« 40年目のベスト盤 | トップページ | 「雅楽」を取り入れたアンビエントの傑作 »

2018年11月11日 (日)

遊び心あふれるユニークな企画から登場

Title:カンタンカンタビレ
Musician:奥田民生

また奥田民生がちょっとマニアックな、でも非常にユニークな企画から登場したアルバムをリリースしました。 今回のアルバムタイトルともなった「カンタンカンタビレ」という企画は、もともと2017年の秋からスタートした企画。 様々なミュージシャンをゲストとして呼びつつ、彼がかつて他のミュージシャンに提供した楽曲のセルフカバーを、宅録スタイルのDIYレコーディングを行い、その模様をYou Tubeで配信したもの。アナログレコーディングの全盛期に名機と称され、現在は入手困難な“8トラックオープンリールテープレコーダー「TEAC 33-8」"、“アナログミキサー「TASCAM M-208」"を使用してのレコーディングだそうです。

以前にも彼は「ひとりカンタビレ」と称して、ライブイベントでファンの前で実際にレコーディングを行う企画を行ったことがあります。今回の「カンタンカンタビレ」はいわばその続編的な企画。曲がどういう風に出来上がるかを含めてファンに伝えたいという彼のこだわりを感じさせます。

本作はそんな「カンタンカンタビレ」企画から生まれた曲の中から、本人曰く「自分の曲より真面目につくっているかも(笑)」と公言した11曲を収録した作品。ちなみに動画の方もチラッと見たのですが、奥田民生が録音のやり方や機材などについて解説しつつ、本当に録音している風景をそのまま配信しています。レコーディングに興味のある方とか、楽器をやっていた方にとってはかなり興味深く見ることができるのではないでしょうか。

楽曲的には比較的、ルーツ志向が強く、シンプルな曲が収録されています。奥田民生らしい、と感じるような曲もありつつ、他のミュージシャンへの提供曲だからでしょうか、比較的「奥田民生カラー」は薄味にしているような印象を受けました。曲によっては提供ミュージシャンの「顔」がよく見えてくるような曲もあり、一番典型的だったのはPUFFYへ提供した「モグラライク」。軽快なメロディーラインからしてそのまんまPUFFYらしい楽曲で、奥田民生が歌っているのに、バックからPUFFYの2人の歌声が流れてくるよう(笑)。また石川さゆりに提供した「スロウサーフィン」は石川さゆりのイメージにピッタリのムーディーな雰囲気が漂う楽曲になっていました。

レコーディング的にもシンプルなロックンロールの「トキオドライブ」からスタートし、比較的シンプルなバンドサウンドが中心ながらも、楽曲によっていろいろな音の感じが試されている感のあり、ここらへんはまだ見ていませんが、You Tubeの動画で録音風景を確かめてみたいところ。特に「プールにて」ではエフェクトをかけまくってサイケな雰囲気に仕上げているので、ここらへん、どのようにレコーディングを行ったか、動画を見てみたくなりました。

もちろん、この企画を抜きにして純粋なセルフカバーアルバムとしてもよく出来たアルバムだったと思います。いかにも「奥田民生の曲」といった感じの曲は多くないものの、ルーツ志向のサウンドにどこかユーモラスなテイストを感じる歌詞とメロという、彼特有の魅力がつまったような曲ばかり。また、全体的に脱力感があり、なにより奥田民生本人が演奏を楽しんでいるように伝わってきました。

とにかく楽しい11曲。まだYou Tubeの配信はチラッとしか見ていないのですが、時間を見つけて少しずつ見ていきたいなぁ。いい意味で実に彼ららしい遊び心たくさんのアルバムでした。

評価:★★★★★

奥田民生 過去の作品
Fantastic OT9
BETTER SONGS OF THE YEAR
OTRL
Gray Ray&The Chain Gang Tour Live in Tokyo 2012
O.T.Come Home
秋コレ~MTR&Y Tour 2015~
奥田民生 生誕50周年伝説“となりのベートーベン"
奥田民生になりたいボーイに贈るプレイリスト
サボテンミュージアム


ほかに聴いたアルバム

じゃぱみゅ/きゃりーぱみゅぱみゅ

一時期に比べると人気の面でかなり落ち着いてしまったきゃりーぱみゅぱみゅ。新作はちょっと間が空いてベスト盤を挟んだものの約4年ぶりのアルバムとなりました。前々作、前作といずれもチャート1位を獲得していた彼女ですが、最新作ではなんと最高位12位といきなりベスト10落ち。かなり厳しい結果となっています。

ただ、確かにいままでのアルバムと比べると少々厳しいものを感じます。基本的には本作も中田ヤスタカプロデュースによる軽快で楽しいポップチューンが並んでいます。ただ、きゃりーのいままでの曲の特徴といえば、一度聴いたら耳に残るインパクトあるワンフレーズが大きな特徴。良くも悪くもサビのインパクト一発勝負的な部分が大きかったのですが、残念ながら本作で言うと完全なネタ切れ。このネタ切れについてはベスト盤の時に気になっていたのですが、本作ではその不安が的中してしまったようです。

正直言うと、人気的にも「かわいい」で売って来た彼女の売り方についても今が正念場ように感じます。今後、どんな方向性にシフトしていくのでしょうか。残念ながら今回のアルバムではその方向性について提示されていませんでしたが、今後のベクトルについて非常に気にかかってしまいアルバムでした。

評価:★★★

きゃりーぱみゅぱみゅ 過去の作品
なんだこれくしょん
ピカピカふぁんたじん
KPP BEST

IMPERIAL BLUE/モーモールルギャバン

約1年4ヶ月ぶりとなるモーモールルギャバンの新作は初のセルフプロデュースとなる5曲入りのミニアルバム。今回も狂気を秘めたような歌詞やサイケデリックなダンスナンバーなどが魅力的。ただ、全体的なインパクトはちょっと薄めな感じ。5曲という短さもあって、それなりの勢いは感じつつも、ちょっと物足りなさも感じてしまいました。

評価:★★★★

モーモールルギャバン 過去の作品
クロなら結構です
BeVeci Calopueno
僕は暗闇で迸る命、若さを叫ぶ
モーモールル・℃・ギャバーノ
シャンゼリゼ
PIRATES of Dr.PANTY
ヤンキーとKISS

|

« 40年目のベスト盤 | トップページ | 「雅楽」を取り入れたアンビエントの傑作 »

アルバムレビュー(邦楽)2018年」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.f.cocolog-nifty.com/t/trackback/505136/74510262

この記事へのトラックバック一覧です: 遊び心あふれるユニークな企画から登場:

« 40年目のベスト盤 | トップページ | 「雅楽」を取り入れたアンビエントの傑作 »