また「フレディーの孤独と苦悩」という映画のテーマがはっきりしていたこともあって、映画全体としての流れもスムーズになっていたように感じます。結果、QUEENの、というよりもフレディーの物語を楽しみつつ、QUEENの音楽も楽しめる、そんなエンタテイメント性あふれる傑作に仕上がっていました。この手の伝記モノとしては異例の大ヒットとなっているのも納得の作品です。 また、そんな訳で、映画と共に大ヒットを記録しているサントラ盤ももちろん聴いてみました。

Title:Bohemian Rhapsody(The Original Soundtrack)
Musician:QUEEN

ちなみにこのサントラ盤、最初聴いたのは映画に行く前。もちろんその時も楽しめましたが、映画を見た後、断然、再度聴いてみたくなりました。

今回のサントラはQUEENの代表曲が収録されているのですが「ベスト盤」というよりもサントラなので当たり前ですが映画の内容に沿ったセレクトがされています。それなので映画を見る前に聴くと、ベスト盤的な内容ではないため違和感を覚える部分もあるかもしれませんが、映画を見た後だといろいろなシーンを思い起こして、胸が熱くなるような、そんなサントラでした。

特に今回のアルバムで目玉的なのが映画でクライマックスだった「Live Aid」。このライブの音源が5トラック収録されており、まさに映画を見た後だとあのシーンと重ね合わせて音源を楽しめるのではないでしょうか。

QUEENの曲は全体的にインパクトあるフレーズが含まれており、ある意味ちょっとベタとも言えるもののダイナミックな楽曲の構成は聴いていて非常に高揚感を覚えます。個人的には若干過剰と思える部分もあるのですが、ただこの高揚感がQUEENの大きな魅力ですし、映画でもこの楽曲の高揚感とフレディーの孤独が良い対比になっていたように思います。

本作単体でもQUEENのベスト盤的に楽しめますし、それ以上にやはりサントラとして映画を見た後に聴くと、さらに魅力的に感じられるアルバムだったと思います。QUEENのファンでもそうでない方も、映画を見ていても見ていなくても、チェックしておきたいサントラ盤です。

評価:★★★★★

以下、ネタバレの感想です。

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2018年12月 8日 (土)

3人のSSWの違いと共通項が上手く反映

Title:boygenius
Musician:boygenius

今回紹介するアルバムはアメリカの女性シンガーソングライターPhoebe Bridgers, Julien Baker, Lucy Dacusの3人が集まったニュープロジェクト。今回、そのプロジェクトの初になる6曲入りEPがリリースされました。すいません、こう書いておいて何なのですが、実は3人とも初耳のミュージシャンばかり。その3人が集まった、と言われてもいまひとつピンと来ませんでした。

そんなこともあって今回、この3人の女性シンガーの曲についてYou Tubeなどであらためて聴いてみました。印象としてはPhoebe Bridgersはギターサウンドをバックにしたフォークロック、Julien Bakerは美しい歌声をアコースティックなサウンドにのせて幻想的な雰囲気に聴かせるポップシンガー、Lucy Dacusはギターサウンドをバックに大人な雰囲気のボーカルでメロディアスに聴かせるシンガーといった印象。

3人のソロを聴くとタイプ的には微妙に異なる3人ですが、ただ一方では同じような方向性も感じられます。まず3人ともフォークからの影響を感じる美しいメロディーラインで聴かせるポップチューンがメインという点。また3人ともボーカルを美しく聴かせる楽曲を奏でているという点でも共通項でしょう。

そんな3人が組んだプロジェクトだからこそ、3人の音楽性の異なる点をうまく生かしつつ、3人の共通項をしっかりと聴かせる、この手のユニットらしいアルバムがリリースされました。まず1曲目「Bite The Hand」はダウナーなギターサウンドを前に出したローファイ気味なギターロック。ノイジーなギターが耳に残る一方、メロディーは至ってポップにまとめていますし、3人によるハーモニーも実に美しくまとまっています。

続く「Me&My Dog」も3人の美しいハーモニーが強く耳に残るナンバー。バックにはノイジーなギターが流れ、幻想的で美しいポップチューンに仕上がっています。ここから一転「Souvenir」はアコースティックギターとピアノで聴かせるフォーキーなナンバー。ただ美しいメロディーとコーラスラインは1、2曲目から変わりません。さらに「Stay Down」もピアノの力強い演奏をバックに美しい歌声でメロディアスに聴かせる曲調。フォークテイストが強い作風なのですが、根底に流れる音楽性は大きな変化はないため、アルバムの流れの中で自然に聴くことができます。

さらに「Salt In The Wound」も再びギターサウンドが前に出てきたロッキンなアレンジとなっていますが、こちらもミディアムテンポでメロディーを聴かせるナンバー。途中から登場する3人のハーモニーの美しさが特に耳を惹きます。そしてラスト「Ketchum,ID」はアコースティックギターをバックで3人で美しいハーモニーを聴かせるフォークソング。プライベイトな雰囲気の強い録音状況となっており、3人の息の合ったコーラスがとても魅力的に仕上げています。

そんな訳で、3人の音楽性の違いと共通項をうまく利用した完成度の高いアルバムに仕上がっていました。3人のフォーキーなサウンドと美しいメロディーライン、そしてなにより息の合ったハーモニーが耳を惹く素敵なポップチューンが並んでいます。3人とも残念ながら日本ではさほど知名度が高くなく、私もいままで一度も聴いたことがなかったのですが、これを機に、ソロ作も聴いてみたいなぁ。とにかく、ポップス、とくにフォークロックあたりが好きならはまること間違いなしの傑作です。

評価:★★★★★


ほかに聴いたアルバム

Natural Rebel/Richard Ashcroft

元The Verveのボーカリスト、Richard Ashcroftによるソロ5作目のアルバム。イギリス出身の彼ですが、いままでのソロアルバムはイギリスというよりもアメリカのロックの影響を色濃く感じたのですが、本作もカントリーの要素を入れつつ、いなたい感じのロックチューンに、アメリカのカントリーロックからの影響を色濃く感じます。渋い雰囲気の強い大人のロックアルバムといった印象を受けた1枚でした。

