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2018年10月

2018年10月31日 (水)

やはり1位はジャニーズ系

今週のHot 100

http://www.billboard-japan.com/chart_insight/

今週1位はやはり圧倒的な強さであの曲でした。

今週1位は嵐「君のうた」。テレビ朝日系ドラマ「僕とシッポと神楽坂」主題歌。先週の71位からCDリリースにあわせてランクアップし、1位を獲得しています。CD販売数及びPCによるCD読取数1位、Twitterつぶやき数2位を獲得。ただし、ラジオオンエア数は46位に留まっています。オリコンでは初動売上37万2千枚で1位獲得。前作「夏疾風」の47万枚(1位)からは大きくダウンしています。

2位にはモーニング娘。'18「フラリ銀座」が初登場。エレクトロアレンジながらも往年の歌謡曲テイストが強いメロディーはつんく♂らしい感じ。CD販売数2位に対してダウンロード数34位なのはCDをアイテム的に購入するファンが圧倒的だからでしょう。ほかにはラジオオンエア数14位、PCによるCD読取数15位、Twitterつぶやき数39位を獲得。オリコンでは初動売上11万枚で2位初登場。前作「Are You Happy」の11万4千枚(1位)から若干のダウンです。

3位にはジェジュン「Defiance」が先週の48位からCDリリースにあわせてランクアップ。元東方神起のメンバーで現在はJYJとしても活動している男性アイドル。本作はハードロックテイストで疾走感あるロック風のナンバーで、J-POPらしい仕上がりになっています。CD販売数3位の一方、ダウンロード数は29位に留まっており、モー娘と同様、アイテム的にCDを購入する人が圧倒的ということをうかがわせます。ほかはPCによるCD読取数11位、Twitterつぶやき数では1位を獲得。オリコンでは初動10万枚で3位初登場。前作「Sign」の8万4千枚(2位)よりアップ。

続いて4位以下の初登場です。まず6位に水樹奈々「NEVER SURRENDER」が初登場でランクイン。劇場版アニメ「魔法少女リリカルなのは Detonation」主題歌。水樹節ともいえるとにかく仰々しい哀愁メロが展開されるナンバー。本作はストリングスの演奏も前に出ており、仰々しさに拍車がかかっています。CD販売数5位に対してダウンロード数9位と、アイドル的人気を有している傾向にある一方で、アイドル的な固定ファン層以外にも人気が波及していることをうかがわせます。ほかはラジオオンエア数30位、PCによるCD読取数3位、Twitterつぶやき数21位を獲得。オリコンでは初動売上3万3千枚で5位初登場。前作「WONDER QUEST EP」の2万5千枚(3位)よりアップしています。

7位にはあいみょん「今夜このまま」が初登場でランクイン。日テレ系ドラマ「獣になれない私たち」主題歌。11月14日リリース予定のCDからの先行配信となります。ダウンロード数3位に対してストリーミング数でも2位を獲得。浮動層からの人気をうかがえます。ほかにもラジオオンエア数3位、Twitterつぶやき数43位を獲得。最近、注目度をあげてきているたけに、今回のドラマタイアップで一気にブレイクの予感もします。

8位にランクインしてきたのが藍井エイル「アイリス」。テレビアニメ「ソードアート・オンライン アリシゼーション」エンディングテーマ。マイナーコード主体のアップテンポなナンバーで、タイプ的には6位に入ってきた水樹奈々と同タイプで形式化しちゃったアニソンといったイメージが。オリコンでは初動1万枚で11位に初登場。前作「流星」の1万3千枚(8位)からダウンしています。

最後9位初登場はLaLuce「Everything will be all right」がランクイン。テレビ朝日系オーディション番組「ラストアイドル」発のアイドル。CD販売数4位、PCによるCD読取数33位、Twitterつぶやき数88位と、明確に一部の固定ファン層以外に支持が広がっていないチャート傾向となっています。オリコンでは初動売上3万4千枚で4位初登場。ラストアイドルがらみだと前作「好きで好きでしょうがない」の3万2千枚(8位)から若干のアップとなりました。

今週の初登場組は以上。ロングヒット組では、まずおなじみ米津玄師「Lemon」は今週3位から4位にダウン。ただし、相変わらずダウンロード数では1位をキープしており、まだまだロングヒットの傾向は続いています。そしてDA PUMP「U.S.A.」は今週も5位と先週から同順位をキープ。ストリーミング数では相変わらずの1位をキープしているのですが、You Tube再生回数がなんと1位から2位にダウン。6月25日付チャートから19週つづけて1位をキープしてきましたが、その記録がついに途切れました。

ちなみに代わってYou Tube再生回数1位を記録したのは米津玄師(!)の「Flamingo」。こちらは10月31日にリリースされたシングルで残念ながら今週は11位に留まったのですが、来週以降は上位に食い込んできそう。「Lemon」同様のロングヒットとなるか、要注目です。

さらに10位にはMISIA「アイノカタチ feat.HIDE(GReeeeN)」が先週の7位からダウンしているもののベスト10をキープ。こちらもダウンロード数5位、ストリーミング数3位と、ドラマは終わりましたが、まだまだ根強い人気を続けています。

今週のHot100は以上。明日はアルバムチャート。

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2018年10月30日 (火)

すごいなぁ・・・くるり

Title:ソングライン
Musician:くるり

約4年ぶり、ちょっと久しぶりとなったくるりのニューアルバム。 ちょっと間が空いたのはファンファンの産休があった影響も大きいのですが、その間も残ったメンバー2人でライブ活動を継続したり、ベスト盤をリリースしたり、さらには岸田繁は初となる交響曲を発表するなど、かなり積極的な活動を続けていました。

そんな久しぶりとなる本作については「原点回帰」とメディアなどで今回よく見受けられました。確かに今回のアルバムに関しては「春を待つ」「忘れないように」など、デビュー当初に作成した楽曲が収録されていたため、そういう表現がされたのでしょう。ただ、個人的には本作に関して「原点回帰」という印象はありませんでした。

本作の最大の特徴と感じたのは、非常にシンプルな歌モノのアルバムという点でした。前作「THE PIER」は3人組となってはじめてのアルバムでしたが、バンドというよりも「ユニット」的なグループになったことから岸田繁の宅録アルバムのような実験的な作風になっていました。今回のアルバムに関してもバンド色はかなり薄め。ただ、岸田繁が新たな挑戦を行う、というよりも歌を中心に据えたアルバムになっており、イメージとしては「原点」というよりも、岸田・佐藤の2人組時代のアルバム、「魂のゆくえ」や「言葉にならない、笑顔を見せてくれよ」のイメージに近いアルバムだったように感じます。

そしてもっと言えば、2人組時代のアルバムよりも、はるかに深化を遂げたアルバムになっているように感じました。まずシンプルながらも全体的に凝った内容に仕上がっています。今回のアルバムではライナーツノートで岸田繁が1曲毎に詳細な解説を書いています。その理屈っぽい内容が岸田繁っぽいなぁ、と苦笑いしつつ思ったのですが、ただ、今回のアルバムに関しての力の入れようがよくわかります。

実際、シンプルな歌モノとはいいつつ、ギターロックの「その線は水平線」からはじまり、フォークソングの美しいメロディーラインが印象的な「landslide」、ハードロック風なギターインストながら、途中、教会音楽のような展開を見せる「Tokyo OP」、BEN FOLDS FIVE風なピアノロック(そして最後はなぜかoasisが登場する)「忘れないように」など、要所要所に様々な作風の曲が顔をのぞかせています。

また、郷愁感あるメロディーラインが心に響いてくるのも大きな特徴なのですが、歌詞の面でもとても心地よい歌詞が印象に残ります。特にタイトルチューンでもある「ソングライン」は新幹線ののぞみに乗りつつ、窓の外の風景と自らの心象風景を重ね合わせた、ロードムービーのような旅情感ある歌詞が強く印象に残ります。「春を待つ」の歌詞も切ない感情を風景に重ね合わせた歌詞が印象に残ります。今回のアルバムはいつも以上にメロディー、歌詞重ね合わせて歌心にあふれる作品が多く見受けられました。

そして今回のアルバム、個人的に最大の魅力と感じたのは、音の重ね合わせが実に美しく仕上がっているという点でした。もともとくるりはバンドサウンドには少々異質なトランペットという楽器が加わっています。いままでもそのトランペットをうまく楽曲の中に組み込んできたのですが、今回のアルバムでは特にストリングスやピアノの音色を楽曲の中で実に美しく、違和感なく重ね合わせてきています。

特にJ-POPにおいてはストリングスやピアノを入れると必要以上に音が主張してしまい、無駄にスケール感だけが大きくなった大味なアレンジが少なくありません。しかし今回のくるりのアルバムではバンドサウンドの中にストリングス、ピアノ、そしてトランペットの音が実に自然に、かつ実に美しく織り込まれています。特に「だいじなこと」のピアノとホーンの奏でるハーモニーの美しいこと美しいこと・・・。この音の重なり合いをしっかり意識した曲づくりというのは、岸田繁が交響曲を手掛けたからこそ、成し遂げられたことなのかもしれません。全体的には決して必要以上に音が主張していませんので、よくよく聴かないと気が付かないかもしれませんが、じっくり聴いてみると、単純な歌モノとは言い切れない、凝ったサウンドが楽しめるアルバムになっていました。

正直言うと、彼らの「原点」からはいい意味でかなり遠くに来たなぁ、と感じるアルバムですし、個人的に似ていると感じられた岸田・佐藤2人組時代のアルバムに比べても、さらなる高みに到達したアルバムのように感じました。一言で言って、ミュージシャンとしての格の違いを感じたアルバム。デビュー当初、彼らに対するキャッチフレーズとして「すごいぞ!くるり」という表現がよく用いられていましたが、今回のアルバムに関しては感嘆の意味を込めて「すごいなぁ・・・くるり」と感じてしまう傑作アルバム。間違いなく2018年を代表する1枚です。

評価:★★★★★

くるり 過去の作品
Philharmonic or die
魂のゆくえ
僕の住んでいた街
言葉にならない、笑顔を見せてくれよ
ベスト オブ くるり TOWER OF MUSIC LOVER 2
奇跡 オリジナルサウンドトラック
坩堝の電圧
くるりの一回転
THE PIER
くるりとチオビタ
琥珀色の街、上海蟹の朝
くるりの20回転


ほかに聴いたアルバム

The Remixes/Nulbarich

Nulbarichの新作は配信限定リリースの4曲入りのリミックスアルバム。リミキサーとしてDisco Fries、Oliver Nelsonなどアメリカでホットなミュージシャンたちを迎えたアルバムになっており、全編、エレクトロサウンドで楽しいリズミカルなアレンジに仕上がっています。難しいこと抜きに楽しめるフロア対応のアルバムになっていました。

評価:★★★★

Nulbarich 過去の作品
Who We Are
Long Long Time Ago
H.O.T

秋のオリーブ/カジヒデキ

カジヒデキ(51歳)による新作EP。ご、ごじゅういっさい!!??先日紹介した真心ブラザーズのYO-KINGと同い年でございます。すっかりアラフィフとして味が出た真心のメンバーとは異なり、彼はいまだに短パンボーイ。80年代のスタイルを貫いており、本作も表紙はあの岡崎京子。そもそもタイトルである「オリーブ」は80年代に一世を風靡したファッション誌「オリーブ」のことだそうで、その「オリーブ」への愛情をうたったアルバムになっているそうです。

楽曲的にはいつもの彼らしいさわやかなポップチューンで、こちらのスタイルも昔から全く変わっていません。ある意味、いろいろな意味での変わらなさにはかなりの潔さを感じます。聴いていて楽しくなる軽快なポップチューンはいまなお現役で、タイトルやジャケットから感じるようなノスタルジックな雰囲気はゼロ。ある意味、昔の空気感をそのままパッケージしています。ちなみにラストは自らがキュレーターをつとめるフェス「PEANUTS CAMP」のテーマ曲「ピーキャン音頭」を収録。「音頭」なこの曲だけはちょっと彼にしては違ったタイプの曲となっておりユニークです。

さすがに昔と変わらない短パンファッションのご本人は若干「・・・」な部分があるのは否定できないのですが、この変わらなさは脅威的ですね。このまま、是非還暦まで続けてください!

評価:★★★★

カジヒデキ 過去の作品
LOLIPOP
STRAWBERRIES AND CREAM
TEENS FILM(カジヒデキとリディムサウンター)
BLUE HEART
Sweet Swedish Winter
The Blue Boy

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2018年10月29日 (月)

60歳を迎えた今だからこそ

Title:True Meanings
Musician:Paul Weller

イギリスロック界のボス的存在のポール・ウェラー兄貴。パンクバンドThe Jamのボーカリストとしてデビュー後、The Style Councilとしての活動を経て、現在ではソロで活動している彼。いまでも1,2年、長くて3年に1枚くらいのペースでコンスタントにアルバムをリリースしているだけではなく、いずれもアルバムも全英チャートでは上位に食い込んでくるから驚きです。そしてそんな彼のどの作品もしっかりと現役感のある作品に仕上がっています。

しかし、そんな彼の約1年ぶりとなるニューアルバムはちょっと驚かされました。1曲目「The Soul Searchers」からいきなりアコースティックギターをベースとした物悲しいメロディーラインでスタート。続く「Glide」も美しいアコギのアルペジオを聴かせるフォーキーなナンバーに。優しく歌う彼のボーカルも、いつもの「兄貴!」といった感じよりも、ちょっと失礼ながら「おじいちゃん」に近い雰囲気すらあります。

その後も基本的にアコースティックなアレンジで「歌」を聴かせるような楽曲が並びます。もちろんフォーキーな雰囲気のナンバーだけではなく、例えば「Old Castles」はバンドサウンドが入り、ムーディーな雰囲気で聴かせる楽曲に。女性ボーカルが加わる「Books」のように、シタールの音色も入ってエキゾチックな雰囲気に仕上がる楽曲もあります。ただ、基本的には先行シングルとなった「Aspects」やピアノとアコギの音色が美しい「Bowie」など、シンプルに歌を聴かせる、レイドバックした曲が続きます。

いままでももちろんアルバムの中でアコースティックなナンバーは聴かせてくれています。ただ、ここまで全面的にアコースティックに仕上げたアルバムははじめて。歌詞も全体的に内省的なものが多いようで、インタビューでは本人曰く、このような内省的なアルバムになったのは「60歳を迎えたことが大きい」とのこと。「個人的なアルバムを作るべき時期があるとしたら、今しかないと思った」とも語っています。

そんないつもの彼とはちょっと違うスタイルの本作ですが、「歌」が前面に出た結果、メロディーラインがとても美しいポップチューンが並んでいました。「Glide」や「Bowie」などフォーキーな作品のほかにもストリングスを取り入れた「May Love Travel With You」なども美メロとも称すべき、素晴らしいメロディーラインを聴かせてくれます。本作ではまさにメロディーメイカーとしての本領が発揮された傑作というべき作品になっていました。

もっとも彼曰く、このような作風のアルバムは今回でお終い。次回作以降はいままでと同様の前向きな作風に戻るということですので、いままでの彼の作風が好きな方はご安心を。もっとも「いままでと同様」と言ってもアルバム毎にいろいろなスタイルを聴かせてくれる彼なだけに、今後もどのようなアルバムが聴けるのか、いまから楽しみにしていたいところ。とりあえずは今は、本作でじっくりと彼の歌声と美しいメロディーを味わいたいところです。

評価:★★★★★

Paul Weller 過去の作品
22 DREAMS
Wake Up The Nation
Sonik Kicks
A Kind Revolution


ほかに聴いたアルバム

And Nothing Hurt/Spiritualized

約6年半ぶり、少々久しぶりとなったSpiritualizedの新作。ここ最近、比較的シンプルなギターロック路線が続いた彼らですが、今回のアルバムも「On The Sunshine」のようなギターノイズを前に出した、若干サイケな路線の曲もありつつ、基本的にはシンプルなギターロック路線が継続されています。どの曲もメロディアスでポップなメロディーラインが心地よいのですが、全体的に個性は薄め。いいアルバムだとは思うんですが、もうちょっとガツンと来るようなインパクトが欲しかったような。

評価:★★★★

Spiritualized 過去の作品
Songs in A&E
Sweet Heart Sweet Light

Safe In The Hands of Love/Yves Tumor

本作よりWarpからアルバムがリリースされることとなったアメリカ出身、イタリア在住のミュージシャン。「エクスペリメンタル・ソウル」「ゴシック・ポップ」などという表現をされることの多い独特かつ実験的なサウンドが特徴的で、ソウル、ジャズ、ノイズ、ミニマルミュージックなどの要素を融合。ダイナミックなサウンドも印象に残ります。「歌モノ」の楽曲もあるものの、基本的にはボーカルラインもサウンドと同一に並べたような「インスト」の作品がメイン。正直言うとちょっと取っつきにくさは否めないのですが、今後次第ではよりおもしろくなりそうな可能性も感じる作品でした。

評価:★★★★

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2018年10月28日 (日)

変わり続ける彼女たち

Title:タイム・ラプス
Musician:きのこ帝国

今年、結成10周年を迎えるロックバンド、きのこ帝国。もともとインディーズ自体はホワイトノイズで楽曲を埋め尽くしたシューゲイザーバンドとして大きな話題となりました。そんな彼女たちも2015年にメジャーデビュー。しかし、このメジャーデビュー作「猫とアレルギー」がいままでの方向性から一転し、一気にポップ路線にシフトした作風だったこともあり、インディーズ時代からのファンに失望を与えたアルバムになってしまいました。

ただメジャー2作目「愛のゆくえ」はけだるく幻想的な作風で、インディーズ時代の彼女たちを彷彿させるような作品もあり、引き続きポップス路線ではあったもののメジャーデビュー作で失望したファンにとってもちょっと安心できるアルバムになっていました。

そして続く3作目。感想としては正直言うと複雑だな、といった印象を受けるアルバムに仕上がっていました。まず率直に言ってギターロックのアルバムとしては非常によく出来たアルバムになっていたと思います。まず「WHY」はへヴィーなギターリフのインストからスタートし、むしろハードな印象を受けるスタート。楽曲自体は非常にポップなメロディーを聴かせてくれるのですが、分厚いギターサウンドが印象的な楽曲になっています。3曲目「ラプス」のちょっと幻想的な雰囲気を感じさせる楽曲あたりが彼女たちの本領発揮といった感じでしょうか。

