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2018年11月26日 (月)

いつまでも聴いていたくなるような・・・

今日、紹介するのは山下達郎が監修・選曲を行い話題となったドゥーワップのコンピレーション3枚です。ドゥーワップは1950年代から60年代にかけてアメリカで一世を風靡したジャンル。主に黒人のコーラスグループから成り、メロディー以外に「ドゥーワー」などのリズミカルな歌い方を加えていることが大きな特徴。山下達郎はこのドゥーワップの熱心のファンで、ライブの際の客入れの音楽には必ずドゥーワップを流しているとか。まさに日本屈指のドゥーワップマニアともいえる山下達郎によるドゥーワップコンピということでも大きな注目を集めています。

Title:Deserie-Doo Wop Nuggets Vol.1

Title:Your Tender Lips-Doo Wop Nuggets Vol.2

まずVol.1とVol.2。こちらは山下達郎のライブの際の客入れの際に用いた曲から選曲された計31曲が収録されています。収録曲は山下達郎の好みによる部分が大きく、決して「ドゥーワップ入門」的なスタンダードナンバーではないとか。それだけに知る人ぞ知る的なグループの曲が並んでいるようですが、そこはさすがの山下達郎選曲。収録曲にはずれはありません。

特にVol.1の1曲目、タイトルチューンThe Chartsの「Deserie」はいきなり美しいハイトーンボイスのコーラスからスタート。その切ないメロディーラインにいきなり胸がキュンと締め付けられるような感覚に陥ります。

基本的には美しく重厚なコーラスラインをバックに、胸キュンの美メロをしんみりと聴かせてくれるポップソングがメイン。ブラックミュージックといってもソウル、ゴスペルやあるいはブルースとも異なる軽快で明るいポップスがメインなので幅広い層が楽しめそうな楽曲となっています。特にこのメロディーラインの美しさは天下一品で、ついつい聴きほれてしまう曲の連続。かの山下達郎が昔からドッブリとはまり込んでいる理由もわかるような気がします。

またドゥーワップと一言で言っても曲によって様々なバリエーションがあり、例えば「Deserie」収録のThe Capris「It Was Moonglow」は女性ボーカルでムーディーに仕上がており、ブラックミュージック的な要素をほとんど感じません。また同じく「Deserie」収録のKripp Johnson「I'm Spinning」はラテン風のリズムが入り、軽快なナンバーに仕上がっています。

この2枚のうちでは特に2枚目「Your Tender Lips」の方によりキュートで甘~い曲が多かったような印象を受けます。例えばThe Duvals「You Came To Me」ではファルセットボイスや話しかけるようなボーカルを駆使して甘い歌声を聴かせてくれますし、The Wrens Featuring Bobby Mansfield「C'est La Vie」ではミディアムテンポで感情たっぷりに歌い上げるボーカルが甘くてとても印象に残ります。またアルバムの最後を飾るThe Modern Redcapsの「Golden Teardrops」も優しい歌声にタイトル通りの切ないメロディーが心にキュンとなるナンバー。ずっと聴いていたくなるような、心の奥に染み入ってくるような曲が並びます。かと思えばThe Corvairsの「True True Love」はボイスパーカッションが軽快でコミカルなナンバー。単なる甘く切ないだけではないドゥーワップの懐の深さを感じます。

Title:That's My Desire-Doo Wop Nuggets Vol.3

そしてこちらは第3弾となるのですが、こちらは山下達郎がアルバム「オン・ザ・ストリート・コーナー」で取り上げたカバー曲の原曲が収録されています。そのため比較的有名なナンバーが多く、かつ、厳密にはドゥーワップではない曲も収録されています。例えばBen E.Kingの「Stand By Me」なんかは誰もが知っているスタンダードナンバーですね。またドゥーワップというよりもソウルの名曲として知られています。

そのためほかの2枚と比べるとちょっと毛色が違う感じで曲のバラエティーも豊富。とはいえ、こちらももちろん名曲揃い。例えばThe Teenagers Featuring Frankie Lymon「Why Do Fools Fall In Love」はジャズ的な要素も強い軽快なガールズポップといった感じなのですが、とても楽しいポップチューンを聞かせてくれますし、Dion Di Mucci「Drip Drop」は軽快なバンドサウンドも入り、ロックンロールの色合いも強い楽曲になっています。

もちろんこのVol.3でもキュートで甘いメロディーの曲も数多く収録。特にThe Flamingos「I Only Have Eyes For You」は夢見心地なメロディーラインについうっとりしてしまう名曲。そんな心地よいナンバーが数多く収録されています。

本当に3作とも美メロのポップチューンの連続で、いつまでも聴いていたいような感覚に陥るような名曲揃い。実に心地よい時間を過ごすことが出来るポップチューンの連続で、ドゥーワップという音楽の魅力にこれでもかというほど触れることが出来ます。ドゥーワップを知っている人もあまり知らない人も、文句なしにお勧めできるコンピレーションアルバムでした。

評価:いずれも★★★★★

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