評価:★★★★

RICHARD ASHCROFT 過去の作品
THE UNITED NATIONS OF SOUND(RPA&THE UNITED NATIONS OF SOUND)
THESE PEOPLE

A Star Is Born Soundtrack(邦題 アリー/ スター誕生 サウンドトラック)/Lady Gaga & Bradley Cooper

Lady Gaga主演ということで日本でも話題の映画「アリー/ スター誕生」のサウンドトラック。楽曲的にはどちらかというとLady Gagaと共に主演を務めた俳優、Bradley Cooper歌唱による曲が多いのですが、圧巻なのは特に後半に並ぶLady Gagaによる曲。その歌唱力、表現力ともに圧倒するものがあり、Lady Gagaって、こんなに歌が上手かったんだ・・・とあらためて実感させられます。Bradley Cooperもなかなか健闘はしているのですが、ちょっと物足りなかったかな。

評価:★★★★

LADY GAGA 過去の作品
The Fame
BORN THIS WAY
ARTPOP
Cheek to Cheek(Tony Bennett & Lady Gaga)
Joanna

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2018年12月 7日 (金)

アラフォー世代に懐かしいセットリストがうれしい

BON JOVI THIS HOUSE IS NOT FOR SALE 2018 TOUR

会場 京セラドーム大阪 日時 2018年11月27日(火)19:00~

日本でも高い人気を誇るロックバンドBON JOVI。その約5年ぶりとなる来日公演を見に行きました。会場は京セラドーム大阪。わざわざBON JOVIを見に大阪まで・・・ではなく、実は仕事の都合で大阪出張があり、夜、時間があいたので、何かライブでもあれば、と思い調べてみたら、ちょうどBON JOVIの大阪公演が行われている、と知り、以前から1度くらいは見ておきたいと思っていたため、足を運んでみることにしました。

そんな訳で、初となる京セラドーム大阪。思いっきり街中の、それもオフィス街の中にあらわれるドームの風景はちょっと異様ですらありました(^^;;

Bonjovi1

今回は東京ドームと大阪ドームでの2公演ということですが、残念ながら大阪ドームの人の入りは「満員」からは程遠いもの。アリーナ席もスタンド席もスカスカで、沢田研二なら怒って帰りそうなレベル(笑)。平日だからってこともあったのでしょうが・・・おそらくアリーナレベルまで十分に埋めれそうなんでしょうけどね。ただファン層はやはり30代40代と私と同じくくらいの世代がメインながらもそれよりも若いファンもいたりして、それなりに幅広く広がっている感じ。そういう意味ではいい意味でいまだに広く人気が浸透している感もありました。

さて、ライブは外タレとしては珍しく19時ピッタリにスタート。最初は正面スクリーンに大きな日の丸が登場したかと思うと、日の丸から白い2本のたすきのような筋が下りてきて、その「たすき」が日本の高速道路に降り立ち、その後高速道路を走り回り、会場に到着しライブがスタート・・・というオープニングになっていました。

そしてメンバーが登場。Jon Bon Joviは今年56歳・・・なのですが、まだまだ若々しい!まずは最新アルバム「This House Is Not For Sale」からタイトルナンバーの「This House Is Not For Sale」「Knockout」からスタートします。

私はスタンド席の後ろのほうで、比較的まったりしながら見ていたのですが、3曲目に彼らの代表曲のひとつ「You Give Love a Bad Name」に入った時は私のテンションも一気に上がりました。思わず一緒に口ずさんでしまうようなわかりやすいメロディーラインとぶっといバンドサウンドに彼らの魅力を感じます。

その後は比較的「Lost Highway」のような比較的最近の曲や、「Roller Coaster」のような最新アルバムの曲が展開。そして後半になるにつれ懐かしい曲が増えてきます。「Born to Be My Baby」や、「It's My Life」など非常に懐かしく感じつつ、その演奏に聴き入ります。ただ、残念ながら「It's My Life」の高音部など、声が出ておらず、かなり厳しそうな感じでしたが・・・。

終盤にも「Keep the Faith」「Bed of Roses」など、アラフォー世代にとっては感涙モノの懐かしいナンバーの連発。最後も「Lay Your Hands on Me」「I'll Sleep When I'm Dead」など昔の曲が続き、ラストはモニターの映像も赤十字の形になり、バックの映像にはなまめかしい看護婦さんらしき映像が流れつつ「Bad Medicine」へ。これまたおなじみの代表曲で私のテンションも一気にあがり、ライブは終了となりました。

Bonjovi2

その後はもちろんアンコールへ。比較的早いタイミングで再びメンバーが登場し、アンコールも「In These Arms」「Someday I'll Be Satureday Night」「Wanted Dead or Alive」と懐かしいナンバーの連続。そして最後の最後に、出ました!この日一番聴きたかった、個人的にBON JOVIで一番大好きな「Livin'on a Prayer」。これまた最後の最後でテンションあがりまくります。個人的にはこの曲を聴けただけでもライブに来れてよかった(笑)とすら思いました。

Bonjovi3

↑全員がステージ上に並んだこの日のラストシーン

そんな訳でライブは2時間15分程度。最後は大盛り上がりの中で終了しました。ライブの構成としては前半は最新アルバムからの曲、比較的最近の曲をとりあえず演っておいて、後半はおそらく多くのファンが聴きたがるような懐かしいナンバーを一気に繰り広げる・・・そんな、良くも悪くもベテランらしい構成になっていました。

ステージの方はかなりシンプルで、メンバーが淡々と演奏するのみといった感じのステージ。特になにかギミック的なものを見せるわけでもなく、大掛かりな仕掛けがある訳でもなく、そういう意味では非常にシンプルなステージだったと思います。