今回のアルバムの、特に中盤の真骨頂とも言えるのが5曲目の「傘」。哀愁感たっぷりの泣きメロともいうべきメロディーラインはいい意味で歌謡曲的なインパクトを持っています。歌詞も孤独な心境を歌った、まさに歌謡曲テイストの切ない内容が強く耳に残ります。

歌詞が印象的といえばタイトルからしてある程度歌詞の内容は推測できそうなラブソング、「ヒーローにはなれないけど」も印象的。続く「金木犀の夜」も切ないラブソングとなっているのですが、「声が聴きたくなって 電話番号を思いだそうとしてみる」という歌詞、20年くらいまでのポップスでお目にかかりそうな・・・。携帯電話の電話帳登録が当たり前になった今の世代にとってはちょっと珍しさを感じるような歌詞なのですが、それが楽曲の中では逆にひとつのインパクトとなっています。

これらの曲を中心として今回のアルバム、全体としてメロディーと歌詞をしっかりと聴かせる「歌」としての強度がかなり増したアルバムになっていました。この「歌」としての側面を見た場合には非常によく出来たアルバムになっていたと思います。もしこのアルバムが純粋にあるギターロックバンドのデビュー作だったら間違いなく諸手あげて絶賛できる傑作という印象を受けたでしょう。

ただ、インディーズ時代のポストロック、シューゲイザーバンドとしてのきのこ帝国のニューアルバムとしては正直言うとちょっと微妙なアルバムだったなぁ、と思います。インディーズ時代にきのこ帝国のファンになった方が、これで再度彼女たちのファンに戻るかと言われると微妙な印象が・・・。前作同様、これからの彼女たちの方向性はこれなんだな、とちょっと残念に思ったというのが正直な印象でした。もっとも、彼女たちにとってはそのスタイルは徐々に変わっていくでしょうし、いつまでもポストロック、シューゲイザーバンドとしての彼らを追い求めている私のような立場が、ある意味頭が固い考え方と言えるのかもしれませんが・・・。

評価:★★★★

また今回、結成10周年を記念して配信限定でのベスト盤がリリースされました。

Title:はじめてのきのこ帝国 U.K.PROJECT編
Musician:きのこ帝国

こちらがインディーズ時代の楽曲をまとめた10曲入りのベスト盤。

Title:はじめてのきのこ帝国 EMI編
Musician:きのこ帝国

ちょっとユニークなのが「EMI編」がメジャーデビューシングル「桜が咲く前に」からスタートし、リリース順に構成されているのに対して、「U.K.PROJECT編」は過去にさかのぼる形での収録となっている点。メジャーデビューの時点を起点として現在と過去にそれぞれ進んでいく形になっていました。

また配信限定の「プレイリスト」的なベストなのですが、「EMI編」にはシングル「桜が咲く前に」のカップリングでアルバム未収録の「Donut」が収録されている点はちょっとありがたい感じ。今回、この曲に関しては私ははじめて本作で聴きました。

今回、あらためて「U.K.PROJECT編」でインディーズ時代の曲を聴いたのですが、まさに楽曲を埋め尽くすギターノイズで幻想的にまとまった作風は「これだよ、これ!」と思ってしまいます。ただ一方でメロディーラインについてはポップである点を再認識し、そういう意味では「今」にもつながっているのかなぁ、ということを感じました。

一方で「EMI編」についてはこうやって10曲を選んで聴くと、意外とインディーズ時代の曲からつながっているようにも感じます。そういう意味ではそういう曲を選んだ、ということかもしれませんが・・・。

そんな訳できのこ帝国の入門としてはピッタリとも言える作品なのですが・・・ただ、メジャーデビュー後、大きく変わってしまった今からすると、これをきのこ帝国のスタートとすると、ある種の誤解を招きそうな印象も受けます。いまから彼女たちに興味を抱いた方は、まずは最新アルバムを聴いてみるのがよいかと。その上で過去にさかのぼった方が無難のような印象を受けました。

評価:どちらも★★★★★

きのこ帝国 過去の作品
渦になる
eureka
ロンググッドバイ
フェイクワールドワンダーランド
猫とアレルギー
愛のゆくえ

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2018年10月27日 (土)

いままでにないシンプルな作風だが

Title:Raise Vibration
Musician:Lenny Kravitz

かつてはグラミー賞を受賞し、アルバム毎に大ヒットを記録。日本でも楽曲がCMソングに採用されるなど高い人気を誇っていたロックミュージシャン、レニー・クラヴィッツ。ただ残念ながら最近では人気の面ではちょっと落ち着いたような印象を受けます。そんな彼の約4年ぶりとなるニューアルバムがリリースされました。

レニー・クラヴィッツの楽曲と言えば、ゴリゴリのギターリフとファンキーなリズムに載せて繰り出されるロックサウンドが特徴的。ある意味、「これぞロック」といった感じのわかりやすいスタイルが強いインパクトを持っており、良くも悪くも「ベタ」という印象を強く受けました。

しかし、今回のアルバムに関してはそういう「わかりやすい」レニー・クラヴィッツ節ともいうようなスタイルに出会うことはほとんどありません。確かに1曲目の「We Can Get It All Together」はノイジーなギターサウンドを前に押し出した、いかにもなギターロックナンバーですし、続く「Low」でもファンキーなリズムを聴くことが出来ます。ただし、どちらの楽曲にしてもゴリゴリのギターリフを聴かせるとか、とにかくこれでもかというほどのファンクのリズムを聴かせるというスタイルはなく、比較的シンプルな雰囲気にまとめ上げています。

今回のアルバムはいわばギミック的な側面をほとんど排除し、シンプルなギターロックに終始したアルバムに仕上がっていました。その後もタイトルナンバーである「Raise Vibration」も最初は彼らしいギターリフからスタートするものの、あくまでもシンプルなギターロックナンバーにまとめあげていますし、さらに「Johnny Cash」「Here to Love」はミディアムテンポで聴かせるナンバー。いずれも彼のメロディーセンスがキラリと光るような楽曲に仕上がっています。

この傾向は後半も続き、「The Majesty of Love」のようなホーンセッションを入れたファンキーなナンバーが一種のインパクトとなっているものの、「5 More Days 'Til Summer」「Gold Dust」のようなメロディーを主軸としたシンプルなギターロックナンバーがメイン。ラストの「I'll Always Be Inside Your Soul」もメロウに聴かせるソウルバラードで締めくくられています。

アルバム全体としては非常にシンプルな印象を受けるアルバムであり、派手さはほとんどありませんし、インパクトのある曲もありません。ただシンプルなだけにレニーのメロディーメイカーとしての実力が良くわかるアルバムになっていたと思います。ある意味、ギミック的な部分を排除した結果、レニー・クラヴィッツというミュージシャンのコアな部分がより表にあらわれた作品といってもいいかもしれません。

ここ最近の彼のアルバムは正直なところマンネリ傾向が強く、悪くないけど・・・という煮え切らない印象を強く持っていました。しかし、そんな中でこのアルバムはインパクトこそ薄いものの彼の良さがより出ていた久々の傑作アルバムになっていたと思います。一時期に比べて人気の面で落ち着いた彼。本作も目立つアルバムではないので人気回復の起爆剤としては難しいかもしれません。ただこのような良作を作り続ければ、次第に人気はまた上向きに回復していきそう・・・。これからもまだまだ彼の活躍から目を離せなさそうです。

評価:★★★★★

Lenny Kravitz 過去の作品
Black and White America
Strut

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2018年10月26日 (金)

曲の世界を旅するような

Title:Egypt Station
Musician;Paul McCartney

御年72歳を過ぎてもいまだに元気なポール・マッカートニー。 前作「NEW」リリース後も積極的に来日公演を行っており、その元気なほどを日本のファンにも見せています。今年も来日公演の決まった彼ですが、そんな彼の約5年ぶりとなるニューアルバムがリリースされました。

「エジプト・ステーション」と名付けられた今回のアルバム。1曲目は駅の風景をそのまま録音したようなイントロからスタートするのですが、まさに駅から列車に乗って旅をすることをイメージしたコンセプチュアルな作品に仕上がっています。彼自身インタビューで今回のアルバムのことを、「1曲目の駅から出発して、それぞれの曲がまるで違う駅のようなんだ」と語っていますが、まさに彼の曲の世界を旅するような、そんなアルバムと言ってもいいでしょうか。

そしてそんな今回のアルバムはポップス職員としてのポールマッカートニーの本領が発揮されたアルバムになっていました。前作「NEW」ではエレクトロサウンドを取り入れて、タイトル通り、今時の音にアップデートしようとしていました。今回のアルバムでもグレッグ・カースティンやライアン・テダーといった流行りのプロデューサー陣の力を借りつつ、ただ全体としてはあくまでもメロディアスに「歌」を聴かせる作品に仕上がっていました。

まずオープニングに続く「I Don't Know」からしてピアノ主体のポップチューン。暖かみのあるちょっと切ないメロディーラインが心に響くナンバーになっています。かと思えば続く「Come On To Me」は軽快なギターサウンドが耳に残るロックンロールのテイストが強いナンバーに。さらに続く「Happy With You」はシンプルなアコギでメロディアスに聴かせるフォーキーなナンバーに、とまさに彼が言うように、「違う駅」のように様々なタイプの曲が続いていきます。

特に後半に行くに従い、様々な音を入れたユニークなナンバーが増えていき、例えば「Back In Brazil」ではちょっとラテン風のリズムの軽快な打ち込みのナンバーが入ったり(ちなみに歌詞になぜか日本語で「Ichiban!」が登場してきます・・・)、さらには「Despite Repeated Warnings」ではミディアムテンポの落ち着いたメロディアスなナンバーながらもストリングスやピアノやホーンなど様々な音を入れ、分厚く構成。楽曲的にも中盤いきなりテンポがかわったり、曲調も変化したりと複雑なナンバーに。ただメロは至ってポップで、どこかビートルズを彷彿とさせるようなナンバーになっています。

さらに「Caesar Rock」では御年70歳を超えてシャウト気味のロックなボーカルを聴かせてくれますし、ラストの「Hunt You Down/Naked/C-Link」も序盤はロッキンに、中盤、ピアノでメロディアスに、さらに後半はブルージーにと、タイトル通り3つの曲が合わさったかのようなユニークな構成の楽曲に。まさにアルバムのコンセプト通り、様々な曲の世界を旅しているかのような構成になっていました。

さすがに70歳を超えた彼なだけにボーカリストとして声には残念ながら少々年齢を感じさせる部分も否定できません。最初は正直ちょっとこの点は気にかかりました。ただ、曲を聴き続けるにつれて、楽しいポップチューンの連続で、この声の部分は徐々に気にならなくなります。というよりも、楽曲的にこの「声」に合わせたかのような、いい意味で老成した雰囲気も感じられるような曲が多かったように感じました。

そんな訳で、様々なタイプの曲が並びつつ、どれも素晴らしくメロディアスなポップチューンが並ぶ、まさにポップ職人としてのポールの本領が発揮された傑作だったと思います。さすがに70歳を超えるとこれが最後の・・・なんてことを頭によぎってしまいますが、でもこれだけの傑作をリリースできるんだから、まだまだ次回作も期待できそうですね。まだまだ彼の活躍は続きそうです。

評価:★★★★★

PAUL McCARTNEY 過去の作品
Good Evening New York City
NEW


ほかに聴いたアルバム

Let's Go Sunshine/THE KOOKS

イギリスのギターロックバンドによる約4年ぶりのニューアルバム。もともと非常にシンプルなギターロックが持ち味のバンドでしたが、今回のアルバムは序盤いきなり、アイドルポップか?と思うほどの爽やかなポップチューンからスタート。少々驚かされます。その後も基本的にシンプルで爽快感あるポップな曲が多く、いままで以上にポップ寄りのアルバムに。ただしラスト3曲はいかにもイギリスのギターロックらしいメロディアスなメロとほどよくノイジーなギターを押し出したバンドサウンドを聴かせるロックなナンバーになっており、UKロック好きなら気に入りそうな楽曲で締めくくっていました。

評価:★★★★

THE KOOKS 過去の作品
Konk
Junk of the Heart
The Best of...So Far

KIN/MOGWAI

以前からちょくちょく映画やらテレビ番組やらへの楽曲提供を行い、サントラ盤もリリースしている彼ら。本作は映画「KIN」のサントラ盤。映画のサントラ盤ということもあり、全体的に静かな雰囲気の曲調となっており、特に前半はピアノで静かに聴かせるような曲調となっています。ただ、後半はギターノイズを聴かせるダイナミックな曲調を聴かせてくれたりして、MOGWAIらしさはきちんと健在。映画のサントラによくありがちなBGM的な薄っぺらい内容ではなく、劇伴としての役割を果たしつつ、要所要所にMOGWAIらしさを入れた作品になっています。オリジナルに比べるとさすがに物足りなさはあるかもしれませんが、ファンとしてはとりあえずは聴いておくべき、間違いなく「MOGWAIのアルバム」です。

評価:★★★★

MOGWAI 過去の作品
The Hawk Is Howling
HARDCORE WILL NEVER DIE,BUT YOU WILL
Live at All Tomorrow's Parties,9th April 2000
Earth Division EP
Rave Tapes
Les Revenants
CENTRAL BELTERS
ATOMIC
Every Country's Sun

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2018年10月25日 (木)

3週連続!

今週のアルバムチャート

http://www.oricon.co.jp/rank/ja/

なんと3週連続1位獲得です。

今週1位はMr.Children「重力と呼吸」。これで3週連続の1位獲得となりました。ただし売上枚数はわずか2万1千枚。さすがにCDが売れない今とはいえかなり寂しい数値に。ほかに強力な新譜がなかった点が1位獲得の大きな要因だったとも言えるでしょう。

初登場組の最高位は2位3位。女性向け恋愛ゲーム「うたの☆プリンスさまっ♪」のキャラクターソング、嶺二(森久保祥太郎),美風藍(蒼井翔太) 「うたの☆プリンスさまっ♪デュエットドラマCD『Fiction』 嶺二&藍」が2位に、黒崎蘭丸(鈴木達央),カミュ(前野智昭)「うたの☆プリンスさまっ♪デュエットドラマCD『Non-Fiction』蘭丸&カミュ」が3位にそれぞれランクインしています。初動売上はそれぞれ1万6千枚と1万5千枚。「うたの☆プリンスさまっ♪」関連の前作「うたの☆プリンスさまっ♪Shining Masterpiece Show 『リコリスの森』」の2万2千枚(2位)からダウンしています。

続いて4位以下の初登場盤です。まず4位にロックバンドMY FIRST STORY「S・S・S」がランクイン。ボーカルのHiroがONE OK ROCKのTakaの弟(=森進一、昌子の息子)としても話題のロックバンド。初動売上は1万5千枚。直近作は彼らの楽曲にオーケストラアレンジをほどこした企画盤「THE PREMIUM SYMPHONY」で同作の初動4千枚(24位)からは大幅アップ。オリジナルアルバムとしての前作「ANTITHESE」の1万8千枚(4位)からは若干のダウンとなりました。

6位には韓国の男性アイドルグループNCTから派生したNCT127の韓国盤アルバム「NCT #127 Regular-Irregular」がランクイン。初動売上は1万1千枚。直近作は国内盤のアルバム「Chain」で、同作の初動売上4万4千枚(2位)からはダウンしています。

7位初登場はASKA「Made in ASKA」。ご存じCHAGE&ASKAのASKAが自ら選曲した楽曲を収録したソロベストアルバム。ただ、「はじまりはいつも雨」や「晴天を誉めるなら夕暮れを待て」などの大ヒット曲は同時発売のファン投票によるベスト盤「We are the Fellows」に収録されているので、こちらは知る人ぞ知る的な曲が収録されています。初動売上7千枚で、前作「Black&White」の1万4千枚(6位)からはダウン。かつてのASKA人気を考えると、かなり寂しい結果といった印象もあるのですが、確かに一般的には例の覚せい剤所持事件の印象を引きずっている感は否めません。「We are the Fellows」の方は大ヒット曲を多く収録されているにも関わらず、もともと通販で受注生産による先行販売を行っていた影響もあり、ベスト10圏外。いずれも一部のファン以外にはその人気がほとんど訴求されていないことを示す結果となっています。

8位にはYMO「NEUE TANZ」がランクイン。ご存じ、YMOは細野晴臣、高橋幸宏、坂本龍一が所属していた伝説のテクノバンド。本作はそんな彼らの結成40周年を記念して、彼らの代表曲をテイ・トウワ選曲、砂原良徳リマスタリングにより収録したコンピレーションアルバムとなっています。初動売上は6千枚。YMO関連の直近作はYellow Magic Orchestra名義によるライブ盤「NO NUKES 2012」で、同作の初動2千枚(30位)から大きくアップ。YMOの作品のベスト10入りは1999年にリリースされたベスト盤「YMO GO HOME!」の最高位6位以来となります。

9位初登場は女性アイドルグループ転校少女*「Star Light」。初動売上は6千枚。本作がデビュー作となります。

最後10位にはスタァライト九九組「『少女☆歌劇 レヴュースタァライト』劇中歌アルバムVol.2「ラ レヴュー ド ソワレ」がランクイン。ミュージカルやアニメ、ゲームなどのメディアミックスプロジェクト「少女☆歌劇 レヴュースタァライト」に登場するキャラクターによるキャラソン。初動売上6千枚でベスト10入りです。

今週のアルバムチャートは以上。チャート評はまた来週の水曜日に!

