弦楽四重奏によるセルフカバー第2弾
Title:la RiSCOPERTA
Musician:KAN
最近はどうも弦楽四重奏にはまってしまっているようなKAN。
昨年は弦楽四重奏によるカバーアルバム「la RINASCENTE」をリリースしましたが、そこから約1年7か月。早くも弦楽四重奏によるリアレンジアルバムの第2弾がリリースされました。 今回のアルバムタイトルは「la RiSCOPERTA」。タイトルが似ていて前作と混合しそうですが、「生まれ変わる」という意味のフランス語だった前作に対して、本作はイタリア語で「再発見」という意味だそうです。
前作はDonald Fagenの「The Nightfly」のパロディーだったジャケット写真でしたが今回は・・・・・・KAN自らが色鉛筆で書いた絵だそうですが、何とも言えない味があります(婉曲表現)。ちなみにバイオリンを作る工房っぽい雰囲気なのに、なぜか全く無関係の顕微鏡を覗いている図というのにKANらしいユニークさを感じます。
さて肝心のアルバムの内容のほうですが、基本的には前作と同じ構造。最初「l’Addestramento dell’Arrangiamento」というインストのオリジナル曲(意味は「編曲のトレーニング」だそうです)からスタートし、その後は彼の代表曲のセルフカバーが続きます。前作では「愛は勝つ」や「まゆみ」のような大ヒットナンバーはあったのですが、今回のアルバムではそういうヒット曲はなく、ただファンにとってみたらおなじみのうれしい選曲になっています。「サンクト・ペテルブルグ」みたいなちょっと意外性ある選曲もあったりするのですが。また今回も前作同様、洋楽のカバーも。今回はThe Beatlesの「Back in the U.S.S.R.」としてBilly joelの「Lullabye」のカバーも収録しています。
前作「la RINASCENTE」の感想の時も書いたのですが、この手のJ-POPの弦楽アレンジは無駄にスケール感を出そうとしただけの平凡なカバーが少なくありません。ただ前作でのアレンジは必要最小限に抑えられたストリングスアレンジとなっており、シンプルで無駄のないカバーを聴かせてくれました。
今回のアルバムカバーに関しても同様。弦楽四重奏のアレンジといってもストリングスの音は比較的シンプルで控えめ。あくまでも「歌」を主軸としたアレンジとなっているため変なしつこさはあまり感じません。特に「永遠」や「今年もこうして二人でクリスマスを祝う」は基本的にピアノを主体としたアレンジとなっており、静かなピアノ弾き語りのスタイルとなっています。まあ、そのため若干「だったらピアノ弾き語りでいいんじゃない?」と思わなくはないこともなかったのですが・・・(^^;;
一方The Bealtesのカバー「Back in the U.S.S.R.」は原曲準拠のアグレッシブなカバーに。こういうスタイルもありなんだというほど激しい弦楽四重奏の演奏となっており、とてもユニークな印象を受けました。また全体的に静かな楽曲が多い中、激しいこの曲をアルバムの真ん中に置くことにより、ちょうどよいインパクトとなっていたようにも感じます。
また、このThe Beatlesのカバーもそうですが、前作同様、弦楽四重奏のアレンジだからといって原曲のイメージを大きく変えているような曲はありません。むしろ原曲のイメージをいかに弦楽四重奏により再現できるかを意識しているようなアレンジに仕上がっていました。そういう意味でも聴いていて安心感もあるアルバムだったと思います。
前作同様、KANのアレンジャーとしての才能が光るセルフカバーアルバム。大味になるんじゃないか、という心配はご無用。彼らしい素敵なポップスの逸品に仕上がっていました。ただ、この企画どこまで続くのかな?次あたりはそろそろオリジナルアルバムを聴きたいのですが・・・。
評価:★★★★★
KAN 過去の作品
IDEAS~the very best of KAN~
LIVE弾き語りばったり#7~ウルトラタブン~
カンチガイもハナハダしい私の人生
Songs Out of Bounds
何の変哲もないLove Songs(木村和)
Think Your Cool Kick Yell Demo!
6×9=53
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la RINASCENTE
ほかに聴いたアルバム
What The World Needs Now/ゴスペラーズ
約1年半ぶりとなるゴスペラーズのニューアルバム。「永遠に」をプロデュースしたBryan-Michael Cox、Patrick"J.Que"Smithと再びタッグを組んだ楽曲がメインとなった構成になっています。とはいえ、基本的にはいつものゴスペラーズといった印象を受けるようなメロディアスなR&Bチューンがメイン。シンプルな良作といったイメージなのですが、これといって強いインパクトを残すような曲もなかったかな、という印象も。
評価:★★★★
ゴスペラーズ 過去の作品
The Gospellers Works
Hurray!
Love Notes II
STEP FOR FIVE
ハモ騒動~The Gospellers Covers~
The Gospellers Now
G20
Soul Renaissance
FAB LIVE/フジファブリック
アルバムとしては約1年10か月ぶりとなる新作は、全曲タイアップ付きという5曲入りのミニアルバム。ゲストボーカルで山田孝之が参加して話題となった「カンヌの休日 feat.山田孝之」も収録されています。タイアップ付きということもあってか、楽曲自体はどの曲もそれなりにインパクトはある作品が並んでいますが、どうもこれといった特色が薄く、フジファブリックとしての個性は薄い印象も。ただ、正直、この傾向はここ最近のフジファブリックの曲に共通しているのですが・・・。
評価:★★★★
フジファブリック 過去の作品
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