デビュー30年目のベスト盤
Title:3rd REUNION
Musician:SING LIKE TALKING
今年、デビュー30周年を迎えるSING LIKE TALKINGによるベストアルバム。1992年にベストアルバム「REUNION」、1998年に2枚目のベストアルバム「SECOND REUNION」をリリースしており、それに続く形でのベストアルバムとなります。本作はその「SECOND REUNION」の後にリリースされた2001年のアルバム「METABOLISM」以降のアルバムに収録された曲を集めたベストアルバム。ちょうど21世紀における彼らの活動を網羅したベスト盤となっています。
個人的には特に高校時代によく聴いていたバンドなだけに、もうデビュー30年か、と感慨深いものがあります。もっともベスト盤自体は3年前にオールタイムベストとして「Anthology」というアルバムをリリースしたばかり。楽曲的にもかぶるため、そういう意味では「またか・・・」という感じも否めないではないのですが・・・。
正直に言うとここ数年の彼らの活動に関しては、全盛期に比べてしまうと見劣りがしてしまう点は否めません。アルバムのリリースも1988年から1997年の10年間で9枚のアルバムをリリースしているのに対して、本作の対象となった2001年(1998年以降は活動休止していたため)から2018年の17年間では5枚のアルバムしかリリースしていません。
今回のベスト盤に収録された2001年以降の楽曲に関しても、基本的には初期のSLTと同様、AORやファンクの要素を上手く取り込んだ「大人のポップソング」に仕上げており、そういう意味では彼らのスタイルは大きな変化はありません。そのため、以前はSLTを聴いていたけど最近はちょっと離れてしまっている・・・といったかつてのファンがこのアルバムで彼らの楽曲を久しぶりに聴いてみるのは悪くはないかと思います。
ただ、「Anthology」でも感じたのですが、やはり曲の出来、メロディーラインのインパクトという点では以前の彼らに比べると、どうしても物足りなさを感じてしまうのは事実。もっとも、かといってもクオリティーの面で著しく以前と比べて劣っているわけではないため、かつてのファンの方にとってもそれなりに楽しめる内容だとは思います。
また、今回のベスト盤で彼らのここ最近の曲をあらためて聴いたのですが、なんだかんだいっても全盛期に負けずとも劣らないような胸がキュンとなるような美しいフレーズもたびたび顔を覗かせており、そういう意味ではSLTの魅力を再認識できるベスト盤だったと思います。例えば「回想の詩」のサビのフレーズや「The Love We Make」のファルセットからスタートする美しいサビ、「風が吹いた日」の哀愁感あふれるメロディーラインなどは「ENCOUNTER」や「togetherness」の頃の曲に比べても決して劣っていません。そういう意味ではSING LIKE TALKINGの健在ぶりをアピールできている部分もしっかりと感じることが出来ました。
そんな訳で、ここ最近の彼らの仕事ぶりを振り返るには最適なベスト盤。ただし、2015年にオールタイムベストをリリースしたばかりなので、それを聴いたばかりの方には「またかよ」的な感は否めないのですが・・・。これからデビュー40年に向かって動き出した彼ら。これからの活躍に期待したいところです。
評価:★★★★
SING LIKE TALKING 過去の作品
Empowerment
Befriend
Anthology
Heart of Gold
ほかに聴いたアルバム
LAST WALTZ IN TOKYO/world's end girlfriend
world's end girlfriend初となるライブ盤。今年1月に行われたライブの模様を収録したアルバムで、今年3月に急逝したdownyのギタリスト、青木裕のラストステージとしても話題となりました。ライブはWEGらしい美しく哀愁感あるメロディーラインに突如組み込まれるダイナミックでノイジーなサウンドが印象的。美しさと混沌が同居したサウンドはWEGの大きな魅力で、それがライブで見事再現されており、さぞ素晴らしいステージだったんだろうなぁ、ということがライブ盤を通じても伝わってきます。青木裕のラストが・・・ということである種の感慨を持ってしまいますが、それを差し引いても素晴らしいライブアルバムでした。
評価:★★★★★
world's end girlfriend(world's end boyfriend)過去の作品
空気人形オリジナルサウンドトラック
Xmas Song(2009年)
SEVEN IDIOTS
Xmas Song(2010年)
Xmas Song(2011年)
LIVE/10/10/2015
LAST WALTZ
| 固定リンク
「アルバムレビュー(邦楽)2018年」カテゴリの記事
- 前作同様、豪華コラボが話題に(2019.01.26)
- その「名前」を聞く機会は多いのですが・・・(2019.01.25)
- 「ラスボス」による初のベスト盤(2018.12.24)
- 民謡歌手としての原点回帰(2018.12.23)
- 相変わらずの暑さ(2018.12.22)
コメント