 

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2018年10月24日 (水)

「U.S.A.」の行方は・・・

今週のHot 100

http://www.billboard-japan.com/chart_insight/

ここ最近、注目しているDA PUMP「U.S.A.」の動向。先週まで2位をキープしていましたが、今週、残念ながら5位にランクダウンしてしまいました!ただし、ストリーミング数及びYu Tube再生回数では1位をキープ。PCによるCD読取数も4位につけており、まだまだ上位を十分に狙える位置にいます。

一方、米津玄師「Lemon」は今週も変わらず3位をキープ。ダウンロード数及びYou Tube再生回数で2位、PCによるCD読取数では3位をキープしており、こちらもまだまだ驚異的なロングヒットを続けています。また、先週は12位と一度ベスト10圏外に落ちたMISIA「アイノカタチ feat.HIDE(GReeeeN)」は今週7位にランクアップ。2週ぶりのベスト10返り咲きとなりました。なお、先週までロングヒットを続けていた乃木坂46「ジコチューで行こう!」は今週は18位にランクダウンしています。

さて、ロングヒット勢も目立つ中、1位を獲得したのは大阪を中心に活動を続けるAKB48の姉妹グループNMB48「僕だって泣いちゃうよ」がランクイン。CD販売数が1位、PCによるCD読取数及びTwitterつぶやき数では2位を獲得しています。一方、ダウンロード数は37位、ラジオオンエア数は圏外となっており、CDをアイテム的に購入する固定ファン層のみの支持に留まっている様子がうかがえます。オリコンでも初動売上23万8千枚で1位獲得。前作「欲望者」の19万3千枚(1位)からアップしています。

2位は=LOVE「Want you!Want you!」がランクイン。HKT48の指原莉乃プロデュースという形をとっている代々木アニメーション学院バックアップによる声優アイドルグループ。CD販売数2位、ラジオオンエア数27位、PCによるCD読取数30位、Twitterつぶやき数10位を獲得。なおオリコンでは初動売上8万枚で2位初登場。前作「手遅れcaution」の6万2千枚(3位)よりアップしています。

続いて4位以下の初登場曲です。まず4位にはBUMP OF CHICKEN「話がしたいよ」がランクイン。映画「億男」主題歌。11月14日CDリリース予定の先行配信でベスト10入りです。ダウンロード数では見事1位を獲得。またラジオオンエア数でも2位と好成績。Twitterつぶやき数も12位にランクインしています。

8位には韓国の男性アイドルグループRAINZ「虹」がランクイン。CD販売数で3位を獲得しているほか、Twitterつぶやき数が63位にランクインしているのみで他は圏外という、固定ファンがアイテムとしてCDを購入しているのみという傾向の強いチャートとなっています。オリコンでは初動売上2万4千枚で3位初登場。前作「好きなんて」の1万6千枚(9位)からアップしています。

初登場組最後は10位にOfficial髭男dism「Stand By You」がランクイン。今年4月にリリースしたシングル「ノーダウト」がフジテレビ系の月9ドラマ主題歌にもなったことでも話題となった、ソウルからの影響も強いポップチューンを奏でる4人組バンド。同作はCD販売数16位、ダウンロード数26位でしたが、ラジオオンエア数で見事1位を獲得。ほか、PCによるCD読取数20位、Twitterつぶやき数76位となり、総合ランクでベスト10入りを果たしています。

初登場組は以上。最後に1曲、ベスト10からの返り咲き組として先週の55位から9位に韓国の男性アイドルグループBTS「FAKE LOVE」がランクインしています。主にダウンロード数で5位を獲得したのが要因ですが、これは11月7日にリリースが予定しているシングル「Bird」の中の1曲、「FAKE LOVE-Japanese ver.-」が10月16日より先行配信された影響のようです。

今週のHot100は以上。明日はアルバムチャート!

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2018年10月23日 (火)

円熟味を増した傑作

Title:INNER VOICE
Musician:真心ブラザーズ

来年、デビュー30周年を迎えるベテランバンド、真心ブラザーズのちょうど1年ぶりとなるニューアルバム。デビュー30年を迎え、ここ最近ではさらに成熟度の増した感のある彼ら。ここ数作、ルーツ志向を明確したアルバムが続いていますが、今回のアルバムもその延長線上にあるような作品になっています。が、これがまたよい!いい意味で枯れた雰囲気がとてもうまく曲に作用したベテランミュージシャンらしい味わいのある傑作に仕上がっていました。

特に今回のアルバムの大きな特徴が、いつも以上にルーツ志向の度合いが増しているという点。例えば「ライダースオンナ」は軽快なギターリフにブルースハープも加わった王道のブルースナンバーになっていますし、「手ぶら」もベタル・スチールの哀愁感あるサウンドがとても心地よいブルージーなナンバー。「ギター小僧」もタイトル通り、ギターが大好きな少年がカバーしそうな、60年代風のサーフロックなギターインスト。また、「Z」も昔ながらもロックンロールナンバーなのですが、歌詞のテーマが自動車(それも昔ながらの「セダン」をテーマとした)というのも昔ながらのロックンロールらしい楽曲になっています。

また、そんな円熟さを感じるのはサウンドの面だけではありません。歌詞の側面でもアラフィフの彼らだからこそ歌えるような円熟味を帯びた歌詞の世界が繰り広げられています。例えば冒頭を飾る「メロディー」。YO-KING作詞作曲のナンバーなのですが、

「大丈夫 安心して みんな本当は退屈しているから
退屈を怖がるな 退屈と共に在れ」

(「メロディー」より 作詞 YO-KING)

なんていう歌詞は彼らくらい歳を重ねてはじめて歌えるのではないでしょうか。そんなアラフィフならではのメッセージを優しくフォーキーなサウンドにのせて歌い上げます。

アラフィフらしい歌詞というと桜井も負けていません。「バンブー」では

「どん底でもないが 天国でもない
退屈ではないが 新鮮でもない
なるべく 痛い目にはあわないように
お互い 気持ちよく過ごせますよう
ときめきが 胸の鼓動が
夢が 明日が そこそこだ」

(「バンブー」より 作詞 桜井秀俊)

という、ある種の達観したような、でもどこかユーモラスな歌詞が楽しい曲を聴かせてくれます。

基本的にはYO-KINGボーカルがメインとなっているのですが、YO-KINGと桜井秀俊が違うベクトルで楽曲づくりとしているというよりもルーツ志向という点で同じ方向を向いたようアルバムになっています。YO-KINGと桜井秀俊が別の路線で個性がぶつかり合うようなアルバムも魅力的でしたが、本作は本作でアルバムとして一体感があります。お互い、必要以上に個性を発揮せず、統一感を持った曲づくりをしているのも、ある意味、アラフィフになったから、という感じでしょうか。

そんな訳でアルバム全体として決して派手さがある訳ではありません。いかにもヒットしそうなインパクトあるメロディーが飛び出してくるわけではありません。ただ、デビュー30年の彼らだからこそ出来る、まさに円熟味のある傑作アルバムに仕上がっていました。かつての勢いのある彼らも魅力的でしたが、年数を重ね味が出てきた真心の曲も魅力的ですね。これからの活躍も楽しみです。

評価:★★★★★

真心ブラザーズ 過去の作品
DAZZLING SOUND
俺たちは真心だ!
タンデムダンデイ20
GOODDEST

Keep on traveling
Do Sing
PACK TO THE FUTURE
FLOW ON THE CLOUD

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2018年10月22日 (月)

日本古来の音楽への好奇心がくすぐられます。

本日も音楽関連で読んだ書籍の感想です。とはいっても、ちょっといつもとは趣きが異なるかもしれませんが・・・。

ここでもいろいろなアルバムを紹介していますが、個人的にワールドミュージックに興味を持っており、様々な国の音楽でおもしろそうなアルバムを積極的に聴いています。またその流れで日本の昔からの音楽にも興味を持ち、久保田麻琴プロデュースによる「ぞめき」シリーズなどの盆踊りなどを収録したアルバムも何作か紹介してきました。

そんな中で興味を持ったのが今回紹介する本。「新 神楽と出会う本」。日本の神道において神様に奉納するために行われている音楽である神楽。その音楽自体はお祭りなどで日本人なら一度は耳にしたことがあるでしょう。その「神楽」を体系的に紹介した入門書となります。

この本の著者はもともと細野晴臣をはじめ、数多くのミュージシャンたちと活動を行ったことのあるミュージシャン三上敏視氏。現在は「神楽ビデオジョッキー」として、数多くの神楽を紹介する活動を行っているとか。民俗学的な観点から捉えられることが多そうな神楽を、音楽的な観点から、それもポピュラーミュージックの視点から分析している点に非常な新鮮味を感じる一冊となっています。

同書の構成は第1章で「神楽を知る」として神楽というのはどのような芸能なのか概説的に紹介。そしてその神楽を第2章では音楽的な切り口から紹介しています。第1章はどちらかというと民俗学の本を読んでいるような感覚になるのですが、大まかな解説にとどめているため、学問的に神楽を知りたい人にはちょっと薄い内容かも。もっとも神楽はどんな芸能でどんな魅力があるのかは十二分にわかる内容になっています。

そしてこの第2章が同書の一番の肝。神楽という音楽をポピュラーミュージック的な切り口から解説しているのですが、ホワイトノイズやら16ビートやらトランスやら、おそらく神楽を紹介する一般的な本ではまず出てこないような言葉が次々と飛び出してきます。そしてポップスに聞き慣れた耳を持つ私たちにとっては、この解説が実に魅力的。ポピュラーミュージック的な観点からの神楽の魅力が語られるため、俄然興味がわいてきました。

さらに第3章では神楽で歌われる「せり歌」の紹介。こちらは現地調査のレポートのような形態になっており、そのレポートも魅力的なのですが、神様に奉納する神楽でありながら、時として「エロ歌」も飛び出る一般大衆の気持ちがそのまま反映された歌の内容にもとても惹かれるものがありました。

そして最後の第4章では日本全国50か所の神楽についての紹介。こちらも音楽的な観点からの紹介もあり、実際に聴きたくなってくる魅力あふれる紹介に。この紹介を頼りに、まずは紹介されている神社のうち、近場の神社に足を運んでみたくなります。

そんな訳で、ポピュラーミュージックに慣れ親しんだ私たちに神楽の音楽的な魅力を上手く伝えてくれる同書。さらに本作にはところどころにQRコードがついており、このコードを読み取ることによってYou Tube上にアップしてある神楽の動画を見ることが出来ます。この試みもなかなかユニーク。個人がアップした動画なども含まれているだけに、今後、リンク切れになるケースが多くなるような懸念もあるにはあるのですが、ネット時代の今だからこそ使える手法で、この本で紹介する神楽を、実際に目や耳にも伝えることが出来る仕組みになっています。

また、この本を読むと、日本全国に実に様々なタイプの神楽が存在していることを知り、その点でも興味がわいてきます。いかんせん神楽のイメージとすると太鼓がドンドンと鳴って笛がぴーひゃらと鳴り響いている、程度のイメージしかないのですが、実際にはいろいろな音やリズムのバリエーションがあることを知ることが出来ました。

もっとも本書でひとつだけちょっと残念な部分も。この本、いわゆる入門書的な位置づけの本なのですが、次に読むべき神楽についての本や、あるいは神楽をもっと知るためのディスクガイド的なものがなかったのは残念。実際に現場に行ってみてほしい、ということなのでしょうか。だとしたらもう1点、実際に神楽を見に行く場合の注意事項や手軽に見る方法なども詳しく書いてほしかったような・・・。地方の、ある意味地元民のためのお祭りに外部の者が見に行くのはどうしても敷居が高いものがあるので・・・。

そんな気になる部分もありつつ、全体的にはとても楽しめた1冊でした。まだ同書で紹介されている動画も全然見切れていないので、今後、徐々に紹介されたYou Tubeの動画も見に行ってみたいところ。そしてなにより、一度現地で神楽も見たくなりました。非常に好奇心をくすぐられる1冊でした。

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2018年10月21日 (日)

終始、小西サウンドを堪能

Title:素晴らしいアイデア 小西康陽の仕事1986-2018

ご存じピチカート・ファイブのメンバーとして活躍。ピチカート・ファイブとして数多くのヒット曲をリリースする傍ら、数多くの楽曲の作詞・作曲及び編曲を手掛け小西康陽。2001年にピチカート・ファイブが解散して以降も自らのソロ活動を続ける一方で精力的な楽曲提供を続けています。本作はそんな彼がほかのミュージシャンに提供した曲をまとめた作品集。全5枚組というフルボリュームな内容で、彼の作品が発表順に収録されています。さらに最後にはCMトラックや仮歌というレア音源も収録。彼の仕事ぶりを網羅した作品集となっています。

そんな全352分にも及ぶ本作を聴いてまず感じた印象ですが、数多くの楽曲を提供している彼ですが、職人肌というよりも根っからの天才肌のミュージシャンだな、ということを感じます。それはデビュー直後の作品から最近の作品まで通じて、どの曲もネッチリと小西康陽らしいサウンドがこびりついているため。彼の提供している作品は聴けば一発で「小西康陽が関わったな」とわかるようなサウンドばかりで、良くも悪くも意外性はありません。本人の手癖を消して、様々なタイプの曲を手掛けることが出来る職人肌の作家ではなく、彼の場合はどうしても小西康陽らしさが出てしまうタイプのミュージシャン、要するに職人ではなくて天才肌のミュージシャンなんだな、ということを強く感じました。

とはいえデビュー当初の提供作、例えば水谷麻里の「パステルの雨」などでは、まだ後々の小西サウンドを聴くことはできず、ここらへん、決してデビュー当初から彼のサウンドが確立されていた訳ではないことがわかります。もっとも、1989年提供の小西康陽とゴーゴーアタックス名義による「それ行けジェームズ」では、いかにも小西康陽らしいドラムのフィルインが入っており、比較的早い段階から小西康陽らしいサウンドに出会うことも出来ます。

また今回の作品集で感じたのは小西康陽のサウンドってアイドルポップに非常に合っているな、ということでした。ある意味、底抜けの明るさを持っている彼のサウンドは難しいことを抜きにして楽しめることが重要なアイドルポップにはうってつけ。実際、ご存じ「慎吾ママのおはロック」なんていう大ヒット曲もありますし、細川ふみえ「スキスキスー」や、小倉優子「オンナのコ♡オトコのコ」のような、アイドルポップらしい底抜けに明るいものの馬鹿っぽいアイドルポップもお手の物。最近でもNegiccoやななのんなどのアイドルポップを提供している彼ですが、小西康陽サウンドとアイドルポップ(特に女性)には相性の良さを感じます。

さらには仕事の選ばなさ、といったら失礼かもしれませんが、実に幅広いタイプのミュージシャンに楽曲を提供していることもこの作品集で気が付かされた事実。アイドル勢をはじめとして、電気グルーヴやMURO、吉幾三やふなっしー(!)などといったミュージシャン(?)も本作では参加しています。ただ、どんなタイプのミュージシャンに対しても小西康陽サウンドは一貫しており、そういう意味でも上で書いたような彼の天才肌を強く感じました。

個人的には谷村有美にも小西康陽が楽曲を提供していたのがちょっと意外に感じたのですが・・・こちら楽曲的には小西康陽らしくないなぁ、と思ったのですが作詞だけの参加なんですね。ただ、作曲やアレンジに注目を集めることの多い彼ですが、作詞家としてもユニークな歌詞を提供している曲も多く、作詞家としてもその実力を感じさせる曲が多くあることに今回の作品集ではじめて気が付かされました。

そんな訳でミュージシャン小西康陽の様々な側面での実力、魅力を強く感じることが出来るフルボリュームの作品集。300分を超える長さですが、その魅力的な楽曲の数々に一気に聴くことができる、はず。非常に聴きごたえのある作品でした。

評価:★★★★★


「SUNNY 強い気持ち・強い愛」Original Sound Track/小室哲哉

引退を表明している小室哲哉が最後に音楽を手掛けることとなった映画「SUNNY 強い気持ち・強い愛」。90年代のヒット曲が劇中に多く登場するそうですが、本作はその劇伴音楽を集めたサントラ盤。所々に小室哲哉らしい手癖を感じるサウンドはあるものの、全体的にはワンアイディアのBGM的な曲が多く、小室哲哉名義のアルバムとしては最後になるかもしれないと思うと、若干物足りなさも感じてしまいます。また映画関連のサントラにしても、どちらかというと劇中に使われるヒット曲を集めたオムニバスを聴きたかったかも。映画を見た方は楽しめるかもしれませんが。

評価:★★★

小室哲哉 過去の作品
Digitalian is eating breakfast 2
Far Eastern Wind-Complete
DEBF3
TETSUYA KOMURO EDM TOKYO
Tetsuya Komuro JOBS#1
Tetsuya Komuro JOBS#1(INSTRUMENTAL)

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2018年10月20日 (土)

全方向にディス

Title:Kamikaze
Musician:EMINEM

8月に急きょ配信でリリースされ話題となったEMINEMのニューアルバム。昨年12月に久々となるニューアルバム「Revival」をリリースしましたが、そこからわずか約8ヶ月というスパンでリリースされたアルバムということになります。事前アナウンスなしの突然のリリースという形態も話題になりましたが、あきらかにBeastie Boysの「Licensed to Ill」のオマージュとも言えるジャケットにも目を惹きます。また、日本人としては「Kamikaze」というタイトルもまずは大きな印象が残りました。

さて前作「Revival」ですが、売上的にはビルボードチャートで1位を獲得するなど大成功する結果となった作品。ただし評論家筋には相当評判が悪かったようで、各種メディアでは残念ながら酷評となったそうです。実際、日本のメディアでも芳しい評判は受けられていませんでした。

そんな世間の評判に怒ってリリースされたのが今回のアルバム。残念ながら配信オンリーのリリースであったため、歌詞について詳しい内容はわからないのですが、冒頭の「The Ringer」「Greatest」などはまさにそんな「Revival」を酷評したメディアなどに対する強烈なディスになっているとか。さらに彼のディズはそれにとどまらず、人気のラッパーを数多く標的にしています。タイトルチューンの「Kamikaze」ではDrakeをディスっているそうですし、「Fall」ではTyler, The Creatorをディス。ほかにも多くの若手ラッパーをディスっているらしく、まさに全方面にディスりまくりのアルバムとなっているそうです。

怒りの表現によりわかりやすく自分の感情を吐露したアルバムになっている本作。配信オンリーで急きょリリースしたのは、まさに「今現在」彼が抱えている思いを綴ったアルバムなだけに、その瞬間にリリースしないと意味がない、ということもあるのでしょう。また、先日第2弾を紹介した「文科系のためのヒップホップ入門」の中で、ラップは場を楽しむゲームだ、ということが語られているのですが、「Revival」という酷評に対しする反論を、ラップというゲームの場に引きずり上げているのもエミネムらしさを感じます。

日本人には残念ながらここらへんの「ゲーム」は歌詞の内容がわからない状況ですぐに理解するのは難しいのですが、今回のアルバムはリリックがわからないような状況でも十二分に楽しめる内容だったと思います。わかりやすいビート感あるテンポよく力強いラップは、やはりついつい惹きこまれてしまいます。映画「ヴェノム」の主題歌にもなっている「Venom」のようにダイナミックなサウンドに耳を惹かれるような楽曲も多く、いい意味でHIP HOPリスナー層以外にも訴求できるようなわかりやすい楽曲も目立ちます。特に「Lucky You」などで聴くことが出来る超絶なラップスキルは素人でもわかりやすい形で披露されています。