演奏の方はこちらも良くも悪くも非常に安定感あるステージ。途中、ギターの早引きソロが入るなど、「いかにも」な聴かせどころはあるものの、全体的には無難な印象にとどまるステージだったと思います。ただ、ちょっと残念だったのはJon Bon Joviの声がお世辞にも出ているとはいいがたく、上にも書いた通り、「It's My Life」も声が出ていませんでしたし、ラストの「Livin'on A Prayer」もサビの部分を観客に歌わせるなど、若干厳しい部分がありました。

まあそういった点を差し引いても、個人的には懐かしい曲をたくさん聴けたし、なによりもおそらくバンド側がそういった昔のファンを意識した、「はずさない」選曲になっていたので、(「ALWAYS」とか「RUNAWAY」が聴けなかったのは残念でしたが)懐メロ的な意味で十分満足できるステージだったと思います。

さすがにS席1万5千円というチケット代金はちょっとお高いのでさすがに次、行くかどうかは微妙なのですが・・・とりあえず1度は見てみたかったBON JOVIのステージに満足して会場を後にしました。

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2018年12月 6日 (木)

一時代を築いたプロデューサーの総括的コンピ

今年1月、不倫疑惑報道から突然の引退を表明し、シーンに衝撃を与えた小室哲哉。ご存じの通り、90年代後半に彼がプロデュースしたミュージシャンが続々と大ヒットを記録し、J-POPシーンに大きな痕跡を残しました。その彼がプロデュースを手掛けた数多くの楽曲の中から選りすぐりの曲を集めたコンピレーションアルバムがリリースされました。

Title:TETSUYA KOMURO ARCHIVES "T"

Title:TETSUYA KOMURO ARCHIVES "K"

それぞれ4枚組ずつ計8枚100曲にも及ぶボリューム感満点のコンピレーションアルバム。まだTM NETWORKとして活動する以前のSPEEDWAY時代の曲や、その時代に提供した数少ないナンバー「愛しのリナ」から、小室哲哉の名前が一躍知れ渡った「My Revolution」や、渡辺美里、TM NETWORKの曲、そしてご存じ小室ファミリーと呼ばれた安室奈美恵、TRF、華原朋美、hitomi、globeなどの小室系ブーム時代の大ヒット曲、さらに低迷期、詐欺事件を経てリリースされた2010年代の作品群など、最初期から最近の楽曲まで、まさに小室哲哉の作品を網羅的に収録したアルバムになっています。

まとめて聴くとそれぞれ約4時間、計8時間にも及ぶ長さ。まさにたっぷりと小室哲哉の曲を聴くことが出来ます。そして彼の曲を聴くとあらためて思うのですが、プロデューサーとしても数多くの曲を提供してきた彼ですが、どちらかというと職人肌というよりも天才タイプであることを強く感じます。

これは以前からよくわかっていたことなのですが、小室作品は一度聴くとすぐに彼の作品だとわかる手癖が非常に強くついています。具体的に言えば、ピアノで言うところの黒鍵を多用したフレーズ、サビでの転調、同じ音の連打を多用したメロディーなど、小室哲哉の熱心なファンでなくてもおそらくは「これは小室哲哉の曲だ」とすぐわかるよな傾向が彼の作品では非常に強く見て取れます。

例えば同じく数多くの楽曲提供を行っている筒美京平やつんく♂はよくよく聴くと音楽性の方向性はわかるのですが、パッと聴いた感じだと彼らならではの手癖はあまり強くなく、完全に裏方として徹しています。そういう意味では彼らは「職人肌」タイプと言えるでしょう。しかし一方、小室哲哉の楽曲はどんな曲だろうと彼の曲にはぬぐいきれない彼の癖が残っています。そういう意味で彼はまさに職人というよりも天才肌。だからこそ小室哲哉の楽曲が一時期、大いに時代にマッチして一時代を築いたのでしょうし、また同時にあっという間に飽きられて一気にブームが去って行ったのでしょう。

実は最近、この「小室らしい」と言われることを彼自身が嫌がっているということを知りました。うーん、しかし、彼の場合、どうしてもぬぐいきれない小室らしさが楽曲にビッシリとこびりついているんですよね・・・。彼自身もそれをよくわかっているからこそ、そういう発言に至ったのかもしれませんが・・・ある意味、天才ゆえのジレンマといったところなのでしょうか。

さてそんな彼の仕事の総括ともいえる今回のコンピレーションアルバム。大ヒットしたナンバーが数多く収録されている一方、出来るだけ数多くのシンガーの曲を収録したそうで、結果として思ったより小室系ブームの時代の曲が少なく、一方で最近の曲が比較的多い内容となっていました。

その収録曲の方向性としてはわからないこともないのですが・・・正直言うと、さほどヒットしておらず、曲の出来としてもいまひとつな2010年代の曲が多すぎるような印象を受けます。一方で小室系ブームの時代のヒット曲ってもっとあったんじゃない?と思いつつ、あらためて当時のヒット曲を考えると、確かにそれなりには網羅されている選曲になっており、あらためて小室系ブームがいかに瞬間最大風速的に吹き荒れたということを実感させられます。

ただ、例えば安室奈美恵の「Chase The Chance」、trfの「寒い夜だから・・・」、華原朋美の「keep yourself alive」などが未収録となっており、もうちょっと小室系ブームの頃の大ヒット曲が収録されていてもよかったのでは?とも思います。全体的にちょっと2010年代の作品が多すぎ、HIKAKIN&SEIKIN「YouTubeテーマソング」やらAOAの「WOW WAR TONIGHT~時には起こせよムーヴメント girls ver.」とか、これ、曲の出来を含めて収録する必要あったのか?とも思ってしまい、また、ここらへん、なんとなく「大人の事情」を伺えてしまいました。

もっとも大賀埜々、円谷憂子、未来玲可、tohko、翠玲など小室系末期に時代の徒花のように出てきて、小室系ブームの中でそれなりに注目されたもののあっという間に消えて行った女性シンガーなど、リアルタイムで知っていた身としてはちょっと懐かしく感じられ、またここらへんの曲が収録されているのはうれしくも感じられたりして。ここらへんは久しぶりに聴いて懐かしさも感じました。

そんな訳でボリューミーなコンピレーションながらも少々不満に感じる部分も少なくなかったコンピ盤。もっとも、小室哲哉の才能については強く感じることが出来るアルバムだったとは思います。しかし、これで本当に引退しちゃうのかなぁ・・・。不倫疑惑についてはいろいろな噂もあるのですが、ただそれを差し引いても、これで消えてしまうのは本当に惜しい才能なだけに、是非、何年かしたら「引退表明」など知らん顔して復活してほしいのですが・・・お願いします!

