全編セルフプロデュース第1弾
Title:重力と呼吸
Musician:Mr.Children
Mr.Childrenの前作「REFLECTION」はCDのみでのリリースの「Drip」という形態と、それに加えて23曲入りのUSBメモリを加えた「Naked」という2種類の形態での異色のリリースとなりました。まさに「意欲作」と言ってもいい前作はそれに見合うだけの名曲が揃った傑作アルバムに仕上がっていました。
それから3年4ヶ月。久々の新作となった本作の最大の特徴、それは小林武史の手を完全に離れて全編Mr.Childrenのセルフプロデュースとなったアルバムという点でした。前作「REFLECTION」も何曲か、彼らによるセルフプロデュースの作品がありましたが、そんな準備期間を経て本作では、本格的にセルフプロデュースの作品となった訳です。
前作に引き続いて意欲作とも言える本作ですがアルバム全体として受ける印象としては、まず「地味」というものでした。ただ、同じ地味な印象でもアルバムとしてのコンセプトを感じられる「深海」や「SENSE」みたいなアルバムもありません。一方ではヒット曲満載でポップ路線に走った「BOLERO」や「SUPERMARKET FANTASY」のようなアルバムもありません。「Your Song」のようなPVも作成されたリード曲や配信を含むシングル曲も収録されていたのですが、全体的に「これ」といった核となるようなヒット曲もなく、地味という印象を受けました。
ただ今回のアルバム、全編セルフプロデュースの第1弾アルバムということもあって、あえて「地味」、いいかえれば彼らにとって「平凡」なアルバムを作って来た、と言えるかもしれません。実際、今回のアルバムは良くも悪くもミスチルらしさを強く感じる曲が並んでいました。例えば「Your Song」もストリングスのアレンジに沿って歌い上げるようなサビのスタイルはいかにもミスチル風ですし、「SINGLES」で聴かせるベースラインやそれに絡むギターの入りなんかも、ミスチルの曲で昔から何度聴いたことか・・・。奇をてらわない、ファンにとってみれば聴いていて安心するミスチル節がつまったアルバムになっていたように感じます。
サウンドにしても比較的シンプルなアレンジがほとんど。小林武史の手を離れて、若干バンドサウンドを前に出したような印象は受けますが、ロックバンド寄りに走った、といった感じではありません。小林武史が必要以上に多様していたストリングスは本作でも比較的ふんだんに取り入れており、ここらへんは小林武史からの影響を感じます。もっとも、全曲にわたって嫌というほどストリングスを入れてきたコバタケに比べると、そこはほどよく抑え気味に使用しており、サウンド全体としてはグッとタイトに仕上がったようにも感じました。
本作は全編プロデュースアルバムの第1弾。バンドとしての新たな一歩を踏み出すアルバムとして、あえてミスチルらしい、あえて言えば「平凡な」アルバムに仕上げてきたような印象を受けます。これから徐々に表現の幅を広げていくためのはじめの一歩のような印象を受けました。もちろん「地味」「平凡」という表現を用いていますが、そこはミスチル。決して駄作ではありませんし、アルバム全体としては間違いなく傑作にしあがてきていると思います。小林武史の手を完全に離れた彼ら。これからどこへ向かうのか、楽しみです。
評価:★★★★★
Mr.Children 過去の作品
SUPERMARKET FANTASY
SENSE
Mr.Children 2001-2005<micro>
Mr.Children 2005-2010<macro>
[(an imitation) blood orange]
REFLECTION
ほかに聴いたアルバム
無双Collaborations -The undefeated-/AK-69
名古屋出身のラッパー、AK-69のコラボ作を集めたコラボベスト。ZeebraやKOHHなどといったHIP HOP勢の他、AIのようなR&Bシンガー、UVERworldのようなロック系やちょっと異色なところではToshiとのコラボも行っています。正直言うとAK-69のラップはあまり強い癖がある訳ではなく、そういう意味ではどんなタイプのミュージシャンとのコラボしやすいタイプのラッパーかもしれません。全体的にダークで哀愁感強い歌モノも多いのですが、ポップで聴きやすい作風なのもコラボの上ではやりやすいのかも。
評価:★★★★
AK-69 過去の作品
THE CARTEL FROM STREETS
THE RED MAGIC
The Independent King
Road to The Independent King
THE THRONE
DAWN
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