ほかにも「Stepping Stone」のような歌モノもあったりして、メロディーが魅力的に感じる曲も少なくありません。一方では「Not Alike」では最近流行のトラップ的なサウンドを入れてきており、今時のサウンドにもアップデートしています。ここらへん、前作「Revival」では良くも悪くもオールドスタイルを貫いていた印象もあっただけに、前作とは対照的な部分にも感じられました。

残念ながら現時点で歌詞について詳しい内容はわからないものの、11月には国内盤がリリース予定で、さらに今回は全訳付きだとか(!)。前作「Revival」は国内盤リリースがアメリカでのリリース時より差があった癖に訳がついておらず、その点を前作のレビューではかなり酷評したのですが、今回は無事、全訳がついている模様。その点はかなり安心しました。今回、本作はSpotifyで聴いたのですが、全訳目当てにCDで購入し直す予定。ともかくいろいろな意味でEMINEMらしさが全開となった今回のアルバム。めまぐるしく変化していくHIP HOPシーンですが、その中でもまだまだ彼の立場は健在のようです。

評価:★★★★★

EMINEM 過去の作品
RELAPSE
RECOVERY

THE MARSHALL MATHERS LP 2
REVIVAL


ほかに聴いたアルバム

2017年に創立70周年を迎えたアトランティック・レコード。60年代から70年代にかけては数多くのソウル/R&Bの名曲を世に送り出した名門なのですが、その70周年を記念して1964年から72年まで、ほぼ1年区切りでアトランティック・レコードのシングル集を10作品リリース。今回はその第1弾の紹介です。

500 Atlantic R&B/Soul Singles Vol.1 1964-65

まずこちらは第1弾。タイトル通り、1964年から65年にリリースされたシングル50曲を収録。

500 Atlantic R&B/Soul Singles Vol.2 1965

こちらは第2弾。1965年にリリースされたシングル50曲を収録されています。

楽曲的にはパワフルなソウルナンバーやバラード。さらにメロウに聴かせる甘いポップナンバーなど数多くの曲が収録。R&B/ソウルといってもその幅広さを感じさせますし、なによりもいい意味で強いポピュラリティーを感じさせる名曲が揃っています。さらにやはり時節柄でしょうか、当時流行していたモータウンの後追いのような軽快なガールズポップもちらほら収録されている点もユニーク。ただそんな曲もどこかソウルな要素を強く感じる曲となっており、モータウンとは違った魅力あふれる曲となっています。

ただそんな中でも特にSolomon BurkeやOtis Reddingはボーカルの力強さはもちろんのこと、その豊かな表現力でもこうやってコンピの中で比べて聴くと、頭ひとつ出ているような印象も。もちろんほかにも魅力的なシンガーがズラリと並んでおり、R&B/ソウル好きならたまらないコンピレーションアルバムとなっていました。

評価:どちらも★★★★★

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2018年10月19日 (金)

延べ8時間のオウテカ体験

Title:NTS Sessions 1-4
Musician:Autechre

オウテカの最新作はある意味すさまじい作品です。ロンドンのラジオ局「NTS Radio」に4回にわたって出演し、それぞれセッションを実施。「NTS Sessions」と名付けられたこれらのセッションは、1回につき2時間、延べ8時間にわたるセッションになりました。本作はそれをCDに収録したもの。1度のセッションにつきCD2枚組、計8枚組となる作品で、全部聴くと8時間にも及ぶアルバムになっています。

本作は8時間にもわたる作品ながらも、全曲新曲によるオリジナルアルバム。ある意味、その創作意欲は驚異的とも言えます。彼らは前作「elseq 1–5」(こちらは未聴)も5枚組5時間にも及ぶ内容でしたし、その前作「Exai」も2時間という大作。どんどん長くなる傾向にあるのですが、全8時間というのは行き着くところまで行き着いたといった感じでしょうか。

ただ、正直言ってしまうと、さすがに8時間は長すぎ・・・。全体的に淡々と同じ調子で展開していくような曲が多く、聴いていてさすがにダレてしまいました。楽曲は2分程度の短い曲もある一方、概ね10分程度の長尺の曲がほとんど。特にラストの(タイトルどおり)「all end」はなんと1曲が58分にも及ぶ大作・・・なんですが、ノイズの音が少し濃淡を加えて展開していくだけでひたすら同じ調子で淡々と展開していくのみ。さすがに聴いていてちょっと厳しいものがありました。

Session 4まであるのですが、全体を聴いてみて一番よく出来ているのがやはりSession 1。ミニマルなサウンドが目立つのですが、例えば「bqbqbq」では彼ららしい無機質なサウンドの中にどこかメロディーを感じることが出来るのもオウテカの大きな魅力。「north spiral」ではファンキーな要素も感じますし、特に「gonk steady one」では22分にも及ぶ長尺の曲ながらも、メタリックなサウンドからスタートし、途中、ロック的なサウンドも顔を覗かせたりしてバラエティー富んだ展開になっている楽曲。長い曲ですが飽きずに聴くことが出来ます。

その後も要所要所にオウテカのユニークなアイディアを楽しめる曲は顔を覗かせます。例えばSession 2の「elyc9 7hres」はどこか昔のゲームミュージックみたいな雰囲気を感じさせる楽しい曲になっていますし、「violvoic」もよりアバンギャルドさを増したサウンドが耳を惹きます。オウテカ自体はこれだけボリューム感あるアルバムをつくってくるあたり、決して調子は悪くないのでしょう。ただ、さすがに8時間通じて聴けないので、ちょっとずつ順番に聴いていったのですが、最初聴き始めは「これはカッコいい!」と感じても、徐々に飽きてしまうような展開が続いています。似たような雰囲気を感じる曲も多く、そういう意味ではこのアルバムをもっと凝縮すれば、傑作アルバムになったのにな、と残念に感じます。

多分、まとめて1時間程度の長さにすれば、文句なしの傑作になっていたと思いますし、2時間程度にまとめても良作に仕上がっていたと思います。しかし如何せん、8時間は長すぎる・・・。かなり淡々と続いていくような曲も多く、片手間で聴くようなラジオプログラムということも影響したのかもしれませんが、少なくともCDでしっかりと聴くにはちょっと向いていないようにも感じました。

彼らの才能は決して衰えた訳ではないと思うのですが・・・惜しい印象も受けるアルバム。次回作はもっとシンプルに1時間程度のアルバムを期待したいところ。ここ最近続く長尺傾向に拍車がかかり10時間超え、とかはさすがに勘弁してほしいのですが・・・。

評価:★★★

Autechre 過去の作品
Quaristice
Oversteps
move of ten
Exai


ほかに聴いたアルバム

Woman Worldwide/Justice

フレンチ・エレクトロのミュージシャン、Justiceの最新作は、過去の楽曲を再レコーディングしたアルバム。それもライブを通じてリアレンジされた楽曲を、スタジオ・ライブという形で収録されたアルバムだそうで、彼らの楽曲が新たに生まれ変わっています。とはいえ、基本的にはいままでの彼らの楽曲のイメージからは大きく変わっておらず、目新しさのようなものはありません。ただし、ライブ感を最重要視したアルバムとなっており、難しいこと抜きに素直にリズミカルなフレンチ・エレクトロのサウンドを楽しめるアルバムに。ライブ、とても楽しそうだなぁ。

評価:★★★★

JUSTICE 過去の作品
CROSS
Woman

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2018年10月18日 (木)

ミスチル、やはり強い!

今週のアルバムチャート

http://www.oricon.co.jp/rank/ja/

先週初登場で1位を獲得したミスチル。今週は2週連続の1位を獲得し、その強さを見せつけました。

今週1位はMr.Children「重力と呼吸」。売上枚数は5万8千枚と先週の30万9千枚からさすがに大幅にダウンしているものの見事2週連続1位を獲得しています。

初登場組最高位は2位初登場04 Limited Sazabys「SOIL」。今年結成10周年を迎える名古屋で結成された4人組ロックバンドによる約2年ぶりの新作。初動売上は2万3千枚。前作「eureka」の1万9千枚(5位)からアップ。シングルアルバム通じて初のベスト3ヒットとなり、上り調子の人気を見せつける結果となっています。

続く3位には倉木麻衣「君 想ふ~春夏秋冬~」がランクイン。タイトル通り、四季をテーマとしたコンセプトアルバムだそうです。初動売上は2万枚。直近作はアニメ「名探偵コナン」に使われた曲をまとめた企画盤「倉木麻衣×名探偵コナン COLLABORATION BEST 21 -真実はいつも歌にある!-」で、同作の2万5千枚(4位)からダウン。オリジナルアルバムとしての前作「Smile」の初動2万1千枚(4位)からも若干のダウンとなっています。

続いて4位以下の初登場です。まず4位にKen Yokoyama「Songs Of The Living Dead」がランクイン。NAMBA69とのスプリットアルバムが話題となった彼ですが、単独名義としては約3年ぶりとなる作品で、コンピレーションへの提供曲や未発表音源などを収録した「セルフコンピレーションアルバム」ということです。初動売上1万7千枚。直近の話題となったNAMBA69とのスプリットアルバムKen Yokoyama,NAMBA69「Ken Yokoyama VS NAMBA69」の1万6千枚(8位)より若干のアップ。Ken Yokoyama単独名義の前作「Sentimental Trash」の2万1千枚(2位)よりはダウンしています。

パンク勢のアルバムが続きます。5位にはザ・クロマニヨンズ「レインボーサンダー」がランクイン。12作目となるオリジナルアルバム。ここ4年間はほぼ毎年、同じ時期にアルバムをリリースしている彼らですが、前作「ラッキー&ヘブン」からちょうど1年のスパンをあけての新作となりました。初動売上は1万7千枚。前作の初動1万6千枚(6位)から微増。

8位にはアニソンを中心に活動する男女2人組ユニットfripSide「infinite synthesis 4」がランクイン。初動売上1万1千枚は直近作であるセルフカバーアルバム「crossroads」(5位)から横バイ。オリジナルアルバムとしての前作「infinite synthesis 3」の1万8千枚(5位)からはダウンしています。

9位は男性3人組ユニットSonar Pocket「flower」がランクイン。デビュー10周年の記念となるオリジナルアルバムだそうです。初動売上は1万1千枚。直近作はコンピレーションアルバム「ソナポケイズム THE FINAL ~7th Anniversary~」で、同作の6千枚(20位)より大幅アップ。オリジナルアルバムとしての前作「ソナポケイズム6~愛をこめて贈る歌~」の1万6千枚(5位)からもダウンしています。

最後10位には男装した女性によるアイドルグループ風男塾「風ァイト! ! ! ! ! !」がランクイン。初動売上は9千枚。直近作はベスト盤「All Time Best」で、同作の初動5千枚(12位)よりアップ。オリジナルアルバムとしての前作「STAR TRAVELER」の5千枚(14位)よりもアップ。アルバムでは2011年に腐男塾・中野腐女シスターズ名義でリリースした「腐レンズ」以来7年5作ぶりのベスト10ヒットとなりました。

今週のアルバムチャートは以上。チャート評はまた来週の水曜日に!

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2018年10月17日 (水)

「U.S.A.」はまた1位ならず!

今週のHot 100

http://www.billboard-japan.com/chart_insight/

先週で通算7週目の2位となったDA PUMP「U.S.A.」。今週もストリーミング及びYou Tube再生回数で1位、ダウンロード数で3位、PCによるCD読取数で4位と高い順位をキープしながら、残念ながら今週も2位!これで通算8週目の2位となりました。

一方、1位はジャニーズ系。King&Princeの2枚目となるシングル「Memorial」が獲得しました。CD販売数、PCによるCD読取数及びTwitterつぶやき数で1位、ラジオオンエア数でも15位を獲得しています。オリコンでは初動売上40万1千枚で1位獲得。ただし、前作「シンデレラガール」の57万7千枚からは大きくダウンしています。

残念ながら来週もNMB48という大物のランクインが予定されており、DA PUMPの1位獲得は難しそう。ただ、ファンズアイテム的にCDが売れているだけのジャニーズ系やAKB系と違って、実質的にはDA PUMPの曲の方がはるかにヒットしているんでしょうが・・・。

3位にも、そんな「U.S.A.」と並んで今年最大のヒット曲米津玄師「Lemon」が4位からワンランクアップでベスト3返り咲き。ベスト3入りは7月23日付チャート以来13週ぶりとなります。いまだにダウンロード数2位、PCによるCD読取数3位、Twitterつぶやき数3位、You Tube再生回数2位と圧倒的な人気をほこるこの曲。まだまだヒットは続きそうです。

続いて4位以下の初登場曲です。4位にはLiSA「ADAMAS」がランクイン。TVアニメ「ソードアート・オンライン アリシゼーション」オープニングテーマ。12月12日リリースのシングルからの先行配信となります。はりあげて歌う、ハードロック風のLiSAらしいガールズロック。ダウンロード数では見事1位獲得。Twitterつぶやき数10位、ラジオオンエア数で91位となっています。なお、オリコンのデジタルシングルランキングでも今週、1位を獲得しています。

7位にはSEKAI NO OWARIの配信限定シングル「イルミネーション」がランクイン。テレビ朝日系ドラマ「リーガル V~元弁護士・小鳥遊翔子~」主題歌。ドラマ主題歌だからでしょうか、彼らにしてはファンタジック色は薄めでシンプルなポップチューンになっています。ダウンロード数4位、ラジオオンエア数10位を獲得。一方、ストリーミング数では54位、Twitterつぶやき数は61位に留まっています。特にストリーミング数はダウンロード数と比べるとかなり下位でのランクインになっており、ストリーミングで聴いてみようというような浮動層からの支持の弱さを感じられる結果となっています。

8位はK-POPのアイドルグループU-KISS「SCANDAL」が初登場。どちらがミュージシャン名なのかちとわかりずらいです・・・。CD販売数2位にランクインしているほか、Twitterつぶやき数52位にランクインしているのみという、典型的な固定ファンのみに支持されている傾向のチャートになっています。オリコンでは初動売上1万9千枚で4位初登場。前作「FLY」の1万2千枚(5位)からアップしています。

9位にはSuperfly「Gifts」が先週の47位からCDリリースにあわせてランクアップ。第85回NHK全国学校音楽コンクール「N コン」中学校の部 課題曲。これでとりあえず今年の紅白は確定でしょうか。伸びやかに聴かせる楽曲ながらも合唱コンクール向けのためか、彼女の曲にしては若干おとなしめな印象を受けます。CD販売数14位、ダウンロード数18位、Twitterつぶやき数は91位、You Tube再生回数は29位に留まりましたが、ラジオオンエア数4位、PCによるCD読取数では9位を獲得し、見事ベスト19入り。オリコンでは初動売上1万4千枚で7位初登場。前作「Bloom」の1万5千枚(7位)からはダウンしています。

初登場最後は10位に九州を中心に活動する男性アイドルグループ九星隊「Reach for the STARS」がランクイン。ちなみに「ナインスターズ」と読むそうです。CD販売数は3位を記録しながらも、その他がすべてランク圏外という、見事なまでに「ファンズアイテムとしてのCDが売れているだけ」というヒットの状況に。そのためオリコンでは3位初登場ながらもHot 100ではギリギリ10位という大きな差が生じています。ちなみにオリコンでは初動売上2万3千枚。前作「Kiss Me Fire」の2万2千枚(5位)から若干アップしています。

初登場組は以上。ロングヒット組では乃木坂46「ジコチューで行こう!」が先週の7位からランクアップして5位にランクイン。これで8週目のベスト10ヒットとなりました。一方、先週までロングヒットを続けていたMISIA「アイノカタチ feat.HIDE(GReeeeN)」は8位から12位にダウン。ベスト10入りは9週目で途切れました。ただ、ストリーミング数では3位をキープ。PCによるCD読取数も8位にランクインしており、まだまだ来週以降、返り咲きの可能性もありそうです。

今週のHot100は以上。明日はアルバムチャート!