評価:どちらも★★★★


ほかに聴いたアルバム

FILM/GOING UNDER GROUND

インディーズでのCDデビューから今年で20年(!)たったGOING UNDER GROUNDの新作。一時期に比べて人気の面では落ち着いたものの、いまなおほぼ1年に1枚のペースでアルバムをリリースし続けるなど、積極的な活動が目立ちます。もっともバンドメンバーは気が付けば3人になってしまいましたが・・・。

そんな彼らの最新作は安定感があり安心して聴ける一方で、良くも悪くも大いなるマンネリ。いつも通りの郷愁感ある、心にキュンと来るメロディーにアコギやピアノを用いつつ、基本的には分厚いバンドサウンドが魅力的なサウンド。ファンにとっては壺をきちんとついた作品なのでそれなりに満足感はありそうですが、代わり映えしない内容となっています。まあ下手に変な挑戦をしないほうがいいんでしょうが・・・。

評価:★★★★

GOING UNDER GROUND 過去の作品
おやすみモンスター
COMPLETE SINGLE COLLECTION 1998-2008
LUCKY STAR
稲川くん
Roots&Routes
Out Of Blue
真夏の目撃者

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2018年12月 5日 (水)

ロングヒット曲が急上昇

今週はシングル・アルバム共に初登場が少なかったため、同時更新です。

今週のHot 100

http://www.billboard-japan.com/chart_insight/

今週はロングヒット曲の順位が急上昇しています。

ただそんな中で1位を獲得したのがAKB48「NO WAY MAN」。CD販売数1位、ダウンロード数25位、ラジオオンエア数16位、PCによるCD読取数2位、Twitterつぶやき数3位、You Tube再生回数44位を記録。オリコンでは初動売上120万5千枚を記録。前作「センチメンタルトレイン」の144万枚(1位)からはダウンしています。

そして今週2位と3位に米津玄師「Lemon」DA PUMP「U.S.A.」がそれぞれ5位、6位からランクアップしています。年末に向けての音楽番組の影響や1年の振り返り企画で取り上げられることが多くなった影響もあるかもしれませんが、おそらく一番の要因は今週からHot100でチャートに組み入れられた「カラオケで歌われた回数」の影響ではないでしょうか。「Lemon」が1位、「U.S.A.」が2位を獲得し、曲が(アイドル系みたいにファンズアイテムのように売れているのではなく)本当の意味で売れているんだな、ということを実感させられます。

続いて4位以下の初登場曲です。まず4位にそらる「銀の祈誓」がランクイン。動画サイトへの歌唱動画投稿により人気を博したシンガーによる初のシングル曲。テレビアニメ「ゴブリンスレイヤー」エンディングテーマ。CD販売数1位、PCによるCD読取数10位、Twitterつぶやき数14位を記録。ネット初の人気の割にはYou Tube再生回数で上位に入っていませんし、サブスクリプションも解禁されているのにストリーミング数も圏外。どちらかというと一部の固定ファンに対するアイドル的な人気にとどまっている感があります。「歌唱動画」が話題になった割には肝心の歌唱力についてもかなりの疑問を感じてしまいますし・・・。ちなみにオリコンでは初動売上5万7千枚で2位初登場となっています。

5位初登場はフランシュシュ「徒花ネクロマンシー」がランクイン。アニメ「ゾンビランドサガ」のオープニングテーマ。ちなみにこのアニメタイトルの「サガ」とは「佐賀県」の「佐賀」だそうです(^^;;CD販売数13位に対してダウンロード数では見事1位を獲得しベスト10入り。ほか、PCによるCD読取数7位、Twitterつぶやき数43位にランクインしています。なおオリコンでは初動売上9千枚で13位にランクイン。


今週のアルバムチャート

http://www.oricon.co.jp/rank/ja/

今週は比較的新譜も少な目。強力盤も少ないチャートとなっています。

そんな中で1位を獲得したのがジャニーズ系。山下智久「UNLEASHED」が1位獲得です。途中、ベスト盤のリリースはあったもののオリジナルアルバムとしては約4年ぶりの新作となりました。初動売上は8万2千枚。直近作はベスト盤の「YAMA-P」で、同作の初動4万9千枚(1位)からアップ。また、オリジナルアルバムとしての前作「YOU」の4万5千枚(1位)よりも大幅アップとなりました。

2位初登場はテミン「TAEMIN」。韓国の男性アイドルグループSHINeeのメンバーによる日本で初となるソロアルバム。初動売上は6万3千枚。直近作は韓国盤「Move」で、同作の初動6千枚(11位)より大きくアップしています。

そして3位には、ついにベスト3入りしてきましたQUEEN「ボヘミアン・ラプソディー(オリジナル・サウンドトラック)」。先週の4位からワンランクアップです。売上枚数も2万6千枚から2万7千枚へと若干ですがアップ。映画も大評判で、徐々に人気が広まっている感がありますが、サントラ盤もまだまだ売れていきそう。これからのロングヒットが期待できそうです。

