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2018年11月10日 (土)

40年目のベスト盤

Title:海のOh,Yeah!!
Musician:サザンオールスターズ

今年、なんとデビュー40周年(!)を迎えるサザンオールスターズがリリースした2枚目となるベストアルバム。ベスト盤としては20周年の時にリリースし大ヒットを記録した「海のYeah!!」から20年ぶりとなるベスト盤になります。「海のYeah!!」の時も大ヒットを記録し大きな話題となったのですが、そこからもう20年も経つのか・・・と感慨深くなってしまいます。ちなみにタイトルの読み方は「うみのおや」だそうで、要するに「生みの親」をもじったタイトル。彼ららしいユーモラスセンスあふれるタイトルになっています。

ただ、「海のYeah!!」までの20年間、彼らは12枚のアルバム、38枚のシングルをリリースしていますが、「海のYeah!!」以降、本作まででリリースされたのは活動休止期間もあったため、わずか3枚のアルバムと16枚のシングルをリリースしたのみ。また、この20年間、ヒット曲をめぐる環境に大きな変化があったとはいえ、国民的大ヒットといえるのは「TSUNAMI」の1枚のみ。正直言って、ベスト盤を選曲する際の母集団となる曲数に大きな違いがあることもあって、ベスト盤としてのインパクトは誰もが知っているヒット曲だらけだった前作「海のYeah!!」に比べると、弱く感じてしまう点は否めません。

しかし、そういった点を差し引いても、このアルバムに収録されている曲を聴くと、あらためてサザンオールスターズのすごさを感じます。当たり前のことかもしれませんが、メジャーシーンでCDをリリースし、さらにヒットを飛ばすミュージシャンは、誰も私には持っていない「才能」を感じさせます。そんな才能あふれるミュージシャンたちの中にあっても、サザンオールスターズ、桑田佳祐の才能に関してはメロディーラインのすごさ、取り入れるジャンルの幅、ポップスと挑戦心のバランス、歌詞の内容とユーモアセンス、どれをとっても格の違いを感じてしまいます。

若さゆえの勢いがあり才気あふれていた「海のYeah!!」に収録されている楽曲に比べると、今回のベスト盤に収録された楽曲に関しては、良くも悪くもサザンオールスターズらしい、と感じるような作品が並んでいます。普通は〇〇らしい曲が並んでいるというと似たような曲ばかりが並ぶようなパターンが彷彿とされるでしょう。ただサザンの場合は一言でサザンらしいといっても、そのバリエーションだけで何パターンもあるため、似たような曲が並んでいるという印象をほとんど受けません。

本作でもおなじみのバラードナンバー「TSUNAMI」からスタートし、打ち込みのサウンドを入れた「イエローマン~星の王子様~」やハワイアンに歌謡曲の要素を加えたような「SEA SIDE WOMAN BLUES」、ギターロックな「01MESSENGER ~電子狂の詩うた~」にダンスチューンの「DIRTY OLD MAN ~さらば夏よ~」、沖縄民謡の要素を取り入れた「神の島遥か国」と実にバラエティー豊富。様々なジャンルの音楽性を取り入れつつ、それを高い次元でしっかりとポップにまとめあげ、かつサザンとしての色をしっかりとつけている桑田佳祐の才能には改めて舌を巻かされます。

個人的にその中で特に気に入っているのが原由子ボーカルの「唐人物語 (ラシャメンのうた) 」。和風なメロディーラインの美しいこと美しいこと・・・。この美メロには本当にうっとりさせられますし、またこのメロディーラインに原由子のボーカルがピッタリとマッチしています。原由子のソロ曲で有名な「花咲く旅路」に通じる、和風の美メロを聴かせてくれます。

冒頭にも書いたとおり今回のベスト盤で「国民的ヒット曲」と言えそうなのは「TSUNAMI」のみかもしれませんが、そんなことは全く関係ない、サザンの才能を再認識させるような名曲たちが収録されています。全音楽リスナーにとってマストなベストアルバム。まだまだサザンの活躍はこれからも続きそうです。

評価:★★★★★

サザンオールスターズ 過去の作品
葡萄

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