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2018年10月16日 (火)

貴重な映像と音源たっぷりのトークショー

レイジーキャッツのクレイジー・ナイト

日時 2018年10月9日(火) 19:30~ 会場 TOKUZO

今回の「ライブレポート」は正確に言うと音楽の「ライブ」レポートではありません。先日、クレイジーキャッツの音楽を取り上げた評論本「クレイジー音楽大全」を紹介しました(その時の感想記事はこちら)。その書籍発売を記念して行われたトークライブが今回紹介する「ライブ」。同書の著者である佐藤利明氏、音楽評論家の小川真一氏、そしてここでもよく紹介する戦前SP盤復刻レーベル「ぐらもくらぶ」の主宰者である保利透氏を迎えてのトークライブとなっていました。

実は前回「クレイジー音楽大全」を紹介した後、クレイジーキャッツの音源についても興味が沸き、植木等の音源を網羅的に収録した「植木等伝説」というCDを購入し聴いてみました。

さすがにかつて一世を風靡したグループとはいえ、もう50年以上前の話。さすがに今の耳で聴くと厳しいかな・・・と思って聴いてみたのですが、これが今の感覚で聴いても予想以上に楽しく、すっかりはまってしまいました。そのため一気にクレイジーキャッツに対する興味のわいた今日この頃、今回のトークライブについても楽しみにして足を運びました。

会場のTOKUZOはなかなかの盛況。たださすがにほとんどの方がクレイジーキャッツをリアルタイムで見ていた60代以上くらいの世代の方で、さすがにアラフォー世代はほとんどいなかったような・・・。まあ仕方ないですよね・・・(^^;;

さてトークライブは定刻通りにスタート。最初は昔、クレイジーキャッツが出演していたというサントリーのビールのCMが流れ、みんなで乾杯を唱和し、和気藹々とした雰囲気からスタート。最初はクレイジーキャッツ各メンバーの紹介と各々ソロ演奏の映像が流れます。ちなみにこの日はライブのためだけに門外不出の映像なども持ってきていたそうで、ここで見た映像はSNSなどでも内緒にしてほしいと言われてしまいました(笑)。

この日のトークライブは全2部制。最初の第1部は基本的に書籍「クレイジー音楽大全」に沿った内容。基本的に佐藤利明氏のトークによりすすんでいきます。主にハナ肇、植木等、谷啓のクレイジーキャッツ結成以前の活動からスタートし、クレイジーキャッツ結成、そして「しゃぼん玉ホリデー」で大ブレイクするまでの経緯が語られました。

内容は書籍にも書いてあることがメインなので、「音楽大全」を読んでいたら、「ああ、本にも書いてあったな」というエピソードが主。とはいえ、要所要所に当時の貴重な映像や音源が入ったり、特にクレイジーキャッツ結成以前のエピソードについては、ハナ肇や谷啓みずから語る音声も流れたりして、強く印象に残りました。

第1部で特に印象に残ったのはシングル「スーダラ節」のジャケットに記載された謎のアルファベットについてのエピソード。「クレイジー音楽大全」の表紙には「スーダラ節」のジャケット写真が用いられているのですが、この左下に「宮間利之とニュー・ハード・オーケストラ(WPT)」と記載されています。そして、このWPTが何かということが大きな謎だったそうです。それが最近、実はこれ、渡辺プロダクションのロゴをここに入れるという矢印での指示(WP(渡辺プロダクション)↑)が誤ってそのまま印刷されたということが判明したとか。誤植がそのまま残っているというのにその時代のおおらかさを感じます。

なお、1986年にリリースされた「新五万節」はこの「スーダラ節」のジャケットをそのままパロディーにしたジャケットになっているのですが(「クレイジー音楽大全」の裏表紙になっています)、例の部分には「ヤング大滝と実年マーチング・バンド(AOT)」と記載。こちらの「AOT」がなんなのか、こちらは謎のまま(ちなみにジャケットを作成したのはかの大滝詠一だそうですが)だそうで、今後の課題だそうです。

ほかにもパイロット版だけ残っているクレイジーキャッツ主演の幻の主演番組「どら猫キャプテン」の映像が流れたり、クレイジーキャッツ加入以前に植木等と谷啓が所属していたフランキー堺とシティ・スリッカーズの映像が流れたりと、興味深い映像を次々とみることが出来ました。

この第1部が約1時間半程度。この後10分弱の休憩をはさみ第2部となります。第2部は時間の許す限りクレイジーキャッツのヒット曲の映像を流しつつ、その曲にまつわるエピソードを語る内容に。こちらもかなり貴重な映像の連続。彼らの最初のレコーディング作「珍説ひつじ物語」や、歌詞の内容が問題となりすぐに回収となった「五万節」のオリジナルバージョンなども流れ、非常に興味深く聴くことが出来ました。

第2部は1時間強。計2時間半強のかなりボリュームのあるトークライブ。実はライブはほとんど佐藤利明氏の語りで小川真一氏と保利透氏はほとんど何も語らず終わってしまったのですが(^^;;ただ貴重なエピソードも満載。さらにクレイジーキャッツの話を嬉々として語る佐藤利明氏は心の底から本当にクレイジーが好きなんだろうなぁ・・・と感心しました。

そんな訳で非常に充実した2時間半。かなり楽しくお話を聴くことが出来ました。なによりも数多くの貴重な映像と音源でクレイジーキャッツの魅力により深く触れることが出来、ますます後追いながらもクレイジーキャッツにはまってしまいそうです。

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2018年10月15日 (月)

不倫騒動を皮肉った曲も登場

Title:好きなら問わない
Musician:ゲスの極み乙女。

例の不倫騒動以来、すっかりと「国民のヒール」的な状況になってしまった川谷絵音率いるゲスの極み乙女。いまだに時おり見受けられるバッシング記事にはいい加減うんざりさせられるのですが、そんな状況とは裏腹にむしろミュージシャンとしては脂がのってかなり充実しているように感じられます。前作「達磨林檎」もゲスの極み乙女。史上最高傑作といえる充実作となっていましたが、続く本作も文句なしの傑作アルバムに仕上がっていました。

特に今回のアルバムでは、例の騒動をかなり皮肉った当てつけとも思われる歌詞も登場。配信オンリーでリリースされた「あなたには負けない」では不倫騒動のスキャンダルを暴いた文芸春秋社とコラボして話題となりましたが(残念ながら本作には未収録ですが)、「戦ってしまうよ」も今回の騒動を彷彿とさせる内容になっていますし、さらにストレートなのが「僕は芸能人じゃない」はまさにそのまま今回の騒動を皮肉った内容に。川谷絵音が誰と恋愛しようが、自分の人生に何一つ関係ないくせにバッシングを続ける連中にとっては、バッシングが加速しそうな苛立たせそうな歌詞でしょうが、過剰なバッシングにいい加減飽き飽きしている人にとっては、ある意味かなり痛快な歌詞になっています。

さて、ゲスの極み乙女。といえば、当初は「ヒップホッププログレバンド」と自称し、ギターロックを軸にソウル、ファンク、HIP HOPなどの要素を入れた複雑、実験的なサウンドが大きな特徴となっていました。今回のアルバムでも1曲目「オンナは変わる」(これも不倫騒動を考えると意味深な歌詞ですが)ではファンキーなリズムを取り入れたり、11曲目にはインディーズ時代にリリースした「踊れないなら、ゲスになってしまえよ」に収録した「ホワイトワルツ」をadult ver.として収録。アダルティーでジャジーなアレンジに仕上げており、原曲の雰囲気をガラリと変えてきています。

ただアルバム全体としては哀愁感あふれたメロディーラインを前に押し出した、ある種の歌謡曲のテイストが強くなった作品となっていました。「はしゃぎすぎた街の中で僕は一人遠回りした」も切なさを感じらせるメロディーと歌詞が大きなインパクトとなっていますし、「もう切ないとは言わせない」も哀しげなメロディーラインが大きなインパクトとなっています。ゲスらしいメロディーラインに一ひねりを加えている部分もあるとはいえ、雰囲気としては川谷絵音率いる別バンド、indigo la Endに近づいているような印象すら受けました。

そしてこの彼らしい哀しさを帯びたメロディーラインが実に秀逸。indgo la Endの最新アルバム「PULSATE」も川谷絵音のコアな部分が表に出たような美しいメロディーラインが強い印象を与えてくれるアルバムでしたが、本作も同様にとろけるように美しいメロディーは彼のミュージシャンとしての本質的な部分があらわてきています。特にラストを飾る「アオミ」はちょっと80年代的なテイストも漂う美しいAORのサウンドとメロディーが素晴らしい傑作。個人的にはバックの「は~あ~」という女性のコーラスラインには鳥肌が立つほどの気持ちよさを感じます。

ちなみに本作ではアニメ「中間管理録トネガワ」の主題歌「颯爽と走るトネガワ君」も収録。アニメの内容に沿ったいかにもなアニメソングだっただけにアルバムに収録されたのはちょっと意外にも感じたのですが、こういう「飛び道具」的な曲でもアルバムの中で違和感なく聴けてしまうのも、ゲスの極み乙女。らしい魅力と言えるかもしれません。

そんな訳でミュージシャンとして非常に脂ののっていることを感じる傑作アルバム。前作に比べると前作に軍配が上がるかもしれませんが、それを差し引いても文句なしの傑作だったと思います。これからの活動も実に楽しみです。

評価:★★★★★

ゲスの極み乙女。 過去の作品
踊れないなら、ゲスになってしまえよ
みんなノーマル
魅力がすごいよ
両成敗
達磨林檎


ほかに聴いたアルバム

822/森山直太朗

前回、ベストアルバム「大傑作撰」で久しぶりに彼のアルバムを聴いたのですが、本作はベスト盤リリース後、はじめてリリースされたオリジナルアルバム。興味をもったのは最近、子どもとよく聴いているNHKの子ども向け番組「みいつけた」のエンディングテーマ「みんなおんなじ」が収録されていたから。番組のキャラクターが歌う部分もそのままになっていたのは個人的にはうれしかったのですが(笑)、ちなみにこの曲、メロディーが完全にKANの「愛は勝つ」なんですよね・・・。

もっとも森山直太朗の曲で気になる「いかにも文学的風な歌詞だけど、内容的には何も言っていない」歌詞は本作でも気になります。個人的には彼の書く歌詞はどうも好きになれません。一方でバラードばかりで単調だったメロディーラインは以前に比べてグッと進化した感じで、ミディアムテンポ中心の構成でも最後まで飽きずに聴くことが出来ました。悪いアルバムとは思わないけど・・・次聴くのは次のベスト盤でいいかな・・・。

評価:★★★★

森山直太朗 過去の作品
大傑作撰

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2018年10月14日 (日)

童謡百年

Title:童謡百年の歩み~メディアの変容と子ども文化~

いまからちょうど100年前の1818年(大正7年)7月1日、児童文学者の鈴木三重吉により児童雑誌「赤い鳥」が創刊されました。この雑誌は政府主導で推し進められた唱歌や説話に対して子ども本来の感性をはぐくむことを目的として童話・童謡を提唱し、いまでも知られる数多くの童話や童謡を世に生み出しました。この話は教科書にも載っている話なのでご存じの方も多いでしょう。今年は「赤い鳥」創刊からちょうど100年。そのため、「童謡百年」として様々なイベントなどが行われいるようです。

本作はそんな「童謡百年」の企画の一環として日本コロンビアからリリースされた全8枚組からなるCDボックス。もともとは「日本童謡史」として1981年にリリースされたものを大改訂した作品で、全240曲を収録。「童謡」のみならず「子供向けの楽曲」をテーマとして童謡が誕生する以前から子供たちが歌い継いでいた「わらべ歌」からNHKの「おかあさんといっしょ」や「みんなのうた」で誕生した曲、さらには「アニメソング」まで幅広い楽曲を収録しています。

個人的な事情で恐縮ですが、ここ最近、子どものために童謡やら「おかあさんといっしょ」などEテレ初のキッズソングをしょっちゅう聴くようになりました。ただそんな中、キッズソングを大人の耳で聴いて気が付いたのですが意外と・・・というよりも全く馬鹿に出来ない。子ども用の童謡やキッズソングは対象が子どもであるがゆえにいろいろと考えこまれた曲も多く、メロディーもシンプルであるがゆえによくよくできたポップソングが少なくありません。そんなこともあって今回、このCDボックスを聴いてみました。

とにかくこのCDボックスで印象的なのはキッズソングを徹底的に網羅しようとする幅の広さ。前述の通り「わらべ歌」からスタートし、「アンパンマンのマーチ」「おどるポンポコリン」「ドラえもんのうた」まで収録されています。本作のCD8枚組はそれぞれがテーマ性をもって選曲されているのですが、特にDISC6は「テレビと童謡」をテーマにテレビから生まれたキッズソングを収録。ただ比較的最近誕生した曲が多いせいか、やはり戦前に生まれた童謡や唱歌と比べると、ポップソングとして耳なじみやすさを感じたのが印象的でした。

また収録曲は「童謡」に留まりません。DISC5「歌手と童謡」では歌手にスポットをあてて選曲。童謡歌手が歌う「歌謡曲」などもあったりして、曲の大半はキッズソングというよりは歌謡曲に近い曲でした。さらに美空ひばりの「河童ブギウギ」も収録されているのですが、その歌唱力はほかを圧倒しており、彼女の実力を感じさせます。

さらにDISC8「歴史の彼方から甦る童謡」では戦前のSP盤などの貴重な音源を収録。戦前にブームとなった浅草オペラの一環であるお伽歌劇の音源や戦時歌謡の曲まで収録されており、日本の童謡の歴史を徹底的に網羅しようとするこだわりも感じさせられました。

そんな非常に意欲的な企画であった本作。あらためて聴いて懐かしさを感じさせる曲も多々あり、また「子ども向け」だと馬鹿に出来ない名作も数多く、8枚という大ボリュームでありつつ一気に聴けてしまう素晴らしい企画になっていました。ただちょっと残念だった点がひとつありました。それは日本コロンビアの独自企画だったゆえに、コロンビアの音源のみが収録されていた点。そのため曲によってはオリジナルではなくカバー曲が収録されていました。

もっとも多くの童謡は必ずしも「オリジナル」がよく知られている訳ではないためカバー曲でも全く問題ありません。Eテレのキッズソングも、歌のおねえさん、おねえさんが変わるたびにカバーしていたりするので気になりません。ただ、たとえば「おどるポンポコリン」や「黒猫のタンゴ」、となりのトトロの「さんぽ」などオリジナル曲がよく知られている曲に関してはかなり違和感がありました。特に「おどるポンポコリン」はマナカナによるカバーなのですが、彼女たちの歌はまだしも、原曲の近藤房之助のパートがかなり酷く、聴いていて辛いものすらありました。

せっかくの企画なのでコロンビア単独ではなく多くのレコード会社の共同企画だったらおもしろかったんですけどね。でも「童謡」というテーマだとなかなか売上を確保できないので難しいのかなぁ。その点だけはちょっと残念でした。

そんなちょっと残念な点もありつつ、企画全体としてはかなりの力作であり、素晴らしい内容だったと思います。かなりのフルボリュームだったのですが、聴いてみて損のない内容。あらためて童謡、キッズソングの素晴らしさ、奥深さを感じさせてくれる作品でした。

評価:★★★★★

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2018年10月13日 (土)

話題のHIP HOP入門書第2弾

いまから7年前、一冊のHIP HOP入門書が大きな話題となりました。「文科系のためのヒップホップ入門」と名付けられたその本は、ヒップホップを「音楽」ではなく「場を楽しむゲーム」であると主張。少々極論気味とはいえ、HIP HOPの本質をずばり突いたような評論が大きな話題となりました。(その当時の当サイトの感想はこちら

そしてそれから早くも7年。ある意味「ようやく」という表現がピッタリかもしれません。HIP HOPを巡る動向が大きく変化する中、同書の第2弾が発売されました。それが今回紹介する「文科系のためのヒップホップ入門2」。前作と同様、ライターの長谷川町蔵氏と大和田俊之氏の会話を中心とした構成になっています。

本作の構成は前作がリリースされた移行、2012年から2014年までのHIP HOPの動向を1年ごとに紹介。またそれに挟む形でジャズ評論家の柳楽光隆氏を迎えて、「ジャズとヒップホップ」として近年急接近したジャズとヒップホップの関係を紹介しています。

そのため基本的には本作は前作を読んだ前提で話が進んでいきます。一応、前書きと第1章を復習的な章として設けてありますが、どちらかというと知識の振り返りといった感じで全くの初心者が本作から読み始めるとちょっと厳しい印象も。ゲームで言えば本作は前作の「パワーアップキット」といった感じでしょうか。

そんな本作ですが、著者のHIP HOP論については前作の延長。若干極論や単純化しているように感じる面がなきにしもあらずですが、シーンの本質をしっかりと突いた議論をしており違和感を覚えるような部分はありませんでした。ただ一方で構成面でもうちょっと工夫した方がよかったかも、と思う面が少なくありませんでした。

まずポジティブな面ですが、1年毎に紹介しているHIP HOPの動向。個人的にも6~7割程度は既に知っている話でした。ただ、それは要するに初心者レベルの話からスタートしているという意味。そういう意味でまさに「入門」にふさわしい内容になっていましたし、私が知らなかった3~4割の話も非常に興味深く聴けました。また私が知っている事項でもHIP HOPシーン全体から俯瞰した切り口もまた興味深いものがありました。

逆にネガティブな面なのですが、まず本人たちも指摘しているのですが、まずシーンの紹介が2014年までで終わっているというのは非常に厳しいものがあります。最近シーンを席巻しているトラップに全く触れられていませんし、ストリーミングが一般化した最近の動向にも触れられていません。ここらへん、あとがきでチラッと書いてはいるのですが、ここで紹介されているシーンと今のシーンに若干の乖離を感じてしまい、入門書としては大きなマイナスポイントのように感じます。

この点については著者も強く感じているようで、近日中に2015年から2017年のシーンを振り返る「3」を発売する予定だとか。この近刊に強く期待したいところです。もっとも2018年も既に9ヶ月が経過していますし、来年初頭に2018年のシーン動向を含めた形でリリースしてほしいとも思うのですが・・・。

また「ジャズとヒップホップ」としてヒップホップに急接近した最近のジャズの動向についてもかなりのスペースを割いて紹介しているのですが、こちらは「入門」というには特に詳しい説明もなく次々とミュージシャンが紹介されており、全くの初心者にとっては若干敷居の高い内容になっています。またシーン的にはヒップホップというよりもむしろジャズシーンの話。確かに最近、ジャズシーンはヒップホップと接近し、次々と新しいミュージシャンが出てきていて活況を呈してきている感もして、本作のこの論説も非常に興味深く読むことが出来たのですが、若干HIP HOP入門という本作の趣旨からははずれているように感じました。

逆にこの「ジャズとヒップホップ」は別冊的に1冊の本としてまとめて、その分空いたスペースで、各年のHIP HOPの動向についての「今の視点からの振り返り」をやってほしかったように思います。まあ、おそらく著者の方にとってはかなりの負担になりそうなので、読者の勝手な要望なのですが(^^;;

ちなみに本作で一番印象に残ったのはHIP HOPの話以上にアメリカにおけるきゃりーぱみゅぱみゅの「失敗」と、K-POP、特にBTSの「成功」の話。海外の動向をしっかりと分析せずにシーンの規模を読み違えて失敗した日本と、アメリカの音楽的動向をしっかりと分析し、それに沿った曲をリリースした韓国。ある意味、昨今の日韓のグローバル企業の動向に類似しているようにも感じられました。BTSについては、なぜあれだけアメリカでヒットできたのか、ずっと不思議に思っていたのですが、その理由の一端がわかったような気がします(とはいっても、それを差し引いてもなぜあれだけ成功できたのか、いまだに少々不思議なのですが)。

そんな訳で、構成面でもうちょっと工夫してほしかったなぁ、と思う面はあるものの、2014年までのHIP HOPの動向についてよく理解できる内容になっており、前作を読んだ方には引き続きHIP HOPの動向を手っ取り早く理解するには最適な1冊になっていたと思います。逆に前作を読んでいない、という方にはちょっとお勧めしずらい内容。まずは前作を読んだ上で本作を読むことをお勧めします。

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2018年10月12日 (金)

「3」人組となった「3」枚目のアルバム

Title:3
Musician:Sweet Robots Against The Machine

テイ・トウワのソロプロジェクト、Sweet Robots Against The Machineがなんと3人組となって復活。オリジナルアルバムとしてはなんと約16年ぶりの新作となります。タイトル通り、「3」枚目となる本作。さらには「3」人組となってのアルバムとなるのですが、その3人がテイ・トウワと、最近ではMETA FIVEとして共に活動している砂原良徳、そしてバカリズムの3人・・・・・・え、バカリズム?