続いて4位以下の初登場盤です。まず4位にはX JAPANのボーカリストToshiによるソロアルバム「IM A SINGER」がランクイン。初動売上2万2千枚。彼のソロアルバムがベスト10入りするのは、実に1995年の「GRACE」以来、23年ぶり(!)。ご存じのように、彼は一時期、宗教めいたヒーリングミュージックの世界にはまっていた時期があり、その影響で大量のソロアルバムはリリースされたものの、いずれもオリコンランク圏外。そんな彼が見事復活し、ソロアルバムでもベスト10入りというのは感慨深いものがあります。

ちなみに同作は初となるカバーアルバム。ただ収録曲が浜田雅功と槇原敬之の「チキンライス」だったり、AKB48の「365日の紙飛行機」だったり、ジャンルを問わない選曲といえば耳障りのよい表現ですが、X JAPANのボーカリストとしてのイメージからはかなりかけ離れた選曲となっています。最近はバラエティー番組へ積極的に出演するなどX JAPANのボーカルのイメージからの脱皮をはかっているような感はあるのですが、若干その行動に突拍子もないものを感じ、ある種の不安定感すら覚えます。いまのところは大丈夫だと思うのですが。

5位初登場はValkyrie「あんさんぶるスターズ! アルバムシリーズ Valkyrie」がランクイン。女性向けアイドル育成ゲームのアルバムシリーズ第8弾。初動売上は1万8千枚。前作は同シリーズの第6弾、第7弾が同時にランクイン。Switch「あんさんぶるスターズ! アルバムシリーズ Switch」、MaM「あんさんぶるスターズ! アルバムシリーズ MaM」の1万6千枚(4位)、7千枚(9位)からはいずれもアップしています。

9位にはイケメンの女子をそろえたアイドルグループザ・フーパース「FANTASTIC SHOW」がランクイン。シングルではベスト10入りを果たしていますが、アルバムでは同作が初のベスト10ヒット。初動売上7千枚は前作「FANTASIA」の5千枚(15位)からアップしています。

最後10位に韓国の男性アイドルグループNCT127「NCT#127 Regular-Irregular:NCT 127 Vol.1」がランクアップし、ベスト10に返り咲いています。これは以前リリースしたアルバムに新曲を追加しパッケージを変えた「リパッケージ・アルバム」がリリースされた影響。

今週のチャート評は以上。また来週の水曜日に!

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2018年12月 4日 (火)

前作よりもポップで聴きやすく

Title:Negro Swan
Musician:Blood Orange

前作「Freetown Sound」が大きな評価を集めたプロデューサーとしても活躍しているイギリスのミュージシャン、デヴ・ハインズのソロプロジェクト、Blood Orangeの約2年ぶりとなるニューアルバム。今回の高い注目を集めた新作となりました。

そんな待望のニューアルバムなのですが、まずは率直に言って、非常に心地よいポップな作品に仕上がっていたな、というのが第一の感想でした。まず1曲目「Orlando」はハイトーンボイスが心地よい、ネオソウル風の作風となっています。それだけにいかにも「今時」感を醸し出しつつ、続く「Saint」「Take Your Time」は比較的シンプルでソウルなポップチューンに仕上げています。さらにPuff Daddyと、新進気鋭の女性シンガーTei Shiを迎えた「Hope」もラップとハイトーンで美しく聴かせる女性ボーカルを絡ませつつ、楽曲的にはちょっとジャジーな要素を入れつつも、あくまでもポップにまとめ上げています。

その後も基本的にはハイトーンボイスで気持ちよく聴かせるフィリーな雰囲気のソウルナンバーが続きます。リズミカルなトラックとメロウなボーカルが心地よい「Chewing Gum」、シンプルなサウンドで、ほぼアカペラベースで力強いボーカルを聴かせる「Holy Will」、ループするサウンドが心地よい「Dagenham Dream」など、メロウなボーカルで心地よく聴かせるポップチューンが続きます。

そんな訳で全体的な方向性としては前作「Freetown Sound」同様。今風なサウンドを入れつつも、一方では80年代風な要素を感じさせるサウンドが心地よいソウルチューンの連続。全16曲入りながらも1曲あたり2、3分程度の短いポップチューンにおさめており、全48分という聴いていてちょうどよい長さなのも前作同様。そういう意味では前作の延長線上のような作品と言えるかもしれません。

ただ様々なサウンドとアイディアを入れてきて、少々情報過多にも感じられた前作に比べると、今回のアルバムはよりすっきりとポップなアルバムに仕上がっていたように感じます。そういう意味で前作よりも聴きやすいアルバムに感じました。メディアなどの評価では本作の評価もそれなりに高い反面、前作ほどの出来ではないというのが一般的のようですが、個人的にはむしろ前作よりも本作の方が気に入ったかも・・・。とても気持ちよく楽しめた1枚でした。

評価:★★★★★

Blood Orange 過去の作品
Freetown Sound


ほかに聴いたアルバム

The Atlas Underground/Tom Morello

ご存じRAGE AGAINST THE MACHINEのギタリストであり、最近ではPROPHET OF RAGEとしても活躍しているトム・モレロの、初となるソロ名義でのアルバム。今回は彼のギターサウンドにEDMを取り入れるなど挑戦的な方向性になっています。ただ、正直、EDMという方向性は「いまさら」感は否めませんし、彼のギターを生かそうとした結果、取り入れ方も中途半端に。所々に彼らしいカッコイイギターリフは顔を覗かせるのですが、全体的には「あのトム・モレロのソロ」として聴くと少々期待はずれな内容になっていました。

評価:★★★

Bottle It In/Kurt Vile

The War On Drugsの元メンバーであり、昨年はCourtney Barnettとのコラボでも話題となったギタリストの新作。基本的にはアコギメインでのダウナーな路線は前作から変わらず、地味な作風ながらもメロディアスに聴かせる楽曲は魅力的。ただ今回、1時間18分という長さのアルバムの中で、10分を越える曲が2曲、10分近い曲が1曲あり、いずれも淡々とした作風の曲に。そのためアルバムとしては少々中だるみした感じが否めず、1曲1曲の出来は悪くないのですが、少々聴いていて退屈してしまう部分も。そういう意味では非常に惜しいアルバムなのですが・・・。

