恒例のブルースカレンダー
Title:2019-Classic Blues Artwork from the 1920s Calendar
すっかり恒例となったブルースカレンダー。今年も無事、2019年版を入手しました。毎年、アメリカのブルース・イメージ社という会社がリリースしているカレンダーで、LP盤2枚分のサイズのカレンダーの上半分に昔のブルースの広告がそのまま載っているという、なかなか洒落た雰囲気のカレンダー。毎年、我が家のインテリアの一部として活用させていただいております。
そしてこのカレンダーの大きな魅力となっているのが、カレンダーについてくる付録のCD。まあ、むしろカレンダー自体よりもこちらのCDが最大の目当てという点も否定できないのですが、戦前のブルースの楽曲が収録されているCDは、有名どころの曲から知る人ぞ知る的なミュージシャンの曲まで盛りだくさん。そして毎年必ず、貴重な音源が収録されているという点が最大の魅力となっています。
今年の目玉となっているのがPapa George Lightfootの音源2曲。一部では熱狂的な支持を得ているミュージシャンらしいのですが、今回は基本的に「戦前ブルース」のコンピである本作がそのルールをあえて破り、1950年録音の「Winding Bell Mama」「Snake Hipping Daddy」の2曲を収録。この2曲、いままで彼のディスコグラフィーには記載はあったのですが、音源がリリースされることのなかった幻の曲だったそうで、今回、非常に貴重な初解禁となっています。
さらに謎のブルースマンWilliam Harrisの「I'm A Roamin' Gambler」「I Was Born In The Country-Raised In Town」も最近見つかった音源だそうで、これまた非常に貴重な音源となっています。
さて今回も基本的に戦前のブルースを収録したコンピなのですが、戦前ブルースの奥深さを感じさせるバリエーションに富んだ収録内容になっています。Blind Blake「Too Tight Blues No.2」は飛び跳ねるような軽快なリズムにスタイリッシュなボーカルが乗ったおしゃれな雰囲気の曲調になっていますし、上でも紹介したPapa George Lightfootの曲でもう1曲収録されている「Ash Tray Blues」は軽快で楽しげな曲調が耳を惹きます。Sam Butlerの「Christians Fight On,Your Time Ain't Long」「Heaven Is My View」はいずれもスカスカのギターなのですが、独特なギターの音色が妙に耳に残りますし、Lottie Kimbrough「Don't Speak To Me」も彼女の力強く伸びやかなボーカルが印象的な曲に仕上がっています。
これは毎回恒例ですが、戦前ブルースの常として録音の状況は非常に悪く、そういう意味では万人向けといった感じではないのは残念。ただ今回も魅力的なカレンダーのアートワークを含めて、ブルース好きならたまらない作品に仕上がっています。今年もまた、このカレンダーが1年通じて私の部屋の壁を飾ることになりそうです。
評価:★★★★
2013-Classic Blues Artwork from the 1920s Calendar
2014-Classic Blues Artwork from the 1920s Calendar
2015-Classic Blues Artwork from the 1920s Calendar
2016-Classic Blues Artwork from the 1920s Calendar
2017-Classic Blues Artwork from the 1920s Calendar
2018-Classic Blues Artwork from the 1920s Calendar
ほかに聴いたアルバム
El Mal Querer/Rosalia
本作が高い評価を得ている主にスペインで活躍しているフラメンコの女性シンガーRosaliaのニューアルバム。ラテンフレーバーな哀愁感あるフラメンコのメロディーにのせつつ、エレクトロサウンドを取り入れたアレンジに彼女のハイトーンボイスが加わり、幻想感ある独特なサウンドが作り上げられています。ビョークmeetsフラメンコといった感もあるそのサウンドはスペインの伝統音楽を取り入れつつも、ポップテイストも強い、挑戦的な今の音を作り上げています。独特な雰囲気がユニークな傑作アルバムでした。
評価:★★★★★
First Collection 2006-2009/FLEET FOXES
デビューアルバム「FLEET FOXES」のリリース10周年を記念してリリースされた初期音源をまとめた企画盤。全4枚組となっており、1枚目はそのデビューアルバム「FLEET FOXES」、2枚目は2008年にリリースしたEP「Sun Giant」、3枚目には2006年リリースの自主作成盤のデモ音源「Fleet Foxes」、そして4枚目はB面曲やデモ音源などを収録したレア音源集となっています。
ただ、「FLEET FOXES」と「Sun Giant」は既に聴いたことある音源だったため、感想は下のリンク先を参照のこと。3枚目の「Fleet Foxes」はデモ音源らしく、他と比べると完成度は低い感じ。バンド色が強く、彼らが当初はバンド志向だったのが、徐々にアコースティック、フォーキーな路線にシフトしたことが感じ取れます。Disc4は1枚目、2枚目と同様フォーキーで美しいサウンドを聴かせる内容。B面集といってもクオリティー自体にはまったく遜色ありません。4枚組ということでボリュームありそうな内容ですが、トータルでも1時間40分程度の内容ですので、最近、FLEET FOXESを知った方は要チェックのアルバム。また、Disc3、4だけ目当てでも十分お勧めできる内容になっています。
評価:★★★★★
FLEET FOXES 過去の作品
Fleet Foxes+Sun Giant EP
HELPLESSNESS BLUES
Crack-Up
| 固定リンク
「アルバムレビュー(洋楽)2018年」カテゴリの記事
- 恒例のブルースカレンダー(2018.12.29)
- 大物然としたステージセットだけども(2018.12.28)
- オリジナルメンバー3人が顔をそろえる(2018.12.25)
- まさかの第2弾(2018.12.21)
- ディスコブームそのままに(2018.12.17)
コメント