かなり意外な人選で驚いたのですが、じゃあこのバカリズムがどのようにアルバムに参加しているのか聴いてみると・・・基本的にこのアルバムではバカリズムがポエトリーリーディング、あるいは女性との会話を「ネタ」として披露しつつ、そのバックにテイ・トウワと砂原良徳のトラックが流れてくるスタイル。ちなみにゲストとして参加している女性陣も夏帆や麻生久美子とかなり豪華なメンバーが参加しています。

この楽曲にバカリズムのネタが全面的に展開しているスタイルは賛否両論あるようで、確かに主題であるはずのテイ・トウワや砂原良徳のトラックが単なる「伴奏」のようにも感じてしまいます。ただ、テイや砂原のトラックが楽曲としてバカリズムの「ネタ」としっかり組み合わさっており決して単純な「伴奏」とはなっていません。今回のアルバムではスポークン・ワードとテクノを融合させた「スポークン・テクノ」なるジャンルを提唱しているようですが、まさに話し言葉とサウンドがしっかりとマッチしており、ひとつの音楽のジャンルとして機能しているように感じます。

実際、おそらくバックのトラックだけをインストで聴くと物足りなさを感じそうですし、逆にバカリズムの「ネタ」だけを聴いていても物足りなさを感じてしまいそう。バカリズムのトークはサウンドに乗って展開していますし、サウンドはサウンドでそのトークに沿った、主張しすぎない、かといってもBGM的に完全に埋没している訳でもない、絶妙なバランスを保っています。

そのテイ・トウワと砂原良徳のトラック、クレジットを見る限りは両者が協力して作った、というよりは基本的にテイ・トウワが主導で、「非常識クイズ(Insane quiz)」「捨てられない街角(Boxes)」の2曲が砂原良徳が担当している感じ。両者ともラウンジ色の強いテクノでアルバム全体として統一感があり、清涼感あるサウンドが心地よい印象。あえていえばテイのサウンドはよりラウンジ色が強く、砂原は「非常識クイズ(Insane quiz)」はほどよいビート感が心地よく、また「捨てられない街角(Boxes)」はラテンテイストのサウンドをバックした男女デゥオの「歌謡曲」的なナンバーになっており、テイ・トウワの曲とはちょっと違った雰囲気の曲とすることによってアルバムの中でインパクトを出しています。

バカリズムのネタの方はシュールなネタがメイン。以前、土岐麻子のアルバムに参加したことがあり、その時の「ネタ」が正直言って非常に寒かったので、彼のネタは自分には合わないのかな、と思っていたのですが、今回のネタは素直におもしろかったです(笑)。こちらも比較的淡々とした感じに進んでおり、トラックに対して必要以上に主張しすぎず、ほどよくバランスを保っている感じになっていました。

そんな訳で単なるバカリズムのネタアルバムになっているのでは?という意見も散見されるのですが個人的にはしっかりと3人の個性が組み合わさった「スポークン・テクノ」の楽曲を収録しているアルバムに仕上がっていたと思います。スタイリッシュなサウンドとユニークなネタがほどよくバランスよく組み合わさった傑作でした。

評価:★★★★★

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2018年10月11日 (木)

ミスチルが堂々の1位獲得

今週のアルバムチャート

http://www.oricon.co.jp/rank/ja/

先週まで4週連続K-POPのアルバムが1位を獲得していましたが、今週は日本を代表するミュージシャンのアルバムが堂々の1位獲得です。

今週1位を獲得したのはMr.Children「重力と呼吸」。約3年4ヶ月ぶりとなるニューアルバムが堂々の1位。初動売上は30万9千枚で、前作「REFLECTION」の35万5千枚からは若干ダウンしてしまいました。もっとも前々作「[(an imitation) blood orange]」は初動53万枚だったので、前々作から前作にかけての大幅ダウンに比べると、下げ止まった感はありますが・・・。

2位3位はゲームのキャラソン。男性俳優育成ゲーム「A3!」からのキャラクターソング集「A3! VIVID SPRING EP」「A3! VIVID SUMMER EP」がそれぞれランクイン。初動売上はそれぞれ3万枚、2万7千枚。前作は同じく2作同時ランクインした「A3! Blooming AUTUMN EP」「A3! Blooming WINTER EP」で、前作の初動2万5千枚、2万4千枚からアップしています。

続いて4位初登場です。4位は氷川きよし「新・演歌名曲コレクション8-冬のペガサス-勝負の花道~オーケストラ」がランクイン。演歌の名曲のカバーと彼のオリジナルが収録された「名曲コレクション」シリーズの最新作。初動売上1万8千枚は前作「新・演歌名曲コレクション7-勝負の花道-」の2万2千枚(5位)からダウン。

5位には韓国の男性アイドルグループWINNER「EVERYD4Y」がランクイン。4月に韓国でリリースされた同名のアルバムの日本語ヴァージョン。初動売上は1万5千枚。前作は韓国でリリースされた同作をそのまま国内盤としてリリースした「EVERYD4Y -KR EDITION-」で、こちらの初動2千枚(22位)より大幅アップ。純然たるオリジナルアルバムの前作「OUR TWENTY FOR」の1万2千枚(5位)よりもアップしています。

6位は女性声優麻倉もも「Peachy!」がランクイン。声優ユニットTraySailのメンバーとして活動。またソロとしてもいままで4枚のシングルをリリースしていますが、ソロでのアルバムは本作が初。初動売上1万3千枚で見事ベスト10入りです。

7位にはゴスペラーズ「What The World Needs Now」がランクイン。オリコンでは9月26日リリースとされ、初登場ではなく先週からランクアップしてのベスト10入りという形になっていますが、これは9月26日に先行リリースという形でLP盤がリリースされていた影響。CDは10月3日付リリースなので、CDリリースにあわせてのベスト10入りとなりました。

最近はアルバムはLPと配信のみというミュージシャンが出てくる中、ゴスペラーズのようなメジャーどころもLPを優先するんですね。当然のごとくサブスクリプションでもリリースしていますし。LP盤の先行リリースというアルバム、今後は徐々に増えていきそうです。

なお、今週の売上枚数は1万2千枚ですが、こちらが事実上の初動売上。前作「Soul Renaissance」の1万5千枚(5位)からダウンとなっています。

初登場最後は8位。アルスマグナ「アルスミュージアム」がランクイン。ニコニコ動画の「踊ってみた」で人気を博した男性5人組グループ。初動売上1万2千枚は前作「アルスロットル」の1万枚(11位)からアップ。前々作「アルス上々↑↑↑」以来2作ぶりのベスト10入りとなりました。

今週の初登場は以上ですが、最後にロングヒット組。安室奈美恵「Finally」は今週、10位にダウン。残念ながら売上枚数も2万2千枚にダウンしています。ただこのアルバム、リリースが昨年の11月とそろそろ1年に迫ろうかという頃。いまだにベスト10に顔を見せる驚異的なヒットには驚かされます。

今週のアルバムチャートは以上。チャート評はまた来週の水曜日に!

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2018年10月10日 (水)

ジャニーズ系 vs AKB系

今週のHot 100

http://www.billboard-japan.com/chart_insight/

ジャニーズ系とAKB系が並びました。

まず1位はジャニーズ系。Kis-My-Ft2[君、僕。」が先週の84位からCDリリースにあわせてランクアップし、1位を獲得しました。コーワ「ホッカイロ新ぬくぬく当番」CMソング。CD販売数、PCによるCD読取数及びTwitterつぶやき数1位。ラジオオンエア数も6位とジャニーズ系の割には高順位となっています。オリコンでは初動19万4千枚で1位獲得。前作「LOVE」の17万5千枚(1位)よりアップしています。

2位はAKB48系。新潟を中心に活動を続けるNGT48「世界の人へ」がランクイン。CD販売数2位に対してダウンロード数が40位というのはCDをアイテムとして買う人が多いアイドル系らしい傾向。Twitterつぶやき数は3位を獲得していますが、ラジオオンエア数は35位、PCによるCD読取数は18位に留まっています。オリコンでは初動売上14万3千枚で2位初登場。前作「春はどこから来るのか?」の10万9千枚(1位)よりアップしています。

3位はDA PUMP「U.S.A.」。先週の2位からワンランクダウン。相変わらずストリーミング数及びYou Tube再生回数は1位と強さを見せています・・・が、なかなか1位になれないなぁ・・・。

続いて4位以下の初登場曲です。まず5位にはYOSHIKI feat.HYDE「Red Swan」がランクイン。テレビアニメ「進撃の巨人」Season3オープニング。YOSHIKIらしいクラシカルでスケール感ある楽曲をToshiではなくHYDEのボーカルで歌われているのがいい意味での違和感があります。GLAYとかLUNA SEAとかと異なり、ラルクとX JAPANはあまり接点がないように感じたためにこの組み合わせにもかなり意外な感じも。CD販売数6位、ダウンロード数3位、PCによるCD読取数6位を獲得。一方、ラジオオンエア数は44位、Twitterつぶやき数は20位に留まっています。オリコンでは初動売上2万1千枚で4位初登場。

そしてこちらも意外性ある組み合わせ。椎名林檎と宮本浩次による配信限定シングル「獣ゆく細道」が初登場でランクイン。日テレ系「news zero」テーマソング。椎名林檎の曲に宮本浩次が参加している形。宮本浩次自体、かなり癖のあるボーカリストなのですが、ある意味対照的な2人のボーカルの織りなす違和感が強いインパクトになっていました。

ほかに返り咲き組として先週12位だった欅坂46「アンビバレント」が今週8位にランクアップ。2週ぶりにベスト10返り咲きとなりました。

ロングヒット組では驚異のロングヒットを続ける米津玄師「Lemon」。今週も先週から引き続き4位をキープ。さらに今週、なんとダウンロード数が1位を獲得。ダウンロード数1位は7月16日付チャート以来13週ぶりとなります。いまだに人気が広がり続けている状況は驚くべき限りです。また先週8位だったMISIA「アイノカタチ feat.HIDE(GReeeeN)」はワンランクダウンで9位をキープ。ストリーミング数では2位を獲得しており、まだまだ強さを見せています。あと先週ベスト10に返り咲いた乃木坂46「ジコチューで行こう」は先週の10位から7位にアップ。これで7週目のベスト10ヒットとなりました。

今週のHot100は以上。明日はアルバムチャート。

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2018年10月 9日 (火)

「和」と「洋」の融合は戦前にも

Title:ダンスリヨウ みんなで踊ろう昭和戦前民謡ジャズ

今回は、度々こちらでも紹介する戦前のSP盤を復刻したアルバムをリリースするレーベル、ぐらもくらぶの新しいアルバムです。今回取り上げた曲は「ダンスリヨウ」の楽曲だそうです。ダンス理容?床屋さんの踊り??なんて思ってしまいそうですが、「リヨウ」は漢字で書くと「俚謡」、要するに民謡のこと。「ダンスリヨウ」という聞き慣れない言葉は一部のレーベルのみで用いた、決して一般的な名称ではなかったようですが、1930年代、というから昭和最初期に主に関西で民謡とその当時はやったジャズなどを融合させた流行ったダンス小唄がちょっとしたブームになった時期があったそうで、そんな楽曲を収録したアルバムだそうです。

戦前に「ジャズ」というと今で言うジャズに限らず、西洋由来のポップソングを幅広く「ジャズ」と呼んでいた模様。ちょっと前までギターやドラムが鳴っていれば、どんなポップスも「ロック」と呼んでいたのと似ているかもしれません。要するにこの「ダンスリヨウ」というのは民謡という「和」の要素とジャズという「洋」の要素を融合させたダンスミュージックという訳です。洋楽由来のポップスに和風な要素をまぜて「日本独自の音楽」を確立させようとする動きは最近でもよく見られ、例えばメジャーシーンでは和楽器バンドなどが話題になりましたし、音楽ファンの間では、同じように民謡にワールドミュージックの要素を加味した民謡クルセイダーズというバンドも注目されています。

戦前にもこういう民謡に洋楽的な要素を加えようとした動きがあった、という点も非常に興味深いのですが、もともとこの「ダンスリヨウ」に限らず日本の俗曲に洋楽の要素を加味しようとする動きは大正期からあったそうで、そういう意味では日本の伝統的な音楽と洋楽を融合させて日本独自の音楽を作ろうという試みは決してここ最近出てきた話ではなく、むしろ洋楽が日本に入ってきた最初期から続いている試みという訳なんですね。

さて、そんな民謡とジャズの融合という試みなのですが、思った以上にしっくりとはまっているのが興味深いところ。おそらく「外国に負けない日本独自のサウンドを」というよりも、純粋に普段聞き慣れている民謡を今風にアップデートさせようという試みだったのでしょう。そのためジャズという要素よりも民謡的な部分がより強く出ている曲もあり、ちょっと聴いただけだと「どこかジャズ風?」という民謡そのままの曲も少なくありません。

とはいえ「串本ブシ」ではいまでもなじみのあるフレーズに軽快なラテン風のアレンジがのり、モダンな雰囲気に仕上がっているのが実に魅力的ですし、続く「草津節」もパーカッションの音色が軽快で心地よいルンバ風のアレンジに。「浅草おけさ」なども二村定一のちょっとおどけた感じもするボーカルと軽快なブラスのアレンジにより垢抜けた楽曲に仕上がっています。

またユニークなのが「新磯節」「モダンこんぴら船々」など歌詞がその時代風にアップデートされている「民謡」も目立つこと。「新磯節」などは基本的に洋楽的な要素が薄く、民謡的な色合いが強いだけに、逆に歌詞が当世風なのが非常にユニークに感じます。また「木曾節 新日本八景」などは民謡の要素が強いのですが、強い太鼓のリズムが独特のグルーヴ感を出しており、図らずも民謡の持つ「レアグルーヴ」的な側面を押し出しているアレンジになっているのもユニークでした。

さらにラストを飾る「安来ルンバ」は玖馬ナショナル五重奏団という本場、キューバのバンドを迎え入れての録音。哀愁感たっぷりの演奏なのですが、本場キューバの演奏というだけあって心地よいリズムとラテン風のサウンドが今の耳でも十分に楽しめる曲に仕上がっています。ちなみに安来節はほかにもタンゴ風の「安来タンゴ」が収録されていますが、それだけなじみのある民謡だ、ということでしょうか。ちなみに「金毘羅船々」も上にも書いた「モダンこんびら船々」含め2曲収録。こちらは原曲からして軽快で、高揚感ある展開がダンスとも相性のよういナンバーなだけに「ダンスリヨウ」にもよく取り上げられたのでしょうか。

そんな訳で「和」と「洋」の融合の試みとして非常に興味深く聴けたコンピレーションアルバム。今の耳からしても十分に楽しめる曲も少なくありません。「民謡」に興味がある方も聴いて損はない1枚かと。今でいえば民謡クルセイダーズや例えばソウルフラワーユニオンあたりを好んで聴いている方なども要チェックかな。とても素晴らしい企画盤でした。

評価:★★★★★


ほかに聴いたアルバム

存在感/KREVA

昨年はKICK THE CAN CREWとしても実に14年ぶりとなるアルバムをリリースしたKREVA。ソロとして約1年半ぶりとなる新作は5曲入りのミニアルバム。自分自身について問いかけた「存在感」や、ある意味、身もふたもないこをとリリックにしつつ自分への戒めにも感じられる「健康」など、全体的にはパーソナルなことを綴ったラップが目立ちます。KICKとしての活動を再開したからこそソロではよりKREVAのパーソナルな部分を出してくということなのでしょうか。2019年はソロ活動15周年の年になるそうで、この作品はそのスタートアップだとか。これから1年間、KREVAの活動から目が離せなさそうです。

評価:★★★★

KREVA 過去の作品
心臓
OASYS
GO
BEST OF MIXCD NO.2
SPACE
SPACE TOUR
KX
嘘と煩悩

YOURS/ビレッジマンズストア

名古屋発の5人組ガレージロックバンド。直近のミニアルバム「正しい夜明け」が非常に素晴らしい出来だったため初のフルアルバムとなる本作ももちろん聴いてみました。今回もとにかくエッジの効いたガレージロックがかっこいいアルバム。特に1曲目「Don't trust U20」はしゃがれ声のボーカルのシャウトと相成り、これぞロックといった楽曲に仕上がっています。

基本的にガレージロックをベースにメロディーはポップで歌謡曲的な要素も、というのは彼らの大きな魅力。今回もその魅力がフルに発揮されたアルバムになっていました。ただ前作に比べるとちょっとポップによりすぎている感じ。曲によっては平凡に感じてしまうナンバーもあり、惜しさも感じます。もっとゴリゴリのガレージロック寄りでもいいと思うのですが・・・。とはいえ、非常にかっこいいアルバムであることは間違いありません。今後も期待のバンドです。

評価:★★★★

ビレッジマンズストア 過去の作品
正しい夜明け

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2018年10月 8日 (月)

へヴィーなサウンドが素直にカッコいい

Title:NINTH
Musician:the GazettE

タイトル通り9作目のアルバムとなる、ヴィジュアル系ロックバンドthe GazettEの新作。前作「DOGMA」から約3年ぶりとなるニューアルバムで、ちょっと久々となる新譜。ただし、途中にベストアルバム「TRACE VOL.2」のリリースもあったため、さほど久々という印象は受け間視線。

the GazettEといえばヴィジュアル系バンドの中でも特にハードコアのテイストが強いバンド。今回のアルバムでもイントロ的な「99.999」からいきなりノイズが全開のへヴィーな楽曲からスタート。実質的な1曲目となる「Falling」も、最初は哀愁感ある耽美的なメロでスタートしつつ、いきなりへヴィーなサウンドとデス声でズシリとした楽曲に展開していきます。

その後も「NINTH ODD SMELL」「GUSH」といわゆるヴィジュアル系らしい耽美的なメロディーラインがバックに流れつつも、かなり分厚くハードコアなサウンドが流れる楽曲が続きます。

オリジナルアルバムでは前々作「BEAUTIFUL DEFORMITY」あたりから、ハードコア志向が強くなり、いわゆるヴィジュアル系的な雰囲気の強いメロディーよりも、へヴィーなサウンドを前に押し出した楽曲が目立つようになりました。今回のアルバムも基本的にその路線を引き継ぐようなスタイル。途中、「虚蜩」「その声は脆く」のようにメロディーを前に押し出したような曲もあるのですが、全体的にはへヴィーなバンドサウンドが前面に押し出された曲が並びます。