評価:★★★★

Kurt Vile 過去の作品
B'lieve I'm Goin Down…
Lotta Sea Lice
Courtney Barnett&Kurt Vile)

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2018年12月 3日 (月)

ファン投票の傾向も興味深い

今年、結成20周年を迎えたロックバンドストレイテナー。そんな彼らのオールタイムベストがリリースされました。

Title:BEST of U -side DAY-
Musician:ストレイテナー

Title:BEST of U -side NIGHT-
Musician:ストレイテナー

彼らの曲の中からファン投票によって選ばれた25曲にメンバーが選んだ4曲を追加。さらに新曲1曲を加え、計30曲を2枚のアルバムに収録したベスト盤。5年前にベスト盤「21st CENTURY ROCK BAND」がリリースされたばかりですが、ただファン投票による選曲ということもあり、まさに決定版的なベストアルバムとなっています。

今回、この2組のアルバムは主に比較的明るい雰囲気の曲が「side DAY」に、暗めの雰囲気の曲が「side NIGHT」に収録されたよう。ただ全体的に両者の差がそれほど大きい訳ではなく、基本的に彼ららしいストレートなギターロックナンバーが並んでいます。

このファン投票の結果というのもなかなか興味深く、1位を獲得したのが「REMINDER」だとか。確かにストレイテナーらしいエッジの利いたギターサウンドに、疾走感あるリズム、ちょっと切なさを感じるメロディーラインと、ストレイテナーらしさを体現しつつインパクトある作品になっており、まあ1位というのは納得感があります。続く2位は「シーグラス」ですが、こちらは疾走感あるギターロックなのですが、叙情感ある歌詞と切ないメロが特徴的で比較的ポップテイストの強いナンバー。こういう切ない感じのメロディーラインの曲がファンには人気なのでしょうか?

個人的には「KILLER TUNE」のようにガレージサウンドでへヴィーなナンバーが好きなのですが、この曲も20位と人気投票で上位とはいえ、今回選ばれた中ではさほど上位ではありません。またちょっと意外だったのはテレビ東京系ドラマ「勇者ヨシヒコと悪霊の鍵」の主題歌にもなった「From Noon Till Dawn」が圏外で、ホリエアツシの得票によってえらばれていたということ。また、日向秀和の得票で選ばれた「The World Record」も英語詞でダンサナブルなリズムにエッジの利いたギターがカッコいいナンバーなのですが、こちらも全体の投票では40位と圏外。比較的メロディアスなポップス寄りの曲が多く、個人的にはストレイテナーの英語詞の曲、へヴィーなバンドサウンドを聴かせる曲が好きなのですが、そちらはファン投票であまり上位には入ってきていなかったようです・・・。

そんなこともあってか、このベスト盤を聴くとポップテイストが強いシンプルなギターロックバンドという印象を強く受けます。今回のベスト盤に限らずストレイテナーは、それなりにインパクトあるメロデイーとカッコいいバンドサウンドを聴かせてくれるのですが、今一歩、パンチに欠ける部分があるというイメージがありました。そして今回のベスト盤を聴くと、残念ながらそのイメージをさらに強く受けてしまいました。しっかりと聴かせるインパクトあるメロディーの曲も少なくありませんし、間違いなくいいバンドだと思うのですが、どうももう一歩、物足りなさも否めない、そんな印象を受けてしまったベスト盤でした。

評価:どちらも★★★★

ストレイテナー過去の作品
Immortal
Nexus
CREATURES
STOUT
STRAIGHTENER
21st CENTURY ROCK BAND
Resplendent
Behind The Scene
Behind The Tokyo
COLD DISC
Future Soundtrack


ほかに聴いたアルバム

MeRISE/Sabão

元Hysteric BlueのTamaとたくやによる新バンドSabão。「さばお」と読みたくなるのですが、ポルトガル語で「シャボン」が正式名称。Hysteric Blueというと1999年に「春~spring~」「なぜ・・・」が大ヒットを飛ばした3人組バンドで2003年に活動を休止したのですが、その後、メンバーのナオキが強姦・強制わいせつ罪で捕まるというポップス史上、類のない犯罪を起こし、バンドも解散。そのため、Hysteric Blueの活動再開も無理な状況なうえ、ヒット曲を流すのも困難な状況になっています(とはいえ先日ラジオで、普通にHysteric Blueの「春~spring~」が流れてきて、「あ、もういいんだ」と思ったんですが)。

そんな訳なので残されたメンバー2人で結成されたSabãoは、使われにくくなったHysteric Blueの曲を再生するという役割もあるようで、「春~spring~」「なぜ・・・」もカバー。初のアルバムとなる本作でも収録されています。そのほかも「ふたりぼっち」「Dear」「グロウアップ」とHysteric Blueの曲が並んだ本作。もっとも、その後に続くSabãoのオリジナル曲も基本的にはHysteric Blueの延長線上のような曲ばかりで、事実上、Hysteric Blueの再結成のような内容になっています。Hysteric Blueが好きだった方なら、とりあえずは要チェックのアルバムです。

評価:★★★★

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2018年12月 2日 (日)

幻の音源

Title:Give Out But Don't Give Up:The Original Memphis Recordings
Musician:Primal Scream

Primal Screamが1994年にリリースしたアルバム「Give Out But Don't Give Up」。1991年にリリースされ、アシッドハウスの要素を多く取り入れることによりロック史に残る傑作として今なお評価の高いアルバム「Screamadelica」の直後にリリースされた本作。前作の方向性からガラリと変わり、アメリカ南部の音楽を多く取り入れレイドバックした作風になっていたため評判の方は残念ながら評価の方はいまひとつのアルバムになっています。

このアルバム、もともとはアレサ・フランクリンなどのプロデュースでも知られるトム・ダウドをプロデューサーとして迎え、マッスル・ショールズ・リズム・セクションとメンフィスで録音を行ったものの、その内容にクリエイション・レコーズのアラン・マッギーが落胆。あらたにジョージ・ドラキュリアスをプロデューサーとして迎えレコーディングを行い、今の形になったとか。いままでそのメンフィスでのレコーディング音源は日の目を見ることがなかったのですが、今回、メンバーのアンドリュー・イネスの自宅地下室で当時の音源を発見。今回、オリジナルレコーディングとして新たにリリースされることになりました。

そうしてリリースされた今回のアルバムなのですが、当初アルバムとしてリリースされた音源と比べると、明らかにその方向性に違いが見える興味深い内容に仕上がっています。簡単に言ってしまうとアルバムとしてリリースされた音源と比べると、あきらかによりソウルやブルースなどの雰囲気が強くなり、泥臭い感じが増した方向性になっています。例えば、いまでも彼らの代表曲としてライブではおなじみの「Rocks」はメンフィスレコーディングではよりホーンやピアノを前に押し出し、いなたさを強く感じる録音になっているのに対して、リリース音源ではホーンやピアノの音は残されているものの一気に後ろに下がり、ギターサウンドを前に出したロック色の強い音源になっています。「Call On Me」も同様。メンフィスレコーディングではピアノやホーンの音をより押し出したアレンジになっているのに対して、リリース音源ではここらへんの音は抑え気味となり、ギターサウンドを前に押し出したアレンジとなっています。

「Sad and Blue」とか「Big Jet Plane」とか、比較的リリース音源と大きな違いがない曲もあるのですが、全体的にはアメリカ南部の音楽を取り入れているという方向性がより明確になっているメンフィス音源と比べて、リリースされた音源はメンフィス音源のいなたさが軽減され、代わりにロックという方向性が強くなっています。またおもしろいのはリリースされた音源が全部収録されているわけではなく、例えば「Funky Jam」「Struttin'」「Give Out but Don't Give Up」「I'll Be There for You」の4曲はメンフィス音源に含まれていません。これらのうちバラード曲「I'll Be There for You」以外はファンキーな作風でイメージ的には「Scremadelica」の方向性に近い作風。当初の方向性があきらかにルーツ志向に向かいすぎたため、後日追加にレコーディングした作品によりかじ取りを修正した後が伺わされます。また、逆にメンフィス音源に収録されている「Jesus」は1997年にリリースされた「Star」のカップリングでようやく日の目を見ることになる音源で(日本では97年のアルバム「Vanishing Point」のボーナストラックで収録)。ブルージーに聴かせるなかなかの名曲なのですが、おそらく他に同様のブルージーなバラードが多かったため、アルバムから省かれたものと思われます。

確かに今回のメンフィス音源を聴くと、いなたさがあきらかに強すぎて、このままリリースすると「Screamadelica」の次のアルバムとしてはファンは戸惑うだろうなぁ、ということは強く感じます。ただこれはこれでアルバムの出来として決して悪くはなく、今回、アルバムとして新たにリリースすることにしたメンバーの意向はよくわかります。むしろソウルやブルース的な要素を強く取り込もうとしていまひとつ中途半端に終わってしまった感のあるリリース音源に比べて、メンフィス音源はその方向性が明確にあらわれており、見方によっては、この音源をリリースした方が、リアルタイムでは売れなかったかもしれないけども、アルバムとしての評価はむしろ高くなったのではないか、とすら感じてしまいました。

そんな訳で、ある種のファインズアイテム的な要素も強くアルバムなのですが、内容的には非常に興味深い内容。特にアルバム「Give Out but Don't Give Up」の本質的な部分が強く表に出ている音源でもあるため、ファンなら要チェックの1枚ですし、ファンならずとも彼らのアルバムの1枚として聴いてみても損はない作品だと思います。

ちなみにDisc2はデモ音源集。こちらは作品完成前のアイディアの欠片的な曲があったり、途中でいきなり終わる曲もあったりと、ファンズアイテム的な要素も強い「アイディア集」的な作品。ファンとしては興味深く聴ける内容ですが、幅広くはお勧めしずらいかも。もっとも、本編の方は素晴らしい内容だったと思うので下記の評価に。個人的にはリリース音源よりもこちらの方が好き、かも。

評価:★★★★★

primal scream 過去の作品
Beautiful Future
Screamadelica 20th Anniversary Edition
More Light
Chaosmosis


ほかに聴いたアルバム

LOOK UP/Elvis Costello&The Imposters

Elvis&The Imposters名義では2008年の「百福」以来10年ぶりとなるコステロの新作。序盤は軽快なギターロックナンバーが顔をのぞかせるものの、中盤以降はムーディーな雰囲気の聴かせる楽曲がメイン。もちろんコステロらしいポップスセンスある楽曲は耳を惹きますが、全体的には大人のポップスという印象を受けるアルバムに。単独名義としては前作となる「National Ransom」に通じるような作品になっていました。

評価:★★★★

Elvis Costello 過去の作品
Momofuku(Elvis Costello&the Imposters)
Secret,Profane&Sugarcane
National Ransom
Wise Up Ghost(Elvis Costello&The Roots)

HAPPY XMAS/Eric Clapton

クラプトンの新作はなんとクリスマスアルバム。もうこんな時期になるのかぁ、と同時にこうやってクリスマスソングでアルバム1枚リリースしてくるあたり、向こうの人にとってはクリスマスが重要な行事なんだな、と伺わせます。楽曲はクリスマスソングをブルージーにカバーしているアルバム。ただ、このうち「Jingle Bells」は今年4月に急逝したAviciiを偲び、なんと打ち込みを取り入れたカバーになっています。そのため若干浮いてしまっている感は否めないのですが、全体的には卒なくブルージーにカバーしたアルバムに。目新しさはないけれども安定感のある、安心して聴けるアルバムになっていました。