少々ナルシスティックに感じる鼻にかかったような歌い方と、歌謡曲的で哀愁感漂うメロディーラインという、いわゆるいかにもヴィジュアル系っぽいメロディーについてはおそらく好き嫌いが分かれそうに感じます。正直言うと個人的にも聴いていてあまり好みではありません。ただここ最近の彼らのアルバムもそうですし本作もそうですが、まずはカッコいいバンドサウンドが前に押し出された結果、そういった癖のあるメロディーの部分があまり気にならないレベルになっています。本作もそう。結果として最初から最後まで、おそらく普段ヴィジュアル系を聴かない、ハードコアが好きなリスナー層でも楽しめる作品になっていたと思います。

ただ一方で、このハードコア路線についても正直言うと、若干ありふれた感がありthe GazettEらしいサウンドという部分をあまり確立されていないような感じがするのも気になるところ。サウンドのパターンもあまり少なく、アルバムでも似たような雰囲気の曲も目立ちます。サウンド自体は非常にカッコよいと思うのですが、その点が気になりました。もちろん、メロディーとの組み合わせにより「彼ららしさ」はしっかり出ているとも言えるのですが・・・。

そんな訳でいい意味で「ヴィジュアル系」という枠組みに捕らわれずにハードコアバンドの作品として十分に楽しめそうな良作に仕上がっていた本作。いろいろと課題に感じる部分もありつつも、素直にサウンドのカッコよさを楽しめるアルバムでした。

評価:★★★★

the GazettE 過去の作品
TRACES BEST OF 2005-2009
DIM
TOXIC
DIVISION
BEAUTIFUL DEFORMITY
DOGMA
TRACES VOL.2


ほかに聴いたアルバム

Future Pop/Perfume

かなり久しぶりに聴いてみたPerfumeのニューアルバム。「Tiny Baby」のようなキュートなポップチューンもあったりして、J-POP路線は貫かれている一方、「FUSION」のようなインストナンバーもあったりして、歌よりも中田ヤスタカのサウンドが強調されているような印象も。結果、ポップスとしてのインパクトはちょっと薄くなったようなイメージがあるのですが、エレクトロのアルバムとしては強度が増している印象も。中田ヤスタカfeaturing Perfumeみたいな作品になってしまいそうな懸念もありますが。

評価:★★★★

Perfume 過去の作品
GAME

FREE TOKYO/SKY-HI

avexのダンスグループAAAのメンバーながらラッパーとしても活躍。最近ではラッパーとしての活動も高い評価を受けるようになったSKY-HIこと日高光啓の6曲入りのミニアルバム。日本語ラップの先駆者への敬意を綴った「FREE TOKYO」や自身のラッパーとしての決意を綴った「Name Tag」などリリックは比較的わかりやすく、かつしっかりと聴かせます。サウンド的にもトラップミュージックの要素を強く感じ、今時の要素が強い音。ラッパーとしてのスキルは言うまでもなく、間違いなく本格的なラップのアルバム。個人的にはちょっとラッパーとしてラップの迫力が弱いかな、という感じはしますが、今後の活躍にも期待したいところです。

評価:★★★★

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2018年10月 7日 (日)

初の「公式」ベスト盤

Title:STORY~HY BEST~
Musician:HY

メンバー全員が沖縄出身の男性4人、女性1人によるロックバンドHY。2000年結成の彼らの来る「結成20周年」に向けて「Road to 20th プロジェクト」が始動。その第一弾となるのがこの初となる「公式」ベストアルバムです。いくらなんでもまだ2018年の段階から結成20周年に向けてのプロジェクトをはじめるのは早すぎないか?と思うのですが、ちょっとイジワルな見方をしてしまうと一時期に比べて正直売上が落ち込んでいる彼ら。なんとか売上を喚起したいということなのでしょうか。

初の「公式」ベストアルバムという書き方をしているのは理由があって、彼ら、2014年に一度ベスト盤をリリースしています。ただこのベスト盤、よくありがちな原盤権を持っているレコード会社がミュージシャンに無断でリリースしたパターン。このベスト盤については彼らは完全否定した訳ではなく、「聴きたい方は、是非、聴いてください」と消極的なスタンスを取っていました。現在でも公式サイトを見るとこのベスト盤の存在には全く触れられておらず、「なかったこと」になっている模様です。

そして今回のアルバムはあきらかにこの2014年にリリースしたベストアルバム「HY SUPER BEST」を意識しています。今回はファン投票による上位の楽曲にメンバーが選んだ曲を加えてのベスト盤となっていますが、結果としてかなりの部分、収録曲が「HY SUPER BEST」と被ってしまっています。今回のアルバム、建付け的には「セルフカバー」という形を取っており、過去の曲をあらためてレコーディングした形になっているのですが、このレコーディングし直した曲は「HY SUPER BEST」の選曲対象となった2012年リリースのアルバム「Route29」以前の曲のみ。それ以降の曲に関しては過去の音源をそのまま使っている形になっています。

「HY SUPER BEST」を買った方や、ファンにとっては新録音が聴けるというのはうれしい試み。もっとも基本的にはアレンジを大きく変えている訳ではないため、新鮮味は薄いかもしれませんが。それでも初期ナンバーを今の彼らが歌い直しているのはファンとしてはうれしいところです。もっとも、あきらかに「HY SUPER BEST」を意識した新録音になっており、セルフカバーとしては中途半端。どうせならすべて新録音にすればよいのに、とも思ってしまいます・・・。

さて、そんなアルバムの感想ですが、正直言ってしまうと2014年に紹介した「HY SUPER BEST」の時に抱いた感想と全く変わりありません。決して悪くはないのですが、正直言うと無味無臭のJ-POP。「HY SUPER BEST」の感想で「公営の海水浴場の安いスピーカーから流れてきそう」と書いたのですが、決して聴いていてムカムカするような駄作ではない反面、思わず聴き入ってしまうような名曲という感じでもなく、そういう意味で公共の場のBGM向け、という印象を受けてしまいます。

そんな印象を受けるHYですが、それでもこのベスト盤を含めて毎作聴いてしまうのは、時々素晴らしい名曲を出してくるから。特に沖縄民謡の要素を入れ、かつ仲宗根泉がメインのボーカルを取るバラードナンバーは沖縄出身の彼ららしい個性を発揮した名曲になっているケースが多々あります。例えば今回のアルバムに収録されている曲でいえば「366日」「帰る場所」などがそのパターンでしょう。

特に「時をこえ」は歌詞の中で戦争の影を感じる社会派とも言える歌詞が特徴的。彼らのような典型的なJ-POPバンドですら、歌詞に戦争の話を取りいれてくるくらい、沖縄の方にとっては先の戦争の記憶がいまなお強く残っているということなのでしょうか。沖縄のバンドならではの名曲だと思います。

そうやって、時々、彼らしか歌えないような「名曲」をリリースしてくるだけに、アルバム全体としてはいまひとつと思っていても思わず聴いてしまう訳ですが・・・「HY SUPER BEST」の時の締めと同じになってしまいますが、そういう意味で非常に惜しく感じてしまいます。また是非、もっともっと多くの名曲を生み出してほしいのですが・・・。

評価:★★★

HY 過去の作品
Whistle
PARADE
Route29
HY SUPER BEST
GLOCAL

LOVER
Synchronicity(HY+BIGMAMA)
CHANCE


ほかに聴いたアルバム

SickSickSickSick/佐藤千亜妃

きのこ帝国のボーカリスト、佐藤千亜妃のソロデビュー作。バンドサウンドのきのこ帝国に対してソロではエレクトロサウンドという形でバンドとソロでの区別をつけているそうで、全体的にエレクトロ主体のポップチューンに。ここ最近、きのこ帝国の楽曲がポップ寄りにシフトしており賛否両論となっていますが、彼女の楽曲も比較的ポップなナンバーが並んでおり、例えばタイトルチューンの「SickSickSickSick」は90年代的なポップチューンになっていますし、「Bedtime Eyes」あたりはCharaからの影響を強く感じます。ただラストの「Prologue」では幻想的なサウンドを聴かせてくれたりして単純なポップアルバムとは一線を画している感じも。これからの活躍に要注目といった感じでしょうか。

評価:★★★★

BLACK BOX/大西ユカリ

なにわのゴッド姉ちゃん、大西ユカリのアルバムはなんとカバーアルバム。それも多くのソウルのスタンダードナンバーをカバー、ということで否応なく期待が高まったアルバム・・・なのですが、正直言うと期待していたほどではなかったかも。もちろん彼女の歌唱力は文句なしですし、感情たっぷりに歌い上げるその表現力も文句なし。そういう意味ではカバーとしては文句なし、なはずなのですが、いつもの彼女のオリジナルアルバムに比べるとちょっときれいすぎるというか、洗練されすぎているというのか。いつものアルバムのような泥臭いなにわのおばちゃんパワーがちょっと物足りないように感じました。

評価:★★★★

大西ユカリ 過去のアルバム
HOU ON
やたら綺麗な満月
直撃!韓流婦人拳(韓国盤)
直撃!韓流婦人拳

ニガイナミダが100リットル
肉と肉と路線バス
EXPLOSION

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2018年10月 6日 (土)

アラブ、アフリカ、西洋が融合

Title:El Ndjoum
Musician:Sofiane Saidi&Mazalda

今日紹介するのは、ワールドミュージックのミュージシャン。パリ在住のアルジェリア人ライ歌手、Sofiane Saidi(ソフィアン・サイディ)です。女性の顔がジャケットになっているので、その人がソフィアン・サイディかと思いきや、流れてきたのはおもいっきりおじさんの声。なんでも40代後半くらいの男性歌手。ライとはアルジェリア西部のオラン地方起源のポピュラー音楽。90年代のイスラム原理主義の伸長により多くのミュージシャンがフランスに移住し、活動を続けているとか。彼もそんなミュージシャンの一人ということなのでしょう。

アラブ音楽からの影響を強く受けているのがライの特徴のようで、本作も最初、「Wahdi Ana W Galbi」のスタートはアラビア音楽のような哀愁感あふれる笛の音色からスタート。ソフィアンのボーカルも哀愁感あふれる歌声を聴かせてくれています。続く「El Ndjoum」もリズミカルなダンスチューンなのですが、軽快なパーカッションのリズムにのせて歌われるメロディーやサウンドは中近東的なエキゾチックさがあふれる音楽。アラブ系の音楽らしいこぶし聴いたボーカルと哀愁感あるメロディーが大きな魅力になっています。

ただ一方ではアフリカ的なリズムが同時に加わっている点も大きな魅力に感じます。例えば前述の「El Ndjoum」のパーカッションなどはトライバルな要素を強く感じますし、「Yamma」などはリズミカルなパーカッションにはアフロビート的なリズムを感じますし、「Gasbah Trinsiti」のリズムにも同じくアフリカ音楽的な要素を強く感じます。ここらへん、アラビアとアフリカの文化の交差点で生まれた音楽のような大きな魅力を感じることが出来ます。

あともうひとつユニークなのは基本的に生音主体。また最近、ライのミュージシャンでは声にエフェクトをかける、いわゆる「ロボ声」が流行っているようなのですが、完全に生声でロボ声はなし。泥臭さを感じるソフィアンのボーカルが大きな魅力となっています。ただその一方ではシンセのサウンドは要所要所に取り入れており、例えば「Bourkan」はシンセのリズムやサウンドが楽曲全編に。さらに「La classe Fi Las Vegas」は完全なディスコチューンになっています。

また、シンセを取り入れたナンバーに関してはワールドミュージック的な独特の癖のある要素は薄くなり、むしろ西洋音楽的な垢抜けたポップチューンになっている点も大きな特徴に感じます。そのため、彼のボーカルや生音により、最初アルバムを聴きはじめたころは泥臭いなぁ、と強く感じさせる一方、中盤以降に関してはむしろ垢抜けた雰囲気さえ感じるアルバムになっていました。

ここらへん、アラビア、アフリカ、さらに西洋という文化が混じり合ったサウンドというのが最大の魅力といった感じでしょうか。アルバムの中に様々な音楽的な要素が入り、非常にユニークなアルバムに感じます。最初、ちょっと取っつきにくさも感じる部分もあるのですが、アルバムを最後まで聴くと、いい意味で意外な聴きやすさを感じ、はまってしまうようなそんな1枚でした。

評価:★★★★★

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2018年10月 5日 (金)

驚きの20周年

1998年、Zepp Sapporoのこけら落としライブに杏子、山崎まさよし、スガシカオの3人で出演し、杏子の「星のかけらを探しに行こうAgain」を合唱したことにより結成されたユニット福耳。 当初はこの3人のみのユニットだったのですが、その後、彼らの所属する音楽事務所、オフィス・オーガスタ所属のミュージシャン全員で構成されるユニットに発展。その後も断続的に活動が続けられました。 そして今回、その活動20周年を記念して福耳のオールタイムベストがリリースされました。

Title:ALL TIME BEST~福耳 20th Anniversary~
Musician:福耳

福耳のベスト盤はいままでもリリースされていましたが、 2006年にリリースした「福耳 THE BEST WORKS」では福耳の曲だけではアルバムが埋められず、参加ミュージシャンの曲も収録した内容に。また2012年にリリースされた「ALL SONGS MUST PASS-Office Augusta 20th Anniversary BEST-」は福耳名義でしたが、実質的にはオフィスオーガスタのミュージシャンによるコラボアルバム。そういう意味ではアルバム1枚通じて純粋な福耳のベストアルバムとしてはこれが初。基本的にはシングル曲が配信限定のシングルを含めリリース順に収録されている構成。さらに新曲である「八月の夢」が収録されているシンプルな内容となっています。

個々でも活躍するミュージシャンたちが集まってユニットを結成するパターンは少なくありません。ただほとんどが期間限定的なユニット。また、恒久的なユニットとして立ち上がった場合でもあくが強いミュージシャン同士のコラボであるがゆえに短命で終わるケースがほとんど。そんな中、福耳というユニットが20年間続いたというのは驚きでもあります。・・・もっとも、オフィス・オーガスタ所属のミュージシャンが無条件で参加させられる訳ですから、参加しているミュージシャンの主張もなにもないのかもしれませんが・・・。

ただ福耳に参加しているミュージシャンたちは個々人でも一人立ちしているミュージシャンばかり。楽曲はそんなミュージシャンたちがそれぞれ提供している曲なだけに個性的であり非常にバリエーションが豊かな曲が並んでいました。基本的にはロックベースでのシンプルなポップチューンがメインですが、例えば「惑星タイマー」はメロディーを聴いただけで容易にスキマスイッチの曲だとわかりますし、さかいゆうによる「LOVE&LIVE LETTER」はビリー・ジョエルばりのピアノポップ。「Swing Swing Sing」もモータウンビートが軽快なナンバーで、秦基博らしいさわやかなポップチューンに仕上がっています。

楽曲的にはここ最近のシングルになればなるほど、比較的「あまり売れていない」ミュージシャンたちの曲が目立ち、ここらへんは福耳への楽曲提供を機に知名度をあげようというオフィス・オーガスタの思惑も感じられます。ただどの曲も甲乙つけがたい良質なポップチューンが並んでおり、まだ売れていないミュージシャンたちも何かのきっかけがあれば・・・と思ってしまいます。

ボーカルでは杏子や山崎まさよしのようなベテラン勢に一日の長がある感じで、どうしても耳に残ってしまいます。ただそんな中でもインパクトがあるのが元ちとせ。もともと奄美民謡の歌手である彼女らしいこぶしの効いた歌い方は否応なくアルバムの中でも目立ちます。コラボでもこの歌い方を全くくずしていないのがユニークなのですが、アルバムの中でもこのこぶしが大きなインパクトになっていました。

そんな訳であらためて福耳の、というよりもオフィス・オーガスタのミュージシャンたちの魅力に触れられるアルバムに仕上がっていたベストアルバム。良質なポップチューンの連続で幅広いリスナー層が楽しめそうなアルバムに仕上がっています。

評価:★★★★★

で、そんな福耳ですが、なんと結成以来初となるオリジナルアルバムがリリースされました。

Title:シンガーとソングライター ~COIL 20th Anniversary~
Musician:福耳

こちらはタイトル通り、福耳のメンバーでもあり福耳にも数多くの楽曲を提供してきたCOILのデビュー20周年を記念してリリースされたアルバム。 全曲、COILの岡本定義の書下ろし・プロデュース作となっています。

COILと福耳といえば2008年にもCOILへのトリビュートアルバムとしてCOILの曲を福耳のメンバーがカバーした「10th Anniversary Songs~Tribute to COIL~」がリリースされていますし、どれだけCOIL推しなんだ、と思ってしまいます。ただ、その気持ちは痛いほど理解できます。COILといえば福耳への提供曲からもわかるように実に美しくポップなメロディーラインを書くミュージシャン。デビュー以来、いまひとつブレイクできず今に至っていますが、もっともっと売れてもいいミュージシャンなのに・・・という思いが事務所側にもあるのでしょう。

今回のアルバムは岡本定義の曲をみんなで歌う、というスタイルではなく、〇〇とCOIL名義により、それぞれのミュージシャンに岡本定義が楽曲提供をするような形になっています。結果、それぞれのミュージシャンのイメージに合った、実にバリエーション豊富なナンバーが並ぶアルバムになっています。例えば「女神誕生」は杏子らしさが際立つちょっとエロチックでメロウなナンバー。最近話題の竹原ピストルボーカルによる「平日のアリバイ」はピストルらしい泥臭さが感じられます。逆にアコースティックなサウンドと波の音が目立つオーガニックなナンバーである「幸福の別離」は、元ちとせが普段とは異なりこぶしを抑え目にメロウに歌いあげており、元ちとせの普段とはちょっと異なるボーカリストの顔が見れるのもユニーク。どの曲も岡本定義のミュージシャンとしての幅の広さを感じさせる曲になっていました。

一方では秦基博による「あぶない部下と危険な上司」は分厚いギターサウンドといい、ユーモラスな歌詞といい、歌詞の言葉の使い方に至るまで実にCOILらしいナンバー。ある意味、岡本定義らしさがもっともあらわれた曲といえるかもしれません。そしてラストには本人歌唱による「メロディ~君のために作ったんだから~」で締めくくり。実に彼らしいシンプルなメロディーが秀逸なナンバー。こちらもメロディーメイカーとしての才能が光るナンバーで締めくくられています。

そんな訳で福耳のオリジナルアルバムなのですが、岡本定義の実力が再認識できるアルバムに仕上がっていました。本当に、これだけ素晴らしいミュージシャンなのになんでブレイクできないのかなぁ。福耳の、というよりはCOILのニューアルバムが聴きたくなってしまうそんな1枚。そろそろCOILの新作、リリースされないかなぁ。

評価:★★★★★

福耳 過去の作品
10th Anniversary Songs~tribute to COIL
福耳 THE BEST ACOUSTIC WORKS
HOME~山崎まさよしトリビュート
ALL SONGS MUST PASS~Office Augusta 20th Anniversary BEST~
ALL SONGS MUST PASS - BEST LIVE RECORDINGS From Augusta Camp 2012 –


ほかに聴いたアルバム

Boys&Girls/大江千里

その活動には賛否あるものの、すっかりニューヨーク在住のジャズピアニストになってしまった大江千里。今回のアルバムは彼の過去の代表曲をジャズピアノでカバーしたインストアルバム。基本的に昔の名曲をもう一度・・・的な感覚で聴くと「コレジャナイ」感がかなり強いアルバム。もともとジャズピアニストが憧れだったようなので、現在の活動は彼が本当にやりたかったことをやっているんでしょうが、アルバムとしてはよくありがちな凡百な感じで、彼の魅力が出ているとは正直感じられませんでした。昔のようなポップミュージシャンには・・・もう戻らないんだろうなぁ。

評価:★★★

大江千里 過去の作品
GOLDEN☆BEST

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2018年10月 4日 (木)

また今週もK-POPが・・・

今週のアルバムチャート

http://www.oricon.co.jp/rank/ja/

ここ最近、K-POPのアルバム1位獲得が続いていますが、今週もK-POP勢のアルバムが1位獲得。これで4週連続でK-POPのアルバムが1位を獲得したことになります。

今週1位は韓国の男性アイドルグループiKON「RETURN」が獲得しました。もともと1月に韓国でリリースされたアルバムの楽曲を日本語バージョンで収録するなど国内向けに再編したアルバム。初動売上6万5千枚。直近作は同作の韓国でリリースされたアルバムをそのまま国内ライセンスでリリースした「RETURN-KR EDITION-」の2千枚(29位)から大幅にアップ。またオリジナルアルバムとしては前作「NEW KIDS:BEGIN」の3万4千枚(1位)からもアップしています。

2位にはレキシ「ムキシ」がランクイン!ご存じ元SUPER BUTER DOGのメンバーで、現在もキーボーディストとして様々な形で活躍している池田貴史のソロプロジェクト。もともと彼自体が日本史が好きで、日本史をテーマにしたアルバムを作る・・・という、ある意味「お遊び」的な企画したのですが、そのユニークな歌詞やそしてファンクをベースとした楽しいサウンド、そしてなによりもエンタテイメント性あふれるライブが話題になり徐々に人気を伸ばしてきました。

そして6作目となる本作でなんとベスト3入り!初動売上2万3千枚は前作「Vキシ」の2万2千枚(7位)より若干ですが上回っており、いまだに人気が上昇基調であることを伺わせる結果となりました。

3位初登場はRe:vale,TRIGGER,IDOLiSH7「IDOLiSH7 Collection Album vol.1」。スマートフォン向けゲーム「アイドリッシュセブン」に登場する曲を集めたアルバム。初動売上2万2千枚。「アイドリッシュセブン」関連ではTRIGGER「REGALITY」の3万2千枚(1位)よりダウンしています。

続いて4位以下の初登場盤です。まず4位にはクリープハイプ「泣きたくなるほど嬉しい日々に」がランクイン。純然たるオリジナルアルバムとしては約2年ぶりとなる新作。初動売上2万2千枚は前作「世界観」の1万6千枚(4位)からアップしています。

6位にはDIR EN GREY「The Insulated World」がランクイン。こちらは途中ベスト盤のリリースはあったものの約4年ぶり、少々久しぶりとなった新作です。初動売上2万1千枚。直近作はベスト盤「VESTIGE OF SCRATCHES」で、こちらの1万7千枚(4位)からアップ。オリジナルアルバムとしての前作「ARCHE」の2万3千枚(4位)からは若干のダウンとなりました。

8位初登場はmagical2「晴れるさ」。テレビ東京系女児向け特撮ドラマ「魔法×戦士 マジマジョピュアーズ!」から誕生したアイドルグループ。「女児に大人気のドラマ」と紹介されていますが、娘を持つ父親としては「あぁ、あれかぁ」と思ったので、それなりに人気はあるのは間違いないかと思います。ただ、このアルバムの購買層がどうなっているのかは気になりますが。本作はアルバムではデビュー作。初動売上1万5千枚でいきなりベスト10入り。

9位にはこちらも韓国の男性アイドルグループVIXX「Reincarnation」がランクイン。初動売上1万5千枚。前作「ラララ~愛をありがとう~」の1万6千枚(3位)からダウンしています。

初登場組最後は10位に、こちらは日本の男性アイドルグループSUPER FANTASY「The Little Mermaid」がランクイン。これが4作目となるミニアルバム。初動売上1万2千枚で前作「ROMEO and JULIET」の5千枚(9位)からアップしています。

一方ロングヒット組では安室奈美恵「Finally」が今週も5位にランクイン。売上枚数こそ3万7千枚から2万2千枚にダウンしましたがまだまだ根強い人気を見せつけています。

今週のアルバムチャートは以上。チャート評はまた来週の水曜日に!

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2018年10月 3日 (水)

誕生20周年の記念盤が1位

今週のHot 100

http://www.billboard-japan.com/chart_insight/

誕生20周年の記念盤だそうです。

今週1位を獲得したのはハロプロ・オールスターズ「YEAH YEAH YEAH」が獲得しました。モーニング娘。などが所属するハロー!プロジェクトの20周年を記念してリリースされた曲で、モーニング娘。'18をはじめ、アンジュルム、Juice=Juice、こぶしファクトリーなどハロプロのアイドル勢が勢ぞろいしたシングルになっています。ただ、これだけ大量にあつまりながらもみんなユニゾン。さらに声質がほとんど同じのため歌っていてほとんど区別がつかない状況。この無個性さが悪い意味で今のアイドルシーンを象徴している印象を受けます。CD販売数で1位のほかはラジオオンエア数96位、PCによるCD読取数18位、Twitterつぶやき数63位といずれも下位であり、完全に固定ファン層のみ向けのヒットとなっています。オリコンでも初動売上18万1千枚で1位獲得。

2位はDA PUMP「U.S.A.」が先週の3位からワンランクアップ。これで通算7週目の2位獲得となります。ストリーミング数及びPCによるCD読取数、You Tube再生回数でいずれも1位を獲得。いい加減、1位を取らせてあげてやりたい感じもするのですが・・・。

3位にはBUMP OF CHICKEN「シリウス」が初登場。ダウンロードのみでの販売で、ダウンロード数及びラジオオンエア数で1位を獲得。Twitterつぶやき数は32位、You Tube再生回数は41位。バンプらしい疾走感あるギターロックで、サビでの転調にバンプらしい癖を感じます。オリコンではデジタルシングルランキングで見事1位を獲得しています。

続いて4位以下の初登場曲ですが、5位に女性アイドルグループでんぱ組.inc「プレシャスサマー!」が初登場でランクイン。トランシーでハイテンポの情報量を詰め込んだ最近のアイドルソングらしいナンバー。CD販売数は2位を獲得していますが、そのほかはPCによるCD読取数33位、Twitterつぶやき数68位のみにランクインという固定ファン層のみに波及しているヒットとなっています。オリコンでは初動売上4万枚で2位初登場。前作「おやすみポラリスさよならパラレルワールド」の3万3千枚(3位)よりアップ。

7位には人気女性声優水樹奈々「WHAT YOU WANT」が初登場。アニメ「モンスターストライク」エンディング・テーマ。80年代ハードロック風のアレンジにマイナーコード主体のアップテンポなナンバーはいかにも様式化されたアニソンっぽいナンバー。CD販売数3位に対してダウンロード数36位という結果になっており、アイテムとしてCDを購入する層の多いアイドル的なヒット傾向が見て取れます。ほかにはPCによるCD読取数3位、ラジオオンエア数80位、Twitterつぶやき数86位。オリコンでは同作を収録した「WONDER QUEST EP」が初動売上2万5千枚で3位初登場。前作は「TESTAMENT」「Destiny's Prelude」が同時リリース。それぞれ3万2千枚(2位)、3万1千枚(3位)となっており、本作はどちらと比べてもダウンしています。

初登場組最後は9位にダンスグループAAAのメインボーカルであるNissy(西島隆弘)「トリコ」がランクイン。映画「あのコの、トリコ。」主題歌。CDもリリースされているようですが、AAAの公式通販サイトなど限定でのリリースのため、ダウンロード数19位、ストリーミング数4位と配信のみランクインしています。爽快な典型的アイドルポップなのですが、ダウンロード数よりもストリーミング数のランキングが上というのがちょっと意外な印象。ほか、Twitterつぶやき数で見事1位を獲得していますが、ラジオオンエア数79位、PCによるCD読取数41位、You Tube再生回数35位といずれも低調。

ほかには今週10位に乃木坂46「ジコチューで行こう!」が先週の12位からランクアップ。3週ぶりにベスト10返り咲きとなっています。

またロングヒット組ではまず米津玄師「Lemon」。今週も先週から変わらず4位をキープ。ダウンロード数は今週、3位から2位にアップしているほか、PCによるCD読取数が6位から2位にアップ。Twitterつぶやき数も3位、You Tube再生回数も2位を獲得しており、まだまだ高い人気を誇っています。

さらに先週紹介したMISIA「アイノカタチ feat.HIDE(GReeeeN)」は先週の6位から8位にダウン。ただダウンロード数7位、ストリーミング数2位とまだまだ高い順位をキープ。ドラマが終ってから、どれだけロングヒットが続くのか、注目です。

今週のHot100は以上。明日はアルバムチャート。

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2018年10月 2日 (火)

HIP HOP界の女王(Queen)降臨

Title:Queen
Musician:Nicki Minaj

正直言って思わずそのダイナマイト・ボディーに目が釘付けになってしまいます。おそらく今、女性ラッパーの代表格ともいえるニッキー・ミナージュの約4年ぶりとなるニューアルバム。タイトルの「Queen」はまさに今の彼女のヒップホップシーンにおける位置づけを表しているといってもいいのでしょうか。またそのダイナマイト・ボディーはもちろんのことながらも、クレオパトラを模したと思われるようなその衣装にも目が行きます。

さてそんな「女王」ゆえでしょうか、本作でもまずは豪華なゲスト勢に目がいきます。「Majesty」ではあのEMINEMが参加。力強いラップで、聴いていて一発で彼だとわかるの点でも強いEMINEMの個性を感じさせますし、また彼女の力強いラップも決してENIMEMに負けていません。「Bed」ではアリアナ・グランデが参加。リズミカルにラップするニッキーと一緒にその透き通る歌声を聴かせてくれています。

そんなちょっと久々となる彼女の新作。彼女のアルバムは以前から比較的ポップテイストが強く、いい意味で聴きやすいという印象を受けていました。今回のアルバムも全体として比較的ポップで聴きやすいアルバムに仕上がっていたかと思います。例えば「Chun Swae」は哀愁感あふれる歌が前に出ている楽曲に仕上がっていますし、「Nip Tuck」もメロディアスな歌を聴かせてくれています。特に「Come See About Me」は伸びやかな歌声を聴かせてくれる歌モノのR&Bバラード。アルバムの中でも歌モノが目立ちます。

もっともそんな歌モノのナンバー以外でも基本的にリズミカルで勢いのあるラップが多く、HIP HOPを普段聴かないようなリスナー層でも十分楽しめそうなナンバーが揃っています。例えば「Barbie Dreams」はシンプルなトラックでリズミカルなラップが楽しめますし、「LLC」なども勢いがあり力強いラップに聴いているだけで惹き込まれます。

また彼女の楽曲は本作に限らずポップ寄りのアルバムが多かったのですが、その中でも今回のアルバムは比較的HIP HOP寄りという印象も受けます。またここ最近の流行りなのですが、トラップの要素を強く入れてきており、「Chun-Li」「Sir」などトラップの曲も目立ちます。特に「Sir」ではトラップの代表的なミュージシャンであるFutureをフューチャーしてきており、そういう意味でも今の時代にしっかりとアップデートしてきているアルバムという印象を受けました。

現在のHIP HOPをしっかりと取り入れつつ、いままでの彼女らしいポップな側面も残したアルバム。HIP HOP的な部分とポップな部分をしっかりと両立させたバランスの良いアルバムだったように感じます。そういう意味でも彼女の良さがしっかりと表れた傑作アルバムだったように感じました。まさにタイトル通り、HIP HOP界のクイーンとしての実力を見せつけたアルバムでした。

評価:★★★★★

Nicki Minaj 過去の作品
Pink Friday
Pink Friday:Roman Reloaded


ほかに聴いたアルバム

Tangerine Reef/Animal Collective

アルバム毎に高い評価を受けるアメリカのインディーロックバンドAnimal Collectiveの新作。アバンギャルドさを感じるエレクトロサウンドを聴かせつつ、ポップにまとめあげている楽曲が彼らの大きな特徴でしたが、今回のアルバムはエレクトロサウンドのノイズを前面に押し出したような作風。そのため実験的な要素が強く、残念ながら聴いていてあまり楽しめませんでした。同じく実験的だった前々作「CENTIPEDE HZ」は過剰な音の世界だったに対して、今回は比較的トラックは静かで落ち着いたものとなっており、そういう意味ではあまり不快さはなかったのですが・・・。良くも悪くもアルバム毎に振れ幅があるミュージシャンだなぁ。

評価:★★★

Animal Collective 過去の作品
Merriweather Post Pavilion
CENTIPEDE HZ
Painting With
The Paniters EP

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2018年10月 1日 (月)

雑食性を感じるバラエティー富んだ構成

Title:Be the Cowboy
Musician:Mitski

前作「Puberty 2」が各種メディアに軒並み高評価となり一躍注目を集めた女性シンガーソングライター。ちょっと読みにくいその名前は「ミツキ」と呼ぶらしいのですが、なんと日本出身で日本人の母親とアメリカ人の父親のもとで生まれたということもあり日本でも大きな注目を集めてきています。さらに日本人の母親の影響で日本の音楽にも大きな影響を受けたようで、影響を受けたミュージシャンとして椎名林檎の名前をあげているそうです。

そんな彼女のアルバムは全体的にはエレクトロサウンドを取り入れつつもロックの色合いも強いメロディアスなポップチューンが並んでいます。1曲目「Geyser」はいきなり荘厳な雰囲気の曲でスタート。伸びやかな彼女の歌声をあわせてちょっと神秘的な雰囲気を感じさせます。ただ2曲目「Why Didn't You Stop Me?」はエレクトロサウンドにギターサウンドが入った軽快なポップチューン。メロディアスなメロディーラインはとても聴きやすく、インパクトある耳馴染みあるナンバーに仕上がっています。

基本的に「Why Didn't You Stop Me?」と同様に、メロディーがポップでフックが効いているというのも彼女の楽曲の大きな魅力。例えば「Lonesome Love」もアコースティックテイストのサウンドと伸びやかな彼女の歌声により爽やかでちょっと切なさを感じるメロディーラインを実に効果的に聴かせてくれますし、終盤の「Washing Machine Heart」などもエレクトロサウンドのテンポよいリズムをバックにウィスパー気味のボーカルで歌い上げるポップなメロディーが耳に残ります。インパクトを感じるメロディーラインがアルバムを通じて大きな魅力に感じました。

また上にも書きましたがギターロックの色合いを強く感じさせるのも大きな特徴。「A Pearl」のサウンドはギターを中心としたバンドサウンドがベースですし、「Remember My Name」もバンドサウンドでダイナミックに聴かせるナンバーに仕上がっています。ただ全体的にはロック系のミュージシャンというよりも、バンドサウンドやエレクトロサウンドを入れつつ、アルバム全体としてはかなりごちゃまぜな印象を受ける構成となっていました。

例えば「Me and My Husband」ではピアノを入れてもっとポップなテイストが強くなっていましたし、「A Horse Named Cold Air」はピアノと彼女の歌声で幻想的に聴かせるナンバーに。ラストの「Two Slow Dancers」も静かに聴かせるエレクトロのナンバーで締めくくっています。ある意味この雑食性的な部分がJ-POPからの影響・・・・・・と言えるかもしれません。

ただ少々統一感に欠けるようなサウンド構成になっていてもポップなメロディーラインと美しくも同時に力強さを感じるMitskiのボーカルにより、しっかりとMitskiの個性が生じているアルバムに仕上がっていました。また今回のアルバム、全14曲入りながらも32分という短い内容。1曲あたり1、2分程度の曲が並んでおり、ポンポンと曲が変わっていく展開になっています。この1曲あたりの短さもこのアルバムが聴きやすかった大きな要因。この点含めて、とてもポップで聴きやすいアルバムに仕上がっていたと思います。

日本人としても応援したくなるミュージシャンですが、ただその点を差し引いても非常に才能を感じる、これからが楽しみなミュージシャンなのは間違いありません。またこのアルバムはアメリカビルボードで52位とブレイクには至っていませんが、近いうちに大ブレイクしそうな予感も。次回作以降も要注目です。

評価:★★★★★


ほかに聴いたアルバム

Sweetener/Ariana Grande

アリアナ・グランデ約2年ぶりとなるニューアルバム。ご存じの通り、前作と本作の間に開催された2017年の公演中に会場内で自爆テロが発生し、多くの観客が死傷したという悲劇に見舞われました。その後リリースされた本作。「これまでリリースした3枚のアルバムとは一変し、普遍的な愛のメッセージがたっぷり詰まった」という売り文句になっていますが、だからといっていままでの彼女のスタイルが大きく変わった訳ではありません。ミディアムテンポのチューンが中心ながらもインパクトあるポップチューンがメインとなっている本作。基本的に心地よく幅広いリスナー層が楽しめるポップチューンになっていました。

評価:★★★★

Ariana Grande 過去の作品
My Everything
The Best

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