評価:★★★★

ERIC CLAPTON 過去の作品
Clapton
Old Sock
I Still Do

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2018年12月 1日 (土)

St.Vincentの本質的な部分が現れた傑作

Title:MassEducation
Musician:St.Vincent

アルバムがリリースされた度に大きな話題となり、今、最も注目される女性ロックミュージシャンの一人となったSt.Vincent。昨年リリースされた「MASSEDUCTION」も高い評価を得て、なんとビルボードチャートでベスト10ヒットを記録するなど売上面でも大ヒットを記録しました。

本作はその直近作「MASSEDUCTION」を全編、ピアノ、アコースティックアレンジとして収録したリアレンジアルバム。パッと見、「MASSEDUCTION」と大文字小文字の使い方が変わっただけ・・・と思いきや、こちらは「MassEducation」と「a」の文字がひとつ加わっています。ちなみに「MASSEDUCTION」は「MASS」(大衆)と「SEDUCITON」(誘惑する)をあわせた造語。一方、「Mass education」は「大衆教育」という一般名称のようです。

今回のアルバムは、そんな訳で「MASSEDUCTION」の収録曲があらためてピアノ・アコースティックアレンジとして収録されているのですが、これが雰囲気がガラッと変わり、印象が全く異なるアルバムに仕上がっています。

「MASSEDUCTION」はエレクトロサウンドも入り、曲によってはへヴィネスさを強く感じる曲もありました。特にタイトルチューンである「MASSEDUCTION」はいきなり「政権の腐敗」という日本語のアジテーションからスタートして、特に日本人にとってはかなりインパクトある作品になっていました。

しかし本作ではそれがアコースティックアレンジとなり雰囲気がガラリと一変します。基本的にアレンジはピアノと彼女の歌声のみ。そのためアジテーションの色合いが強く感じた「MASSEDUCTION」も本作でも彼女の力強い歌声が印象に残るものの静かなピアノでメロディアスに聴かせる楽曲に変化しています。

他にもエレクトロアレンジがガラリと変わり、かなり印象の変わる曲がチラホラ。「Sugarboy」も原曲ではエレクトロサウンドでトランシーな曲調だったのですが、本作ではピアノの疾走感ある演奏で美しく聴かせる楽曲に。「Fear The Future」もエレクトロサウンドが目立つ原曲から一転、シンプルなピアノのアレンジだからこそ美しいメロディーラインが光る楽曲になっていました。そして特に印象が大きく変わったのが「Young Lover」。原曲ではかなりへヴィーなエレクトロサウンドが前に押し出されたダイナミックな曲調となっていたのに対して、テンポもゆっくりとなりその美しいメロディーラインにあらためて気が付かされる曲になっていました。

もっとも原曲でもしんみりと「曲」を聴かせていた「Happy Birthday,Johnny」「New York」などイメージが大きくは変わらない曲もあったり、「Pills」などは低音のピアノを力強く聴かせることにより、むしろ原曲以上にへヴィーになったのでは?と感じさせる曲もありました。ただ全体的にはピアノのシンプルな演奏により、楽曲のよりコアな部分がはっきりと表にあらわれた作品になっていたと思います。

もともと「MASSEDUCTION」でも彼女のポップスセンスの良さを強く感じる部分は少なくありませんでしたが、今回、アコースティックアレンジにすることにより、彼女のメロディーメイカーとしての実力が、より如実に現れたアルバムになっていました。さらにシンプルに歌だけを聴かせるアルバムになったことにより、いままでのアルバムではさほど感じなかった、彼女のボーカリストとしての表現力の豊かさを強く感じる作品にすらなっていました。

彼女のミュージシャンとしての本質の部分がより鮮明になったアルバムであり、その結果として彼女の実力がよりはっきりとした形であらわれた作品だと思います。正直言うと、個人的には「MASSEDUCTION」よりもこちらの方がむしろ魅力的に感じたくらい。彼女のミュージシャンとしての「すごさ」を強く感じた傑作アルバムで、年間ベストレベルの傑作。リアレンジアルバムだからということで敬遠した方もいるかもしれませんが、むしろ元のアルバム以上に聴いてほしい1枚です。

評価:★★★★★

St.Vincent 過去の作品
St.Vincent
MASSEDUCTION


ほかに聴いたアルバム

ASTROWORLD/Travis Scott

本作でもアメリカビルボードチャート1位を獲得するなど高い人気を誇るアメリカのラッパーによる3枚目のアルバム。メロウで哀愁感あふれる歌のようにメロディアスなラップがメイン。サウンドは今、流行りのトラップの王道を行くような作りになっていて、全体的には良くも悪くも今のHIP HOPシーンのど真ん中を行くような傾向にあるアルバムといった感じでしょうか。ただいいアルバムだとは思うのですが、さすがに最近、この手のサウンドが多すぎて、若干飽き気味なのですが・・・。

評価:★★★★

Mudboy/Sheck Wes

本作にも収録している「Mo Bamba」が大ヒットを記録。また、上でも紹介しているTravis Scottの「ASTROWORLD」にも参加し、今、話題となっているラッパーによるデビューアルバム。Travis ScottのレーベルCactus JackのみならずKanye WestのG.O.O.D.Musicとも契約を結んでおり、それだけ今、とても勢いのあるラッパーでもある彼。上のTravis Scottと同様、ダークでダウナーなトラップがメイン。アルバム全体で何回言っているんだ?と思うほど終始「ビッチ」とつぶやいているのが妙にユニークなアルバムに。それだけ期待の新人ラッパーである彼ですが、アルバムチャートは最高位17位とまずまずの順位だったようですが、大ヒットとまではいかず。これからの活躍に期待といった感じでしょうか。

評価:★★★★

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